「ズートピア (2016)」学校で観せるとよさそうな力作なんだが若干の恥ずかしさと堅苦しさもある🐰

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原題：Zootopia　監督：バイロン・ハワード、リッチ・ムーア
製作会社ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオウォルト・ディズニー・ピクチャーズ
製作国：アメリカ　上映時間：108分

「ズートピアはアラン・ムーア原作の『トップ10』に似てる」ってTwitterで言ってる人を何回も見たので興味が湧いてたのもあった。
観てみると確かに似てた。どちらも女子の新人警官が赴任して数日間の出来事。ひねくれ者のパートナーと組んで捜査を進めて意外な黒幕に突き当たる。。
まあそれは刑事ものだとよくある共通点だけど、住んでいる人々の多様性をキャラクターの多様性に託して表現しているところが似てる。
「トップ10」の場合、全人類が能力者という街の警察署を舞台にしたアメコミで、市民の多様性を一人ひとり全く違う能力を持ったメタヒューマンによって表現してたのに対し、本作の場合「動物」という種の違いによって表現してました。

冒頭、幼い時にいじめっ子と喧嘩した主人公ジュディの顔に、血こそ出てないものの痛そうな傷が顔に付いてるのを見て「これは傑作が始まったぞ」と思った。
その最初の印象通り、主人公は意外なほど厳しい現実と闘うので驚いた。
世の子供は、これを観てフィーバーしてるらしいが、これって子供が観ても面白いのかな～？と思った。まあきっと面白いんでしょう。
実際、面白すぎてあっという間に終わった感じだった。
作中では主に、多数派の草食動物と少数派だが捕食者だった先祖を持つ肉食動物という辺りがクローズアップされて肉食動物への偏見や差別ネタが多いのがグッと来るとこでした。
記者会見でジュディはいくら何でも迂闊な事を言い過ぎじゃないか？とか思ったり「何か農家は全くイケてないと言ってるように見える‥」という気がしなくもなかったが、まあ問題ないです。
「カッコいい記者会見のやり方」は具体的でいつかどこかで役に立つ気がした。

ディズニーPIXER‥特にPIXER作品に昔から感じていたが、あまりに上手すぎるんだが、その上手さを前面に出し過ぎて観てて気恥ずかしくなることがある。
PIXERが昔やってた、スタッフロールの時にNG集を流すのが凄く嫌いだったが（だってNGなんて最初からないし、それをわざわざ作るのは上手さを超えた嫌味だ）、それはいつの間にか止めてくれてよかった。
伏線を物凄いドヤ顔で華麗に回収していく様とか‥本作でも例えばジュディが狐に涙ながらに謝る感動的なシーン。それを録音したキツネが、後ろ向いたままニンジンペンをクールに何度も再生するシーンとか‥ここは確かに感動する名場面なんだが、あまりにもキメすぎてて凄く恥ずかしくなった。
才能あふれる漫才師がツッコミの後に見せるドヤ顔を見てしまったかのような気分とでも言うか。
そもそも動物の都市っていう時点でメッセージ性高すぎるのに、その上あまりにもキメ過ぎてるので観てて赤面してしまう。
このアニメはスキが無さ過ぎるし、しかもアニメだから実写と違って偶然何かや演技が映りこんだとかはありえず画面に映るものは全て手間暇かけて描いてるものなのです。
それが明確すぎるだけに、アニメが上手ければ上手いほど明確に意図が前面に出過ぎるから恥ずかしくなるのかな？と思ったりしました。
ジュディがニックの胸に顔をうずめた後、戯れるかのようにニンジンペンを取り返そうとする時の彼女の手の演技‥あれは凄く自然な動きでかなりキュンとするシーンなんですけど、そんなエモい場面でアニメキャラのイチャイチャ演技が自然であればあるほど不自然で恥ずかしくなりました。
わかりますか？言ってること。
たとえばこの場面が殆ど動かないフラッシュアニメとか感情をあまり表情に出さないアニメだったらもっと感動できるんですよ僕の場合。「ひょっとして今ｘｘと思ってるんじゃ‥」と気づくことによって感動する。この映画の場合だと「ウサギが泣いて謝ってます‥→はい！いまキツネがウサギを許しましたよ！→二人はじゃれています(^o^)」と画面にテロップが書かれてるのかのような気持ちになるんです。わかりますか？
喩えるなら家族が自分のサプライズパーティの準備してくれてるところを偶然見てしまった！しかし知らないふりして今から帰宅しなければいけない‥時の感覚とでも言うか。喩えがうまくないか。
貶してるわけではなくむしろ長所なんですが、、恥ずかしくなる。。
ひょっとして僕は人一倍、楽しんでいるのかもしれないとも思えてきた。
ディズニーPIXERの映画は素晴らしくて「これは絶対に日本アニメの100倍凄い！」と毎回思わされるのですが、何度も見返さないのはそういう理由かもしれないなと思いました。