原題:The Meg 監督:ジョン・タートルトーブ
原作:スティーヴ・オルテン 製作国:アメリカ 上映時間:113分
MEG(メグ)‥それは広島県出身の日本人のファッションデザイナー兼ファッションモデル、女性ミュージシャン……ではなく、200万年前に絶滅したとされる体長が最大20m超もある超巨大鮫<メガロドン>の事。『ジュラシック・ワールド』にも出てきたアイツ。そんなメガロドンが出てくるベストセラー小説の映画化。
アメリカ本国と中国で大ヒットし他の国でもヒットして鮫映画最大のヒットになった。
ジェイソン・ステイサムは割と好きだが普段ステイサム映画は全然観てないし、サメ映画も怪獣映画同様まったく興味ないのだが、たまにはいいかと思って借りて観た。
ネタバレあり
中国・上海の沖に建設された海洋研究所〈マナ・ワン〉。
そのマナ・ワンが要する探査船はマリワナ海溝深部に未知の海溝を発見するも、その前人未到の海溝には絶滅したはずの超巨大ザメ<メガロドン>が居た。
襲われた彼らの救助に協力するのはベテランのレスキュー・ダイバー、ジョナス・テイラー(ジェイソン・ステイサム)だった――
そんな話。
異能生存体であるジェイソン・ステイサム演じるレスキューが活躍するハイ・コンセプト映画だ。方程式にすると「ステイサムx巨大サメ+中国=この映画」。
異能生存体というのは『装甲騎兵ボトムズ』に出てきた言葉だが、一言で言うと「80~90年代アクションスターのように何しても死なない不自然すぎて笑いが出るほど強い主人公キャラ」って感じの主人公を見ると頭に浮かんでくる言葉。身も蓋もない言い方すると「主人公補正が効きすぎた主人公」ってところか。そんなキャラは最近めっきり観かけなくなってきたのでたまに見かけると嬉しい。ただでさえ強いステイサムだが本作のステイサムは、数あるステイサム映画の中でも『ワイルド・スピード』シリーズのデッカードや『エクスペンダブルズ』のクリスマスと同じかそれ以上に強い。
ステイサムは顔面そのものが頭蓋骨に似てるせいか髪が生えてるよりハゲてる方がカッコいい異能の生存体。もしステイサムに髪の毛があったら只のモブ顔大男でしかなく、それでは魅力がかなり目減りしてしまっていたであろう。僕はムキムキのマッチョ体型を見てもカッコいいと思わない人間だが、ステイサムの妙にボコッボコッとした筋肉は素直にカッコいいと思う(特に背筋)。大胸筋ばかりやたらデカい巨乳系マッチョは苦手だがステイサムの場合、色んな部分が無骨にボコボコしていて良い。ジオン系MSとか重機みたいな、美しさとは正反対の魅力を持つ「形」を持つ男それがステイサムだ。
海洋研究所の探査艇がメガロドンに強襲されて浮上不可能に陥る。探査艇に乗っていたのは面白白人&面白日本人の研究員たち(日本人を演じるのはマシ・オカ)、そしてステイサム演ずるジョナスの別れた前妻の白人女性だった。
研究所の教授たちがステイサムを連れてくる中、シングルマザーかつ教授の娘(リー・ビンビン)は責任を感じたのか先に潜っていた。当然メガロドンに強襲されてピンチに陥るも異能生存体ステイサムの活躍で助かる。しかしマシ・オカはメガロドンを引き付ける自己犠牲を見せて死亡する。マシ・オカ~!
気の強いリー・ビンビン。最初は自分勝手な事ばかりするのでムカついて観てたが、共闘を繰り返すことによって徐々にステイサムと惹かれ合っていくヒロイン。何だか旧態依然としたヒロイン像が懐かしくなって好きになってきた。そして彼女の10歳の娘はママとステイサムを事あるごとにくっつけようとする。大人顔負けのジョークを言ったり「10歳の少女は地獄耳なのよ」と準備してきたかのような台詞を言いながらステイサムに「悪戯っぽい笑み」を見せてステイサムを「苦笑」させたりするので何だか観てると恥ずかしくなってきた。
メインキャラはまず異能生存体ステイサム。ツンデレ人妻ヒロイン。大人びた幼女。立派な教授と医師。ステイサムの元妻の白人女性。ルビーローズ演じるイケすぎている研究員。面白黒人。面白白人。面白日本人(マシ・オカ)。WWEのエリック・ビショフを思わせる傲慢な金持ちスポンサー。
そういった感じで、展開もそうだが登場人物が18年前くらいの映画の登場人物っぽいなぁ、と思った。ステレオタイプというか。原作が古いらしいしそれでか。
だけど昔よくいたアホでセクシーな女性キャラとかは居ないし、白黒黄+大柄と人種を揃えてるのが今風。この映画は中国でのヒットを見越してか物語の舞台も中国だしヒロインや出演者の多くも中国人(実際に中国で大ヒットしたのだから上手くいっている)。
この中でヒロインのリー・ビンビン。この人何に出てたかなとググると自分が観たことあるのは『ドラゴン・キングダム』での白髪魔女役だけだった(ちなみに似た名前の巨額の脱税をして捕まったファン・ビンビンも『白髪妖魔伝』という映画に出ていた。今の今まで2人のビンビンは同一人物かと思ってたが、名前が似てる上に二人とも白髪魔女の役してるので間違えても無理ない)。
ビンビン奥さん、最初はかなりムカつくキャラだったがステイサムに懐いて闘うママ系のアクションヒロインになっていく。
危険なミッションに挑む出撃前のステイサムは彼女に「俺が死んだら悲しいだろ?」と言ったらビンビンは真顔&ジェスチャーで「ちょっとだけ」と示す。ステイサムは死にかけるが何とか生還。皆が「さすがステイサム!よかった~」とか盛り上がる中「ビンビンは俺の活躍見てたかな?」とステイサムがビンビンに目を向けるとビンビンが「ちょっとだけ」のポーズを見せてステイサムを笑わせるのを見て「うわ可愛い……」と思った。「死なないで!生きて帰って」とか泣かれたらウンザリするが、死にかけた時にもユーモアを提供して「大したことなかったな」と軽い気持ちにさせてくれる方がずっと良いと思うのは僕だけでしょうか?
イケすぎている研究員役はルビー・ローズ。「ジョン・ウィック チャプター2」で喋らない女殺し屋役をしてたり「オレンジ・イズ・ニュー・ブラック」で有名らしい女優。彼女は、モデル出身で小顔痩身かつスタイルが一人だけ12頭身くらいあるんじゃないかってくらい違う生命体みたいな体型をしてて、髪は常に濡れていてツーブロックそして両腕タトゥーまみれのレズビアン‥という今のクール要素の渋滞状態を、右腕の「キャッ党忍伝てやんでえ」のタトゥーという抜け感で中和させて親しみやすくもしてくれてるという「こんなにイケすぎている研究員がいるのか」と思えてくるキャラだが、劇中の彼女は至って普通の研究員。はっきり言って外見がカッコ良すぎるのにキャラが平凡だとギャップが凄い。まるで「ガチムチの屈強な黒人が寿司屋の板前役」してるかのような、別に居ても悪くはないけど違和感ある。
そういえば「ジュラシック・ワールド 炎の帝国」にも似たような、凄く不自然にセクシー&タトゥーまみれ&ツーブロックのイケてる女性がメガネかけて「ごく普通の恐竜研究者」演じてたね。これは何なんだろう?「イケてる女優を登場させたいが、空いてる役がないから研究員にでもしとくか」と押し込んだ結果なのかな。
ストーリーの展開はと言うと、基本的に「もっと適切な行動を取ってれば被害も少なかったんじゃ?」という感じで適切な行動を取らなかったり油断、慢心がピンチを次々と産むタイプ。
最初の探査艇はマシ・オカ以外あっさり救出するし、メガロドンも皆で力を合わせて何とかやっつける。その死体をボートに置いて記念撮影とかしてたら、更にその倒した超巨大鮫を喰う超々巨大鮫が現れて喰ってしまいボートは転覆。。
ラスボスを倒したかと思ったらメガロドン四天王最弱だっという少年ジャンプ漫画形式のインフレ展開。これも古いが面白いので別によし。
メガロドンとの対決によってピンチになるたびに、勇気ある研究員が騒いでメガロドンを引きつけて食われるという自己犠牲シーンが頻出する。残った者は悲しみ、そして「メガロドンを何とかしなければ‥」と決意を新たにして進んでいく強引な話運び。特に一番最初に犠牲となったマシ・オカ演じる日本人研究員などは別に頑張れば普通に助かってもおかしくない展開だったし、リー・ビンビンの父親に至ってはボートが引っくり返って海に落ちただけで衰弱して死んだ。他の死んだりピンチになる奴らも何かぶつかって海に落ちる奴があまりにも多すぎて可笑しくなっていった。
多くの犠牲者を出しながらも生還した傲慢なスポンサーは「皆、正直スマンかった!メガロドンの事は各国に報告した」と言うが実は報告しておらず、自らヘリによる爆雷投下で倒そうとする。「ヘリから爆雷ならさすがにメガロドン倒せるだろ」と思ってたら、部下が「メガロドン倒しました!」と言ったのでスポンサーはわざわざボートに降りて見に行くと実はその死体は只のクジラだというのがわかり部下は慌ててボートを発進させると傲慢なスポンサーは海に落ちてしまう。部下たちは一切後ろを振り返らず爆走して消える。部下たちは全員ロボットみたいな真顔であることも相まって「何としてでもスポンサーのキャラを殺す」という役割を演じてるように見えて可笑しい。というかスポンサーのキャラも良い事した時もあったし、それほど傲慢だったり悪い奴じゃなかったよね。客を気持ちよくさせるにはもっと「ダイ・ハード」のイキった社員くらい「嫌な奴」として描く必要あったのでは。
メガロドンは上海の海水浴客でごったがえすビーチに向かう。
これまでは研究所内だけの問題だったが、これは偉いことになった。
研究所員は海上警備などの公的機関に通報するが「メガロドンが出た」と言っても信じてもらえず「俺たちがブッ殺すしかない!」という事になる。
メガロドンって言わず普通に「大きすぎる鮫が出た!」とか言えば有名な研究所なんだし信用されるんじゃないの?とは思ったが、人間慌てると適切な判断力がなくなるので仕方ない。
何としてでも海水浴キャラをMEGに食わせたい、という雰囲気を感じた。
研究所員の人達も、そのつもりで警察とかに全然熱心に言おうとしないし、この辺はゲームの中の「決められた役割だけを演じるNPC(ノンプレイヤーキャラクター)」みたいで面白かった。
ステイサムとビンビンは探査艇に乗ってMEGがある程度の中国人海水浴客を踊り食いし終えるのを待った後、MEG退治に向かう。ちなみにMARVEL映画同様、レイティングを下げるために派手な流血などは全く無いのが残念。
ちなみに二人が乗る探査艇は『UFOロボ・グレンダイザー』に出てくるUFOみたいでカッコいい。
2人がメガロドンと死闘を繰り広げる中、マスコミなのかどうかよくわからんが「おい!あそこ何かやってるぞ」とか言いながらヘリが2、3機集まってくる。
だが彼らはドジでヘリ同士ぶつかって研究所員が乗っている船に落下してヘリも船も大爆発!すごい確率でヘマばかりする。
このマスコミかなんかのヘリ達は、もう少し前から「鮫の情報をキャッチした」とかステイサム達の動向を追っていたとか前振りが必要だろう。一体何しに来たかわからん奴らが突然出てきて与沢翼みたいに秒速で失敗し、わざわざ研究所の船に墜落するという凄い確率をクリアして大爆発したのは結構、無理ありますね。
そんな感じで、そこそこステレオタイプなキャラ達が、普通に通報すればいいのにせずに無用なドジでピンチを継続させ続け、最後はメガロドンと共に上空に舞い上がった異能生存体ジェイソン・ステイサムが花山薫みたいにメガロドンの眼球にモリをスローモーションで「ブ …ス リ……」とゆっくり……刺して倒した。
こんな25m超のメガロドンの目玉にモリ刺したぐらいじゃ死なないと思うが、直前にステイサムがステイサム・カッターでメガロドンの胴体を斬り裂いてたから弱ってたって事かな。「超必ステイサム・カッターからの→スーパーキャンセル目潰し・ザ・ステイサムENDで体力8割奪った。そしてモリを刺して、その傷口にステイサムが体内で製造したアンチ鮫ステイサム生体電気をブチ込んで巨大鮫が死んだ」って事にしておこう。
さっきから何度も言ってるが全体的に18年前くらいの古臭い展開やキャラが多かった。
最近ステイサム映画全然観てないから時間ある時にステイサム映画も観てみるか。
結構面白かったが、それは自分がイケイケだった2000年代初頭の空気を感じて懐かしく思っただけかも知れず「楽しい内容だけど革新的な要素は一切ない」という「ヴェノム」みたいな内容なので低評価なのは納得。
また「ステイサムと鮫がメインと思わせつつ実態は中国アゲの映画」って感じでもあったので嫌う人がいるのもわかる。アメリカ人は食われるが大勢いる中国人海水浴客などは殆ど食われない、他の大作映画でも中国人キャラは死ななかったり顔が泥で汚れたりする事が少ないのでそういうところは中国だせーなと思う(汚れ役がダサいと思ってるところがめちゃくちゃダサい)。だが中国ヨイショ以上に本作のステイサムはステイサムキャラの中でも最強レベルだし一応目立ってたので俺的にはOK。ビンビン氏があまりにしゃしゃり過ぎだとは思ったが中国ポスターなどを見るとビンビン氏はヒロインではなく主人公の一人みたいなポジションらしいし可愛かったのでまぁOK。
そんな感じで傑作とかじゃ全くないけど、僕は元々、B級映画が好きで映画好きになったのでこういった駄菓子みたいな映画は好きなので総合すると好きな映画でした。
そんな感じでした
《ステイサム主演映画》
「ワイルド・スピード SKY MISSION (2015)」「ワイルド・スピード ICE BREAK (2017)」ステイサム目当てで初めて観たけど普通に面白かった🚗 - gock221B
「ハミングバード (2012)」イースタン・プロミス脚本家によるアクションよりドラマ中心のステイサム映画➕ - gock221B
「バトルフロント (2013)」スタローン制作&脚本でステイサム主演の、底辺の荒らしを直接論破してプライドを傷つけたら被害が増えるという話😼 - gock221B
「ワイルド・スピード/スーパーコンボ (2019)」本編シリーズよりこっちを応援する気満々だったが思いのほか大味だったので分裂しない方が良かったかも‥👨🏼🦲👩🏻🦲👱🏻♀️ - gock221B
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