原題:Rogue One: A Star Wars Story
監督:ギャレス・エドワーズ (追加監督:トニー・ギルロイ)
製作国:アメリカ 上映時間:134分
シリーズ:「スターウォーズ」スピンオフ・シリーズ。「スターウォーズ」シリーズ
「スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望(1977)」で、レイア姫がR2-D2に託した「デス・スター設計図は如何にして入手したのか?」という事を、EP4冒頭の10分前まで描いたスター・ウォーズ外伝。
※追記:公開からしばらく経ってネタバレ込みの感想を付け加えた。
公開までに紆余曲折あって監督が代わって公開された。最初に起用されたSWファンのギャレス監督は「戦争映画としてのSW」といった感じの映像を膨大に撮りまくったが収拾が付かなくなり、ベテランのトニー・ギルロイに交代。トニー・ギルロイはSWに全く興味なかったが職人的にまとめあげた結果、SWファンが大喜びした本作が出来た。特に人気の高い後半のスカリフ戦やベイダー無双などはギルロイ監督によるもの‥という事は後からわかった。
STORY
〈シス〉と銀河帝国によって銀河の守り手ジェダイ・オーダーが壊滅させられて19年が経った。
ターキン総督やダース・ベイダー擁する帝国軍は宇宙を支配していた。
そして星すら滅してしまう帝国の究極破壊兵器〈デス・スター〉が遂に完成し、その圧倒的な破壊力の前に銀河全体が恐怖によって完全に支配されようとしていた。
両親を失い、一人で生き抜いてきた女性アウトロー、ジン・アーソ(フェリシティ・ジョーンズ)。
ある日、彼女は反乱軍の将校キャシアン・アンドーから、幼い時、帝国軍に連れて行かれた父ゲイレン・アーソ(マッツ・ミケルセン)がデス・スターの設計に関わっている事を知らされる。
ジンは真相を突き止めるべく、ならず者だけで構成された反乱軍の極秘チーム〈ローグ・ワン〉の中心人物となり〈デス・スターの設計図〉を盗み出すという過酷なミッションに身を投じていく――…
冒頭、ジャーン!という例の曲と共に「STAR WARS」のロゴが出たりオープニング・クロール(宇宙の彼方に飛んでいくあらすじ)はない。
そしていつもはスター・デストロイヤー等の巨大スペースシップのドアップで始まるところだが、今回は何か違うものが‥カメラが引くとアステロイドベルトだという事がわかる。宇宙船ではなく自然物だった。
これらは「本作は外伝なので、本筋とは少し違います」ということか。
主人公ジン・アーソの少女時代。
辺境の惑星で隠れ住んでいた元・帝国の科学者、父ゲイレン・アーソは、帝国の将校オーソン・クレニックに連れ去られ母は殺される。
何とか一人逃げ出したジンは、両親の友人ソウ(フォレスト・ウィテカー)に保護される。
10数年の時が経ち、成長したジンはアウトローとなり砂の惑星ジェダの刑務所にいた。
反乱軍の将校キャシアン・アンドーに開放され、反乱軍指導者モン・モスマさんを始めとする反乱軍上層部に「デス・スターを設計した父ゲイレンを探しに行く」という任務を命じられる。断ればブタ箱に逆戻りなので選択の余地はない。
このキャシアン、今までのSWヒーローとは違い任務のためには自らの手を汚すことも厭わないスパイだという事が強調される。
一方、両親を失ったジンを一時的に匿っていた育ての親ソウの元には、ゲイレンから伝言を頼まれたという帝国のパイロット、ボーディ・ルックが帝国を裏切って会いに来ていた。
過激派のソウは反乱軍と折り合いがつかなくなり独自にゲリラ活動をしている。
そんなこんなで本作の反乱軍は綺麗な一枚岩組織ではなく割とギスギスした組織である事が強調される。
猜疑心の強いソウは、ボーディを信じず「これで本当の事がわかる。少し腑抜けになるが‥」と言いながら、エロ同人みたいなクリーチャーによる触手で襲われるボーディ。
次にボーディが出てきた時には、レイプ目で呆然として牢屋にいた。
何があったん!?
「自白はするが腑抜けになる」ってどういう事?自白剤じゃだめだったん?何でこんなエロ触手モンスターを出す必要があった?
というか、この辺りの展開はジンが後のローグ・ワンとなる、はぐれ戦士たちと知り合って一つになっていく展開の背景なのだが「何やってるんだ?」といった感じで全部要らない場面に見える。とりあえずソウがパイロットを疑ってエロ触手で拷問するくだりは要らなさすぎる。
ひょっとして本作の中でクリーチャーを出す場面が他にないからここで無理矢理クリーチャー出したのかもしれん。
そもそも大事な実の父親キャラはちゃんといるんだから育ての親設定は要らんだろ。
ジン達は、街で起きた騒ぎの中でジェダの寺院を守っている男たち、チアムート(ドニー・イェン)&ベイズの用心棒コンビと知り合う。
ジンはソウと再会。ソウはボーディが持ってきた父ゲイレンのホログラムを起動。
「自分はわざと帝国に従うフリを10数年間して、デススターを作らされた。そして密かにデススターに弱点を設定した」と言い、ジンへの変わらぬ愛を語るゲイレン。
ジンはわなわなと震えだし瞳がうるみ、その父の言葉で覚醒する。
この辺は「フォースの覚醒」のメインキャラ同様、一発で自分の使命を解して覚醒、即行動に移るスピーディさが気持ちよかった。
「あっさり心構えが変わりすぎ」という意見もありそうだが、父を失ってジンの中で止まっていた時間(人生)が、父の言葉で瞬時に動き出しても何もおかしくない。
しかし次の瞬間、デススターのテスト射撃が、この惑星ジェダに放たれた。
命からがら逃げ出したジンたち。足が不自由なソウはジェダと運命を共にした。
そもそも、このフォレスト・ウィテカーのキャラ要らないよね。きっと立派な人物だったり、ジンを育てた物語があったのかもしれんが、それを知ることは一切ないのでソウが死んでも特に何とも思わなかった。
こうしてジン、キャシアン、K-2SO、チアムート&ベイズ、ボーディ達はチームとなった。
この前半は状況説明とキャラ紹介、そして「七人の侍」的な仲間集め、ジンが覚醒して使命をやり遂げようという意志が生まれる。
七人の侍集めは大抵面白くなる展開なのだが本作の前半は正直面白くなかったな。。
ゲイレンがデス・スターに弱点を作ったことで今まで散々言われた「デススター弱すぎ」という長年の問題もフォローできた。
ジン
ジンは凄く良かった。割と空虚な主人公なんだけど、演じてるフェリシティ・ジョーンズ本人が結構、可愛いタイプの天然な女性なので、その天然さが上手いこと曇りなき眼や表情に現れていて、純粋な戦士のように見えてくる。
何となく「6、70年代の美人」って感じの顔は時代を感じさせないし、げっ歯類のような前歯も相まって魅力を感じた。
だから観終わって劇場で売ってる彼女のフィギュアを買おうと思ったが、思いのほか顔が可愛くなかったので、やめた。
最初は信頼し合ってなかったジンとキャシアンだが、作戦を行っていく間に信頼関係が生まれ、最終局面では二人共、晴れやかさを通り越した悟りを開いたような表情になった。
エレベーターで見つめ合う彼女らのシーンは最高に良かった。
最後にキスせずにハグし合うのは良かった。恋愛感情を持つ時間はなかったが生死の狭間で、もっと一気に深く精神的に行きつくところまでところまで行ってしまったんだろうと感じた。
それにしてもクリスタルのネックレスは何か役割があるのかと思ったが無かったね。
ところで潜入時の頭でかヘルメットこども警察みたいな恰好は可愛かった。
これは詳しい方に教えていただいたところによると今回初登場の帝国地上班の制服で、背中の忍者刀みたいなのは着陸誘導灯だそうです。頭でかすぎてカワイイ
K-2SO
名前の字面を見てると何か「クソ」と読みそうになってしまうK-2SO。こいつのデザインは発表された時から好きだった。俺の好きな医療ドロイドに似てるし。
こいつは何でも思ったことを空気読まずにすぐ言ったり行動に移すというアスペ系ドロイド。しかし有能。知能も腕力も優れている。近くの席で観ていた白人はこいつが喋る度にウケていた。
また物語が進むに連れて、仲間が彼を呼ぶ時にK2→Kとどんどん略されているのが、K2への信頼が高まっているのを感じた
チアムート
盲目の達人キャラ。彼はジェダイを信じジェダイを体現しようとする。
そして相棒のベイズは真逆の合理的、物質的なものだけを信じる男だが二人は堅い友情で結ばれている。
ドニー・イェン演じるチアムートだが、盲人にも関わらず銃を持ったストームトルーパーを素手で十人くらい一気に倒してしまう。強い。
しかしあまりに強すぎたらジェダイの存在意義が揺らいでしまうので、扱いが難しい。
‥とか言いつつ、チアムートは徒手格闘だけじゃなくレーザーボウガン一丁でタイ・ファイターを撃墜したりしてとんでもない強さだった。
更に近くに立ってる知らない奴の思考まで読んだりして、こいつはどう考えても周囲や大気のフォースをある程度感知してるとしか思えない。
というかドニー・イェンの凄い奴オーラが強すぎてジェダイじゃないにも関わらず並のジェダイより強く見える。もう独学でフォースを扱えてもいいんじゃないかと思えてくる。
最後のフォース歩きの時、実は彼に最後だけ本物のフォースが備わって、彼の杖にはカイバークリスタルが仕込まれているらしいし敵のレーザーを本当に1発だけ弾き返すのとか期待したがそういう事はなかった。
あのフォース歩きは「フォースを信じる彼の歩みがブラスターを寄せ付けず、当たらなくなってるのか?」と思わせる演出なのかな。
ボスキャラのクレニックは中間管理職的立場で、最強ターキン提督や、その部下のベイダー卿などに抑えつけられている。かなり可哀想な立場。
ジン達が命がけで入手したデス・スターの情報だが、反乱軍上層部は恐れや疑いでもって信じないし帝国に楯突いて粛清される事を恐れて誰も乗らない。
だが、キャシアン達や反乱軍のはぐれ者達が集まり、はぐれ者チーム「ローグ・ワン」を名乗る。
ローグ・ワンは独自にデス・スター設計図を盗みに行く。
その闘いに呼応した反乱軍も加勢して闘いの規模は拡大し最終決戦になだれ込む。
幹部で、真っ先に闘いに身を投じたラダス提督は異常にカッコよかった。
終盤、ジンとキャシアンによる設計図奪取。仲間や反乱軍のスカリフの闘いは凄く良かった。前半つまんなかったので余計に面白く感じた。
ジンを始めとするはぐれもの達ローグ・ワン。彼らの(本当の)人生は映画の中盤から始まり終盤近くに花火のように終わる。
そんな展開は誰でも観る前からわかってた事ではあるが、それにしたって思いのほか悲しかった(同時に「オビワンはタトゥイーンでゴロゴロしとる場合か!」とも思った)。
とにかく面白かったが、これで前半&中盤も面白ければもっと良かったんだけど。
そんな感じでした
『オビ=ワン・ケノービ』(2022) 全6話/せっかくユアンとヘイデンを使えたのに勿体ない…と思わせられるシークエルみたいなドラマ⭐ - gock221B
⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐
Rogue One: Star Wars Story (2016) - IMDb
ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー (ShoPro Books)
- 作者: ジョディー・ハウス他,エミリオ・レイソー他,村上清幸,高貴準三
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