gock221B

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『Ultraman:Rising』(2024)/全編の殆どが子育てや父との和解といったファミリードラマで、人類の兵器がウルトラマンより強くて悪い怪獣は一体も出てこないので「ウルトラマン」でこれをやる意味が希薄👶


監督&脚本:シャノン・ティンドル 共同監督:ジョン・アオシマ 脚本:マーク・ヘイムズ CGアニメーション制作:インダストリアル・ライト&マジック(ILM) 製作:トム・ノット、リサ・M・プール 製作総指揮:塚越隆行、隠田雅浩、南谷佳 原作:円谷プロダクション 製作&配信:Netflix 製作国:アメリカ、日本 配信時間:121分 配信開始日:2024/06/14

 

近年、ウルトラマンが海外進出を始めてMARVELがアメコミを出版したりしてるが、これはMARVELスタジオ製作じゃないんだね。
このアニメは、ポスターとか予告編の時点で「ウルトラマンが巨大な怪獣のカワイイ赤ちゃんを育てる話」だと知って「興味ないなぁ……」と思ったが折角のアメリカのウルトラマン一発目だから観るか、タダだし……と思って四日くらいかけて観た。
監督は『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』(2016)の原案の人。
ウルトラマンは、『ウルトラマン80』(1980-1981)世代だけど再放送で観てた初代『ウルトラマン』(1966-1967)が一番好き。昭和以降のは観てない。『シン・ウルトラマン』(2022)も普通に楽しめました。

ネタバレあり

 

 

 

 

Story
メジャーリーグで活躍していたプロ野球界のスーパースター選手サトウ・ケンには、怪獣から地球を守る巨大スーパーヒーロー〈ウルトラマン〉というもうひとつの顔があった。

今までウルトラマンとして活躍していた父・サトウ教授の跡を継ぐため、日本に帰国して読売巨人に入団。試合中に強大怪獣ジャイガントロンが襲来。ケンはウルトラマンに変身して戦っていたが、ひょんなことからジャイガントロンの赤ちゃん怪獣の世話をしなければならなくなった。ケンは新米パパとして怪獣ベイビーを育てながら、行方不明の母エミコが原因で疎遠になっている父との関係と向き合っていく――

全編、舞台は日本で地名もお台場だの白金台とか、店もセブンイレブンを始めとして日本おなじみのものが出てくる。でも台詞は全員、英語を喋る。時々「ヤッター!」とか「イチ!ニ!サン!」とか掛け声だけ日本語になったりする。
ウルトラマン誕生の国ニポンに敬意をこめて……」というつもりなのだろうが『SHOGUN 将軍』(2024)みたいに全編日本語にしてほしかった。日本を舞台にしつつあらゆる要素で日本を軽視していることで現在1ヶ月間くらい毎週のように燃料が投下されて炎上し続けているゲーム『アサシン クリード シャドウズ』(2024)とかもそうだけど「この欧米の作品の日本描写、『SHOGUN 将軍』(2024)と比べて……」と、やたら『SHOGUN 将軍』(2024)と比べてアカンがる事が増えた。『SHOGUN 将軍』(2024)は日本人キャラクターがオール日本語で喋り、主演の真田広之が現場を仕切って俳優もスタッフの殆ども日本人で考証バッチリしてて話も全話面白かったから文字通り『SHOGUN 将軍』(2024)が欧米の映像フィクションにおける日本描写の全てを変えてしまったところがある。昔はそんな事ありえなかったから本作程度の日本描写でも喜んでたもんね。同じ真田広之が殺される雑魚という酷い扱いだった『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)の時も特に腹立たなかったもんね(そういうもんだと子供の時から慣れきってたので)、それをこのブログで注意されたりしても「?」とよくわかってなかったけどここ数年で色々考えさせられましたね。
本作はキッズ向けでもあるから、欧米キッズが観ることを考えたらオール日本語にはならないと思うけどね。それにしても作品が全体的に「欧米が想像した日本」感はあって「おお、これは日本だ」とはならない。欧米の映像フィクションによく出てくるNIPPONだね、別に大きく変なところはないので良いけど。

「日本人の顔」。これはよく海外の人が指で引っ張って細くする差別的ムーブがあるが、欧米人から見たら細い。これをどう描写するのかなと思ったら「普通に大きい目。しかし目の端っこがキュッと細くなってる」という目の描き方してて上手いなと思った。

登場人物は全員顔の何処かに特徴がある。ケンの友だちになる女性記者は『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』(2016)でよく見かけた、このデザイナーの中の美形アジアン顔。

キャラデザは全体的に良いと思った。
肩幅が広く下半身が極端に細いという『ONE PIECE』やアメリカのカートゥーンのキャラデザっぽいウルトラマンはネットで「ヒョロヒョロで変なデザイン」だと揶揄されてたが、動いたら別に違和感ない。ウルトラマンお馴染みのあの片手突き出してジュワ~と大きくなる変身画面や、ウルトラマンがパンチする時に頭方向からパースの効いた構図で描いた時の絵……あれをそのままデザインに落とした感じ。言ってるわかる?

で、怪獣だが、これは主人公の父ウルトラマンが活躍してた時代の回想などでゴモラネロンガが出るくらいで、本作でメインで出てくるのは「ジャイガントロン」というオリジナル怪獣。成体は西洋ドラゴンそのまんまって感じのデザインで、ケンが育てる赤ちゃんジャイガントロンは、ヒヨコみたいなデザイン。
ウルトラマンの魅力の半分は素晴らしすぎるデザインのウルトラ怪獣だと思うので、それらを全く使わず只のドラゴンみたいなしょうもないデザインの怪獣なのはマイナス要素。

 


ストーリーですが、始まったら主人公ケンの幼い時の回想。
地球を護るウルトラマンである父を尊敬しているケンは、ウルトラマンになろうかプロ野球選手になって巨人軍に入ろうか迷っている。母は阪神ファン
で、20年くらい?時が経ってケンはメジャーリーガーになっている。父の跡を継いでウルトラマン活動をするため帰国して読売巨人に入団する。
最愛の母は怪獣関係で行方不明になっているらしい(何でその場面を見せないんだろう)。「父は、母と自分をほったらかしでウルトラマン活動に夢中で、そのせいで母は死んだようなものだ」という、よくある理由でケンは父と不仲。
ケンは、父が作ったと思われる巨大基地で一人暮らししており、身の回りの世話は父が作ったであろうAIドローンがしてくれている。スーパーマンバットマンを合わせたような設定だ。
怪獣が街に出ると、ケンは変身して退治しに行くが、この世界の科特隊は自分たちが作った兵器だけで怪獣を無力化できるので、なんというかウルトラマンがあまり重要じゃないという世界観。ニュースなどでも「ウルトラマンが暴れて街が壊れた」みたいなことばかり言われておりあまり有難がられていないという松本人志の『大日本人』(2007)みたいな設定。これじゃウルトラマン居なくてもいいじゃん。
この世界の科特隊の長官は、怪獣に巻き込まれて愛娘を失ったので「あの時、助けてくれなかったウルトラマン(ケンの父)のせいで娘は死んだ」と逆恨みしている。だから「どこにあるかは謎だが怪獣達が暮らしている」という幻の〈怪獣島〉を見つけ出して怪獣を皆殺しにしようとしており、また逆恨みしているウルトラマンもどさくさに紛れて殺してやりたいと思っている本作の悪役。
怪獣島を見つけるにはジャイガントロンの赤ちゃんの音波が必要なのだが、ウルトラマン(ケン)が赤ちゃんを保護してしまった。だから赤ちゃんを奪いたい。

ジャイガントロンの赤ちゃんを保護したケン/ウルトラマンは慣れない子育てを始める。誰も友達が居ないので娘がいる女性記者に訊いたり、やがては不仲だった父とも和解。父子二代で赤ちゃん怪獣の子育てに奮闘しているうちに最初は協調性がなく尊大だったケンは人間的にも成長していき、巨人軍でもチームプレーできるようになり好成績を残す……という、この「ケンの子育て、ケンの父との和解、ケンの人間的成長」というパートが恐らく描きたかった事なのだろう、本作の殆どの時間を占める。ウルトラマンに変身しても悪い怪獣と戦ったりはせず赤ちゃん怪獣とキャッチボールとか大体そういうシーン。
別に、これがダメとは言わないしつまらないわけでもないのだが、観る前の懸念が的中して「これ、ウルトラマンでやらなきゃいけないストーリーか?」という気持ちがあった。また「つまらないわけでもないのだが」と言った舌の根の乾かぬうちにこう言うのも何だけど、この中盤パート観終えるのに四日くらいかかったから、やっぱり面白くなかったのかもしれん。
やっぱ、単純に表情が全く読み取れない神仏のような外見のウルトラマンが天才的なデザインのウルトラ怪獣をブッ殺すところが観たいし、あとはウルトラマン特有の効果音や音楽……こっちはそういうものが観たいのだが、ウルトラマンのルックス以外全部無し……ゼロだからね、こっちの観たいものが。
そのウルトラマンも、こういう感じの海外アニメなので初マンの神秘性はゼロ。そもそもケンが変身するウルトラマンは人間達や怪獣に対して喋りまくる(ピーター・パーカーのスパイダーマンっぽい)。これも好みじゃないし……。
そういえばケンの父がウルトラ・ホーク1号みたいなのに乗ってて「やっぱウルトラ・ホーク1号(みたいな戦闘機)はグッドデザインだな」と思った。
そしてウルトラ怪獣だが、ついぞ最初から最後までウルトラマンがブッ殺していいような悪い怪獣は出てこない。というかケンの父が現役ウルトラマンだった時から怪獣を保護したがってるようなこと言ってたしね。制作者は明らかに「怪獣をただブッ殺していいものか?共存の道もあるのではないか?」という意向で本作を作ってる。それはまぁ結構な事だが、そういう怪獣との共存や、怪獣赤ちゃん子育て奮闘記みたいなのってさ、普通のウルトラマンっぽい話を散々やった後に余った時間でやる事じゃないかな?物語開始直後からもう「怪獣をただ殺してもいいのか?」みたいな姿勢で始められたらどうしようもないよね。まず最初は怪獣と戦おうよ。怪獣と全く戦わず一作目の敵が科特隊かい。

で、終盤は本作の悪役である、科特隊長官と闘う。長官は私闘だとわかっているので、平和を護りたいだけの部下たちを全員逃がした上で巨大ロボに乗り込み、ウルトラマン父子&ジャイガントロン母娘という4体の巨大生物と闘う……勿論、最後は敗れるわけだけどこの4体を相手に優勢に戦えるんだから、この長官ロボが作中最強だよね?こんなロボを日本政府が作れるなら海外にも何十体もあるんだろうしウルトラマン完全に要らないよね。怪獣でなく人類を敵にしたいがあまり人類を強くし過ぎた。
片腕を怪我した父子ウルトラマンが互いの片手をクロスさせてスペシウム光線出したりと、終盤にも良いシーンはあるんだが色々と引っかかるところが多かった。
さっきも言ったように、自分はハマれなかったが話自体は割と良い話だとは思う。
しかし「これウルトラマンでやる必要ある?というかむしろウルトラマンじゃない方が良いアニメになったのでは?」と感じることが多かった。
〈子育てを通じて不仲だった父と仲直りするプロ野球選手のアニメ〉でよかったんじゃないかと思った。まぁ、それなら僕は観てなかったのでウルトラマンという要素は餌として必要だったんだろうけど。
ウルトラマンにあまり興味ないキッズ、そして子育て経験のある親御さんが観るには良いアニメかもしれない。デザインとかは良かったが……。

そういえば観ながら感想をX(元Twitter)にポストしてたんだけど僕が作中の描写に勘違いしてツッコんでたら、数分以内にシャノン監督が直々に「いや、そこはわざとそうしてるんだよ」と訂正が入り、確かに直後のシーン観たらそうだったので「僕の早とちりでした」と謝罪して和解した。
冷静に考えると、何気なく実況してたらリアタイで監督本人がそこはこうだよと言ってくれるとか、何か凄く未来を感じた。
そういった姿勢から監督の熱心さを感じた……のだが、残念ながら自分は本作のメインターゲットではなかったようだ。
デザインとかアニメーションは良かったと思うよ。
監督は違う人だったけど『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』(2016)も、ルックは良いけどパッとしなかったんだよね。あまり合わないのかも。

 

 

 

 

そんな感じでした

『シン・ウルトラマン』(2022)/オタ臭さと性的シーンが多く人を選ぶがウルトラマンのこれ以上無い程の善性や楽しい展開、好きでした✨ - gock221B

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Ultraman: Rising (2024) - IMDb
Ultraman: Rising | Rotten Tomatoes
ULTRAMAN: RISING - 映画情報・レビュー・評価・あらすじ・動画配信 | Filmarks映画

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