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『マインクラフト/ザ・ムービー』(2025)/近年のゲーム原作映画を楽しめる人と楽しめない人は何故別れるか。ジャック・ブラックの走馬灯


原題:A Minecraft Movie 監督:ジャレッド・ヘス 脚本&原案:クリス・ボウマン。ハベル・パーマー 原案:アリソン・シュローダー 脚本:ニール・ワイデナー。ギャヴィン・ジェームズ。クリス・ギャレッタ 原作:Mojang Studios『Minecraft』(2011-) 製作&主演:ジェイソン・モモア 製作:メアリー・ペアレント。ケイル・ボイダー。ロイ・リーほか 撮影:エンリケ・シャディアック 編集:ジェームズ・トーマス 音楽:マーク・マザースボー 製作会社:レジェンダリー・ピクチャーズ。Mojang Studios。ヴァーティゴ・エンターテインメントほか 製作&配給会社:ワーナー・ブラザース・ピクチャーズ 製作国:アメリカ 上映時間:101分 公開日:2025年4月4日(日本は2025年4月25日)

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レジェンダリー・ピクチャーズは「実写の人間と3DCGのポケモンを絡ませたキッズ人気高いゲーム」の実写映画化『名探偵ピカチュウ』(2019)を制作して残念ながらコケてしまった……これ先日観たけど結構楽しかった(そして「ゲームの実写映画化は成功例が少ないのでそのチャレンジ精神を買って1.5倍くらいで評価したい気持ちがある」)。
そして『名探偵ピカチュウ』(2019)が微妙な失敗したのに「実写の俳優と3DCGを絡ませるキッズ人気高いゲームの実写映画化」に果敢にも再チャレンジした2回目。
確か初の予告編の時は「おもんなさそう」と叩かれた。僕も「あぁ、これは『ピクセル』(2025)みたいな子供だまし映画かな」と思った。主人公とジャック・ブラックがあまりにも似てなかったし『マインクラフト』世界に実写の人間が居るのはあまりに異様だった。しかし続く予告編などで期待され始め、公開されたらとんでもないエゲツないほど爆発的にヒットし、そして欧米では若者中心に、特定のシーンでポップコーンを撒き散らしたり脱いで暴れたりといった不思議な社会現象が起きていた。
とはいえ「ジャック・ブラックやエマ・マイヤーズは好きだが『マインクラフト』やってないし、ルックがキッズ向けっぽいし自分はいいわぁ……」とスルーしようと思ってた……が、先日観た『名探偵ピカチュウ』(2019)が楽しかったし『モータルコンバット』(2021)『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』(2023)なども楽しかったので「昔はつまんないものが多かったゲームの映画化だけどひょっとして当たりが多いのかも」と思い観ることにした。そしてぼんやり思ってた「ゲームの映画化が何故おもろいものが多いのか」という事に一つの結論が出た気がした。
監督は『ナポレオン・ダイナマイト』(2004)や『ナチョ・リブレ 覆面の神様』(2006)とかのゆるいコメディのあの人、あぁ、だからジャック・ブラックが出たのか。
『マインクラフト』は他人がやってるのを見てただけで自分でプレイしたことはない。
まだ配信来てないけど急に観たくなってレンタルで観た。

ネタバレあり

 

 

    

 

 

いきなり過去回想から始まる。
平凡な暮らしに嫌気が差したスティーブ(演:ジャック・ブラック)は幼い頃から憧れを抱いていた鉱山で光るキューブアース・クリスタルを発見し組み合わせると別世界へのポータルが開き、その先は四角いキューブで構成されたオーバーワールドだった。
スティーブは、自由にキューブをクリエイトして活躍できる世界オーバーワールドで、知り合った四角い狼デニスを盟友にして冒険の日々を過ごしていたが、地獄〈ネザー〉を支配する魔女マルゴシャはクリエイトを憎んでおりオーバーワールドに暗闇をもたらすためキューブ&アース・クリスタルを奪おうとする。
囚われたスティーブはオーバーワールドを護るため、デニスにキューブ&アース・クリスタルを渡して現実世界に持っていってもらう。

……というのが、本作は映画第2作目で、スティーブの過去をまるで「オリジンのあらすじ」のように見せる。
エンタメ映画はオリジンを描く第一作目はじっくりしすぎており二作目が一番面白い事が多い。だから『マインクラフト』的な世界観の説明などは最低限だけ見せてさっさとそれを応用した「2作目の面白さ」を一作目なのにも関わらず出そうとした結果がこれなのかも。

現実世界。
1980年代にアーケードゲームのチャンピオンだったが今はゲームショップが立ち退き寸前で負け犬人生を過ごすマッチョ中年男性ギャレット(演:ジェイソン・モモア)。
彼は偶然キューブ&アース・クリスタルを入手する。
親を亡くして街に引っ越してきた姉ナタリー(演:エマ・マイヤーズ)は若くして弟の親代わりをしなくてはならなくなった。その弟、ヘンリー(演:セバスチャン・ハンセン)は発明が得意だが学校で変わり者扱いされており過保護気味の姉ともぎくしゃくしている。ギャレットと知り合ったヘンリーは、精神年齢が同じくらいなのギャレットに懐く。
そんな、人生がうまくいっていないギャレットと姉弟姉弟に物件を紹介した不動産業者ドーン(演:ダニエル・ブルックス)の4人は、キューブ&アース・クリスタルによって鉱山からオーバーワールドへ飛ばされてしまう。
20分ごとに夜が訪れるオーバーワールドでゾンビやモンスターに襲われた4人だったが、想像力に富むヘンリーがキューブで塔を作り逃れる。
だが追い詰められた4人を救ったのは牢を逃れてきたスティーブだった――

 

そういう感じでスティーブ、ギャレット、ナタリー&ヘンリー姉弟、ドーンによるオーバーワールドでの冒険が描かれる。
なんでも出来るオーバーワールドで活き活きしてるスティーブだが現実逃避してマイクラし続けてるようなものなので何時までもこれでいいのか?という問題。現実世界の金銭問題をここで何とかしようとするがヘンリーに呆れられ友情に亀裂が入るギャレット。弟を心配しすぎて遠ざけられるナタリー、現実世界では上手くいかないが創造性を認めてくれる世界でイキイキし始めるヘンリー。なんか着いてきてるだけだが意外な特技を発揮するドーン、幼い頃にダンスを否定されたので創造性を憎むようになった魔女マルゴシャ……みたいな人間ドラマも一応あるけど正直薄い。「ギャレットとヘンリーの友情に亀裂が?」とか言っても2人出会ったばっかりだしね。
それらの人間ドラマは「まぁ彼らはそういう感じの設定だからそのように汲み取ってくれ」といった感じでその辺は割と忖度して「なるほどね」って感じで軽く観ていく感じ。
最初に言っておくと本作は「一体、何年頃の話か」というのはよくわからない。というか意図的にボカされている。ギャレットは「若かった1980年代にゲームプレイで人気者になった」が、では現在の中年のギャレットは何歳なのか、40代~50代くらいに見えるがよくわからない。本作の「現代」は2000~2020年代のいつなのか?それはわからない。そもそもどの登場人物もスマホやインターネットを使っていないし、そもそも子どもたちが大好きなはずのゲーム『マインクラフト』を知らない。結末ではまるで80~90年代かのようなベルトアクションゲームが大ヒットするというのも現代とは思えない……、という事で本作の世界は「1980年代に若者だった男が中年になってる」ということ以外は意図的にボンヤリさせている「だいたいの”現代”」という感じで描かれている。インターネットやゲーム『マインクラフト』のことを誰も知らない不自然さを隠すためだろう。本作は一見、現代アメリカに見えるがそういった感じで「現代のアメリカ”っぽい”世界」という感じ。オーバーワールドから四角い生き物や四角い人間が現実世界に来ても誰も驚かないし。そういうことだ。
妙にドライなコメディを撮ってた監督だけあって「ここはもうわかるから省略でいいでしょ」という感覚もまた欧米キッズに合ってたのかも(「小さい剣で刺す気だろ?ほらね」の繰り返しなど)。

 


ゲームの快感

それより本作は、「『マインクラフト』というゲームの楽しさ」とにかく楽しい展開を前面に出している。
穴に落ちたギャレットが横に掘って行って逃れたり、ヘンリーがゾンビから逃れるため小さな塔をポンポンと作ったり、作業台で色んな素材を合成して武器を作ったり、あの独特のエネルギーで前進するトロッコに乗ったり、エンダーマンに追いかけられたり……といった『マインクラフト』の色んな楽しさを次々と出していく。
『マインクラフト』は任天堂のゲームのように、操作や効果音がいちいち気持ちいいので実写の人間が地面を四角く掘ったり、処理されたものが四角いキューブになったりと、効果がいちいちゲーム的な快感がある。……と言っても何度か言ったように『マインクラフト』全くやってないんですけど……でも似たような感触を別のゲームでやっていたりして身体にゲーム的な快感が染み込んでて、本作はその原初的な感覚を刺激してくる。
最初に『名探偵ピカチュウ』(2019)『モータルコンバット』(2021)『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』(2023)など近年の楽しかったゲーム原作映画を幾つか挙げたが、昔はゲーム映画原作映画って例外なく駄作しかなかった。いつからか知らないが楽しいものが増えた。昔のつまらなかったゲーム原作映画は「ゲームを映画の方に引っ張って、ゲームを映画の文脈で描くだけ」だった、これがつまらなかった。というかゲームのストーリーや展開はゲームでプレイしてこそ面白いものであって、別にストーリーや展開自体が優れてるわけではない。しかしゲームのタイトルに釣られたファンが見に来る……ゲーム原作映画の利点はこれだけだった。だから、ゲームに全く興味ない映画製作者が嫌々ゲームを映画化していただけだったが近年のゲーム原作映画は「ゲームの、そのゲームでしか味わえない快感」と共に描いている。だから気持ちよく観れるのだろう。『モータルコンバット』(2021)は一本の映画の中に凄い数の対戦を破綻なく入れてたしフェイタリティ(このゲーム特有の残虐な必殺技)を幾つも決めたりして大変気持ちよかった。大ヒットした『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』(2023)
は、その最たるもので宮本茂がミリ単位でマリオのジャンプやダッシュなどお馴染みのアクションを監修したって噂があって観たら実際に気持ちよかった。任天堂ハードとかスーファミ以降……20年以上?持ってないけど子供の頃に気が狂うほどやってたスーパーマリオの記憶があって映画『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』(2023)は観ただけでそれを刺激した。幼い頃に食べていた母の料理を久しぶりに食べたようなものだ。よく仕事でゲームに興味ないけど『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』(2023)を観なくてはならなくなった映画評論家や単純にゲームやってない人とかが「マリオの映画……観たけど一体何が面白いのか……全くわからない」と言ってる人もいたが、それは単純にゲームに対する体感の記憶がないからだろうなと思った。それがないのに『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』(2023)観ても「CGの塊で出来たヒゲの男が走ったり飛んだり……大人がこれを観てどう感じれば良いんだ……」と思ってもそれは無理もない。誰が観ても無理やり面白がらせる……たとえばバック・トゥ・ザ・フューチャーとかインディ・ジョーンズ魔宮の伝説みたいな映画ばかりではない、何事も素養や前提の記憶が必要な作品はある。僕だって「怪獣への素養」がないので怪獣映画観たら大抵眠くなるし、もはや映画とは関係ないが団体の球技苦手なので試合とかも一体何が面白いのか全くわからない。
そういう感じで『マインクラフト』は何度も言ったようにやってないわけですが「このゲームどんどん掘ってったり合成したり家建ててゾンビから避難したり楽しそうだなぁ」というくらいはわかる、それが前述の「面白いゲーム原作映画」同様にその体感を刺激してくる気持ちよさがあった。
イクラはやってないけど、幼い頃に友達とレゴで遊んでて、それも決められたビルドじゃなくてレゴで自分たちのアバター乗り物、家、キャラの関係性などを決めてロールプレイしていた、これが3人だけの小規模世界とはいえ一応「世界の創造」なわけで時間を忘れるくらい毎日友達とロール・プレイして面白かった。
その点『マインクラフト』やれば、それが画面内で全部できるんだから、自分はやってないとはいえ「そりゃ子供だったら狂ったように永遠にマイクラやるだろうな」と理解は出来る。というか大人でも今からやれば楽しいだろうね。他にやることあるからやんないだけで……(今もやりたいゲームいっぱいあるけど時間取られるからゲームは年に数回だけと決めている)。

 

 

少年の夢の仲間

本作の観客のメインターゲットであるキッズの多くは主人公ヘンリーに感情移入して観ることになる。もちろんナタリーや他の3人や敵の魔女に感情移入する人もいるだろうがここではヘンリー中心に語っていくことにする。
工作が得意なヘンリーは学校で悪目立ちして友だちができない。
今のアメリカ社会では勉強できたり創造的なことする生徒は人気出ると思うんだけど、まぁ本作の何年代なのかわからないし映画の舞台が凄いド田舎なのかもしれないね。とにかくヘンリーは町で浮いていた。そこで出会ったのがギャレット。売れないゲームショップで虚勢を張ってばかりの男だが、居場所がないヘンリーには希望の光となる。
スティーブは、創造の世界で自由に羽を羽ばたかせたらどうなるかというヘンリーの夢の部分を先に進めたような人物。スティーブは(本編が始まる前の回想の時点で)自己実現が済んでおりメンタルもフィジカルも万全、弱点といえば「狼の相棒デニスが心配」ということ以外ほぼ弱みがない、本作における”超人”といえる。
そしてスティーブもギャレットも、ほぼ無職のオモシロ中年というのが、ヘンリーくらいの少年からすると凄く欲しい存在。2人は子供だからってヘンリーを見下さないし無職なのでずっと遊べる。
冒険しているうち、まだ若いのにママ代わりをしなくちゃいけなくなって肩肘張っていたと詫びるナタリーとも和解。エマ・マイヤーズは今世界で一番可愛いしクレバーなのでお姉ちゃんだなんて冷静に考えたら最高だ。
ドーンはほぼヘンリーと絡みないが……というかドーンの役目はほぼデニスや動物を手懐けるという役割しかないが……とにかく演じてるダニエル・ブルックスは『オレンジ・イズ・ニュー・ブラック』(2013-2019)や『ピースメイカー』〈シーズン2〉(2025)を見れば分かる通り「心の内を打ち明けて相談したら世界で一番きいてくれそうな人ナンバーワン」なので、実はヘンリーのこのチームは、ヘンリーくらいの年齢の孤独な少年にとって見れば”世界一の存在”ばかり集まっている最高のチームと言える。

 

 

ジャック・ブラックの楽しさ
もはやゲーム『マインクラフト』とは何の関係もないのだが本作の三分の一~半分くらいはジャック・ブラックで出来ている。
「前作主人公」という感じで出てるメインキャラクターの一人で、オーバーワールドの事を知り尽くしているので新しいものが出てくる度に教えてくれる。
最初、観ながら「先輩キャラ、スティーブが居ればギャレットいらなくね?」と一瞬だけ思ったが、ギャレットはヘンリーと共に成長する不完全な年上。スティーブは”存在しない前作”で既にレベル100まで成長しきっている年上キャラ。ギャレットはオーバーワールドのことを知らないからヘンリーと同じ様に……いやヘンリーよりも新しい展開にビビる。スティーブは既にオーバーワールドを知り尽くしているので「ああここは◯◯なんだ」「これはこうすれば△△になる」などと全て教えてくれ、映画の時短にもなる。映画冒頭の”前作でのあらすじ”みたいな紹介と後の逐一説明してくれるスティーブで面倒な展開を全てふっとばしている。ゲームのファンなら知ってるだろうしな。
ゲーム『マインクラフト』でのジャック・ブラックの役割はそうだが、もはや『マインクラフト』と全く関係ないジャック・ブラックのワンマンショーのようにもなっている。あまりに『マインクラフト』と関係なさすぎて、それでいて楽しいので笑ってしまう。ハイテンション演技や美声での歌声、Sax-A-Boom(自動で演奏するサックスおもちゃに合わせて演奏してるフリをするジャックの持ちネタの一つ)に至ってはマイクラとあまりにも関係なさすぎるが面白いからOKだし
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映画の最後は親友となったギャレットと一緒に仲間の前でLIVEして終わる。
これはどう見ても名作『スクール・オブ・ロック』(2003)のラストのオマージュだろう。冷静に考えると何でギャレットとバンドを組んでるのか意味がわからん。

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ここまで来ると何だか「ジャック・ブラックの走馬灯」みたいにも見えてくる。
ジャック・ブラックはアラフォーくらいの時に「ジャック・ブラック好きだが無職(のようなキャラクター)で40代だと笑えなくなるのでは……?」という勝手な懸念があったが『カンフー・パンダ』シリーズで中国で稼いだりSNSでゲーム実況したりしながら、全方向に球体のように太っていくというポップな肥満体となり、もはや無職っぽいとかそういうことを考えさせない、現実感のない太った面白いおじさんとなって、前述の懸念時期を乗り越え、キッズ向け映画でブレイクした……いや、もともとブレイクしてたが、どういうわけか更にえげつない大ヒット作ばかりに恵まれた。シリアスな役よりオモシロおじさん方向へと舵を切った印象。
よく鬱っぽくなったり陰謀論者っぽいスピリチュアル的なこと言うといちいち真に受けられたソニックしか出番がないジム・キャリーと対象的にジャック・ブラックは何かと器用な印象。


ポスクレのキャラ知らないから調べたらもう一人のオフィシャルキャラクターらしい。で、声優は一言だけなのにわざわざケイト・マッキノンだったので、これは早くも決まった続編(2027年)にダブル主人公で出てくるのだろう。
エマ・マイヤーズも更にブレイクしたし続編も楽しみだ。



そんな感じでした

 


 

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