原題:Gerald's Game
監督&脚本:マイク・フラナガン 原作:スティーヴン・キング
放映局:Netflix 製作国:アメリカ 上映時間 103分
ロバート・ロドリゲス映画や色んな映画で妙にエロい身体をしている熟女中堅女優として活躍しているカーラ・グギーノ主演のスティーヴン・キング原作のNetflixオリジナル映画
かなりネタバレしてます
Story
マンネリの性生活を打破しようと湖畔の別荘にやってきた初老の夫ジェラルドと中年女性ジェシー(カーラ・グギーノ)の夫婦。
サディスティックなプレイでしか興奮できなくなったジェラルドは、ジェシーの両手首を手錠でベッドに固定し緊縛プレイに興じようとするが、バイアグラが効きすぎたのか行為に及ぶ前に頓死してしまうジェラルド。
人間、水無しでの生命維持は3日が限度。
周囲には誰も住んでおらず、庭師や隣人が何日後に通りかかるかわからない。
しかも腹をすかせた野犬が部屋に入ってきて死んだ夫を食い始めた。
ベッドに固定されたままのジェシーは疲労、手首の痛み、喉の渇き、恐怖に襲われ自分自身が生んだ死んだばかりの夫や自分自身の幻と言い争ったり協力しながら自分の封印していた過去を巡る。
そして夜になると、死神の幻が部屋にやってきた‥
という、あまりにもスティーブン・キングっぽすぎる話
ジェシーは映画開始5分くらいで早々にベッド貼り付け&夫死亡でこの状態になってしまう
早っ!
この状態なるの早っ
残りの時間なにするんだろう間が持たないぞとか思うが結構持つ。
ジェシーの状態。まず両手以外は自由に動かせる。
だから野犬が来ても蹴って追い返せるし、野犬はとりあえず夫の死体をちびちび食ってるのでしばらくは食われる心配なし。
手錠は柱に繋がれててある程度上には上がる。しかし高級ベッドなので柱を折ったりはできない。
ベッドの隣の机にスマホを置いてるが足を伸ばしても届かない。
ぱっと見「地力で何とかできるんじゃないの?」と思うのだがギリギリ何とかできないようになっている。
半日くらい経つと、死んだ夫が起き上がって話しかけたり自分自身が分裂して話しかけてきたりする。つまり半狂乱の中、自己との対話が行われる。
「このままだと死ぬ」「君はしょうもない絶望で、もう半日無駄にしたぞ?」「確実な死にまた一歩近づいた」「君は数日後か数週間後に犬に食われた絶望の表情を救急隊員に見られる‥」「孤独死の時に何を見るのか、何を思うのか誰も知らない‥」などとキツい叱咤激励される。人生について言っているようにも聞こえる。実際そうなんだろう。自分も「僕も孤独死の時に色々後悔するのかな」と怖くなった
また幻はアドバイスとかもする。これはジェシーの中に自発的な脱出への意思が生まれた事から来るものだろう。
そんな中ベッドの上に夫が置いた、水が入ったコップを発見し、とりあえずコップ一杯分の水分は確保できるなど小さな延命処置はある、だが何とかしてこの状態を脱しないと死んでしまうことに変わりはない。
劇中、2回くらい夜を越す。夜になると真っ暗になり巨大な男が現れる。
男は異常なほど長身で、カバンには人骨がいっぱい入っている。死神だ
ジェシーは死神に連れて行かれないよう「貴方は存在しない。幻よ」と言い続ける。
やがてジェシーは幼少期の夢を見て封印していた過去のトラウマを思い出す。
中盤は、このトラウマと向き合う作業を始める。
すごくキングっぽい話。。
トラウマとある程度向き合った後、何とかする自立心が生まれて力技でこの膠着状態から脱出する。ここは、めちゃくちゃ痛々しいので半目で見ていても血の気が引いてフラッとなった(残酷なホラーとかは幾ら観ても平気だがリアルに自分で出来そうな痛そうな描写はフラッとなる)
要するにジェシーの今までの人生は、金持ちの男と結婚して裕福な生活をしてはいたが、自分のトラウマに蓋をして自分自身を一切見つめていなかったので主体性がなく、この高級ベッドに縛り付けられた状況と全く同じ‥幼少期の頃に父とベンチに座っていた時のまま彼女の人生は一歩も進んでいなかった‥という事がわかる。
「かなり年上の少しサディスティックな性癖の夫に高級ベッドに縛り付けられ一見、抜け出せそうだが、いざ出ようとしても一歩も動けない。あるのは自分自身と数日生きられるだけのコップ一杯の水しかない。今すぐに抜け出さないと死ぬ」‥というこの状況はジェシーの人生そのものだったのだ(同時に我々の人生でもある)。
そして彼女は、自分自身と向き合う事でベッドから抜け出すことが出来た。
‥というか、ここで物語も終わりで良かった気がするのは僕だけだろうか?
ベッドを出た後、回復した後のジェシーの身の振り方とか、夜になると現れていた巨大な死神について‥などという展開が描かれるのだが、これ必要か?
自分を見つめてベッドから自力で出た時点で、ジェシーが今後の人生を自分で行きていくことは想像できるので要らないし、死神の正体とかどうでもいいだろ。
それとも、ジェシーが自分の問題を乗り越えて、絶対的な恐怖だった巨大な死神=死そのもの、も「自分の足で立って自分の人生を生き始めた後は、思ってたほど大きく見えなかった(怖くなくなった)」という事が言いたかったのかもしれない。
何個か幻を見せた後、その中の一つの死神が実は‥というのは、それはそれで一つの面白い要素だが、ジェシーのトラウマ克服のカタルシスの後では蛇足に感じるし何よりもテンポ悪い。やっぱり脱出したところで終わりでいいだろ。
脱出した後、赤い風景の中のあのベンチで少女時代の自分に微笑みかけるカットで終わればちょうど良かったんじゃないだろうか。
面白いか?と訊かれたら、まあ普通‥といった感じだが、人間誰しも棚上げしてる問題はあるので観れば自分の事について考えさせられる映画だったのではないだろうか。
自分で自分を閉じ込める版「ミザリー」とでも言うか
そんな感じでした
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