gock221B

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『ガメラ 大怪獣空中決戦』(1995)/『ガメラ2 レギオン襲来』(1996)/『ガメラ3 邪神〈イリス〉覚醒』(1999)/今まで未見だったので一気に観て楽しめました🐢

 


怪獣特撮映画は『ゴジラ』シリーズでお馴染みの東宝の独壇場だったので旧大映が作ったのが『大怪獣ガメラ』(1965)から始まる『ガメラ』シリーズ。
僕も昭和シリーズも何作は観た気がするが幼すぎて覚えてない。しかしギャオスや包丁みたいなルックスで手裏剣?が出たりするギロンの事だけは大好きだったので少なくとも『大怪獣空中戦 ガメラ対ギャオス』(1967)と『ガメラ対大悪獣ギロン』(1969)は観たんだろうが、いかんせん内容は1mmも覚えてない)。
で、時が過ぎてこの平成三部作、僕は20歳くらいだったのでど真ん中世代なのだが、やはり怪獣に興味なくて観てなかった。だけど「今までになくリアル」と過去から現在まで評判だったので「そのうち観よう」と思いつつ28年が経過してしまったが、ある日ふと観る気が起きてやっと観た。ずいぶん時間が経ったので怪獣好きの人からすると腹立たしいかもしれないが「そのうち観よう」と28年間覚えててちゃんと観たところを評価してほしい。
何度か言ってるが僕は幼い頃から中年になるまで怪獣にあまり興味なくて全然詳しくないし怪獣映画的には薄い感想しか思い浮かばないと思うので、怪獣に全然詳しくないが映画は好きな40代の中年男性の感想だと思って読んでほしい。
三本まとめてだから短めだし。

ネタバレあり 

 

 

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ガメラ 大怪獣空中決戦』(1995)


監督:金子修介(本編)、樋口真嗣(特撮) 脚本:伊藤和典 編集:荒川鎮雄(本編)、普嶋信一(特撮) 製作総指揮:徳間康快 音楽:大谷幸 主題歌:爆風スランプ『神話』(1995) 製作会社:大映ほか 配給:東宝 製作国:日本 上映時間:95分 シリーズ:平成ガメラ3部作・第1作目、ガメラシリーズ第9作目

 

Story
日本
プルトニウム輸送船が謎の巨大漂流環礁に激突。
調査にあたった海上保安庁一等航海士・米森良成(演:伊原剛志)は環礁で古代の石板や勾玉を発見する。
一方、巨大な怪鳥の噂を聞いた鳥類学者・長峰真弓(演:中山忍)が付近の島に訪れると、調査していた恩師や島民たちは食い荒らされていた。

やがて怪鳥と呼ばれた巨大な超遺伝子獣ギャオスは日本列島に飛来し、唯一目撃した真弓はギャオス捕獲作戦を任されてしまう。
そして米森が調査した環礁は実は巨大生物ガメラだった。
米森は女子高生の草薙浅黄(演:藤谷文子)に拾った勾玉をお土産として渡す。浅黄はその勾玉を通じてガメラと心を通わせることになる。
互いに殺し合う謎の巨大生物、ガメラとギャオスの正体とは?――

みたいな話。
一言で言うと「ガメラ vs.ギャオス。ガメラは人間の味方。ガメラがんばれ」これ。
さすがに28年間未見で今観るとCGとか特撮も「一昔前だな」と感じるし割とお子様も観れる牧歌的な話ではあるが。別に今でも充分楽しめた。
特に本作の一番面白いところは「ガメラとギャオスは、超古代文明が創り出した生物兵器」これ。これによって「手足からジェットが出て空を飛んだり回転しながら飛んだり口から火球を吐き出す」という、あまりにも漫画っぽすぎるガメラを平成にそのまま出し「その荒唐無稽さは、そうデザインされた生物兵器だから」と一言で納得させるところだろう。ガメラとギャオスの解説が、2023年に本作が初見の怪獣に興味ない中年男性の僕が観ても素直に面白い。
当初は「三体のギャオスは雌だけだから増えないしデカすぎないから捕まえよーぜ」と気楽だった日本政府だったが「ギャオスは口から鋼鉄をも切断する〈超音波メス〉を発する」「ギャオスは単為繁殖が可能」「体長は15mから数日間で100mの成体へと成長する」などのとんでもない性能で、すぐに日本政府の手には負えない存在となる。
このギャオスの脅威の強さや生態も全て「ギャオスは、そうデザインされたから。そして超古代文明を滅ぼした大災厄だったから」と、これまた一言で全て納得させられてしまう。
「古代の超生物兵器」だけで納得させられたが、ダメ押しとばかりに中山忍が「今の人類の負の遺産プルトニウムも二万年くらいどうしようもない。だからギャオスみたいな兵器が健在でも不思議でもなんでもない」と言う。この台詞もシンプルに説得力ある。
あと口から発する〈超音波メス〉これカッコよすぎない?怪獣の攻撃で一番カッコいいわ。最初に檻を切断して、その鋭利過ぎる切断面が見えるのも渋いし、vs.ガメラ戦で巨大なビルの下敷きになりそうになったらルパン三世石川五右ェ門のようにスパスパスパッと斬るところも痺れた。あまり連発せず、ここぞという時にだけ吐くのも渋い。
僕が好きな数少ない怪獣……ギャオスとかギロンとか、ゴジラならラドン?刃物みたいな怪獣や怪鳥系が好きなのかも……と今、自己分析した(ウルトラマンならブルトンやプリズ魔などの顔がない無生物みたいな不思議系が好き)。
ギャオスは東京都民を貪り食ったりする悪役っぷりも怖くて良い。子供が観ることを想定してか被害者の遺体は映らないが相当な都民が殺されたのを脳内補完して震撼した。
ガメラは、「ガメラの気持ちがわかるJKこと藤谷文子と勾玉で繋がって」いたり「人類のために悪の怪獣を倒してくれる」等の要素がちょっと子供っぽいね。でも生物兵器というナイスな設定もあるしダサいとまでは思わない。
足からジェットを出して飛ぶだけならわかるが四肢からジェット出してUFOみたいに回転して飛翔するのは「一体なんのために?」という気分になるが、ここまで来ると荒唐無稽過ぎてむしろ好きだ。回転飛翔が一番ガメラの好きなところだ。
で、人間は10代の時から50歳の現在も殆ど容姿が変わっていない美少女・中山忍、そして伊原剛志が主人公ポジション。そして長崎県警察の刑事・大迫力(演:螢雪次朗)は中山忍のサイドキックのようなリアクション担当ワトソン役。
二人は、危険を顧みず日本人の命を優先して精力的に働き優れた行動を次々と選択する。子供の観客のお手本のような存在。
ただの鳥類学者である中山忍と航海士の伊原剛志が政治家や自衛隊を差し置いて、いきなりギャオス捕獲作戦のリーダーみたいなポジションになってしまうのは荒唐無稽だが「『シン・ゴジラ』(2016)における〈巨災対〉が合体して二人の男女に集約されたような存在」だと脳内補完した。
二人の足を引っ張る存在は環境庁審議官(演:本田博太郎)、といっても別に悪人ではなく、彼も良かれと思ってのことだろうが「人類の味方であるガメラを殺そうとし、人類には制御できないギャオスを捕獲」しようとして甚大な被害をもたらしてしまう。で中山忍に嫌味を言ってしまったり、自衛隊もギャオスに刃が立たないとわかると自分が殺そうとしたのにガメラを待ちわびて中山忍に怒鳴られてしまう。中山忍伊原剛志がお手本となる大人なら、彼は大人社会のダメなところを集約させたキャラだろう。
藤谷文子は……まぁガメラの気持ちがわかるJKでしかなく特筆すべきところはない。ガメラがやられると彼女のボディにも僅かに傷がフィードバックされるのは驚いたが。『機動武闘伝Gガンダム』(1994)のフィードバックシステムかい。そして全てが終わったらガメラがテレパシーで傷を治してくれる……これちょっとやりすぎじゃない?科学力があまりに凄すぎる。大した傷じゃないからこれはなくてよかった気もする。
あと単純に1995年の新宿とか人々の髪型や服装が懐かしかった。自分が20歳前後……青春真っ只中で実に色んな事があった時。だからなのか物語では大して感動的な事が起きてないのに少し泣きそうになった。懐かしい人物に再会したり故郷に帰っても何とも思わないが、映像作品で懐かしさを感じるタイプなのかも?我ながら孤独な男だと思ったが、まぁもうどうしようもないのでこのまま生かせていただく。
割とシンプルで子供っぽいストーリーや展開ではあるが、ギャオスの残虐性や描写はシビアなので「子供向け」とまでは思わなかった。
そればかりか、心も身体も服装も綺麗な中山忍や、伊原剛志藤谷文子ガメラさんが命を懸けて「正しいこと」を行い続けているので、心の中の少年が鎌首をもたげて「がんばれーっ!」と素直に思えたし、汗かいた後の水飲みや正月の卸したてのパンツのような爽やかな気持ちになった。「純白のワンピースを着ていい女性は中山忍だけかもしれんな……」そう思った。
あ、あと映画的な素晴らしさは何といっても自衛隊が破壊してしまった東京タワー、その半壊した東京タワーにヤドリギのように乗って夕陽をバックに休憩するギャオス……ここは大袈裟でなく邦画史に残る美しさだった。
28年前に観てればもっと良かったかもね?まぁ今更言っても仕方ないこと思っても無駄なので忘れて二作目に行こう。

 

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ガメラ2 レギオン襲来』(1996)

監督:金子修介(本編)、樋口真嗣(特撮) 脚本:伊藤和典 編集:荒川鎮雄(本編)、普嶋信一(特撮) 製作総指揮:徳間康快 音楽:大谷幸 主題歌:ウルフルズ『そら』(1996) 製作会社:大映 配給:東宝 製作国:日本 上映時間:99分 シリーズ:平成ガメラ3部作・第2作目、ガメラシリーズ第10作目

 

Story
前作の一年後。流星の一つが北海道に落下。陸上自衛隊二等陸佐・渡良瀬佑介(演:永島敏行)達が調査に派遣されたが隕石本体は発見できない。
科学館の学芸員穂波碧(演:水野美紀)やNTT北海道の帯津(演:吹越満)らも渡良瀬と共に謎の隕石の行方を調査する。

5日後、札幌で地下鉄で乗客を襲う異性物の群体、ビルを突き破る巨大な草体、そして巨大な宇宙怪獣ギオンなどが発生。これらが相互に協力し合って草体が種子を打ち上げて繁殖する宇宙怪獣だった。
繁殖を阻止すべくガメラが再び札幌に飛来するが――

そんな話。
今回の敵怪獣レギオンは凄い凝った設定の怪獣だった。
デカい本体っぽいレギオンと群体レギオン、草体レギオンがいる。それらを合わせて「チーム・レギオン」って感じの画期的な怪獣。
怪獣が凝ってる代わりに、物語の展開は「屈強な男性と聡明な女性が敵怪獣を調査。ガメラが一回敗北するが、ガメラの気持ちがわかる女子高生の応援もあって復活したガメラさん、そして人類の奮闘もあって敵怪獣を打倒!」といった感じで流れは同じ。
あまりに前作と同じ流れすぎるので、レギオンだけ見つめれば良い映画とも言える。
ギオン群体は2mくらいの?大きさの、甲殻類みたいな昆虫みたいな見た目の集団。こいつらが地下鉄で札幌市民虐殺する場面は印象に残った。
とはいえ自衛隊 vs.群体レギオン戦とかは「ちょっとショボくない?」と思ってしまいました。群体、着ぐるみっぽいし。とはいえ他の怪獣やガメラとかも着ぐるみっぽいんだけど、怪獣は見慣れてるから着ぐるみっぽい怪獣が出ても気にならない……いや、むしろ気ぐるみの方が「これぞ怪獣」って感じでプラスですよね。『シン・ゴジラ』(2016)とかも、わざと着ぐるみっぽい3DCGにしててそれがよかったもんね。
だからガメラ vs.デカいレギオン本体とかは全然ショボいとは思わない。壊れる札幌のビルとか車とかがミニチュアっぽく見えても、それも何とも思わない。最初から「特撮観てるぞ~」と思ってるから。でも自衛隊 vs.群体レギオンになると急にショボく見えてしまう。これは普段、滅多に特撮観てなくて洋画ばかり観てるから「人間と同サイズの怪物と闘う特撮」とかあんまり観てないから「いま特撮を観てるぞ」という心構えが消え、脳内で無意識にハリウッド映画の……たとえば『エイリアン』とか『プレデター』とかと比べてしまった。そのせいでショボく思ってしまったんだろうと思った。
だけど上のトップ画像?みたいなやつを作ってたら「群体レギオンかわいいな」と今になって思えてきた。
しかもこいつらは、あの強いガメラに群体で取り憑いてKOしてしまうほど強い。だが永島敏行に数発拳銃ごときに撃たれただけで死んでしまうのが不思議だ。
結果だけ見つめると「群体レギオンは攻撃力めちゃくちゃ強いが防御力が凄く弱い」という事になる。
巨大な植物みたいなレギオン。こいつはデカいレギオンと群体が作った酸素を吸って成長するらしい。育ち切ったら爆発して種子を宇宙空間にぶちまける……その種子は別の惑星に……以下繰り返し。そういう風に繁殖してきた宇宙怪獣らしい(だとすると、この世界のあらゆる惑星には凄い数のレギオンがいるのか?)。
種子を宇宙までぶっ飛ばす大爆発なもんだから『AKIRA』みたいな核爆発みたいな規模の爆発で、仙台が完全にクレーターみたいになってしまい、あまりに爆発力に驚いた。これは攻撃方法というより出産行動みたいなもんだが怪獣の中でも最大威力の行動じゃないのかね?
で、デカいレギオン本体はガメラの火球も受け止めるし触手とかレ-ザーとか多彩な技も数多く持ってて超強いのだが、見た目も能力も可愛げがなさすぎてあんまり興味なかった。
ガメラも最後に胸がパカっと開いてマジンガーZのブレストファイヤーみたいな凄い規模のプラズマ放射でレギオンを倒した。「え、ガメラこんな攻撃あったん?」とシンプルに驚いた。ちなみに群体はNTTの電力に集めて自衛隊のミサイルで皆殺しにした。やったぜ。
ガメラは北海道に初登場する時に「俺が来たぜ~」とばかりに例のUFOみたいにジェットで回転しながら飛来して登場するのが相変わらずカッコいい。とはいえ回転飛行以外ではやはり「ガメラの気持ちがわかるJKと繋がってる人類の味方」っていう要素が少しチャイルディッシュだし今回もまた敵のレギオンが主役って感じがした……いや、僕みたいな中年じゃなく子供が観たら素直にガメラを応援するし好きになるか。
人間キャラ、今回は中山忍の代わりに水野美紀が賢いヒロイン役で出てた。
ウイスキー隠れて飲んでる大人の女性なのに小学生の女児みたいな髪型と服装してるように見える。なんか大人の女が小学生のコスプレしてるみたいでエッチに感じた。
だが90年代の清純派女優って皆こういう女児みたいな髪型や服装だったよなと思い出した。今思うと「どんだけおとなしくさせたいねん」と思えて少し変だと改めて思った。
ガメラの気持ちわかりJKの持っていた勾玉は自壊した。

いまWikipedia見て知ったけど、次作で人類がまだ見つけていない〈マナ〉という未知のエネルギーが出てくる。ガメラやギャオスなど古代の生物兵器はマナで動いてたらしい。ガメラは超必殺技ブレストファイヤーでマナを使いすぎたらしい。勾玉が壊れたのもそれのせいだろう。

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ガメラ3 邪神〈イリス〉覚醒』(1999)

監督:金子修介(本編)、樋口真嗣(特撮) 脚本:伊藤和典金子修介 編集:荒川鎮雄(本編)、普嶋信一(特撮) 製作総指揮:徳間康快 音楽:大谷幸 主題歌:ユリアーナ・シャノー『もういちど教えてほしい』(1999) 製作会社:大映 配給:東宝 製作国:日本 上映時間:108分 シリーズ:平成ガメラ3部作・第3作目、ガメラシリーズ第11作目

 

Story
第一作目から4年後。前作から3年後の話。
1999年、鳥類学者の長峰真弓(演:中山忍)は赤道付近のジャングルでギャオス幼体の死骸を発見。一方、深海では無数のガメラの骨が見つかった。

4年前のガメラ vs.ギャオスの闘いに巻き込まれた少女、比良坂綾奈(演:前田愛)はガメラを両親の仇と考え、憎んでいた。
綾奈は山の祠でギャオス変異体〈イリス〉の幼体を見つけ密かに育てる。

渋谷に、ガメラギャオスが落下して死闘を繰り広げ、渋谷は焦土と化す――

そんな話。
第1&2作目は非常に似た構成だったが本作は全然違うしストーリーはコレが一番凝ってる。〈マナ〉とかいう概念も加わった。ガメラはマナを注ぎ込んで稼働して、ギャオスが復活したのは前作ラストのガメラの超必殺技のせいで地球上のマナが枯渇して世界中にあったギャオスの卵が孵化したせいらしい。どうやらマナはガメラとか勾玉などの「良きもの」に関わるエネルギーで、ギャオスは悪だからマナはギャオスを押さえつける役割もあったのかな?結果的に?まぁ酔って観てたから細かい設定はよく知らん。
一作目で悪のギャオスを正義のガメラが倒して人類を護ってくれた。しかしガメラは100m近い生物兵器。人が密集した土地で戦えば死傷者も出る……というか過去2作だけでも相当な人数が死んでるよね。
ガメラは人類の守護者!」という事は中山忍藤谷文子を始めとした今までの人類側の主人公たちしか知らない。今回の日本政府も「またガメラ出た!ギャオスもガメラも殺さなきゃ!」って感じだし、両親がガメラの闘いの巻き添えで死んだ一般市民の前田愛ガメラを恨みまくってる。
まぁ無理もないよね。肉親が死んだら……ましてやガメラは「自分ガメラっていいます。人類の守護者としてプログラムされたので死ぬ気で護ります。誰か死んだら正直スマン」とか、全部台詞で人類に言うわけでもないしね。最前線で目撃した主人公たちやガメラの気持ちがダイレクトにわかる藤谷文子だけが知ってただけでね。
で、間の悪い事に本作でもガメラは、僕が好きな回転飛行で渋谷に登場するが新種のギャオスとの死闘の真っ最中。ガメラに渋谷の人たちを気遣う余裕などあるわけもなく渋谷は大爆発!焦土となり多分、何千人と死んだ(……ところで、この渋谷の人達が次々と爆炎で上空に巻き上げられていくシーンがめちゃくちゃカッコいい!)。
て、事で政府が「ガメラも殺さな!」となるのも少しわかる。とはいえガメラが居なけりゃ無数のギャオスやレギオンとか今回のイリスとか倒せないわけだが。まぁ、政府としてはガメラが味方だという証拠はないし国民が大勢死んだのだからガメラ討伐の方向に少し振れてしまうのは仕方ないと言える。
そういうわけで「正義の執行者とはいえ、その足元では罪なき人が死んでいる」という僕が良く観てるヒーローものでも頻発するテーマが本作の柱だ。
ガメラの闘いに巻き込まれて両親を喪った女子中学生の前田愛ガメラを恨んでも仕方ないと言える。なんか預かって育ててくれてる田舎の親戚の家でも浮いてるし、学校でも姉弟ともども軽く虐められている。それらのストレスの矢印も全てガメラに向いても、まぁ仕方ない。だがこれが更なる大惨事を生む。
前田愛は山で見つけたイリスを育てる。前田愛の感情の影響を受けながらイリスはどんどん大きくなる。そしていつしか人々を襲うようになる。育ててくれてた親戚とか村の人々やら皆殺しにしてしまう。そしてイリスは超でっかくなる。
最終的には京都に運ばれた前田愛を追ってイリスも京都に来る。当然、人類を護るためガメラもやってくる。ガメラを憎む前田愛はイリスに取り込まれて融合され京都駅内でタイマンだ。
つまり、ギャオスは置いといて「人類を護って闘い続けるガメラ vs.ガメラが知らん間に踏み潰してしまった人類が生んだモンスター」というのが本作。
イリスの中で前田愛は自分が「村の人を良く思ってなかったから皆殺しにした」的な?事を悟る。『八つ墓村』みたいな?この辺は、あまりハッキリ描かれないが「前田愛の心の闇が深すぎて村の人達が死んだ」んだろうなぁと匂わせる。本作が終わった後、前田愛のメンタルが心配だ……だけど命がけで救いに来たボーイフレンドが居るから何とかなるんだろ。
ガメラの気持ちがわかるJK」だった藤谷文子、本作では「ガメラの気持ちがわかる女子大生」かな?彼女は前作で勾玉が自壊したため、もうガメラとシンクロは出来なくなっていたのだが本作では成長しており「繋がれる端末がなくてもガメラの気持ちがわかるし自発的に行動できる女子大生」へと進化していた。もうガメラとシンクロは出来ないがガメラの思考や行動はわかるし中山忍を命賭けで助けたり、以前のダーク版自分みたいな前田愛を説得しようともする。前作までは「『ガメラの気持ちがわかるJK』この設定こどもっぽいしダサいなぁ」と思ってたけど3作目で藤谷文子がこのように「ガメラから卒業」して進化したので結果的に良い設定だったなと思えた。まるで「強者と共に歩んで影響を受けた少女が成長し、自分だけで歩けるようになったから他者を導いていけるようになった」って感じで素直に良いなと思った。過去2作で「要らんなぁ」と密かに思っていて藤谷文子さん正直スマンかった。
中山忍は第一作観てめっちゃ好きだったが、本作でも同様の活躍。全編「自分には後ろ暗いところはない」と確信してないと着れない純白ワンピースで決めていた。だが他の人間キャラの成長が激しかったのであんまり目立ってなかった。京都駅で足を挟んでる時間が長かった。
あと「ガメラに人生を破壊された男」こと螢雪次朗のキャラは、一作目ではギャオスに遭遇して中山忍のサイドキックしてたリアクション担当警部補、二作目ではレギオンに遭遇した警備員、本作ではホームレスにまで落ちぶれていて心が傷んだ。しかし中山忍の優しさで再起して前田愛の事が好きな少年をサポートして送り届けた。螢雪次朗もまた藤谷文子同様に三作全部に出たキャラだが自信を取り戻してよかった。寒暖計のように人生が上下したキャラだった。
話は戻るがラストの京都駅構内でのガメラ vs.イリス戦!
京都駅は過去に何度も何度も……行ってたので臨場感が凄かった。
それに京都駅の特撮が凄かった。特撮の事よく知らん僕でもわかるくらいバトル・オブ・京都駅の特撮が凄い!(あと前述したが渋谷での爆炎で巻き上げられる人々の特撮もね)。
とはいえ京都駅構内に巨大怪獣2体は狭すぎ。殆ど身動きできない状態での殴り合い。人間で喩えると電話ボックスに同時に入ってるジャックハンマーとシコルスキーの殴り合いみたいな狭いバトルだ。ここ、動きが小さすぎる上にアップ過ぎて正直何してるのかマジでよくわかんなくて観てて寝そうになった(何回か顔を洗って再生を巻き戻して理解したくらいだ)。
で、「イリス事件」が一件落着した後、ラストは世界各国から進化したギャオスが日本にやってくるところ。日本政府は標準をガメラからギャオス群に向ける。
片腕が千切れたガメラは「やれやれまたかよ」といった感じで雄叫びをあげて平成ガメラ三部作は終わった。

この後、ギャオスと闘う4作目を作りたかったが資金だの何だので作れなかったらしい。だけど、この「まだまだ闘いはこれからだぜ」っていうラストカットのガメラはマジでカッコよかったのでここで終わりで良いと思う。
ジョン・カーペンター監督の『ゴースト・オブ・マーズ』(2001)が全映画の中で一番好きなんだけど、ほぼ同じ終わり方だった。僕の好きな映画の終わり方は数パターンあるけど、その一つがこの「闘いはこれからだぜ!」エンドなんです。

 

🐢そういう感じで見よう見ようと思いつつ28年放置してた平成ガメラ三部作、割と楽しめました。
中でも僕が特に好きだったのは、ガメラの回転飛行!ギャオスの超音波メス!純白の服を着た潔白かつ正しすぎる中山忍!!90年代の風景やファッションや物品!!強いのか弱いのかよくわからんレギオン群体。水野美紀の小学生女子みたいな服装。渋谷で死ぬ大勢の都民!!京都駅構内の凄い特撮!勾玉が壊れてガメラとシンクロできなくなったがもう勾玉なんてなくてもガメラの気持ちが全てわかるように成長した藤谷文子!ラストカットの片腕ガメラ!!
そんな感じでしたわ。
三作の好きな順番は1>3>2かな。それぞれ個別の良いところ前提だけどね。
「どれか一本だけ選べ!」と問われたら『ガメラ 大怪獣空中決戦』(1995)かな?
90年代の風景、マジでぐっと来るから他にも90年代邦画観てみよ。

 

 

 

そんな感じでした

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