gock221B

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『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』(2021)/スカイフォール以降のジェームズ・ボンド映画とノーランのアクション映画とラノベを足したようなガンダム、面白かった🌏

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監督:村瀬修功 脚本:むとうやすゆき 原作:富野由悠季矢立肇機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』(1989-1990) 制作:サンライズ 製作国:日本 上映時間:95分 シリーズ:『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』三部作、『機動戦士ガンダム』シリーズ

 



 

初めて子供だけで観に行った映画が『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』(1988)だったのだが、その続きの原作小説が映画化されたと思うと感慨深いものがある。
そのバッドエンドだけやたらと有名な原作小説だが読んでない。当時、本作の主人公ハサウェイはΖガンダムのカツに並ぶ「ガンダムに出てくるムカつくガキ」2大巨頭だったため興味が沸かず読んでなかった。やがて大人になりそんなムカつきも消えたが、そのバッドエンドだけを知ってる状態だと何か辛気臭くて読む気が起きなかったというのがあったし、自分はそもそもガンダムを一通り履修するのが当たり前の世代だから観てただけでガンダムがそこまで優先順位が高くないから忘れてた(プロレスとかお笑いもそうかもね)「しかし、何のために書いた話なんだろう?」という疑問があり読まないとわからないそれを知りたい気持ちもゼロではなかった。そんな時、映像化されたので丁度いいじゃん……とは思ったが三部作の一作目と聞いて再びかったるくなって配信始まっても放置してたが昨夜、暇だったので観たが思ってたより面白かった。
ちなみに全然ガンダム観てないが本作を観てみたい人も居たが、そういう人は『機動戦士ガンダム』(1979-1980)もしくは同作の劇場版三部作を観た後『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』(1988)を観て本作を観ればOKだと思う。全部Netflixにある。
ネタバレあり……というか特にネタバレにあたる要素は欲にないんだけと一応そう書いといた。

 

 

 

第二次ネオ・ジオン戦争〈シャアの反乱〉から12年経ったU.C.0105
地球連邦政府の腐敗は地球の汚染を加速させ、強制的に民間人を宇宙へと連行する非人道的な政策「人狩り」も行っていた。そんな連邦政府高官を暗殺して抵抗を開始したのがマフティー・ナビーユ・エリンをリーダーとする反地球連邦政府運動〈マフティー。その正体は、一年戦争を始めとする数々の戦争で戦った有名な連邦軍大佐ブライト・ノアの息子ハサウェイ・ノアアムロ・レイシャア・アズナブルの理念と理想を宿した戦士として道を切り拓こうとするハサウェイだが初恋の少女クェス・パラヤの死が彼の心に強迫観念として残っている。
ハサウェイはマフティーとしての身分を隠して地球に降り立ち、謎の少女ギギ・アンダルシア連邦軍大佐ケネス・スレッグと出会う―

「あのハサウェイ」が25歳に成長しており、マフティーというテロ組織のカリスマ的なリーダー〈マフティー〉になっている。
そんな彼がテロリストとしての身分を隠し地球にやってくる。自分たちが殺す予定の地球連邦政府の高官たちの顔を直に見たかった為らしい。
で、美少女のギギとかマフティー討伐を命じられた連邦軍大佐ケネスと出会う。この三人の三角関係も本作の軸の一つらしい。
で、マフティーのメッサーがハサウェイやギギが泊まる高級ホテルを爆撃、ハサウェイはギギを庇って逃げる。
ここが疑問なんだけど、なんでマフティーはハサウェイが泊まってるのに爆撃してるのかがよくわからない。何か見落としたのかな?「連邦政府ジェガン的なMSが市街地なのに平気でマフティーのMSを撃とうしたからマフティー津田健次郎声のイケメンも応戦せざるを得なかった。ハサウェイには当たらんといてくれよ」って事なのかな?ハサウェイ滞在中にテロするのは危険すぎじゃないですかね?ハサウェイは何とか死なずに済んだが20回くらい死にそうになってたし。
それとも後半出てくる〈Ξ(クシー)ガンダム〉を強奪する任務か何かやってたのかな?途中でマフティーの眼鏡の女の子構成員と話してたけど特に話を聞いてなかったから聞き逃したかもしれん。
まぁ、それは別にいい。ハサウェイが号泣するギギを抱えて逃げ惑う……ハサウエイはクェスを思わせるエキセントリックなギギと一緒にいるうち調子が狂いマフティー業務に集中できない。ケネスもまた冒頭のハイジャックの時からギギに夢中な様子。
何だかんだあって、ハサウェイはマフティーに合流し、追ってきた連邦政府ガンダムペーネロペー〉をΞガンダムで迎え討つ。
水戸黄門』で言うと、身分を隠した黄門さまが事件の渦中に身をおいて地球連邦政府高官の腐敗っぷりを見極めているという三幕構成で言う一幕目でしかない。
ちなみに連邦政府高官の腐敗っぷりというのもあまり視察できてない気がした。マンハンターと呼ばれる警察が乱暴に宇宙移民を宇宙に送り返しているとか、連邦政府高官がエロい愛人とホテル泊まってるとかそれくらいしかない。まぁファーストの頃からずっと連邦政府の腐敗は描いてたので、わかるでしょって事かもしれん。あとはタクシー運転手などから「俺らは何とか生活できてるし別にマフティーのやってる事は特に興味ないなぁ、千年先の人類の未来とか俺とか生きてないからどうでもいいし」といった生の意見を聞いたハサウェイは、自分たちの崇高な理念のもと行ってる活動が一般人全体に届いてるわけではない事を肌で感じて複雑な表情になる。「世直しのこと…知らないんだな。革命はいつもインテリが始めるが夢みたいな目標をもってやるから、いつも過激なことしかやらない」「気高い革命の心だって官僚主義と大衆に飲み込まれていくからインテリはそれを嫌って世間からも政治からも身を引いて世捨て人になる」などと言っていた『逆シャア』でのアムロの台詞をどうしても思い出してしまう(それにしても逆シャアの台詞は名言ばっかで凄いよね)。気高い革命の心を持って活動しているハサウェイはどうだ?ハサウェイは滅びずにいられるのかな?
どちらかというと連邦政府の腐敗より、美少女ギギの魅力を見極めているハサウェイという感じがあった。

 

 

 

そんな感じで本作はストーリーだけだと、まだ序章で割とどうってこない話だった。
それより妙な味わいとかMSやキャラクターの美しいアニメーションが見ものだった。
本作の妙にリアルで大人っぽい……別に大人っぽくはないのだが大人っぽい風に描かれる場面の数々はサム・メンデスが撮った『007 スカイフォール』(2012)以降のジェームズ・ボンド映画やクリストファー・ノーランのアクション映画っぽい雰囲気が満載だった。特にボンド映画っぽいかな?冒頭15分が終わった後に短いOP曲が始まるがこれがまた大仰な曲とモダンな映像でジェームズ・ボンドっぽさ満載!キャラクターの挙動やアクション、リゾート地や高級ホテルを舞台に潤沢な資金と高そうなスーツで活躍する主人公、セクシーでミステリアスな美女、そして何よりもそんなアダルトで高級そうな装飾の一枚下はアホみたいな俺TUEEE!な展開の数々とバケモノMSを駆って活躍する主人公。マフティーの女性メンバーも男性メンバーも皆、ハサウェイの事を尊敬している、彼女も居るし。
……そんなラグジュアリーな外面と、暴力的で幼稚な中身……というコントラストが本当に近年のボンド映画によく似ている。ちなみに僕はブログにまだ書いてないけど昨年暮れにクレイグボンドに今頃ドはまりして全作観返してたので、こういうところは凄くプラスな要素。
この本作を覆う「ラグジュアリーな装飾」は本作が大ヒットした成功理由の一つだと思う。サラリーマンは如何にも「漫画!」って感じの表紙の『ブラックジャック』の秋田書店コミックスは買いたがらないが油絵が描かれた表紙の文庫版『ブラックジャック』は平気で買う。あとコンビニ編集漫画も……。要は大人が荒唐無稽なエンターテイメント作品を楽しむには言い訳が必要なんだろう。本作のラグジュアリーな雰囲気は正にそれ。そんで本作のMSもまた……これは後述する。
ボンド映画はかつて「サラリーマンの夢」の具現化のような内容だったが、本作でいいところも正に、そういった部分。ただし本作を観て喜んでるのは童貞っぽいマインドを持ったガノタおじやガノタ青年たちが大半であると思われるため、世界各地で美女とパコりまくるボンドと違って本作は「童貞の夢」っていう雰囲気がある。何しろハサウェイはハイジャック犯を倒す仮定で知り合った謎の美少女ギギの事が気になって仕方ない。本作を一言で言うと「ハサウェイは謎の美少女ギギの事が気になって仕方なかった。そして……最後までハサウェイは謎の美少女ギギの事が気になって仕方なかったのであった…(完)」というだけの話でしかなかったといっても過言ではない。
ハサウェイとギギはハイジャック事件の後、何故か高級ホテルで同室になるという有り得ない事態が起こる。ギギが気になって仕方ないハサウェイではあるが特にベッドを共にしたりはしない。ハサウェイは地球の視察に来たわけだし後で組織の仲間と合流する……組織に彼女も居るし……という事で手を出さないのだが細かい事を除くとハサウェイがSEXしなかったのは童貞的に手をこまねいているだけとしか見えない。そうでなければ同室という設定は要らない。ハサウェイが手をこまねいている間にギギはケネス大佐とデートに行ってしまう。だが「自分は大人の男だ」とハサウェイにドヤってたケネスだったが、ケネスはケネスで体育会系的な下品さがあるのでギギはなびかなかった。そしてギギは大富豪の老人の愛人だということがわかると大人の男を自称していたケネスもまたハサウェイのような童貞的な動揺顔を晒してしまうのだった……。
ジェームズ・ボンドなら当然ギギの正体など気にしないだろう、この辺がボンドとガンダムの違いだ。だがどちらが良いも悪いもない。ギギの謎や三角関係がどうなるのかは続編に続く……。
そんな感じで僕は本作を童貞版ジェームズ・ボンドとして楽しみました。
とはいえ典型的に思わせぶりな事ばかり言うファムファタール的なギギは「古臭いキャラだなぁ」と感じて全く魅力を感じなかった。二作目以降でギギの内面が描かれたら好きになるかもしれないが本作一本だけなら古臭さしか感じませんでしたね。

 

 

 

MS
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MECHA|『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』公式サイト
人物のアクションやMS戦は凄く良かったです。
ハサウェイやギギが泊まってる高級ホテルから見るMSの攻撃、MS同士の空中戦、都市でのMS戦で逃げまどうハサウェイ&ギギがアミューズメントパークのライドのように破壊される街を見せる様とか「映画館で観た方が楽しいだろうな」と思った。
また本作のMSも良かったです。Ξガンダムペーネロペーは以前からゲームやガンプラで広く知られていた。あまりにバケモノっぽく肥大したMSだが、僕は「一番好きなガンダムガンダムMk-II」って感じのシンプルなMS好きだけど、本作のバケモノっぽいMSは逆に『冥王計画ゼオライマー』(1988-1990)の八卦ロボみたいで好きだった。小説版の時にΞガンダム等をデザインしたのは正に『冥王計画ゼオライマー』(1988-1990)のメカデザインの人だった……というのは最近知ったけども。本作のΞガンダムは更に、胸部部にガンダムの額の角みたいなのが付いているという意味不明なハッタリ装飾も付いている。これも意味わかんなくていいなと思った。
あまりに大柄すぎて『魔神英雄伝ワタル』(1988-1989)の2.5等身ロボの龍神丸みたいに見えるほどの大柄さ。大柄以外の、クシーならではの個性はファンネルミサイルと単独で飛行できること。結構好き。
そんなバケモノ的MSのΞガンダム vs.ペーネロペーであるが、両者の飛行形態や戦闘系はごちゃごちゃしすぎてるし舞台も暗くてよく全身が見えない。多分だけど全身をクッキリ見せてしまうと両者とも、あまりにアニメっぽいルックスだから本作のアダルトなラグジュアリーさが減ってしまうから、本作ではわざと全身を見えなくさせていると感じた。
ちなみにライバルのレーン&ペーネロペー。真のライバルは恐らくケネスだろうから、レーンは敵なのに人質をわざわざ返して一騎打ちするという正々堂々としたキャラだった。ペーネロペーも「クシー同様に八卦ロボみたいでいいやん」と昔は思ってたけどオプションユニットを脱いだら貧弱なガンダムが出てくるのを知って全く式ではなくなった。
他にはマフティーが駆る、ファーストで言うとザクにあたるメッサーもカッコいいなと思った。全然人気無いけど僕は好きなヤクト・ドーガに似てるし。
また敵にあたる地球連邦政府グスタフ・カールジェガンのマンハンター仕様もとてもカッコよかった。ジェガンとか今まで全く興味なかったのに「黒ニーハイみたいなの履かせるだけでこんなにカッコよくなるんだな」と思った。

まぁ、そんな感じで。UCやNTはイマイチだったけど意外と本作は楽しめました僕でした。いよいよブライト父さんが出てくるらしい続編『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ サン オブ ブライト(仮)』(202?)は「最速で2024年、でもコロナでそれは無理そう……」って感じみたいなんで2030年までに終わるのかな?と不安になってきた。自分はもう中年なので完結はおろか次回作まで興味を維持できるかどうかも怪しいですが、このブログは今のところ死ぬまでやるつもりなので二作目が公開されたら、またここの感想でお会いしましょう。

 

 

 

 

そんな感じでした

『機動戦士ガンダムNT』(2018)/ガンダム本体がヒロイン🐥 - gock221B

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『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』公式サイト

www.youtube.comwww.youtube.com
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