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映画の感想ブログ 😺 おしずかに‥〈Since.2015〉

「お嬢さん (2016)」悲惨で暗い物語かと思いこんで観てなかったが女が悪い男達を倒す爽やかな痛快作だった👩🏻

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原題:아가씨 英題:The Handmaden 監督&脚本&制作:パク・チャヌク 美術:リュ・ソンヒ
原作:サラ・ウォーターズ『荊の城』 製作国:韓国 上映時間:145分

 

 

前回の「クリード 炎の宿敵」以降、映画やドラマ色々観て、どれも可もなく不可もなく普通に観てたが改めて感想に書くこと特にないのでスルーしていた。
本作のパク・チャヌク監督は特別に大ファンというわけでもないが観てつまらない事は無いのでソフト化されてるものなら全部観てる。とりあえず「復讐者に憐れみを (2002)」が一番好きだった覚えがある。
本作はパク・チャヌク作にも関わらず何となく観てなかった、ボンヤリと「この儚げな〈お嬢さん〉とやらが酷い目に遭うのでは?」と勝手に思い込んでそんなの観たくないなぁと思ったからかもしれん。本作はAbemaビデオで配信してたので観てみたが、全くそんな話ではなく、むしろ痛快な話だったので観てよかった。
ウェールズの同性愛者の作家によるミステリー小説が原作。物語の舞台をヴィクトリア朝のイギリスから日本統治時代の朝鮮に変更しての映画化。センセーショナルな作風やオリエンタルな美術がカンヌほか世界各国で評価されたらしい。
今回は割と古い映画だし丸っきり全部ネタバレします。ミステリーだし今後この映画観る予定の人は読まない方がいい。

 

 

 

1939年の朝鮮半島。貧民街の孤児朝鮮人少女〈スッキ〉は〈伯爵〉と呼ばれる立派な身なりの詐欺師の計画に雇われる。
桂文枝の若い時みたいな顔した〈支配的な叔父〉のもとで孤独に暮らす華族の〈秀子お嬢さん〉。若い時の松嶋菜々子と若い時の浅野温子を足したような顔の彼女は、結婚した暁には〈莫大な遺産〉を相続することになっていた。詐欺師は世間知らずのお嬢さんを籠絡して結婚し、お嬢さんを精神病院にぶち込んで財産を丸々いただいてしまおうという計画。日本人メイド「珠子」になりすましたスッキは、お嬢さんの近くで彼女の世話しながら詐欺師のサポートをする役目。
まずパク・チャヌク監督だけあって画面がめちゃくちゃ美しいし、物語の舞台は90%くらい屋敷と敷地なんだけど、カンヌで芸術貢献賞を受賞したというだけあってお屋敷やお庭、屋敷内の小物、地下室どれを映しても確かに良い。俳優も、脇役を除いて殆ど4人のメインキャストが出てるだけだけど皆キャラが濃いので、美術+メイン4人による場持ち力が凄く高かった。
「メイドの珠子」となって屋敷に潜り込んだスッキは秀子お嬢さんの部屋のすぐ隣室が居場所、24時間ずっとお嬢さんの世話をしている。スッキによる「お嬢様は私の赤ちゃんです」発言。秀子お嬢様がスッキを着替え人形代わりにする「お嬢様ごっこ」とか凄く微笑ましい。尖った歯をコスコスしてるのは何してんのかよくわかんなかったが、とにかく二人はボディタッチ増えて親しくなっていき、やがてベッドで肉体を重ねる。
スッキは「お嬢さんを精神病院にブチ込んで財産をせしめる」という目的のために動いてはいるのだが、孤独で純真なお嬢さんに同情や友情のような感情が生まれてきて、お嬢さんを騙している自分の行為、それを計画し行っている〈伯爵〉の事が醜く思えてストレスがたまってくる。
だがスッキは辛い思いで自分を殺してお嬢さんと伯爵をくっつけ「お嬢さんを精神病院にブチ込んだ‥と思ったら いつのまにかブチ込まれてたのはスッキだった」 何を言っているのか わからねーと思うがスッキも何をされたのかわからず頭がどうにかなりそうだった。催眠術だとか超スピードだとか そんなチャチなもんじゃ断じてない恐ろしいものの片鱗を味わった。
伯爵とお嬢さんはグルで、身寄りのないスッキを利用して処分し遺産を二人で山分けする計画だったのだ。という一つの結末が明らかになって第一部が終了。

 

 

 

第一部はスッキの主観視点で物語を描いていたが第二部は秀子お嬢さんの視点で語り直される。
スッキはお嬢さんのことを「世間知らず」で「純真」だと思っていた、確かにお嬢さんは敷地から出たことない世間知らずではあるもののスッキが思っていたほど純真ではなかった、そして秀子の視点では「スッキこそが純真な少女」だと秀子が思っていた事がわかる。
秀子には桜の樹で自殺した美しい叔母がいたこと、秀子は叔父と共に地下で第三者の立入を禁ずる怪しい読書をしていた事などが第一部でも語られていたが第二部では詳細が明らかにされる。
叔父は地下に数人の親しい変態の金持ちを招き、秀子お嬢様が官能小説を朗読し、時には尻をぶたれたり人形と絡んだり‥という変態的な催しを行っていた。秀子は幼い時からエロ朗読を叩き込まれていたし、美しい叔母が首吊り自殺したのはそんな「叔父の自慰行為の手伝い」というオナホ以下の自分の存在意義に絶望してのものだった。そして叔母の死後は秀子がこれを受け継いだ。
何だかよくわからない変態パーティだが、本当は叔母または秀子が、金持ちの客達の相手をさせられたり衆人環視の中でSMを披露させられたりといった身も蓋もない酷いものだったんじゃないかもなと思った。そんな描写だと観たくなくなるほど陰惨だしAVみたいになってくるから「官能小説の朗読」という婉曲的な表現にしたんじゃないかという気がする。
まぁとにかくどんな描写だろうと本質は同じ。秀子そして自死した叔母は、変態の叔父に一生涯、性的搾取され続ける哀れな女性たちだった事が明らかになる。
〈伯爵〉は詐欺師の正体を隠して変態パーティに潜り込んだ客の一人だった。伯爵は秀子に「身寄りのない孤児を犠牲にする事によって貴女は自由になれる。遺産は山分けしましょう」と話を持ちかける。秀子と伯爵、お互い好きじゃないが偽装結婚とスッキを騙すことに全力を尽くそうという共闘。
そして第一部でスッキ視点で描かれた様々な場面が秀子視点で描き直される。
やがて二人は愛し合い色々すったもんだあって互いに心の内を全て明かし合う。お嬢さんとスッキはお互いを好っきになっていた。二人は互いがそれぞれ「伯爵と組んで『もう一方の女』を騙して遺産を得る計画」を行ってた事を明かしあい、‥というか把握してなかったのはスッキだけだから秀子が一方的に教えてあげてるだけか。そして二人は改めてずっと一緒にいることと協力し合う事を誓う。貧民街のスリ仲間であるババアにも金を掴ませ協力者となってもらい、悪い男たちを出し抜く準備は出来た。
そんな秀子とスッキ、叔母など犠牲となった女性たちの悲しい過去を語ってきた第一部と第二部だったが、第三部は彼女たちの復讐、物語の顛末が描かれる。

 


叔父が秀子にしてきたエロ朗読やエロ教育などの性的搾取の事を知ったスッキは激怒し、地下室で叔父のエロ小説を全てビリビリに破って水槽に叩き込み、そして地下室の入り口で部外者を威嚇するよう置いてある蛇の彫像(叔父の男根の象徴)を粉砕する。このシーンのスッキはかなり少年漫画のヒーロー的で、お嬢さんがヒロインっぽく撮られていた。
悪いやつとはいえ伯爵の計画のおかげで秀子は変態叔父から自由になる切っ掛けを得れた。だが遺産相続が成功した夜、伯爵は秀子に「貴女を少しだけ好きかも」と言い抱こうとするが「女は無理やり犯された時に快感を覚える」と言う。女性に支配的な変態叔父のもとから(結果的に)秀子を救った伯爵もまた、新たに秀子を支配しようとする「新しい悪い男」でしかなかった。しかも気の毒なスッキを犠牲にしている。
次の瞬間、伯爵は秀子がワインに仕込んでいた薬品で眠った。
叔父は財産と生きがい(エログッズと自慰の手伝いしてくれる秀子)を失った怒りで伯爵を捕らえて指を次々と切り落とす拷問をするが、伯爵は水銀煙草で自分もろとも叔父を殺害する。悪い男たち全員死亡。
秀子は、精神病院を難なく脱出してスッキと落ち合い男装して国外へ。
夜の霧の中を進む豪華客船で二人は愛し合うのだった未来はこの海上の夜の霧の中同様先行き不明だがきっと大丈夫だ二人一緒なら‥的なまさかのハッピーエンド。
伯爵も今まで見下していた〈女〉たちに敗北し変態の叔父に何本も指を切り落とされて苦しむし、財産とエログッズ全て失った叔父も最高に絶望した状態だろうし、そんな二人が「もう物語での役割は終わった」とばかりに映画そのものに始末されてしまう様も痛快でした。めっちゃカタルシスある明るい終わり方だったので驚いた。善人や女子供だろうが惨死しがちなパク・チャヌク映画、悲劇で終わることが多そうなカンヌ出品作や韓国映画、しかも「日本統治下の朝鮮」という如何にも酷い事が起きそうな舞台、そして物語に出てきたら大抵悲劇で終わりがちの同性愛カップル、中でも更に悲惨な末路を遂げがちの女性同士のカップル‥などの先入観のせいで「これは酷い目に遭い続けてたお嬢さんが一瞬希望を抱きつつ酷い最後を迎える暗い映画なんだろうな」と思い込んでたせいもあってスルーしてたのだが、いざ観ると意表を突かれて爽やかな気持ちになれた。観てよかった。昔の映画だと同性愛カップルって絶対死んだり悲惨な最後を遂げてたけど今はそういう感じじゃないもんね。そして「日本統治下の朝鮮」というのも、お屋敷は外界から完全に隔絶されてたせいで殆ど機能してない舞台設定だったし、そういう外界から押し寄せる悲劇も起きようがなかった。
そしてラストに秀子とスッキが勝利SEXしてる時、かつて叔父が秀子にエロ教育する時に使ってた丸い玉を使ってたのが良かった。「性的搾取されてた象徴のエロ玉なんか見たくない!」っていうんなら叔父の性的な抑圧から逃れられてない感があるがエロ玉を自分たちで新しい使い方してるので、もう完全に過去を乗り越えた上に二人で新しいエロ歴史を塗り替えてる感じがして爽快感あった。それにしてもこのエロ玉は一体‥?エロ玉に限らず尖った歯をコスコスする行為など、よくわかんない描写は多く出てくるが‥まぁどうでもいい。とにかく前半は「どういう話なんだ?」と惹きつけられるミステリーだったし、後半は自分の予想と正反対だった事もあって秀子とスッキの活躍を単純に応援できる痛快作でした。
自分はそうではないが百合好きの人とかの感想も聞いてみたい、きっともっと面白い感想が聞けそうだ。
それにしても第二部の最後でお嬢さんの首吊り未遂シーンの時にスッキが手を離してしまいお嬢さんが空中でもがき苦しむという昔の漫画のようなギャグシーン、あそこのお嬢さんがめちゃくちゃ可愛かった。

 

 

そんな感じでした

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「クリード 炎の宿敵 (2018)」中盤までの人間ドラマは異常に良いが、最後の試合の盛り上げやドラゴ父子の描写は足りてないかも🥊

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原題:Creed II 監督:スティーヴン・ケイプル・Jr 製作総指揮:ライアン・クーグラー
製作&原案&脚本&出演:シルヴェスター・スタローン 製作国:アメリカ 上映時間:130分
シリーズ:「クリード」シリーズ。「ロッキー」シリーズのスピンオフ

 

 

完結した「ロッキー」シリーズの続編かつ、ロッキーのライバルで親友アポロの息子アドニスを主人公にして大ヒット&高評価だったスピンオフ「クリード チャンプを継ぐ男 (2015)」の続編。ライアン・クーグラーは忙しいので制作に回った。
「ロッキー4/炎の友情 (1985)」でアポロをリング上で殴り殺したいイワン・ドラゴとその息子ヴィクターが、アドニス&ロッキーの師弟コンビと激突する。
観れば面白いのはわかってるが「いいけど前回で綺麗にまとまってない?」と思って観るのが遅れた(だがロッキーシリーズから常にそう思いがち)
スタローンは前作でアカデミー賞にノミネートされるほど演技も良かったし「この若手二人いいね?」と思った主人公カップルも、前作と本作の間に大スターになってしまっててビビりますね。
まぁまぁネタバレあり

 

🥊

 

前作では、アドニスマイケル・B・ジョーダン)とロッキー(シルヴェスター・スタローン)の師弟愛、アドニスと近い将来に耳が不自由になる歌姫ビアンカテッサ・トンプソン)の恋愛模様、ロッキーが発癌するが闘病して勝利、アドニスが自分を乗り越え素晴らしい試合‥などが描かれた。
本作では冒頭、うらぶれたロシアの団地に住んでいるイワン・ドラゴ(ドルフ・ラングレン)と息子ヴィクターがトレーニングしている。ヴィクターはボクシングの試合しているが貧困でもあるらしく肉体労働もしている。イワンは冷戦下のソ連でのロッキーとの試合で大敗して全てを失い、数十年間ロッキーへのリベンジしか頭になかったようだ。
場面は変わってフィラデルフィアクリードは前回のコンラン戦で名を挙げ、セコンドのロッキーとのコンビで連勝し遂にチャンピオンに。父アポロやロッキーも巻いた栄光のチャンピオン・ベルトを腰に巻く。素敵な恋人ビアンカとも熱愛中。裕福な暮らし。ドラゴ父子とは正反対に幸せの絶頂。
アドニスがチャンピオンになる試合、ロッカールームでロッキーが出てくる場面‥、「アドニスが準備してる中、部屋に入ってくるロッキーの人影が鏡に写って、少し会話した後カメラがやっとロッキーを捉える」というカッコいいものだった。ヒーローを演じてた時の若いクリント・イーストウッドとかキャプテン・アメリカなどの尊敬されてるヒーローにしか許されない神のような登場シーン!(アメリカン・ヒーローはすぐに移したら畏れ多いから影とか輪郭とか背中から登場して姿を現す)。
そのドラゴ父子は渡米してきていた。勿論ロッキーへのリベンジとしてかつて倒したアポロの息子アドニスを再び倒し捲土重来するためだ。
ロッキーのレストランを訪れるドラゴ(‥いや、どっちかわからんからイワンと呼ぶことにする)‥イワンはロッキーへ挑戦状を叩きつける。色んな思い出の写真が貼ってあるロッキーの店だが、親友アポロと死別する事になったイワンのことは思い出したくない思い出となっており彼の写真だけ飾っていない。
ドラゴ父子の挑発に乗り、アドニスは父アポロの仇を討つため防衛戦でヴィクターを迎え討つことを決める。だがアポロを失ったトラウマがあるロッキーはアドニスのセコンドを降りる。アドニスは、仕方なくデュークJr(アポロやロッキーのセコンドを務めた名トレーナーの息子)にセコンドを頼む。しかしビアンカが妊娠していることが発覚。ちなみに、それがわかるアドニスのオカン‥アポロの奥さんとの三人での食事シーン、会話や目配せが秀逸。そしてドラゴ父子との試合をおずおずと母に告げるアドニス。止めるよう言うかと思われた母は落ちいていて「貴方はもう一人前だから自分の好きにしなさい」と言う。というかアドニスは「父の仇」「ロッキーはセコンドしてくれなかった」「母さんはどう思う?」などと他人に責任を肩代わりして欲しい内心を母に見抜かれて、アドニス母はアドニスを叱責。‥というか、アドニス母は出てきて何か言うたびに「この人、ホント立派な母親だな~」と思った。
とにかく、父になるのを控えたアドニスはロッキー抜きでvs.ドラゴ父子戦に挑むことになる。

 

 


仇討ちという自分が無い目的‥ロッキー不在による戦術不足‥子供が産まれる不安‥などなど様々な精神的負担が重なったアドニス、「父の仇が来た?よ、よーし‥迎撃してやろう?」という程度のモチベーションの裕福で幸せなアドニスに対して、イワンは数十年間ロッキー打倒のためだけに生きてきたしヴィクターは父からボクシング技術とロッキー戦術の対策を人生まるごと叩き込まれている。しかも父子はハングリーさを煮染めた火の玉のような塊。
勿論この流れでアドニスが勝てるわけがない。アドニスのヒット・アンド・アウェイ戦法はヴィクターに全く通じず、何も出来ず病院送りにされる大敗を喫する。ヴィクターの反則によってベルトは移動せずチャンピオンのままだが誰がどう見ても一方的にボコボコにされており、だがチャンピオンなのでバカにされ始めるし心は死んでるのに早々に強いチャンピオンに戻らなければいけない‥という、ある意味負けたより辛い状況。
‥あれ?何かあらすじをそのまま書くというクソみたいな映画感想になってしまっていた‥、あらすじそのまま書くのはもうやめる。まぁ、とにかくアドニスの心は死ぬがロッキーとの仲直り、産まれた娘の子育てなどでアドニスの心は回復していく。
ここでアドニスが娘をあやしながらサンドバッグを敗北以来初めて叩いてるうち、心を回復させるために叫んで号泣し、心の膿を全て吐き出すプライマル・スクリームの場面は凄く良かった。
そんな感じでアドニス&ロッキーの師弟コンビ復活(デュークもいるよ)。ボコボコにされた時のアドニスはファミリーと心が通じておらず一人で闘って敗れた。だが今回はロッキー、ビアンカ、オカンなどとも心を通わせクリード・チームとしてドラゴ父子が待つロシアでの再戦となった。

 

 

 

ところでビアンカ役のテッサ・トンプソン。前作で初めて観て「魅力的な女の子だし妙に迫力と貫禄あって良いね~!」とか思ってたが、その後の破竹の勢いもあって妻にもなった本作では、その迫力と貫禄が常人の十倍くらいある。
魅力と強さとセクシーさと人間臭さを兼ね備えたオンナっぽさ‥というよりむしろメスっぽさと呼びたくなる人間力が凄い。「この子と付き合って一日経ったらもう金玉全て握られて老いて死ぬまで添い遂げざるを得なくなりそう、いや自然と誰でもそうなりそう」と思わせる人間パワーが凄い。というかこの人、助演が多いけどもうどう考えても主演女優レベルだよね。
当然マイケル・B・ジョーダンやスタロンの演技も人間くさすぎるし、この中盤、ボクシング全くせずに仲直りや子育てしかしてない「北の国から」みたいな大河ホームドラマ状態になる。ホームドラマは興味ないが「ロッキー~クリード」シリーズは別だ。子供の頃から観てるし、他の映画だったら退屈極まりないはずの子育てやら仲直りシーン凄く楽しめた。
そんでロッキー特有の効果あるんだかないんだかよくわからん大自然レーニングや、ドラゴ父子との激突を経て映画は終わる。アドニス再びの成長、ロシアまで応援に来たばかりか歌い上げるビアンカ、着いてきたオカン、ロッキーの放ったらかしにしてた実子との結末などがある。
勿論ドラゴ父子。イワンは「シグルイ」の岩本虎眼みたいにロシアの政治家の元で何とかかっぱいでいこうと頑張る(ブリジット・ニールセン演じる別れた妻もいる)。そして父と共に頑張ったヴィクター。その父子はどうなるのか?なおも良かった。
だけど今までのシリーズや前作は最後の試合がめちゃくちゃ良かったのだが、本作の試合は、悪いわけじゃないけど今までみたいに興奮しなかったな。
ぶっちゃけアドニスがロッキーと仲直りしたり子育てして再戦に乗り出すところで98%くらい映画が終わってる感じがあった。そんで今までだったら大興奮のはずの試合は中盤までの人間ドラマのオマケくらいにしか感じなかった。
何というか「ロッキー~クリード」シリーズの試合でよくあるブチ上がる感じがなかった。だけど試合終了を告げるイワンの人間臭い結末は凄く良かった。
だから、まとめると本作の監督は、人間ドラマはめっちゃ上手いけど(メインキャラは勿論、アドニスのオカンをあそこまで魅力的に撮るのは凄い)ファイトシーンとかはあまり興味ないのかもしれないなと思った。でもこの監督の人間ドラマはマジで上手い。
あっ!だけど試合の終盤で焦るヴィクターを前に、落ち着き払ったアドニスにカメラがぐーっとクローズアップするショットはめちゃくちゃカッコよかったです。アドニスは本編でベソかいて泣きわめく場面が多かったので余計にね?
それと中盤、アドニス周辺の人間描写をあんなに念入りに撮るならドラゴ父子をもっと描写してくれよーとも感じました。
中盤まではめちゃくちゃ良かったが、特訓シーン~試合の後半になると前作よりガクッと劣る感じかな。でも中盤までめちゃくちゃ良かったし試合も別に駄目なわけじゃないので普通に面白い映画でしたよ。
三作目は‥別にこれ以降作らなくていい気もするが、それは「ロッキー」一作目以降ずっとそうだけど作られたら作られたで面白かったし「三作目のアイデア浮かんだ!」とか言って続編作られたらまた観ますけどね。三作目作るとしたら‥それはもう「ロッキーの死」でしょうね(ついでにトミーガンも‥)
‥全然関係ないけどアドニスって友だち全く居ないよね?ヴィクターと友だちになれてたらいいな。

 

 

そんな感じでした

gock221b.hatenablog.com

「ブラックパンサー (2018)」ワカンダフォーエヴァーしに行ったらジャバリ族になって帰宅した🐱‍👤 - gock221B

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Creed II (2018) - IMDb

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「デス・ウィッシュ (2018)」ただただ善良な男が善良なまま最初から狂っていた復讐サイコウォーリアー映画💀

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原題:Death Wish 監督:イーライ・ロス 製作国:アメリカ 上映時間:107分
原作:ブライアン・ガーフィールド狼よさらば

 

 

ブライアン・ガーフィールドの小説を元にしてチャールズ・ブロンソンが主演した「狼よさらば (1974)」のリメイク‥と偉そうにペラペラ言ってるが原作もブロンソン版も観てないので当然オリジナルと比べて感想を言うことはできない。
イーライ・ロスはいつも賛否が割れる監督なんだが俺はほぼほぼ好き。‥だが「ノック・ノック」はあまり楽しめなかったかな?(世界で最も良い奴のキアヌがただただ酷い目に遭うだけというのは楽しめない)
今回は有名な話が元ネタだし完全にネタバレあり‥なので、まだ観ておらず自分の目で観たい人は途中で読むのを止めるようにした方がいい。

 

💀

 

ブルース・ウィリス演じる医師カージーが主人公。
カージーの妻はエリザベス・シュー。弟は傑作MARVELドラマ「デアデビル (2015-2018)」のキングピンや「フルメタル・ジャケット (1987)」の、ほほえみデブ役でお馴染みのビンセント・ドノフリオ、この弟は野球選手を目指してたが挫折して貧乏なため兄に金を無心しにちょいちょい来るが凄く良い奴。カージーの娘は初めて見る女優さんがやってたが「この両親からこの顔が産まれてくるか?」って感じの異常にセクシーな顔の女子高生(イーライ好みの南米系セクシー顔だからきっと、自分のオススメ新人なんだろう)
カージー一家は、今アメリカでもかなり治安悪いらしいシカゴに住んでいる。
ある日、カージーが夜勤中に強盗が入ってきて妻は射殺され、娘は意識不明の重体。
で、今まで真面目に暮らしてきたカージーが銃を手に取り‥という復讐もの。
気持ち悪い覆面した強盗がじっくり時間かけてヌラっ‥と現れる様子、脅して金庫を開けさせるが銃にビビった妻がなかなか金庫を開けられずハラハラさせられる様子、強盗の一人が人質の娘を性的な眼で見て それを咎めた仲間と揉める感じ、どれもイーライ・ロスっぽい嫌~な感じが全開。しかも冒頭の短い時間でシュー氏演じる奥さんや娘は凄く健康的で魅力的な女性だっていうのを見せてるからめちゃくちゃ嫌な時間。‥復讐もの映画って身内が殺されたり暴行されるシーンよりもそれが始まる前のシーンがめっちゃ嫌なんですよね。復讐ものなので殺されるとわかっている女性が「あなた忘れ物よ!笑」などと楽しそうにしてたら「こんな良い女性が殺されるの‥?」と絶望的な気持ちになる。
そして殺人の発端だが、強盗達は最初、金目のものを奪って帰ろうとしてたが、護身術を習っていると自慢していた娘がナイフで犯人の顔を斬りつけてしまう、それが切っ掛けで奥さんは撃たれてしまう。暴力というのは振り子だ。一度動き出せばどちらかが滅ぶまで止まらない。
「もう強盗は帰ろうとしてたし、娘が斬りつけなかったらママは殺されなかったのでは?」と思わせられたり、娘は前後の記憶を失ってるのでそれに気づいてないところ。最初に直接的な暴力を振るったのは娘なところ。
色々な要素が組み合わさって居心地が悪い序盤だ。

 

 

 

葬儀の後、カージーは殺された妻の優しそうな父と居ると、義父は自分の牧場に入った密猟者を見つけて射撃で脅かし「警察が来るのは襲われた後だ。自分たちで護らないと‥」と言うのを若干、引き気味で聞く。
シカゴ警察で犯人を探してもらっていて、担当してる刑事はダイエットのためグルテン断ちしてる刑事で、彼はまともな男なのだが、とにかく治安の悪いシカゴ警察では追っている容疑者の数が多すぎる。このままでは妻を殺してのうのうと生きている犯人たちが捕まるかどうかわからない。
そんなアレコレや突発的な事件が元でカージーは妻殺しの犯人を探す傍ら、まるでMARVELのパニッシャーのような悪・即・射殺の自警行為に走る。
犯罪者を射殺するカージーを撮ったYOUTUBEの再生回数が上がり、メディアでもフードを被ったカージーが「シカゴの死神」と呼ばれダークヒーローのような扱いとなり、賛の声が多いのを聞いてニンマリするカージー。‥もう!この時点でカージー狂ってて笑った。復讐だけが目的ならこんな反応はない。いや善良な男として「妻の仇討ち」が目的のメインではあるものの、それとは全く別に悪人をブッ殺す事そのものも楽しんでいる感じ。そもそも偶然出くわした強盗二人を撃ったカージー、わざわざ動けなくなった奴を冷静に射殺し、出血死寸前の残りの一人も医学的に冷静な目で絶命するまでじーっ‥と観察して立ち去る。「偶然出くわした悪人を流れで撃った」というのはそうなのだが、その後明確な殺意で冷静に殺している。「偶然出くわした悪人を流れで撃った。‥だけど折角だから立ち去らずに確実に悪党をブッ殺しとこう」という感じ。
もうこの序盤の時点でカージーは既に狂っている。
ただ狂っていても、カージーが家族思いの善良な男というのは変わってない。その2つはカージーの中に共存している。
近所の子供にドラッグを売って威張っている小悪党「アイス屋」に怪我させられた少年を診察したカージー、彼はフードを被り、すぐさまアイス屋の元に向かう。
チンピラたち「おいおいw何だか可笑しな奴が来たぜ?誰だてめーは
カージーお前の最後の客だ」バンバンバンバン!
なんと、悪党たちの前に遠景から近づき、そのままワンカットで連射して惨殺してしまった。
もっと何回かラリーがあって「悪党が実力行使に出てきたから仕方なく‥」という流れで撃ち合いになるのかと思って観てたら、カージーが手を出すのが想像より何手も早かったので完全に心を持っていかれてしまった。それにしても映画観てて「へレディタリー」や「エンドゲーム」など自分が凄く楽しめる映画って、想像より数手先に事が動き出すものが多い(そうされると完全に敬服してしまう)。

 

 

 

シカゴの街では「死神の自警行為は是か非か?」の話題で盛り上がり、模倣犯(死神を真似てフード被った善良な父親)も現れ悪党に返り討ちになる事件も起こる。「フーン」という天気予報でも観てるような表情でニュース観てるカージー
グルテン断ち刑事は「死神」を追うが「銃の素人の白人」という以外の手がかりはない。その間にカージーは妻を殺した強盗の尻尾を掴み、一人また一人と殺し、娘にイタズラしようとしてた一番薄汚い強盗に対しては医師としての知識を活かし「人体で最も苦痛を伴うやり方」で苦しめて情報を吐かせ、教えてくれたお礼に車の下敷きにする。哀れ、強盗はイーライ・ロス的なゴア描写にて脳味噌を周囲に巻き散らして即死!はっきり言って気持ちいい。残ったボス格も自宅を強襲してくるが、まず手下を西部劇的に返り討ち(首が明後日の方向を向く酷い死に様)。残ったラスボスも若干は苦戦しつつも、銃器店CMで見たオモシロ銃グッズをちゃっかり買い込んでいた事が功を奏して逆転、妻を殺した最後の犯人を蜂の巣にして惨殺KO。
少し前から「カージーが〈死神〉で間違いない」とカージーを追い始めてたグルテン断ち刑事も駆けつけるが、カージーは「手に治りかけの怪我あるし、他にも何故か怪我あるし銃器めっちゃ持ってて偶然、強盗がまた来たので返り討ちしたけど全部偶然」という自分は死神ではないというバレバレの言い訳するが、刑事はあっさりそれを受け入れる。今まで我慢してたグルテン(ピザ)食って、それで満足さ‥。この瞬間に死神の行方はこの世から消えた。
カージーは無罪放免。娘は元気になってNYに進学。弟も笑顔。まさかのハッピーエンドだ。娘を見送った後、カージーは盗みを働いた少年に指で銃のジェスチャーを作り狙いをつけてニヤリとする。カージーは善良で理性的な男なので別に悪いことはしないだろう、だがカージーの心は善良な世界と「あっち側」の世界、同時に居ることを示した。何かきっかけさえあればこの男はまたやるだろう。殺しを‥。
‥という爽快感ある映画。居心地悪いシーンもゴア描写も満足。映画鑑賞の評価の主軸がジョン・カーペンターな俺的にもB級映画っぽさ全開だったし、ほぼほぼ好きなイーライ映画の中でもトップレベルに好きかも。
そして復讐もの映画っていうのは大抵、身内を殺されたりレイプされた主人公が武装して復讐を始める‥という内容だが、大抵やられて蘇った時または復讐してる間に、まるで別人のように変貌してしまう。たいてい復讐を始める前は普通に善良な市民だったのが死刑執行人という社会の枠組みから外れてしまうので、そこが若干不満に思っていた。それではまるで殺された者が悪霊となって仕返ししてるみたいで爽快感が薄い、出来ることなら悪党にやられてた時の主人公のまま地続きのその主人公によって復讐して欲しい。その点このカージーは妻が殺された日からガラッと別人のように変わってしまうのではなくグラデーションがあり、ゆっくり‥徐々に‥善良な医師カージーが〈死神〉になっていくので「この死神は、確かに冒頭の善良ドクターと地続きの同一人物だわ」という感触を持てたまま彼の復讐を楽しむことが出来る。これが今までの復讐ものより気持ちいいところだった。もっとも善良だった時と死神がこれほどまでに地続きな理由の奥底には「カージーは元々こういう殺人が出来て、しかも殺人を犯した後に平気で善良な人間に戻れてしまう」という普通ではないカージーの本質があって初めて可能となった部分だ(つまりカージーは善良な男なので問題なく暮らせているが、悪人とは言え他人を次々と惨殺しても何とも思わない元々狂っている男なのだ)。
ネットで評価見るとユーザースコアも好評。‥だが批評家の評価はボロボロ。
一瞬「えっこんな面白いのに?」と思ったが公開されたのは、フロリダ州の高校での銃乱射事件があった直後。遺族や学生たちが銃規制に向けて頑張ってたが、全米ライフル協会は自分たちが甘い汁を吸いたいがために学生たちを汚いやり方で陥れてたりといった銃規制ウォーズの真っ最中だった。そこに公開された本作で〈白人のベテラン医師〉という社会的強者が銃でバンバン自警行為して、劇中でメディアや果ては国家権力である刑事までもが肯定してしまうのだ。これは諸手をあげて称賛はできんな、と低評価レビュアーにも一理あるなと思った。
だが、本作の爽快感はブルース・ウィリス演じるカージーが、割と最初から完全に狂っているサイコウォーリアーだという前提の元成り立っている。
妻を殺された可哀想さや犯罪者への復讐心には共感できるが、カージーは勿論、彼を庇う弟も、皆殺しモードの父を見たが全部忘れた娘も、死神を称賛する劇中の人々も、見過ごす警部も皆、近代国家の現代人として完全に狂っている。
ただ、彼ら全員が良い人たちで、惨殺された犯人達が全員クソ野郎だったから、たまたま爽快感を感じてしまっただけだ。ここで自警行為を許してしまうと、ではクソ野郎達が気に入らない善良な人を撃ち殺してしまったら?自警行為が良ければ司法の意味は?という問題になってくる。
イーライ・ロスが「ただサイコウォーリアーのブルース・ウィリスが無茶苦茶やりまくった末に罰も受けず大手を振って往来を闊歩する」‥という映画を撮ったのは‥まぁただ面白いからというのもあるだろうが(実際めっちゃ面白かった)、人々の価値観を揺さぶろうとしたっていうのも少しあるだろうな、と思った。今の時代、批判されたくなきゃ主人公を黒人にするはずだもんね。白人の医者にしたのは多分いつものように賛否わざと割れさせたんだろ俺は思った(下に貼ったインタビューでもそれを匂わせることを言っている)。

 

 

そんな感じでした

「グリーン・インフェルノ(2015)」意味あるシーンだらけで胸焼けしてたら主人公が無意味に川に落ちる場面で笑った🍖 - gock221B

「ノック・ノック (2015)」賢者タイムになっても相手をちゃんと見ろ!という話‥なのかもしれない👨👱‍♀️👩 - gock221B

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Death Wish (2018) - IMDb

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狼よさらば (1974年) (ハヤカワ・ノヴェルズ)

狼よさらば (1974年) (ハヤカワ・ノヴェルズ)

 

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「ディザスター・アーティスト (2017)」どこまでも謎で可笑しい男を笑ってたつもりが、やがて男に寄り添わされる天国への階段👓

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原題:The Disaster Artist 監督&主演:ジェームズ・フランコ
脚本:スコット・ノイスタッター。マイケル・H・ウェバー
原作:グレッグ・セステロ&トム・ビゼル「The Disaster Artist (2003)」
制作スタジオ:A24 製作国:アメリカ 上映時間:104分

 

 

トム・ビゼルとグレッグ・セステロが2013年に上梓したノンフィクション本が原作。
謎の男トミーと俳優の卵グレッグの二人組が撮った恋愛映画「The Room (2003)」はあまりに支離滅裂で無茶苦茶で最低な映画として大コケ&酷評されたが、あまりに無茶苦茶すぎて逆に皆で毎週末観に行って楽しむ愛好家が増えてカルト作となったらしい。
これ観てないけど、YOUTUBEで検索したら本編フル動画の上に観客がウケてる音声が被せてあるリアクション動画とかもあった。
また誰が書いたのか、日本で公開やソフト化もされてないのにも関わらずWikipediaに異常に詳細な記述があった。
ザ・ルーム - Wikipedia
主演のジェームズ・フランコ自ら監督を務め、脚本は「(500)日のサマー (2009)」「きっと、星のせいじゃない。 (2014)」など名作青春映画の脚本を書いたコンビらしい。
ジェームズ・フランコは映画出まくってるが、映画よく知らない人にも一発でわかる役としてはサム・ライミスパイダーマンでハリー・オズボーン役をやってたイケメンと言えばわかりやすい。彼は本作でゴールデングローブ賞・主演男優賞を受賞した。

 

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1998年のサンフランシスコ。俳優になるのが夢だが人前に出ると緊張してしまう19歳のイケメン青年グレッグ・セステロ(デイヴ・フランコ)は、演劇学校でロックスター然としたロン毛エキセントリック男性トミー・ウィソー(ジェームズ・フランコ)と出会う。
「長年の夢だったので演技を始めた」と言うトミーは年齢不詳(だが絶対に30は越えてる)だが過去の経歴を一切語らない、だが各地に物件を持ってたり高級車を乗り回していたりと妙に金を持っている非常にミステリアスな人物。顔の造りは、基本イケメンだが時代に合わないハードロック風のロン毛と開ききらない片目なども相まって人相が悪い。だが悪気があるようには見えず妙に純粋で、二人は意気投合する。
トミーはロサンゼルスにも高級アパートを借りているので、グレッグは誘われるがまま彼のアパートに居候して芸能事務所と契約する。
クラブでアンバー(アリソン・ブリー)という美人の彼女も即ゲット。
だが二人とも演技が下手すぎて、ハリウッドで全く役がゲットできない。
特にトミーはオーディションのたびに嘲笑される。恐ろしげな人相も相まって「モンスターとか悪役を狙った方がいいんじゃないかw」とバカにされる日々。
トミー「俺はヒーローだ。お前らこそ全員が悪役。悪いやつは笑うからな
この台詞は、トミーの純粋さにハッとなった。
「うまくいかないなぁ‥仕方ない自分で映画を制作すっかぁ‥」という結論に達したトミーは「The Room」という自分とグレッグが主演の恋愛映画の脚本を書き上げる。
撮影のためのカメラをレンタルしに行って「何日レンタルしますか?」と訊かれても「半端なことはしたくない。買うよ」と言って超高価なフィルムのカメラとデジカメを両方お買い上げするトミー。更には映画撮影に必要な、シナリオスクリプター、カメラマン、美術、メイク‥などのスタッフ、オーディションで選んだ出演者、果ては撮影現場にわざわざ作った自分専用のトイレなど全ての制作費をポケットマネーでポンと出すトミー。
あからさまに胡散臭いし金持ってるようにも見えないトミーを怪しむスタッフ(セス・ローゲン)は小切手を換金しに行くとちゃんと現金化出来た。窓口の男はセス・ローゲンにこっそり教えてくれる。
「このトミーとかいう人の口座‥お金が無尽蔵にありますよ‥」

 

 

 

演技の素人トミーは当然、映画製作の素人でもあって無駄が多い。
道路でのシーンを撮るのに、スタジオのすぐ前にある道路とそっくり同じ道路のセットを作ったりする。セス・ローゲンは「すぐ外の道路で撮ればいいのでは?」と言うがトミーは「手抜きは良くない」と聞く耳を持たない。屋外で撮ればいいのにわざわざスタジオで撮って背景はフルCG。
数々の無駄とも思える金の使い方をするし金払いもいいが、スタジオに空調や水道は引かないので年寄りが暑さで倒れたりする。どうやら自分とグレッグ以外のために金を使うのは嫌みたい。
当然、演技も下手で酷い東欧訛りがあって何を言ってるのかわからない上に棒読み。台詞も覚えられないし悲しいシーンで笑いだしたりする(彼の中では筋が通った演技プランらしい)。そもそも、それ以前に彼が脚本書いてるので台詞なども全て訳がわからない。文句つけてきたり自分の陰口言ってるスタッフは当然クビ!(隠しカメラで撮っている)
トミーは、グレッグが自分じゃなく恋人やドラマ出演する事が気に入らないらしく現場は荒れていく‥。というか、そもそもトミーは映画が好きそうにはとても思えない(スタッフも「彼は映画を観たことあるのか‥?」などと陰で言われている)。
劇中はっきりとは描かれないが、ひょっとして莫大な制作費出して映画撮ってるのも、それ以前に二人で急にハリウッド目指しだしたのも全てグレッグの気を惹きたいからにしか思えなくなってくる。「トミーは女性とのファックの仕方を知らない‥?」という場面もあるし「トミーはゲイ説」が浮かび上がってくる。
とにかく、このトミーという男、「なぜか金を死ぬほど持ってる」「今まで何をしていたのかわからない」「どこから来たのかわからない」「そもそも、カネの出所や出自を秘密にしている理由がわからない」「何故、片目が悪いのかわからない」「なぜXのTOSHIみたいな格好してるのかわからない」などのミステリアスっぷりが凄く面白い。これで邪悪な奴だったら「何か知りたくもない事で儲けたのか?」と思えてくるが、トミーは何の才覚もないように見えるし、ただ単純に幼児みたいな性格なので迷惑する人がいるが、それを除けば邪悪な雰囲気が一切感じられない。無垢で純粋な男に見える。まるで「オッサンの年齢のトミーが数年前、空気からこの世にフッと湧いて出た」かのように思える。
‥と、そんな人物は大抵ニートという事が多い。ニートなら出自や過去も言いたがらないだろう(無いから)、だから「ヨーロッパの大富豪のニートがある日突然、社会デビューしようとアメリカにやってきたのか?」と考えたりもした。もしくは「麻薬カルテルのボスの家のニートアメリカに流れてきた」とかかもしれない?(これなら出自を言えない理由も通る)。だが結局、最後まで彼の正体はわからない。だんだん彼のことが妖精のように思えてくる。
とりあえず、わかっている事は「グレッグのことが大好き」「グレッグが好きな、自分と関係ないものは嫌い」「大金持ち」「アホだが純粋」という事だけだ。
彼の正体への憶測や、さっきの「トミーはゲイ説」も、彼の色んな謎がかなり埋められるのだが知らない方が面白いので今後も彼の秘密は知らないでおこう。


 

 

そんな感じで、めちゃくちゃな撮影の果てに映画は完成。
金にものを言わせてビルボードの立て看板で宣伝し、プレミア上映を行う。
大喧嘩して飛び出ていったグレッグも、夢だったスクリーンデビューをトミーに叶えてもらった格好だし渋々と観に来る。
スタッフ出演者全員の予想通り、映画は酷いものだった。徐々に笑いに包まれる場内。
ここは実際の「The Room」内の、トミーの迷演技をジェームズ・フランコが完コピしている。エンドクレジットで実際の「The Room」本編と、ジェームズ・フランコがトミーを完コピした映像が並べて流されるのだが、ジェームズ・フランコの演技はトミーの演技と1秒の狂いもなくシンクロしてハモっている!そもそも本作のジェームズ・フランコは、全編トミーのおかしな東欧訛りで喋り続けておりメイクで顔変わってるせいもあって本編中「これジェームズ・フランコか?」とわからなくなる瞬間が何度もあり主演男優賞獲ったのもうなづける。
まぁとにかく嘲笑われたと感じたトミーは屈辱感で劇場内を飛び出す。追いかけるグレッグ。「The Room」が酷いので僕も可笑しいなと思ってたがトミーがガチで泣いてるのでハッとする。
トミーは「俺は一生懸命がんばったのに、いつも自分をさらけ出したらバカにされる、嫌われる‥」とグレッグに訴える。
そうだなぁ、、俺らはトミーじゃないから、トミーのやることなすこと可笑しいので笑うわけだが、トミーからしてみればトミーは自分自身なので普通にしてたら自分自身を嘲笑われる‥って感じで「当たる箇所全てが弱点」っていう空手を常に喰らってるようなもんで辛いよね、と思った。しかしまぁトミーは子供じゃない‥というかオッサンだし、それを克服するのが大人の人生なのでこれ以上は同情する気はないが、トミーが泣いて立ち直るまでの間はトミーの気持ちに寄り添ってあげようと思った。そう、この場面でグレッグが正にトミーに対してそうするのだ。「みんな嘲笑ってるんじゃないよ。トミーの狙いとは違うかもしれないけど皆、この映画が好きでウケてるんだよ。ヒッチコックの映画だってこんなにウケないぜ」。そのグレッグの一言でトミーに笑顔が戻る(子供か)。このささやかな優しさが世界に必要な気がする。もちろん各人、忙しくてやる事多いのでトミーなんかに関わってられん。だが数秒でいい、数秒くらいトミーの気持ちを慮る余裕が欲しい。案外それが天国への階段かもしれん。実際、幼児並の頭脳とセンスしか持ってないと思われたアホのオッサン‥もう中年になったら脳が固まって考え方が代わりにくいと言われる生き物オッサンであるトミーも最後に一歩成長する。それが俺を感動させた。
オーディションでバカにされたトミーは嘲笑う者を悪として語っていた。だったら彼がこの世で最も好きなグレッグは嘲笑わず「みんな嘲笑ってるんじゃなくて笑ってるんだ。君と、君の作品を楽しんでるんだよ」と認識を変えてくれたのは、トミーの世界の見え方が変わった一瞬ではないだろうか(実際その直後からトミーには客観視が備わる)。
ティム・バートンの「エド・ウッド」が好きで、本作も殆ど同じ内容だったがラストの展開は本作の感動が上回ったかも。
さっきも言ったがエンドクレジット、そしてポストクレジットも必見。

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そんな感じでした

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The Disaster Artist – Official Movie Site

The Disaster Artist (2017) - IMDb

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The Disaster Artist: My Life Inside The Room, the Greatest Bad Movie Ever Made (English Edition)

The Disaster Artist: My Life Inside The Room, the Greatest Bad Movie Ever Made (English Edition)

 
The Disaster Artist

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