gock221B

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『悪魔と夜ふかし』(2023)/ラスト数分の悪魔顕現シーンは凄く良かったが正直、本編の殆どが70年代TV番組のノリで展開するのはかったるかった📺️


原題:Late Night With The Devil 監督&脚本&編集:コリン・ケアンズ、キャメロン・ケアンズ 制作:ロイ・ニーほか 撮影:マシュー・テンプル 音楽:グレン・リチャーズ、ロスコー・ジェームズ・アーウィン 製作国:オーストラリア/アメリカ/アラブ首長国連邦合作 上映時間:93分 公開日:2024.04/11(日本は2024.10/04)

 

 

「1970年代のアメリカの深夜バラエティで降霊実験したら本当の悪魔が顕現してしまった……という出来事のマスターテープが発見された」というモキュメンタリー形式のホラー映画。もう説明だけで面白そうすぎて日本公開を待ってたオーストラリア、アメリカ、アラブ合作映画。
ハリウッドの有名俳優は主人公を演じるデヴィッド・ダストマルチャンだけで、後は殆どオーストラリアの俳優みたいでよく知らない。ほぼオーストラリア映画
公式サイトによると、監督は子供の頃に本作のようなオーストラリアの深夜トークショーを見ていて、司会者がよく超能力特集してたのだがマスコミにユリ・ゲラーのトリックが暴かれてしまい腹を立ててセットをめちゃくちゃにして番組を放棄しまったという。その思い出を元ネタにして『エクソシスト』(1973)、『キング・オブ・コメディ』(1982)など70~80年代の名作のオマージュで作った映画……というか、モロにそんな感じ。

ネタバレあり。割と殆どネタバレ

 

 

📺️👨🏻👩🏻‍🦰👨🏼‍🦱🧔🏻‍♂️👿🔥

 

 

1977年10月31日、ハロウィンの夜。
テレビ番組「ナイト・オウルズ」の司会者ジャック・デルロイ(演:デヴィッド・ダストマルチャン)は生放送でのオカルト・ショーで人気低迷を挽回しようとしていた。
霊視、オカルト懐疑主義者、悪魔と話せる少女……超自然現象にまつわる、怪しげなゲストが次々とスタジオに登場して視聴率は過去最高を記録。
しかし番組がクライマックスを迎えたとき、思いもよらぬ惨劇が巻き起こる――

……という話。
当時、人気番組だった番組『ナイト・アウルズ』(1971-1977)、そのシーズン6のハロウィンでの生放送中に起きた不可解な出来事を録画したマスターテープが見つかり、それを検証するドキュメンタリー……という形式で作られたのが本作。
だから本作の8割くらいは70年代のテレビ番組の映像で進む。TV番組本編以外のシーンはCM中の舞台裏とかジャックが見ている幻覚など(CM中の舞台裏はモノクロ画面になる)……だから「これ劇場で観るより家のTVで観た方が臨場感あるんだろうな」と少し思った。
最初に主人公ジャックの経歴がざっと語られ、次に1977年10月31日にオカルト特集を放映した『ナイト・アウルズ』本編が最後まで流れる。

UBCで1971年に始まった夜の帯番組、ジャック・デルロイの『ナイト・オウルズ』はトーク、音楽、コントなどを組み合わせた人気番組として始まった。
ジャックは、「視聴率が取れれば何でもいい」系プロデューサー、レオ・フィスク(演:ジョシュ・クオン・タルト)と共に『ナイトオウルズ』を、エミー賞も受賞した人気番組へと押し上げた。
ジャックは私生活で舞台女優マデリーン・バイパー(演:ジョージナ・ヘイグ)とも結婚し、各界のVIPが集う秘密の会員制クラブにも通い、幸せだったが超人気だった裏番組ジョニー・カーソンの『ザ・トゥナイト・ショー』(1982-1992)には常に勝てず万年二番手だった(ちなみに『ザ・トゥナイト・ショー』は実在した当時の人気番組)。
1976年、最愛の妻マデリーンが肺がんで死去。失意のジャックは姿をくらますが僅か、1ヶ月後彼は番組に復帰。
人々はジャックの帰還を暖かく迎えるが『ナイト・オウルズ』の人気は低迷していき、ゴシップやドッキリや口論など内容を過激にするが人気は回復せず、常勝『ザ・トゥナイト・ショー』との差は開くばかり。
そして1977年10月31日ハロウィーン
『ナイト・アウルズ』は起死回生のオカルト特集を放映する。

 

 

愉快なOPトークの後、死者の声が聞こえるという霊能者クリストゥ(演:ファイサル・バッツィ)の登場。
まずは軽く客いじり。しばらく続けているとクリストゥは「指輪をした男性を探すミニー」という女性の霊を受信して具合が悪くなり始めてCM。
次に催眠術も出来る元マジシャンのカーマイケル・ヘイグ(演:イアン・ブリス)が参加する。
彼はIFSIPという超自然現象を調査するチームを作っており、超能力や超常現象を徹底的に調べ上げるオカルト懐疑論。ヘイグは他のオカルティストを否定して番組を面白くする役割だ。
ヘイグはさっそくクリストゥを侮辱し、怒ったクリストゥは出ていこうとするがジャックは呼び止めて「最後の降霊術で出た”ミニー”は私が亡き妻を呼ぶ時の愛称です」と言って指をカメラに見せる。ずっと具合が悪そうだったクリストゥはますます具合が悪くなりヘドロのような黒い液体を口から噴出。ジャックは慌ててCMに行く。
ジャックがあまりにも平然としてドヤ顔していたので、恐らくジャック自信がクリストゥに妻の愛称を教えたんだろうね。
CMあけ、ジャックとも懇意で超能力者を研究して著書『悪魔との対話』を刊行した超心理学ジューン・ロス・ミッチェル博士(演:ローラ・ゴードン)そして彼女が保護して育てている少女リリー・ダボ(演:イングリッド・トレリ)が登場する。
リリーは警察に取り囲まれて集団自決した悪魔崇拝カルト教団の生き残りで不思議な力があるという。
謎めいた少女リリーはジャックに「あなたはすぐにとても有名になる」と予言する。
そしてリリーは何故か、最初から事あるごとにカメラ目線になる。
本作はまだ本編は半分くらいで、この後からいよいよ色んな事が起こるわけだが、この映画は割と最後まで全く怖くないタイプのホラー映画なのだが、このリリーがやたらとカメラ目線を続けるシーンが唯一怖かった(恐らくリリーが第四の壁を破って映画を観ている〈私〉を見ているような錯覚させてくるからだろう)。
CM中、ジャックはプロデューサーのレオから「救急車で運ばれた霊能者クリストゥが全身から血を噴出させて死んだ」と聞かされる。

 

 

CM明け。不思議な少女リリーは教団にいた頃から自己の内部に悪魔リグルス氏”が出たり入ったりしていると言う。
懐疑論者ヘイグの挑発でリリーはリグルス氏を憑依させることに。
生放送では照明やテルミンの故障が起きており、舞台裏では既に霊能者クリストゥの死が知れ渡り、CM中にジャックの愉快な相棒ガス・マッコーネル(演:リース・アウテリ)やスタッフ達は怯え始めておりジャックに「悪魔をおろすのはやめろ」と忠告するが聞き流すジャック。
再びCM明け。椅子に縛ったリリーに、自身に悪魔”リグルス氏”を憑依させてもらう。
ここからしばらく『エクソシスト』(1973)展開。リリーに憑依したリグルス氏は男の声と口汚い言葉でジューンとジャックが男女の関係になることを仄めかし、ジャックやジャックの亡き妻マデリーンを罵る。”リグルス氏”はジャックと以前に会ったという。ジャックが以前、イルミナティじみた秘密クラブに入っていた時に何かあったのかと思わせる。”リグルス氏”はジャックに「よくもこんなことをさせたものだな」と言い、リリーの身体は椅子ごと宙に浮かび、悪魔リグルス氏は去りリリーは正気に戻る。
CM中、クリストゥが死んだことを知ったヘイグが戸惑うシーンはかなり盛り上がる。
ヘイグは「ジューン&リリーのペテンを暴いてみせる」と言い、さっきのリリーのようにガスを椅子に座らせ”悪魔おろし”をする……すると阿鼻叫喚の地獄が起こった……と思ったら起きてなかった。ヘイグはスタジオに居たもの全員に催眠術をかけたのだ(リリーにだけかかっていなくて彼女はずっと笑っている)。
というか悪魔ほどじゃなくても、数分でほぼ全員に凄い幻覚を見せられるヘイグも充分凄すぎるのだが……。
そして一行が、ヘイグの催眠術、ジューン&リリーの悪魔おろしのVTRを巻き戻していると悪魔リグルス氏が本格的にリリーに憑依して大惨事が起きる(ここの憑依は、ブラウン管内での悪魔が3次元世界のリリーに取って代わったかのようにリリーにブラウン管のように走査線がザザッと走るのがカッコいい)。
ここまで割と地味な描写が多かったのでカタルシスあった。だが割と短い。
次に悪魔リグルス氏はジャックに幻覚を見せる。
幻覚の中でジャックは、悪魔崇拝めいた秘密クラブ入会、視聴率No.1になる夢、そして癌で苦しむ妻を殺したのではないか?と思わせる仄めかしがされ、そして現実に戻り全てが破滅して終わる。

 

 

殆どのホラー映画というのはただ超常現象を描いたものではなく現実や人間ドラマを反映したものが多い。終盤は抽象的だったが恐らく、何を犠牲にしても視聴率No.1を取りに行くジャックの心、そしてそういったものを観たがる視聴者(つまり全人類)が悪魔だ、と恐らくそういう方向の事を言いたげな終盤だった。
なかなか面白いとは思ったが「70年代の普通のトークショーを再現する」というコンセプトに忠実すぎたせいか、後半まで正直かなりかったるかった(70年代のTV番組自体がかったるいからね)。
リリーの身体が次元ごと割れて光る悪魔が出てくるビジュアルはめちゃくちゃ良かった。
良いところも多いのだが、さっきも言ったが本編の大半がかなりかったるかったというのが実際のところだ。ちょっと観る前に期待しすぎていたという事もある。
70年代トークショーを再現するのは終盤で悪魔が顕現する数分だけで、残りの大半は現代の最新ホラー映画みたいにシャキシャキ進めて欲しかったというのが本音のところだ。

 

📺️👨🏻👩🏻‍🦰👨🏼‍🦱🧔🏻‍♂️👿🔥

 

 

そんな感じでした

 


 

映画『悪魔と夜ふかし』公式サイト

Late Night with the Devil (2023) - IMDb
Late Night with the Devil | Rotten Tomatoes
Late Night with the Devil(原題) - 映画情報・レビュー・評価・あらすじ | Filmarks映画

www.youtube.com

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