gock221B

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『ロキ』〈シーズン2〉全6話 (2023)/これは面白さ的にも衝撃も見終わった余韻も最高でした。観終わってばかりというのもあるがMCU全体で3番目くらいに好きですわ🌳


原題:Loki〈Season.2〉 脚本:エリック・マーティン(第1-3話)、キャサリン・ブレア(第4話)、マイケル・ウォルドロン(第4-6話) 監督:ジャスティン・ベンソン(第1話)、ダン・デリーウ(第2話)、カスラ・ファラハニ(第3話)、アーロン・ムーアヘッド(第4-6話) 原作:スタン・リー、ラリー・リーバー、ジャック・カービー 製作総指揮:ケヴィン・R・ライト、ケヴィン・ファイギほか 製作国:アメリカ 制作スタジオ:MARVELスタジオ 配信チャンネル:Disney+ 配信時間:各話約60分、全6話 シリーズ:MARVELシネマティック・ユニバース(Disney+制作ドラマシリーズ)。『ロキ』ドラマのシーズン1

 

 

本作の前シーズン、『ロキ』〈シーズン1〉(2021)は2021年6月に配信されたDisney+ドラマ。MCUのドラマは大抵、短期のリミテッドシリーズだったのだが、本作はシーズン1がクリフハンガーで終わったせいか(明言されてないがコロナで一度ストップしたせいじゃないかと推測してた)シーズン2に続いた初めてのMCUのDisney+ドラマ。
そもそもMCUドラマがリミテッド・シリーズばかりだったのはTVドラマの作り方知ってる人やショーランナーいなかったりしてただけなので僕が前から思ってた「6時間強の長い映画つくって、要らんとこ切らずにそのまま分割して毎話ラストにクリフハンガーくっつけてお出ししてるだけ」はガチで本当だった。MCU作品……特にドラマの低クオリティが不評でDisney+解約者が急増したので、これからは作品数を絞りショーランナーを雇ってちゃんとドラマとして作っていく事にしたようだ。よかった、本命のデアデビル制作前に体制が整って……(ちなみにデアデビルのクリエイターは本作ロキと同じ人)。
「Disney+の会員数を増やしたい」という目的でディズニー前CEOボブ・チャペックがMCUとSW作品を粗製乱造してクオリティ低下を招き、全体的につまらなくなって一瞬だけ増えたDisney+会員もごっそり抜けて前CEOボブ・チャペックはクビになって前々CEOボブ・アイガーが再度呼び戻された。
※追記:後に、MCUとSWの粗製乱造を始めたのはチャペックではなくアイガーだったと判明した。今まで当ブログでチャペックに全ての罪を被せてて正直スマン。
そういう感じでMCU作品のクオリティが下がってきて、つぶさにTwitter(現X)とか観察してた僕の感覚では、『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)で盛り上がってた一般層も『ブラック・ウィドウ』(2021)くらいからMCU作品を観る人が減り、Disney+に入らないと観れないドラマなどの作品群はもはや「MCUが好きな人」しか観なくなった。
僕はというと一応、全作品観てたのですがドラマなどは、どれも最初の4話くらいまでは「神!」と思うくらい面白かったが最終話を観終わった頃には「うん……中盤までとか新キャラとかサプライズとか、どれも良い部分はあったけど……」と歯切れの感想を抱くことが殆どだった。
それは前述の通り、シーズン全体を見通すショーランナーの不在やドラマの作り方で作ってなかったりしてたせだと思うが、更に無能ディズニーの粗製乱造によってCG制作会社にブラック労働を強いてCGのクオリティも下がり、更に視聴者も粗製乱造によってMCU自体に飽きていった……といったデス・スパイラルが起きてクオリティがどんどん下がっていった。僕も逐一全作品をなるべく前向きに観て応援していたが内心「もういっそのことDisney+作品作るの辞めないかな。そうすればもう観なくて済むのに」と思っていた。
そんな中、今年の6月に配信された『シークレット・インベージョン』(2023)は、MCU15年の中で最もつまらない駄作だったので全世界的にガッカリした。
今までのMCUドラマは良いのは中盤までばっかりだったが、少なくともキャラの描写やサプライズなど何か良いところは一つ二つあったので次に期待できてたのだが『シークレット・インベージョン』(2023)はとうとう良いところが殆どない作品だった。強いて言うなら新キャラのオバサンが強くて魅力あったり予告と第一話がマシだったくらいか?後の報道によると製作スタッフ内で派閥が出来て、制作中ずっと争っていたため作品がぶっ壊れてしまったらしい。これによってついにMCU崩壊の足音が聞こえた。
MCUは最初から見守っていたので好きな作品やキャラはたくさん居たのだが「こういう事が起きるならもうMCUとか、全部終了してくれよ。ブレイドとかF4とかX-MENまだだけどもう辛いので。これからはジェームズ・ガンのDC映画観るから」と、MCU全て滅んで欲しくなるほど『シークレット・インベージョン』(2023)は酷かった。
『シークレット・インベージョン』(2023)が酷すぎて今までなら必ずチェックしていた本作『ロキ』シーズン2とか『マーベルス』の予告なども観なくなっていた。
が、この『ロキ』シーズン2は「一応観とくか……」と観たら、めちゃくちゃ面白かった。最初から最後まで全て良かったMCUドラマは個人的にはこれが始めてで、やはり観ないとわかんないもんですねぇと思った。それで「もうMCUとか終われ!」と思ってた気持ちが45%くらいは回復した。SWで言うと『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』(2017)『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』(2019)を観て心底SWから離れた心が『マンダロリアン』〈シーズン1〉(2019)で少し回復した時(させられた時)に似ている。

最初に言っておきますがMCUにおけるマルチバースタイムパラドックスについて細かく考えるのはやめましょう。どうせ辻褄合わないし制作者たちも多分まだ思いついてません。何となくざっくり観ることが大事です。

ネタバレあり

 

 

 

 

誕生してから『ロキ』〈シーズン1〉(2021)までのロキ
 
『ホワット・イフ…?』〈シーズン1〉(2021) でのロキマルチバースの別人なので除外

 

🕚 965年~(劇中での時間)
アスガルドの王オーディンが氷の世界ヨトゥンヘイムの長ラウフェイが捨てた赤子を拾い肌の色を変え〈
ロキ〉と名付ける。以降、ロキは王オーディンと王妃フリッガの元で第一王子のソーの弟の第二王子として「お前たちは王となる運命」と言われて育てられる。『マイティ・ソー』(2011) 

🕚 2010年
ロキは義兄ソーの抹殺とアスガルド支配を企んだが
敗北して宇宙に逃走。『マイティ・ソー』(2011)

🕚 2012年
ロキはサノスの配下となり地球に侵攻するがアベンジャーズ
敗北。捕われたロキはアスガルドに連行される事になった。『アベンジャーズ』(2012)の終盤まで

……本当なら『アベンジャーズ』(2012)のラストでソーがロキをアスガルドに連行する運命だったのだが、〈2023年からタイムスリップしてきたキャプテンアメリカ&アイアンマン&アントマン〉がもたらした変化により、アスガルドに連行される途中だったロキはインフィニティ・ストーンを強奪しテレポートして逃亡
この瞬間、「アスガルドに連行されるロキ」という「本来のロキの運命」から外れてしまったため、ロキは「本来の神聖時間軸ロキ」から枝分かれした
変異体ロキとなった。『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019) → 後述の『ロキ』〈シーズン1〉(2021)でのあらすじに続く

 

※おまけ、「正しい運命を辿ったロキ」その後の運命(本作のロキはこれを体験していない)

🕚 2013年:ロキの行動の結果、ロキ最愛の母フリッガが戦死。ロキはアスガルドを掌握。『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』(2013)
🕚 2017年オーディンと死別、兄ソーと共闘して義姉ヘラを打倒するが故郷アスガルド消滅。ロキ達は生き残ったアスガルド民を宇宙船に乗せ宇宙に旅立つ。『マイティ・ソー バトルロイヤル』(2017)
🕚 2018年:その少し後、サノス達に宇宙で強襲されアスガルド民の半数は死亡。そして兄ソーを庇ってサノスに反抗した
ロキ死亡『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018)

 

前作『ロキ』〈シーズン1〉(2021)でのロキ

🕚2012年
「捕らわれてアスガルドに移送される」という運命から外れた2012年のロキは、スペース・ストーンを使ったテレポートでアベンジャーズから逃亡したが制服を着た者たち〈TVA〉にあっという間に捕獲される。
時空を超えた空間にある組織、時間変異取締局(Time Variance Authority、通称”TVA”)はあらゆる時間と場所の世界を監視しており、TVAが定めた正しい歴史の流れ〈神聖時間軸〉から外れた行動をした者〈変異体〉や、それによって神聖時間軸から枝分かれして生まれた〈マルチバース〉を剪定して消し去る組織だった。
大昔に、マルチバース間で戦争があったため同じ争いを起こさないようにTVA創設者はTVAを作り〈神聖時間軸〉以外の、新たに生まれたマルチバースと変異体を剪定するようになったという。
ロキは「アベンジャーズに破れてアスガルドに連行される」という「神聖時間軸での正しい運命のロキ」とは違う行動をしてしまい〈変異体〉認定された。
TVA分析官メビウス・M・メビウスに尋問されたロキは「王になって王座に就く」という野望を語るが、メビウスは「アスガルドに連行されて両親が死んで兄と共闘するがサノスに殺される」という神聖時間軸での「本来の運命」を見せられ「ロキは負け続ける運命」だとメビウスに告げられてショックを受ける。
メビウスは傷心のロキに「TVA職員として活動して、大暴れしている〈ロキの変異体〉を捕まえる」という新たな活動を持ちかけ、ロキはTVA職員となった。
そうしてロキとメビウスは、その〈ロキの女性版の変異体〉シルヴィを追ううちに無数のロキ変異体と出会い、同時にTVAの秘密も明らかになっていく。
最終的にロキとシルヴィは、TVAを創設した31世紀の天才科学者〈在り続ける者〉に辿り着く。在り続ける者は好戦的なマルチバースの自分達を倒し続けていたが〈この世界〉を神聖時間軸と決めTVAをを作り、新たに生まれるマルチバースを剪定し続ける事で、マルチバースの凶暴な自分が神聖時間軸に侵攻してくるのを止めていた。しかしシルヴィに刺されて在り続ける者は死亡
こうして神聖時間軸に無限のマルチバースが発生した。

TVAに帰ったロキは、これから起こるであろう混乱を警戒する。『ロキ』〈シーズン1〉(2021)

※この在り続ける者殺害によって、MCUは「マルチバースが発生しうる世界」になってしまった。
誕生した無数のマルチバースを見せる『ホワット・イフ…?』〈シーズン1〉(2021)。ドクターストレンジが記憶の魔法を使ったはずが何故かマルチバースを引き寄せることになってしまった『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(2021)。ワンダが失った息子たちがマルチバースに居ることに気付いてしまう『ワンダビジョン』(2021)。スカーレットウィッチがマルチバースに生存する自分の息子達を自分のものにしようとして闇落ちしてしまう『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』(2022)。〈在り続ける者〉の変異体カーンをアントマン達が倒すが、全てのカーン変異体が集結し神聖時間軸への侵攻を決める『アントマン&ワスプ:クアントマニア』(2023)……等の展開は前述の『ロキ』〈シーズン1〉(2021)ラストの影響下で生まれた。

 


ロキ(演:トム・ヒドルストン)がTVAに帰還したシーズン1直後から始まる。
シルヴィ(演:ソフィア・ディ・マルティーノ)が在り続ける者(演:ジョナサン・メジャース)を殺害してしまったため、無数のマルチバースが誕生。

ロキは、TVA分析官メビウス・M・メビウス(演:オーウェン・ウィルソン)とTVA実働部隊の隊員ハンターB-15(演:ウンミ・モサク)とTVA事務員ケイシー(演:ユージン・コルデロ)らと再会し、在り続ける者の変異体たち(面倒だから以下カーンと表記)が攻めてくる脅威を訴えようとするが、ロキはTVA局内で過去や未来に細かくタイムリープをするようになってしまい落ち着いて行動できない。
TVAは時空を超えた場所に在るのにタイムリープを繰り返すのはおかしい。
ロキはメビウスに、TVAの機械を扱っているらしき男OB(演:キー・ホイ・クァン)を紹介してもらう。ロキは過去と現在を行き来しながらOBにウロボロス(Ouroboros)という略してOBになるあだ名を付ける。
どうやら全てのマルチバースを物理的にまとめているTVAのエンジンともいえる〈時間織り機〉に異常がある事がわかる。あらゆるマルチバースが生まれたことでそれをまとめている時間織り機がオーバーロードを起こしている。ロキはメビウスウロボロスと協力して取り敢えず一旦オーバーロードは少し収まってロキのタイムリープ現象は収まる。
そして在り続ける者を殺して彼のタイムパッドを奪ったシルヴィは80年代アメリカ、出来たばかりのマクドナルドを楽しんでいた。
……という第一話がめちゃくちゃ面白くて『シークレット・インベージョン』(2023)限りなくゼロになってたMCUへの興味が少し回復した。

 

ウロボロスことOBは『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』 (2022)で再ブレイクを果たしてアカデミー賞助演男優賞も獲って一昨年まで健康保険も持てなかったのに『エブリシング……』(2022)一発でスターに返り咲いたキー・ホイ・クァンが演じているので、観てるだけで良かったねという気持ちが湧き上がってくる。このウロボロス『エブリシング……』(2022)の主人公の夫役の時のような「色んな事を知っていて甲高いのん気な雰囲気で話す優しそうなアジア系男性」というキャラだし、メカ担当なので『グーニーズ』(1985)の発明少年データがそのまま成長した雰囲気も感じさせるしで、現代のファンがキー・ホイ・クァンに求めてるようなキャラそのまんまという雰囲気がある。
MARVELスタジオは、誰かブレイクしたらとりあえず引っ張ってくるが扱いきれず、ただのモブみたいなキャラで終わることも多いのだがこのウロボロスはちゃんとキャラが立ってて活躍も多いので良かった。
ウロボロスは何時からTVAに居るかわからないし超然としているしTVAハンドブックを書いたのも彼だし「ウロボロス」というあだ名もそうだしで、シーズン後半まで「ウロボロスはカーンの変異体なのでは?もしくは何らかのラスボスなのかも」という雰囲気でも描かれている。なかなか良い役。

 

ロキやメビウスはTVA上層部に「TVAを創ったのはタイムキーパーズではなく在り続ける者」であること「TVA職員は全員、自分の生活がちゃんとあったのに記憶を消されてTVA職員として使われていた」事などを伝える。
ギャンブル判事や一部の職員は説得できたが、何の記憶もないのに今までの使命を捨てることが出来ないためかドックス将軍(演:ケイト・ディッキー)などの強硬派は、爆発的に増え続けるマルチバースを全滅しようとする。
今となっては一つのマルチバースを消すだけで膨大な数の人を殺すことだと気付いてしまったロキ&メビウスは、80年代のマクドナルド店員生活をエンジョイしていたシルヴィを引き込んでドックス将軍一派の剪定を阻止する。

 

元TVA判事ラヴォーナ・レンスレイヤー(演:ググ・バサ=ロー)と、在り続ける者の従者だったTVAアシスタントAIミス・ミニッツ(演:タラ・ストロング)。二人は在り続ける者が残したプランにより神聖時間軸のカーン変異体であるヴィクター・タイムリ(演:ジョナサン・メジャース)が少年の時代に訪ねて彼にTVAガイドブックを与えて発明家っぷりを加速させる。在り続ける者がミニッツに残した計画はタイムリーを新たな在り続ける者にするという事なのだろうか。
イムリーが神聖時間軸出身ってことは、在り続ける者は別のマルチバースから来た奴だったのかな?
とにかく数十年後の時代に来たレンスレイヤーとミス・ミニッツは、発明家になったタイムリーを勧誘しに来る。
TVAの時間織り機を修復するために、在り続ける者の時間オーラが必要なのでロキとメビウスも来る。そして「在り続ける者の変異体を全員殺す!」という復讐のためにシルヴィも現れる。
久々に登場したミス・ミニッツは巨大化して暴れたりレンスレイヤーを切り捨てたりヤンデレのメスの顔でタイムリーに迫ったりと大活躍。
色々あってロキ&メビウスは時間織り機修復のためタイムリーをTVAに連れ帰ることに成功。最初は殺すつもりだったシルヴィも渋々とロキの案に従うかたちになった。
レンスレイヤーとミス・ミニッツは「自分たちが在り続ける者に成り代わる」というシンプルなヴィランっぽい野望に路線変更する。

 

タイムパッドでTVAの留置所にワープしてきたレンスレイヤーは、自分の配下になる者を募ると、映画俳優としての人生を送りたいX-5一人だけは渋々従うがドックス将軍以下は断る。レンスレイヤーとミス・ミニッツは従わないドックス将軍以下をじわじわ圧死させるというMCUにしては残酷すぎる拷問器具で処刑する。
レンスレイヤーはドックスに「もっと視野が広いと思っていた」と貶すが、ドックス将軍は「今になって初めて広い視野を持つことができた」と返しX-5「俳優の人生そんなに楽しかった?」と憐れみの視線を向ける、ぐちゃぐちゃになって死ぬ寸前に「どんな気分?皆、あんたに従うくらいなら死を選ぶのよ」と笑う。
はっきり言ってめちゃくちゃかっこいい。ジョン・カーペンターの映画に出てくる猛烈に反抗するキャラみたいだ。
このシーンちょっと不思議だったな。レンスレイヤーが自分に従わない囚人達を皆殺しにする必要はないし、ましてやこんなグロい殺しをする必要もない(しいて言うならミス・ミニッツがウキウキしてたからミニッツが人が死ぬところが見たいってくらいか)。そして、このシーンのカッコいいドックス将軍だが、この場面以外はTVAに盲目的に従ってただけの殆どモブに近いオバサンなんだが何でこんな脇役が最期にこんなにカッコよく……はっきり言ってMCU全作の中でもベスト5に入るカッコよさだ(一番かっこよかったのは『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』(2017)でエゴの誘いを「(普通の人間になってしまうのが)何が悪い?」とクイルが言う場面)。脚本家が思いついてどうしても書きたくなったのかな?レンスレイヤーもドックス将軍も変だもんね。ドックス配下の元TVA職員たちも、X-5を除いて誰もレンスレイヤーに従わなかったのも今思えば「全員そんなに誇り高い奴らだったん!?」と少し不自然な気もする。まぁいい。「ドックス将軍すごい!」と感激したら数秒後には死んでしまう鮮烈な体験だった。
もう絶対に仲間とかにはなれないほど憎いやつになってしまったレンスレイヤーはシルヴィに剪定棒で虚無空間送りにされた。前回は在り続ける者が腐ってた時の終わりの城送りにして戻ってきたし「もうレンスレイヤーはどうしようもないからシンプルに刺し殺せよ」という気持ちになった。シルヴィの気持ちになって考えるなら、憎いから死ぬより辛そうな空間に送ったった!というつもりなんだろうけどレンスレイヤーはその都度大きくなって帰ってくるタイプだからね……。

 

一方、タイムリーの協力もむなしく時間織り機のオーバーロードは止まらず、タイムリーは時間放射線によるスパゲッティ化で死亡。そしてTVAも白い光に包まれる……。
というのはMCUドラマで毎回衝撃的な事が起こる第四話。クリフハンガーが凄いという以前に、ここまで面白すぎてそれが凄い。MCUへの信頼度が薄れてたから、もうMCU無くなって『ロキ』だけ延々にやってほしいくらい面白い。
書くの忘れてたが、1920~50年代風?のデザインやアナログな機械が並ぶTVA内の美術も異常にカッコいいしね。僕、『バイオショック インフィニット』(2013)とか『ディスオナード』シリーズみたいな、古めかしいデザインや文化と凄い機械のスチームパンクっぽい世界が一番ツボなんですよね。
一方、タイムリーはあまりに穏やかな良い奴だし、頑張ってスパゲッティになってしまうし、非情になったのは一番嫌なやつであるレンスレイヤーが調子こいた時だけだったので「このタイムリーだけは邪悪なカーンにならず味方のまま居て欲しいな」と思った。

 

 

時間織り機がオーバーロードした事で、ロキは再びタイムリープを繰り返すようになる。TVAが崩壊する中、TVAに来る前の仲間達の居た時代へとタイムリープする。
結局、正体が謎だったウロボロスは売れないSF作家だった。ただし物凄い天才だったのでロキは懐に入れてたTVAハンドブックを渡したらウロボロスは嫁さんに逃げられつつ一年ちょっとでタイムパッドを完成させてしまう。
そしてロキとウロボロスは、後にメビウスになる男性、B-15になる黒人女医、後のケイシーとなる実在した脱獄犯フランク、などを次々とアッセンブルする。
ただロキ同様に記憶が残っていたシルヴィは「自分の人生を生きるから」と断る。ロキは「独りになりたくない。みんなと居たい」と遂に自分が本当に思っていたことを口にする。言えたじゃねえか。だがシルヴィは「自分の物語は自分で書いて」と言ってしまう。シルヴィいつもこんな感じだな……MCUで一番ドライなキャラかもしれん。シーズン2のシルヴィは割とカーン変異体を殺そうとしたりして結果的にロキに従わないキャラなのでイラッとする人も多いみたいだが、物語の都合上短気にさせられてるところは置いといて、彼女のドライさについては好きだし自分もこうありたいと思うタイプ。
しかしシルヴィの居たマルチバースはスパゲッティ化して消滅。やはり時間織り機を何とかしないと各マルチバース同士の衝突による消滅……インカージョンは止まらない。慌ててロキ達の元に来たシルヴィだったが、このウロボロスの世界もスパゲッティ化を起こし一人ひとりがスパゲッティ化して消えていく、さっき大好きだといった仲間達が『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018)ラストのサノスの指パッチンみたいに順番に消えていくのを悲痛な表情で見るロキ。
遂にシルヴィまでも消えた時に、ロキの脳内に皆の記憶が蘇り……ロキは数分前にタイムリープした。
このシーズン2で、最初からロキは仲間が居る所にマルチバースを超えて出現できていた。これがロキに秘められた能力の一つだったみたい。
ここまで「このドラマめちゃくちゃ面白いけど、正直ロキが主人公じゃなくても誰でも成立しそうな話だなぁ」と思ってたけど、この第5話ラストから最終話ラストまで「ロキが主人公じゃないと成立しない話だ」と何度も思わせてくれる。

 


最終話。自在にタイムリープ出来るようになったロキは、タイムリーを連れてきたけど時間織り機がオーバーロードした時に舞い戻る。何度も繰り返してタイムリーへの説明を簡略化させて工程を早めてみたり、敵だったミスミニッツに協力してもらったり(今のロキのパワーを考えればミス・ミニッツなど敵に入らんってことか)色々するが毎回タイムリーのスパゲッティ化は止められない。
ウロボロスに失敗の原因を聞くと「遅すぎた」と言う。
そこでロキは数百年間勉強して時間織り機のことをウロボロスやケイシーより詳しくなる。
このコントロール室にタイムリーを連れてきて、防護壁からタイムリーを時間織り機に向かわせる……それを数分間早めるためだけに数百年間勉強したと思うと「そんなに仲間を救いたいのか……」と熱いものがある。
数百年間の勉強の甲斐あって今度はタイムリーが時間織り機に例の制御棒みたいなやつ突っ込むことに初めて成功する。だが残酷なことにオーバーロードは止まらない。「マルチバースが無限に増殖していくので時間織り機だけでまとめる事は不可能」というのがタイムリーの出した結論だった。
「まるでこうなるよう仕組まれているみたい」と言うシルヴィの言を受けてロキは、シルヴィが在り続ける者を刺殺した『ロキ』〈シーズン1〉(2021)の最終回の瞬間にタイムリープする。
在り続ける者が死ねば無限のマルチバースが生まれ、時間織り機が爆発しTVAもロキの大事な仲間達も吹き飛んでしまう……それなら在り続ける者を殺さなければ良い。だがシルヴィは自分の人生を奪った在り続ける者を何としてでも殺す気満々なので何度繰り返しても在り続ける者を生かす事ができない。今度は「在り続ける者を護るためにシルヴィを殺すしかないのか?」という問いが始まってしまう。
時間制御能力を会得したロキが何度もこの瞬間を繰り返していることに気付いた在り続ける者は時間停止してロキと会話する。
時間織り機はマルチバースをまとめる機械ではなく際限なく増えたマルチバースを自動的に剪定して神聖時間軸だけを残すための安全装置だった。TVAごと全てを吹っ飛ばして、それでOKという事にはならんだろうから、大事な仲間を全員護りたいロキが最終手段として、この状況通りシルヴィを止めに来ることも、未来を見て織り込み済みだったという事だと思った。
今まで在り続ける者はシルヴィに殺される気満々に見えていたが殺される気などさらさらないみたいなので、タイムリーは後継者ではなくロキが色々やって今のこの状況になるための歯車に過ぎなかったって事か。
そうなると何でこんな回りくどい事して自分が死にそうなゲームをしてるのかという話になって、それはよくわからんが時の終わりで永遠に独りで居たら暇すぎてスリルを味わいたくなったのではないか?すると時間制御能力を会得できるロキが現れたからロキでいっちょ遊んでやるかって感じか?
会話しながらロキは時間停止能力まで会得した。
だが「自在にタイムリープ」「時間停止」ここまで強いともうロキは十全な状態では終わらんなという覚悟が出来てきた。メタ的にアメコミでは強すぎるキャラはもう今後まともに活躍できない。情緒不安定にされるか(ワンダ)、常に留守にされるか(キャロル)、あとは神のような全能にぶつかって消えるかしかない、ロキは最後のパターンだろう。
ロキは時を遡り親友のメビウス、シルヴィと最後の会話をする。
シルヴィを殺すことなどできない、しかし在り続ける者が生きる今までの世界ではメビウスは笑えない。ロキは最後に相談したシルヴィに「世界が全て消えるのに自由意志などあって何になる」と弱気な事を言うが、シルヴィは「全て消えようと抵抗すべきだ、時には破壊も必要だ」と彼女らしい事を言う。そういえば視聴者しか見届けてないけど異常にカッコいい場面を演じたドックス将軍の何かに繋がるわけではない抵抗も脳裏によぎるな……(レンスレイヤー凄い顔してて相当屈辱だっただろうからドックスに何の得もなかったわけではない)。
結局、ロキは結論を出し時間織り機オーバーロードの瞬間に戻る。
メビウスとシルヴィは止めるが、ロキは防護壁の向こうの時間織り機に続く通路に出る。時間放射線がTVA制服を吹っ飛ばすがロキはかつての悪戯の神としてのマントや山羊角ヘルメットを顕現させる。この歩きながらマントを生成するカットがめちゃくちゃヒロイックでかっこいいので「今まで面白かった面白いSFって感じで観てたけど最後で一気にヒーローものだってこと思い出させてくれたな」と思った。ロキは時間織り機をぶっ壊し素手マルチバースを掴み安定させ、玉座に座り自らの手で全てのマルチバースを司ることにした。いわばロキが時間織り機だ。剪定せず優しくマルチバースを織れるタイプの。
長生きしてやっとわかった「友達と一緒にいたい」という想いのために永久に独りぼっちになって全ての世界を護る……というあまりの結末に、なんか受け止めきれないものがあり次の日もっかい観たら納得できてきた。
MCUで呆然とさせられる哀しいラストと言うとヒーローや登場人物の半数が塵になってしまう『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018)があるが、僕は『インフィニティ・ガントレット』(1991)を読んでたから「半分塵になって、続編で戻るんだろうな」とわかってたから実のところ面白かっただけで哀しくなかったんだが、この「今MCUで最も友達の温もりを欲してるロキひとりぼっちエンド」は予想だにしてなかった。「王になると予言されてて、いつも本人イキって玉座に座りたがってたが、まさかこういうかたちで叶うとは……」と完全に虚を突かれた。
このトムヒのロキも最初に観てから12年経ってるからね。下手な実際の友達より長い……何なら正直な話、現実世界の友達よりロキの方が友達みたいなもんだと言えなくもないし、イキってはボコボコにされるロキを繰り返し観てきてて最後の最後でこんな英雄的な行いをさぁ……。
最後にメビウスやシルヴィやTVAの仲間達を、マルチバースを束ねすぎてユグドラシルの樹(北欧神話に出てくる全ての世界を内包する樹)みたいになってるロキが、哀しい笑顔で優しく観てるのがラストカットだからね。
ちょっと配信日に観た時は受け止めきれんものがありました。12年前に『マイティ・ソー』(2011)で神であるソーですらおとぎ話みたいに語ってたユグドラシルの樹に、「跪けぃ!」「私の名を言ってみろぉ!」とか言ってたアホのロキがなるなんてね……。
てっきり命をかけて何とかするのかなと思ってたらこんな『まどマギ』のまどかみたいな事するとは……。永遠に死ねないからヴァルハラでママにも会えないじゃん。
この状態は何だろう。時の神?運命の神?物語の神かな。
逆に言うと「ロキは全ての時間全てのマルチバースに偏在してる」と言うことも出来る。しかしアバターをポコっと出現させてシルヴィと飲んだりメビウスと遊んだりする能力はなさそう(それ出来たらこのラストの感動がなくなるから)。
結局、今後またロキは今までのようなキャラクターとして出てくるのかな?僕は、ちょっと出てこない気がするね……。アベンジャーズ5か6のどっちかで、この状態のロキにソーが一瞬会ってちょっと会話だけして終わりじゃないかな?
アイアンマン、ブラックウィドウキャプテンアメリカ(スティーブ)……などの古参メンバーが引退していっててロキの幕引きとして、これは哀しいとはいえ最高なわけでね。メタ的な意味で、もう今まで通りの歩いて楽しそうなロキは観れなさそうだよね……わからんけど。
防護壁の向こうでシルヴィとメビウスに微笑みかけるロキの笑顔……。あの偽りの神、悪戯の神、笑いの神、イキりの神とか言われてたロキが……あんな孫を見るおじいちゃんみたいな柔和な微笑みを……。

 

ロキ以外の現状、ウロボロスとケイシーとB-15とミス・ミニッツは今まで通りTVA勤務、ただし目的は「マルチバースの剪定」から「カーン変異体の監視と対処」に変わった。メビウスはTVA辞めた……かといって家にも戻れないみたいだし行くあてもなくロキを失った哀しみが癒えるまでラキが救ったものを見つめ続ける不審者でしばらくいるみたい(そしてデップーと出会うのか?)シルヴィはメビウスに挨拶して旅に出た、既にサッパリしてる……この人いっつもサッパリしてるな、テキサスの風みたいな人だわ。大本のロキが動けなくなったからシルヴィが今後「活動できるロキ」として出るのはアリだな。シルヴィは「ドライで行動だけする」っていうイーストウッドみたいなキャラで好きだし。今のディズニー作品で男キャラがそういう感じの活躍するなんて絶対望めないので今後は自然とシルヴィを応援した方がいいのかもしれない。大人タイムリーはどうなったのかわからん、「TVAガイドブックを受け取らなかった少年タイムリー」をわざわざ映してたから神聖時間軸の大人タイムリーは存在しない感じになったのか?これはよくわからんし造り手も多分考えてないから考えるのをやめた。レンスレイヤーは虚無空間送りだったが死ぬ瞬間映ってないからアライオス手なづけてヴィラン続行でしょう。
気になる謎とかは特にないんですが、タイムリーがココア自販機に固執してたの何かありげで気になった。
シーズン1も面白かったけど、このシーズン2は、シンプルに全話面白くて今までネックだった最終回も面白いままショックも与えてくれたし、クリフハンガーや別作品へのヒキもなく……最高だったんじゃないでしょうか?ドラマの中では勿論一位だし、全MCU映画を合わせても……観終わったばかりというのもあるけど今3番目くらいに好きですわ。『ワンダビジョン』(2021)が始まった時って第5話くらいまでは死ぬほどおもろかったよね、だけどピエトロ匂わせスカシでガッカリして最終話はいつもビームの撃ち合いになってどうでも良くなったが、この『ロキ』はさしずめ第5話までの面白さのまま最後まで行ってビームの撃ち合いしなかった『ワンダビジョン』(2021)みたいなもんか。
ドラマだとどうしても最終話がラストバトルになりがちなんだけど、正直ラストバトルだけだと、あんまり面白くならないよね。映画だったら通して観てるからいいんだけどドラマだと最終話がバトルだけになったらアホみたいな部分がある。わかるか?本作の場合、台詞の応酬とスパゲッティCGだけで一番面白く出来るのがよかったね。そう思うとSFっぽい話がいいのかもね。この監督と脚本家が本命の『デアデビル:ボーンアゲイン』(2024)も担当するみたいで楽しみだわ……。何ならアベンジャーズ5&6もやってくれ。MCUドラマと言えば「CGしょぼい」といつも言われるけど本作は良かったよね。スパゲッティのCGは荒い気がしなくもないが超常的な現象だから別に荒いスパゲッティの方が迫力ありますしね。
これは満足ですわ。最終回4回くらい観たの始めてだし、同日に公開された『マーベルズ』(2023)も僕はカマラ一番好きだから楽しみにしてたけどロキの気分が抜けなかったから週末観に行かなかったからね。週明けに行くわ。
言っておくけどMCUマルチバースタイムパラドックスについて細かく考えない方が身のためですよ……。絶対にMARVELスタジオも把握してないんで……。「『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』(2023)MCUと繋がってるみたいだけど、ロキが司ったからマルチバース消えないのでは?トビー・マグワイヤやアンドリューガーフィールドが帰っていったSONYバースもロキが握ってるの?」とか考えるのはやめた方がいい、答え出ないんで……。

 

MCU今年はもう『ホワット・イフ?』〈シーズン2〉(2023)だけか?映画は来年7月の『デッドプール3』(2024)までナシ。デップー3はウルヴァリン出るし、デップー自信が今はなきFOXのMARVEL世界の住人だもんね。だからデップー3にTVA出るらしい。もう気になりすぎるだろう。もうアベンジャーズよりTVAの方が好きかもしれん。

 

 

 

 

そんな感じでした

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『ワンダビジョン』全9話 (2021)/後半までは「ツイン・ピークス」と「バイオレンスジャック 超高層の悪魔編」を足した感じで死ぬほど面白かったのだが……。+追記👩🏻‍🦰 - gock221B
『ホワット・イフ…?』〈シーズン1〉全9話 (2021)/本編での活躍少なかったキャラの活躍が嬉しい。”行動せず観てるだけなんて気持ち悪い”というファンへのメッセージ👨‍🦲 - gock221B
『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』(2022)/サム・ライミがMCU御法度の流血を解禁して情報量そのままに僅か2時間で描ききった…が彼女を誰か救ってよ👁 - gock221B
『アントマン&ワスプ:クアントマニア』(2023)/今まで通り親しみやすい面白さだが5年前の2作目で量子の世界探検して欲しかった。そんな事よりモードックがあまりに良すぎた🐜🐝🕛 - gock221B

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