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gock221B

映画その他の感想用ブログ(2015年開設) http://gock.flavors.me/

「IT/イット(1990)」最後のペニーワイズはイマイチだったが幼い頃の回想と現在の対比とラストシーンが良かった

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原題:IT 監督:トミー・リー・ウォーレス 放映時間:188分 ※TVドラマ

スティーブン・キングの「IT/イット」は、発売された高校生の時に読み、勿論面白い事は面白かった(キングは文体自体が面白いので恐らく味噌汁の作り方を書いてるだけでも面白くなると思われる)。
だがその当時愛読していた中で特に好きだった「ダークハーフ」「シャイニング」「ペット・セマタリー」ミザリー」ほどはピンと来なかった。
理由はわからないが、恐らく「ピエロが怖い」という感覚があまりない事、また高校生にとっては「少年時代っていいなぁ」という感覚ゼロだし「中年になった子供たち」にも全くピンと来なかったからじゃないか?だからこのドラマも観てなかった。
今思えばこの話が刺さるのは子供か中年かのどっちかという気がする。
自分も子供の時に本作を観てピエロが怖い人になりたかった。
これは、元々は前後編に分けたドラマだったらしい。
「IT/イット」の前編にあたる子供時代編が「MAMA(2013)」のアンディ・ムスキエティ監督によって映画が製作され全米で夏に公開される。
IT - Official Teaser Trailer - YouTube  IT - MTV First Look - YouTube
この2本の予告編、俺は「画がかっけーな」と思っただけだがアメリカ本土の若者達は「こえー!こえー!」と大騒ぎしているらしい。
実際に面白いかどうかは本編観ないとわからないが(「スーサイド・スクワッド」を予告観て面白い映画だと思いこんでた時を思い出す)主役のいじめられっ子グループのスタンド・バイ・ミー感と、ペニーワイズのカッコよさが凄い。
この映画版は原作の前半部分まで。子供たちが力を合わせて恐怖のピエロ、ペニーワイズと最初の対決をするところまで。これがヒットしたら後編も作られる予定。
ゾンビブームも終わり、ジェームズ・ワン一派を始めとするオカルト路線のホラーが流行ってるし更に丁度いい事に、ここ近年、アメリカ全土のみならず欧米圏で恐怖のピエロが大量発生し、その目撃談が増していて空前のピエロ恐怖症パンデミックが起きている(興味のある人は検索してみて。面白いよ)。これは間違いなくヒットするだろう。
この予告編がカッコよ過ぎたので本作を借りてみたというわけ。

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「IT/イット(1990)」感想

配信やDVDなどで観ると本作は全編が三時間弱もある。
これは元々TVで前編・後編の二部構成で放送されていたものを無理にくっつけたため。
だから、そもそも三時間映画としての構成で作られてないので一気に観ると、三幕構成が二回も続いて疲れる。
だから、これからこれ観る人は、前編見て後日‥または間を開けて後編を観るのがいい

前編
スタンド・バイ・ミー」の様な古き良きアメリカ田舎町デリーでの子供時代の回想。
少年少女は、いじめっ子達やそれぞれ怖いものがあったがグループで協力しあってやり過ごす。
そして七人は、恐怖のピエロ "IT/イット" ペニーワイズと対決する。

◆七人のいじめられっ子「弱虫クラブ」
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オブセッション=ペニーワイズに付け入られる取りつかれてる事
ビル・デンブロウ
 吃音のいじめられっ子→既婚のホラー作家。弱虫クラブのリーダー
 オブセッション:ビビるとどもる。幼い弟がペニーワイズに殺された
エディー・カスプブラク
 過保護の母を持つ
喘息持ち→VIP専門の送迎サービスで成功
 オブセッション喘息は思い込みによるもの。仲間以外に心を開けない
ベン・ハンスコム
 母子家庭のいじめられっ子デブ→スマートでダンディな売れっ子建築家
 オブセッション父と死別した事。ベヴの事が好きだった
ベバリー・マーシュ 通称"べヴ"
 DV父がいる貧乏少女→DV男と付き合ってるファッションデザイナー
 オブセッションDV父を憎んでたが大人になって父に似たカスと付き合う
リッチー・トージア
 ADHDの眼鏡おしゃべり少年→売れっ子コメディアン
 オブセッション:怖がり?。素を見せるのが怖いのか耐えずふざけている
スタンリー・ユリス "スタン"
 ユダヤ人少年→法律事務所経営者として成功。既婚者
 オブセッション:仲間のうち、一人だけITの中の”光”を見てしまう
マイク・ハンロン
 黒人少年→一人、町に残り図書館員になった。大人になった皆を招集する
 オブセッション子供の時から一貫して昔から町に起きてる事件を調べていた

◆七人の子供達の敵
ペニーワイズ aka "IT/イット"
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本作における敵。赤髪に赤い鼻というピエロの姿の悪魔。鋭い牙を持つ。
古来よりデリーに30年周期で現れ、その都度事故に見せかけては子供を襲っていた。
捕食対象は子供、相手が恐怖と感じる物の姿に変化する。
相手が恐怖を感じれば感じるほど彼は強くなる(逆に言うと相手が子供でも、子供が勇気を出しさえすれば彼は子供よりも弱くなる)
物体を動かす、幻覚を見せる、神出鬼没など超常的な能力を持ち大人には見えない。
多感で夢を持つ子供のみに見え、恐怖を与えるほどに美味になる事から様々な幻術で対象を追い詰める。
ヘンリー・バウワーズ
7人をいじめていた、いじめっ子グループのリーダー。子供たちの現実世界での敵。
ペニーワイズに遭遇して仲間が全員ペニーワイズに食われて自身も発狂し、イケメンだったのに精神病院で異常に老け込む。
6人の元子供たちが結集した後ペニーワイズに操られて元子供たちを殺しに来る

仲間が全員デリーの町を出て成功して40歳を過ぎている。
一人デリーに残り灯台守の役割をしていた黒人マイクはペニーワイズの復活を確信し、かつての仲間達「弱虫クラブ」の仲間達に数十年ぶりに電話して呼び寄せる。
仲間達はマイクからの電話を受けた瞬間に忘れていた「IT」と子供時代の事を思い出す
前編は計7回以上の回想シーンで成り立っている。
そして回想が繰り返される度に時制が進んでいき、前編のクライマックスで子供たちはペニーワイズと対決する。この構成がなかなかお洒落
詳しいことはわからないが、ITの事を忘れて町を出ると成功するらしい。

※年末か来年初頭に日本でも公開されると思われる「IT (2017)」を楽しみにしている人は、この辺で読むのをやめた方がいいかも

仲間との団結と負けない心でもって酸や純銀の弾でペニーワイズにダメージを負わせての撃退に成功する。
その際、スタンだけはペニーワイズの体内から漏れる光の中を覗いてしまう。
しかしペニーワイズは滅びたわけではなく(恐らく)彼が復活できる30年周期の今に復活。
そしてかつての仲間スタンが弱虫クラブ全員集合叶わず自殺した場面で前編は終わる。
スタンが死んだのはペニーワイズの内面を見た事を思い出したからか?
前編でのペニーワイズは、子供たちが恐れているもの(父親や社会の悪意など)の象徴のように見える。
物語的には、子供たちの内面にある恐れがペニーワイズの正体で間違いないだろう。
子供たちは友情&勇気を出して一度は、自らの恐れを撃退しかけたわけだ。
続けて、世間でよく「前編は良かったが後編はショボい」とよく聞く後編を観よう

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後編
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ペニーワイズは弱虫クラブ個別に恐ろしい幻覚を見せてデリーから引き返すように言う
という事はペニーワイズもまた、かつての子供たちの団結を恐れている。

スタンが自殺した事も知らず「弱虫クラブ」は結集する。
その夜は超久々に会う仲間達との宴会(仲間っていいもんだね)。
かつてベヴに愛の詩を匿名で送ったベン、その想いも数十年を経てベヴに届いた。
盛り上がっていたがペニーワイズが見せる恐ろしい幻影で現実に引き戻される。
精神病院に収容されていた、かつてのいじめっ子ヘンリーも、ペニーワイズにそそのかされ病院を脱走して仲間達を殺しに来る。
また「この町は少し変だ、この街自体が『IT』だ」と、話す一堂。
解散してとっととそれぞれの街に帰ろうとする弱虫クラブだったが、
ビルの「このまま帰ったら一生涯おびえて暮らす事になる。ITを殺しに行こう」
と言い、死んだスタンと負傷したマイク以外の五人でペニーワイズ狩りに出かける。
マイクが、子供時代のペニーワイズとの決戦場所から拾っておいた純銀の弾2つもまたある。
弱虫クラブの5人はペニーワイズと最後の対決をするために、子供の頃にITと闘った地下通路に行く。。

対決直前のリッチーのカミングアウトがいいアクセントになっていた。
マイク以外の弱虫クラブは、嫌な思い出がつまったこの町を捨てて仲間も全てを忘れて都会で暮らしていた。
要は、これ以上対峙したくない現実から逃げたという事になる(当然、それは逃げても構わないけど)
そして数十年後に退治せざるを得なくなる。黒沢清「叫」と似た話なのかも。
僕も似たような感じで都会に出たので、僕も弱虫クラブの一員と言えなくもない。
結局「IT」は町の悪意、自分が対峙する社会の病巣‥の他に、先延ばしにしている怖いものの象徴なのではないか。
それは誰にでも当てはまる。人によっては親の介護だったり面接怖い無職とか結婚しなきゃとか職場の上司がすげー嫌いとか人によって様々あるだろうが。
「何の悩みもない」という大金持ちが居たとしても、やがて来る死への恐怖や諦観からは逃れられない。
そう思うとこの「IT」はやはり優れたジュブナイル&中年向けホラーだと言える。

僕は不評な後編もなかなか楽しめた。
だがその理由はわかる。ペニーワイズは蜘蛛の姿で対決に臨む。
しかし「蜘蛛が怖い」なんて誰一人として言ってない。
弱虫クラブが恐れてるのはペニーワイズそのものなのに、何でわざわざ怖くないものの姿になって出て来る?
蜘蛛の姿で出るなら、弱虫クラブ達が蜘蛛にトラウマあるとかの前フリが必要だろ。
でも彼があっさりやられたのは別にいい。
何しろ彼は子供達が勇気出すだけで滅びてしまうほど弱い。
彼らが「やっぱり残ってITやっつけるぞ!」と団結した時点でペニーワイズはすでに破れていたのだ。

その後、良かったのはビルが妻のリハビリのためシルバー号で突っ走るラスト。
交差点で運転手達が車外に出て夫婦を取り囲むのは夫婦を迷惑に思ってるからなのだが、遠景になるとまるで夫婦を祝福してる人たちに見えてくるのが粋だ。
この町は腐った町なのに、まるでビル達が友情によって町のネガティブさを一時ポジティブに転換してるかのようで爽やかなラストだった。
しかし新作の「IT」ではペニーワイズをもうちょっと強くした方がいいね。
普段は実体化してないけど、子供たちが勇気を出したらやっと実体化する(でも強い)
みたいな。
洗濯物に隠れて喋らずにニヤついてるだけのアバンが一番怖かった
傑作ではないが、思ってたよりも楽しめた。でもやっぱり俺、ピエロ全然怖くないわ‥
やっぱスタンド・バイ・ミー的な子供&中年の人間ドラマがメインで、ピエロは刺し身のツマみたいなもんだね。怖さは新ITに期待しよう

そんな感じでした

gock221b.hatenablog.com━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ 

www.imdb.com

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