gock221B

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『リベンジ・スワップ』(2022)/Netflix映画なのに終盤で二転三転して面白くてしっかりしたテーマが提示される珍しいNetflix青春ガールズ学園映画👩🏻👱🏼‍♀️


原題:Do Revenge 監督&脚本&制作:ジェニファー・ケイティン・ロビンソン 脚本:セレスト・バラード 配信:Netflix 製作国:アメリカ 配信時間:118分

 

 

『ストレンジャー・シングス 未知の世界』〈シーズン3〉(2019)『ストレンジャー・シングス 未知の世界』〈シーズン4〉(2022) で僕も大好きなキャラ、ロビン役をしてたマヤ・ホーク(ユマ・サーマンイーサン・ホークの娘)が出てるという理由だけで観た。
Netflixオリジナル作品は「30本観て良いのがあるかないか」ってくらい打率が低いので、もうどうしても観たいものがない限り解約してる。
Netflixオリジナル作品のつまらなさの特徴は「予告編や映画の第一印象はおしゃれで面白そう!なんなら前半も普通に斬新」という感じで観る前と観始めた序盤は良い印象なんだが、中盤~後半になると凄くありきたりな展開になり、マジでどうでもいい結末で終わる、だから印象が全部消える(映画やドラマは最初や途中がつまらなくても終盤さえ良ければ名作として思い出に残る、だから最後で全て決まる。逆はない。……僕の場合はだが)。Netflixオリジナル作品といえば「潤沢な制作費を出してくれるし監督の好きなように撮らせてくれる」というイメージがある。実際にそうらしい。だから「予告編や映画の前半は斬新で面白い」という印象なんだろう。しかし後半から結末にかけてはクソどうでもいい展開になる事が異常に多い。作家に自由に作らせてるはずなのに何で最後そうなるのか?これは未だに謎に包まれてるのでわかんない。巨匠デヴィッド・クローネンバーグがインタビューで「Netflixの奴らは、一見先鋭的に見えるが作品作りにおいて異常に保守的で冒険を嫌がる」と言ってた。金かけて自由に作らせるけど無難で保守的な感じでまとめさせたがるという事はわかった。
それとも問題はネットフリック社の人たちのせいではなく、たとえば劇場公開する映画配給会社は「もっとインパクト残せ!」と頻繁にプレッシャーかけて監督や脚本家が絞り出して絞り出して印象的な終盤が出来上がるけど、Netflixは自由だから「まぁ終盤は流れでいいや……」といった作家側が甘えた結果なのだろうか?よくわからない。
Netflixで好評といえばドキュメンタリー作品があるが、Netflixドキュメンタリー作品も第一話だけが面白くて残りの5話くらいはどうでもいい内容のものが多い。これもまたNetflixフィクション作品とつまらない傾向が似てる。
で、そんな感じだから作品自体には期待せず、お気に入りのマヤ・ホークが頑張ってる所を観ようという参観日気分で観たんだけど、Netflix作品なのに最後まで……いやむしろ終盤からエンジンふかせて面白くなっていったのが意外でした。Netflix作品はブログに書くの面倒なんで全部Filmarks行きで、ちょろっと感想書いて終わりだったけどコレは良かったのでブログに書くことにした。

この女性の監督知らんなぁと思ったら同じくNetflixの青春映画撮ってた……のはわかるけど「『ソー:ラブ&サンダー』 (2022)の原案」という謎のクレジットがあった。タイカ・ワイティティの仲間なのかな?
ネタバレ少なめ

 

 

 

 

上流階級学園のクイーンだったドレア(カミラ・メンデス)は、彼氏の学園のキングマックスにエッチな動画を学園じゅうにばら撒かれてカースト最上位から転落してしまう。
一方、白人女子の転校生エレノア(マヤ・ホーク)、彼女はレズビアンである事を好きな女子に告白したらフラれたあげくアウティング(カミングアウトしたら暴露される事)されてしまった。
共に学園での社会生命を殺されてしまった二人の女子は、校長サラ・ミシェル・ゲラー)にバレて処分を喰らわないように、互いが復讐したい相手を交換する事にした――

という、学園カーストから蹴り落とされた元クイーンが、同じく酷い目にあったレズビアン陰キャと共闘して復讐を果たそうとする青春コメディ学園もの。
元クイーンだった主人公ドレア(カミラ・メンデス)は、そこそこ金持ちとはいえラテン系女生徒ながら学園のキングのマックスと付き合って学園最上位まで上り詰め雑誌の「今年の100人」にも選ばれた。……何で只の女生徒が今年の100人に選ばれるんだ?という疑問はあったが「きっとエコとかポリコレ活動で強烈な影響力あるインフルエンサーなんだろう」と脳内補完した。この俳優は爽やか青春コミック『アーチー』をダークにしたNetflixドラマ『リヴァーデイル』で有名になったみたいだけど、そっちは最初の数話しか観てないのでよく知らない。

もう一人の主人公エレノア(マヤ・ホーク)。そこそこ金持ちの金髪白人だが(というか本作には金持ちしか出てこない)爬虫類が好きな目立たないレズビアンしかもアウティングされてしまった……つまり学園では陰キャ。エレノアはドレアと手を組み、互いの憎い生徒たちに復讐する(それにしてもマヤホークってレズビアン役が多いね)。

そんな、あらすじを知って「なんかよくある学園コメディだな。Netflixだしきっとゆるい出来だろうけどマヤ・ホークだけ観とくか」と低いハードル地点から観始めたら思いのほか面白かった。
主人公ドレアは非白人であるという要素を除けば、ルックスも強めで性格も終盤まで意地悪なまま進む。この「ドレアが意地悪なまま」というところが観ていて、おっ……!と期待が高まった。よくある普通の学園コメディでは、こういうキャラは序盤の堕ちた時点で反省し、観てる人が応援できるよう「良い子」に生まれ変わって話が進む事が多いのだが、ドレアは意地悪な性格のまま、復讐のために普段なら仲良くならないであろうエレノアと協力し、話が進む。出会った時は明らかにエレノアを軽蔑しており、共通の目的を持って共闘し始めると表面的には対等に接するが、それは表面的にでしかない。それが終盤で爆発する。
最初はドレアが「カーストから堕ちたからってアンタみたいな負け犬と仲良くする気はない」といった態度でエレノアの誘いに乗らないのだが、エレノアは熱心に共闘への誘いを働きかけ手を組む。「陰キャ勢のはずのエレノアが随分、イケイケのドレアに喰い下がるな。少し不自然だな」と思うが、それは後半への伏線となっている。
ドレアは共闘してるエレノアと暗躍したり二人ではしゃいだり慰め合ったりする。しかしドレアは「目的のために仲良くなったが、それはあくまで復讐のためだけのもの」という事が終盤まで一貫してる。ここが他の学園コメディと違い「どうなるんだろう?」と先が気になり視聴が進んだところだ。
まず最初にエレノアを貶めた女子への復讐がさらっと完了。退学に追い込んだ。
次はドレアのエロ動画をばら撒いた学園キングのマックスだ。マックスは男女や職員すべてに人気がある。だからマックスを倒すには彼の人気を落とすしかない。
マックスは、ただでさえ学園NO1の人気者なのにドレアを貶めた後に「誰が僕のスマホを乗っ取ったのか知らんがドレアみたいな悲劇を繰り返したらいかん」と皆の前で言って自分の人気を更に上げたり「ヘテロ男性による女性を護る会」みたいな会を作ったりする等の「ポリコレシールド」を張り巡らし誰も手出しができない。
ドレアによってミステリアスでお洒落な美少女に変身させられたエレノアが、マックス達の上級生徒のグループ入りする。そしてマックスのスマホをハッキングして彼の悪事を白日のもとに晒して貶めてやろうというわけだ。
エレノアのハッキングが成功し「マックスが学園の女生徒の半分とSEXしまくってる」という事実を皆に暴露。しかしマックスは一瞬はたじろいだものの取り巻きのブレーン達の政策により「僕マックスは旧態依然とした恋愛を打ち破りたい!誰でも決められたパートナー以外と寝てもいいはずだ!」という路線を打ち出す。これによって「マックスのことが好きだが相手にされてなかった」非モテ女生徒たちやゲイ男子生徒たちも「え?じゃ私達もマックスとヤレるチャンスがあるの!?」と色めき立ち、マックス擁護が過半数を超えてしまいマックスの立場は回復してしまった。
ドレアは「女子が彼氏に送っただけのエッチな動画」一発で地位が落ちたのに男子のマックスが「恋人ではない不特定多数の女とやりまくってる動画」では男子マックスの地位を落とす事ができない……こういった男女格差もつまびらかにされる。

 

ドレアはアーティスト志望の自由なオシャレ坊主の褐色青年、エレノアはマックスの妹(タリア・ライダー)、それぞれ新しい恋の相手もできる(この男女どちらも最高)。
だがドレアはマックスへの復讐を諦めていないので、エレノアに「あんた、自分の復讐が済んだからって終わったと思ってない?私のためにマックスの弱点を探しなさいよ!」と圧をかける。エレノアは付き合い始めたマックス妹と幸せだし潜入した上流グループの子達とも仲良くなり始めていたのでドレアの利己的な圧を鬱陶しく感じ始める……。
ここから徐々に展開が二転三転する。これが面白かった。
最初に言ったように他のNetflix作品だと、最初に面白い舞台設定を出したら後は流れでよくある話が展開されてチャンチャンと終わるだけなので「えっ!?Netflix映画なのに中盤後半で二転三転して面白くしてる!?」と当たり前のことで驚かされた。
攻撃的になっていくドレアと上級生徒や幸せに慣れていくエレノア、二人の変化はただ展開のためにいたずらに、どんでん返しを繰り返させてるだけじゃなく「天使だった少女が次の瞬間には悪魔になり、とんでもなく酷い事もできてしまう。その逆もまた真なり」という、感情に支配されがちな思春期の揺れ動きを上手く表現していた。
このままホラーな感じで終わるのかな?と思っていたら意外とポジティブな結末に辿り着く。
校長役のサラ・ミシェル・ゲラーがわかりやすいように一言で改めて教えてくれる(久しぶりに見たサラ・ミシェル・ゲラーは年齢が近いので「自分が若い時に、女生徒役しまくってたのに校長役してるとは……」と自分の加齢を感じた)。
最初に言ったようにNetflix作品なのに、こんなに後半に変化があって盛り上がった上にちゃんとしたテーマまで提示して終わるのは凄く珍しいので感心しました。
色んな生徒もただやっつけられるだけの意地悪な生徒ではなく多面的な表情を見せたり、見せる時間がなくても裏に違う面があるんだろうなという事を感じさせるのもよくある学園ものと違って誠実さを感じた(一番悪いマックスでさえエンドロールで、前向きな変化を見せる)。
中には「心変わりしすぎで不自然だ」と思う人もいるだろうがキャラ達は高校生……つまり子供だという事を考慮しなければならない。
ドレアや他のカースト上位のイケてる生徒達は皆「注目を集めてトップの人気者でい続ける。そのまま有名大学に行って大学のイケてるグループに入り、その後も死ぬまでアメリカ社会の上流に居続ける」という事のためにイケてる仮面を被っている。
しかし、彼女たちや彼らはイケてるグループに居続ける事に心底疲弊している。学園のトップで不特定多数の女生徒とヤりまくってる悪役マックスや自由に見えたマックス妹でさえ「こんなの全部くだらない。でも死ぬまでコレをやめるわけにはいかない」と、トップの座に疲れきっているのが凄く面白い。カースト上位のイケてる生徒達は、心の底から自分がそうしたいわけではなく周囲の目や同調圧力によって「イケてる生徒を演じているだけだ」と提示される。
そこに変化をもたらすのが変わり者エレノアであったり、ドレアが知り合った性格の良いアーティスト希望のバイク好き褐色男子生徒だったりする(こいつは同じ男の俺から見てもイケすぎてる)。

二言でざっくり言うと「他人ではなく自分の生きたいように生きよう」そして「いま自分が生きてる『こう有りたかった自分』は本当に自分がなりたい自分か?」という自分への疑問、それを見せる作品だったようだ。結論が一言ではなく二言必要なのは「思春期の君の判断力……それ合ってる?」という自分の心にも一過性の感情的なものではないか?という疑いを持たなければ自分を見失う……そのために自分を見張る見張りがもう一人必要という話。
事実、強烈な意思を持っていそうだったドレアもラスト直前まで自分の心のうちに気づいてなかった。
退学になった生徒は気の毒だが、最後は割とどのキャラも自由な心を手にする。

全然関係ないけど未だにアメリカの若(わか)の間ではスナップチャットが使われてるんだな。ドレアがマックスとチャットしてエロ動画を送ってしまったのもこのスナップチャット。一言で言うと……色んな状況に応じたユーザーのアバターが描かれた膨大なスタンプとかGif動画とかで会話するLINEというか……他のユーザーが土地の色んなポイントに画像や動画をポイントできて楽しい。僕は若(わか)ではない老(ろう)だがスナップチャット毎日してる(gock5945)。全員LINEとかやめてスナチャすればいいのに……何でしないんやと思ってます。

 

 

 

 

そんな感じでした

👩🏻👱🏼‍♀️👩🏻👱🏼‍♀️👩🏻👱🏼‍♀️👩🏻👱🏼‍♀️👩🏻👱🏼‍♀️👩🏻👱🏼‍♀️👩🏻👱🏼‍♀️👩🏻👱🏼‍♀️👩🏻👱🏼‍♀️👩🏻👱🏼‍♀️👩🏻👱🏼‍♀️👩🏻👱🏼‍♀️👩🏻👱🏼‍♀️👩🏻👱🏼‍♀️

リベンジ・スワップ | Netflix 公式サイト
Do Revenge (2022) - IMDb

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