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gock221B

映画その他の感想用ブログ(2015年開設) http://gock.flavors.me/

「教授のおかしな妄想殺人(2015)」ウディ・アレン/最初は可笑しかったが観終る頃には独特の怖さが残った

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原題:Irrational Man 監督:ウディ・アレン 製作国:アメリカ 上映時間:98分

ウディ・アレンの映画が始まると、いつも軽快な音楽とともに冒頭で「この男はxx、彼は最近xxである。なぜなら‥」みたいなナレーションが毎回入って何気ない生活が始まったりするが、どの映画もそういう冒頭からずっと面白いのが不思議だ。
一体何故なんだろと考えてもよくわからない。
他人に勧めやすい特別にすげえって感じの映画は数本に一本しかないが、その代わりイマイチな作品でも、観てる間は特別何も起きてない場面でも常に平均以上に面白いのが不思議だ(ウディ・アレンイーストウッドは共に打率が異常に高い多作監督だと思う)
勿論「全部つまらないぞ」という人もいるだろうから合ってるんだろう。
前作同様エマ・ストーンがヒロイン。
だが前作の「マジック・イン・ムーンライト」は今ひとつピンとこなかったので期待しなかったが本作の方はわかりやすく面白かった

Story
哲学科教授エイブ(ホアキン・フェニックス)が、アメリカ東部の大学に赴任してくる。
若い頃は世界中を飛び回ったエイブだが今では何事にも無気力な厭世的な男になっていた。
彼の教え子である女子大生ジル(エマ・ストーン)は、同級生のボーイフレンドをほったらかしてエイブに夢中になる。
そんなある日、たまたま迷惑な悪徳判事の噂を耳にした瞬間、エイブは誰にも気づかれず悪徳判事を殺害する完全犯罪への挑戦を思いつく。
殺人という生きがいを発見したエイブは心身共に絶好調となる!

そんな話

本作の前半、無気力中年男性のホアキン・フェニックスが何もして無いのに超可愛いエマ・ストーンや同僚の女性に自動的にモテまくる。
その展開自体がギャグなのかどうかはわからないが全体的に薄っすら可笑しい。
エマ・ストーンのキャラは、繊細で孤独なインテリ男が大好きらしい。何故か、よく理由はわからないがそれも観てると可笑しい。不思議だな
ブルージャスミン」みたいなあからさまな傑作の良いところは言いやすいが、こういう論理的に何が面白いのか説明できないが面白い感覚はウディ・アレンの映画を観てるときにしか湧いてこない。友達とかと飲んで朝になっても話してる時みたいな独特の可笑しさが湧いてくる。俺だけか?それともそう感じさせるように作ってるのだろうか。

それにしてもホアキンの腹がすげー出てるのが気になった。
他の部位は普通なのに、腹だけ異常に突き出ていた。
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ただのメタボリック症候群なんだろうけど病気みたいな出方なので心配になった。
その体型と相反するようにエマ・ストーンは女性誌のイラストみたいに身体の線が全部直線でできてるみたいだし脚が果てしなく伸びてるし凄くスタイルいい。
いつものようにアニメみたいに表情がクルクル変わるし只しゃべってるとこを見るだけで飽きない。見てると正に「金の取れる人間」という言葉が頭に浮かんできた
なんでスターと言われる人物の演技は見てるだけで面白いんだろうか。
彼らは常人の50倍くらい自信やエゴがあるという。それが漏れ出てるからなのか?
それにしてもウディ・アレン作品に出てくる猫みたいに気まぐれなヒロインほんと好き(小説だとフィリップ・K・ディック作品のヒロインも猫っぽくて好き)

映画に話を戻そう。
エマ・ストーン演じる女子大生ジルは、同級生の誠実な恋人がいるが退屈さを感じて、エキセントリックな詩人でもあるホアキン演じる哲学教授エイブに夢中になる。
ジルはエイブに求愛しまくるが、エイブは立場を考えて断る。断れば断るほどジルは燃え上がってエイブに迫っていく。
エイブは、ダイナーで偶然聞いた評判の悪い悪徳判事を殺すことにした。
動機は、正義感+自分の生きがい探しのためだ。
前半はエイブが完全犯罪の計画を練り上げるのとジルがエイブに夢中になる様が並行して描かれる。
やがてエイブは折れて二人は付き合うようになり、エイブはついに判事殺しを実行に移す。終盤はそのエイブによる殺人事件と二人の恋愛の顛末が描かれる。

映画の前半、エイブは平気でロシアンルーレット出来るくらいに人生に絶望していて無気力だった。しかし美しく若い女生徒ジルに言い寄られても断り続ける節度があったり、判事を恨む顔も知らぬ主婦に同情する正義もあった。
そして、殺人を思いつくと同時に人生への活力が沸いて性格が明るくなり人生や生活が楽しくなる。そして女生徒のジルとつきあい始め、やがては悪徳判事を殺害。
最初は(自分の生きがい探しの方がデカかったんだろうが)半ば本気で正義を成そうとしていたが、一度獲得した人生の楽しみが奪われそうになると正義は吹っ飛び自分の幸福だけを追求し始める邪悪な人間になってしまう。
自暴自棄だった時は特に害もない人間だったが、人生に前向きになると犯罪者になってしまうんだから皮肉なものだ。まあ「人間、誰でも生きてるだけでちょっとづつ有害」というのをわかりやすく提示されたのかもしれない。

二人は付き合うことになった夜、遊園地に行きエイブはビンゴ的なゲームを的中させてジルに好きなものを選ばせてそれをプレゼントする。
何でも好きな景品が貰えるのにジルは小さくて可愛い懐中電灯を選び「何でも選べるのにそんな実用性あるものを選んで」とエイブは笑った。
そしてそれは皮肉な結末を生む。
これは一体どういう話だったんだろう。
映画の最後に残ったのは「知識より直感」「道徳的であること」と「ロマンより実用性が大事」というウディ・アレン映画にしては思いのほか正論じみた結論だけが最後に残って戸惑った。それは確かにそうなんだろうがウディ・アレンのような男にそんな正論を提示されるのが一番怖いと思うのは俺だけだろうか。
まあこの主人公は他の作品と同じようにウディ・アレンの分身だから自虐なんだろう
最初は意味もなく可笑しい映画で、判事を殺しても本作は基本コメディなので笑っていられたが、終盤は何だかやたらと怖くなった(前半のロシアンルーレットも怖かったが)
最初は無気力だったり殺人を計画するエイブが可笑しかったが、いつの間にか自分もエイブに感情移入してしまいエイブと同じように殺人を正当化しようと考えたり「どうすれば逃げおおせるか‥」などとエイブと同調して考え初めてしまった。
というか、全編どうしようもないこの主人公が自分に似てる事に気付いて怖くなった

二人が付き合うことになる遊園地で、二人は姿が歪んで見える鏡の前に立つ
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この歪んだ鏡の中でジルがエイブにキスして付き合い始めることになる様を映す。
この時はまだ殺人は起きてないし怖い雰囲気にもなってなかったが不気味な雰囲気だった
「お前たち、おかしな事になっとるぞorなっていくぞ」という表現だったんだろう。
殺人などのとんでもない事態は恋愛の浮き沈みとシンクロしている。
もちろん本作は別に犯罪やモラルを訴えたいわけではなく教授と女子大生の恋愛を映し出す鏡として殺人計画が使われているだけだ(たとえばエイブが同時に付き合ってる中年女性は殺人とかどうでもいいと考えている)。そこがこの映画の面白いとこだった
ロマンが最後に勝ったし大ヒットした「ミッドナイト・イン・パリ」を観た後に本作を観たらより怖そう。
とにかく観終わる頃に独特の気分にさせられる映画だった。エマ・ストーンは魅力的

 

そんな感じでした

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