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『地面師たち』(2024) 全7話/Netflix特有のしつこいエログロと間抜けなラストバトル以外は概ね面白くて一気に観て楽しめた。あと池田エライザのワンレン短髪+パンツスーツはこの世で最も好きな女性のルックス🏡

監督&脚本:大根仁 原作:新庄耕『地面師たち』(2019) 音楽:石野卓球 制作&配信:Netflix 放送国:日本 配信時間:各話約54分、全7話 配信開始日:2024.7/25 英題:Tokyo Swindlers

 

 

新庄耕の小説を大根仁が映像化したNetflixドラマ。
土地の所有者に成りすまして売却をもちかけ多額の金を騙し盗る不動産詐欺〈地面師〉の犯罪を描く。2017年に実際に起きた被害額約55億円に上る「積水ハウス地面師詐欺事件」をモデルとしているそうです。
積水ハウス地面師詐欺事件 - Wikipedia

大根監督の作品は昔ドラマや映画の『モテキ』(2010)を観て、森山未來や女性キャラの魅力が際立ってたが、なんか全体的に痛々しい感じがしてハマれず、以降の作品はあまり観てなかった。
だけど9年前に電気グルーヴのドキュメンタリーを監督して、電気のファンなので観た『DENKI GROOVE THE MOVIE ? -石野卓球とピエール瀧-』(2015)、これはドキュメンタリーだし題材が題材だけに普通に良かった。
本作はTLですぐ人気が出て瀧の「もうええでしょ!」が流行った。もう時間が経って人気監督になったし一般的な題材だし普通に面白そうなので観ました。
昔、大根監督が苦手だったのと同様にNetflixジャパンが作る作品(全裸監督、サンクチュアリetc……)は「海外にウケる」「地上波で出来ないことやる」などをテーマにやっており、どれも特に必要ないのに過剰にエログロが多かったり雰囲気も全体的にギラギラしており苦手(イメージ的に三池崇史園子温の弟みたいな雰囲気)。
とはいえ出演者も観たい人ばかりだし石野卓球サウンドトラックも聴きたいので観ることにした。

「地面師」という呼称は初めて聞いたけど、普遍的で皆が知ってる単語を特殊なものに名付けるのが凄くツボなのでカッコいいと思いました(同時に、この名前はカッコいいから地面師志願者が増えて社会に悪影響ある気もした)。

ネタバレあり

 

 

 

 

土地の所有者に成りすまして売却をもちかけ多額の金を騙し盗る不動産詐欺を行う犯罪者、通称〈地面師〉。
率いる地面師集団は、東京オリンピック誘致で混乱した2017年東京で、100億円以上の「人がバンバン死ぬような」地面師詐欺を始めた――

そんな話。

全編、全体的には「過剰な演技」「なるべく声に出して台詞で説明」「社会的な事件」「繰り返されるどんでん返し」「毎話ラストのクリフハンガー」……などが繰り返されるので若干『半沢直樹』(2013-2020)や同じ制作者による『VIVANT』(2023)っぽさがあり(『半沢直樹』(2013-2020)や『VIVANT』(2023)ほど顔芸はしないが)、更にそこにNetflixジャパンっぽいエログロを加えた感じ。
「グロ」は損壊した死体や吐瀉物をモロに画面に映す下世話な感じ。
「エロ」も思い切りSEXしてるが何故か男性は皆パンツを履いたまま、女性はキャミソールを履いたままで性器や尻が露出しないように撮っている(ネトフリのレイティングに引っかからないようか?)。不動産だけなら「パンツ履いたままヤリたい趣味か?」と思われるがチンピラみたいなホスト数人も全員パンツ履いたままなので奇妙。

おかげで本作の舞台が「絶対にパンツやキャミソールを着たままSEXする男女が存在する異世界」みたいに見えてきて滑稽。こんな間抜けなSEXシーンなら、行為を映さず部屋の隅を映して声がするだけの方がマシだと思った。でもインティマシーコーディネイターはちゃんと居るそうです。

石野卓球によるサントラも素晴らしかった。卓球の曲だと一発でわかる可愛げと冷たさを同時に感じさせる曲。どことなく『アウトレイジ』シリーズ(2010)鈴木慶一によるサントラに似てると思った。

……これらの不満に思った要素を映画ファンは嫌いがちだが(僕もあまり好きではない、しかし過剰な面白さもあるのでプラマイゼロ)今の日本人にとって「最も面白いドラマ」が、それなので当然、本作も大人気となった。本作の「なるべく声に出して台詞で説明」という要素だが、本作では意図的に全く説明しない箇所がある、そういう意味では『半沢直樹』(2013-2020)や『VIVANT』(2023)より本作の方が上だ。


地面師たちのリーダー・ハリソン山中(演:豊川悦司)は元暴力団幹部でバブル期に数々の不動産詐欺を仕掛けた。ハリソンは悪の組織のようなアジトから現場の様子を中継しながら指示をしたり不測の事態にアドリブで対処したりする。
ハリソンが後継者として育てている主人公・辻本拓海交渉役。現場であらゆる想定外の事態にフレキシブルに対応したり地面師詐欺の下準備も行う。哀しい過去があり復讐を誓って地面師になった空虚な人物。
法律屋後藤義雄(演:ピエール瀧)は元司法書士の知識を活かして仲介をしたり、柔らかい物腰の拓海とは正反対に圧をかける関西弁の交渉役。瀧はいつも良いが、今回の知能犯役は特に良い。眼鏡をズラしてかけてタレ目笑顔で下品な言動する時の魅力が凄い。
手配師稲葉麗子(演:小池栄子)は、土地の所有者に成りすます偽物をキャスティングして演技指導する教育係。終始「はぁ?ウソでしょ!」「は?最低……」「は?殺すよ」といった驚いたり怒ったりするリアクション担当。小池栄子はデビューした時から割とずっと好き。彼女が殺人鬼のトヨエツと恋に落ちる映画『接吻』(2008)を観に行った時、舞台挨拶で彼女と仲村トオルが来てて実物の小池栄子めちゃくちゃ綺麗でした。
情報屋竹下(演:北村一輝)は土地や物件や地主や土地価格など総合的な情報を仕入れる、有能だがシャブ中で脳がブッ壊れかけてて物語後半を面白くする。
が、今回の正規メンバー。

サポートメンバーとして、
身分証や公的証書の完璧な偽造、ハッキングまで行うニンベン師・長井(演:染谷将太)。野良猫の保護とゲーム以外興味がない趣味人キャラ。廃墟に引きこもってることから全キャラで最も社会不適合者だと思われる。拓海と仲が良さげ。
竹下の使いっ走りで地面師に憧れる大柄のオロチ(演:アントニーマテンロウ〉)。彼は只の低能で無能で粗暴なヤカラなのだが、見た目が赤ちゃんみたいだし演技が稚拙なのも何だか全体的に可愛い。終盤、特に誰にも邪魔されてないのに自爆したシーンが面白かった。
他にはハリソンが個人的に使役して拉致や殺人を行わせる作業服を着た外国人たちがいる(彼らはキャラも台詞もなく暴力装置としての役割しか見せないので、まるでハリソンの式神のようなハリソンが伸ばした長い手の先のような描かれ方をしている)。

そして主人公・拓海(演:綾野剛)の過去を第2-3話で見せつつ、地面師たちは業界最大手の不動産企業・石洋ハウスへ対して行う100億円以上の超大型詐欺を開始する。


警視庁捜査二課の定年間近の刑事下村辰夫通称””(演:リリー・フランキー)と新人刑事・倉持玲(演:池田エライザ)の2人も地面師の動きを察知して、上司には内緒で独自に捜査を開始する。
辰役リリー氏は、悪人役も得意だが本作ではヒーローといえるほど正義を成す刑事。乾いた笑いを浮かべるシーンが渋かったです。
池田エライザは、写真からしワンレン短髪+スーツパンツという今、僕が今一番大々々々大好きな最も好きな女性のルックス、中身は気が強いが可愛げもある好ましいタイプ(……ということは自分は大根仁監督と女性の趣味が同じということ)。彼女のキャラもハードボイルド女刑事だと思ってたが登場したばかりの第1-2話はまるで学生のように可愛くはしゃいでいて好ましいのだが、刑事にしては非現実的で本作への期待が少し下がった。……というか彼女のルックスやキャラは大根仁の過去作における長澤まさみ真木よう子がやってた女性キャラと同じ。彼女らとほぼ同じキャラだと言っていい、作画が違うだけ(演じた女優が違うだけ)。大根監督はよほど、このタイプが好きなのだろう(自分もだが)。中盤からは、やる気が増して当初期待していたシリアス刑事になる。本作がピカレスク(悪役)ドラマじゃなければ、この倉持が主人公だっただろう。
そして後半では辰の紹介で情報屋・久保田昌志(演:オクイシュージ)も加勢してくれる。彼はほぼ次のカットで全てわかって教えてくれる情報面のチートキャラ。彼の演技は短時間で強烈な印象を残し、彼のルックスも少し受け口で故・中島らも、故・斎藤洋介、故・内藤陳……などを思わせる(故人ばっかだ)。

 

 

第1話では、地面師たちの各メンバーの役割や手口を見せる説明がてら、中堅の不動産企業への地面師詐欺を成功させて地面師の活躍を見せる。そして、ハリソンは他のメンバーには内緒で、成りすましに利用した老人をトラックで殺害する。ハリソンは、その惨殺を録画した映像を観ながらウイスキーを飲む……サディストの変態だとわかる。彼は金を儲ける事よりも「スリル」や「他人の死や恐怖」を感じるサイコパス系犯罪者だったのだ。……とはいえジョーカーほど行ききってなくて俗な部分もあり、トヨエツは好きだが個人的には好きなタイプの悪役ではなかった(個人的な趣味を除いて考えると普通に優れた悪役だとは思う)。
中盤、地面師たちは成りすます対象の地主を、高輪の一等地に建つ光庵寺の住職川井菜摘(演:松岡依都美)に定め、そして騙すターゲットは出世や手柄を焦っている業界最大手の不動産企業・石洋ハウスの開発事業部部長・青柳隆史(演:山本耕史)に定める。

彼はバブルの頃の猛烈サラリーマンを思わせる男根主義の男で、滅びる運命を感じさせる30~40年くらい遅れた古臭い男らしさがある。
出世を青柳と競っているライバルの同僚・須永(演:松尾諭)、彼は直感で全ての真実を言い当ててしまう能力を持っていて笑った。しかし彼はメインキャラではないので能力は誰にも拾われない。

拓海(演:綾野剛)は、ターゲットである石洋ハウスの青柳をハメる……ための材料である地主の菜摘住職……をハメるため、彼女が入れ込んでいる人気ホスト・楓(演:吉村界人)をハメて手駒にする。
青柳をハメる地面師詐欺当日に、ホスト楓が菜摘住職を沖縄旅行に連れて行く。これで麗子が用意したニセ住職に光庵寺を案内させて信用させ、契約を取ることができる。

第4話?は刑事コンビの主観になる。
第3話までは地面師目線で、弱いカス達をハメてたので痛快だったが、刑事コンビは本作で唯一、正義と善良な精神で動いてる者たちなので観ていて辛いものがあった。
リリー演じる辰がハリソンに追い込まれる場面は、非常に非情で生々しくリリーとトヨエツの演技も相まって、本作で一番優れたシーンだった。視聴者が最も応援したくなるのがリリー演じる辰だし、そんな彼がヒロイックではない惨めな描写で追い込まれるので観ていて非情に辛い!しかし、その感情の揺さぶりは素晴らしかった。

 

 

後半は、いよいよ石洋ハウスをハメる本番を行う地面師たち。地面師を直接追うのはやめて拓海の過去を追って拓海に付け入ろうとする倉持(演:池田エライザ)。狂っていく情報屋・竹下。様々に変化していく状況と焦る地面師たち。ハリソンと明らかになった彼の謎。ラストバトル……などがハイペースで描かれて終わる。あらすじ全部書くのは感想じゃないし後半は省略する。
石洋ハウスをハメて青柳を破滅させる最終話の途中までは良かったのだが、ラストバトルは異様に長い上に、ダメな邦画のラストバトルを思わせるグダグダ感が否めなかった。ひょっとしてわざとかもしれないが僕は素でグダグダだと思った。
シーズン2をやりたさすぎて、拳銃を持った2人がかかってもナイフを持ったラスボスを倒せないのはなかなか酷い……プロットアーマー(お話の都合上、絶対にやられない事が運命づけられた、その主人公補正の様な贔屓があからさまな事を揶揄した言葉)で守られとる。
というか続編小説があるので、そうなるのはわかっていたけども。もう少しこちらが納得するラストバトルにして欲しかった。
また「消された」匂わせがあった地面師メンバーも、次にシーズン2もあるだろうし退場するのは惜しい。殺される瞬間は映ってないことだし「ハリソンに脅されて辞めるのをやめて、また警察に追われないよう死を偽装した」という設定でシーズン2でちゃっかり仲間として戻ってきて欲しい。
拓海は、最後に倉持と喋ってる時に「地面師という『仕事』に夢中になってました」と語り、倉持に「あの……仕事じゃないですよ?犯罪です」と窘められていたほど地面師にハマっていたのだろうから完全に改心したわけではないと思う。

そーいう感じで、Netflixジャパンの好きな凄く見せつけるエログロ描写、そのくせ下着きたままの間抜けなSEX、グダグダして長いラストバトル……以外は概ね面白かったです。2夜で全話一気に観れたしね。
好きなキャラは……瀧とリリー・フランキーアントニー。あと池田エライザ(のルックス)。
前述した通り、なるべくメンバー復帰を希望しつつシーズン2を待ちます。
感想も長くなってきたことだし、もうええでしょ!

 

 

 

 

そんな感じでした

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