原題:Annabelle: Creation 監督:デヴィッド・F・サンドバーグ 制作:ジェームズ・ワンほか 制作会社:アトミック・モンスター・プロダクション 製作国:アメリカ 上映時間:109分 シリーズ:「アナベル」シリーズ、死霊館ユニバース
★ジェームズ・ワン制作ホラー。アナベルシリーズの二作目にして前日譚。
同一世界を舞台にした「死霊館バース」の四作目でもある。
ジェームズ・ワン制作ホラーは「死霊館」バースと「インシディアス」シリーズという二本柱でホラー界独走中。‥だったけど最近「IT/イット “それ”が見えたら、終わり。(2017)」に敗北した。
【死霊館バース】は、実在する超常現象研究家ウォーレン夫婦が、アメリカで実際に起きたポルターガイスト現象を解決する本筋「死霊館」シリーズ(「死霊館 (2013)」「死霊館 エンフィールド事件 (2016)」)。ウォーレン夫婦が封印する前のアナベル人形を扱ったスピンオフ「アナベル」シリーズ(「アナベル 死霊館の人形 (2014)」と本作)がある。
更に、死霊館シリーズによく出てきてた謎の尼僧の悪霊が出る「The Nun (2018) 」や「エンフィールド事件」に出てきた悪霊”へそ曲がり男”が出てくるらしい「The Crooked Man〈仮〉」などが製作中。
★この監督は、数分間の短編ホラーを発表したものをジェームズ・ワンがフックアップして製作した長編映画「ライト/オフ (2016)」の監督。
電気を消した時だけ現れる悪霊を扱ったこの映画は、冒頭10分くらいは面白かったけど、良かったのはそのワンアイデアだけで後はかなり凡庸で「冒頭10分くらいでよかったな、いや最初に作られた短編だけでよかった」と思いました。
しかし一連のジェームズ・ワンのチームの一員に昇格したようで本作の監督に抜擢。
前作「アナベル 死霊館の人形 (2014)」観る前は舐めてたけど傑作だったが。。
1957年。12年前に最愛の娘を亡くして以来、悲しみから立ち直れずにいる人形職人サミュエルとその妻エスター。
そんなある日、夫婦は孤児院の少女6人とシスター・シャーロットを受け入れる。
しかし孤児たちは不気味な現象に遭遇し、足の不自由なジャニスは特に敏感で何者かの気配に怯えるあまり、夫婦の亡き娘の部屋に忍び込み図らずも恐るべき力を秘めたアナベル人形の封印を解いてしまう――そんな話。
例のアナベル人形を作っている人形師の男性サミュエル。
妻(ミランダ・オットー)と幼い娘がいて、幸せな家族。
しかし2000年代のハリウッド映画で大流行した「トップスピードで一切ブレーキを踏まない運転者の顔が出てこない乗用車」によって娘は轢死。
12年後、サミュエルは悲痛な面持ちになり妻エスターは寝たきりになっていた。
孤児院からシスターと6人の少女が来て、夫婦は皆を受け入れる。
それから少女たちは各々不思議な出来事に遭遇。
足が不自由な少女は夫婦の、今は亡き娘の部屋に忍び込みアナベル人形の封印を解いてしまい心霊現象は激しくなっていく‥
みたいな話。
一作目のアナベルは「『死霊館』のアナベル人形がどこから来たか」というエピソード1的な話だったが、今回は更に「あのアナベル人形はどうやって誕生したか」というエピソード0的な話。
ざっくり言うと死んだ娘を悲しむ夫婦の願いが心霊現象を招いてしまい、最終的には前作の冒頭に繋がって終わる。
正直言ってかなり凡庸だった。別に「すごいダメ!」とか、そこまで酷いわけではないが何というかビールだと思って飲んだらノンアルコールビールだった感じのつまらなさ。「最後まで見れるし一定以上のクオリティはあるが、再見したりすることはないだろうな」という程度のつまらなさ。
ホラー映画としたら、まあ十分見れる普通に面白い作品という感じだが、前作が大好きだったしこのチームの制作作品に今までハズレがなかったのでガッカリ度が高かった。
最後に前作に繋がるエピローグと、その時に劇中のアナベル人形の元になった可愛いぬいぐるみ(本物のアナベル人形)が出て来るとこだけ面白かった。
いつものように前半、日常生活の中で心霊現象が起きて→中盤で原因がわかってきて→いかにもアメリカ映画的な派手な悪と正義の闘いが行われるクライマックスという流れ。
前半は、幽霊が出てきてる時よりも出てきていない時間でもって怖がらせるタイプのホラーなので、そこそこ怖い。
だけど、幽霊が出る前に一瞬、幽霊の一部を見せて「今から出ますよ」と合図を出すのであまり怖くない。またいつもは新しいアイデアによる新鮮なシーンを見せるが過去作の心霊シーン使い回しが多かった(「死霊館」であった人間の形に膨れたシーツをめくると何もいなかったり、暗闇にボールを投げたりとか)。
予告編で期待させた数々の怖そうな描写(井戸引きずり込みとか)も怖くなかった。
一番良かったのは、真っ暗闇の廊下の向こうからパタタタッ!と子供が猛ダッシュで走ってきてる音だけする‥というのが一番怖いシーンで、後は割といつもと同じことしてるだけだったね。初めて観たのが本作なら面白い!と思うかも知れないが、死霊館バースとインシディアス全作と比べると、かなり平凡な印象。
また孤児たちもせっかくたくさん居るのに、あまり個々人を掘り下げないのが勿体なかった。キャラが面白ければ怖いシーンが平凡でも人間ドラマで面白がれるのに、怖いシーンも凡庸だしキャラも全員薄いので、かなり平坦に感じられた。
死んだ娘の両親は事件の中心にいるしキャラも立ってたので、両親を主人公にした「ペット・セメタリー」的な話にした方が良かった気がする。
少女は6人もいるのに、主に描かれるのは実質ポスターに載ってる主人公っぽい子と足が不自由な子の2人だけで後の四人はただキャーキャー言ってるだけだった、別に殺されるやられ役でもなく本当にただ叫んで居るだけ。これなら最初から孤児の少女達は主人公と足の不自由な子の2人だけでよかっただろう。
前半、主人公格だった足の不自由な少女は描写も多くキャラが立ってたが途中で悪魔に憑かれてしまうので後半で急にポスターの美少女に主役交代する。しかし突然この美少女が主役だと言われても他の四人の少女と大差ないし特に人間的なドラマもないので盛り上がらない。やっぱり両親を主役にするか、もしくは足の不自由な少女が最初から最後まで主人公だった方がよかったのでは。
「ライト/オフ」の時も思ったが、この監督はバケモノをモロに出したり人間が惨殺されたところなどの派手なシーンが撮りたい人のようで、オカルトホラーを作るこのチームにあんまり合ってない気がする(どっちかというとサム・ライミのところに行ってフェデ・アルバレスと一緒に制作する方が合ってそう。ライミが得意な死霊による血ゲロ飲ませシーンもやってたし)
良かったところは前作の冒頭に繋がるという、本作の評価とはあまり関係ないユニバース要素と前作同様アナベルを直接動かして襲わせなかったところ(きっとアナベルはそういうコンセプトだという掟がしっかり出来てたんだろう)。あと足音だけ追いかけてくるシーンは良かった。
死霊館シリーズにもちょいちょい出てきてスピンオフ「The Nun (2018) 」が製作中の尼僧の悪霊のネタフリがちょいちょい出てきてた。しかし本当にこの尼僧の悪霊が何なのか全然説明しないまま、たまにバァーと出て来てるだけなので特に思うこともなく「尼さんまた出てるな」と毎回思うだけだった。
まあ、とにかく金の掛かった普通のホラーとしては最後まで観れる感じだが、前作や他の作品のクオリティを期待して観たのでがっかりした。
発泡酒と間違えてノンアルコールビールを買ってしまった時の感覚にそっくりだった。
次のジェームズ・ワン制作ホラーは北米で年明けに「インシディアス」シリーズの4作目が公開されるみたい。 Insidious: The Last Key (2018) - IMDb
ダラダラ長くつまらない感想になってすみません。
そんな感じでした
gock221b.hatenablog.com
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〈死霊館ユニバース〉
『死霊館』(2013)/Jホラーっぽい前半とアメリカ映画っぽい後半の組み合わせが良すぎる👿 - gock221B
『死霊館 エンフィールド事件』(2016)/横綱相撲みたいな洗練されきった貫禄ホラー!👿 - gock221B
『死霊館のシスター』(2018)/これ以上ないほどシンプルな、おにぎりみたいなホラーで好感触➕ - gock221B
『ラ・ヨローナ ~泣く女~』(2019)/良作だが10回くらい繰り返されたテンプレに飽きてきた。霊より中年の男女のキャラが良かった👰 - gock221B
『死霊館 悪魔のせいなら、無罪。』 (2021)/3(8)作目にして安定テンプレ捨てて挑戦したのは偉いが、それでもさすがに飽きた感ある👿 - gock221B
『死霊館のシスター 呪いの秘密』(2023)/14年で14本も殆ど同じ内容の映画を作ってるので僕も5年前に飽きてて本家の死霊館やインシディアスやアナベルは完全に味しなくなったけど、これはまだ若干いけるかも✚ - gock221B
〈同じ監督による映画〉
『ライト/オフ』(2016)/それなりには面白かったが、短編と予告編で全てを出し切ってた印象👻 - gock221B
『シャザム!』(2019)/一人の男は壁を見ていた、もう一人の男は鉄格子からのぞく星を見ていた。君はどっちだ? ⚡ - gock221B
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