監督&脚本&編集:庵野秀明 監督&特技監督:樋口真嗣 制作国:日本 上映時間:120分 シリーズ:シリーズ、シン・ジャパン・ヒーローズ・ユニバース(SJHU)、『ゴジラ』映画の一本
ご存知、庵野秀明と樋口真嗣がゴジラを12年ぶりに復活させて「震災を経て我々はどうゴジラを描くべきか」「ゴジラに現実的に対処するとどんな感じか?」などを突き詰めた結果、大ヒットした特撮映画。最近公開された『シン・ウルトラマン』の予告観たらシン・ゴジラも観たくなったので先日、観返した。公開当時も少し遅れて観て感想も書いたのだが文章がつまんないしアクセスも全然ないから消して怒る人もいないだろうし、まぁいいやと全部消したまた感想書くことにした(といっても感想自体は殆ど同じだが)。
久々に観ても庵野のノリがオリジナリティあって良いなと思った。冒頭のスマホで撮ってるモブの棒読み台詞とかが8mm映画みたいで良いし尾頭さんは大人気だから飛ばすとして、評判悪かった90年代のアニメキャラみたいに珍妙な喋り方する石原さとみも慣れると魅力ある。エヴァでミサトさんがビール飲んで「ぷっはァ~!くぅ~~っ!やっぱ人生この時のために生きているようなもんよね~~っ!」と言うのがめちゃくちゃ恥ずかしいが慣れると良いものに思えてくるのと似ている。石原さとみの恥ずかしい喋り方は一種のイニシエーションだ。通過儀礼を超えると石原さとみの拳がアップになって「イエエェス!」とか言うのを観ると興奮するようになってくる。
序盤~前半が一番面白くて、ラストバトル辺りのゴジラはまるで現実の日本に即した巨災対に合わせたかのように血液凝固剤を全部飲むまで転倒したままでいてくれてたりと手加減してくれてる感があり怪獣映画特有のケレン味がなく、事態の収束が近づくにつれてテンションは下がっていくが基本的にそれでも全編面白い。
日本の政治家たちの回りくどい対応の描写は恐らく「少し頼りない総理」「非常時にも迂遠な対応」といった感じを描写したのだろうが、コロナ禍の今、観返すと「この大杉漣演じる総理、柔軟に多者の意見を聞くし命懸けで対応するめちゃくちゃ立派な総理やん!リアリティなさすぎるな」「皆めちゃくちゃ早いうちからサクサク事態の収拾に取り組むし、自分の意見をズバズバ言う異端児が潰されずいっぱいいる日本の上層部でリアリティなさすぎるな。これに比べたら『コマンドー』の方がまだリアリティあるやろ!」といった感じで、僅か数年で観え方が変わっており「(多少、理想化されてはいるが)リアリティあるゴジラ映画」が売りだったのに、今ではもう表面上リアリティある段取りを描いている分、それがギャップを生んで死ぬほど荒唐無稽な映画にしか見えなくなってたのが新鮮だった。「こんな立派な人だったらよかったね」というある種の悲しささえ感じる。
とはいえ本作が面白いことには変わりない。それに、立派な人達たちが力を合わせて災害を乗り越える……そんな世の中の方がいいだろ。庵野は本作でそんな理想の光を見せたかったんちゃう?そのポジティブさを肯定したい気持ちだ。
それはそれとして、公開当時はゴジラがビームや放射能で東京を炎上させるシーンで悲しくなった気がするが今観ると「もっと破壊しろ!」という気持ちになり、ゴジラが血液凝固剤でやられて日本が勝利するのが何か観ていて不満なのは何だろう?この5年の間に俺の物事の見え方が変わり何かに不信を抱くようになったのかもな。
また、ゴジラが一定時間寝転んだままになって血液凝固剤をコクコク……と飲ませ、再び倒してコクコク……と飲ませるラストバトルは、主人公たち巨災対の努力が上手く行った!と応援したい気持ちはあるものの、それと相反する気持ちとして「ゴジラ、完全に自分が負けるように手加減してくれてるやん」という気持ちも強かった。ちょっと攻撃力や成長性が強すぎるために「これくらいの事で負けるかな?」とどうしても思ってしまう。それにゴジラとしてとか怪獣映画としてはどうか知らんが、何か「映画として」カタルシスがなさすぎるラストという気がした。何か教育テレビみたいな大団円なんですよね。
もう、思い切って、凍結したと思ったらゴジラがすぐ復活して大暴れして米軍の核が落ちて皆死ぬとか、尻尾のゴジラ兵が爆誕するなど日本が壊滅するバッドエンドの方が良かったかも?何か今作ったなら日本政府が後手後手で日本はゴジラに敗れ去ると思うんですよね(総理とかだけ海外に移住して快適に過ごす)。
まぁゴジラの倒し方がせせこましかったって事かな?でも超兵器とか出せないからこうするしかなかったのかな?まぁこれはこの時のベストのゴジラって事でこれでいいです。『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』(2019)はケレン味しかない感じの映画だったから『シン・ゴジラ』と『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』を足して割ると丁度いい自分好みのゴジラになるかも?
ゴジラよりウルトラマンの方が好きだから『シン・ウルトラマン』は『シン・ゴジラ』の時よりも楽しみですわ。
そんな感じでした
〈庵野秀明監督作〉
『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』(2021)/尿意は残っていたよ。どんな時にもね🧑🏻 - gock221B
『シン・ウルトラマン』(2022)/シンゴジより好き。ただ尾頭さんよりカヨコが好きになれる度量が必要🌏✨ - gock221B
『シン・仮面ライダー』(2023)/庵野作品のきついノリ……特に「キューティ・ハニー」とかさえも許容できる人だけが楽しめる、人を選びすぎる作品。一文字隼人とサソリオーグ大好き。後半は黒澤明映画以上に字幕が必要🦗🏍👩🏻🦗🏍 - gock221B
〈他のゴジラ映画〉
『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』(2019)/怪獣に疎い自分も意外と楽しめた。ラドンとミリー・ボビー・ブラウン最高☢ - gock221B
『GODZILLA ゴジラ』(2014)/不必要な主人公交代やゴジラ出し惜しみや怪獣バトルを見せないスカシなどでフラストレーションだけ溜まった☢ - gock221B
『ゴジラvsコング』(2021)/荒唐無稽さを荒唐無稽な舞台で相殺したり時には綺麗に整地したりするし楽しかった☢️🦍 - gock221B
『ゴジラ-1.0』(2023)/全体的に面白かったが、おっさんやオタクが好みそうな登場人物たちや展開を「これって好きになっていいんかな?」と戸惑いながらも最終的には好意的に応援した。凶悪なゴジラと異能生存体・浜辺美波☢ - gock221B
『ゴジラxコング 新たなる帝国』(2024)/コングがガキのエテ公を掴んで武器にして他の巨大エテ公をシバキまわすくだりだけ面白かった。あとは死ぬほどおもんなくて20年ぶりに劇場で寝た……でもラストバトル睡眠は光や音の効果で睡眠の質が良かったかも☢🦍 - gock221B
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