gock221B

映画やドラマの感想ブログ 😺🐱 殆どのページはネタバレ含んだ感想になってますので注意 😺 短い感想はFilmarksに https://filmarks.com/users/gock221b おしずかに‥〈Since.2015〉

「アリー / スター誕生 (2018)」前半とガガとShallowと自分の行動を全部説明するブラッドリー・クーパーは良かった👱🏻‍♀️🧔

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原題:A Star is Born 監督&脚本&制作&主演:ブラッドリー・クーパー
製作国:アメリカ 上映時間:136分 ※「スタア誕生 (1936)」の3回目のリメイク

 

 


映画の感想とは全く関係ないが吾妻ひでお先生が亡くなって悲しい今日。。
なんか長い間イーストウッドビヨンセ主演で映画化するって言ってたけど、ビヨンセが産休に入ったりイーストウッドが他の映画を何本も撮ったりして延期が続いてる間に、イーストウッドが親しいブラッドリー・クーパーに企画を譲ってブラッドリー初監督作になり主演もビヨンセからガガに変わってた。過去の「スタア誕生」は一本も観てないがネトフリにあがってたから観た。だがこの主題歌「Shallow」は前から名曲だなぁと知ってはいた。
今回は完全にネタバレあり。

 

 

👱🏻‍♀️🧔🏻🎤

 

 

カントリー歌手ジャック(ブラッドリー・クーパー)はスターだがモチベーションが下がっているせいなんか鬱っぽいせいなのか又はその両方か酒とドラッグに溺れており、年の離れた兄がマネージャーとなってジャックを支えていた。
ツアーの途中、ジャックは酒を飲むためにドラァグ・バーに立ち寄ると、ドラァグ・クイーンに紛れてウェイトレスのアリー(レディ・ガガ)が唄っていた。
ジャックはアリーの唄そして彼女自身に一目惚れ。2人はあっという間に仲良くなり、ジャックはアリーをステージに上げてアリーも大人気に。スタア誕生だ。
アリーはマネージャーを名乗り出た男レズの提案でカントリー歌手ではなくポップ・スターとしてデビュー。あっという間に大人気に。
アリーが人気者になるのは嬉しいが、カントリーからポップ歌手への転身については納得いってないジャックは更に酒量が増え荒れていきアリーの活動の妨げにもなってくる。
2人は最後まで愛し合っているのだが、すれ違いが増えていく―
‥というストーリー。オリジナルのストーリーを検索してみると、どうやら細部以外はオリジナルと全く同じ話みたいだね。

 

 

 

とりあえず映画始まって中盤くらいまではもう完璧と言えよう。
ボヘミアン・ラプソディ」の時も思ったが、かったるい描写は省いて鮮烈で面白いところだけポンポンポンと繋いであっという間にスタア誕生
アリーは自分に自信がない系の天才歌手。鼻が大きいことを悪く言われた歴史があるためか自分の容姿にもコンプレックスを持っており、それも彼女が一歩飛び越えることを阻害しているようだ。しかしジャックはアリーの唄も鼻も全肯定する。
アリーと同居している父親は元歌手で、才能あったけど才能以外の面に恵まれず大成しなかったらしい。いわば成功しなかった未来のアリーみたいなキャラ。そして実家には父親の友達のジジイが大勢たむろしており何時も楽しそうでわざわざ日本の競馬をしている‥何で日本の競馬?このアリーの父親やその友人達は、メインストーリーとあまり関係ないのにも関わらず異常にキャラが立ってて気になる。
ジャックもまた歌手だったが大成しなかった父や兄に憧れてカントリー歌手になってスターになったが片耳が難聴。難聴のせいなのかモチベーションも落ちてアル中かつドラッグ中毒。本編の殆ど酔っているし飲んでない時でも酔っ払ったように喋るので恐らく全編酔ってると言っても過言ではない(私見だがこのジャックというキャラは最初から最後まで死んでいるも同然で完全に死ぬ寸前の一瞬だけアリーという天使に出会ったのだと思った)。
ジャックは年の離れた兄とのサブドラマもある。この兄も存在感凄いのだがやはりメインストーリーと上手く絡んでないように思える。まぁ大成せず年老いたジャックみたいなものか。
アリーとジャック。スターになったが哀しい出来事が起きた2人と、大成はしなかったが普通の暮らしをして年老いた2人。2人の肉親サブキャラは主人公の色んなパターンを見せるために存在している(たぶん)。
 

 


アリーを見つけたジャックは、アリーのバイト終わりを待ってデートする。
ここでのジャックが最高。ジャックはアメリカ映画にたまに出てくる「自分の行動を女に全部説明しながら行うイケメンのナイスガイ」キャラ。
こんなシーンはないのだが、このジャックとアリーの最初のデートの雰囲気を言語化すると、こんな感じだ。

ジャック「いいか?俺は今からこのビールの蓋を開けるからな(笑顔)」
アリー「‥? ええ。」
ジャック「‥ちょっと待ってくれ‥今開けてる‥
アリー「わかったわジャックw」
ジャック「ふふふ‥なかなか開かないw(ふたり笑う)」「(真顔になって)酔ってなんかないぞ?いま開けるからな
アリー「私なにも言ってないわよw」
ジャック「‥よし空いた!(笑顔)。蓋はここに置いとくからな。見てくれ?
アリー「見てるわw」
ジャック「‥よく見てくれ?蓋はここに置いた。
アリー「わかったわよ!w なんなの?w」
ジャック「よし、ビールを飲もう
アリー「ええ、そうしましょう」
ジャック「一口で結構飲んだな‥見てくれ」「ガキの頃はこの半分しか飲めなかった(瓶の半分のところを指差す)今はこうだ‥!(空の瓶を見せる)」
アリー「そうなのね(笑顔)」 

こんな場面はないが大体こんな雰囲気で最高だ。
なだぎ武友近のディラン&キャサリンに似ている。吹き替えで観てたんだが声優2人の声や演技も、なだぎと友近に似てた気がする。
この「自分のやる事を女の子に全部言うナイスガイ」アメリカ映画でたまに見かけて好きだが何なんだろう?「ロッキー」のスタローンとか「デスペラード」のバンデラスもこんな感じだった気がする。「なだぎに似てる」という事は、観てないけど「ビバリーヒルズ青春白書」のディランもきっとこんな感じなのかな?
何でこんな喋りになるのか考えてみた。
ロッキーの場合惹かれ合ってるがロッキーが口下手すぎて飼ってる亀がどうのこうの言ったり「なぁエイドリアン。もっとこっち来いよぉ」とか言う。デスペラードの場合2人で一緒にギターの練習するがサルマ・ハエックはセックルする気満々なのだが純粋なバンデラスは気付かず2人でじゃれながらギターを触って「ふふ‥これじゃ曲とは言えない‥w」とかのん気な事を言ってたら至近距離から「真剣なかお」で自分を見ているサルマ・ハエックに気づいてハッ!として、やっとセックスが始まる‥。こんな感じだった。
たぶんお互いの事が凄く好きだがまだ結ばれていない、そして男が純粋だから気の利いた事も言えず、でも女の子と凄く会話したいからどうでもいい事でも何でも良いから口にして、こういう感じになったって事か? そういえば過去、自分にあったそんな場面でもやはり「君の鼻がどうの」とか「職場でどうの」とか、別に言っても言わなくてもいい、どーでもいい話を照れ隠しで言ってた気がする。別にキスしても文句言われないであろう場面で逡巡‥してるわけじゃないけど、そんな中途半端な時間を楽しんでるようにも見えるし「この男なんか可愛いな」と思わせるからいいのかも。
ちなみにジャックがアル中になった時も純粋な率直さはそのままで「きみは最低だ‥」「きみは醜い‥」などと苛立ちが心にもないことを言わせて関係が悪化するので心苦しかった、褒める時同様に悪く言う時も純粋だ。

 

 

 

知り合った翌日、自分のコンサートにアリーを招待したジャックは、彼女が昨夜口ずさんでた曲「Shallow」を完成させていた。そこでアリーをステージに引っ張り上げて「Shallow」をデュエット。会場は初めて聴く名曲「Shallow」そしてアリーという才能に溢れた新しいスタア誕生に大盛りあがり。
映画冒頭からこのピークの場面までの面白さが凄い。ここまでなら「ボヘミアン・ラプソディ」より面白い。そもそも、この「Shallow」って曲が本当にレリゴーみたいな、誰が聴いても一発でわからす名曲なので説得力が凄い。ホイットニー・ヒューストンの「えんだああああ~♫」同様、名曲過ぎて笑えてくるような曲だ。
※主演2人の色んな「Shallow」LIVE映像を下の方↓に貼った。
その後、アリーのマネージャーの提案によって、アリーはカントリー歌手からセルアウト的ポップ路線変更などにジャックは不満を抱いて酒量が増える。そしてアリーのグラミー賞最優秀新人賞の受賞を自分の泥酔で台無しにしてしまい、反省したジャックは酒を断つリハビリ施設へ。何ヶ月か頑張って帰ってきたジャック、アリーと今後は頑張っていこうと誓い合う。アリーはジャックを良くするため自分のツアーでジャックとデュエットするコーナーを提案するが、ジャックを疎ましく思っていたマネージャーはそれを却下。のみならずジャックを訪ねて「お前のせいでアリーと自分は尻拭いさせられた。どうせまた酒飲むだろうけど次飲んだら別れて欲しい」と言う。
どうなるんだろう?これでひと悶着あるけど何とか仲直りして「Shallow」をデュエットして一件落着かな?‥などと思ってたらマネージャーの一言で一気に気分が落ちたジャックは速攻首をくくって即死する。
‥えっ?てっきり「Shallow」また歌うと思ってたので急展開に驚いた。そして驚いたまま映画が終わった。
何ヶ月も施設でリハビリしてたのにマネージャーの一言で速攻死ぬってかなりヤバい。
ジャックのアル中‥っていうかジャックの鬱の症状があまりにも深刻な段階すぎて、これはもうマネージャーの心無い一言がなくても遅かれ早かれ自死してたんだろうなと思った。
そしてまたアリーを路線変更させてジャックの心を乱したのも、アリーがやりたがってたリハビリを兼ねたジャックとのデュエットコーナー潰したのも、最後のダメ押しでジャックを死に追いやったマネージャー、「こいつ一人だけが悪くない?」度が高すぎる。
ジャックも、本当はアリーとのことだけじゃなく片耳が難聴な事や父や兄との確執とか自分のパフォーマンスの事など色んな要素が重なって自死を選んだんだろうし、さっきも言ったように遅かれ早かれ自殺してそうだが、しかし本作を観てる分には「このマネージャーさえ居なければ‥」としか思えなくなった。
そんでもってラストは「マネージャー居なければな」とか「この後マネージャーは自分がジャックを死に追いやった会話のことアリーに言ったのかな?言うわけないか」「言ってないと誰も知らないから納得いかないな」「せめて誰か第三者がそれを聞いててほしかったな。マネージャーへの罰になるからな」などと、どうでもいいマネージャーの事を考えてるうちに映画が終わってしまった。だから一人のキャラだけに落ち度を作る人間ドラマには反対だ。
だが何度も言ってきたように、ジャック既に完全に壊れてるようにしか見えない。
「崖っぷち」だったのではなく「もう崖から落ちている途中の男が、崖下に落下するまでの間の一瞬だけアリーと過ごして真の愛を知った(そして死んだ)」という話だったのかな?と思った。
実際のところ後半の人間ドラマがガチャついてたのとマネージャーは一人だけ落ち度があるのがノイズとなって感動は半減した。
そもそもジャックがカントリー好きなのはわかるが、アリーがポップスター路線になったのが何であそこまで気に入らないのか理解できない。だけどかつてはカッコよく描かれがちな「酒びたりでドラッグやりまくるワイルドなスター」をカッコよく描かず「ただの病気で可哀相な男」として描いてるのは、現代的で良いと思った。その手腕も「酒いっぱい飲んだ?それなら大事な場面でションベンもらすだけです。」という冷徹な見せ方は良かったね。

👱🏻‍♀️🧔🏻🎤
ブラッドリー・クーパーやガガなど出演者の演技。名曲すぎる「Shallow」。スタア誕生するまでの前半‥などは超最高だったし後半にも良い場面も多かったのだが、中盤以降の人間ドラマはイマイチだった。だから「中盤以降はイーストウッドが撮ってた方が名作になってたんだろうな」と思った。イーストウッドのショービズ映画は「センチメンタル・アドベンチャー (1982)」「バード (1988)」「ジャージー・ボーイズ (2014)」とどれも名作だったしね。
だがそれにしても鬱イケメン主人公ジャックを演じたブラッドリー・クーパーはマジでカッコよかった。キアヌ氏同様、中年男性なのでイケメンに興味ない俺でさえ惹かれるイケメンだ。やっぱこの辺のアメリカンイケメンはヒゲがカッコいいよね!俺は髭伸ばしても横光三国志諸葛亮孔明の部分にしかヒゲ生えないので様にならない。
最後ガレージで死を決意する場面、そのシーン自体は良いとは思わなかったが、演技は最高だったしね。

 

 

 

そんな感じでした

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A Star Is Born (2018) - IMDb

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スター誕生 [Blu-ray]

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「クロール -凶暴領域- (2019)」身体がめちゃくちゃ丈夫すぎるし強すぎる父娘がワニワニパニックを生き抜く🐊

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原題:Crawl 監督&制作:アレクサンドル・アジャ 製作国:アメリカ 上映時間:87分

 

 

 

週に1、2回は更新していきたい感じでやってるブログだが(本当なら毎日更新したいくらいだ)前回から半月近くも間が空いてしまいヤバい!と思って出先でやってたこれを観た(「ジョーカー」はネタバレ聞いちゃったからレンタルでいいわ)。今頃「ゲーム・オブ・スローンズ」を観たくなって、一ヶ月以内に観ようと一気に観てて映画あまり観てない(今シーズン6)。
先日、令和元年台風第19号が日本に上陸し、関東や東北などの東日本に甚大な被害をもたらした。俺が住む地域は河川も山もなく凹んでもないので幸いにも平気だったが家が壊され未だ避難所で不安な日々を過ごす人たちは多い。そんな台風19号と同じ規模「カテゴリー5のハリケーンが発生して洪水になる」というこの映画は観ててシンクロ感が高かった(こんな事態には遭わなかったが日本人として心情的には)。
監督は「ヒルズ・ハブ・アイズ (2006)」「ミラーズ (2008)」「ピラニア3D (2010)」とかでお馴染みのアジャ氏。寺沢武一の「コブラ」を映画化したいって10年くらい前からずっと言ってるけど全然進展してないね。ホラーじゃない映画は観てなかった。
タイトルの「Crawl」は、ワニが「這う」ことと主人公の得意な水泳とが、かかってる感じか?ネタバレあり。

 

🐊🐊🐊

 

 

フロリダ大学に通い水泳の大会で奨学金を得ている女子大生ヘイリー(カヤ・スコデラーリオ)。幼い頃、父デイブ(バリー・ペッパー)にコーチして貰ってたが、今は父に見て貰ってないせいか調子が悪い。
カテゴリー5の巨大ハリケーンの直撃を受けたフロリダでヘイリーは、妻と離婚して一人暮らししてる父デイブに電話しても連絡が取れないので心配した彼女はハリケーンの中、実家へ向かう。愛犬シュガーは居たが父の姿は無い。
昔、家族で住んでいて売りに出している古い家に行くと、何とデイブは地下室で重傷を負って倒れていた。
デイブは、周囲に生息しており配管から地下室に侵入したワニに噛まれたが、配管に囲まれてワニが入ってこれない安全地帯に逃げこんで気を失っていたらしい。
そうこうしてる間にヘイリーも片脚を噛まれてしまう。そしてワニは一匹ではなく複数頭が侵入してきている。
嵐はますます酷くなり地下室はどんどん浸水していく。このまま地下に居ても一時間も満たないうちに水で一杯になってしまう。父娘2人とも怪我しとるし。愛犬シュガーは心配そうに実家の床を引っ掻いている。
ヘイリーとデイブの父娘は地下から脱出できるのだろうか?―
という話。

🐊ワニは水中だと動きが素早くなり聴覚も鋭くなる。
だから時間が経てば経つほどワニは強くなり、怪我してる父娘は弱くなっていく(‥と思うじゃん?実際には父娘が強くなりワニが弱くなっていった)。
父娘はワニと闘いながらお互い胸の内を語り合い、お互い黙っていた自分の弱い部分をさらけ出す事によって心は晴れていく。そして会話して晴れていく精神状態と比例するかのように火事場のクソ力がアップして状況も好転していく。疎遠気味だった親子が久しぶりに会って打ち解けていく様子を、ワニ&台風ディザスター映画として描写した感じか。
主人公である父娘が喰われてしまうと話が進まないので、家の向かいのコンビニで火事場泥棒していた若者たちや父娘を助けに来た親切な警官などが代わりに喰われてくれる。
一番良かった喰われ方は、主人公ヘイリーの幼馴染警官の同僚が、ワニに空中を錐揉み状態でふっ飛ばされて違うワニが噛み付いて引き倒して6匹くらいに同時に噛まれて最終的にバラバラにされる‥というダイナミックすぎるもので笑った。この時のワニは、主人公父娘に噛み付くより明らかに数倍のパワーで気の毒な警官に噛み付いていて容赦がない!そして、この火事場泥棒や警官を襲っていた時のワニがピークで後は弱体化していく。
後半、色々苦労して地下室を出た父娘。ずっと心配してた愛犬シュガーも嬉しそうに尻尾を振る。かわいいね。だが雨脚は激しくなるばかりで家への浸水も激しい。せっかく地下から脱出したにも関わらず実家の中すべてがさっきまでの地下と変わらない状態だ。ワニどもも家の中を我が物顔で闊歩している。
それでも2人と犬一匹はワニに噛まれつつも何とかボートに辿り着いき、町を脱出しようとするが今度は町の堤防が壊れて町全体が屋根まで洪水に飲まれていく!こうなってしまっては町そのものがさっきまの地下。世界中がワニワニパニック状態。
‥と、この様に難局をクリアする度に「汚くて狭い地下→浸水した実家内→洪水に飲まれた町‥」といった感じで難易度の高いステージになっていくのが面白い。同時に、一番滞在時間が長かった地下室の場面は狭いし汚いし観ていて息苦しかったので、地下から実家に出れた爽快感が凄かった。ワニがいる地下よりワニがいる地上の方がマシという感じか。そういう感じで物語が展開するにしたがって気持ちいい状態になっていく。
それにしてもモブ人物はワニに一回喰われたら一発アウトなのに対して、主人公ヘイリーと父デイブはそれぞれ3、4回もガブッと噛まれてるにも関わらず何だかんだ気合で切り抜けた。とにかく頑丈な父娘だ。

🧔🏻最初から死にかけてた父親デイブだが、噛まれてより深刻な怪我する度にベルトでキツく締めればとりあえず回復。シャベルでワニ撃破するし。しかも死にかけた状態から回復する度に強くなってるように見えるサイヤ人気質。最終的には手を食いちぎられる重症を負うが何時ものようにベルトをキツく締めただけで全快した。当たり前だよな。

🏊🏻‍♀️娘のヘイリーも腕に噛みつかれても拾った銃でワニの口腔内に全弾発射して倒したり最終的には水中でワニに噛まれ、しかもそのワニは噛み付いた状態で食いちぎろうと大回転する‥という現実のワニもやる実在のワニ超必殺技「デスロール」を繰り出してくるがヘイリーも自分で回転してデスロールの威力を無効化する「ヘイリーロール」という返し技をアドリブで繰り出しデスロールの威力を無効化し、冷静に発煙筒を拾って発火してワニにブッ刺して逆転勝利!女子大生が水中でワニのデスロールを破った!コンサート会場で赤ちゃんも産まれた!アドレナリンが出て興奮したヘイリーはボートをGETして「私が捕食の頂点や!」と叫ぶ。すごい強い。奥飛騨最強の女が爆誕した。大学卒業した後は特殊部隊に入ったほうがいい。アベンジャーズに入るのは無理でもS.H.I.E.L.D.には余裕で入れる。登場人物が少ないせいで「一人の人間がワニに何度か噛まれるが死なすわけにはいかんので何とか生き抜く描写を2時間続けたせいで、普通の女子大生の主人公が最終的には超人くらい強く見えてしまう」という、この昭和のアクション映画の感じは懐かしかった。こういう「スーパーヒーロー映画やランボーみたいに意図したわけではないのに結果的に強く描写されてしまった映画の登場人物」の事を僕は〈異能生存体〉カテゴリーに入れて気に入っている。僕も水泳やってたので「水泳やってたらワニも倒せるんだな」と嬉しくなった。

🐶ゾンビ映画における犬はゾンビに知覚されず無傷な事が多いが、本作の愛犬シュガーも、ワニには最後まで気付かれず噛まれたりしないので愛犬家も安心して観ることができる。映画監督によっては裏をかいて「犬だけどストーリーと関係ないところで殺しちゃうぞ!これが現実‥リアルですからね」みたいな高2病的な逆張りで犬を無意味に殺しちゃう人もいるが、そ-いうのは要らないんだよ。変に逆張りせず、犬とか猫は殺さなくてよし。映画の中の犬とか猫はその世界に残った良心とかを現してるからな。「ジョン・ウィック」とかは犬の死に必然性あるからいいけどね。しかし父娘がこれだけ強かったからシュガーも「絶・天狼抜刀牙」でサポートして欲しかったところ。

🌀🌊🌊🌊🌀

そんなこんなで動物パニックものと台風ディザスター映画が一緒になった映画だった。それプラス親子愛ね。全体的にQTE(クイック・タイム・イベント)多めのゲームしてるような感じだった。リブート版「トゥームレイダー」やってる感じ。
それにしても、こういう映画も何だか古典的な懐かしさを感じた。
父娘が不死身すぎる可笑しさとかも懐かしいし、そこそこ楽しめました。
最近の映画にしては1時間半にも満たない短さとか、ワニ&台風のみでグイグイ押してくる「ウチの店は『ラーメン』と『餃子』その2つしか置いてません!」って感じの男らしいラーメン屋って感じで好感度高い映画だ。
それにディザスターものだとパパが家族を救ったりカップルがイチャつきながらサバイブする事が多いが「健康な娘が弱った父を助けながら」という組み合わせが良かったね。
文句付けるとすると、食い殺されるのがモブ5人だけというのは少なかった。しかも喰われる時に水しぶきの中で血煙が舞って喰われるからよく見えないし。もっと主人公父娘&犬以外の、町中の人たち何十人もが色んなバリエーションでグチャグチャに踊り喰いされた方が良かったね。父娘は何度か噛まれても逆転できるしワニも鈍いせいで「俺でも倒せるかも?」と思えてワニが怖くなかった。アジャ監督だからもうちょっとゴアな感じかと思うじゃん?小さいお子さんと一緒に観ても大丈夫だから一緒に観たらどう?
あとやっぱりワニが弱かったね。最初は親父が「奴らはよく見てるぞ!」と言ってたのに終盤では「水しぶき上げずに止まってたら感知されない!」とか言い出したので「弱体化しとるやん」と思った。こっちはワニの事知らないので正確な情報を教えてくれないと!
そこそこ楽しかったけど「そこそこ楽しかった」以外に感想書くことなかったのだが、頑張って文量をこれだけ増やす事ができた(何故増やしたいのかというと字がいっぱい書いてないとブログっぽく見えないから)。だが、さすがにもう書く事ないので早いけどここで終わっておく。ここが限界。台風19号ネタに触れれば無限に文量増やせそうだが映画に直接関係ないからやめとくわ。
だが一個だけ言うと、先日の多摩川の氾濫は10年前に地域住人が「巨大な堤防なんて作ったら町の美観が損なわれる!千年に一度の氾濫に備えるなんて馬鹿らしいw」と、町が堤防を作る事に一部のバカ市民が反対したせいで起きた(そして街は、美観どころじゃないグチャグチャの状態になった)。日本昔話みたいな話だ。
だが今の時代、悪い予感はただの予感では終わりはしない。
皆さんも防災の備えしておくように‥。

 

 

 

そんな感じでした

🌀🌊🌊🐊🐊🐊🌊🏊🏻‍♀️🧔🏻🐶🌊🐊🐊🐊🌊🌊🐊🐊🐊🌊🌊🐊🐊🐊🌊🌊🌀

映画『クロール ―凶暴領域―』公式サイト

Crawl (2019) - IMDb

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『ジョン・ウィック:パラベラム』(2019)/犬アクションが特に良かった。理不尽な掟に苦しむジョンがキアヌ本人に見えて輝きが増した🧔🏻🐶


原題:John Wick: Chapter 3 - Parabellum 監督&製作総指揮:チャド・スタエルスキ 脚本&キャラクター創造:デレク・コルスタッド 製作国:アメリカ 上映時間:130分 シリーズ:「ジョン・ウィック」シリーズ第3作目

 

 

同日公開の「ジョーカー」を観る予定だったけど劇場まで行くと何となく自分があまり好きにならない気がして(というかジョーカーのオリジンとか別にどうでもいい)ジョーカーはまた今度にして安定のこっち先に観ることにした。
キアヌ・リーブスの「マトリックス」シリーズの主人公ネオ以来の当たり役となった「ジョン・ウィック」シリーズの、「アベンジャーズ エンドゲーム」の連続首位をストップさせたのがシリーズ三作目の本作。
マトリックス以来に当たった」とよく言われるが、それは「映画を年に一回観るか観ないかという人でも知ってるような大ヒット作」という意味であって、キアヌ氏はずっと途切れずに映画出続けてたし〈不老不死キアヌ〉〈Sad Keanu〉などのネットミームでも親しまれ絶えず人気者だった印象。
今年も期待度されているゲーム「サイバーパンク2099」への出演や、MCU作品への出演も常に噂され続けてるし「ビル&テッド」シリーズの数十年ぶりの続編も控えてるし、どっちかというと昔より今の方が全盛期という気がする。
このシリーズ。チャド監督の本職はスタントマンだったしキアヌは何ヶ月もかけて射撃訓練や実践訓練をしておりジョン・ウィックの銃撃や殺し方はかなり実践的(というか実物のキアヌ本人も相当強い気がする)、ガンアクションに対して興味ない僕でも、近接格闘技と至近距離での銃撃を組み合わせたガンフーや、ちゃんと弾切れ少し前にリロードする場面、胸に数発‥顔に数発‥と急所に何発も撃ち込んで確実に殺すアクションが凄く新鮮だった。
その様に戦闘描写は実践的なのに対して、このシリーズの世界観や犯罪組織の仕組みはアニメやおとぎ話のように幻想的かつ現実離れしたもので、そのギャップも魅力となって人気シリーズになった。
割とネタバレあり。銃のことやアクションについては詳しくない

 

 

亡くなった愛する女性が遺した愛犬が殺され車も盗まれたことを切っ掛けとして、裏世界に舞い戻ったジョン・ウィックキアヌ・リーブス)。彼は〈バーバ・ヤーガ〉の異名を持つ伝説の殺し屋だった。
犬を殺したギャングを皆殺しにして車も取り返し、新しい犬と出会った。
二作目でジョンは愛する妻と暮らした家を爆破される、その後いろいろあって殺し屋の絶対中立地帯〈コンチネンタルホテル・ニューヨーク〉内で殺しをしてしまった。
それはジョンが所属する暗殺者組織〈コンチネンタル〉や更に上位に位置する巨大犯罪組織〈主席連合〉の堅い掟を侵した事となり、ジョンは裏社会から除名されて賞金がかけられ、全世界の暗殺者から狙われる事となった。
早い話が完全に抜け忍もののストーリー。「カムイ外伝」みたいなもんだ。
毎回、前作のラスト直後から始まるのだが本作もまた、コンチネンタルホテルNYを脱出して雨の中を走るジョンと愛犬。ジョンは図書館で首飾りやコインを入手する。これらのアイテム〈誓印〉は「かつての借り」を物質化したもので、これを借りがある相手に渡されたら借りを返さなければならない、これもまた組織の掟。映画的にも誓印を出せば面倒な段取りをショートカットして共闘シーンにスムーズに移行できるわけだね。
図書館で本を使って大男を斃す格闘戦、隠し武器倉庫でのナイフ戦、馬小屋で敵を馬に蹴らせたり馬で道路を疾走するチェイスなど、かなり面白い。
隠し武器倉庫ではナイフをゆっくり敵の眼に刺して殺したり、投げナイフで敵を針山みたいにして殺したりと尊いシーンが連発されて良かった。
ジョンは、暗殺者とバレリーナの育成をしている育ての親(アンジェリカ・ヒューストン)の元を訪れ、次に〈コンチネンタルホテル・モロッコ〉に行き愛犬家暗殺者ソフィア(ハル・ベリー)に会う。
師匠の所行ったのは‥何だっけ?何か焼印おされてたような‥忘れた。とにかくジョンは、かつての知り合いに次々と会って〈誓印〉で自分の助かる手助けをしてもらっている。ソフィアと組んだのは、ジョンが全ての犯罪組織の頂点に位置する〈主席連合〉のボスに会って自分の賞金を取り消してもらうため‥に、ボスの居場所を知ってる犯罪の大物の所に行くため。
ソフィアは、犬や家族を大事にしてる事も含めてジョン・ウィックの女性版って感じの、今後も出てきたりスピンオフで主役を張る事もできそうなキャラ。大事な娘は組織の手にあるという伏線も解消せずに出番終わったし。
ハル・ベリーと言えばセクシーだし好きだが、昔から何かアクションめいた事をするとめちゃくちゃドン臭い(アクションしたら妙にモタモタした動きになる印象)動きがダサい女優ってイメージだったが、凄くトレーニングしたのか本作でのアクションはキビキビしてカッコよかった。女性だけあって接近戦ではジョン・ウィックほど強くないが、その差は多頭飼いしている愛犬が埋める。犬が噛み付いて敵の動きを止めてソフィアが撃ち殺したり、ソフィアが敵と取っ組み合いになってピンチになると噛み付いて助けてくれる‥といった銃撃+犬の攻撃が凄くよかった。どうせならラストまで出てほしかった。
誓印の借りの分は返したソフィアはここで出番は終わり。今から砂漠を横断するジョンに渡すペットボトルの僅かな水を全部口に入れてクチュクチュしてペッと吐き出して渡す‥という意地悪をするのだがハル・ベリーなので観てて興奮した。
ジョンは砂漠に居る主席連合のボスに会えるが、賞金首を取り下げる条件としては、主席連合に忠誠を誓うこと、指詰め、そして今まで自分を幾度となく助けてくれたコンチネンタルホテルNYオーナーのウィンストンの暗殺だった。
ジョンを追っているのはそこら辺の底辺暗殺者だけではない。主席連合から送り込まれた〈裁定者〉と名乗る女性幹部、そして今時きゃりーぱみゅぱみゅにんじゃりばんばん」が鳴り響くSUSHIバーの板前暗殺者ZEROとその配下。
再びNYのコンチネンタルホテルに戻ったジョン。そしてジョンを追う裁定者やゼロ達。一体どうなってしまうのか。。

 

 

ちなみに普段はSUSHIバーで板前をしているスキンヘッドの〈ゼロ〉という暗殺者は「アベンジャーズ エンド・ゲーム」のホークアイ並に聞き取れない日本語を話すのでひょっとして日本人という設定なのかな。このアクション俳優はアメリカ版「料理の鉄人」で「鹿賀丈史の甥」という設定でMCをしていたらしい、だから寿司屋の大将キャラも料理つながりなんだろう。
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ゼロが裁定人の頼みを聞く代わりに生のフグを彼女に食わせて、彼女の度胸を確かめるというハッタリシーンも何か意味不明だったな。フグ毒に度胸もクソもないし、そもそも他人を試す行為とか仕事に度胸とか意味わからんもんを絡ますのとか全体的に苦手。まぁ、だからジョンに滅されたのか。
終盤、ジョンがコンシュルジュと共に暗殺者集団と銃撃戦をする。ここも楽しかった。
暗殺者達は防弾アーマーを着ているので普通の銃撃は効かない。ジョンは超至近距離で何発も撃ち込んだり、アーマーの隙間を撃ったり、フルフェイスの面を開けて顔を撃つなど、かなり工夫して倒す。過去作では家屋内などで接近戦を強いられたが本作では「硬すぎるから」という理由で接近戦になった。銃で闘ってるのにも関わらず殆ど格闘技してるくらいの接近戦を強いられてるのが面白い。ジョンとコンシュルジュは「これじゃ拉致があかない」とばかりにホテルの安全地帯に戻ってきてアーマーを抜けるショットガン等の火力の高い武器を武装し直して再度闘いに赴く。この「安全地帯に戻って武装し直して再戦する」という流れが凄くゲームっぽい。
最後は、ゼロ一派との接近戦。ゼロは武術に長けた人だし、ゼロの部下は「ザ・レイド」の人なので、ジョンは押され気味。押され気味というよりも明確に2回くらいガチで負ける。だけど「トドメを刺さず、起こしてくれて再戦」などの舐めプでジョンは死なずに済んだ。恐らくゼロがトドメを刺したがってるから部下は殺しちゃいけないって事になってたんだろう。それにしてもゼロの部下ごときにジョン・ウィックが2回も負けてしまうのは「レイド」の人に見せ場を作ってあげたな~と感じた。「スター・ウォーズ」シリーズがレイドの人をすぐ死ぬ泥棒役にしたりゲームオブスローンズの大きい女優をしょうもないファズマにしたりして「SWは他で活躍した人を飼い殺して人気落とすために起用したのか?」って感じなのに本作では「こいつらは格闘ならジョン・ウィックより強い!」って、凄いサービスだな。
ジョンは接近戦では彼らに勝てなかったが殺しの総合力で上回り逆転する。

 

 

製作者は楽しいアクションだけでなく「ジョン・ウィックを苦しめ続ける」ということに心血を注いでいる。またヤクザ映画じみたハッタリの効いた制裁やケジメの付け方描写などを本シリーズの推進力にしていて、それが人気の元であるのだが、本作はそういったハッタリ描写が過去作より更に多い。
ジョンは同業者に〈誓印〉で頼みを聞いてもらう。〈誓印〉を見せられたら頼みを聞かなきゃいけないのだが、ジョンのように掟を破った者の頼みをきけばそいつも制裁を受けることになる。だからといって誓印を見せられての頼みを断っても掟を破ることになるらしく理不尽だ。掟を破った者の借りは返さなくてもいいようにすれば?と思った。そもそも「こんな何やってもストレスばかりかける組織、立ち行かないだろ」と、たまにアホらしくなったりもするが、それはこの現世の上の者だけ得して下々の我々は痛い目を見るという理不尽さを表現してるのかもなと思った。
コンチネンタルホテルNYの、ジョンと旧知の仲であるオーナーのウィンストンやコンシェルジュシャロンローレンス・フィッシュバーン演じる情報王バワリー、序盤で出たジョンの育ての親など、ジョンを手助けした者は、それぞれ主席連合が派遣した〈裁定人〉によって制裁を受ける。
特に、前作ラストで旧友ジョンをわざと逃したコンチネンタルホテルNYのウィンストンは、ジョンを殺さないと抹殺されてしまう事になった。そしてジョンもまた主席連合に「ウィンストンを殺せば許す」と言われている。「勝った方を許す」という事か。
ジョンとコンチネンタルホテルは、とりあえず派遣されてきた暗殺者達を共闘して倒す。
ジョンだけでなくジョンを手助けした者たちも軽い制裁を受ける。アンジェリカ・ヒューストンは両手を剣で貫かれるし、情報王バワリーは顔や胴を斬り刻まれる。劇中では描かれなかったが大物を痛めつけてしまったソフィアも恐らくジョン同様の逃亡者になったと思われる。
ジョンもまた頼みを聞いてもらう度に、焼印を押されたり撃たれたりと指詰めしたりしなかやいけなくなって、何かもう偉い者だけ得して庶民は消費財が更に上がって苦しむ自分たちみたいに見えてきてジョン達が可哀想になってきた。
それらの、ストーリーを推進させるための痛めつけられ描写は素晴らしい戦闘シーンの合間に入る。甘いものとしょっぱいものを交互に無限に喰い続ける女子みたいにストーリーは進むが、ラストは痛めつけれるターンで終わるのでムカ~としたストレスたまった状態で終わった。
既に4、5作目も作られるのが決まってるし今後はバワリーやソフィアと手を組んで主席連合と闘っていく感じか。それにしても主席連合を倒したら話が終わっちゃうのでそれは置いといて、裁定人くらいは本作でさっさと殺してほしかった。すごいムカつくんだよな‥。
ラストのウィンストンだが、あれは「ああいうやり方でジョンを逃した」って事なのかな?と自分は受け取ったがどうなんでしょうね。ジョンを崇拝してるコンシュルジュも「お上手」って言ってたし‥。

🐾なんか荒くても面白くもない感想になっちゃったけど映画は普通に楽しかった。
今回は序盤の武器倉庫戦とハル・ベリーの犬アクションが特に好きだったかな。ちょっと今回はキアヌやキアヌを助けた人らが痛めつけられる割合が多いしやられて終わったのでストレス溜まって帰った。次はジョン側がやり返す割合を多くして欲しい。

※追記:そんな感じで「アクション凄いし頑張るキアヌが観れるのは嬉しいけど、ストーリー無さすぎてジョン・ウィックはもうそろそろ充分かな‥」という覚めた感想だったが「ジョン・ウィックはキアヌそのもの」って趣旨の、人様の記事を見て「そう言われてみたらそうだな!」と思った。「愛する妻をなくした」とか「昔、伝説の殺し屋(マトリックス)だったが蘇った」とか、確かに色んな要素がキアヌそのものだ。何でこの見方してなかったんだろ。そんで、それらを踏まえて本作でジョンが、どんな酷い目に遭っても生き延びようとする理由が「自分が死んだら、死んだ妻の記憶がこの世から消える」という理由だったことを思い返すと本作の評価がガーンと上がり、自分の中でジョン・ウィックが再点火して輝きを取り戻した。4と5が楽しみだ。

 

 

そんな感じでした

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John Wick: Chapter 3 - Parabellum (2019) - IMDb

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『レディ・バード』(2017)/”レディ・バード”という仮面が生まれて消えるまでの一年間。そのレディ・バードが消えた場面が好き👩🏻‍🦰

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原題:Lady Bird 監督&脚本:グレタ・ガーウィグ
制作&配給企業:A24 製作国:アメリカ 上映時間:94分

 

 

 

「フランシス・ハ(2012)」の主演などで知られる女優のグレタ・ガーウィグが、自身の生まれ故郷を舞台に撮った半自伝的な映画(しかし現実のグレタはもっと髪も染めない真面目な少女で、本作の主人公レディ・バードは「自分がこう過ごしてたらどうだったかな」という空想も加えたらしい)。
主人公は監督に顔立ちがよく似てるね(というか映画監督の多くは自分に顔や雰囲気が似た俳優を主演にしがちだよね、デヴィッド・リンチとか黒沢清とか)。
長編映画二作目(というか殆どデビュー作みたいなもの)ながら多くの賞を受賞してアカデミー賞にも5部門ノミネートされた。

 

 

 

🐞2002年、カリフォルニア州サクラメントカトリック系高校に通い〈レディ・バード〉という異名を自称する女子高生クリスティン(シアーシャ・ローナン)。
大学進学にあたって憧れのニューヨークに進学したがっているクリスティン‥いやレディ・バードは、地元に残ってほしい母親(ローリー・メトカーフ)と口喧嘩ばかりしているが、何だかんだ言って親友と楽しくやっている。

🐞レディ・バード/クリスティンは、母親と何時も喧嘩しており、また裕福でない実家や厳しいカトリック系高校や町に閉塞感を感じており、そんな何もかも思い通りにいかない「自分」とは「別の自分」になりたい想いからなのか髪をオレンジ?だかピンクだかに染めて異名「レディ・バード」を自称し、それを家族や学校でも「レディ・バードと呼んで!」とグイッと押し出している。 「自分」自身として生きるのは上手くいかない、だから「レディ・バード」というキャラクター?仮面?を一発かます事によって快適に青春をやり過ごそうという感じ。何も思い通りにいかない10代だから「せめて自分の名前は、いつも喧嘩してるママじゃなくて自分が付けた名前で呼ばれたい」ってことかな。そして気になる男子やカースト上位の女子と仲良くなりたいと思ったらグイグイと行くし、かなり積極的な女の子。映画冒頭は、ママと車中で口論になって癇癪起こして飛び降りて腕を怪我するところから始まる(だから本編の殆どで腕にピンクのギプスをしている、これを付けてる間がレディ・バード期だ)。

🐞病院で働いている彼女のママ。ママが何でここまで口うるさいのかって理由は最後に明らかになるのだがレディ・バードは産まれてこの方この唯一人のママしか知らないので「ママはガミガミ言ってばかりだしきっと私を憎んでるんだ」としょっちゅう口にする。と言っても恐らく本気で言ってるのではなく、若い子供が親にしても許される程度の甘えを口にしているだけだと思う。ママも、いつも口うるさい訳ではなく時には一緒になってキャッキャはしゃいだりレディ・バードが失恋して泣いたら「あらあら」ってハグしたりもするし普通に仲が良い。とりあえずママはクリスティンが可愛いから厳しくしてる、というのは始まってすぐわかる。レディ・バードが初体験した直後ママに「私って、いつ頃になったらSEXしてもいい?」と訊くとママは「何?もうやったの?」とお見通し。ママとレディ・バードの関わりは本作の一番大きな部分。

🐞パパは物静かでレディ・バードに優しい、何歳なのかわからないがママよりも更に年上で初老寸前くらいに見える。だからなのか、レディ・バードはパパと仲良くしつつも同級生にパパを見られたくないと薄っすら思っている(そしてそれをパパもわかっている‥)。パパは家族に優しいがお勤めや精神状態が上手くいっていない。

🐞フリーターの兄は養子らしい(それもラストになると状況がわかってくる)、恋人をを実家に引っ張り込んでいる。

🐞親友の大柄女子ジュリー(ビーニー・フェルドスタイン)。観てる間「この子ジョナ・ヒルに似てるな~」と思ってたが、実際ジョナ・ヒルの妹だと教わった。顔もそうだが太り方や演技まで似てる。ジュリーとレディ・バードの友情もまた重要な要素。

🐞レディ・バードは同じ演劇クラブにいる気になる優しい男子ダニー(ルーカス・ヘッジズ)と付き合い始めたり、その後アナーキストの尖った美少年カイル(ティモシー・シャラメ)と付き合ったりもする。この恋愛要素も本作のピースの一つだ。‥とは言え、これらの恋愛要素は彼女自身のママや友情や人生に比べたら極ちっぽけなものとして語られている。自分は男なので「女性からしたら終わった男なんてこんなもん」という感覚に触れられたのは貴重だった。

🐞レディ・バードは大柄の親友ジュリーがいるが、クラスメートのカースト最上位っぽいセクシーお嬢様ジェナ(オデイア・ラッシュ)と友達になる事に成功する(そうなると大柄女子とギクシャクする)。このジェナは僕が嫌いな結末の映画「グースバンプス モンスターと秘密の書 (2015)」のヒロインだった子が演じてる。昔よりも顔つきや身体つきが出来上がりすぎていて、そんな彼女が日焼けしてカトリック系スクールガールの制服をミニスカにしてる格好は単純に凄いエロい。全裸や下着よりも服着てるほうがエロいとすら思う。

🐞レディ・バードの周りはそういう感じ。
で、彼女はニューヨークの大学に行きたがっているが彼女の家の思わしくない経済状態と、娘を手元に置いておきたいママの存在がそれを困難にしている。
そんな彼女の家族、友情、進学、学園生活、恋愛‥など高校最後の一年を描いた青春映画。

 

 


🐞膨大な脚本を書いて大幅に削ぎ落としたためか凄いテンポ良くパッパパッパ進むので気持ちがいい。ステレオタイプの青春映画だったら念入りに描きそうなドラマチックな場面はダイジェストみたいに秒速で済ませて、それ以上の日常をじっくり描いてるのがクール。
ボーイフレンドが出来た→彼氏優しい→キスした→家族に紹介→だが彼がゲイって事が発覚→親友の大柄少女の前で泣いてる→「もう別れたわ」→仲直りして男友だちになる‥‥といった流れが10分くらいで済まされて、普通のよくある‥ヒットさせたいだけだったりクライアントに言われたから作ってるだけの青春映画だったら失恋の描写をダラダラダラダラやりそうなところだが、本作では数秒で済ませてしまう。「そんな扇情的なクソじゃなくて私は良い作品が作りたいんだ」という監督の意気込みが伝わってきた、だから気持ちいい。
それと「こういう尖った主人公の青春映画って、主人公がイタい失敗ばかりしそうだし共感性羞恥(恥かいてる他人を見て自分の事のように感じて苦しむ現象)を感じて辛そうだなぁ」と敬遠して観るのが遅かったのだが、実際観ると確かに「レディ・バード」を自称して周囲にも呼ばせたり見栄のために嘘ついたりバレたり等のイタい場面はあるが、僕が観る前に懸念していたような「うわ‥恥ず‥」と死にたくなる程のキツいものではなかったので良かった。イタさがあまりに過剰だと共感性羞恥と同時に自分の過去の恥ずかしい言動や失敗も同時に思い起こされて居たたまれなくなるから苦手だわ。ここもまた「扇情的にイタい主人公を笑おう」というよくあるノリではなく「10代だからこれが普通やろ」って感じで誠実に描いてる感じでむしろ良かった。
つまり、そういった感じでこの映画は面白いだけでなく、全方位的に誠実で丁度いい。
シャラメ君演じるマイペースすぎるカイルと、損得勘定で交友関係を選択するセクシーお嬢様ジェナは、どっちかというとレディ・バードと真の恋愛や友情を育むわけではない、よくあるフィクションなら「最低の同級生」として描かれがちなキャラではあるが、彼ら彼女らも別に悪人というわけではなく、現在のレディ・バードとは志向や波長が合ってないだけの人物として描かれる。数年後や町に帰ってきたレディ・バードと真の親友や恋人となってもおかしくはない。人生とはそういうもので、一人の波が高くなったり低くなったり‥その波長が合えば仲良くもなるし仲違いもする。彼らを「ただの嫌な同級生」として一面的に捉えて描くのではなく生きた人間として描いていて、ここもやはり丁度いい。彼らも今この時がこんな感じなだけで将来素晴らしい人物になる可能性も十分有り得る。というか多分そうなると思う。トニー・スタークもアイアンマンになるまでの長い期間は全く良い人物ではなかっただろ?
そういった誠実な人物描写は、別の青春映画「スウィート17モンスター (2016)」でも見られたし、こういった描写こそが現代の青春映画という感じがする。同時に嫌なやつを只の嫌なやつとして描く映画をグッと「昔の一面的で主観的な映画」に追いやった。
そんな感じで実に色んな事がありつつ、しっとり感動するラストで終わる。
レディ・バードは「こんなクソ田舎!」と何時も不満に思っていたが卒業間際、学長のシスターに「貴女って、このサクラメントという町を愛しているのね」と言われる。そこで「レディ・バードは逃げてばかりいたわけではなく実はつぶさにサクラメントの町や周囲の人物や自分の人生を真正面から受け止めていた」事がわかる。いわばレディ・バード自身がまだ気付いていなかった「本当の自分」が彼女自身に帰ってきた場面とも言える。彼女が自分自身に追いついたのだろう。「自分探し」なんて、しょっぱい無駄な事もせず必死に生きた結果こんな若くしてそれに気づけたんだから偉いよね(俺なんて、それが35歳くらいまでかかった)。
そして町を出た後、彼女は〈レディ・バード〉という仮面が必要なくなったので自然と元の〈クリスティン〉に戻る(個人的にここが一番感動した)。だから、これはクリスティンが作った〈レディ・バード〉という仮面が生まれて消えるまでの一年間を描いたお話と言える。
何時も仕事しながら車の助手席に乗せてくれてたママ、そのママが居た運転席に座りサクラメントを走ってママが見た町の景色を見るクリスティン。クリスティンは何時も口うるさかったママがどんな想いで自分を乗せてたのか感じながらサクラメントを走る。ママも見ていたであろうサクラメントの景色は美しいものだった。
‥この辺の、クリスティンやママの心の内を一切台詞にせず映像一発で見せてくれるあたりも良いですね。
この映画の他人の感想やレビューを見てみたが、ストーリーは素朴だけど情報量が多いせいか性差や個々人の環境が違ったせいか、人によって感じる部分や好きな場面が全然違うなと思った。というかこれほど他人の感想聞いて「え、君そこ?」と違和感を感じる映画も珍しいというか。僕の場合‥クリスティンが全編いろんな事に正面から当たっていってるところが良かった‥けど、そんな大掴みな好きなとこじゃなく、一番ぐっときたシーンで言うと‥大学に入ってレディ・バードじゃなくクリスティンを名乗った瞬間でしたね。そんな僕の感じ方も人によっては「え、一番良かったのそこ?」と思われて共感されないのかもしれない。だがそれが人間それが社会ですから、それでいいんだ。というか、そもそも共感なんてどうでもいい。ただ色んな人が居て色んな考え方をしているって事を全人類が常に強く思っておかないと駄目だと思う。そうでないと世界平和だとかSTOP環境破壊なんて夢のまた夢だ。自分さえたっぷり飯が食えればいい、だなんて、そんな考え方はクソだね。
とりあえず各々、お母さんの気持ちを考えるところから始めよう。

🐞この監督&主演女優コンビは今年のクリスマスに「若草物語」の映画化「Little Women (2019) - IMDb」を公開するらしい。主人公ジョーはレディ・バード。本作で尖った二人目の彼氏を演じたシャラメ君とか、二代目ブラック・ウィドウになりそうな俺が応援してるフローレンス・ピューさんも出る模様。エマ・ワトソンメリル・ストリープローラ・ダーンも出る。まだ未知数だけど予告を観た感じだと本作に似てるし順当に行けばグレタ監督はこの三作目にしてヒットメーカーの仲間入りすると思われる。日本公開は未定だが、まぁ絶対公開する要素しかないからするだろう(邦題は英語のままの予感)。
LITTLE WOMEN - Official Trailer (HD) - YouTube
このグレタ監督は1~3年後に配信されると思われる、キャプテン・マーベルに憧れるイスラム系女子高生がスーパーヒーローになるMCUドラマ「ミス・マーベル」の監督して欲しいなぁ。そうなんないかな。

 

 

 

そんな感じでした

グレタ・ガーウィグ監督作〉
『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』(2019)/どの映画にも一つある「この良い場面1個あったからまぁ良かった」と思うような良いシーンが全編続く映画👩👱🏻‍♀️👩🏻‍🦰👱🏻‍♀️ - gock221B
『バービー』(2023)/面白かったし良作だったが最後に台詞で映画のテーマを全部まくしたててしまう場面だけ醒めた。ミームを始めとする映画外の話題の方が長くなった👧🏼👱🏼 - gock221B 

👩🏻‍🦰👩🏻‍🦰👩🏻‍🦰👩🏻‍🦰👩🏻‍🦰👩🏻‍🦰👩🏻‍🦰👩🏻‍🦰👩🏻‍🦰👩🏻‍🦰👩🏻‍🦰👩🏻‍🦰👩🏻‍🦰👩🏻‍🦰👩🏻‍🦰👩🏻‍🦰👩🏻‍🦰👩🏻‍🦰👩🏻‍🦰👩🏻‍🦰👩🏻‍🦰👩🏻‍🦰👩🏻‍🦰👩🏻‍🦰👩🏻‍🦰👩🏻‍🦰👩🏻‍🦰👩🏻‍🦰

Lady Bird | Official Movie Site
Lady Bird (2017) - IMDb

www.youtube.com

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「サスペリア (1977)」いつも困った顔の、か弱い少女と思ってた主人公がイーストウッドやランボー並の尋常じゃない強さで敵を皆殺しに!🔴

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原題:Suspiria 監督&脚本&音楽:ダリオ・アルジェント 脚本:ダリア・ニコロディ
制作総指揮:サルヴァトーレ・アルジェント 制作:クラウディオ・アルジェント
音楽:ゴブリン 製作国:イタリア 上映時間:99分 シリーズ:魔女三部作

 

 

 

本作をリメイクした「サスペリア (2018)」をレンタルしたんだが「そういえばオリジナル観てなかったな」と思ってリメイク観る前にこっちも借りて観た。
※追記:この感想書いた後日にリメイク版「サスペリア (2018)」も観て、良い部分もあったけど90分で終わる話を二時間半に引き伸ばした印象でイマイチだった。感想も面白い感想にならなさそうなので書くのはやめておく。
定番ホラー映画の一本なのにも関わらず、何で観てなかったんだろ。
というかアルジェントの映画ほとんど観てない。たぶん自分はホラー映画には写実的なルックを求めてて、本作はアルジェントのドギツイ色彩のファンタジー感あふれるビジュアルとか作家性がクセありすぎて、そういうのってハマったらたまらないんだろうけど二の足を踏んでたのかもしれん。ジョジョ刃牙や福本漫画や山口貴由を絵柄で敬遠する感じか。
実際観たら面白かった!
本作の後作られた「インフェルノ (1980)」「サスペリア・テルザ 最後の魔女 (2007)」と合わせて魔女三部作らしい。そういえば「サスペリア・テルザ 最後の魔女」を10年前観たっけ‥めっちゃ面白くて好きな映画だったが何故か他のアルジェント映画一切観てない。いや、本作の続編ではないが続編のように見せかけて内容一切関係ない「サスペリアPART2 (1975)」も観たわ。アルジェントはその2本しか観てない。
40年以上前の映画(!)なのでネタバレありで。。

 

 

🔴👯‍♀️🔪🐕🔴

 

 

映画が始まると即ゴブリン(プログレのバンド)の曲が流れる。
Suspiria by Goblin on Spotify
名称わかんないけどホイミーみたいな音色のヴンヴンいってる楽器の音がかっこいい。この映画の三分の一はゴブリンの音楽で出来てる印象(残りはアルジェントと主演女優)。ゴブリンは本作と同じく「サスペリアPART2」「フェノミナ」「ゾンビ〈ダリオ・アルジェント監修版〉」などでもサントラを担当してる。
そして如何にもアルジェント如何にもイタリアンホラーって感じで極彩色の画面と、急激なドアップなど、全体的にクセが強い。そ-いうのはあまり好みではなかったがいざ観てみると良いですね。でも、どうせ観るなら思春期の時に観たかった感じの映画。

バレリーナ志望の少女スージージェシカ・ハーパー)は、叔母の紹介でドイツのバレエ学校に入学するためニューヨークから飛行機でやってきた。
空港の中、カメラがスージーの主観視点になって空港の出入り口に近づくとゴブリンの曲が流れる。客観視点に切り替わってスージーを正面から捉えると音楽は止む、また切り返しで主観視点になるとゴブリンが再び流れる。いよいよドアからドイツに足を踏み入れる段になると自動ドアの平開機構が突然ドアップになるので「何や!?」と思うが何も起こらずスージーはただ外に出るだけ。外気がブワアアッと突風となってドラマチックにスージーをなぶる。そして一瞬また自動ドアの平開機構がドアップに!一瞬だけ。直接的な意味はない。どうやら「観ている我々の世界と地続きの普通の世界だった『ドイツ以外の場所』からドイツに入ってきた、この時点でスージーは一度動き出したら止めることの出来ない何かに巻き込まれた。何かが始まりますぞ御期待あれ」という感じを演出してるんだろうと思った。一言でいうとジョジョのゴゴゴ‥みたいな「嫌な予感」ってやつか。だが嫌な予感というものは決して外れはしない、またぞろ出てきて‥酷いことをするのよ。
土砂降りの中、真っ赤なバレエの学園に到着するが入り口では取り乱した女生徒が「秘密よ!」「ドアの陰!」「3つのアイリス!」「青を回して‥!」そんな感じのことを何者かに伝えて雨の中を走り去っていく。異様な迫真の雰囲気。スージーは入れてもらえないので後日出直す事にした。
謎のキーワードを叫んで走り去った女生徒は友人の家に泊まるが、毛むくじゃらの腕を持った何者かによって友人ともども惨殺される。その過程で、美人の女生徒が毛むくじゃらの腕によって窓ガラスに押し付けられて不細工になった顔がアップになる、何だか「美しい顔を変形させたい」ってフェティシズムを感じさせる。
翌日、改めて学園に迎え入れられたスージー、学園には理事長代理のマダム、女性教師、盲導犬に引かれる盲目のピアニスト、ルーマニア人の下男、マダムの甥の少年、学費稼ぎのため住み込みで雑用をこなす爽やか美少年、そして多くの女生徒がいた。
登場人物たちは殆ど美形だし学園の内装や美術も綺羅びやかで、日本の70年代の少女漫画っぽいなと思った。
用務員?のオバサンと理事長代理の甥がいつも一緒に居て、常に無表情でスージーを眺めてる様とか「ツイン・ピークス」の〈トレモンド夫人と孫〉を思わせる。
スージーは薄気味悪さを感じながら日に日に意識が朦朧とし体調が悪化していく、また学園に蛆虫が大量発生、画作りが美しいのと「美少女と蟲」という幻想的なムードで、蛆虫が何千匹と出てきても不思議とキモさは感じない「何だか炊きたてのお米にも見える‥」と感じたが翌日の飯が不味くなりそうなので俺は考えるのをやめた。あと深夜に聞こえる謎の足音や学友の失踪。盲目のピアニストの盲導犬が学園の瘴気に感応してか学園長の孫を噛んだりピアニストを喰い殺したり(このピアニストが食い殺される人っ子一人居ない深夜の広場がめっちゃカッコいい)。
そんなボンヤリした怪異が次々と起こる。
そういった感じで映画は進むが「サスペリアは魔女の映画」っていう認識を忘れて観ていた俺は「カッコいいけどコレどういうホラー映画だっけ?サスペリアPART2みたいな殺人事件?それとも霊的な映画?」とよく把握できなかったため、また主人公のスージー同様ワイン‥いや葡萄酒を飲みながら観てたのでスージーとシンクロして幻想的だがよくわからない世界を「面白いのか面白くないのかよくわかんないけど何らかの面白さを魅せられてるな‥」とボンヤリと堪能しているうちに眠くなってきた。映画館で観たら徐々に眠くなりながら有意義な時間を過ごせそうだなと思った。寝ながら観てこそ面白い映画とかありますよね。友達とか恋人の家で深夜、映画観てる間にウトウトして「寝た?」「寝てない」をお互い言い合ってるうちに寝たりするのも最高ですよね。正直それこそ人生。そもそも我々日本人‥ヒューマンは別の意味で寝ながら生きてるようなものだし‥とかそんなことを言ったりして‥。どうでもいい。。

 

 


レッスン中、体調不良で倒れたスージーが、理事長などのオバサン達に囲まれ「失った血液をつくらなければ!」とか言われてクソデカい水差しで大量の水を飲まされる。このスージーを囲む三人のオバサンを見て「あ、これって『マクベス』『イーストウィックの魔女たち』『ロード・オブ・セイラム』とかに出てくる〈三人の魔女〉もの映画か?」と思い、「そうだ『サスペリア・テルザ 最後の魔女』も魔女の映画だったから、これもそうか」といったボンヤリした認識によって本作が「魔女の映画」だと思い出した。
魔女とか現代魔術とかウィッカとか‥ボンヤリと興味はあるが勉強したり実践してみようと思うほど興味があるわけではないので全く知識ゼロなのだが、魔女が出てくる映画は何となくカッコいいので好きだ。こんな知識ゼロのボンヤリとした感想で良いのでしょうか‥?僕はそれが一番いいと思っています。ジュリエッタ‥。
そしてスージーが学園の秘密を探る場面があり友人の青年(ウド・キアー)や心理学の教授が魔女や学園のことを喋りまくる。わかりにくいと思って唐突に差し込まれた説明パートだ。とにかく魔女の映画だとわかると目的地がわかった感じになって少し目の前の霧が晴れた。
それにしても困り顔の顔文字みたいな表情で「がぼがぼ (>o<:)」と水をがぶ飲みされるスージーが可愛くて、この辺で俺はやっと全編、困った顔して華奢な身体でウロチョロしてるスージーの魅力に気付き始めた。
そもそも普段観てるものの殆どはアメリカ映画やドラマで、それらの主人公は中年男性や中年女性だし(アベンジャーズの加齢率の高さを見よ)たまに若い女性主人公が出てきたとしても、それはセクハラ・パワハラに対抗したり「女性の躍進」などといった何らかの役割を持って出てくることが多い。そして彼女たちは筋トレしてバキバキの身体だったり、逆に「ありのままの自分」を表現するためムチムチした体型の女性が出てくることが多い。それはそれで良いことだと思ってるが、それだけにこのスージーみたいに華奢な身体や童顔の美少女が、特に何も主張せず「何だか大変‥」とばかりに左から右へ、右から左へとウロウロしてるだけの本作が逆に新鮮だった。「こんなか弱い女性キャラ、今出てこないもんね」と思った(だが最後まで観たらクソ強かったので驚いた)。
かと思えば色々しんどい目に遇ってカットが変わるとオモムロに煙草を「ふ~‥」と吸ってたのがめっちゃ可笑しかった。この当時は皆煙草を吸ってたの知ってるが今の俺は2019年を生きてる男なので、華奢な美少女がカット変わった瞬間にオッサンみたいに煙草をふかしてる姿はコントみたいに見えた。
次々と殺人が起こる中、スージーは学校に魔女が棲んでいる事を突き止める。
冒頭の学園に着いた夜、学園から走り去って惨殺された女生徒が呟いてたヒントを頼りに隠し扉を見つける。しかしスージーも、全く意味のわからん単語の羅列をよく覚えてたな。そういえば劇中でも観客に忘れさせないように2、3回思い出して印象づけてたな。だが誰も覚えようという気にならない感じだったし、実際出てきても「そうだったのか!」という感じではなく「‥そうなの?」という感じ。「よくわからないけど君の好きなようにしてくれよ‥応援するからさ‥」などという俺の好意的な態度の前でスージーは真相に近づいていく。
扉を開けてカッコいい暗い廊下を進むスージー。途中、用務員のオバチャン達が生肉をさばいてはしゃいでるシーンが挟み込まれる(ヨーロッパ映画でこういう生肉とか裸が出てきたら妙にアートな雰囲気を感じるのは何なんでしょう)。
「スージーが真相に近づいてる」という展開がそっくりそのまま可視化されていて、しかも殆ど邪魔は入らずスージーはただ廊下をまっすぐ進んでるだけというストレートさ。
一番奥の秘密の部屋では学園長代理などのオバハン達や使用人やガキが勢揃いして秘密の会談をしていた。どうやらスージーを呪い殺そうとしている。そして盗み聞きするスージーの傍らには学園を去ったと思っていた学友の惨殺死体が!逃げ出すスージー

 

 

 

スージーは、ある部屋に隠れる、そこにはベッドに誰か寝ていた。学園を作った元祖魔女らしい。だがベールをめくっても誰も居ない。しかし魔女の声は聞こえる。
魔女「私を殺す気かい?!ククク‥」と話しかけてくるが姿は見えない。
すると掃除道具入れみたいなノリで部屋の隅に立て掛けてあった棺桶を開けようと人の手が棺桶の隙間から出てくる。こ、怖い!
するとバーン!と勢いよく棺桶が開いて、さっき見たばかりの学友の死体が現れる。
死体は目をひん剥いてナイフを振りかざし低音ボイスで「ウハハハハハーー!」と笑いながら出てくる。何か飲み会で悪ふざけしてる奴がいるな‥と思ってよく見たら本物のキチガイが紛れ込んでいたかのような異様な雰囲気で凄く怖い!「サスペリアPART2」の人形のシーンほど怖くないが似たような怖さだ。何というか幽霊とかゾンビの怖さじゃなくて「キチガイが自分めがけて襲いかかってくる!」という種類の怖さ。
窓から外を見ていたら「何か様子がおかしい狂人が居るな」と思って見てたら、そいつが突然こっちに目を合わせて走ってきて自分のいる建物を登ってきてドアをドンドンドンドン!叩きまくって寝て深夜起きてドアの覗き窓を覗くとそいつがまだ居て向こうからも覗いていて「見つけた-!」と言って再びドンドン!ドアを叩いてくる‥そんな怖さだ。
そんなガイキチがナイフというコミュニケーションツールを持って僅か数メートル先にいる。そしてそのコミュニケーションツールをスージーの身体に刺してスージーのパーソナル・スペースを侵害するどころかマイナスに‥つまり刺殺しようとしている。
館の外では雷光と雷鳴が轟いている。
スージーは自分に襲いかかってくる動く死体と交互に背後のベッドを見る、まるでベッドに魔女が居ると知ってるかのようだ。実際、ベッドには誰も居ないのだが雷鳴によって人の輪郭が浮かび上がる。スージーは「そこだー!」とばかりに人の輪郭の胸あたりをぶっ刺す!
魔女「ギャー!」
そこには何百年も生きている?学園の創設者である醜い魔女が姿を現し絶命する。
魔女の命と連動しているのか理事長などの学園関係者も同時に全員死亡!ついでに学園が突然自然発火して全焼!まさかのスージーのパーフェクト勝ちだ!‥この辺は、ここ十年くらいのアメリカ大作映画でもそうだな。敵の弱点の一点を突くと敵の全てが滅んでしまうという‥。デス・スターとかアベンジャーズとか‥全部そうだ。ご都合主義と言ってしまえばそうだが、わかりやすいので新しいやり方が出てくるまでこのやり方が、まだ数年続いても俺は構わんよ。
焼け落ちる学園をバックに、憑き物が落ちたかのように晴れやかな笑顔のスージーが歩き去りゴブリンが流れるという衝撃のラストカットで映画は終わる!
いつも華奢な身体で困ってるだけだと思われたスージーだがめちゃくちゃ強かった。
結局、一人で真相を突き止めてラスボスまで辿り着き、すぐ目の前には動く死体が高笑いしながらナイフで襲いかかってるにも関わらず、後ろを見て透明になっている魔女の位置を雷鳴でサーチしてブッ殺すんだもんね。透明な魔女のことが何故わかったのかはよくわからんが、こんな今際の際に伝説の英雄みたいな最適手が取れるかね?一人で5、6人分の働きをしている。さすが昔の人だ。俺だったら動く死体が出て来た時点で腰が抜けて殺られてしまいそうだ。
そういえば「サスペリア・テルザ 最後の魔女」でも女性主人公が魔女軍団を倒して最後に爆笑してたけど、あれは本作から来てたんだね。素晴らしいラストだわ。
とにかく、よくある映画の流れから言うと館の焼失と共に主人公も死んだり曖昧な感じで終わりそうなもんだが、まさか若い時のイーストウッドランボー並の最適手で敵を全滅させてしまうとは!スージーめちゃくちゃ強い!
それまでの本編での困りっぷりとか「弱そうな痩せた美少女」という出発点からのギャップ有りすぎてめちゃくちゃ俺の心に焼き付いた。
そういえば入学時に「一度こうと決めたら曲げない」という意志の強さを見せてたな、あれが伏線だったのか?とにかく、まさか強いと思ってなかった、最後死ぬんじゃないか?とすら思っていた主人公が尋常じゃない強さを見せたという一点で監督が意図してない魅力が発生しました。僕個人の映画女性主人公の強さスケールで測った結果、アベンジャーズの女性ヒーローやインシディアスばあさんや死霊館おばさん、リプリーやサラ・コナーより、このスージーの方が強い、という結果が出ました。物語の理を超えた強さ、イーストウッドが演じたキャラなどに匹敵する理不尽な強さだ。
そういえば爽やかなイケメンはどこに行ったんだろう?とか魔女たちは何で妙に遠回りなやり方で殺人を行ってたんだろう?とか色々思うところはあるがスージーの活躍の前ではそんな事どうでもいい。どうせ全員、焼け死んだんだろう。
 

 

 

そんな感じでした

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