gock221B

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『復讐 運命の訪問者』(1997)/エンターテイメント性高めな映画でした🔫

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監督:黒沢清 製作国:日本 上映時間:83分

 

この映画(いやVシネだっけ?)を観た。これは未見だった。
蛇の道」と「蜘蛛の瞳」は観てるが、この辺りのものは陰惨だから観るのを先延ばしにしていた。しかしめっちゃ面白かった。


主人公(哀川翔)の幼少期、多額の借金を返せなかった両親が姉もろとも、闇社会の人間に殺される。
そしてその際、父によって押し入れの中に隠されていた幼い主人公、押入れを開けた闇社会のオッサンに見つかるが、オッサンは見なかったフリをしてくれて助かった。。
時は過ぎ、少年は刑事のオッサン哀川翔へと成長した。
とある事件の真相を探るうちに、かつて自分の家族を殺害した民間暗殺者?とも言うべき人間の感情がない異様な男(六平直政)へと突き当たる。

最近はTVでもお馴染みで親しみやすい六平さんだが、この映画ではめっちゃ怖い。
サイコパス(というよりも何らかの事情で自分からわざと感情を廃している男のように見えた)で何も感じず人を殺す。いつも中年ニートのような寝巻きのような格好をしている(他人の目が気にならない)。だが欲望がめっちゃ多そう。実の姉と結婚している。めちゃくちゃ嫌な関わり合いになりたくない奴!
そしてかつて主人公を見逃してくれたヤクザは、コイツの兄だった。
兄は、弟ほど異常者ではないが、殺しは全部弟にやらせて良い恰好したがる。そして弟と同様、実の姉を共有して結婚している。一見まともだがコイツも明らかにおかしい。
兄弟には足の不自由な姉がいる。この女はやはりサイコパスっぽくて弟達の共通の妻。
絵作品の製作費が少ないだろうから、金をかけずに設定や台詞によって兄弟の異常性を際立たせていた。クソ気持ち悪い!
そんな脚本は高橋洋で、この辺のへばりついてくるような気持ち悪い設定は、本当に気持ち悪くてすぐに高橋洋さんだと思った(黒沢監督はもっと渇いてる)
そして、この姉は「蛇の道」のヴィラン「コメットさん」の前身なのは一目瞭然。

この姉が、ターゲットの哀川翔の妻に気づかずすれ違った後で、主人公の妻が引き返してきてポストのチラシを探る場面での「あぁっ‥もうだめだ‥」という感じが凄く怖かった。
夫想いの優しい妻は当然、彼ら異常者共にブチ殺される。しかし、その場面は描かれないしどうやって殺されたかも語られない。異常者の弟が「どうやって殺されたか知りたいかwww」と言っていたのでまともな死に方ではないんだろう、と悲しくなった。この辺の見せない感じが黒沢監督っぽいな、と思う。
人によっては汚いところも全部見せろそれがリアルだ!という人もいるが、僕の場合は見せないほうが
クールでカッコいいし、何よりもそっちの方が怖い!から好きだ(リドスコの「悪の法則」とかにも言える)というか奥さんの死体も出てくるが顔から下は絶対見せてくれないので想像すらできず、気になって仕方ない。というかまんま見せられた方がスッキリする。見せないから高橋洋のキモい感じがずっと自分の中に残る事になった。
クソおぞましくて忌々しい。

哀川翔vs.異常暗殺者チームの闘いは、もう止められない巨大な機械に巻き込まれたような一つの壺に入れられた毒蟲同士のようなかたちとなり、どちらかが滅びるまで止められなくなった
出会い頭に突然の発砲、至近距離で突然の全弾発射‥するが全ぶ外れる、というシーンは凄く北野映画っぽい。この辺の黒沢映画はどれも北野映画に影響受けてるっぽいが、蜘蛛の瞳とコレが一番北野映画っぽいと思った。
北野映画のそういう場面を観て死ぬほど興奮していた中学生の時に、この映画も同時に観てればやはり興奮してたんだろう。だが今頃ようやく観てるとそんな銃撃戦が若干恥ずかしかった(当然今まで見てなかった自分が悪いのだとも付け加えておこう)
自分が悪いという前提のもとに思ったが、刑事とベテラン暗殺者なんだからさすがに一発くらい当たるだろう。というか普通に撃ち合いしろやという感じもした。

そうこうしつつもずっと面白いままクライマックスになだれこむ。
敵3人への落とし前の付け方や冒頭のシーンを踏襲したりするやり方などの陰惨過ぎる点に目を瞑れば、ひょっとして本作は黒沢映画の中で最も不特定多数の人が面白がれる映画なんじゃないだろうかとも思えた。
しかし面白かったので余韻に浸っていたら、スタッフロールで哀川翔の下手な唄が流れて現実に引き戻された。
続編の「復讐 消えない傷痕」は最寄りのレンタル屋になかったしiTunesにもなかったからまだ観てない。


そんな感じでした

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