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「死霊館 エンフィールド事件(2016)」ジェームズ・ワン/横綱相撲みたいな洗練されきった貫禄!本当に大好き

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原題:The Conjuring 2 監督:ジェームズ・ワン
制作国:アメリカ 上映時間:134分
シリーズ:死霊館シリーズ。死霊館バース

 

実在してアメリカでは非常に有名な超常現象研究家のエド&ロレイン・ウォーレン夫妻を主人公にして実際に起きた事件を元にした「死霊館」の続編。
スピンオフ「アナベル 死霊館の人形」も合わせるとシリーズ三作目。
今回も1977年にイギリス・ロンドンのエンフィールドで起こり、史上最長期間続いた最も信憑性のある心霊現象「エンフィールド事件」を題材としている。
エンフィールドのポルターガイスト - Wikipedia


前半
映画冒頭で夫婦は1974年に起きたやはり有名な事件「アミティビル事件」を調査してる
オーシャン・アベニュー112番地 - Wikipedia
この事件を元にしたホラー映画「悪魔の棲む家」が作られ更にシリーズ化して六本も作られた、この有名なアミティビル事件だけで映画一本作れそうなのにアバンで数分間さらっと流して終わり。「この事件は知ってるでしょうからスルーします」というわけだ。お洒落だね
夫婦はこの事件によって名声を得るが同時に世間からバッシングもされて疲弊。
この映画内の心霊事件やその真偽、そもそも霊が本当にいるのかどうかみたいな話はとりあえず全て棚上げして、このページでは心霊に全乗りで全部本当の出来事として観て、話を進めていく(その方が楽しいから)


一方、イギリスのミドルセックス州エンフィールド。
シングルマザーのペギー・ホジソン、その娘二人と息子二人が住むホジソン一家
彼らは貧乏だが幸せに過ごしていた(劇中の子供達4人めちゃくちゃかわいい)
父親は浮気して若い女と逃げたカスのスタイル。この父親は出てこない。
この家に以前住んでいたという老人の霊が悪戯をしたり次女に取り憑いたりして、ホジソン家の人達は長期間のポルターガイスト現象に悩まされることになる。
今までの映画で蓄えたホラー技術を遺憾なく発揮していて怖いのだが、霊障を起こすのはジジイなのでコミカルな雰囲気もする。
一方、有名になったはいいがバッシングに疲れたエド&ロレイン夫婦は引きこもっていたが、恐ろしい女の霊のようなものを何度か見る。何かの予兆なのか?
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(こんな奴が自分の家の廊下の先に居たらどうする?俺は気を失いたいね)
夫がこいつの絵を描いて飾ってる(こんな怖ええ奴の絵を描いて飾るな!)が絵から抜け出て家の中をうろつき回ってる。怖すぎるだろう
ホジソン家の「エンフィールドのポルターガイスト現象」は、警官やジャーナリストの目の前でも平気で起こるので、やがて新聞やTVで報じられるほど有名になっていた。
警察官が超常現象をTVに出て認めるって相当でかいよね。たとえ気のせいだったとしてもこれはもう事実と変わりない。
教会は超常現象の確固とした証拠がないとエクソシストを派遣する事が出来ないため、引きこもっていたエド&ロレイン夫婦に「エンフィールド事件が本物かどうか」という調査を依頼。燃える展開。
夫婦は運命的なものを感じて、エンフィールドに向かった。
しかしそれは夫婦の心霊人生の中で最大級の超常現象だった。。
みたいな話。

例によって今まで通り、
第一幕:怪奇現象に悩まされる一般家庭
第二幕:心霊現象の専門家と合流
第三幕:悪魔との決戦!
といういつもの流れ。
インシディアスシリーズも合わせると、もう6本全部この流れだが毎回新しいアイデアをぶち込んで来てるので未だに新鮮な味わい。
同じことの繰り返しだが面白いから全く構わない。俺的には同じフォーマットであと四作くらい連発してくれても歓迎
前半の、たっぷり一時間に渡って超常現象に悩まされる一般家庭の描写。
いつものようにデヴィッド・リンチっぽいJホラーっぽい心霊現象がたっぷり続く。

ここは、全体を通して一番の見どころなのだが、この前半が面白くないという人は、この一派のホラーは合わないのでこれ以上観ても無駄だ。
今回もありとあらゆるアイデアを試している。
散々多用してきたベッドの下とクローゼットの中はもう使わなかった。「シックスセンス」に出てきた子供用テントが多用される。
過去作では、霊がモロに映るとその瞬間は怖いが、慣れてしまって後で怖くなくなってしまうという欠点があったが、今回は霊がガッツリ写っても「夢でした!でもコイツは本当にいるし後で出るからね」というオチを取ってるので緊張感が持続していく。「霊がいるのは本当だし、悪夢の出来事は本当に起きたも同然」というバーチャル心霊現象を重ねていくスタイル。「悪い予感」がずっと続く。我々の人生と同じだ。
ここは初見だと普通に怖くて「まだ続くの~?」という嫌さを感じるので、否応なしに心霊被害者ホジソン一家への感情移入が半端ない。
毎回だが、建物の内装や計算され尽くしたカメラワークでの怪異がカッコよすぎる。
そもそも部屋の内装や美術が「理想化された70年代」って感じでかっこいい
それは回を増すごとに洗練され極まって、もはや横綱相撲のようにどっしりしている。
冒頭で一瞬で終わってしまう「アミティビル事件」の描写も惚れ惚れするほどカッコいい画だった↓
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左の生者の降霊会は現世で、右のロレインの魂と少年の霊は死者の世界。
それが部屋の境目によってバッチリ区切られている、見せたいものが一目瞭然。
ジェームズ・ワン組のオカルトホラー演出のカッコよさを上手く伝えたいが、映画の専門的知識や語彙が貧弱なため毎回上手く書けないのでもどかしい。
まあ、このカッコよさはればわかると思うし観てピンとこない人は説明してもピンとこないだろうからこの程度でいいのかもしれない。
観てるうちに子供達に感情移入させられ、子供たちがママに心霊現象を説明しても「嘘ばっかり言って!」と信用してくれないのだが目の前で戸棚がズザーッ!と移動してママは信じざるを得ないというシーンでは、子供目線で「ほら~!」と思えて快感。
そして今度はママが警官にそれを説明するが警官は当然信じない。すると今度は警官たちの目の間で椅子がズザーッ!と移動して警官たちも信じざるを得なくなり、今度はママに感情移入して「ほら~!」という感じになる。この辺のシーンは単純明快。快感だね。
この快感はきっと「他人には自分と同じ気持ちになって欲しい。信じて欲しい」という気持ちから来るものだろう。僕がこの感想ブログをやってる理由もそれだ

中盤
そんな楽しい前半が終わり、エド&ロレイン夫婦もいよいよ調査に訪れる。
ちなみに調査に参加してるのは夫婦ふたりだけではなく、娘が死んだために心霊に肯定的になっているジャーナリストのオッサン、終始懐疑的なオバサン、カメラマン的な人。近所の親切な大柄のオッサン等も協力する(彼らのキャラも‥特にオッサンは面白いのだが時間が足りずにあまり掘り下げられなかったのが残念)
エド一家を元気づけようと、ホジソン一家を捨てて女と逃げた父親のギターを弾いて一家が好きだというプレスリーを熱唱。
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ホジソン一家父親がいないためかエドの父性的優しさに涙ぐみながら感動。
このシーンが異常に丁寧で、何かエモいものを描こうとしてるなと思った。
そういえば前作も、中盤で依頼者家族との触れ合いが丁寧だった気がする。
ロレインと憑りつかれた少女との心霊師弟的な触れ合いも暖かい感じ。
この実物のエド&ロレイン夫婦の事は詳しくないが、ジェームズ・ワンは「心霊がどうとか以前にこの夫婦はマジで良い人達で、純粋悪と戦っているんだ」とガチリスペクトしてるエモーションを感じる。
また後半で、とある理由で夫婦が去ろうとしてるシーン。
取り憑かれてる次女が夫婦を窓から悲しげに観てるシーンも凄く情緒的だった。
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この2つは何か、ただの面白いホラー映画以上のものが産まれそうな雰囲気を感じた。
ただの才能ありすぎるだけのオタクにしか過ぎなかったタランティーノが「デス・プルーフ」でオタクの壁を突破して一皮剥けたような何かがジェームズ・ワンに今後起きて、ただの才能あるだけの映画製作者を突破するような予感を感じさせた。


後半
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それで、まあ色々あって夫婦による派手な善と究極の悪との対決に突入して終わる。
一体何で究極の悪なのかというと敵が悪魔だからだ。そしてジェームズ・ワンは(多少派手すぎるが)マジで悪魔との闘いを描いている。マジな悪魔との対決はそれだけで「究極の善と悪との対決」になる
最終的にはホジソン家族の住む幽霊屋敷が、バイオハザード後半とかに出てきそうな融通が効かなすぎる謎のダンジョンと化し大柄の隣人がデクノボウと化し(この隣人の何もできなさぶりは面白い)、悪魔が雷を落して杭を生み出してエドをそこへ誘って串刺しにしてブッ殺そうとするという、あまりに遠回しなピタゴラスイッチ的展開が繰り広げられて可笑しい。「そんな凄い力があるなら直接エドを殺せば?」と思わなくもないが、ほのめかしによる遠回しな殺ししかできないってところが本物の悪魔っぽくていい
大作になりすぎてしまったせいか、作品が作られる度に派手になっていってる。
今回は悪魔だけじゃなくて悪魔の手先っぽい「へそ曲がり男」という派手すぎるルックスと能力を持ったクリーチャーまで出てきて楽しいが、後半はその楽しさと引き換えにリアルさや怖さは一気に消えてしまった感はある。これもいつもの事だ。ジェームズ・ワンは怖さより楽しさを取って、大勢の観客に楽しく帰って欲しいのだろう。
昔のホラー映画でいうと前半「エクソシスト」で後半「ポルターガイスト」って感じ。
だけど子供が観たらちょうどいい怖さと面白さだから子供に見てほしい感じ。


このシリーズはどうなるんですかね?
もう最大の事件を終えた夫婦は勝利のダンスを踊ってたしこれで終りっぽい。夫婦にはもう伸びしろなさそうだしね。これで終わりでいいだろう。
なお実物の夫婦は、さすがにエド高齢で亡くなっていたがロレインは現存で生涯現役を宣言していて元気で楽しそうだ。興味ある人は調べるといい
心霊現象が本当だったのかどうかとか そういうところは置いといて、彼らが楽しそうな事、悪魔(と思われたもの)を退治して生きてる事のみに着目したい。
次は「アナベル」の新作が作られるそうで凄く楽しみだ。

そんな感じでした
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