gock221B

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『終わらない週末』(2023)/楽しい週末(終末)を過ごしているが月曜日(破滅)は確実に迫っている…というNetflixが何故か毎年末に配信してる陰謀論映画。オバマ夫婦が制作総指揮。最後に全部説明する事だけ欠点🦌


原題:Leave the World Behind 監督&脚本&制作:サム・エスメイル 製作総指揮&原作:ルマーン・アラム『終わらない週末』(2020) 主演&制作総指揮:ジュリア・ロバーツ 製作総指揮:バラク・オバマ&ミシェル・オバマ 制作&配信:Netflix 製作国:アメリカ 配信時間:141分 配信開始日:2023年12月8日

 

 

のんびり週末を過ごそうとした裕福な一家の豪華な別荘に謎の父娘が訪ねてきて、飛行機が墜落したり動物が荒ぶったりするゾ?

昨年末、X(元Twitter)の映画クラスタで一瞬話題になってたNetflix映画。
作家ルマーン・アラムの小説が原作。
「何かじわじわと不穏な前兆が起き始め、タンカーが浜に突っ込んできたり動物が奇妙な動きしていたり……」という陰謀論っぽいあらすじを聞いて興味が湧いてリストに入れてた。それを思い出して観た。
なんか2021年末の『ドント・ルック・アップ』(2021)とか2022年末の『ホワイト・ノイズ』(2022)とか……Netflixは毎年大晦日付近に陰謀論映画を配信して警鐘を鳴らしがちなのかもしれない。
今「陰謀論大好き!」と言うとQアノンとか反ワクとかヤマト缶とか地球平面説とかマッドフラットとか人工地震とかゴム人間とかレプティリアンとか「有吉弘行はディープステート」とか……そんな感じのヤバい人だと思われるので言わないようにしてるが陰謀論は大好きです(というか前述のそれらも全部ウォッチしてて好きだけど)。Qアノンも日本上陸する前は「おもろい話だな」と純粋に楽しんでたし。だけど世界的にガチな人が大勢現れて無邪気に楽しめなくなった(オウムの頃の流れの繰り返しか)。
これ、結構好き嫌いがぱっかり別れる映画で、ボンヤリと陰謀論的にジワジワと社会そのものが締め付けてくる陰謀論サスペンスとでも言うような作品で、近年の作品でいうと『アンダー・ザ・シルバーレイク』(2018)とか『ホワイト・ノイズ』(2022)とか好きなら面白いかも。「今こうなってるって事は◯◯な事が起きてるのかな?」とか推測しながら観れる人なら楽しめるが、そうでなければ「何かが起きそうで起きないつまらない時間が2時間以上も続いてるんだけど!?」とか怒り出す人もたまに居た。
……なんか今言ったことで感想全部書いてしまった気もするが一応話を続けよう。

ネタバレあり

 

 

 

 

のんびり週末を過ごそうと豪華な別荘を借りた裕福な一家。
主人公家族は、教授をやっているらしき父親(演:イーサン・ホーク)、広告業界で働いている神経質で他人を信じられない妻(演:ジュリア・ロバーツ)、異性に興味ある年頃の長男(演:チャーリー・エヴァンズ)と(演:ファラ・マッケンジー)、彼女はドラマ『フレンズ』(1994-2004)ザ・ホワイトハウス』(1999-2006)など90年代から2000年前半辺りにかけての、彼女にとっては古いドラマに夢中。

ちなみにこのリゾート地は海岸からNYらしき街が見えてるから、ニューヨーク近郊の小島の一つみたい(詳しくしらんけどロングなんとかアイランドとか色々あるやん)。
だが一家が到着してすぐサイバーテロが起きてスマホやインターネットが使えなくなる。別荘の周りには妙に野生の鹿や鳥が多く見られる。
一家がビーチで海水浴してると遠くにタンカーが見える。ママがウトウトして目を覚ますとタンカーが真っ直ぐビーチに突っ込もうとしている!逃げる観光客達。
これら冒頭の不思議な不気味さは「ボンヤリした巨大な何かが迫ってきて、そのままストレートに迫ってきて気づくのが遅いとそのままズン……!と圧死してしまう」という感じで、そのまま本作を表現していて良い。
その夜遅く、玄関口に見知らぬ黒人の父娘2人が姿を現す。玄関には高級車が停まっている。
父親GH(演:マハーシャラ・アリ)と、その(演:マイハラ・ヘロルド)は、洗練された身なりで強盗には見えない。
この別荘は、このGHが貸し出してる持ち家らしく「目的地に行きたいが膝が痛いので、地下室で良いから泊めて欲しい。別荘代はこの場で半額お返しします」と言う。
本当にこのGHの持ち家だったらしく金庫を開けて札束を渡す、金庫の中には銃も見える。
ただでさえネット遮断で目や耳が塞がれ不穏な前兆がボンヤリ起きてる時に、見知らぬ男女と一つ屋根の下……父イーサン・ホークは承諾しようとするが神経質で他人を信用できない母ジュリア・ロバーツはGH父娘を泊めるのを凄く嫌がる。
ジュリア・ロバーツはGHに「身分証明書を見せて」と言うが、GHは「すまない、身分証明書を忘れてきた」と言う。ジュリア・ロバーツは、ますますGHを怪しむ。
GHはずっと紳士的な低姿勢、ジュリア・ロバーツは犯罪者を見るような目でGH父娘を見ている。そんな目で見られてるせいかGH娘もまた敵意ある視線でジュリア・ロバーツを見ている。イーサン・ホークは早く寝たさそう。
イーサン・ホークは置いといて険悪なムードだ。
ジュリア・ロバーツは若干「神経質すぎる少し嫌なママ」として描かれているが、もし自分が彼女と同じ立場だったとしても夜更けにやってきた知らん人を泊めるのは嫌かも……。というか映画でこのパターンはたいてい殺人鬼だもんね。GHが犯罪者じゃない証明が何もないので落ち着かない夜を過ごすことになる。それなら「車で来たんだから、それ乗ってホテルとかに泊まればいいやん」と言いたくなるいもちもわかる。
ネタバレしてしまうとGH父娘は別に犯罪者でも何でもない善良な市民だ。「彼らは危険な存在なのか?」という疑念は翌朝くらいにはすぐ消えるし、この映画は別に訪問者が突然牙を剥いて襲いかかってくるサスペンス・ホラーじゃないので早めにネタバレした。


翌日も主人公一家とGH父娘は、野生動物が横断したり、窓にヒビが入るほどの耳をつんざくマイクロ波兵器に何度も襲われたり聞こえたり、自動運転で無人のテスラ車が何百台も道を渋滞させていたり(この現象の不気味さも素晴らしい)、 飛行機が何機も墜落したりと、次々と「この世の終わり」のような不穏な出来事に襲われる。
のんきなイーサン・ホークも無視できなくなり「どうやらアメリカが攻撃されているらしい?」という話になってくる。
GH父娘は善良な市民だが何かを知っているようだ。

 

その後も、主人公一家とGH父娘が直接に死傷する事はあまりないのだが、避暑地の外のアメリカ現実社会で不穏な出来事が起きているらしき不穏な兆候が次々と無視できなくなる。
あとジュリア・ロバーツとGHが飲んで打ち解けた後に踊ってハグした時に互いにめちゃくちゃSEXしたくなって何とか我慢したりとかあった。……知らない異性と打ち解けてハグした……、というだけならよくある事だが、ハグしたらこちらからだけでなく向こうもこちを結構いいと思ってたら、それが全て互いに伝わってしまうので、互いの引力にめちゃくちゃ引っ張られて「やばいやばい!」となり、だけど分別ある自分らがハグ解除したら二度と互いにハグしようとしないのでハグ解除したくない、だからハグしたまま「やばいやばい」「お互い配偶者がおる!やめようやばいやばい!」といった、こういう状態になるのはよくわかる。
ソファに座ったGHは「私の妻は……もう恐らく生きてはいないだろう」と泣き始める。
主人公夫婦の懐古ドラマ好きの末娘は熱狂的に楽しんでいたドラマ『フレンズ』を全部観てあとは最終回だけなのだがサイバーテロで観れないストレスが限界に近づいていた。長男は突然歯が抜ける(めちゃ怖い)。
焦った父イーサン・ホークとGHは謎の発病に罹った長男を車に乗せる。
一行は近所の常に不測の事態に備えている友人(演:ケビン・ベーコン)という妙に説明的に形容されているGHの友人の家に行く。しかしその男を銃を持って出てきた……。
ずっと険悪だったジュリア・ロバーツとGHの娘は溜まった怒りを互いに吐き出して打ち解ける。
ドラマ好きの娘は『フレンズ』最終回が観れないストレスや緊張感が限界に来て、近所にある豪邸に入っていき……

と、何かざっくりしたあらすじ大体書いちゃったけどそういう感じの話。
「道一本隔てた向こう側では世界が破滅し始めている、このままでは自分たちも滅んでしまうがどうすればいいのか……」「今は楽しい週末(終末)を過ごしているが月曜日(破滅)は確実に来てしまう……」といった感じの婉曲的な展開で2時間20分も持たせて楽しめました。演技上手いスターばっかだしドラマ好きの末娘も不安を煽る不思議な顔つきしてて(最初、『ヘレディタリー / 継承』(2018)の末娘役の子が成長したのかと思ったら違う女優だった)凄く良いムードを出していた。
最初に書いた通り、もっと具体的な面白さが次々と来ないと楽しめない人が観ても全く面白くないだろう。
欠点……というか個人的にちょっとなと思ったところは、GHとイーサン・ホークが罹患した長男を連れてケビン・ベーコン演じる常に不測の事態に備えている友人のところに行った後、GHが今何がアメリカに起こってるか、それがどういう効果を発揮してどんな結果になったかを、ジュリア・ロバーツとGH娘が見てるNYの街と交互に見せて全て語ってしまう(GHの個人的な推測だがこんなラストで語るということはこれがほぼ真実)。
こんなに台詞で一から十まで何が起きてるか種明かししてしまうと、2時間以上もこの不穏な陰謀論めいた、それでいて「本当に起きるかも?」とギリ思える絶妙な展開を楽しんでた気持ちが「あーなるほどそういうことね、それじゃ……」といった感じで完全に自分の中から本作の記憶が消えてしまう。やっぱ映画は「多分こういう事が起きてつってコト……?」とギリ推測できる宙ぶらりん状態で開放して欲しい(じゃないとつまんないから)。それと、こんなに全部なにもかも説明するなら2時間20分もかけず1時間半くらいの短めの映画でいいじゃんという気がする。こんなに長くなるならもっと曖昧でわかりにくくして欲しい。最後まで観て、最後の説明聞かなきゃわかんないような奴はこの映画2時間20分も観れず脱落するだろうから説明せんでいい。
カッチリした説明がなければ色々楽しめるのだが、これでは「シェルター買って備えよ、そんな金なければ配信サービスでドラマでも観て幸福な死でも待て」と言われてる気分になるよね。
オバマ夫妻がノリノリで製作総指揮してこれをお茶の間にお届けした」という事実もまた、陰謀論大好き気分を盛り上げて本作を1.2倍面白く感じさせてくれてたのだが、最後の説明を聞くとガチで、こういう感じで「あらゆる兆候に目を凝らして気をつけなはれや!」と親切心で言いたかったんだろうなと思った。
GHが中盤でジュリア・ロバーツと飲んでる時に「大物政治家と陰謀論ジョークを話していたが……」というくだりとか最高だった。あと本作で何度も微弱なマイクロ波兵器出てきたけど、ハバナ症候群で有名になった指向性兵器だよね?長男はそれで歯が抜けたのかな。絶対喰らいたくない攻撃だよね。銃で撃たれる方がいい。
そういう感じで大部分は面白かった。

 

 

 

 

そんな感じでした

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www.netflix.comLeave the World Behind | Rotten Tomatoes
Leave the World Behind (2023) - IMDb
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