gock221B

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「人魚姫 (2016)」チャウ・シンチー/中盤の子供みたいなデートが凄く良かったが、どの過去作にもあった終盤の爆発力はなかった🐟

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原題:美人魚 監督:チャウ・シンチー 製作国:中国/香港 上映時間:94分

 

ネタバレあり
強欲でイケメンの青年実業家リウ。

彼はリゾート開発に邪魔な、近隣の海辺にいるイルカなどの邪魔な海洋生物を追い払うために巨大なソナーを設置する(ソナーの近くに海洋生物がいたら音波で爆発四散してしまう強力なもの)。
そのせいで海辺にひっそり住んでいた人魚族は行き場を失い難破船に隠れ住んでいる。
リーダーのタコ兄はリウの暗殺を決意。人間に変装させた美しい人魚シャンシャンをリウのもとへと差し向けるが2人は恋に落ちてしまう。。
みたいな話

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前作の「西遊記」同様、チャウ・シンチーは出演していない。
この主演の人も良かったので問題はないのだが「まだ若いんだからこの主人公役はチャウシンチー本人でいいだろ」とか「イーストウッドは老人だから主演からの引退もわかるがチャウ・シンチーは普通に主演してよ」と、どうしても思ってしまう。
日本でも小林サッカーがヒットして、前作の西遊記までは公式サイトとか作って宣伝されてたが今回は何故か公式サイトすらなくて危機感ある。あまりに寡作で新規ファン層が連ならなかったのとチャウ・シンチー本人が出てないのも原因なのかもしれん。
ちなみに香港/中国ではとんでもない大ヒットしたから問題なし

チャウ・シンチー映画にいつも出てくる仲間の不細工なオッサンやオバハン軍団総登場。あと、貧乏、過剰な責め、美人に不細工な顔させる、一見ただの老人がめっちゃ強い、漫画やアニメのような演出やショボイCG‥などの得意技がふんだんに披露されていた。
チャウ・シンチー映画は毎回、ギャグ連発の序盤で始まって、すぐに異常に面白くなって惹きこまれて最終的には何だか凄い領域になって、序盤のしょうもないギャグがギャップとなって物凄く心に残る‥というのが毎回の恒例行事。
その感動の仕方や変移は個人的にタランティーノの「デスプルーフ」に似てると思う。
作風は全く似てないがチャウ・シンチータランティーノは何となく似た印象。
だけど本作の場合、過去作の様な終盤での爆発力は正直少なかったかもしれない。
その代わり中盤が凄くよかった。

序盤は鈴木則文っぽいノリの汚いギャグばかりで始まってだんだんシリアスになっていくいつものノリ。
ハゲでチビのオッサンのロケットパックが暴走するシーンで、ささきいさおが歌うゲッターロボ主題歌が流れて意表を突かれた。だけど他の本作のギャグはイマイチかな‥
人魚の娘が主人公リウをあの手この手で暗殺しようとして失敗しまくる。
ここで彼女が凄い顔でリアクションしまくってお得意の、不細工な顔を美人が披露するが「それが逆にカワイイ」みたいなシーンが連発される。かなり可愛い。
中盤で主人公二人はデートするが、強欲な主人公は幼い頃の思い出の鶏肉を喰って泣き出して、自然体のヒロインに対して徐々に心を開いていくという美味しんぼ展開。
鶏肉喰って号泣~歌合戦で付けヒゲが取れる(上っ面を剥がされる)~遊園地のアトラクションで子供の様にはしゃぐ2人~ロマンチックな感じで家まで送っていく
というデートシーンのくだりがめちゃくちゃよかった。
何がいいかっていうとストーリーは単純なんだけど、映像を見てるだけで主人公の心の移り変わりが一目瞭然で、演出などが「チャウ・シンチーって本当に映画好きだよな~このおじさん‥」という、チャウ・シンチーの映画愛への信頼度がハンパない。
そういったところに感動させられた。
具体的にどこがどうだからチャウ・シンチーの映画愛凄いというのは説明しにくいんだけど、それはまあ一目瞭然なので観てください。。
香港映画特有の「精神年齢は10~14歳くらいの男性主人公」の純粋さもジーンとした。
2人が遊園地で子供のようにはしゃぐシーンはギャグなんだけど物凄く感動する。
この映画は正直ここだけでいいかもしれん
2人の触れ合いは短いんだけど短時間で2人が恋に落ちた事を(強引に)納得させられた。
他の監督には無理な剛腕だと思った。

終盤は、主人公に惚れている強欲な金持ち女(ミラクル7号の美人教師役の人が演じている)の海洋生物研究チームが人魚族を狩ろうとしてクライマックスになる。
この映画は全体的に登場人物の考えや行動が、まるで絵本のキャラクターみたいに単純すぎるのが若干気になったが「まあ、この映画は御伽話みたいな寓話みたいなもんなんだろう」と思うと特に気にならなかった。
それにしても人魚族は下半身がサカナで人間味が少ないので多少、無茶しても大丈夫だろう、という「X-MEN フューチャー&パスト」的な感じで残虐趣味を爆発させていた。ヒロインがサカナ部分の下半身を巨大モリが貫通したり、人魚の面白オジサンが集団の人間達にカマでズタズタに斬り裂かれて大量出血と痙攣しながら絶命したり、か弱い人魚軍団も相当数、普通に銃殺されまくって「‥いや、そういう映画じゃないんじゃないの?」とギョッとしてしまった。魚だけに
全体的にはラブコメなのに、このクライマックスの人魚虐殺が残虐すぎるんだよね。
エヴァネルフ基地に自衛隊が突入してくるところを思い出した。
ちょっと、人間と人魚の関係が今後回復不可能なくらい人魚が殺される。
ババアがちょっと仕返しするがあまり意味はない(というか何でババアは最初から仲間を助けなかったの?)
こうなってくると違う意味が生まれてきて「‥二人の可愛らしい恋愛を単純に応援してていいのだろうか?」「人間と人魚の間に承服できないほどの溝が生まれてるじゃないか」という気持ちにもなってくる。
だから人魚狩りはもっとフンワリした「みんな捕まっちゃった~」程度にした方がよかった。
本当は台本には絶対、人魚弾圧のくだりへのフォローがたくさんあったはずだと思うが時間が足りないのとラブコメへ焦点が当たらなくなるから泣く泣くカットしたと見た。
主人公二人も殆ど致命傷に近いダメージを負ってるから、妙にお花畑なハッピーエンドを見せられても「これは2人とも死んで、本当はこうなりたかったという感じの二人が見た夢なんじゃないだろうか?」と不安にさせられた。
人魚弾圧はライトな感じにしといて、ラブコメに集中すべきだったんじゃないかな。
序盤~中盤のギャグシーンが多すぎる割には、主人公二人の恋愛パートの時間が足りなかった。というかギャグシーンは大して面白くないしあまり本編に絡んで来ないんだよね。。見世物小屋は全カットでいいだろう。
もしくは20分くらい上映時間長くして恋愛パートと主人公の奮闘と人魚弾圧のフォローを入れるべきだったんじゃないかな。

チャウ・シンチー監督作の中で順位付けするなら結構下の方だと思うが、それでも最後までぐわー!と目が離せない程度には面白かった。
とはいえ正直、失敗作の部類に入るかもね。失速して終わる「ミラクル7号」みたいな感じ
でも、こんな単純なストーリーとキャラクターでバトル描写もなくてCGもショボいのに(どういうわけか過去作よりショボかった)、最後まで絵本を読んでもらってる幼児の様に目が離せないのが凄い。何故なんだろう
やっぱ活劇の人、映画の人なんだろうね。
作品内容に偏りあるけど、この人はマジでスピルバーグクラスのパワーを秘めてる監督だと思うわ。。早く次回作が観たい

そんな感じでした

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