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「ナイトクローラー(2014)」ダン・ギルロイ/サイコパス無双映画の新しい傑作

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原題:Nightcrawler 監督:ダン・ギルロイ 製作国:アメリカ 上映時間:118分

この、ポスターの真顔が凄すぎるジェイク・ギレンホール主演映画が気になってたので観た。


落下の王国」や「ボーンレガシー」などの脚本、観て爆笑した珍作「リアル・スティール」原案の一人ダン・ギルロイの初監督作。
彼の兄は俺が大好きな「フィクサー」撮ったトニー・ギルロイで、ダンの妻は本作にも出てるレネ・ルッソらしい‥と今wikiで読んだ。
ちなみに本作の撮影監督は「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」などで超有名な人みたいで、本作も街やら夜景やら何やらが全体的に異常にカッコいい。だから何も起きてないシーンでも観ていて飽きない。Blu-rayが欲しい

 

あらすじ
ジェイク・ギレンホール演じる無職の男ルイスが、事故や犯罪現場の映像を撮ってTV局に売るパパラッチの存在を知り、カメラと警察無線を買い、己も犯罪事故パパラッチを始める。
悲惨な犯罪や事故現場に急行しては撮影し、地方TV局ワイドショーの女性プロデューサー(レネ・ルッソ)に売って稼ぐルイス。
もっとサクセスしたいルイスの行動は徐々にエスカレートしていく。。みたいな話。


主人公ルイス
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この映画、他の登場人物は脇役が数人しかおらず、ほぼ全編こいつが出ずっぱり。
全編こいつを見つめ続ける事になる。

爬虫類みたいな顔、セルロイドみたいなギョロ目で他人を見る。
ロイ・シャイダージム・キャリーを足して邪悪にしたようなルックス。
彼はこの役を演じるために、死肉喰いのコヨーテを意識して10kg減量して臨んだ。
毎朝、鉢植えにコップで水をやる。ファイルは丁寧に名前付けて保存して管理。
他人と話す時は物静かかつ饒舌で、マルチビジネスの奴みたいに意味ないのにまるで意味がありそうな事をまくしたて微笑みを絶やさない。
一見、腰が低く見えるが立場が上の者にもどこまでも図々しく迫り、立場が弱いものへの慈悲の心は一切ない。
ナイス・サイコパス
彼には、姉ともども今まで全く興味なかったが本作で好きになった。


というか、どのカットのコイツを見ても

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もれなく魅力が溢れまくっている

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彼を見てるだけで飽きない。
ちなみにジェイク・ギレンホールは共同プロデューサーもしている。

主人公ルイスは、いい映像を撮るために事故った死体を勝手に移動させたり、
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パパラッチのライバルが事故って血まみれの姿も撮ったり(この映像は全く売れない価値のない映像なのでただの嫌がらせ)、レネ・ルッソ演じるプロデューサーに取り入ったり脅したりしてサクセスしていく。
彼は全く持って良い人間ではなくモラルのかけらもないクズ野郎と言えるのだが、とにかく魅力がある。俺は彼が好きかもしれない


監督のインタビューを読むと、

絶望して孤独で資本主義を自らの宗教としている男を描いた『ナイトクローラー』|ダン・ギルロイ監督インタビュー「道徳的判断を下すのをやめ、野生動物を撮るように撮影した」 - 骰子の眼 - webDICE

「悲惨な労働環境に身を置く若者たちの絶望の中から発生したキャラクター。ただのサイコパスだと思って欲しくない。彼は本当は人々の輪に入りたい」
などと言っている。そう言われてみれば何かわかるような気もする。
根っからのサイコパス‥ピュア・イーヴィルではなく、社会の環境が彼をそうしてる要素が大きいという事だろう。
いわば街の状況が集合して生まれた人間のようなものだ。
そう言われてみればマジのサイコキャラだったら毎日、鉢植えに水をやるなんていう生産的なシーンを頻繁に入れないだろう。
本当は立派で人望のある人になりたいのだがズレている。という事か。
監督のインタビューであった「善悪の概念がなく合理的かどうかだけで行動する野生の動物」という感じも凄くあった。
ルイスのアシスタントは、家賃が払えずホームレスしている若者だが、彼はギョロ目も含めて、まるでまだ良心を持っていて稼げなかった時の若いルイスに見えなくもない。
彼との絡みについても面白いが、それは観てください。


一番好きなシーン
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ライバルのパパラッチにしてやられた翌朝、自宅の洗面所(アメリカ映画やホラー映画によく出てくる薬を入れる開閉式のやつ)で鏡に向かって「ウワアアアアーーーッ!」と叫んでバーン!と鏡を閉じる。
その勢いでルイスの顔が映っている鏡が割れる。
割れた鏡の破片がバラバラっと落ちて、真ん中辺りの鏡は残るが、そこに鏡を睨みつけるルイスの顔が残る。
鏡の割れ方といい、破片の落ちる順番といい見事すぎるのでCGかと思った。
まるでルイスの中の何かが決定的に壊れて、最後に良くないものだけが残ったかのように見える。
その残ったルイスの顔が映った鏡の破片が彼の感情を表してるんだとしたら「良心」とかでは絶対ない、もっと冷えびえとしたものなんだろうという感じが凄く出ている名シーンだった。
ルイスの心境が、何も説明されず洗練された映像だけで語っていて本当にカッコいい。

 

サイコパス暴走映画
観てたらマーティンスコセッシxデニーロの「タクシー・ドライバー」「キング・オブ・コメディ」とかを思い出した。
どちらも中学生の時に深夜TVでやってるの観て共感してその後20代半ばくらいまで繰り返して死ぬほど観た(あまりに観すぎてもう観たくないし興味ない)
主人公のアスペっぷりだけじゃなく、地位の高い金髪女性に言い寄るところとか、夜の美しい街の夜景の中を車で這い回るところもタクドラを思わせるし、何よりポスター似てるし↓意識はしてるんだろう。

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他にも自分は、ジェームズ・ガンの「スーパー!」とか(死ぬほど好き)、ベン・スティラー監督xジム・キャリーの「ケーブルガイ」(傑作だったが人気絶頂の楽しいジムキャリーが怖い役だったからヒットしなかった)、PTAで唯一好きな「パンチドランク・ラヴ」‥などの、サイコパス男が大暴れする映画が好きだったが、そこに新しい一本が加わった。
彼らは犯罪とか殺しをしたいわけじゃなくて、普通にサクセスしたり彼女や友達が欲しいだけなのにアスペっぽい性格のせいで変な方向に行ってうまくいかなかった末、爆発する男の話(だからアメリカンサイコとかは少し違う)。
自分もアラサー前後まで凄くアスペっぽい性格をしていた。他人の考えている事や暗黙の了解が一切わからなかった。それを治そうと思ったわけではないが、色んな新しい事をしたり色んな目にあってる間に他人の考えがわかるようになり奇行も減った。
そんな感じだったせいか、10~20代は前述したようなサイコパス大暴れ映画の奴らの活躍に感情移入して興奮して観ていた(ここで挙げたサイコパスとは少し違うが北野武が無表情ノーモーションで人を撃ったり撲殺する様子にも感情移入して観ていた)。
特にパンチドランク・ラブなどは当時の自分の主観がそのまま映像化されたようだった。
ナイトクローラー観てたら、それらの映画が懐かしくなった。



生放送中のリポーター&カメラマン銃撃事件

とか感想書いてたら今日、アメリカで地方TV局のカメラマンが生放送中に銃殺され(女性リポーターも撃たれたが命は助かった模様)銃を構えた犯人の姿もカメラに一瞬映るという衝撃的な事件が起きた(こいつは事件後、警察に追い詰められて銃で自殺)

www.cnn.co.jp

非常にこの映画っぽい。
しかも本作の感想書いてる時のニュースで知ったし。
犯人は同局を以前一年で解雇された黒人男性。撃たれた二人は無関係の善人みたいだ。
詳しい事はわかってないが今まで出てる情報を整理すると、解雇された逆恨みで関係ない二人を生放送中に殺って局に傷を付けたかったって事かな

好奇心で、真っ先に銃撃動画や事件の概要などをググっている自分の中にルイスを感じた。
さっき、アスペっぽい性格は直ったと書いたが、おそらく根本的には直っていないだろう。ルイスのように表面的に普通っぽいふりをして生活する術を学んだだけ、という気がする。
何か思春期みたいな事書いて恥ずかしいのでそろそろ終わりにする。
そういった話に共感できて裕福でないない人には、本作は凄く面白いと思う。
ただのサイコパス無双映画ではないものを感じた。正直、ルイスに共感するところも多々ある。

そんな感じでした。 

www.imdb.com

www.youtube.com 

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