gock221B

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「アンダー・ザ・シルバーレイク (2018)」ポップカルチャー陰謀史観ミステリー。子供達をブン殴るシーン最高!🐾

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原題:Under the Silver Lake 上映時間:140分 製作国:アメリ
監督&脚本&制作:デヴィッド・ロバート・ミッチェル

 

 

不思議なテイストでヒットしたホラー映画「イット・フォローズ (2014)」の監督による不思議なサスペンス‥‥サスペンスといっていいのかな?デヴィッド・リンチ映画のような、ハリウッドを舞台にした不思議なミステリー映画。
監督は、富裕層やセレブの考えややってる事いきつく先が全くわからないので妄想したストーリーらしい。
「イット・フォローズ (2014)」の時「SEXした時点から追いかけてくる死のメタファー」としてのイット・フォローズ・ゴーストが面白かったが、それは置いといて「キャラクターが妙に個性あって、映像や小物がどれもホラー映画には不必要なくらいお洒落で目立ってるな~」と気になって「面白かったけど、ホラー映画は定形のお約束が多いからこの監督はジャンル映画じゃない方が合ってるのでは」とか思ってたのでホラーじゃない作品だったのは丁度良かった。既存の映画監督で言うとタランティーノとかウェス・アンダーソンみたいな、それの現代っ子版という印象。「イット・フォローズ」の小物といえば主人公の友だちの一人が持ってる「貝殻の形をしたスマホ?もしくは電子書籍バイス」みたいなやつが可愛かった。でも調べても市販品ではなくわざわざ作ったらしく、またその友だちも本当にただ居るだけ「主人公の友だちの一人」ってだけでしかない可愛い子で、その子のためにわざわざこんな物作るか?と思って「面白い監督だな」と、ホラー要素以外の部分が気になってました。本作でも色んなパーティ会場やクラブ、部屋の内装や小物などどれもめちゃくちゃ可愛かった。

 

 🐾

 

シルバーレイク。ロサンゼルスとハリウッドの中間に位置していて、クリエイターや流行に敏感な者が多く住みたい街の上位に挙げられる街‥日本だと恵比寿とかか?
アンドリュー・ガーフィールド演じる主人公サムは30過ぎてもフラフラしている。
めちゃくちゃ家賃高そうな物件に住んでいる。仲の良さそうなママからたまに電話がかかってくる。どうやら親は業界の人間らしく金持ちっぽい。しかしサムは家賃を滞納しており、それなのに仕事を始める雰囲気もない。女優志願の女の子が毎回違う衣装を着てきて頻繁に訪れSEXしているが恋人ではなくセフレ(ちなみに本作出てくる女の子は全員ハリウッドに行きたがってる女優志願)。特に説明はないが、サムも何かエンターテイメントに関わる仕事をしたかったが上手く行かず、都落ち寸前の無職になった感じなんだろうね。
街のあちこちには「犬を殺せ」的なメッセージが落書きされていたり、犬の迷子ビラが貼られている。だが終わりまで観た後で思い返すと「視界に入るものの中から犬に関するものばかりをサムの脳が選択し、そこばかりに焦点が合って脳の記憶フォルダに入れてただけだろう」と思った。サムが歩いてるとリス的な小動物が落ちてきて内臓がはみ出て息も絶え絶えだ。本作への期待度が高まる。
ある日サムは双眼鏡で隣人の熟女ヌードを見てると、違う部屋に犬を連れた美人が住んでるのを見つける。演じてるのは「ローガン・ラッキー」にも出てたプレスリーの孫娘の女優。
サムは翌日、彼女が飼っている犬に(何故か持っていた)犬の餌をあげて彼女‥サラと仲良くなる。美人なだけでなくウィットに飛んで凄く楽しそう。サラに一目惚れするサム。恋愛対象として惚れたと言うよりも「俺の虚無的な日々も、キラキラしてる彼女と付き合えば輝く日々になるかも‥」という感じだと俺は思った。しかしサラは翌日、部屋を引き払ってしまう。
たまたまだが自分がサムくらいの年齢の時にそのままサラという名のミステリアスな美人に出会ってサムみたいな感じで追いかけたことあるので「わかる」と思った(最近このくだり多いが全部ほんと)。というかガーフィールドのような長身イケメンである事を除いては、サムに色々と共感できるので(主に悪いところばかり)サムに感情移入するのは容易だった。
その日からサムによる彼女の行方探しが始まる。
サラの部屋に描かれていた謎の記号。そして彼女部屋の残り物を持って帰った女。手がかりはこれだけなのでサムはとりあえず女の後を追う‥。
サムは元々、アメリカによくいる「ポップカルチャーや製品に隠された暗号を見つけ出して『アメリカに隠された陰謀』を解き明かす」というポップカルチャー陰謀論者だったので陰謀論に絡めてサラ探しに没頭する。
具体的に言うと、TVに出てる出演者が右を何度向くか全部数えたり、雑誌や食料品の成分表示などから「秘密結社によって隠された暗号を見つけ出せる」と思ってる人。そして「上流階級やセレブの者たちはそういった暗号のやり取りによって自分たちしかわからない情報共有をしている」と思っている人たち。そういう人はアメリカに大勢いる。たとえば「ルーム237 (2012)」というドキュメンタリー映画は「シャイニング」をむちゃくちゃな観方をしてありもしない隠された暗号を探すサイコウォーリアー(キチゲェ)ばかりを集めた映画だった、こういうと面白そうに聞こえるかも知れないが丸っきりサイコウォーリアーの人の発言だけ集めたものというのは「風の音だけ集めたCD」と大差ないので実際観たら全然面白くなかった。
話を戻すがサムは、まぁ妄想癖が強い人とキチゲェの中間にいる人。このまま頭のおかしいサイコ・ウォーリアーになって真っ白い部屋に入れられてしまうのか、それとも健常者に戻って就職して結婚するか、まだどちらでも選べる状態にいる人。
サムはサラと談笑しただけだし、一目惚れしたとも僕は思ってないし「仕事や家賃の事は考えたくないが、やりたい事もないし今はサラ探しに没頭しよう」と思ってそうしてると俺は思った。

 

 


サムはサラの家から出てきた女を追って、セレブが開く色んなパーティで聞き込みしたり、友だちとダラダラしたり、シルバーレイクについての陰謀論のジン(同人誌)の作者に会ったりして調査を進める。
「イット・フォローズ」を観ていた時に感じた「面白いけど、この映画、ホラー場面じゃない時の方が面白いのでは‥」と感じた予感が当たった感じで面白い。
ちなみにジンの作者は「マルホランド・ドライブ」で「ファミレスの裏に住む地獄みたいな顔をしたホームレスを見て即死する男」役の俳優。新しい「ツインピークス (2017)」にも出てたし、監督はきっとリンチ作品観てキャスティングしたんだろう。
ある夜、サムの車が傷つけられていた(チンコの形の傷が大きく刻まれていた)。ふと見ると小学生くらいの悪ガキ数人が違う車にも小便かけていた。なんつー悪ガキだ!
サムはどうするのかと観てたら、サムの中で獣が目覚めた!いきなり小学生を全力でブン殴った!BOOM!(ブーン)。ガキ「ぐほおおおおお!」。ガキは地面に転がった。釣り上げられた魚のように。後は息ができなくなって死ぬのを待つだけだ。だがまだサムの怒りは収まらない。
間髪入れずサムは悪ガキにマウント・ポジションを取りスーパーで買った生卵をガキの口に突っ込む!サム「これでも喰らえ!」
この映画、最高!
「おいオッサン何するんや!」と仲間を助けに来た悪ガキ小学生、サムはそいつにもボディ・ブロー!BOOM!(ブーン)。ガキ「ぐふうう!」二人目のガキも哀れ、屠殺された豚のように地面に横たわった。泣きわめく悪ガキ達。地獄絵図。生き残ったガキは逃走!
サム‥完全勝利。お前がナンバーワンだ。
こっちは身長180cmくらいある成人男性、相手はか弱い悪ガキ小学生‥、普通なら親を呼び出すか、いきなり警察を呼ぶかの楽しい二択を選ぶところだがサムは隠された三択目を選んだ。子供?当然ボコボコでしょう!むしろ子供を殴らないで一体誰をぶん殴るんだ?大人の男なんて怖いし殴るわけがねえ!
まさかサムが突然、子供に比類なき無慈悲な暴力をチルドレンに対して振るうとは思ってなかったので一気にテンションMAXになり、冒頭から楽しく観てたが更に本作に期待持てるようになり本腰入れて観る構えになった(その構えになってない時と俺の心境以外何ひとつ変わってないが)。
‥と書くと今のSNS的では「子供が暴力振るわれる場面が好きなんですか?!」とソーシャルジャスティスウォーリアーに突っ込まれがちだ(あと映画あんまり観てない人とか?)勿論そんなわけはないし後で何も悪い事してないサムが女の子にボコボコにされるシーンも最高なのだが、そういう事を言ってくる人に一体何故この場面が良いか説明するのは難しいし面倒くさいのでいっそ説明しないことにする。というか実際に文句言われてないうちから言われた時の事を考えて自粛していったらアホになっていくのでそもそも最初から気にするのはやめよう。
さっきも言ったが、サムがサラの部屋から出てきた女をパーティで見つけ、女子トイレで問い詰めるといきなり金的されて今度はサムが屠殺された豚のように床に転がってると、入ってきた女達に犬の吠え真似される場面や、サムが突然スカンクにションベンかけられてサムが終盤までずっと他人にクサがられ続ける様なども似たテンションで最高だった。突発的な暴力が思いもよらないタイミングで挟み込まれるし、そもそも暴力のセンスがめっちゃ良い。僕は中原昌也氏の小説が大好きなんだが、中原作品に出てくる暴力に似てるなと思った。

 

 


パーティでサムは、バンドのLIVEに誘われるのだが、そのチケットが「クッキー、しかも食べちゃダメ、入場時に食べる」というのが凄くお洒落だし可愛いしこの監督っぽくてよかった。
LIVEに行ったサムはエントランスでクッキーを食べる様に言われて全部食う。
中では、先日のパーティで見かけたバルーン・ガールと共に地下にあるクラブ(このクラブもめちゃくちゃ行きたくなる感じ)で踊る。凄く楽しそう。だがエントランスで食ったクッキーにはドラッグが入ってて、知らずに全部食ったサムは具合悪くなり、翌朝クラブの前のハリウッド墓場で目覚める。凄くクラブで起こりそうな楽しい失敗談だ。ところでこのハリウッド墓場も本当にシルバーレイクにあるらしい。
サムは、そこでGETしたバンドのレコードの謎を解き明かすとホームレスの王様と出会い、賞品として防空壕みたいなところに連れてかれる。出口から出るとスーパーマーケットの冷蔵庫?的なところで、サムはとりあえず無表情でミルクを飲む‥って場面も「サムは今一体どういう気持なんだろ」ってくだりも楽しかった。
サムは何か起こると「おぉ‥」と一応は驚くのだが、驚きすぎず何とか速やかに対応するので観てて面白い。人生全体としては迷ってる青年なんだが全然ウジウジしてないカラッとしてる感じなので観てて不快にならない。
そのまた翌日サムは「何故レコードにこんな暗号を入れたのか?」ということをバンドのリーダーから聞き出すためにバンドのパーティに行き、バンドのリーダーがウンコしてる時にトイレを強襲!フルチンのリーダーをボコボコにして聞き出す!
というか普通に会話して訊くのかと思ってたのに突然サムの中の獣が目を覚ましスーパー暴力が吹き荒れたので驚いた。しかもウンコしていたリーダーを便器から引き離した後に「便器にひり出された長めのウンコ」を2秒間くらいしっかり映すのが面白かった。そんなにじっくり不必要なウンコを映すとは‥(そしてウンコや便器をこしらえた美術スタッフの気持ち)。

 

 


そんなサムの冒険や調査の結果、幾つかの真実にたどり着く。
こういった関係妄想みたいな思い込みが出てくる映画は「全部間違いだった」という結果に落ち着きがちなので本作の「むしろサムの妄想は全部本当だった!」という結論こそが本作のツイストだった。
だが本作は「現実の描写と、主人公の妄想が全部同じトーンで描かれてる」映画だし、実際のところサムが本編で出くわす信じられない真実や出来事は全部サムの妄想だろう。
そしてサムが終盤、自分を囚えたホームレスの王に語る「別れた彼女と犬の餌」の話が、それまでの全編ずっと夢の世界でボンヤリしてたサムじゃなくて急にリアルな感じで喋ってたので「ああ、サムが無職でTVばっか見て陰謀論を妄想してたのも、ちょっと知り合ったサラを美女とはいえ大して好きでもないのに異常な熱意で追ってたのも、犬の餌をずっと持ち歩いてたのも全部、失恋の痛みがそうさせてたんだな」と思った。犬というキーワードがやたら劇中に出てきたのも元カノの犬にさっと餌をやれればヨリが戻るかもと思ったサムが一日中「犬‥犬‥」と思っていたからだろう。
ラストシーン、隣の熟女とファックして煙草を吸いながら「妄想のグッズでいっぱいで例の記号が書かれた狂った自部屋(あっちの世界)」に大家が突入する様を、それまでの混乱した様子のサムとは打って変わって自信有り気なクールな感じで見てたのは「昨日までの俺、キチゲェだな‥ww」という自嘲スマイルと共に、陰謀論妄想の世界を卒業したんだろう。だからハッピーエンドなのかな。
だけど正直、陰謀論の幾つかの結末、作曲家が出てくる方はまぁ良いけど、アセンション集団の方は見せない方が神秘的で良かった気もする。まぁこれも多分妄想なんだろうから良いのか‥。だけど事故を偽装した男の娘は何で殺されたんだろ?‥と思ったけどそれもサムの妄想だろうし、妄想の中でサムの「初めて抜いたPLAYBOYの表紙」のビジョンが混在しただけだろう。この「湖に沈む女」と子供ボコボコにするシーンは本当に素晴らしかったね。
もう少しわかりにくい方が好みだけど全編楽しかったし凄く楽しめました。
※というか今知ったけど「イット・フォローズ」がこの監督のデビュー作なんじゃなくて「アメリカン・スリープオーバー」っていう青春映画がそうだったらしい。しかも本作の野外上映で上映されてたのがそうみたい。そっちも観てみよう。

 

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そんな感じでした

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Under the Silver Lake (2018) - IMDb

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