原題:Grave / Raw 監督:ジュリア・デュクルノー
製作国 フランス / ベルギー 上映時間 98分
何やら30そこそこの若い女性監督のデビュー作で、カンヌや各国の映画賞で大評判となってヨーロッパやアメリカでスマッシュヒットしたらしき映画。
ふんわりネタバレしてます
Story
家族みんな獣医の厳格なベジタリアン一家の16歳、ジュスティーヌは、姉アレックスと同じ獣医科大学に入学して寮に入った。ルームメイトはアドリアンというゲイの男性。
上級生による新入生歓迎のハードコアな通過儀礼が行われた。
しごきの一環として全身に動物の血を浴びせられたりウサギの生の腎臓を強制的に食べさせられたジュスティーヌ。生まれて初めて動物を食べた彼女には湿疹ができる。翌日から原因不明の精神的&肉体的な不調を発症。
アドリアンに勧められてケバブ‥肉を食べたジュスティーヌ。
肉の美味さに衝撃を受けて次の日からは肉をたくさん食うようになる。
そんなジュスティーヌは次第に自分の内に秘めた恐ろしい秘密と本性に気づくことになり、それに姉のアレックスも呼応していく‥
みたいな話
まあざっくり言うと、ずっと肉食を禁じられてたジュスティーヌが肉を喰ったらカニバリズム傾向がある本能が目覚めはじめる‥という内容。
性欲や怒りが噛み癖やカニバリズムと直結してて、つい噛み過ぎちゃったり人肉を食いたくなっちゃう。
だけど、物理的とか医学的にどうこうとか社会的にどうこうといった具体的なテーマではなく、フランス映画らしい寓話的なフンワリ感がある。ホラーなどではなく「性の目覚めをカニバリズムに置き換えてみました」という感じの青春映画という感じ
「真面目な処女が大学行って大人の階段登る。姉妹喧嘩したり1人のイケメンを姉妹で取り合ったり‥。どうやらそれはママの血らしいね」
という、どこにでもあるような他愛もないガーリィなホームドラマを、瑞々しい映像表現で表現してみました、という感じなんだろう。
すごく「女性映画」とか「ガーリィな映画」という感じがした。
そして噛みつきやゴア描写や流血や「痛っ!」って表現や、脱毛や動物のオペなど、生理的にウッと来る描写が多いので、観ていて良い意味で引いたりして凄く入ってくるものがあった。
ホラー映画とかで手足がもげたり血がビュービュー出るのは、アレは記号なので何とも思わないが、カミソリの刃でちょっと手のひら切るシーン観たら「ヒェッ」となるだろ。そういう感じ。
血とかリアルな痛さ表現とか苦手なので血の気が引いてフワフワした状態になった。
ゾンビやモンスターが人を喰っても何とも思わないけど、本作のようにリアルな人間が人間を食おうとしたり食ったりしたら、特殊メイクやCGだとわかっていても「ダメ~!(>o<)」みたいな赤信号が心に灯るもんだね。やっぱり近親相姦と同じように「人を食うのはアカン」というコードが人間のプログラムに組み込まれてるのを実感した。
本作のカニバリズムなどの禁忌表現は、そんな感じで、本作の大筋(少女が進学して大人の女性になっていく)に、あまり興味ない中年男性の僕のようなものにも届くように配置した要素、という感じがした。実際「主人公の子かわいい」と、ひぇぇ‥!という感情が交互に襲ってきて最後まで楽しめたので成功なんでしょう
主人公の子は、痩せてて美しい身体だが乳や尻が小さくて性的アピールが少ない‥という、女子が「こんなルックスになりたい」と思いそうな女優で魅力的だった。
それと単純にこの大学の通過儀礼やパーティや乱交が楽しそうで羨ましかった。
最近、ヒーロー映画や大作ばかりで、こういう映画はあまりないので新鮮で楽しかった。最近こういう小品や中品はNetflixとかドラマで全部やっちゃう印象。
あと深刻そうで古風な音楽がかっこよかった。
そんな感じで楽しかったが、他にこれといって特に言いたい感想が浮かばないので感想はもう終わる。
たぶん男より女性が観た方が色んな事が考えられて楽しいタイプの映画な気がする
そんな感じでした
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