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「マンハッタン (1979)」ウディ・アレン/観終わってから前半の何気ない楽しいシーンを思い出すと凄く良い

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原題:Manhattan 監督:ウディ・アレン
製作国:アメリカ 上映時間:96分


ウディ・アレンは2000年以降のものしか観ていないので本作も当然初めて観た。

 

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TVショーの放送作家アイザック42歳(ウディ・アレン)は、二番目の妻(メリル・ストリープ)に離婚された今、父娘ほど年の離れた17歳の女子高生トレーシー(マリエル・ヘミングウェイ)と付き合っている。
レズビアンに走って離婚されてしまった元妻は、自分とアイザックとの結婚生活や性生活を記した手記を出版すると言っておりアイザックはビビっている。
大学教授の友人エールとその妻エミリーの仲良し夫婦はアイザックと仲のいい友人。
だが実はエールは、ジャーナリストのメリー(ダイアン・キートン)と浮気している。
ある夜アイザックは、そのメリーとパーティでばったり会い、朝までマンハッタンのベンチで楽しく話して(ポスターになってる場面)彼女を好きになってしまう


みたいな話。
今のこの不倫だ何だとうるさい御時勢の現代日本2017年の目で観ると、17歳と付き合ってるオッサンが自分の友人と不倫してる女性(しかもダイアン・キートンと現実世界で付き合っていた)に恋に落ちる‥と考えると何かとややこしい。
劇中のウディ・アレンは冴えない癖にモテモテ。しかもリアルに少女と付き合ったりするウディ・アレンが、劇中で少女と遊びで付き合っているが別れたがっている役を演じている。それなのに少女の方がむしろグイグイ来ている‥そんな脚本を自分で書いて自分で演じている。
これには富野キャラ風に「‥よくやる!」と言うしかない。
だが勿論そんな事は全て本人がわかっていてやってるんだろう。
明らかに「こいつはアホです‥」という指差してるのを感じるし‥。
何しろ最後に少女に断罪されてしまうのだから「これはそういったあれやこれやは取り外して素直に観るのが正しいな」と思い、素直に観た。
このややこしい思考一周状態は現代日本2017年の目で観るからには避けられない。
多分、公開当時の人は今よりはもっと素直に「素敵なお話‥」と思って観てたのではないか?と推測したが実際のところはよくわからない。

ウディ・アレン本人のややこしい女性関係やら噂の事も、実のところよく分からないので(というかややこしすぎてパッと想像ができない。つまりは冥王星の事を考えるようなものなので考えるのはやめた)
‥というフィクションの中に入っていく前のこの段階がややこしい。
「一周して余計なことは考えずストレートに観る」というスタート地点に戻ったが、この段階なしでいきなりドラゴンボールでも読むかのようにそのまま入っていくのも、それはそれでアホだろう。

アイザックウディ・アレン)はいつもの、お喋り愚痴キャラかつ冴えない草食系の風貌だが精力旺盛な肉食系中年男を演じている。
メリー(ダイアン・キートン)は似非インテリで色んな芸術の批判ばかりしている、草食系の風貌だが精力旺盛な肉食系女子
こう見るとなかなかお似合いなカップルだと言える。
メリーはアイザックの友人エールとの不倫関係を終わらせ、アイザックも17歳の少女トレーシーに「僕は好きな女性がいるから君はイギリスに留学に行って自分の人生を生きなさい」と厄介払いする。
トレーシーはアイザックを責めるでもなく、はらはらと静かに泣き出してしまう。
とてもかわいそう。。。
ちなみにこのトレーシー役の女優はアーネスト・ヘミングウェイの孫娘で、ヘミングウェイ的な強そうなガッチリした顔つきと体格をしている。
顔や肉体は強そうだが物静かで繊細だというのがギャップあって良かった。
それと、大人キャラと対比すると1人だけ いちいち正しい事だけ言うキャラなので誰もが好ましく思えるキャラだと思う。

そういえば本作は全編モノクロで撮られている。理由は知らない。
撮影とか映画の専門的知識は皆無だが、コントラスト強くてカッコいい。
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↑この左下のところにアイザックとトレーシーが居て、やがて右の階段で登って行ってしまうところも凄くいい。しかしそれの何がどういいのか上手く説明できない。アリの巣セットを横から見てるみたいで楽しいせいなのだろうか?具体的に説明できないのがもどかしい。
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プラネタリムなのか天体博物館なのかよくわからない場所でデートしてるところとか、モノクロのせいで2人が宇宙を歩いてるみたいでカッコいい。f:id:gock221B:20170805024929p:plain
こことか、宇宙に2人しかいないみたいで非常にロマンチックでかっこいい。
うまく説明できなかったが全編カッコよかった。

アイザックとメリーは無事に付き合い始め、同居する。
しかし平和になったと思って即、メリーの気まぐれでひと波乱起きてしまう。
この辺の揉め事のシーンは凄く可笑しい。
メリーが「怒られた方が私の気が楽になるから怒ってよ!」みたいな台詞とか、あまりにも自分勝手だが思ったことをそのまま言い過ぎてる感じが逆に爽快感ある(そしてエールもそんな事言うので2人はお似合いかもなと思える)。
非常に不可解なことがまた起きてしまったが人の心とはそういうもので、そうなった者は「そうなっちゃったのよ」と言うしかないし、そうなられた側は「そうなっちゃったのか‥」と言うしかない。
てっきりこれはアイザックとメリーの映画で、トレーシーはどうでもいいおまけだと思って観てたのでトレーシーが支配する終盤は意外だった。
そしてアイザックが「どうでもいいと思っていたトレーシーが実は大事だった」と気づくと同時に、観てる俺も全く同じ心の動きをさせられるのが良いですね。
アイザックがトレーシーに最後に言われる台詞も良かったし、結末が描かれると同時にブツッと終わるのも男らしくて好きな終わり方だった。
なんとなく優しい感じの終わり方をしている気がしたが、映画終了後のアイザックはうまくいかないんだろうな。。と観終わって10分後に気がついた。
こんな終わり方する映画を観たことなかったので驚いた。
凡庸な監督だったらトレーシーがわかりやすく厳しいこと言って終わりますよね。
終盤で急にトレーシーの人柄がこの映画世界を覆って支配してしまった感じが、何か快感を感じた。
ラストもいいが、その直前のアイザックがエールの妻に「今思えばトレーシーと居た時は凄く寛げてたし本当に優しい娘だった」と語ってるシーンが何気によかった。
その台詞を聞くと、前半でアイザックとトレーシーが一緒にベッドで飯食いつつTV観ながら、ああだこうだ言ってる何気ない場面の雰囲気がめちゃくちゃ良かったな~と思い出して、何ともいえない良いような寂しいような不思議な気分になった。
何かに終わりが来て「あの時は『これが普通の日常だ』と思って普通に過ごしてたけど、今思うと(虎舞竜みたいなことは言いたくないが‥)あれが凄く幸せだったんだな~。そしてもうあの時には二度と戻れないんだな」と思うとたまらない気持ちになったりしますね。
そういう時の心の動きを追体験させられたんでしょう、きっと。。
そういう思いをするのは寂しいが、そういう思い出が全くないよりはいいと思いたいね
良い映画だった。好きだね

そんな感じでした

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