gock221B

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『ブラックパンサー:ワカンダ・フォーエヴァー』(2022)/意外なシュリの内面!異常な殺意の高さや暴力や復讐の連鎖などで奏でられるチャドウィック・ボーズマンへの激しいレクイエム🐈‍⬛ 🧜🏻‍♂️


原題:Black Panther: Wakanda Forever 監督&脚本:ライアン・クーグラー 製作:ケヴィン・ファイギ、ネイト・ムーア 原作:スタン・リー、ジャック・カービー 制作スタジオ:マーベル・スタジオ 製作国:アメリカ 上映時間:161分 シリーズ:『ブラックパンサー』シリーズ第2作目、マーベル・シネマティック・ユニバース第30作目

 

 

マーベル・シネマティック・ユニバースMCU)第30作目。『ブラックパンサー』(2018)の続編。MCUフェイズ4では6本目の最後の映画(Disney+作品も全部合わせたら15作目)。
もうすぐ終わりだがMCUフェイズ4は「サノスに奪われた世界の5年間の影響」「マイノリティ中心の新ヒーロー達の登場」「マルチバース展開」等に終始した。どれもMCU世界やアメコミに通じてないと楽しめないものが多かったためフェイズ3までより否定的意見も多かった。いきなり観て誰でも楽しめる『トップガン マーヴェリック』(2022)が超絶ヒットしたのはその反作用だろう。MARVELスタジオは少しだけ慌てて「3~4年後のフェイズ6ではアベンジャーズ2本やるよ!」等の、ファンが喜ぶ発表を多めにした。僕はというと、好きなので全作楽しんだがあとフェイズ4で公開前の残る一本『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー ホリデイ・スペシャル』(2022)を除いた長編映画6本+ドラマ7本+アニメ2本+中編映画1本……計16作品観たけど心底面白かったのは本作合わせて4本だけだったからファンの僕から観ても打率が悪かった気がする。

前作『ブラックパンサー』(2018)とティ・チャラとチャドウィック・ボーズマン
『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016)
で初登場して、満を持して公開された一作目『ブラックパンサー』(2018)は超絶大ヒットした。『アベンジャーズ』等のクロスオーバーお祭りタイトルじゃない単独作しかも一作目で最もヒットした。単独ヒーロー映画としては、こないだ『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(2021)に抜かれたが、あれはMCU総監督ケヴィン・ファイギがまだADだった『スパイダーマン』(2002)以降、スパイダーマン映画20年間の総決算でもあったので、ある意味『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018)『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)より規模のデカいクロスオーバー作品であったとも言える。そう考えると『ブラックパンサー』(2018)の大ヒットぶりは凄い。
ブラック・パンサーやMCUヴィランの中でも超人気のキルモンガー、ハイテク国家ワカンダやそのストーリー。やはり、アメコミのドキュメンタリー『アメコミ・ヒーロー大全』(2017) で知ったが、黒人ヒーローはおろかコミックの背景のモブですら黒人が描かれなかった時、原作で初の黒人「主人公」ヒーローだったという誕生。キャストやスタッフの多くも黒人で固め、作中に出てくる美術や劇伴やケンドリック・ラマーの凄いサントラ(未だに聴いてる、MCUで一番いいアルバム)などブラックカルチャーも目白押しだった事がデカかったのかな。そもそもMCU代表ケヴィン・ファイギMCU第一作目『アイアンマン』(2008)を作る前から『ブラックパンサー』(2018)を作りたがっていた。しかし、当時のレイシストのMARVEL会長アイザック・パルムッターにより「黒人とか東洋人とか女のヒーローとか人気出るわきゃねーだろ!w」と、多様性ある映画制作を邪魔され、見かねたディズニーの元CEOボブ・アイガーによってパルムッターがMCU制作から追放され、やっと黒人ヒーロー『ブラックパンサー』(2018)、女性ヒーロー『キャプテン・マーベル』(2019)、東洋人ヒーロー『シャン・チー/テン・リングスの伝説』(2021)等の制作が可能となり発展しているのは御存知の通り……。
僕はいえば、勿論ワカンダやエムバクの楽しさや韓国でのカッコいいカーチェイスなど一通り楽しんだが日本人の僕には「アフリカに隠されたSFハイテク黒人国家の王座争い」という内容が、あまりに自分から遠すぎて(まだ異星や魔界の話の方が自分に近い)正直ピンと来なかった、ラストバトルも原っぱで殴り合って運動会みたいだったし「やっぱアメリカ住みの黒人じゃないと真には刺さらんのかも?」と公開当時は思った。昨夜ひさびさに予習として観返したら公開当時の数倍面白かった。今までイマイチだったラストバトルのショボさも「ワカンダ国民同士が、やりたくないのに仕方なく内輪もめしてるから、これだけショボい戦いなんだろう」等と擁護意見が流れるように自分の中から出てきた。どうやら昔よりずっと好きになってたみたい。理由は謎。遠い地の他人事だと思ってた内容が徐々にわかってきたからか?そういえば高校の時に背伸びして観に行ったスパイク・リーの『マルコムX』(1992)も「ピンとこない……」と思った覚えがある(今思い出したがマルコムXの妻役はティ・チャラの母ラモンダ役のアンジェラ・バセットが演じていた)。
「アイアンマンとキャプテン・アメリカ亡きフェイズ4以降、アイアンマン的なMCUのエース的な役割はブラック・パンサーで決まりだな」と思っていた(スパイダーマンSONYとの契約がややこしいし、まだ子供なので)。あと「『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)で匂わせてたからワカンダvs.海底帝国をやるのかな?今アメリカで起きてるブラック・ライブズ・マターの要素も盛り込みそうだな?」などと思っていた時、ティ・チャラ/ブラック・パンサー役のチャドウィック・ボーズマン氏が世間に隠して闘病していた大腸癌で2020年に急死してしまう。
ライアン・クーグラーチャドウィック・ボーズマン主演で2作目の脚本を完成させていたが、ボーズマン演じるティ・チャラはあまりにシンボリック過ぎたため代役は立てず、劇中でもティ・チャラは死んだとする本作を完成させた。

僕はと言うとボーズマンやティ・チャラの死は哀しいが、イベントでフェイズ4のラインナップが発表された時、正直あまり本作は期待してなかった。前述した通り、前作にハマってなかったし、はっきり言って主人公を務めるだろうと思われたシュリが――魅力的なキャラ&俳優だが――全然、主人公とかヒーローとして作られたキャラじゃなかったからだ。そこが心配で特に期待もせず待っていたが上映時間が161分もあると聞いた。フェイズ4の中で最も好きな『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』(2022)は情報量の異常な多さに対して上映時間がサム・ライミの異常な「まとめ力」によって、たったの126分と短すぎるのが魅力だった。本作の場合「ティ・チャラの葬式、ワカンダ vs.ネイモア、新ブラック・パンサーとアイアンハートの誕生だけだろ?何でそんなに時間いるんだ?」と疑問だったが逆に期待が上がって観たくなった。そして予告やポスターや試写会の画像を見ると、少し前まで明るい生意気少女だったシュリが完全にダークサイドに落ちたアナキンみたいな顔になっている。シュリのキャラ変もめちゃくちゃ気になり、期待してなかった本作が一気に観たくなった。

終盤まで……だから大体85%くらいネタバレしてます。未見の人は注意。

 

 

 

 

🐈‍⬛(ブラック・パンサー中心の)前回まであらすじ

『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016)
ソコヴィア協定署名式で爆破テロ発生。ワカンダティ・チャラ王子/ブラック・パンサーチャドウィック・ボーズマン)の父である国王ティ・チャカ死亡。復讐に燃えるブラック・パンサーは犯人を捕まえたが復讐心には飲み込まれなかった――

前作『ブラックパンサー』(2018)
宇宙由来の万能鉱物ヴィブラニウムによって超ハイテク国家となったが世界にそれを隠しているワカンダ。亡き父ティ・チャカに代わり新国王となったティ・チャラ/ブラック・パンサーチャドウィック・ボーズマン)。しかしワカンダの栄光は「どんな犠牲を払ってもヴィブラニウムを隠す」という闇の上のものだった。その闇が生み出した呪われた忌み子キルモンガーによってティ・チャラとワカンダは最大の危機を迎える。致命傷を負ったティ・チャラだったが妹の天才科学者シュリ王女レティーシャ・ライト)、隊長オコエダナイ・グリラ)率いる国王親衛隊“ドーラ・ミラージュ”、屈強なジャバリ族の長エムバク(ウィンストン・デューク)ら、仲間達の協力で危機を退ける。二度とキルモンガーのような悲劇を生まないことを心に誓ったティ・チャラはワカンダを開国し、ヴィブラニウムの存在を世界に公開した――

『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018)
インフィニティ・ストーンを集め宇宙の全ての生命の半分を消し去ろうとするタイタン人サノスとサノス軍が地球を侵略。ワカンダを決戦の地としてサノスを迎え撃つ地球&銀河のヒーロー達だったが『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016)で分裂して団結……アッセンブルできていなかった為にサノスに破れ、全生命の半分は塵となって消滅してしまう。その中にはティ・チャラ王/ブラック・パンサーチャドウィック・ボーズマン)の姿も――
『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)
全生命の半分が消され5年後。生き残って意気消沈するヒーロー達にアントマンが解決策を語る。ティ・チャラ王/ブラック・パンサーチャドウィック・ボーズマン)を始めとする塵になったヒーロー達も現世に復活。今度こそアッセンブルしたヒーロー達は犠牲も出しつつ遂にサノスを倒した――

本作ブラックパンサー:ワカンダ・フォーエヴァー』(2022) 
ティ・チャラ/ブラック・パンサー病気で急死して一年後
ティ・チャラの妹、シュリ王女(レティーシャ・ライト)は最愛の兄を失った哀しみで研究に逃避していた。
亡き息子の代わりに母ラモンダ女王アンジェラ・バセット)は外交を行う。故・ティ・チャラがしたワカンダ開国の弊害で海外……特にアメリはブラック・パンサー焼失をチャンスとしてワカンダの万能鉱物ヴィブラニウムを奪おうと暗躍する。それを防ぐオコエダナイ・グリラ)率いる“ドーラ・ミラージュ”。
アメリカの天才少女リリ・ウィリアムズ(ドミニク・ソーン)が作った技術が陣地を脅かされたとする深海王国タロカンミュータントネイモア(テノッチ・ウエルタ)が地上に浮上する――

そんな感じ。
本作を最低限楽しむには……前作『ブラックパンサー』(2018)だけ観とけば充分です。

本作のMCUにおける時系列は『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(2021)『エターナルズ』(2021)より後、『ソー:ラブ&サンダー』 (2022)や来年公開『アントマン&ワスプ:クアントマニア』(2023)と同時期らしい。つまりほぼ最新の時系列。

注目の一つだったティ・チャラの死因だが病死だった。
何の病気だか具体的には最後まで語られない。天才シュリによるワカンダ超技術があるのに癌如きなどで死ぬとも思えないので最初は「『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)でサノス達と戦った時、サノス軍の誰かに付いてた外宇宙の未知のウイルスに感染して死んだのかもしれない」……等と最初は思ったが、冒頭でシュリがブラック・パンサーになるための”ヴィブラニウムの影響を受けたハート型のハーブ”を焦って人工的に作ろうとして失敗してたので、前作でキルモンガーがハーブを焼却してしまったせいでティ・チャラの病気を治せなかったと見る方が自然だ。そういえば前作でも、キルモンガーに破れて瀕死のティ・チャラを救ったのは最後に一輪残ったハーブだった。
メタ的には「チャドウィック・ボーズマンが病死したからティ・チャラも病死した……それ以上の説明が必要か?」という怒りにも似た圧を感じたので「ティ・チャラは病死した」という、それ以上でも以下でもないんだろうと思った。本作は最後まで、過去の劇中のライブラリ映像以外でチャドウィック・ボーズマン演じるティ・チャラの姿や「ティ・チャラの新しい台詞」などは出てこない。本作の「ブラック・パンサーの設定」からして死んだティ・チャラの霊と話す機会は何度もあるのに、ティ・チャラと語れない事を疑問に思う台詞すらも無い。それほどクーグラー監督やキャストやMARVELスタジオにとって、チャドウィック・ボーズマンは特別なんだと思った。

 

🐈‍⬛故ティ・チャラ『ワカンダを開国せよ!』
キルモンガーのような悲劇を生まないため、故・ティ・チャラ王により初めて開国されたワカンダ。しかしティ・チャラは自分自身があまりに気高く善良すぎたため「世界の殆どの人間はクソ野郎」だという事を知らなかった(人種差別する気持ちなどなさすぎるキャップとバッキーが、サムに盾を渡してサムが悩んだ出来事と似ている)。
ワカンダ外の世界……特にアメリカは「王のブラック・パンサーが死んだ!?よし、このチャンスにブッこんでヴィブラニウムいただこう!」と工作員を送り込み続けていた。
しかしワカンダは地球最強の国家。ラモンダ女王は外交で、シュリは開発で、オコエ率いるドーラ・ミラージュは武力で、侵略者(主にアメリカ)を退けていた。
シュリ王女は兄を失った哀しみ、天才科学者の自分が兄を救えなかった悔しさからの傷が癒えておらずワカンダの技術や防衛兵器への開発に逃避していた。
予告やポスターで気になっていた、兄をからかうメスガキっぽい明るい少女シュリの面影は薄れ、表情には陰が落ちていた。

 

🧜🏻‍♂️深海王国タロカンの王ネイモア登場
ドーラ・ミラージュの護りを突破してワカンダからヴィブラニウムを奪うのは無理だと踏んだアメリカ政府はヴィブラニウムはワカンダ外の深海にもある事を発見。天才少女リリ・ウィリアムズの技術を利用して深海のヴィブラニウムを漁っていたアメリカ政府だったが、深海の王国アトランティス……じゃなくてタロカンに棲む海底人の怒りに触れる。
……ネイモアの国は、アトランティスではなく「タロカン」という国名になっていた。これは登場を先越された上に大ヒットされてしまったDCコミック原作の海洋ヒーロー『アクアマン』(2018)との被りを避けたためだろう。他にも「巨大海洋生物をあまり使役しない」のもアクアマンとの被りを避けた結果だろう。
中でもアクアマンと最も差別化されていたのは、ネイモアやタロカン人が得意とする水中戦はせず地上で戦う場面ばかりな事だろう(というか地上でもタロカン人の方が強いのだから水中では勝ち目がない)。
ラモンダ女王とシュリ姫の前に姿を表したネイモア王。彼は深海を探った技術の開発者を探していた。ワカンダの平和のためにも先んじて深海スーツ開発者を探したいワカンダ。
前作で故ティ・チャラやシュリと共闘したアメリカのCIA捜査官エヴェレット・K・ロス(演:マーティン・フリーマン)の導きで、深海を探った天才少女リリを見つけたワカンダ最強戦士オコエ……と、オコエが引きこもりを止めさせようとラモンダの反対を押し切って連れ出したシュリ姫。
リリとシュリとオコエアメリカの場面は本作で数少ない純粋に楽しい時間。
リリを伴いワカンダに帰国しようとしたシュリ&オコエだったが、タロカンの深海戦士が立ちはだかる。リリはアイアンハートMk.1で、シュリはバイク、オコエはリリの乗用車で逃走。前作『ブラックパンサー』(2018)で一番盛り上がったカーチェイスの再来。今回もカッコよくて楽しい。
逃走した三人だが、タロカン最強武将アットゥマ(演:アレックス・リヴィナリ)とネイモアの従姉妹ナモーラ(演:メイベル・カデナ)に追いつかれ、シュリとリリはタロカンに連れ去られる。

 

🐈‍⬛ 🧜🏻‍♂️オコエの黒人女性サブヒーロー補正期間終了。アットゥマ強すぎ。リリの魅力
ワカンダ最強の戦士、ドーラ・ミラージュ隊長オコエは、タロカンの武将アットゥマに完敗。原作ではヴィランらしいのでアットゥマは怖い奴かと思ってたらオコエが槍を落としたら拾って渡してきたりナモーラが加勢しようとしてもそれを止めてタイマンを貫く。正々堂々とした戦いを好む武人タイプだった。何ら卑怯な手も使われず正々堂々と配慮までしてもらった上でオコエが敗北。命もとられないし完全なかたちでの敗北。
これは地味に衝撃だった。
何しろオコエは主人公補正を持ったメインヒーローやラスボス補正を持ったヴィラン以外に負けた事がないサブキャラ最強のヒーロー。
前作でも「このオコエって人、おハーブも飲んでないのに何でブラック・パンサー並に強いの?」と評判だった。『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018)でも、サノス四天王ブラック・オーダーのプロキシマ・ミッドナイトも撃破(という事はアットゥマはプロキシマ・ミッドナイトより遥かに強いという事か)。オコエは地球ヒーローの中で物理最強だった。何でこんなに強かったのかメタ的に言うとストームのような「MARVEL黒人女性ヒーロー」が他に居なかったため。原作ではドクター・ストレンジの従者のハゲでしかないウォンがMCUでは尋常じゃないほど目立ってるのも他にアジア人ヒーローが居なかったせいだが、それと同様にオコエも「黒人女性」という唯一無二の「マイノリティ女性ヒーロー補正」が効いていた。だが後述するがシュリが新ブラック・パンサーとなりリリがアイアンハートになるためか、その補正も切れて敗北した……というのが僕の分析。
このページ、以降はネイモアやシュリのことばかり書いてアイアンハートの事を書く流れの隙間がなかったので、ここに書くが前半と後半のアイアンハート登場シーン、ハンマーで鉄を打つトニーっぽいシーンどれも見て1秒以内にワッと盛り上がれる良いシーン(アイアンマン刷り込み効果)。オコエとシュリと絡むシーンも楽しいし。アイアンハートのデザインもアイアンマンより好き(面の部分がブラックなのがカッコいい)。
シュリもリリも攫われ一人、帰国したオコエはラモンダ女王に死ぬほどブチギレられ涙目、ワカンダ防衛大臣ならびにドーラ・ミラージュ隊長の職も解かれ無職となる……これほどまでに大人が大人を怒鳴り散らして泣かす場面を久々に見た。拳法の師匠に叱られて泣く若きジャッキー・チェンを思い出した。激昂してるだけでなくラモンダ女王は論理的に怒ってるし、そもそも女王なので誰も口を挟めない。「キルモンガーが息子を倒して王座に就いた時も許した。だが息子も娘も失った今は許さない!許すつもりもない!」と、言われてしまってはさすがのオコエもシクシク涙を流すしかなかった。
ちなみにオコエの恋人ウカビ(演:ダニエル・カルーヤ)は前作のキルモンガーの乱に加担して投獄され続けてるらしい。僕は、ウカビはどうでもいいがウカビの中の俳優、ジョーダン・ピール監督の『ゲット・アウト』(2017)『NOPE/ノープ』(2022)で主演を努めた、誰も信用できない半眼の眼差しを持つ黒人俳優ダニエル・カルーヤの顔が大好きだったので前作で裏切ってガッカリした。ダニエル・カルーヤが忙しいため、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018)『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)の二作に渡るサノス侵略にも出てこなかったし本作にも忙しくて出てこなかった(オコエとラモンダ女王が言及はする)、三作目でこそ出てきてほしい。

 

🧜🏻‍♂️🐈‍⬛ 深海版ワカンダのタロカン。ネイモアのオリジン。シュリとネイモア和平への道
タロカンに連れ去られたシュリとリリの天才少女2人。
ネイモアはシュリに、美しく平和なタロカン、そこで楽しく暮らすタロカン人達の暮らしを見せる。
原作でネイモアは以上に血の気が多いから、もっと好戦的かと思ったが意外と優しいキャラだった。アットゥマやネイモアの従姉妹もあまり凶悪ではなく意外。
このように本作は大枠ではファンや観客が期待した予想通りストーリーは進むものの、ディティールは予想を上手くズラしてある。これはドラマの最新作『シーハルク:ザ・アトーニー』(2022) が、目の越えたMCUファンやアメコミ読者の予想を上手く外してたのと似てた。
メキシコの部族の女性を母に持つ長寿の王ネイモア、地上を追われた母や仲間達は秘薬の儀式によって水中で酸素を取り込む青い肌を得て深海に移住する。母が死んだので地上に埋めに行った幼きネイモアは、相変わらず争ってばかりで奴隷を虐げる地上人に愛想を尽かして皆殺しにし、かつてのワカンダのように愚かな地上人と一切の交流を絶つ。本作で「地上人(特にアメリカ人)は野蛮で愚か」という描写、これは最初から最後まで徹底している。
つまり開国した新生ワカンダの前に以前までの鎖国しているワカンダが現れた形。
自らのダークサイド版ヴィランと戦う」という展開はMARVELに留まらずアメコミヒーロー映画の定形だが、今回はワカンダという主人公国そのものが以前までの心を閉ざした自国のようなタロカン……つまりワカンダ自体が、かつての自分自身と戦うという国単位での展開。
ネイモアはタロカンに潜ってこれる深海スーツを作れるリリを処刑したがっているが、太古の自然を維持して科学的にもモラル的にも洗練されたワカンダとは仲良くしたがっている。ネイモアはシュリにタロカンの秘草で編んだミサンガを贈る。
ここまでネイモアの方から友好的にしてくるのも意外。
この中盤、観る前に想像していたのと全部が少しづつ違うので、どんどん面白くなる。
シュリはタロカンとは仲良くしたい、しかしリリを殺させる事には反対の立場を貫く。
ネイモアは思いのほか話せる王だった。シュリが「和平の道」を解くとネイモアも一考し始めた。何とか流血を避けて共存の道を歩めるかもしれない。
そんな希望の光が見えてきた。

 

🐈‍⬛ ナキア暗躍。ワカンダとタロカン開戦
シュリ姫の身を案じたラモンダは、故ティ・チャラの恋人にしてワカンダ最高のスパイだったナキア(演:ルピタ・ニョンゴ)に「どんな事をしてでもシュリを取り返して」と依頼。この「どんな事をしてでも」という命が命取りとなった。
メキシコで手がかりを掴んだナキアは、シュリが事前に開発していたハイテク・スーツを装備して潜水艇でタロカンに侵入。
……ナキアというキャラ自体はそうでもないが演じているルピタ・ニョンゴが好きなので(単純にルックスが可愛いから)本作でナキアの出番が異常に多くて嬉しかった。ナキアの出番が多いのは4DX版ポスターでセンターにいた事から予想していた。
タロカンに侵入したナキアは、シュリとリリを連れ返すために揉み合ったタロカンの女性を銃殺。この死んだ女性は戦士ではなく、シュリやリリに食べ物をくれたり身の回りの世話をしてくれていた非戦闘員だった(多分)。
どの瞬間に戦争が始まったかは諸説あると思うが僕はこの、我が娘を想うラモンダ女王が優しいナキアを派遣して優しいタロカン人女性をブッ殺してシュリが「キモヨビーズで治療を……」とか言ったのにナキアが「そんな暇ない!」と優しいタロカン人女性を置き去りにして見殺しにした……民を想いワカンダにも歩み寄ろうとしていたネイモア……もこれでキレてしまい、この時に戦争が始まった。
で、僕はここが良かった。
皆、ティ・チャラみたいに優しいのだがティ・チャラみたいに他者を許すことが出来ない人達のボタンの掛け違いで悲劇がどんどん大きくなってしまう。
この『アウトレイジ』シリーズみたいな復讐の連鎖、こんなMCU全作品中、最も暴力的な内容でもってティ・チャラを追悼する……アンビバレントな感じなので同意する人は(特に若者は)少ないかもしれないが僕は、この構図に痺れました。
しかも、この間、ラモンダ女王がネイモアを地上に呼んでタロカンを留守にさせていた。つまりワカンダはタロカンを騙し討ちした。
ちなみにラモンダ女王はワカンダとアメリカの橋渡し役エヴェレット・K・ロスと連携している。そしてエヴェレットは、USエージェントやエレーナ・ベロワ/ブラック・ウィドウなど正義でも悪でもないグレーの超人達を勧誘している政府の女ヴァレンティーナ・アレグラ・デ・フォンテーヌ伯爵夫人……通称”ヴァル”(ジュリア・ルイス=ドレイファス)の元夫だった。エヴェレットは命の恩人であるワカンダを救おうとしているが、ヴァルの狙いはヴィブラニウム奪取、そしてアメリカがそれを奮うこと、それだけ。
ナキアは娘を案じるラモンダ女王の命令通りにミッションをこなしただけなので悪く言いたくはないがナキアの銃弾でワカンダ vs.タロカンの殺し合いが始まった。
開戦だ。

 

🧜🏻‍♂️ネイモアのワカンダ侵攻
「地上人は信用できないがワカンダには譲歩しよう」としていた温厚なネイモア王だったが、ワカンダの策略でタロカン人の非戦闘員女性が殺された事でキレた。
ワカンダに侵攻、洪水を起こす(震災を思い出して怖くなった)。
ジャバリ族の族長エムバクも、オコエに完全勝利したアットゥマ将軍にやられた。
木製の棒と鎧だけでサノス軍と2回戦って生き抜いたエムバクも完敗。「サノス軍と2回戦っても折れなかった木の棒と鎧」もネイモアだかアットゥマだかの正拳突きで粉微塵になった。
タロカン人どんだけ強いの?なんならアットゥマは下手したら、明確な弱点があったネイモア王より強い可能性まである。まぁオコエやエムバクにあった補正がタロカンに移っただけだが……今とにかく地上最強レベルで強いのは間違いない。
ネイモアの攻撃を受けたラモンダ女王とリリ。ラモンダ女王は出会ったばかりのリリを救って力尽きた……。
兄ティ・チャラ王に続き母ラモンダ女王までも失ってしまったシュリ(具体的に描かれてないが洪水が起きたのでワカンダ国民の死者も大勢出ているはず)。明るく生意気なメスガキ然としたキャラクターだったシュリの顔は哀しみと怒りで10歳くらい一気に加齢したように変貌。予告やポスターや試写会画像で「これがメスガキっぽかったシュリ役のレティーシャ・ライト?何でこんなカリスマ感あふれる顔になったんだ?」と思っていたが劇中では兄と母を喪ったから、現実世界ではシンボリック過ぎた黒人世界の希望の星チャドウィック・ボーズマンを喪って代わりに主人公スーパーヒーローを演じなければならなくなった重圧、それがシュリ=レティーシャ・ライトが纏う空気を一変させた、それがはっきりわかった。
「後日に再訪する。その時までにリリを引き渡せ」と告げてネイモア達は帰っていく。
ワカンダが壊滅した今リリを見つければタロカン勝利で終わっていたのだが猶予を与えたために……ここは少しお都合主義的なものを感じたが、ネイモアもタロカンも公正を美徳とする国家っぽいので猶予を与えたのかも?
事ここに至って優しかったシュリも家族を全て喪い「母の仇……、ネイモアをブッ殺す……!」という漆黒の意思を見せたのも意外だった。明確に何度も「殺す」と言っていた。……ナキアの非戦闘員タロカン人殺し、ネイモアの女王やワカンダ市民殺し、シュリの「殺す」連呼。ワカンダ戦艦が襲われた時も通信で「死傷者多数!」と言っていた(MCUでは「死」を明確に口にする事は珍しい)。タロカン人がドーラやジャバリ族を槍で突いてるカットも多かった(こういうカットでも確実に死んでるんだろう)。ライアン・クーグラーはフンワリと誤魔化さずに明確に「死」や復讐の連鎖を描いている。
これは、きっとチャドウィック・ボーズマンの死を見つめ続けた結果だろう。
観ているファンの子供たちに「お互い攻撃したらポイントが増えたり減ったりするだけじゃない、死ぬんだぞ!?そしてそれが永遠に続く」と言わんばかりだ。
そもそも「てっきり原作同様好戦的だと思ってたネイモアが思いのほか優しくて和平の道の可能性もあった」→「我らがワカンダの勇み足が原因で開戦」という、この展開が予想の真逆。予想は外さず細部は予想を外す展開が面白い。

 

🐈‍⬛ シュリとリリの兵器開発
シュリは、兄を喪った哀しみと伝統を軽んじる性格からか「ワカンダの守護者ブラック・パンサー復活」を進めていなかった。兄の病気の治療のためのハーブ精製に失敗したのでハーブ精製に挑戦する事は兄の死を追体験するようで嫌だったのかも。
しかしワカンダの危機、そして母の仇を討つため、もう一人の天才少女リリの手も借りてブラック・パンサー復活の道を模索する。ハイテクを嫌うオコエとエムバクにもハイテクスーツを開発。現ワカンダ最強と思われたオコエとエムバクが完敗したのだから、もうアーマーをプラスするしか無い。
オコエそしてハイテクを好む新入りドーラ・ミラージュのアネカ(演:ミカエラ・コール)は、鳥類を思わせるアーマーを着た”ミッドナイト・エンジェル”という恥ずかしい名前のヒーローとなる。ヒーロー名を聞かされたオコエも「ああっもう!恥ずいっ!」と嘆いた(シュリは切羽詰まってるのでそんなオコエを真顔スルー)。個人的に「身体一つの槍持っただけの人間なのに何故か超人兵士くらい強い」というオコエの長所がミッドナイト・エンジェルで消えてしまったので個人的にイマイチ。ハイテクを好むアネカ(演:ミカエラ・コール)がハイテク・アーマー着るのはいいがオコエはちょっと……。ちなみにバッキー・バーンズ/ウィンター・ソルジャーの洗脳も解いたドーラ・ミラージュ副隊長アヨ(演:フローレンス・カサンバ)はそのままドーラ。
言及されてないがアヨがドーラの新隊長となり、無職になったオコエと新人アネカが”ミッドナイト・エンジェルズ”という二人組アーマーヒーローになったんだと思う。エムバクもハイテクアーマーを着用。こちらは木の鎧がヴィブラニウムになっただけ。
ハイテクを嫌うオコエも、木製装備しか身に着けてなかったエムバクも、母国存亡の危機を前に、背に腹は変えられなかったためか文句を言わず最新スーツをおとなしく着た。サノスの侵攻にも生身で対抗してたのにね。
エムバクといえばネイモアが得意な洪水を起こした時に真っ先に着水ポーズで市民救助に飛び込んだエムバクかっこよかった(震災の記憶のせいで洪水で街を襲うネイモア怖い)。それと気に入らん奴が何か言ったら配下と一緒に「ホウッ!ホウッ!ホウッ!」とサルの鳴き真似して黙らせるエムバクのパワハラ好き。
ブラック・パンサーを生むにはヴィブラニウムの影響を受けたハート型のハーブが必要だが前作『ブラックパンサー』(2018)で、自分以外のブラック・パンサー誕生を恐れたキルモンガーによって全て燃やされてしまった。兄ティ・チャラが病死してしまったのも”ヴィブラニウムの影響を受けたハート型のハーブ”が消失してしまっていた事が遠因。
兄を喪ったシュリが母に「世界を燃やし尽くしてやりたい」と言っていて「ティ・チャラは暗殺じゃない病死なのに何で世界が憎い?」と思ったがキルモンガーによる、おハーブ焼失、ティ・チャラの開国により世界各国(特にアメリカ)が攻めてくる外界の悪意を恨んでのものだったんだろうな、ティ・チャラの病気が何なのかわかんないし今のところ、これで間違いないだろ。
シュリは、ネイモアに貰ったタロカンの秘草で”ヴィブラニウムの影響を受けたハート型のハーブ”精製に成功。


🐈‍⬛ シュリの意外な本性!!
ヴィブラニウムの影響を受けたハート型のハーブ”精製に成功したシュリは早速、おハーブを煎じて服用、ナキアとリリの見守る中「亡き先祖と出会うビジョン・クエストめいた幻視の世界に旅立つ」という神秘の”ブラック・パンサー誕生の儀”を行う。
「先日、殺されたラモンダ王妃」が導いてくれると思っていたシュリとナキア。
……なんで一番、頼りにしていたティ・チャラが来ることを願わなかったのか疑問だ。
と言っても理由は明白か。ライアン・クーグラー監督やMARVELスタジオが「ティ・チャラ役の故チャドウィック・ボーズマンをアニメだろうが何だろうが彼の新たな演技を創作するなんてとんでもない」というメタ的な理由で嫌がったためだろう。
劇中で「シュリやナキアが、幻視の世界でティ・チャラが導きに来なかった理由」すら口にしなかったのは不自然だが、それほどボーズマンの聖地化されてるのかな。
「亡き先祖と出会う幻視の世界」でシュリを待っていたのは先日殺されたラモンダ元女王……ではなく意外な人物だった。
現世に戻り、誰に会ったのかナキアに訊かれても答えないシュリ(ちなみにシュリは最後まで誰にも教えない)、そして予定していたブラック・パンサーの紫のマスクではなく違う色のマスクを手に取るシュリ……。
僕としては、ここが本作の「チャドウィック・ボーズマン追悼」以上に、一番凄くて鳥肌が立った部分だった。観てた劇場内からも「ハッ……!」と息を呑む声無き声が聞こえた。前作公開時Twitterに大勢居た腐女子のお姉さん達が「しゅ、シュリちゃん……陛下と○の娘じゃん!」と盛り上がりそう(いや「ネイモアの秘草」も入ってるのでネイモアの娘とも言える)。
ここでシュリの今の想い、今までの良い娘ではなく怒りのシュリが明らかになる。
本作の全体的なストーリーや「チャドウィック・ボーズマンを追悼するんだろうな」というテーマこそ大勢が想像する通りだったが、細部は全く予想してないものだった……と何回も言ったけど「主人公シュリの描き方」はその最たるものだった。僕は好き。
MCUに足りない……前作にも足りてなかった「殺気」が凄くたくさん描かれているからかも。
新ブラック・パンサーとなったシュリは、その姿をワカンダ長老たちに見せる。沸き立つワカンダ上層部(僕が好きな、下唇にお皿はめたおじさんも生きてた。あのお皿にも機能があってほしい)。
タロカンを迎え撃つ意思を見せるシュリ/ブラック・パンサー。
優しかったシュリが比類なき攻撃性を見せ、好戦的だったエムバクが珍しく疑問を呈する珍しく面白い展開。
「シュリとリリの拉致」→「ナキアが弾みでタロカン女性を殺害」→「怒りのネイモアがラモンダ女王と市民を殺害」……復讐の連鎖。ネイモアを殺してどうなる?怒ったタロカン人が復讐に来るだけだ。最初は平和を願い同盟を結びかけていたワカンダとタロカン……どうしてこんな事に……というか人類は一体いつになれば殺し合うのを止める事ができるのか?
エムバクは、死ぬ前の親友ティ・チャラに「我が妹シュリを頼む」と言われていたらしく乱暴者だった前作とはうって変わって親戚の叔父さんみたいにシュリを優しくサポートする。
エムバク「(復讐の連鎖のくだり)そういうわけだぜ?ティ・チャラやラモンダ女王なら、諦めず和平の道を模索するんじゃねぇか?」そんな意味の事を言う。
シュリ「まるで母が生きてるかの事を言う。ネイモアを殺す!……彼が息絶えるまで、その様を最期まで見下ろしてやる!
まるで誰かが乗り移ったかのように怒り憎しみを見せるシュリ。これには、さすがの元暴れん坊エムバクも沈黙して目線を落とすしかなかった。

 

 

……映画観て帰宅したばかりで興奮して、ついつい観てきた事全部書くモードになってた。ネタバレ書きすぎたから、ここからボカして書こう。
観る前は「シュリは好きだが……レティーシャ・ライトが演じる映画版シュリは原作の強そうなシュリじゃなく、あくまでも愛らしいサポート少女キャラだよね?果たしてブラック・パンサーになれるのだろうか」と心配していた。MCU版『スパイダーマン』シリーズのMCU版フラッシュ・トンプソン(演:トニー・レヴォロリ)が原作のようにエージェント・ヴェノムになるとは、とても思えないのと同様に(いや、トニー・レヴォロリもMARVELスタジオに「エージェント・ヴェノムになれ!」と言われたら筋トレして仕上げてくるだろうけど)。
とにかくシュリはチャドウィック・ボーズマンにも劣らないカリスマを持ったシリアスなブラック・パンサーへと生まれ変わった。ポスター等で気になってたが、悪堕ちに近いかたちでシリアスなキャラになるとはね。「シュリかっこいい」と思うと同時に、映画製作が決まって今日までのレティーシャ・ライトへかかったプレッシャーは凄かっただろうな、とそれにも感動した。
しかしスパイダーマンもそうだが愛する者を失わないとヒーローになれないのだろうか?
シュリ/ブラック・パンサーのラストバトルも盛り上がった。「ワカンダ運動会」と馬鹿にしていた前作のラストバトルは違い今回は上下の動きも意外性もあった。
そしてシュリの明確な殺意もあった。殺意だけでなく殺される覚悟すらも持って挑んだ(一瞬「あれ?まさかシュリ死んだ?」と思わされるほどシュリとネイモアは互いに相手を殺そうとする)。
戦いが終わる頃「この漆黒の殺意を持った新生シュリ好きだが……しかし気高いお兄さんの要素なさすぎじゃないか?」と心配してたら、最後の最後でそれも見せたのでホッとした。
一方、ネイモアは頭が冷えたのか元の温厚な王に戻った感じ。従姉妹や部下たちは不満に思ってそうだし、ネイモアはフェイズ6くらいに単独作が作られ、部下に下剋上されて地上に来る気がする。
僕はこれ最高だったが一作目のディズニープリンセスものっぽいストーリーが好きすぎた人は腹立つかもしれないなと思った。
観る前は「しんみりした湿っぽい話だったら嫌だな」と思ってましたがMCUの中でも最も「暴力」「復讐」「死」の要素が強い、そういう激しい要素を通してティ・チャラを追悼するという造りに感動しました。。あとシュリとリリの絡みの楽しさ。
本作の直接の続きはどれもライアン・クーグラーが関わるらしい、まず来年に『アイアン・ハート』(2023)単独作ドラマ、あとタイトルや時期は不明だがワカンダを舞台にしたドラマが、オコエを中心にしたものと新キャラのもので2本予定されてるらしい。そして『ブラックパンサー』3作目もありそうだし。ワカンダは人気出すぎたし世界を広げる要素ありすぎるせいか拡大してくみたいですね。僕は、前作はまぁまぁって程度だったけど本作で完全にワカンダ好きになったので嬉しいです。
前半、ティ・チャラの死を克服する儀式を「兄の死を受け入れるのが怖い」という理由でシュリは拒否したが最後にそれも行う。ティ・チャラ=チャドウィック・ボーズマンは死んだ。
そんなラストシーンを見て「この映画全体が『ティ・チャラ=チャドウィック・ボーズマン』を、おくりだすための映画だったんだな」と最後に気づいた。
何の情報も入ってない初日に観て色々な事を一人で思うことができて本当に良かったと心からそう思った。

 

MCU、本作がフェイズ4最終作だったんだが、あとDisney+で11月25日に『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:ホリデー・スペシャル』(2022)が配信されて、それが本当の本当に最後。Disney+も会員が伸び悩んでるらしい。MCUドラマもSWドラマもイマイチなものの方が多かったからね。でも嫌いな人も多いが『シーハルク:ザ・アトーニー』(2022) とかMARVELスタジオの対応などを観て来年のフェイズ5からは褌を締め直して良くなるだおうと単純に思ってます。
まだアベンジャーズの数倍楽しみな本命の『ブレイド』『デアデビル』『ファンタスティック・フォー』『X-MEN』が残ってるので僕にとってはまだまだフェイズ6あたりからが本番です。
MARVELじゃなけいけどジェームズ・ガンがDC映画の代表になったのも、MCUにとって嬉しいニュースです。一極集中は腐るから。DCも盛り上がれば相互作用できっと良くなるでしょう。
シュリの今後も、ネイモアやリリの今後も楽しみ。

追記(2023.02/14):配信はじまってたから再見しました。今回もまた、無難に行くならシュリも兄のように誰も傷つけないキャラにするところを凶暴にしたところが素晴らしい(兄の代用品じゃなく別の新たなパンサーとして立ててるから) 。そして、ティ・チャラ=チャドウィック・ボーズマン追悼作品なのに他の作品よりも血え血を洗う暴力的な内容になってるところも良かったです、これも前述のシュリ同様に、追悼作品だからといって無難な感じで置きに行ってないから良かった。あと『アッセンブル(メイキング)も観たけど、ネイモアが肘打ちや靠(肩や背中での体当たり)を多用するのは八極拳から着想してたと知りました。

 

 

 

 

そんな感じでした ワカダフォレヴァ!

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Black Panther: Wakanda Forever (2022) - IMDb
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