gock221B

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『ヴァチカンのエクソシスト』(2023)/誠実な印象だが怖さも人間ドラマも希薄で退屈だし真面目な祓魔は『エクソシスト』(1973)で全て事足りてるので、もっと原作にないオリジナル展開で悪魔との闘いを派手にするかキャラを深掘りして欲しかった👿


原題:The Pope's Exorcist 監督:ジュリアス・エイヴァリー 脚本&原案:マイケル・ペトローニ 脚本:エヴァン・スピリオトポウロス 原案:R・ディーン・マクレアリー、チェスター・ヘイスティングス 製作:ダグ・ベルグラッド、マイケル・パトリック・カチュマレク、ジェフ・カッツ 製作総指揮:ジョー・ホームウッド、ソフィー・キャシディ、エドワード・J・シーバート 原作:ガブリエーレ・アモルト神父の自叙伝「エクソシストは語る」(「An Exorcist Tells His Story」(1990)+「An Exorcist: More Stories」(1992)) 製作国:アメリカ 上映時間:103分

 

 

先週だか先々週あたりに観に行って感想書いてなかったやつ。

カトリック教会の総本山ヴァチカンのローマ教皇に仕え、生涯で悪魔祓い(エクソシズムを数万回行ったと言われる実在した祓魔師〈ふつまし〉……エクソシストガブリエーレ・アモルト神父(1925-2016)。「カブリエーレ神父と、人間にとり憑いた邪悪な悪魔との壮絶な戦い」を記した自叙伝を基にしたホラー映画。
監督は、つまらなかったシルベスター・スタローン主演のオリジナルヒーロー映画『サマリタン』(2022)を撮った人。
プロデューサーのジェフ・カッツ氏Twitterに日夜、日本語でファンと直接コミュニケーションするという今までの海外の映画関係者になかったプロモーションを展開し話題となった。
話題沸騰中「ヴァチカンのエクソシスト」 SNSで人気のプロデューサーが日本のファンに感謝「日本に大きな借りがある」 : 映画ニュース - 映画.com
本作のウリ「エクソシストと悪魔憑きの映画」「ラッセル・クロウ主演」……どちらも現在日本では全くヒキのない要素で、どう考えても本来ヒットしようがないように見えるのに日本でもなかなかヒットしたみたい。完全にこのPの人のX(旧Twitter)さばきのおかげだろう。
ネタバレあり

 

 

 

 

Story
1987年7月ガブリエーレ・アモルト神父(演:ラッセル・クロウ)はローマ教皇(演:フランコ・ネロ)から直接悪魔に憑依された少年ヘンリーの悪魔祓いをせよ」と依頼を受けスペインに向かう。
ガブリエーレ神父は、若き神父トマース・エスキベル神父(演:ダニエル・ゾバット)と共に悪魔を退け、家族を救うことができるのか?――

そんな話。

アバン(タイトルが出るまでの映画の冒頭)で、ガブリエーレ神父(以下「神父」)は、悪魔に憑かれた青年の悪魔祓いをしていた。
悪魔に憑かれたと自称する青年に自分の名前を訊くが青年は答えない。神父は連れてきた豚に悪魔を乗り移らせ豚を射殺した。自分から悪魔が豚に乗り移って殺されたと思った青年は、それで回復した。
”悪魔憑き”を信じていない教会の偉い人たちに呼び出しをくらい詰められる神父。
神父は「あの青年に限らず悪魔憑きの98%は精神疾患です」と語る。
「悪魔祓いの儀式をする事で健康に戻れる精神疾患を患った人がいるんだから教会の許可なくても私はバンバン祓うで!」と言い放つ頼もしい神父。
この「アバンでいきなり始まる悪魔祓いは、実は悪魔じゃなく只の病気」というのは良かったです。神父の軽妙な性格も伝わったし。

スペインの古い修道院アメリカから母と娘と息子の三人家族が引っ越してくる。
家族の父親は一年前、事故死してしまったので金が必要な母ジュリア(演:アレックス・エッソー)は短期の泊まり込みで修道院を修繕するために来たらしい。
娘のエイミー(演:ローレル・マースデン)は反抗期。
息子ヘンリーは父の事故死を間近で見てしまったため、以来ショックで口が聞けなくなってしまっている。
そういえば反抗期の娘エイミーはどっかで見たことあるなと思ったら『ミズ・マーベル』(2022)でカマラの最初イキってたけど仲間になった同級生ゾーイ役を演じてた子だった。SNSとか見たら本人は良い子みたいだけど意地悪そうな顔立ちの金髪白人がために、どうも意地悪だったり反抗期だったりする役を振られてる印象。
一家が越してきてすぐ、作業員が修道院の壁の向こうに開かずの間のようなものを発見し、よく見ようとライターを点けたら壁の中にガスが溜まっていたようで小規模な爆発が起きてしまう。作業員達は「この建物は危険すぎる!」と逃げ出してしまう。
壁が壊れて封じられていた悪魔が飛び出したのか、その夜ヘンリーに悪魔が取り憑いた。
一年間、口を聞いていなかったヘンリーが口汚く罵倒し、自らの身体を自傷する。腹には「Hate(憎悪)」の文字になった傷がある。ママと姉はヘンリーを様々な病院に連れて行くが原因不明。
……というエクソシストものの教科書通りの展開で進んでいく。
そこで現地に居たトマース神父がヴァチカンに連絡し、ローマ教皇が「これはヤバい!」と感じてガブリエーラ神父を派遣する。
ローマ教皇はガブリエーラ神父同様に悪魔祓いに長けている数少ない神父らしい。だから悪魔を信じていない他の神父派閥は最近身体が弱ってきた教皇が死ぬのを臨んでるみたい。このローマ教皇役はマカロニ・ウエスタンのスターだったフランコ・ネロローマ教皇なのに異様に男らしく強そうなので「これはラッセル・クロウ演じるガブリエーラ神父の先輩って感じだわ」とわかる。あと、この二人に親しい黒人神父も仲間っぽい。
さっそくヘンリーの悪魔憑きで疲労困憊してる母と姉とトマース神父が待つ廃修道院にやってきた神父。ここ数年異常にデカくなった大柄ラッセル・クロウが小さいベスパっぽいバイクにちょこんと跨って走る姿は、確かにキャッチー。
ヘンリー少年と対面した神父だが、ヘンリーは神父の名前も過去のトラウマも知っていた。聖なる印鑑みたいな?よくわからん聖遺物をヘンリーの眼の前で左右に振ると、ヘンリーの黒目を残したまま悪魔の黄色い目がスーッと動いて黒目が4つになるシーン。僕が本作で一番よかったのはここでした(検索したら画像が落ちてたから今回のトップ画像にした)。
「本物の悪魔や!しかも……つ、強い」と、神父は一旦退却する。
悪魔を倒すには、悪魔の目的や弱点、悪魔の名前などがわかっていないと祓えないらしい。
二回目も、トマース神父のトラウマを弄られて激昂したトマース神父が、悪魔inヘンリーの首を締め始めたので強制終了。最強の祓魔師ガブリエーラ神父の二連敗だ。

 


その後、神父二人は修道院を調査して井戸から地下に降りるとカタコンベ(死者を弔うため使われた洞窟)を発見し、ヴァチカンの紋章が刻まれてるので壁をブチ破ると秘密の隠し部屋があった。
過去にヴァチカンから派遣された神父が悪魔に取り憑かれ、そしてヴァチカンの黒歴史ともいえる異端審問を行い、過去の神父は悪魔を封じるために己もろともにこの地下の秘密の部屋に悪魔を封じたこと、そして現在ヘンリーに取り憑いた悪魔の真名も明らかになる。
材料が揃った二人の神父は、ヘンリーに取り憑いた悪魔と三度目の対決をする。

そういう感じで基本的な流れは、つい先日亡くなったウィリアム・フリードキンの大ヒット映画『エクソシスト』(1973)と驚くほど同じ流れだった。
無垢な子供が悪魔憑きとなり病院たらい回し→二人の神父と闘う→神父が己の中に悪魔を呼び込んで何とかしようとする……という流れ。
まぁガブリエーレ神父本人の著作の映画だからそうならざるを得なかったんだろうけど。「ヴァチカンの悪魔祓いには極僅かに真実もあった」という体なので悪魔の性質とかも今までのものと共通している。
「悪魔はジョークが嫌い」っていうのが意外だったね。むしろ神父達がジョーク苦手かと思ってた。悪魔憑きとなった悪魔の攻撃の殆どは神父を揺さぶるための舌戦だから、神父が自由にトークしたら悪魔もイラッとするって事か。
悪魔憑きとなった悪魔は、大の大人を念動力で投げ飛ばしたりするものの、ベッドに自分を縛る縄とかは全然切れないのは不思議だ。
対峙した人のトラウマや恐怖を操ろうとする事も含めて、悪魔っていうのは悪魔憑きになった当人や周囲の恐怖した人間の心の中に居るって事なんだろうね。
本作のアバンでもあった「精神疾患」それを伝説化してヴァチカンの威光を強めようとしたのかなと少し思った。
オカルトは好きだから「実は本物の悪魔も僅かに居た!」と言われたら出来るだけ前のめりに信じる姿勢だけどね(楽しいから)。
だが、あくまでもエンターテイメントの範囲内での話。陰謀論者とか教信者とかマルチ商法の人らみたいになったら終わりだからな。
本作の場合「数少ない本物の悪魔祓い」という設定だから、もっと強くても良い気がするけどね。映画的に地味だから。逆に「正しい工程の悪魔祓い映画」が良いならば本作でやった神父 vs.悪魔という光と闇の究極の……しかし地味な戦いという意味では『エクソシスト』(1973)で全部やってるし映画的に全てにおいて『エクソシスト』(1973)の方が上だもんね。
期待してたガブリエーラ神父とトマース神父のキャラも想像より薄かったしね。
正直、ラッセル・クロウの大柄化は好きなんだけど(若いイケメンの時より魅力ある)、もっと今回の悪魔が死霊とかゾンビを呼び起こしてラッセル・クロウが神聖ラリアットとかでスクリュー聖バイルドライバーとかでブッ殺しまくる内容で良かった気がするんだよね。何を一時間半も少年に取り憑いた悪魔と正式に戦っとんねん。別にその「正式な悪魔祓いが退屈」って言ってるんじゃないからね。それなら『エクソシスト』(1973)で全部やってるし上だから無駄だって言ってるのよ。「原作者が偉くて恐れ多いから脚色しにくい」って言うなら、神父達やヘンリーのママや姉の人間ドラマを深掘りするとかね?つまり中途半端でしたね。悪魔が呼び出した悪霊を神父達がブッ殺して「はっ!今のは幻覚だった!?」それなら原作を変えすぎたことにならんし行けるじゃない。
それと「異端審問はヴァチカンのせいじゃなくて取り憑いてた悪魔の仕業でした」っていう責任転嫁はムカつきました。
真面目に誠実に作ってあるし好感は持てるが正直、あんまり面白くなかったですね。100点満点中51点くらいの感じ?実話を元にしながら創作した展開しまくった『死霊館』(2013)シリーズみたいにもっと原作にない無茶苦茶な悪魔との戦いを作っても良かった気がする。怖さとか恐ろしさも皆無だし人間ドラマやキャラも薄いしね。ただ感じの良い人達が真面目に作ったんだろうなぁという誠実さを感じるとこくらいでしたね。
PのXのPost(旧Twitterの旧ツイート)宣伝の方が本作やラッセル・クロウより面白かったですね。というかあのPが映画撮ればよくね?

近年の(ってほど最近じゃないけど)エクソシスト映画だと『ドクター・ストレンジ』(2016)の監督が撮った『NY心霊捜査官』(2014)が面白くてオススメです。

 

 

 

 

そんな感じでした

〈ジュリアス・エイヴァリー監督作〉
『サマリタン』(2022)/ただでさえ強いスタローンが怪力&不死身の元スーパーヒーロー役なのでデバフかけるのが大変そうだった🔨 - gock221B

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The Pope's Exorcist (2023) - IMDb
www.youtube.com

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