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映画の感想ブログ 😺 おしずかに‥〈Since.2015〉

「ナイトクローラー (2014)」モラルがなく異常に活力がある異常な主人公による傑作🎥

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原題:Nightcrawler 監督:ダン・ギルロイ 製作国:アメリカ 上映時間:118分
制作:トニー・ギルロイジェイク・ギレンホールほか 編集:ジョン・ギルロイ

 


脚本家ダン・ギルロイの初監督作。
彼の兄は僕が大好きな「フィクサー」を撮ったトニー・ギルロイで、トニー氏は本作の制作を勤め、ダンの弟ジョンが本作の編集を勤め、ダンの妻は本作の主演の一人の女優レネ・ルッソ。‥というギルロイ一家による布陣。
ちなみに本作の撮影監督は「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」などで超有名な人みたいで、本作も街やら夜景やら何やらが全体的に異常にカッコいい。だから何も起きてないシーンでも観ていて飽きない。Blu-rayが欲しい

 

 

Story
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無職の男ルイス(ジェイク・ギレンホール)が、事故や犯罪現場の映像を撮ってTV局に売るパパラッチの存在を知り、カメラと警察無線を買い、己も犯罪事故パパラッチを始める。
悲惨な犯罪や事故現場に急行しては撮影し、地方TV局ワイドショーの女性プロデューサーレネ・ルッソ)に売って稼ぐルイス。
もっとサクセスしたいルイスの行動は徐々にエスカレートしていく――



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この映画、主人公ルイス以外の登場人物は少なく、ほぼ全編こいつが出ずっぱり。
全編こいつを見つめ続ける事になる。

爬虫類みたいな顔、セルロイド人形みたいなギョロ目で他人を見る。
ロイ・シャイダージム・キャリーを足して邪悪にしたような雰囲気。
ジェイク・ギレンホールはこの役を演じるために、死肉喰いのコヨーテを意識して10kg減量して臨んだらしい。
毎朝、鉢植えにコップで水をやる。ファイルは丁寧に名前付けて保存して管理。
他人と話す時は物静か、だが饒舌。マルチビジネスの奴みたいに、本当は大して意味のない事を、まるで重要な意味があるかのような感じでまくしたて微笑みを絶やさない。
一見、腰が低く見えるが、立場が上の者に対して下から入ってどこまでも図々しく迫り、立場が弱いものへの慈悲の心は一切ない。

というか、どのシーンどのカットのルイスを見ても活気があって面白い
今までギレンホールが出てる映画あまり観てなかったので興味なかったが一発で好きになった。
主人公ルイスは〈良い映像〉を撮るために事故った死体を勝手に移動させたり、パパラッチのライバルが事故ったら、そいつの目を見ながら冷静に血まみれの姿を撮影(しかもパパラッチの映像は全く売れない価値のない映像なのだが、ただの嫌がらせとしてやる)、レネ・ルッソ演じるプロデューサーに下から取り入ったり逆に脅したりしてサクセスしていく。
ライバルのパパラッチにしてやられた翌朝、自宅の洗面所(アメリカ映画やホラー映画によく出てくる薬を入れる開閉式のやつ)の前で、鏡に向かって「ウワアアアアーーーッ!」と叫んでバーン!と鏡を閉じる。その勢いでルイスの顔が映っている鏡が割れる。割れた鏡の破片がバラバラ落ちて、真ん中辺りの鏡は残るが、そこに鏡を睨みつけるルイスの顔だけが残る。
鏡の割れ方といい、破片の落ちる順番といい見事すぎるのでCGかな。
まるでルイスの中の何かが決定的に壊れて、最後に「良くないもの」だけが残ったかのように見える。
その残った「ルイスの顔が映った鏡の破片」が彼の中に残った感情を表してるんだとしたら「良心」とかでは絶対ない、もっと冷えびえとしたものなんだろうという感じが説明無しで一発で観てるこちらの中に入ってくる良いシーンだった。

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彼は全く持って良い人間ではなくモラルのかけらもないクズ野郎なのだが、見てるだけで全く飽きない魅力がある。友達にはなりたくないが見てるだけなら好きだ。
監督のインタビューを読むと、
絶望して孤独で資本主義を自らの宗教としている男を描いた『ナイトクローラー』|ダン・ギルロイ監督インタビュー「道徳的判断を下すのをやめ、野生動物を撮るように撮影した」 - 骰子の眼 - webDICE
「悲惨な労働環境に身を置く若者たちの絶望の中から発生したキャラクター。ただのサイコパスだと思って欲しくない。彼は本当は人々の輪に入りたい」
などと言っている。サイコパスだと思っていたが、どうやらそれだけではないようだ。
根っからのサイコパス‥ピュア・イーヴィルではなく「社会の環境が彼をそうさせた」と言いたいために作ったキャラなのかもね。
いわば都市の淀みが集まって生まれた妖怪のような人間だ。
そう言われてみればマジのサイコパスだったら毎日「鉢植えに水をやる」なんていうカネにならない事やらないか。
「本当は立派で人望のある人になりたい」のだがやり方がズレてるし、そもそもどうすればそうなれるのかわかってない‥って感じかな。
監督のインタビューであった「善悪の概念がなく合理的かどうかだけで行動する野生の動物」という感じも凄くよくわかる。
後半になってルイスにアシスタントが付く。彼は家賃が払えずホームレスしている若者だが、彼はギョロ目も含めて、まるで「まだ良心を持っていて稼げなかった過去の若いルイス」に見えなくもない。
彼との絡みについても面白いが、それはネタバレになるので本編を観てください。

 

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これ観てたらマーティンスコセッシxデニーロの「タクシー・ドライバー」「キング・オブ・コメディ」やベン・スティラージム・キャリーの「ケーブル・ガイ」とか思い出した。
どれも中高生の時に深夜TVでやってるの録画して観て共感して繰り返して何度も観た。
本作のポスターも何となく「タクシードライバー」に似てるし意識してるのかも。
他にも自分は、ジェームズ・ガンの「スーパー!」とか、ベン・スティラージム・キャリー「ケーブルガイ」、PTAで唯一好きな「パンチドランク・ラヴ」‥などの、サイコパス男が大暴れする映画が好きだったが、そこに本作も新しく加わった。
だがダン監督が語るように、ルイスは単なるサイコパスではないようだ。
彼らは犯罪とか殺しなどの悪いことがしたいわけじゃなくて、普通にサクセスしたり彼女や友達が欲しいだけなのに手段を選ばないためにおかしな方向に行ってしまう、その結果生まれた歪みによって爆発してしまう男の話。
だから単なる狂人が悪いことをする「アメリカン・サイコ」とかとは少し違う。
自分もアラサーくらいまで凄くアスペっぽい性格をしていて、他人の考えている事や暗黙の了解が一切わからない空気の読めない人間だった。それを治そうと思ったわけではないが、色んな新しい事をしたり色んな人に会ってると、徐々に他人の考えがわかるようになり奇行も減った。
そんな感じだったせいか、20代までは前述したようなサイコパス大暴れ映画の彼らを「異常な人物」としてではなく普通に「カッコいいキャラ」として感情移入して観ていたところがある。
本作を観てたら、過去の自分や昔好きだったサイコパス映画群が懐かしくなった。



生放送中のリポーター&カメラマン銃撃事件
とか感想書いてたら今日、アメリカで地方TV局のカメラマンが生放送中に銃殺され(女性リポーターも撃たれたが命は助かった模様)銃を構えた犯人の姿もカメラに一瞬映るという衝撃的な事件が起きた(こいつは事件後、警察に追い詰められて銃で自殺)

www.cnn.co.jp

この映画に通じる話題だ。しかも上の感想書いてる時のニュースで知ったし。
犯人は同局を以前一年で解雇された黒人男性。撃たれた二人は無関係の善人みたいだ。
詳しい事はわかってないが今まで出てる情報を整理すると、解雇された逆恨みで関係ない二人を生放送中に殺って局に傷を付けたかったって事かな。
好奇心で、真っ先にこの事件の銃撃動画や事件の概要などをググっている自分の中にルイスを感じた。

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さっき「アスペっぽい性格は直った」と書いたが恐らく根本的には治っておらず、ルイスのように「表面的に普通っぽいふりをして生活する術を学んだだけ」という気がたまにする。
取り留めもない文章になったが、そういった話に共感できたり面白がれる人には、本作は凄く面白いと思う。

 

そんな感じでした。 

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