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映画やドラマの感想ブログ。ネタバレ多め 🍿 Filmarksも https://filmarks.com/users/gock221b おしずかに〈Since.2015〉

『ソー:ラブ&サンダー』 (2022)/ギャグ、懐メロ、旧キャラ救済、甘き死、キッズ推し……など期待されてる要素を見せたタイカ監督だが、幾ら何でも子供を推しすぎ💖⚡


原題:Thor: Love and Thunder 監督&脚本:タイカ・ワイティティ 脚本:ジェニファー・ケイティン・ロビンソン 監督:タイカ・ワイティティ 製作:ケヴィン・ファイギ 脚本&原案:エリック・ピアソン 原作:スタン・リー、ラリー・リーバー、ジャック・カービー 主題歌:レッド・ツェッペリン「移民の歌」 制作会社:マーベル・スタジオ 製作国:アメリカ 上映時間:119分 シリーズ:「ソー」シリーズ4作目。マーベル・シネマティック・ユニバース29作目

 

 

 

ソー単独作の4作目。MCUの現在展開中のフェイズ4の6作目。MCU全体だと29作目(Disney+作品も全部合わせると35作目)。
今までのMCUでは単独ヒーロー作品シリーズはアイアンマンやキャップなどで「3作目で終わり」という風潮だったがソーは初の4作目。邦題から「マイティ・」が取れたから「『マイティ・ソー』トリロジーの後の新しいトリロジーの一発目?」だと一瞬思われがちだが、そうではなく「マイティ・」が付いてるのは邦題だけで原題は最初から「ソー」だった。一作目の公開当時、MARVELのソーの事を知ってる日本人なんて殆ど居なかったのでホラー映画の『SAW ソウ』と勘違いされるのを懸念して「マイティ・」を付けた。「マイティ・ソー」は原作コミックのタイトルの一つでもある。
ソーの一作目はMCU4作目だったし、ソーはアベンジャーズ創立メンバーだしで今となってはかなり古参メンバー。
現在、死亡したりリタイアしてない最古参ヒーローはニック・フューリーとウォーマシーン(俳優変更したが)、次にハルク(俳優変更したが)、そして次にソーとホークアイ。初登場から11年も経過している。

⚡そんな古参かつMARVELを代表するヒーローだったが、MCUソーはどうも個性が発揮しきれてなかった。「単純に最初の二作『マイティ・ソー』(2011)『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』(2013)がイマイチ」というのもあったが初期のクリス・ヘムズワース(以下クリヘム)演じるソーの特徴は「長身マッチョの金髪白人イケメン。凄く強い」これだけ。常に弟ロキの方が人気あったしアベンジャーズなどのクロスオーバー作品でもソーはほどほどに裸になって雷を呼ぶだけ。ソー(とハルク)は「強い」というのがアイデンティティだから強い長身イケメンというのは昔から出来てたが逆に言うとそれだけだった。クリヘムはずっと解雇を恐れていたという。ソーのキャラがやっと立ったのはクリヘムが『ゴーストバスターズ』(2016)でコメディに目覚めて以降か。この映画でのクリヘムは「顔も身体も完璧なイケメンだが信じられないアホ」という「昔のアホの金髪白人セクシー女優を男でやったらこうなる」という非常に批評的かつ面白いキャラ。そして本作の監督も務めるタイカ・ワイティティ『マイティ・ソー バトルロイヤル』(2017)でコンビを組んだ。タイカ監督による、このソー三作目は過去の真面目だったソー映画(その方が原作に近かったが)とはうってかわってコメディ作品に仕上げた。劇中では過去のソー同様に非業の死ばかり起こるのだが映画自体は明るく進む……という不思議な作品。タイカ監督のコメディ演出と、コメディ演技や愉快な役回りに目覚めたクリヘムが組んだ三作目で、ソーはやっとキャラが立った(ついでにソーと似たところのあるハルクもこの三作目でソー同様に「コメディ的な愉快なヒーロー」として生まれ変わった)。更にこの三作目の直後から始まる『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018)では「シリーズ屈指の人気キャラかつソーが愛する弟ロキの死」「楽しいソー」「劇中で物理的に一番強くてカッコいいソー」というMCUソーの大事な面を全て見せつけて人気が爆上がりした。続く『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)、ロキの死とアベンジャーズ敗北とヒーロー半数の死亡……そして全てをやり遂げたサノスを殺す事で彼を完全に勝ち逃げさせてしまった事でソーの精神は壊れ引きこもりに。マッチョのクリヘムは肉襦袢で肥満体のPTSDソーを演じた。これによって最初の4作目までは「まぁまぁ強いがこれといって特徴のないイケメン」という薄かったキャラが「愉快なソー」→「楽しいだけでなく本当に強くイケメンのソー」→「楽しくて強いだけでなく精神的な脆さを持った内面も魅力あるヒーロー」といった感じでソーがやっと完成した感があった。
イカ監督は前作『マイティ・ソー バトルロイヤル』(2017)以降、俳優としても活躍しながら傑作『ジョジョ・ラビット』(2019)を監督してアカデミー賞に6つノミネートされ脚色賞を受賞した。人気エンタメのMCUも賞レースも両方できるという、ある意味いま最も強い監督かもしれん。
後半になるつれて記述が曖昧になるが何だかんだでネタバレしてます

 

 

 

 

 

Story
遠く離れた死滅しかけた惑星。信仰心の強い男ゴアクリスチャン・ベール)の幼い娘(インディア・ローズ・ヘムズワース)は疲労と飢えで死亡。絶望したゴアは謎の声に導かれて自らが信仰する神と出会ったが、神は信者の事など一顧だにしない慈悲のない神だった。絶望したゴアの手に吸い寄せられた黒い剣、この剣こそゴアを呼んでいた”神殺しの黒剣”ネクロソードだった。神を殺してネクロソードを奪い強大なパワーを手にしたゴアは、"神殺し"のゴアとなった。

『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)でサノスに勝利したアベンジャーズBIG3の一人、雷神ソークリス・ヘムズワース)。彼は、地球のノルウェートンスベルグの海辺に新設されたアスガルド人の居住地、ニューアスガルドの座をヴァルキリーテッサ・トンプソン)に譲り、友人のコーグ(CVタイカ・タイティティ)と共にガーディアンズ・オブ・ギャラクシーと共に宇宙へ旅立った。あと筋トレして痩せた。

ソーのかつての恋人である世界的な天文物理学者ジェーン・フォスターナタリー・ポートマン)はステージ4の末期癌を患っていた。もはや手の施しようがなくを待つのみだったジェーンはニューアスガルドに赴きヘラに破壊されたムジョルニアを手にして新たなソー”マイティ・ソー”となった――

そんな感じの話。
神殺しのゴアに仲間達と立ち向かうソーの心境の変化が描かれる。

そういえば最初のMARVELロゴに早速ミズ・マーベルことカマラが加わってて嬉しかった。

 

 

〈前半〉

MARVEL世界の神
⚡まずMARVEL世界に出てくる「神」。本作に出てくるアスガルド人やゼウスを始めとしたギリシャ神話のオリンポス神族、わけのわからん包(バオ)とか色んな神々、『ムーンナイト』 (2022)『ブラックパンサー』(2018)に登場した古代エジプトの神々……彼らを見てると、どうやらスーパーナチュラルなパワーは持ってはいるがその影響力は大きくても惑星単位程度でしかないし完全に不死身でもない。強さ的にも『エターナルズ』(2021)セレスティアルズ、スカーレットウィッチ、サノス等より遥かに弱い。だからMARVEL世界の神のことは最初から「人類より一段上くらいの凄い宇宙人」程度に思っている。あとは物理的なパワーや能力や影響力とは別に、本作でもゴアが「神」と「パワーを持った人間」を見分けていたので「神性」のようなものは一応あるようだ。ここでいう「神性」というのは「家柄」みたいなものだと思っている。同じ生物の個体であっても由緒ある家柄の人と一般市民は大きく違う。そんな感じ。

 

👱🏻‍♂️⚡👨‍👨‍👧‍👧🦝🌲アスガーディアンズ・オブ・ザ・ギャラクシー
『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)
のラストでガーディアンズ・オブ・ザ・ギャラクシーと共に宇宙に旅立ったソー(とコーグ)。肥満体になっていたソーは巨大バトルロープなどの雷神筋トレでダイエットに成功、今までで一番マッチョになったソーは、この前半でガーディアンズ全員が苦戦する敵の軍勢を一人で全滅させるコロコロコミック的な強さを見せた。幼馴染のアスガルド戦士シフジェイミー・アレクサンダー)の救難信号を受けたソーは「神殺しによる身内のピンチ」という事でかアスガーディアンズ・オブ・ザ・ギャラクシーは解散、ガーディアンズと一旦お別れした。
この際、ガーディアンズがソーとの別れを一切惜しんでないところを見るとウンザリされていたようだ。短い時間だったが「ガーディアンズの闘いに参加せず瞑想して自分探し→『力を貸してくれ』とスタロに言われて参加、ガーディアンズが苦戦してた敵を瞬殺」という、遅刻してきて仕事を誰よりも早く済ませる感じ、ガーディアンズからの脱退時に「餞別にこの宇宙船お前らにやるよ」と言ってしまう感じ。そんな感じでアスガーディアンズ内でウザがられているソーが短時間で全て理解できた。ガーディアンズの出番はこれだけ、彼らの続きは年末Disney+特別ドラマ『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー/ホリディ・スペシャル』(2022)かな。クリス・プラットはダイエットしたのか随分痩せてたな。ジュラシック・ワールドの予告編でも痩せてた。ずっと叩かれてるからか?クラグリンは何か知らん間にガーディアンズの一員になってるんだな?「すぐに現地の原住民女性と結婚してしまう」というネタだったが、らしいなと思った。

👩🏻🛡シフ
シフは『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』(2013)以来の、9年ぶりの登場だった。ウォリアーズスリー&ヘイムダル&シフなど初期のレギュラーのアスガルド人キャラは、ざっくり言うとキャラが薄いので『マイティ・ソー バトルロイヤル』(2017)でタイカ監督に処分された。ヘイムダルは一応生き残ったが特に最後までこれといったキャラがないまま次作で死んだ。唯一シフだけ出てこなかった。彼女はダークワールドの後『エージェント・オブ・シールド』にも出てたらしいが、このドラマは今現在もMCU正史なのかどうか微妙なので脇に置いておいて……『ロキ』 (2021)にもシフは出たけどあれは只のロキの過去回想みたいなもんだ。久々に登場したシフは原作コミックそのままの鎧を着ていた。そして短い出番だったが、シフが「勇敢に戦って死ねばヴァルハラで復活できる……」と満足して死を迎えようとするがソーが「いや、それは闘いの中で死んだらであって、今もう闘い終わってるからヴァルハラ行けないよ」と言ったら「えっ!嘘!?」と慌てて息を吹き返す……この短いくだりでシフの昔のまんがのキャラのような呑気な魅力が出ていた。原作の鎧も着てたし。ゴアを迎え撃ったシフは片腕を欠損していた。MCUのシフは弱いし神殺しのゴアと対峙して生きてるのもなんだから片腕取ったのかも。……いや、そもそもシフが軽症ならソー達の冒険や闘いに参加させなくてはいけない。そうなるとシフのキャラが立たず新たに出した後継キャラと言えるヴァルキリーと被ってしまう。ヴァルキリーを活躍させる時間を捻出する時間も殆どなかった、この上シフまで同行させるのは無理だろう、というかタイカ監督はシフを活躍させる気が最初からないし「シフはどうなったの!?」というファンの疑問にファンサービスで応えてくれただけだろう。
天才セルヴィグ博士の知能や、地球に伝わり始めた異星の超技術や魔術師や魔法使い……などMCUにも色んなパワーがもたらされたが死を克服する方法は未だない模様……というか映画が台無しになるので今後もないと思う。

 

👩🏻👴🏻ダーシーとセルヴィグ博士
末期癌を患ったジェーンの見舞いで、かつての同僚ダーシー・ルイス(カット・デニングス)とエリック・セルヴィグ博士ステラン・スカルスガルド)が出てきたのが凄く嬉しかった。ダーシーは『ワンダビジョン』(2021)の有能なサブキャラとして久々に登場してダーシーファンの僕を喜ばせた。セルヴィグ博士は顔や名前だけちょこちょこ出てる最近だと現在配信中の『ミズ・マーベル』(2022)で名前と理論だけ出た。そろそろMCU内で新しいSHIELD的な組織が出来て2人ともどんどん出てきて欲しい。ソーの初期2作でアスガルド人のキャラは全く立たなかったが、このダーシーとセルヴィグ博士はめちゃくちゃキャラ立ってた(正直言ってナタリー・ポートマンのジェーンより立っていた)ので前作『マイティ・ソー バトルロイヤル』(2017)で削除されて悲しかった。MCUも14年続いて凄くたくさんのナイス一般人キャラ出てきたけど未だにこの2人がMCUの好きな一般人MYランキングのトップだからね(他にはメイおばさんとシャン・チーのケイティ)。ちなみに「MCUで最も要らない一般人キャラ」は『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』(2013)に出てきたダーシーの彼氏。「MCUで最もしょうもないヴィラン」も『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』(2013)のマレキスだし、ダークワールドはなかなか数多くのワーストを輩出している。

 

👱🏻‍♀️⚡ジェーン・フォスター/マイティ・ソー
マイティ・ソーとなるジェーンは、やはり原作通り末期癌を患っていた。
だが病でやつれたメイクや(もしかしてCGで痩身にしてたかも?)たまにガクッと手を突いたり疲労の色を見せるくらいで後は最後まで元気なナタリー・ポートマンのままだった。原作だと放射線治療で毛が全て抜け落ちている痛々しい姿でマイティ・ソーになった時だけ癌の進行が止まる……だが癌が治療されるわけでもなく変身中は癌の進行が一時停止してるだけというキャラで、僕は彼女はめちゃくちゃ良い設定のヒーローだと思うのだが、本作のジェーンはマイティ・ソーに変身すると原作通り癌が止まるだけかと思われたが後半、変身したら癌が進行してしまうという事が明らかになる。ここは原作より過酷でナイスだ。よく考えたら2時間しかないんだから変身=癌が広がるという設定にしないとラストで破局を迎えられないわな。この設定は良いのだが通常のジェーンは絶対に原作通り痛々しいスキンヘッドにすべきだったと思う。そんなジェーンが変身したら輝く金髪のマッチョで美しいマイティ・ソーに変身した方が絶対に鮮烈だったと思うのだがどうか?ナタリー・ポートマンは『V・フォー・ヴェンデッタ』(2005)でもスキンヘッドになってたしタイカ監督も絶対に過酷な描写を好むはずだが何故ジェーンをツルッパゲにしなかったのか?
マイティ・ソーという新ヒーローとしての特色は、変身したら大胆な性格になる(車に乗って口が悪くなる人を想起させられた)。粉々になったムジョルニアを結合させたり分離させて投擲するという『闘将!!拉麺男』に出てくる流星拳砲岩の「散弾流星脚」みたいなカッコいい闘い方をする。「ヒーローとしての決めセリフを考え中」というハシャギ要素もある。

 

👩🏽ニューアスガルドとヴァルキリー
ソーに代わって王となったヴァルキリーが治めるニューアスガルド
『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)の時は貧しい漁港みたいだったニューアスガルドだが、香水や名産品?などを売って大きくなっていた。アスガルドは西洋の中世のような街並みや文化と超科学が混在した神の国だったがそれがニュージーランドの海辺に展開されている。
現在配信中の『ミズ・マーベル』(2022)によると、ヴァルキリーがサノス退治をしたアベンジャーズ内にいた事は一般に知られていた。Tシャツやグッズにもなっていたし、そもそもアメリカ女児が好きなペガサスに乗っている強い女戦士……という(主に同性に)人気出る要素しかない。伺いしれないが多分MCU世界の中では世界的なセレブではないだろうか。本作中でも香水のCMなどをしていた。
前作『マイティ・ソー バトルロイヤル』(2017)でも好評だった、マット・デイモン、ルーク・ヘムズワース、サム・ニールらによるアスガルド芝居もやっていた。皆、生き残ってたんだね。メリッサ・マッカーシー演じるヘラもキャストに加わっていた。
ニューアスガルドには子供が増えていた。子供好きのタイカ監督作品だけあって、この子供たちは全編に出てくる。前作『マイティ・ソー バトルロイヤル』(2017)でコーグの相棒だった昆虫型エイリアンのミークはヴァルキリーの秘書になっていたが冒頭しか出番がない。あと気付かなかったけどWikipedia見たら短編ドラマ『チーム・ソー』シリーズのダリルがニューアスガルドのツアーガイドしてたらしい。……そんな場面あったっけ?
前作『マイティ・ソー バトルロイヤル』(2017)で、キャラが立たなかったウォリアーズスリー&ヘイムダル&シフの後継として新たに鮮烈な登場をしたヴァルキリーとコーグ&ミーク、コーグはともかくヴァルキリーはさほど好きじゃなかった(何か不必要なまでにソーに辛く当たってたから)。だがもう和解してるし本作ではめちゃくちゃ良かった。異性としてのイカし具合が。なんかメイクの感じなのか衣装のせいか筋トレしたのか知らんがヴァルキリーのイキイキしたセクシーな魅力が凄かった。本作の目玉はナタリー・ポートマンマイティ・ソーだが、正直ナタポーも一番好きな一般人女性ダーシーもどうでもいいくらいヴァルキリーが魅力でしたわぁ……。他の現在好きなMCU女性キャラ……僕は中年男性だからカマラやエレーナやケイトは完全に親戚のおじさん目線、マンティスは不思議ちゃんとして、キャロルは幼い時に姉を見上げた憧れ目線……という事で異性としての目線で一番好きなのはヴァルキリーかもしれん。
MCUヴァルキリーは同性愛者という設定で前作『マイティ・ソー バトルロイヤル』(2017)でも、それが描かれる予定だったがカットされた。MCUPIXAR、ディズニーの現場はセクシャルマイノリティを描きたがってるがディズニー上層部はそれを嫌って止めさせていた事が最近明らかになった。ヴァルキリーの同性愛描写がストップされたのもそれが原因だろう。その後『エターナルズ』(2021)でファストス、『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』(2022)アメリカ・チャベスの2人のママ、などで描かれた。それらは中東を始めとする同性愛を禁じる国で上映禁止となった。ちなみに原作のアメリカ・チャベスレズビアンなのでMCUアメリカ・チャベスもそうだと思われる。「レズビアンの女性ヒーロー」という物凄く立場が危ういメインヒーローを出すのを恐れたディズニーによってアメリカ・チャベスレズビアンである描写はなかった。でも絶対レズビアンだと思うし今後、ケイトなどに言い寄る場面が描かれると思う。
本作のヴァルキリーのレズビアン要素は、ソーに「ジェーンのこと狙ってる?」と言われたり、ヘラに壊滅させられたヴァルキリー部隊に恋人が多くいたこと等が言及されたし、ゼウスの侍女の女神の手の甲にキスして魅了するシーンが描かれた。次に女性ヒーロー同士のキスへの動線が引かれたって感じか?

 

 

 

 

〈中盤、後半〉
👨🏻‍🦳⚡ゼウス
ソーを誘き寄せるためニューアスガルドの子供たちを誘拐し神を殺しまくりのゴア。奴を倒すためWソーとキングヴァルキリーとコーグは二匹のヤギに乗り全知全能の神ゼウスラッセル・クロウ)がいる神々が集う宮殿オムニポテンスシティを訪れる。雷神ソーにとって稲妻が武器のゼウスは昔から憧れのヒーローだったらしい。
しかし「この神々が集まっているオムニポテンスシティは、強固な結界で護られておりゴア如きには破れないので安全だ。お前もここでパーティしよう」と言うゼウス。だがソーは「アスガルドの子供達が誘拐されたし、ここに来れないレベルの罪の神々が殺されてしまう!共にゴアを倒すのに手を貸してください!」と嘆願する。
罪のない皆のために闘いたいソー(これぞヒーロー)vs. 実力や権力はあるが、それを保身と私利私欲以外のことに一切使いたくないゼウス(これぞ神)。
ソーは憧れのヒーロだったゼウスの堕落に失望し、ゼウスを半殺しにして彼の強力な神器”サンダーボルト”を奪って逃げるチームソー。
ヴァルキリーとジェーンは、「ゼウスがアカン奴」と判明してない最初の段階で「四人で一斉に襲って、あの武器を奪おう!」と、やたらと好戦的なのが面白かった。
ゼウスのメインウェポン”サンダーボルト”は別に本作のキーアイテムというわけでもなく、ストームブレイカーやムジョルニアに匹敵する強い武器ってだけ。強さは全部同じだとして付加価値で序列を考えると

⚡⚡⚡ストームブレイカ:強い武器。石を揃えたサノスを殺せる。エターニティに逢える。
⚡⚡ムジョルニア:強い武器。自身の適格者を健康にできる。破壊されても活動可能。
⚡サンダーボルト:強い武器。それだけ

という感じで、むしろソーの武器より劣っている。
一人だけ武器が見劣りするヴァルキリーが流れで持たされる。

 

💖vs. ゴア、etc...
ゴアとの2連戦。一度目は三人がかりでも負ける。
ゴアの目的は神々を殺すこと……だがそれ以上に「ソーのストームブレイカーを奪う」のが目的だった。それはストームブレイカーのパワーで「永久の門(とわのもん……原語ではエターニティ)を開くため」だと言う。
というか別に門じゃないですよね?このエターニティはMARVELコミック世界に何体かいる「コズミックエンティティ」と呼ばれてる超常的な存在ですよね。
「死」「時間」「永遠」などの宇宙的な概念が、MARVELヒーローや人類に接触する時に取る人型のアバターのようなもの……それがコズミックエンティティ。今回出てきたエターニティはその一体で……まぁ凄くざっくり一言で言うと「このMCU宇宙の神」と言っていいやろう。他にもいるけど……。
普通に字幕でも「エターニティ」と書いて、神みたいな存在と接触したと言えばいいのにどういうわけか「永久の門」という字幕を付けてるのがよくわからない。クリスチャン・ベール演じるゴアの台詞では確かに「エターニティ」と言ってたのに何で?
原作同様に、人型の身体が宇宙そのものになってるから何かへの入り口だと思ったのか?

よくわかんないですね。普通に「なんでも願いを叶えてくれるエターニティというすげぇ奴に会いたい」とか言えばよかったと思うのだが……。
なんか「セレスティアルズ」のことを『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(2014)『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』(2017)で「天界人」とかいう訳のわからん造語にしてたのを思い出した。「MCUは一回限りの洋画じゃないしセレスティアルズなんて今後もどうせ何度も出てくるのに変な名前つけてどうするん?」とか思ってたら『エターナルズ』(2021)で「天界人セレスティアルズ)」「セレスティアルズ」と段階踏んでセレスティアルズに戻してたから「だから最初からセレスティアルズって呼んどけよ」と思った事を思い出した。あれと似てるよね。
エターニティとかって、あの存在の固有名詞みたいなもんだからエターニティと呼ぶしかないだろう。それともゴアが原語で「ナントカの門」とか言ってたのかな?ゴアは我々、読者じゃないのでエターニティという名詞を知らなくても無理はない、だからゴアも「ナントカの門」って呼んでたとしたら僕がゴメンナサイだけですけどね。
MCU世界のバース名が、我々は「アース199999」だと知ってるけどMCUの作品中では「アース616」と言われてるような、そんな感じかもしれないね?
でも確かにクリスチャン・ベールが「エターニティー」と何度も言ってたけど……。
だが翻訳は置いといて、エターニティやエターニティ空間は『ホーリー・マウンテン』(1973)みたいなアーティスティックな空間で凄く良かったです。エターニティの形に切り抜かれた穴に宇宙が見える……みたいな、場合によってはチープに見えかねないエターニティのルックスが逆に神っぽい凄さを表現できてました。
まぁ、とにかく「何でも願いを叶えるエターニティaka『永久の門』で、ゴアが『全ての神を皆殺し』を願ってしまう」という事でゴアを止めようとするソー。
ヴァルキリーはニューアスガルドを護りたいからパス、ジェーンは前述の「マイティ・ソーになるたび癌が進行する」という事が発覚したからソーが止め、コーグはゼウスにやられてしばらくボディが無い。ソーは単身乗り込む。
ソーは、ゴアに連れ去られていたヘイムダルの息子アクセス(キーロン・L・ダイアー)を始めとするアスガルドの未来を担う子供達に雷神パワーを一時的に貸し与える。アスガーディアンキッズはその雷神パワーでゴアの使い魔に立ち向かう。
そんでまぁそうこうしつつ色々な事があって終わる。
まぁ良かったんじゃないでしょうかぁ……。
前述の「仲間達が負傷したから、ソーがアスガルドの子供達に雷神パワー貸し与えて共に戦う」というくだり、そしてラストのラブの描写で、子供がダブってるなと少し思った。どちらも良い場面だと思うし文句は個別に無いのだが子供推しが連続で続くのは子供推しが多く感じた。

子供推しを見てる気持ちの流れ
1.神に見捨てられゴアの娘死亡→「ゴアがグレるのもやむなし……」
2.アスガルドの子供達が攫われた!→「大変だ、救わなければ」
3.ソー、子供達に雷神パワーを付与する→「そんな能力あったか?アスガーディアン同士だからかな。しかし子供達を立たせるため、ラストバトルにヴァルキリー欠席させるってどうなの」
4.ゴアの娘、蘇生→「別に生き返らせなくてよくね?」
5.ラスト。ゴアの娘にラブと名付けて育てる→「ソーシングルファーザー展開?このために蘇生させたのなら、まぁアリか?」
6.ラストのラスト、ソーはムジョルニア、ラブはストームブレイカー持って敵と戦う→「もうええて!

別に理不尽ではないので過剰な子供推しに対して不自然には感じず最後まで見れたのだが、クリヘムの実の娘演じるオリジナル子供キャラのラブが、苦労して作ったストームブレイカー持ってソーくらい強いの見た最後の最後で「もうええて!」と無意識下に積み上げられていた不満が噴出した。
いつも好戦的なヴァルキリーが「腎臓なくなって次は死にそうだからパス」とラストバトルに参加しないという盛り下がる展開も不自然に感じた。参加させないなら首だけになったコーグ、隻腕になったシフみたいに包帯ぐるぐる巻きにするとか、ひと目でわかる重症で寝かせといてほしかった。
ジェーンが死ぬのは良かったのだが、これも前述した通り変身状態を解くと美しい金髪が抜け落ちて原作のスキンヘッドの痩せ細った姿になって欲しかった。
そもそも、この「ジェーンの末期癌」を物語のメインにしてほしかった。蓋を開けたら色んなオリジナル子供キャラの方に比重が乗っていた。

ハーキュリーズakaヘラクレス
ポストクレジットシーン後の話ですが、やはりゼウスが息子のヘラクレスにソーへの復讐を命じる。
ヘラクレスはMARVELコミックでソーほど重要なキャラじゃないけど同じくらい強くて有名なキャラ、今までの邦訳では主に「ハーキュリーズ」という英語読みでの表記だったが、どうやらヘラクレスになっちゃったみたい。もちろん「ハーキュリーズ」でも「ヘラクレス」でも読み方に正解はないんだからどっちも間違いではないんだけど……本作の主人公ソーも日本では「トール」ではなく英語読みの「ソー」にしたわけだから「ハーキュリーズ」で通して欲しかった。邦訳のアメコミとかゲームとかではずっと「ハーキュリーズ」だったよね。「『トール』は日本の知名度低いから『ソー』呼びでも良かったけど『ヘラクレス』は日本人なら誰でも知ってるよ!」という知名度を優先させてヘラクレスにしたのは間違いないけど……何か少しモヤモヤしました。わかりますかこの感じ?今から数十年後にソーの再映画化が決まった時に「マイティ・トール」みたいなタイトルになった感じと言えばわかるか?「ち、違うんじゃ、『トール』でも合ってるけどMARVELキャラの彼は『ソー』と呼んで欲しいんじゃ……」と君は言う。しかしそんな声は誰にも届かない。そんな感じ?
ハーキュリーズヘラクレス)は好きだしMCUに不足しているマッチョ男性キャラ補充にワクワクしましたが演じてる俳優がわからず『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』(2022)の時のように「クレアだ!しかもシャーリーズ・セロンやん!」という瞬時にあがる感じじゃなかったですね。「ハーキュリーズ!……誰だろこの俳優……」と戸惑いました。ググったところブレット・ゴールドスタインというイギリスの俳優だった。出演作一本も観てないから知らんわけだ……。
MCU的にはハーキュリーズヘラクレス)と戦わせて、ソーのマッチョ馬鹿ヒーローの役割をヘラクレスに移したいのかな?でも一瞬しか見てないからわかんないけど思いのほかヘラクレスは単独作できそうな陽気さを感じなかったな。「ハーキュリーズ出てきた!……でも、あんまり陽気そうじゃないな……」みたいな。只のソーのライバルで終わるのか、ヘラクレスのシリーズが始まるくらいのキャラなのかは続きを観ないとわかんないね。

 

そんな感じで子供を推しすぎなのと「エターニティaka永久の門」と「ハーキュリーズakaヘラクレス」に若干モヤモヤしたが、全体的に夏にふさわしいカラッと楽しいソー新作でした。

当たった予想:ジェーンは癌で最後に死ぬ。ハーキュリーズakaヘラクレスが出てくる。
予想してなかった:ダーシー、セルヴィグ、シフ、エターニティが出てくる。ソーが父になる。
外れた予想:TVAロキ、ベータ・レイ・ビル、ヌルやシンビオート等が出てくる。「ネクロソードは死んでない」みたいな感じでソードの欠片が動くラスト。

「ソーは帰ってくる」と言ってたからvs.ヘラクレスをやるソー5作目は間違いないんだろう。ストームブレイカーもいいがムジョルニアの方が好きなのでラストで再びソーが手にして嬉しかった。

次のMCUは……次の水曜日に『ミズ・マーベル』最終話。8/10にDisney+で『アイ・アム・グルート』のアニメ、8/17にドラマ『シーハルク:ザ・アトーニー』か。劇場は11月の『ブラックパンサー:ワカンダ・フォーエヴァー』まで無い。

 

 

 

 

 

 

そんな感じでした

MCUの本作と関連した作品〉

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タイカ・ワイティティ監督作〉
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 ※最終話の監督
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Thor: Love and Thunder (2022) - IMDb

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Amazon: ソー(THOR)Vol.1 -帰還-
Amazon: マイティ・ソー:シーズンワン
Amazon: マイティ・ソー:アスガルドの伝説

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