gock221B

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『ブラック・ウィドウ』(2021)/ナターシャの敵は巨大犯罪組織……ではなく気持ちの整理。ナターシャやスカヨハ好きにしか楽しめない異常に地味だが良い作品。きめポーズの秘密👩🏻‍🦰


原題:Black Widow 製作:ケヴィン・ファイギ 製作総指揮&主演:スカーレット・ヨハンソン
監督:ケイト・ショートランド 脚本:エリック・ピアソン 製作総指揮:ルイス・デスポジート。ヴィクトリア・アロンソ。ブラッド・ウィンダーバウム。ナイジェル・ゴステロフ 原作:スタン・リー。ドン・リコ。ドン・ヘック 制作スタジオ:MARVELスタジオ 製作国:アメリカ 上映時間:133分 シリーズ:マーベル・シネマティック・ユニバース

 

 

 

MCUのフェイズ4の一作目であり、全23作かけて描かれたウェーブ1『インフィニティ・サーガ』……の次のウェーブ2(「マルチバース・サーガ」という名称になるんちゃうか?とファンに噂されてる)の一作目。通算で言うとMCU24作目の映画(Disney+のドラマ作品も勘定に入れると26作目又は27作目)。
コロナで一年二ヶ月もの間、何度も延期されたので公開が『ワンダビジョン』(2021)『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』(2021)『ロキ』〈シーズン1〉 (2021)などのDisney+のMCUドラマに先を越された。
「今後の映画はなるべく自前の配信サービスでやりたい」と思っているディズニーによって本作は劇場公開とDisney+での有料配信が同時公開。それに反発して、公開しない劇場も多いので本作の劇場興行成績は良くない結果になるだろう(僕も近所のTOHO系でやらなかったから遠くに行かされて面倒だった)。なんかブラック・ウィドウ映画は、ナターシャのキャラ通り最初から最後まで何か陽の下を歩けない感じあるね。
ナターシャ・ロマノフ/ブラックウィドウはフェイズ1から出演しているアベンジャーズ創設メンバー。その初期メンのうち彼女とホークアイ/クリント・バートンだけが単独作を持っていなかった。そんな中、本作が制作され『ホークアイ』も今年の秋にDisney+でドラマとして配信される。そんなフェイズ4でやっと作られた『ブラック・ウィドウ』は『キャプテン・マーベル』(2019)に続く女性ヒーロー単体映画。
MCUシリーズ作品の特徴としては、映画としての単体の出来もさることながら「シリーズ全体を引っ張る要素やサプライズ」を重視する傾向があるが、本作の場合それ以上に「MCUをフェイズ1から引っ張ってきた功労者スカーレット・ヨハンソンへの拍手」そして「『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)で戦死したナターシャ・ロマノフ/ブラックウィドウへの別れの挨拶」……といった感じの温かさがあった。
監督はケイト・ショートランドという女性監督。主演スカヨハは制作にも大きく関わってるので本作にはスカヨハの意向も大きくかかってるみたい。本作が今までのMCU作品に比べて温かい感じがするのは、このスカヨハやケイト監督の意向によるものだと思った。
ネタバレあり

 

 

 


時系列的には大体『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016)……のアベンジャーズが分裂した「空港の戦い」の後から『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018)直前まで。その間、ナターシャが何をして何を決意したかの話。
本作はナターシャが今まで見ないようにしていた過去の罪悪感と対峙する。
冒頭は、1995年のオハイオ州に住む少女時代のナターシャ、その幼い妹エレーナパパ(デヴィッド・ハーバー)とママレイチェル・ワイズ)が出てくる。一見温かい家族、だが実は家族でも何でもなくロシアの工作員の男女がアメリカに潜入工作するために偽って演じているスパイ・ファミリー。の普通のファミリーを装った潜入工作だった。
この幼女時代を演じるナターシャとエレーナの子役は、その現在の姿を演じてるsカーレットヨハンソン(以下スカヨハ)とフローレンス・ピュー(以降ピュー氏)そっくりで感心してしまった。少女時代のナターシャを演じるのはミラ・ジョボヴィッチの娘エヴァー・​アンダーソン。だがエヴァー・​アンダーソンが似てるのは「現在の筋トレやエクササイズしたソリッドな30代のスカヨハを縮めた感じ」であって、スカヨハが実際に若かったティーン時代とはあまり似ていない。下手に昔のスカヨハを知ってるので脳がバグりそうになった。スカヨハじゃなくナターシャの少女時代なのでこれでいいわけですが。
偽装家族に情が湧いた様子のママと、潜入捜査だと知ってるナターシャは作戦終了を嫌がるが、作戦は終了。ナターシャと幼い妹エレーナは使い棄ての女性スパイ軍団〈ブラック・ウィドウ〉を無数に生み出す秘密機関〈レッドルーム〉送りとなる。
レッドルームでは厳しい訓練があり集められたウィドウたちは子供を産めないよう去勢される。訓練で脱落したり作戦失敗したウィドウは容赦なく殺される。ナターシャとエレーナは悲惨な少女時代を送ったと思われる様子がOPでわかる。
そのOPで、ニルヴァーナの『スメルズ・ライク・ティーン・スピリット』を女性歌手Malia Jによるカバーバージョンが流れる。多分、姉妹の暗い思春期が90年代で、かつその時の気分にピッタリ合うからこの曲を使って、少女だから女性歌手によるカバーバージョン使ったんかな?このカバーは知らなかったが僕も高校の悶々とした時にニルヴァーナの原曲めっちゃ聴いてたので、この曲聴くととにかく「何一つ思い通りにならん暗い青春」という気分が湧き上がってくると同時に「でも若いから未来もあるかも」という僅かな希望も湧き上がってくる。

〈ブラック・ウィドウ〉を生み出す〈レッドルーム〉は、過去を語る台詞に出てきたり『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』(2015)にて、ワンダ・マキシモフが見せたトラウマを掘り起こす幻術によって少女時代のナターシャがレッドルームで訓練を受けてる様子が一瞬だけ描かれた。その時、教官役をジュリー・デルピーがやってて、数秒しか映らない役にわざわざ有名女優を当ててるくらいだから、このフェイズ2辺りで「ブラック・ウィドウ単体作やるなら教官はジュリー・デルピーかな?念の為に回想でも出しとくか」と出演させたのだと思ってる。
MARVELスタジオのケヴィン・ファイギが、実際に『ブラック・ウィドウ』をフェイズ2で制作しようかと思っていたかの情報は知らないのでわからない。
 

 



でもここまで書いてて本作の物語部分の感想を書く以前に、本作そのものの成り立ちやナターシャ・ロマノフ/ブラック・ウィドウというキャラクター自体について考えてみようと思う。そんな機会は少なくなると思うし。
※本編の内容の感想だけ読みたい人はここのブロックを飛ばしておくれ。
👩🏻‍🦰フェイズ2までのMARVELスタジオには、最初から現在未来まで中心になって制作しているケヴィン・ファイギだけでなく「やり手だが、多様性に欠けて白人男性ヒーローの活躍とオモチャが売れる事しか考えてない」と言われがちだったMARVEL元会長アイザック・パルムッターがいた。
ケヴィン・ファイギが有色人種主人公の『ブラックパンサー』や女性主人公の『キャプテン・マーベル』などの「白人男性以外のヒーローが主人公のMCU映画」を制作したかったがパルムッターはそれを邪魔し続けてファイギは自由にMCU映画製作ができなかった。そもそも『ブラックパンサー』は一発目『アイアンマン』やMCUが始まる以前、MARVELが自前でMARVEL映画を作るため、2003年に銀行から5億ドル借りる時の「事業計画書」にあった「製作予定のMARVEL映画10本」の中にあったにも関わらず、パルムッターが邪魔してブラックパンサーは作れなかった(ちなみに一発目の『アイアンマン』は計画書になかったが子供にフィギュア見せたら一番ウケがよかったから急遽作った)。パルムッターによってファイギの才能が阻まれてると感じたディズニーCEOのボブ・アイガーが2人の間に入り、ファイギは2015年10月以降、パルムッターの許可を取らず自由に作品制作できるようになった。そしてパルムッターはMCUから去らざるをえなかった(ボブ・アイガー自著より)。
……という話は、本作『ブラック・ウィドウ』と直接関係ないけど、パルムッターが居たらヒーロー単独作品として最大ヒットを飛ばした『ブラックパンサー』(2018)も、MCU初の単体女性ヒーロー映画として成功した『キャプテン・マーベル』(2019)も作られてなかったかもしれない。名指しでその2本作るなって言ってたんだし。そもそもファイギは『アベンジャーズ』(2012)の時に「アイク(パルムッター)と上手くいってない。明日もう僕ここにいないかも……」とマーク・ラファロに言ってたから、逆にファイギが追い出されてたらフェイズ3の大成功……『ブラックパンサー』『キャプテン・マーベル』とか作られなかったかもしれんし総決算の『アベンジャーズ インフィニティウォー』『アベンジャーズ エンド・ゲーム』もどうなってた事かわからん。ディズニーCEOボブ・アイガーは多様性重視っぽいから、そんな展開はなかったと思うけど、MARVELスタジオがディズニー入りしたのは正にその『アベンジャーズ』(2012)が配給された辺り?『アベンジャーズ』(2012)が作られるまでのフェイズ1の4年間や『アベンジャーズ』製作途中の、ファイギが「僕クビなるかも……」とかこぼしてた時に追い出されてたら我々は今頃こんな感じでMCUを楽しめてはいなかったでしょう。ファイギが追い出されてパルムッターのワンマンになってたら、パルムッターは「黒人や女性のヒーローなんて誰も観たくないし、そんな奴らのオモチャ売れるわけない」とか言ってたくらいだから、『キャプテン・マーベル』や本作のような女性ヒーロー単独作は作られてないか作られたとしても数年遅れてた可能性が高い(というかその場合MCうはもう 残ってないと思う)。
映画の感想から話が逸れてるようだが『ブラック・ウィドウ』が作られるまでには白人男性ヒーローより何倍も大変だったはずなので、微妙に避けては通れない話。正確な困難度はわからないが、観てる間に制作過程に思いを馳せながら観ざるを得なかった。

👩🏻‍🦰そしてハリウッドの雰囲気がMe Tooやジェンダーや多様性を取り入れるようになって10年前と今では全然違うのは御存知の通り。というか2、3年前の映画を今見ても「おもろいけど何か古いなぁ……」と思うくらいなので変化のスピードが過去に例を見ないくらい早い。
本作のインタビューでスカヨハが「MCUに参加した『アイアンマン2』(2010)の時、楽しかったけど今とは雰囲気全然違ってめちゃくちゃ性的に見られてた」と言ってたり、あとTwitterのTLで「スカヨハが初めてMCUに参加した『アイアンマン2』(2010)の時は女性ヒーローやそれを演じる女優への扱いが今と全然違った」「当時のナターシャ(スカヨハ)の役割は『アベンジャーズに一人居るセクシーな女』という面が強かった」みたいな幾つかのツイート読んで「そういえば、そうだったなぁ」と思い出した。ナターシャに向ける視線がヒーローとしてカッコいいってだけではなく「セクシーな女性がいるね……」みたいなネットリした目で見てた時が自分にもあったの思いだした。
だがスカヨハは実際にセクシーな俳優でもあるので性的に見るのは別に悪いことだとは今でも思わない、普通のことや。でも、そういった「この個人、セクシーだな」って感じで一人の人間のセクシーさを見てたというより当時は「このセクシーなキャラは、エロい気持ちを抱いていい対象って事に世界でなってるから、そういう目で見ても大丈夫です。このセクシーなキャラにはそういう役割もあります」といった慰安婦的な嫌なセクシーさが一個乗ってるというか……当時はそれが普通だと思ってたけど今思うと性差別的なところがあったなと思います。微妙な話なので通じない人もいそうだが……、例えばカッコいい男が好きな女性とか男性の事が好きな男が男性アベンジャーを見て「アメリカのケツ……」「ソーのパイオツ……」とじっとりした目で見る事もいっぱいあっただろうけど、それは活躍してる男性アベンジャーのケツやパイオツがたまたまセクシーだった、という感じだったのだが、ナターシャの場合は最初から「セクシー女性を用意しました……」という、嫌な感じが一個乗ってたというか……。
別にケツとか見るのはいいんですよ、本作でもやたらとナターシャのけっけぇケツがアップになるんだけど本作の場合、過去のアベンジャーズの時とか『ジャスティス・リーグ』のガル・ガドットジョス・ウェドンに脅されながらケツをアップにされてたのと違いスカヨハに決定権があるわけですかね。多分「私の鍛えたラストケツをスクリーンに残しとこう!」とケツのアップをいっぱい入れたんだろうから。「ケツを出せ!アホの客に見てもらえ!」と「私のケツでも見ろ」は大きな違いがあるわけです。
上手く説明できてる気がしない、この話はまた別の機会までに考えとこう。
 

 

 


本編の感想に戻ろう。
本作が10年くらい昔の映画なら、映画の第一幕……前半で、ナターシャとエレーナがレッドルームで泣きながら修行する少女時代や、『アベンジャーズ』(2012)以降、会話の上で何度か出てきてた「ナターシャがホークアイと共にブダペストで大きな作戦してた」という回想も描かれてただろうが、そんな過去回想を順番に見せてくなんていう眠くなるような構成を今のMARVELスタジオがやるわけない。その辺は会話で語られるのみ。それでいい。
ちなみに件の「ホークアイとのブダペストでの一件」とは「ナターシャがレッドルームのスパイからS.H.I.E.L.D.エージェントになるための最終試験だった」事が語られる。その試験内容とは「ブラック・ウィドウであるナターシャが、古巣レッドルームでウィドウたちを育ての親であるドレイコフレイ・ウィンストン)をブッ殺す」というもの。なかなかエグい試験をさせるがドレイコフは純度100%の悪い奴なのでOK。
しかしナターシャはドレイコフを爆死させるという滅多に無い機会を逃したくないがため、ドレイコフの幼い娘を巻き添えにして爆死させた。
そんな胸が痛む作戦だったため、ナターシャはずっと罪悪感を抱いていたようだ。
ナターシャ本人も、親元から誘拐されて無理やり暗殺者にさせられ、青春を失ったのだが、そんなナターシャも罪のない幼い娘を巻き添えにしてしまっていた。
アベンジャーズになってからのナターシャが、ロシアに残したエレーナを放っといたのが今思えば不思議だが(過去の段階ではエレーナ等の設定を考えてなかったというメタ的な理由は置いといて)、レッドルーム時代の事は思い出したくない過去だったのかも。
ちなみにナターシャはこの時、レッドルームとの抗争で地下鉄の通気孔内でホークアイと共に3日間隠れてた事が語られたり、ナターシャの仮住まいにホークアイの矢の痕が無数にあったので「そこがナターシャvs.ホークアイという初対面の場所だったのか?という事はそこでの拳の語り合いでナターシャはレッドルームを抜けることを決め、フューリーにドレイコフ暗殺を宣言して実行したのかな?」とか、描写がなくても色々と察せられる(この部屋、現在でも使ってるのでホークアイと共闘してレッドルームと戦った矢の痕ではなく、ナターシャとホークアイとのタイマンの痕だと判断した)。
そんな感じでクリント・バートン/ホークアイは劇中で、ナターシャの思い出話の中で何度も出てくるし終盤では更に重要な言及があるので、初期からMCU観てた人が本作観た後では「映画『ブラック・ウィドウ』って、回想シーンにホークアイいっぱい出てたよね?」と存在しない記憶が生まれてしまうほどホークアイの存在感が大きい。僕も何度かホークアイを見かけたような疑似記憶が脳内にある。逆にライトなファンは「何か言っとるな」くらいにしか感じないだろうし、この辺はずっと観てる人と観てない人では差がある部分だろう(勿論どちらが良い悪いという話ではないが)。
そんなホークアイについては秋にディズニープラスで配信される『ホークアイ』(2021)のドラマで……。
ナターシャとブダペストといえば『キャプテン・マーベル』(2019)で1995年当時の若いニック・フューリーが「昔はブダペスト他でスパイやってた」と言ってたので更に若い時のフューリーもレッドルームと闘った事あるのかもね。

 

 


OPが終わると21年後の2016年。
『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016)直後のナターシャ。
ソコヴィア協定反対派のキャプテン・アメリカに手を貸してしまったため、アメリカ政府から追われているナターシャ・ロマノフ/ブラック・ウィドウスカーレット・ヨハンソン)。
彼女を追うのはMCU一作目からずっと「ヒーローに厳しい嫌な政府のオッサン」役で出続けてるアメリカ合衆国国務長官サディアス・“サンダーボルト”・ロスウィリアム・ハート)。……長いね、このオッサンも。というか今劇中で生き残ってるキャラを演じてる俳優の中ではサミュエル・L・ジャクソンのフューリーの次に最古参か。
本当に「ヒーローに不寛容でガミガミうるさい嫌なアメリカ政府を、わかりやすいように一人のオッサンに圧縮した存在、ロス」っていう損な役割を13年間も一人で担ってて頭が下がる。フューリーはカッコいい役なのに比べてロス好きな人とか少ないだろう(もしロス大好きって人がいたとしたらMCUとかヒーローなんて好きじゃない人か、初老が好きな人くらいだろう)。だがフェイズ4のロスは、過去のカミナリ親父でしかなかった13年間より重要な役割になるだろう。
ちなみにナターシャはソコヴィア協定を破っただけでなくティ・チャラ/ブラック・パンサーの父、ワカンダ元国王ティ・チャカ襲撃犯の汚名もおまけで付けられてた。この辺どうなってんだっけ?ソコヴィア協定反対派として共に闘ったホークアイ、ワンダ、ファルコン、アントマンは、本作の時間軸では既に捕まってる。キャップは逃亡中。
この時は『シビル・ウォー』終了直後。最初にティ・チャカ殺害容疑者だったウィンターソルジャーは真犯人でなくジモがやったとわかってると思うんだけど、ティ・チャカ王と同席してたし逃亡犯だからナターシャも一応容疑者にした感じか?ナターシャを捕まえるのは至難の業だから、ロスはナターシャが本当に爆破したとは思ってないが部下の数や装備を充実させるため、ナターシャの容疑をわざと重くしてるのかもしれん。

👱🏻‍♀️大人の〈ブラック・ウィドウ〉に成長したナターシャの義妹エレーナ・ベロワ(フローレンス・ピュー)、モロッコで裏切り者の〈ブラック・ウィドウ〉を刺殺した、かつて同僚だったウィドウは死ぬ寸前にエレーナに〈赤い液体〉をかます。この赤い液体の飛沫を浴びるとレッドルームによる洗脳が数秒で強制的に解けるという代物だった。非常に便利すぎるこの液体が今回のマクガフィンとなる。
かくしてレッドルームにブチ込まれて以降、初めて自由意志を持ったエレーナはブダペストにあるナターシャのセーフハウスに行き、ナターシャに協力する調達屋リック・メイソン(O・T・ファグベンル)を通してケースをナターシャに届ける。
すると、そのケースを狙って、レッドルームの最重要任務にだけ出張る教官のタスクマスターがナターシャを強襲。かつての義妹エレーナの仕業だとわかったナターシャはブダペストのセーフハウスに向かう。かくしてエレーナはナターシャを巻き込むことに成功。ナターシャは見ないようにしていた過去のトラウマや〈家族〉と向き合う事になる。
ちなみにこの新しく出てきた調達屋リック・メイソンは、全然知らんのでググったが原作にも居るエージェントのキャラらしい。あとティンカラーの息子らしい。という事は『スパイダーマン/ホームカミング』でバルチャーに兵器を提供してたオッサンの息子がこの人?というかティンカラーってどこ行ったんでしょうね。MCUでは父子そろって便利屋キャラって感じか。
リックはナターシャに惚れてる様子だがナターシャは距離を置いている、だが「可愛い男ね」って感じのまんざらでもない温かい微笑みを彼に向けている。元カレなのかもしれないがよくわからない。ナターシャは本作で卒業するのに何でこういう新キャラ出したんだろう?何となく今後も出てくるキャラっぽいが、そういった設定的な理由じゃなくナターシャと親密な雰囲気を交わしてるエモい役割がよくわからない。本作はアベンジャーズ関係の話やナターシャの出自に関係するレッドルームや偽装家族など、最初から最後まで外界から遮断された閉じた世界なので、同業者とはいえ比較的、外界の匂いがするリックとナターシャを仲良くさせて「ナターシャも社会と繋がってるよ一応」という、ナターシャの社会性を表現するためのキャラなのかな?
ナターシャと親密なキャラは、ホークアイだが収監中、キャップは逃亡中だし演じてるクリエヴァが卒業済、ハルクは宇宙に行って地球に居ない。いたとしても彼らアベンジャーが出てきたらブラック・ウィドウの単独作感が薄れてしまうので出るわけないですよね。キャップとかウロウロしてるだけだからストーリー上はナターシャを助けれただろうが、もしクリエヴァが卒業してなかったとしてもキャップが出たら映画が変わっちゃうからどっちにしても本作にキャップ出るのは無い。
そこでこの、戦闘力なさそうだがナターシャに気があって優しいのでちょっとだけ人間ドラマできる新キャラのリック出したのかな?
今後はエレーナ達と組むキャラになると思われる。
ちなみに本作でアクションとかしてる時はいつものMCUノリなんだけど、それ以外の日常描写などは凄く人間ドラマ風の落ち着いたトーンなのが特徴、ナターシャが夜のトレーラーハウスで『007 ムーンレイカー』観たり片付けしたりする様子が異常にじっくり撮られてて、そういう場面がやたら入ってくる。トレーラーハウスのくだりとか普通の映画観てるような錯覚に陥った。多分このテイストはケイト監督の持ち味なんだろう。それとセーフハウスに入る前、建物に隠してある銃を取り出したりとか、そういう場面をきっちり入れたがるのも特徴(そういう場面が多いせいか本作はシンプルな映画なのにも関わらず2時間13分もある)。
大人に成長した妹エレーナ、メインヴィランのタスクマスター、共にバーン!とハッタリ効いた感じでなく凄く自然にスッ……と出てくる。これまた子供っぽさを抑えた結果なのかも。
本作でのタスクマスターは一言でいうと「他人の動きを見ただけで技をコピーして再現できる」という〈写真的反射能力〉を持つ暗殺者。これは原作と同じ能力。タスキーについては良いところと悪いところがあるが後述。

 

 

 

👩🏻‍🦰👱🏻‍♀️どこまで書いたっけ……、ナターシャが妹エレーナ・ベロワ(フローレンス・ピュー)と再会したとこからか。
会話からしてかなり長い間(子供の時以来?)会ってなかったみたい。
ナターシャはドレイコフを暗殺してレッドルームを卒業、栄光のアベンジャーズとなり世界の女子の憧れとなった。
だがドレイコフは死んでいなかった。レッドルームも、さすがにアベンジャーズを敵にしては勝ち目がないのでナターシャを追わなかっただけだった。
再会したエレーナなど元偽家族は、久しぶりに再会したナターシャに「ドレイコフの娘もろとも爆破したよね?」とナターシャの胸を抉ってくるのは、ナターシャによるドレイコフ暗殺未遂&脱走後、部下に対する締め付けが激しくなっただけではなく「ナターシャに置いていかれた」という気持ちがあるからかも。特にエレーナ。
エレーナは、思春期や厨二病の次の段階みたいな性格……高二病とか女子大生くらいの性格をしており非常に良い感じ。それはどんな感じか具体的に言うと、一切カッコつけずに喋ったり振る舞う感じ。ナターシャがよくやるカッコいい三点ヒーロー着地を何度もいじるし(でも一応、一回は真似してみる)。話す時も声をカッコよくも可愛くも作らない低い声で喋ったり、健康的な身体つきも凄く良い。表情も、妙にへの字口が多く「ウム!」みたいな横光三国志のウム!おじさんみたいな顔をよくする。普段もシャキッ!とカッコいい立ち方とかをわざとしてない。どちらかというと熊とかリングサイドのグレート・ムタみたいに所在無げな居様(いざま)それは子供っぽくもあるので幼い時から変わってない感じがして可愛い。つまり演じてるフローレンス・ピューそのままって感じのキャラ。ピュー氏はMARVELスタジオからの過度な肉体改造という要望を「特訓でアクション良くするのは良いけど無理なダイエットとかで自分じゃない自分に変わってしまうのはNO」と拒否したらしい。自然体で何だか頭の中で思い浮かべると5~6頭身しかなかったような印象を持たせる飾らない感じがピュー氏の最大の魅力だから、確かに別人みたいに八頭身の痩せマッチョとかになってしまってはピュー氏の魅力半減だったのでこれで正解だわ。
ピュー氏はここ10年くらいの女優で一番好きだし「あと6年くらい後にはスターになってるだろうな」とか思ってたら、すぐエンタメ作品の先頭といえるMCUに出るし『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』(2019) でアカデミー助演女優賞にノミネートされるし『ミッドサマー』とか名作なので他人に勧めても僕以外誰も観ない『呪われた死霊館』でも良かったし全方位的に活躍して何かわずか1、2年くらいでスターになってしまいそのスピードに驚いた。ピュー氏の前はハーマイオニーでお馴染みのエマ・ワトソンがエレーナ役にほぼ決まってたがピュー氏がオーディションして後からエレーナ役をぶん取ったらしい。エマ・ワトソンも素晴らしいがこれはピュー氏で正解だろう(というかむしろエマ・ワトソンは他に合ってる役ありそう)。
三点ヒーロー着地をいじるエレーナも良かったが、言われた側のナターシャもそれをあっさりスルーするところが良かった。まるで何を考えてるのか全くわからない表情でさらっと話題を変える。「今まで散々、カッコいい動きやセクシーさを出してきたんだから今更ツッコまれて揺らぐものなどないわ」と言わんばかりだ。そしてその長後に妹の前で再び見事な三点ヒーロー着地を!わざとやってるのか自然にそうなってるのかよくわからないのが面白い。あとタスキーとのラストバトルでも三点ヒーロー着地を思わせる動きで決着させたのも、カッコつけだけでなく物理的にも強引に役に立たせるナターシャの無言アピールが面白かった。ナターシャって、いつしかアベンジャーズのお母さんみたいになってしまっていたが『キャプテン・アメリカ ウィンター・ソルジャー』くらいまでは、妙にイキった事を言うキャラだったな、と懐かしくなった。エレーナと話してるナターシャを見てると(そういえばガーディアンズでも二作目で打ち解けたガモーラもお母さんみたいな面白くないキャラになってしまってたな死んだけど……。このチーム内の女性メンバーがママになってしまうとこは今後の課題かもしれん)。
カッコよくてセクシーなナターシャと、「セクシーさを出さなかったり一切カッコつけないのがカッコいい」という90年代の若者みたいな考えのエレーナ。新旧の違いが出てるしどちらも魅力的。
またエレーナはラストバトルでの笑顔も良かったが、前半に洗脳が解けて一番最初にした事が「自分で自分の着たい物を生まれて初めて選んで買う」というもので、しかもその服が「お洒落で可愛い服」などではなく「軍のお下がりみたいな釣り人みたいな、ポケットが死ぬほど着いたベスト」というのが最高だった(そして我々は既にこの釣り人ベストを見ていたとは)。子供の頃に自由意志が止められてたせいか子供の発想って感じで凄く可愛いし「カッコつけるの恥ずかしい」と思ってるエレーナの性格が出てる。そしてこのベストは我々が既に観てた物だったとは)。
ナターシャと一息ついてる時に応急処置して「……プーーーッ」って言ってたのもよかったしナターシャと再会して闘ってる時にキッチンシンクで押さえつけられた時にやり返す時にヒステリーみたいな悲鳴を出しながらナターシャを殴るところもよかった。MCUのメインキャラは……総勢何人かわかんないけど50人くらい?エレーナは一気にベスト3に入るくらい好きになりました。

 

 


🧔🏻👩🏻赤い洗脳解き薬で気の毒なウィドウ達を開放し、ドレイコフも改めてブッ殺したいナターシャ&エレーナの姉妹ウィドウ。だがドレイコフが居るレッドルーム本部は謎に包まれたままで場所がわからない。
次に2人は、昔パパを演じていたロシア版キャプテン・アメリカこと超人兵士アレクセイ・ショスタコフ/レッド・ガーディアン(デヴィッド・ハーバー)を脱獄させる。
インタビューによるとソ連崩壊でレッド・ガーディアンの役目が無くなり刑務所にずっとブチ込まれてたらしい。
アレクセイは刑務所で、過去の栄光(冷戦中にキャプテン・アメリカと交戦)を語りながら、腕相撲で受刑者を転がして過ごして腐っていた。
レッド・ガーディアンは片手で戦闘車両を転がしたり数mも飛び上がったりと、年取って太った現在でも超人的な能力を持っていた。「キャプテン・アメリカのライバル」を自称してキャップと戦った思い出ばかり話しナターシャと久しぶりに再会しても「あいつ……俺との思い出とか話してた?キャプテンアメリカの野郎は……」と訊くのが第一声。しかしレッドは本当に冷戦時代の1983年or1984年頃にキャップと戦ったのか?

レッドが言っていた「1983年or1984年頃にキャップと闘った」の可能性

レッド1901年以降に生誕。1992年から1995年前後まで冒頭のナターシャらと偽家族を演じて潜入捜査。1995年前後にドレイコフと決裂して投獄され、2016年~2017年前後にナターシャ&エレーナの手で脱獄。今ココ)。
キャップ1918年生誕。1943年に超人兵士となり以降ヒドラと戦闘、1945年2011年まで氷漬けなので正タイムラインのキャップはレッドに会えない。だが、サノスを倒した後のスティーブが1970年にタイムトラベルして数々のインフィニティ・ストーンを返還。それ以降、2023年までペギーと人生を生き直し年老いてファルコンにキャップの名と盾を継承)

囚人仲間が言ってたように1983年or1984年頃にはキャップは氷漬けだったので交戦できない。
だがレッドの思い出が本当なら、サノス打倒してタイムトラベルしてペギーと暮らしてたスティーブが冷戦に対して居ても立ってもいられず個人的に1980~1989年までの冷戦に参加して?ソ連のレッドと闘った?レッドが「キャップと闘った」と言ってるんだから私服のスティーブじゃなく、ちゃんとキャップのコス着て盾も持って?物理的に不可能ではないが過去に帰ったキャップ闘ってたのかな?キャップに焦がれたレッドの嘘か?囚人仲間に氷漬けの事を指摘されてもニヤリとするだけで読めない。だが嘘ならナターシャに「キャップは俺のこと何か言ってた?」とわざわざ訊くのも変……だが娘への「俺はキャップとやりあってたんだぜ」というイキり嘘を言ったとも考えられる。嘘か本当かイマイチよくわからない。どちらも同じくらいあり得るし同じくらい嘘っぽい。だが会ってた方が面白いのでレッドの証言は真実だと思っとくか。

ひとまずの結論「サノスを倒して過去に戻ってインフィニティ・ストーンも返し終えてペギーと暮らしてたスティーブ、1983年or1984年の冷戦に対し、居ても立っても居られずクローゼットのキャップ衣装を着てシールド持って個人的にこっそり参加、ソ連のレッドと闘い、こっそり帰国した

この辺は多分MARVELスタジオの人がインタビューとかで語るだろう。
演じるデヴィッド・ハーバーはどう考えても『ストレンジャー・シングス 未知の世界』(2016-)のホッパー署長を観たMARVELスタジオにキャスティングされたんだろう。キャラが似てる。あちらではウィノナ・ライダーこちらではレイチェル・ワイズと、往年の美人女優の相手役になってるのも似てる。
レッドは物理的には本来めっちゃ強いのだが、劇中で主に活躍するのはウィドウ達なので、レッドは重くなりがちな本編に楽しさを提供するコメディリリーフの役割だった。タスキーとタイマンしてたくらいか。哀れな操られてるウィドウ達をぶっとばすわけにもいかんし、レッドの活躍は改めてもう一回くらい観たい。娘と同じチームかも?
ナターシャ&エレーナは父親役だったアレクセイを脱獄させたが、彼もまたレッドルーム本部を知らなかった。三人は潜入捜査で母親役だった、メリーナ・ヴォストコフ/ブラック・ウィドウレイチェル・ワイズ)に訊きに行く。ドレイコフと袂を分かったアレクセイと違いメリーナはレッドルームで生まれてここまで来た生粋のレッドルームの人で、現在は幹部だという、科学者でもあるので誰も知らない本部の事も知っている。
過去にオハイオ州で偽装家族してた時はアメリカのS.H.I.E.L.D.施設から〈化学的な洗脳〉を可能とするデータを奪取するためだったらしい。〈S.H.I.E.L.D.〉は御存知の通りヒドラに乗っ取られている、つまりウィンター・ソルジャー/バッキー・バーンズなどに施した〈ウィンター・ソルジャー計画〉のデータ。レッドルームの科学者でもあるメリーナは、そのデータでブラック・ウィドウ達をタブレットでアプリのように数秒単位で支配できる「化学的な洗脳」を作り上げた。現在も自宅で飼ってる豚を使って研究している。
だけど、その洗脳を解く赤い液体を作ったのが誰かはよくわからない。「メリーナ世代のウィドウ達が作った」とか言ってたけど、ここは「内心レッドルームを潰したかったメリーナが開発してた」で良かった気もする。
久しぶりに再会した偽のスパイ・ファミリー四人。
メリーナは「豚のアレクセイ」を呼んで化学的な洗脳を実演して説明する。ここで豚のアレクセイに死ぬ11秒前まで呼吸を禁じてハラハラさせたのは「信用できるかどうかわからん女メリーナ」を演出するためだろう。今の時点で信用できない家族はメリーナだけだからね。
久しぶりの一家団欒。だが偽の家族だったしアレクセイの頭にあるのは過去の栄光の事だけメリーナは信用できん、四人に家族の絆などなかったのか。
レッドルームに拾われた後で偽家族になったナターシャと違い、幼い頃から偽家族で育ったエレーナにとっては自分の幼い頃の家族の思い出がやはり偽物だったと知るのは酷な展開。ここでの「徹頭徹尾、自分のことしか考えてないアレクセイ」の描写が可笑しい。アレクセイの全発言が空気を凍らせる。この人潜入捜査してる時ちゃんとしてたよね?獄中生活がアレクセイをこうしてしまったのだろうか?しかしアレクセイは偽家族だった時にエレーナと一緒によく唄ってたドン・マクリーン『アメリカン・パイ』を唄いはじめる。

ただのアホになったと思われたアレクセイの心にも家族の思い出があったのだ。
ナターシャを捨てたと思われていたナターシャの実の母親も、ナターシャを探し続けてドレイコフに殺された事がわかった。
「ではメリーナは何故、今もレッドルームに尽くし続けてるの?」というナターシャに「最初からレッドルームで生まれたから他の生き方ができなかった」とナターシャに語りナターシャの心の強さを讃えるメリーナ。彼女も本当は家族が欲しかった。
だが、メリーナはナターシャと心を通わせる数分前の時点でレッドルームに報告してしまっていた。取り囲まれ成すすべもなくレッドルームに連行される四人。
メリーナはドレイコフに面会。エレーナは洗脳が解けてしまったため開頭手術で原因を探られる。 ナターシャとレッド中銀カプセルタワーに囚われた。そういえば予告編で開頭手術されそうなエレーナを見て「エレーナが死んでナターシャの脳が移植されて、以降はフローレンス・ピューがナターシャを演じるかも」みたいな噂があったな。そんなの受け入れられるわけないよな。

 

 

 

というか長く書きすぎだ。
MCU映画が久しぶりだからか。何だかファスト映画じみて来たので後半は端折る。
👩🏻‍🦰👱🏻‍♀️🧔🏻👩🏻
囚われたスパイ一家は、タスクマスターを制してドレイコフをブッ殺し、哀れなウィドウ軍団の洗脳を解き、全世界の孤児の少女のデータをGetしなければならない。
まぁファミリーは色々と頑張って闘う!
👩🏻‍🦰この後半は、割と見せる機会の少ないナターシャの強さがフルセットでしたね。
まず、『アベンジャーズ』で悪戯の神ロキに完勝した心理戦でドレイコフに完勝!
アベンジャーズ』でロキを心理戦で破った時はナターシャのカッコよさをめちゃくちゃ感じた大好きなシーンだったので嬉しかった。これが一番嬉しいシーンだったかも。そういえばドレイコフを騙すため泣きべそをかくんだけどスカヨハって何時からか泣きべそ演技がめちゃくちゃ上手いですよね。あんまり面白くなかった映画『LUCY/ルーシー』で、チンピラに捕まった時の泣きべそとかめちゃくちゃ助けに行きたくなったし今回もそう。
あと物理的な強さは、倒壊するレッドルームから飛び降りて、落ちるエレーナに追いついてパラシュート着けて、空中でタスクマスターと闘いつつ落下する破片から破片に飛びうつりながらそのまま地表に無事落下したのは、あまりにめちゃくちゃ過ぎて凄かったですね。超人血清打ってるやろ。やはり『アベンジャーズ』後半でチタウリの空中バイクを奪って飛び回ってる時とか「バイク乗るのはいいけど風圧とか一切影響ないわけ?」って感じで物理的に、あまりに強すぎて無茶苦茶でしたね。周りがスーパーパワー持ってたら人間と大差ないヒーローは超人の描写につられて尋常じゃない強さに描写されるのが好きですけどナターシャは正にそれの典型でしたね(猛スピードで背後を飛ぶ敵をノールックで射落としたり、アベンジャーズ&SHIELD全員を相手に単騎でヘルキャリごと全滅させかけるホークアイも大概)。さっきも言ったようにヒーロー三点着地みたいな動きでタスクマスターへの決定打浴びせるのもそうだし、いっつもやってるフランケンシュタイナーみたいに脚で挟んで投げる技もそうだし、何故かあんまり活躍したこと無いウィドウズ・バイト(腕から出る電撃)も最後に連射してくれました。
ラストバトルは正にナターシャ得意技メドレーって感じで良かったです。
個人的には『キャプテン・アメリカ ウィンター・ソルジャー』みたいなアクションを期待してたけど、そういう感じじゃなかったですね。スパイだから、ああいうキャップやバッキーみたいに正面からガンガン行く感じじゃなく搦め手が多かったりナターシャ以外が市民の巻き添えを一切気にしないところで違いを見せてましたね。
あとふっ飛んだ人が、部屋の角っこなどの痛そうな部分にやたらピンボールみたいにぶつかってたのが痛そうだった。というかナターシャの描写は殆ど超人兵士でしたね、いつもの事だけど……。
でも最終的には優しさが武器なんでしょう。

👩🏻‍🦰ナターシャは人生に悔いを残していた。
レッドルームという地獄から抜け出すため罪もないドレイコフの娘を爆殺した事。栄光のアベンジャーズになったが妹として数年間暮らしたエレーナや哀れなウィドウたちを放っておいたこと。
ナターシャが過去の罪悪感にケリをつける時、バラバラだったスパイ家族の絆も復活し、改めて〈自分の家族アベンジャーズ〉の事を思い出しバラバラになったアベンジャーズを結びつけるためアメリカに戻る。
既に『アベンジャーズ インフィニティ・ウォー』で描かれた通り、ナターシャはバラバラだったアベンジャーズを一つにしようとするが、サノス襲来には間に合わず二分したままのアベンジャーズは敗れた。
アベンジャーズ エンド・ゲーム』ではナターシャは命を捨ててまでアベンジャーズをアッセンブルさせてサノスを倒した。その場にはナターシャはもう居なかったけど、きっと「『ブラック・ウィドウ』で家族の大事さを改めて感じたナターシャは、アベンジャーズという家族を一つにする事が第一となり、その想いが結果的に地球を救った」と、いう感じ?
前半ではリックに「わたし一匹狼だから」と言ってたけど最後は「私には2つも家族があった」と全く変わっててアベンジャーズを救いに行く。
アベンジャーズ エンド・ゲーム』でのナターシャの死は賛否両論あり、よく言われる「冷蔵庫の女(男のやる気を出させるため女キャラが殺される展開)」とは自分は思わなかったけど(単純にこの時のMARVELスタジオがそういう事すると思えなかったからだけだけど)、冷蔵庫云々は置いといて別にしても、あまり良い死に方だと思わなかった。『アベンジャーズ インフィニティ・ウォー』でサノスが「ソウルストーンを手にするため愛する者(ガモーラ)を失わなければならない」というルールでGetしたからには、アベンジャーズにはそのルールに抗って違う方法でGetしてナターシャも最終決戦に望んで欲しかった。ダウニーJrやクリエヴァ同様に、スカヨハも「もう充分やりきった」から卒業したい、そのためにキャラが死んだり年老いて復帰できなくするのは分かるんだけど、とにかく死ぬのは良いとして未だに『アベンジャーズ エンド・ゲーム』でのナターシャの死は、良い死に方って感じがしなかったんですよね。「こんなの絶対アカン!」とか、そこまで激しい否定ではないんだけど「もうちょい良いやり方なかったんかいな」くらいのテンション。この『ブラック・ウィドウ』観たら、あの死にも納得行くかなと思ったが、うーん「家族」云々の理屈はわかるけど、やっぱそれでもあんまり上手い死に方じゃなかった気持ちは変わんなかったですね。さっきも言ったように激しい否定的な気持ちではないけどそんな感じですね。
とはいえクインジェットが浮かび上がる時に「アベンジャーズのテーマ」が流れると、やっぱウルッと来ました。

👩🏻‍🦰スパイファミリーがエンド・ゲームの決戦に駆けつけなかったのはわかりますよね、ナターシャ以外の三人は家族が大事でウィドウズを開放したいスパイってくらいで「ヒーロー」というほど利他的なヒーロー魂は持ってませんし、あくまで非情になりきれんスパイってだけでしょう今んとこ。
そういえばつい最近のケヴィン・ファイギが「もしスカーレットが良ければ再契約したい」って言ってたから、彼も納得いかず蘇らせようとしてるのかもしれない。でもスカヨハ本人は「ナターシャはやり切ったからもういい!満足」と言ってたからこれで終わりでしょう。
タスクマスターが女性だというのは予告編の時点でわかってました(だってごついアーマー&ヘルメットをフル装備してるのに身体がガリガリすぎるから)。
そして『アベンジャーズ』(2012)でナターシャの心を読んで揺さぶりをかけようとロキが言った「ドレイコフの娘」というのは「ドレイコフの娘アントニアを巻き添えにした」というナターシャの罪悪感を突いたものだったんだな。「ドレイコフに育てられた」という意味かもしれないがアントニア殺害未遂に比べると弱いのでアントニアの事をロキが言ってた、で間違いない(9年経ってわかるとはね)。
ストーリー上、本作の場合アントニアは悪くないキャラだけど、原作の中年男性トニー・マスターズのタスクマスターは能力だけじゃなくキャラが良すぎるんですよね。本作のタスクマスターは見た目と能力だけ拝借したキャラだったので少しガッカリしました。他のキャラならいいけど人気キャラのタスクマスターでオリキャラやるのは少し勿体ないですよ。ヴィランのキャラが弱いMCU的にはロキみたいに何作にも渡ってダークヒーローっぽい好敵手としてMCUに出てくれるキャラが遂に来たか……と思ってたんですよ、デッドプールとも縁が深いからMCUデップーと仲良く喧嘩したり!……このアントニアのタスクマスターも別に悪いわけじゃないしエレーナのチームで続投する気するけど最も因縁あるナターシャと父親どっちも因縁なくなっちゃったし只のコピー能力持った二人目のゴーストみたいな感じですよね。なんかオルガ・キュリレンコ有名だし、すぐマスク脱いじゃいそうだし。キュリレンコ版タスキーの他にコミックのおっさんタスキーも出てほしいですね。タスキーは教官キャラだし「アントニアに能力と名前を授けた本物のタスクマスター(トニー・マスターズ)」出てこないかな?なんかMCUってそういう事めちゃくちゃしなさそうなので無いでしょうね。ヒーロー描写は上手いから、もうそろそろ継続ヴィランも大事にして欲しいです(レッドスカル使い捨てとかガッカリしたからインフィニティウォーで出て嬉しかったな)。
無駄に長くなったけど楽しめました。で、楽しさよりもナターシャ&スカヨハへの温かい愛情を感じて、それが一番良かったですね。

👱🏻‍♀️エレーナは、ヴァレンティーナのチームの一員になるのかな?ヒーローでもヴィランでもないキャラになりそうですよね。で、次で誤解を解いてヒーローになる感じ?別にヒーローでもヴィランでもないっていうスパイキャラのままでもいいかも。

🧔🏻レッドガーディアンは人気出そうだしエレーナと同じチームに入るかもしれん。もしそうなったら、女性を立てる本作では活躍少なかったから次は活躍してほしい。だけどガーディアンズのドラックス同様「本当は強いけど面白おじさんキャラ」のままの予感が凄くしますね。でも居てくれるだけでも楽しいからまた会いたいですね。メリーナは演じてるレイチェル・ワイズが特に追加の契約してないって言ってたからもう出てこないかも?

 

 

 

 

👩🏻‍🦰追記(2022.11.13)
数日前『ブラックパンサー:ワカンダ・フォーエヴァー』(2022)が公開されて、とりあえずフェイズ4の映画は終わった。『ブラックパンサー:ワカンダ・フォーエヴァー』(2022)は名作だった。それはそれとしてフェイズ4一作目の本作の事を思い出したので久々に再見した(今までは劇場公開時と配信開始で2回だけ観てた)。本作は、映画的にもMCU的にもアメコミ的にも地味な作品。
『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)でよくわからん死に方したナターシャが今後につながる展開あるのか?→特に無い」「ナターシャ死んでるので仕方なく過去の個人的な話」など、MCUファンが期待するサプライズやクロスオーバーが全く無い。ナターシャ好きな人に送るナターシャの小品という感じ。だからフェイズ4の中で本作を下の方にする人が多いのもわかる気がする。アメコミ要素を忘れて一本の映画としても観ても「まぁまぁ、おもろいスパイ映画」くらいの感じ。
本作のラスボス、ドレイコフにしたって「アベンジャーズに組織レッドルームが知られたら潰されたらコソコソ」してるってキャラだしね。ナターシャにあっさり潰される。ドレイコフの暴力装置タスクマスターも、ナターシャが手を出しづらいってだけで本気で倒そうと思えば倒せそうだったしね。あくまでも本作のナターシャの「敵」はレッドルームではなく、ナターシャ自身の家族や過去や罪悪感といった自分自身と折り合いをつける事。都会のOLが帰郷して色々考える映画みたいなもの。
でも最近スパイ映画が好きになったし、しみじみとした本作の丁度良さが気持ちよかった。
そして、やはりスカヨハの映画はやっぱ凄いと思った。ドレイコフに責められてる時の、実家のお母さんみたいな憐れを誘う泣き顔(嘘泣き)。スカヨハ得意ですよね、この顔……。
あとエレーナにヒーロー着地きめポーズをいじられるが、ナターシャが笑ってるのか真顔なのか判断しにくい表情をしてエレーナを見てるのが味わい深い。

そして、その笑ってるのかシリアスなのかわからん表情のまま「あのポーズしてる時の私は何か償えないか考えている……」等と言う。今まで字幕で見てたから気づかなかったが米倉涼子の吹き替えで見たせいで気付いたがめちゃくちゃ変な台詞!
それを聞いてエレーナは「……フーン。それって自分をごまかしてるだけじゃない?」と本気に取ってシリアス世界に戻す。
ナターシャは絶対エレーナをからかってるなと思った。というか、この変な台詞はナターシャじゃなくて中身のスカヨハが言ってるよね。
贖罪の気持ちがあるのは本当だろうが「あのポーズ取ってる時の私は毎回、贖罪の心持ちなの」だなんておかしすぎる。

逆を返せば「このポーズ以外の時は、特に償えるかどうかとか考えてないの」っていう風にナターシャ(米倉涼子)が喋りだしそうで面白い。
次からナターシャ出演作品を観るて、決めポーズを見るたびに「あっ贖罪の事を考えている」といちいち思わされて面白い……そういうスカヨハの置き土産か?と思った。

 

👩🏻‍🦰👱🏻‍♀️🧔🏻👩🏻

 

 

そんな感じでした

〈ナターシャやブラック・ウィドウ一家が出てくるMCU作品〉
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〈ヴァルや元ブラック・ウィドウが出てくるMCU作品〉
『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』全6話 (2021)/サムがキャップになりたがらない理由が分かると同時にサムが変貌していく第5話が最高🦅⛄⭐ - gock221B ※ラストでヴァル登場
『シャン・チー/テン・リングスの伝説』(2021)/シャン・チーとケイティと中盤までのアクションとストーリーが最高⭕⭕⭕⭕⭕⭕⭕⭕⭕⭕ - gock221B ※シャーリンの闘技場やテン・リングスに元ブラック・ウィドウ達が参加
『ブラックパンサー:ワカンダ・フォーエヴァー』(2022)/意外なシュリの内面!異常な殺意の高さや暴力や復讐の連鎖などで奏でられるチャドウィック・ボーズマンへの激しいレクイエム🐈‍⬛ 🧜🏻‍♂️ - gock221B ※メイン登場人物としてヴァル登場

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Black Widow (2021) - IMDb

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