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「IT/イット (1990)」後編いまいちだが前編と子供達とペニーワイズは最高

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原題:IT 監督:トミー・リー・ウォーレス 原作:スティーブン・キング
製作国:アメリカ 放映時間:188分 ※TVドラマ

 

スティーブン・キングの「IT/イット」は発売された高校生の時に読み、勿論面白い事は面白かった(キングは文体自体が面白いので恐らく味噌汁の作り方を書いてるだけでも面白いと思われる)。
だがその当時愛読していた他の「ダークハーフ」「シャイニング」「ペット・セマタリー」ミザリー」ほどはピンと来なかった。
理由はわからないが恐らく「ピエロが怖い」という感覚があまりなかった事、またまだまだ若かった高校生の自分には「少年時代いいなぁ」という懐かし感覚ゼロだったからかもしれない。「中年になった子供たち」にはもっとピンと来なかったので後半は読んでなかった。だからこのドラマも観てなかった。
今思えばこの話が刺さるのは、子供か中年かのどっちかという気がする。
自分も子供の時に本作を観てピエロが怖い人になりたかった。
IT/イット」の前編にあたる子供時代編が「MAMA(2013)」のアンディ・ムスキエティ監督によって映画が製作され全米で夏に公開される。
IT - Official Teaser Trailer - YouTube  IT - MTV First Look - YouTube
この2本の予告編、俺は「画がかっけーな」と思っただけだがアメリカ本土の若者達は「こえー!こえー!」と死ぬほど怖がってるらしい。
実際に面白いかどうかは本編観ないとわからないが(「スーサイド・スクワッド」を予告観て面白い映画だと思いこんでた時を思い出す)主役のいじめられっ子グループのスタンド・バイ・ミー感が凄い。ペニーワイズはちょっとカッコよすぎて怖さが減ってしまった。
この映画版は原作の前半部分まで。子供たちが力を合わせて恐怖のピエロ、ペニーワイズと最初の対決をするところまで。これがヒットしたら後編も作られる予定。
ゾンビブームも終わり、ジェームズ・ワン一派を始めとするオカルト路線のホラーが流行ってるし更に丁度いい事に、ここ近年、アメリカ全土のみならず欧米圏で恐怖のピエロが大量発生し、その目撃談が増していて空前のピエロ恐怖症パンデミックが起きている(興味のある人は検索してみて。面白いよ)。これは間違いなくヒットするだろう。
※追記:大ヒットして当然、後編の制作が始まりました
この新しいITの予告編がカッコよ過ぎたので本作を借りてみた。
配信やDVDなどで観ると本作は全編が三時間弱もある。
これは元々TVで前編・後編の二部構成で放送されていたものを無理にくっつけたためらしい。
だから、そもそも三時間映画としての構成で作られてない。
そのせいか一気に観ると三幕構成が二回も続いてテンポ悪いし、疲れる。
だから、これから観る人は前編見て、間を開けて後編を観るのがいい

 


前編
1990年のメイン州デリーでの「スタンド・バイ・ミー」的な子供時代の回想。
少年少女は、いじめっ子達や親などそれぞれ怖いものがあったが「ルーザーズクラブ(弱虫クラブ)」というグループで団結しあってやり過ごす。
そして七人は、彼らしか見えないピエロの姿をした超自然的存在。彼らが「IT(イット)」と呼ぶペニーワイズ(ティム・カリー)と対決する。

七人のいじめられっ子「ルーザーズクラブ(弱虫クラブ)」
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ビル・デンブロウ
少年時代:吃音のいじめられっ子。弱虫クラブのリーダー
苦手なもの:ビビるとどもる事。幼い弟がペニーワイズに殺された事
大人になった後:町を出てITの事を忘れホラー作家として成功。既婚
エディー・カスプブラク
少年時代:過保護の母を持つ
喘息持ち。
苦手なもの喘息(という思い込み)。仲間以外に心を開けない
大人になった後:町を出てITの事を忘れVIP専門の送迎サービスで成功

ベン・ハンスコム
少年時代:母子家庭の太ったいじめられっ子
苦手なもの:いじめっ子。父と死別した事。ベヴの事が好きだが告白できない
大人になった後:町を出てITの事を忘れ建築家として成功。痩せてイケメンに
ベバリー・マーシュ
少女時代:紅一点の貧乏少女。通称"べヴ"
苦手なもの:暴力を振るう父親
大人になった後:町を出てITの事を忘れファッションデザイナーになったが結局、昔のDV父と同じような暴力を振るう上司と付き合っている
リッチー・トージア
少年時代:ADHDっぽい眼鏡おしゃべり少年
他の子より怖がりっぽい。素を見せるのが怖いのか耐えずふざける
大人になった後:町を出て売れっ子コメディアンとして成功
スタンリー・ユリス
少年時代:ユダヤ人少年。通称"スタン"
仲間のうち、ITとの対決で彼だけペニーワイズの内部の「光」を見てしまう
大人になった後:町を出て法律事務所経営者として成功。既婚者
マイク・ハンロン
少年時代:黒人少年。子供の時から大人になっても一貫して昔から町に起きている自動失踪事件について調べていた。
大人になった後:一人だけ町に残り質素な図書館員になった(町に残った者は社会的に成功できない代わりにITの記憶が消えずに済む)。再びITが活動を再開したので大人になったルーザーズクラブを招集する


ペニーワイズ aka "IT"
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本作の敵。ピエロの姿をした超自然的存在。鋭い牙を持つ。
古来よりデリーに30年周期で現れ、その都度事故に見せかけて子供を殺していた。
幻を見せる。物体を動かす。神出鬼没‥など超常的な能力を持っている。
捕食対象は子供、相手が恐怖を感じる物の姿に変化する。
多感で夢を持つ子供のみに見え、恐怖を与えるほどに美味になる事から様々な幻で対象を充分に脅かしたあとで食べる。
彼に遭遇して生き残っても町を出れば彼の事を忘れてしまう。
相手が恐怖を感じれば感じるほど彼は強くなるが、ペニーワイズを恐れず勇気を出して反抗されたら相手が子供だろうとあっさり倒される。
怖がれば怖がるほど手強くなり、怖がられなくとどんどん弱くなるというのが面白い。「怖いもの」や「遠回しにしている厄介事」などをキャラクター化したものか

顔がめちゃくちゃ怖い。↑の一番最初の登場シーンが一番怖い

ヘンリー・バウワーズ
弱虫クラブの子たちをいじめていた、いじめっ子グループのリーダー。
子供たちの現実世界での敵。
ペニーワイズに遭遇して、仲間が全員ペニーワイズに食われて発狂する。
イケメンだったが精神病院に入れられてる間に異常に老け込む。
弱虫クラブが結集した後、ペニーワイズに操られて弱虫クラブを殺しに来る

 



主人公達はデリーの町を出て成功して40歳過ぎの大人の男女7人。
一人だけ町から出ずにデリーに残った黒人男性マイクは少年時代に出会った悪魔「IT」aka「ペニーワイズ」の復活を知り、かつての仲間達に数十年ぶりに電話して呼び寄せる。
町を出たかつての子どもたち‥「弱虫クラブ」の記憶からは「IT」の事や子供時代の記憶は全て消えていたが、マイクからの電話で全て思い出す。
どうやらITに遭遇したまま大人になって町を出ると成功するらしい(その代わり記憶からITの事は忘れてしまう)
前編は、弱虫クラブの面々がそれぞれ思い出す計7回以上の回想シーンで成り立っている。
そして回想が繰り返される度に時制が進んでいき、前編のクライマックスで弱虫クラブは遂にペニーワイズと対決する。
団結心と挫けない心でもって酸や純銀の弾を喰らわせてペニーワイズにダメージを負わせての撃退に成功する。
と言っても別に「銀が弱点」だったわけではなく「吸血鬼や狼男は銀の銃弾に弱いからアイツにも通用するに違いない!」と考えた子どもたちの思い込みの力がダメージを与えたんだろう。
ペニーワイズを倒した時、スタンだけはペニーワイズの体内から漏れる光の中を覗いてしまう。
ペニーワイズは滅びたわけではなく休眠状態に追い込まれただけだった。
そして彼は30年周期で活動できるらしく、ちょうど皆が40歳を過ぎた現在がペニーワイズ復活の年だったのだ。
そして弱虫クラブ全員集合する前にスタンが自殺して前編は終わる。
スタンが死んだのはペニーワイズの内面の「光」を見た事を思い出したからか?
あの光がどういうものかはわからないが自殺しないと耐えられないほどバッドに入ってしまうのだから絶望してしまうものなんだろう。
前編でのペニーワイズは、子供たちが恐れているもの(怖いおじさん。いじめ。怖い親。社会の悪意。気持ち悪い虫)などの集合体に見える。
ペニーワイズは、子供たちの内面にある恐れがペニーワイズの正体で間違いないだろう。「町を出て働き始めると忘れてしまう」などは正に子供時代の記憶のようだ
子供たちは友情&勇気を出して一度は、自らの恐れを撃退しかけたわけだ。
続けて、世間でよく「前編は良かったが後編はショボい」とよく聞く後編を観た

 

後編
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ペニーワイズは、デリーに帰郷しようとする弱虫クラブのメンバーそれぞれに恐ろしい幻覚を見せデリーから追い出そうとする。
ペニーワイズもまた、かつて自分を倒した彼らの団結を恐れているのだろう。

スタンが自殺した事も知らず「弱虫クラブ」は集結。
30年ぶりに会うかつての仲間との同窓会状態でパーティする。
かつてベヴに愛の詩を匿名で送ったベン、その想いも30年ごしにベヴに届いた。
しばらく盛り上がっていたがペニーワイズが見せる恐ろしい幻を見せて現実に引き戻される。
そして発狂して精神病院に収容されていた、かつてのいじめっ子ヘンリーもペニーワイズにそそのかされ病院を脱走して仲間達を殺しに来る。
この町は少し変だ、この街自体が『IT』だ」と、デリーの異常性を語る弱虫クラブは、解散してとっととそれぞれの街に帰ろうとする。
だがビルの「このまま帰ったら一生おびえて暮らす事になる。ITを殺しに行こう
という言葉に影響され、死んだスタンとヘンリー襲撃で負傷したマイク以外の5人でペニーワイズ狩りに出かける。
弱虫クラブ5人はペニーワイズと最後の対決をするため、子供の頃にITと闘った地下通路に行く。また後でマイクが拾っておいてくれた銀の弾もまだ2発ある。

マイク以外の弱虫クラブは嫌な思い出がつまったこの町を捨て、いつも一緒に居た仲間のことも全て忘れて都会で暮らしていた。
そして数十年後に復活したITと退治せざるを得なくなる。
結局「IT」は子供の頃の恐れ以外にも、ついつい先延ばしにしたくなる厄介事の象徴なのではないか。
それは誰にでも当てはまる。人によっては学校を卒業して社会に出るのが怖い大学生だとか親の介護が怖い中年だったり面接が怖い無職とか結婚が怖い独身者とか逆に配偶者が怖い既婚者とか職場の上司が嫌いとか様々だが。
「何の悩みもない」というほどカネ持ってる大金持ちも、やがて確実に来る老いや死への恐怖、金がなくても周りの人は相手にしてくれるのかという不安などからは逃れられない。
そう思うとこの「IT」はやはりジュブナイルと中年向けホラーが合体した良いホラーだと言える。

僕は不評な後編もなかなか楽しめた。
だが観てみると不評の理由はわかった。
ペニーワイズは最後に蜘蛛の姿に変身する。「蜘蛛が怖い」なんて誰一人として言ってないのに。むしろ弱虫クラブが恐れてるのはペニーワイズそのものだろ。何でわざわざ怖くないものの姿になって出て来る?
蜘蛛の姿で出るんなら、弱虫クラブ達が蜘蛛にめちゃくちゃトラウマあるとかの前フリが必要だろ。
このオッサン(ティム・カリー)の顔が一番怖いのに
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怖くもない蜘蛛のSFXなんかに金使って勿体ない。
ペニーワイズはあっさり敗れた。何しろ彼は子供達が勇気出すだけで滅びてしまうほど弱い。ましてや自分を恐れない大人たちが束になってかかってこられたらペニーワイズに勝ち目はない。
彼らが「やっぱり町に残ってITをやっつけるぞ!」と団結した時点でペニーワイズはすでに破れていたのだ。
とはいえちょっと弱すぎるな。。
新作の「IT」ではペニーワイズをもう少し強くしてほしい。

その後、良かったのはビルが妻のリハビリのためシルバー号で突っ走るラスト。
交差点で運転手達が車外に出て夫婦を取り囲むのは、夫婦を迷惑に思ってるからなのだが、遠景になるとまるで夫婦を祝福してる人たちに見えてくるのが粋だ。
この町は腐った町なのに、まるでビル夫妻の愛や弱虫クラブの友情によって町のネガティブさを少しだけポジティブに変えたかのように見える爽やかなラストだった。
傑作ってほどではないが想像してたよりも楽しめた。
前半だけなら名作と言っていい。
特に冒頭で、女の子が洗濯物干し場でITに襲われるシーンは完璧。。

そんな感じでした

「ダーク・ハーフ(1993)」ジョージ・A・ロメロ/よかったのはSFXと雀だけだった - gock221B

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IT〈4〉 (文春文庫)

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IT〈3〉 (文春文庫)

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IT〈2〉 (文春文庫)

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IT〈1〉 (文春文庫)

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