gock221B

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『NOPE/ノープ』(2022)/超常現象や細部の婉曲表現は好みだが、基本の日常描写までも全部わかりにくいのがノイズに感じました🛸


原題:Nope 監督&脚本&制作:ジョーダン・ピール 上映国:アメリカ 上映時間:131分

 

 

コメディアンだが今では黒人にフューチャーしたホラー映画の有名監督にもなったジョーダン・ピール
デビュー作『ゲット・アウト』(2017)は黒人にとっての最恐のモンスター「白人」を描いて文句ない面白映画だった。続く『アス』(2019)ドッペルゲンガーの映画で、前半は素晴らしかったけど後半明かされる秘密の真相があまりにも荒唐無稽すぎて『世にも奇妙な物語』を2時間にした感じがして乗れませんでした。その『アス』(2019)でかなり興味薄れてしまったので製作総指揮を手掛けた映画『キャンディマン』(2020)とかドラマ『ラヴクラフトカントリー 恐怖の旅路』(2020)は観てない。
そんな感じで本作もレンタル出るまで観る気が起きなかったけど話題になってたし飲んだ後に観る機会あったので観ました。
予告編を一回観ただけで内容は全く知らなかったがUFOの映画っぽいことはわかってたので「M・ナイト・シャマランの『サイン』(2002)みたいな映画かな?」と思ってた。ちなみに『サイン』(2002)は今も昔も、好きな人と嫌いな人とに二分されるすぎる映画だが、僕は大好きな側。
ネタバレあり

 

 

 

 

映像制作に、を貸し出す仕事をしているOJ・ヘイウッドダニエル・カルーヤ)、その妹のエメラルド・ヘイウッド(キキ・パーマー)のヘイウッド兄妹が主人公。
ある日、牧場で奇妙な音がしたと思ったら空からガラクタが降り注ぎ、空を見上げたヘイウッド兄妹の父の頭部に降ってきたコインが突き刺さり脳を損傷して死亡。
撮影現場で、鏡を見せられた愛馬が驚いて暴れ、兄妹は撮影現場もクビになってしまう。
牧場の上空でUAP(未確認航空現象)の存在を感じたヘイウッド兄妹は、UAPを撮影してYOUTUBEで儲けようと、家電屋のエンジェル(ブランドン・ペレア)から監視カメラを複数、購入して牧場に設置。超常現象に興味あるエンジェル、そして高名な撮影監督ホルストマイケル・ウィンコット)も協力してくれるが――

一方、1990年代、ホームドラマチンパンジーが大暴れして死傷者が出た事件があった。その時の生き残りである元アジア系子役で現在はカウボーイ系テーマパークを経営しているジュープ(スティーヴン・ユァン)、彼もまたUAPを追っていた――

という話。
……なんだけど映画が始まって、かなりの時間、全体的に「こいつは一体なんなのか」「今、自分が観てる画面上で何が起きてるのかよくわからない……」という時間が長かったのが辛かった。
勿論、観てたら大体はわかるのだが、主人公家族が映画撮影に馬を貸し出してる事とか、兄妹がクビになったのとか、テーマパークをしているジュープと一体何を話してるのかなどが一々わからなかった。UAPからの落下物で父が死ぬ場面も超常現象を凄く控えめに撮ってる(ヒュンヒュン……とガラクタが降ってるのだが観てるその時にはよくわからない)。一応、具体的な事象や台詞で進むので本当ならわかるはずなんだが不思議とわかりにくい。興味のない専門的な本を読んでる時に「目が滑る」感じに似てた。
全体的に全部かなり時間が経ってから「あぁ、なんか降ってきて父が死んだのか」「映像制作に馬を貸す仕事なのかな?」「あぁ、クビになったのか」と、その後の結果を見て、直前のシーンで何が起きてるかわかる感じで、なかなかわかりにくかった。そのせいか自分から非常に遠い掴みどころのわかりにくい映画のように感じて作品に入っていけるまで時間がかなりかかった。中盤、エンジェルからカメラを買う辺りで「UAP撮影」という主軸が掴めて観れるようになった。「あれ?映画いっぱい観てるはずだが俺ってアホなのか?」と不安になった。酔ってたせいもあるのかな。だから個人的には、カメラ買うまでのくだりはもっとわかりやすくして欲しかった。
UAPなどの超常現象も、すごーくチラ見せする感じ、前半は画面も凄く暗いしUAPが馬を吸い込む場面も見逃してしまった。
だが、日常描写と逆で、超常現象はわかりにくいのは好みなので(その方がリアリティあるから)これはよかった。
「牧場に忍び込んだ複数の人影」の場面なと非常にワクワクした。まさに観る前に期待したシャマランの『サイン』(2002)っぽかったし。
ここでOJがカメラを構えて侵入者を撮影しようとする場面など、あまりにもカメラを構える長過ぎる、だが従来のエンタメSF映画やホラー映画よりも間(ま)が長すぎる事が、かえって本作の特別さや「本当に何かが起きてるリアル感」を高めていて良かった。「凡百の映画よりも違う感じを出そうとわざとテンポをズラしてるんだな」と好意的に感じた。

 

 

アバン(冒頭)、ジュープの語り、中盤での90年代の回想シーンで「90年代の楽しいファミリードラマのセットでチンパンジーが大暴れして死傷者が出た」エピソードが、頻繁に丁寧に語られる。
UAPとチンパンジーは劇中では直接関係ない、たとえば20数年前のチンパンジーとUAPの動きが連動してるとかそんな事はない。だが、こんなにも丁寧に描かれるのでチンパンジーとUAPが作品的に関係してることはわかる。
TVカメラで撮られて全米の視聴者に笑われていたチンパンジー、大勢の人間に撮影されて正体を暴かれようとしているUAP……。チンパンジーは共演者の人間を撲殺し、UAPは地上から自分を見上げる人間たちを落下物や吸い込みで殺害する。だから「立場が上だと思って対象物をジロジロ見てた人間が、下だと思ってた対象物に復讐されるってコト?」と思った。
といってもUAPは上空に居て巨大で強力なので、人間より下級の存在には思えない。UFOといえば「高度な科学力を持った異星人が操縦している」っていう刷り込みもあるしね。だがチンパンジーと並べて「どう思う?」と提示されるので「立場が上だと思って対象物をジロジロ見てた人間が、下だと思ってた対象物に復讐されるってコト?」と解釈するしかないってだけだ。そうでないとチンパンジーが無意味になってしまうのでそう思うしかない。
とりあえずの結論は思いついたのだが、やはりUAPは人類より高次の存在に見えるので納得いかない。ひょっとして「ジロジロ見られてる下級だが復讐する」はOJ達、人類サイドってこと?いや、そうなると「見上げると察知されて攻撃してくる」っていうUAPが、目を合わせると襲ってきたチンパンジーとの類似性があるからそれもよくわからない。
「超常現象の描写が控えめでわかりにくいのがリアルで良い」と前述で褒めたけど、後半は、真っ昼間の雲と雲の間をヌッと黒いUAPが飛行するのがモロ見えになったりOJの目前にまで急降下してくる、これは「こんな風なUFOを見たい」って感じのものが観れたので良かった。光ってるのは見飽きたからね。
でもUAPが終盤で変形してエヴァンゲリオン使徒みたいな正体を現すんだけど、それも気付かず何か飛んでるゴミかと思ったし、バルーンによるUAPの倒し方も観ててよくわかんなかったですね。というか未だに何で死んだのか、そもそもUAPが死んだかどうかもよくわからない。エメラルドが喜んでるから死んだんだろうと思うだけだ。
もう少しわかるように描写してほしかった。なんか終盤のバトルもまた前半のように「俺がアホなのか?」と不安になりました。
※追記:後で友達から「UAPが無機物を食ったらダメージになるから巨大バルーン食わせて倒したんだろう」と言われて「ああ、そうか」と思った。無機物を地上に吐き出してたのが伏線だったんだね。しかしエメラルドがいつそれに気づいたんだろう?また観たら何時気がついたのかわかるのかな。

逆にUAPの正体だけは、OJが「コイツは宇宙人の乗り物なんかじゃない!コイツ自体が生き物なんだ!」と、大声でわかりやすく教えてくれるんですが、これは逆にUAPの正体とか教えてくれなくてよかった。その方がミステリアスで良かった。「UAPが吸い込んで……肉壁がある?乗り物じゃないのか!?」と、説明無しで観てる観客が推測するしかない方が個人的には好みだった。
前半の超常現象の奥ゆかしさを始めとして細部は好みな要素が多かったんですけどね。      ジュープがトラウマになってもおかしくないチンパンジー事件記念部屋を作って神の啓示(実は只の偶然)のシューズを展示してたり、チンパンジーに顔面をグチャグチャにされた元子役の女性がベールで顔を覆って応援しに来て再び酷い目に遭う無慈悲さとか、片目だけヘルメットに穴が空いてるバイカーなども「UAP撮影しに来たんだろうけど、UAP見たら攻撃されるのわかって、こんな反射して極力、目を隠した変なヘルメット被ってるのか!?」などと面白くてミステリアスで奥行きある要素は良かった。
そして主人公のOJ、彼の氷のような瞳がめっちゃカッコよかった。『ゲット・アウト』(2017)の主人公の時もそうだったけど、この人の目つき、めちゃくちゃ好きですね。黒人以外の全てを信じてない目。半眼で外と内部同時に見てる感じ。カッコいいし好き。中年男性である自分は同性をカッコいいと思うことは少ないんだが、この俳優は凄い好き、だから『ブラックパンサー』(2018)にウカビ役で出た時は期待したがしょうもない役でガッカリした。あと有名撮影監督の大物ぶった振る舞いも楽しかった。
とにかく超常現象や細部のミステリアスさ等は後から色々考えられて面白いと思うけど、さっさと具体的にわからせてくれたらいい基本設定とか終盤の戦闘シーンすらわかりにくいのが個人的にはマイナスでした。何やってるのかわかんない時間が多かったんですよね。
今はこうして感想書いてるから「あんた、わかってるんじゃないの?」と思うかもしれないけど今は「あぁ、あの場面はこういう事かな?」と推測しながらだから、こうして書けてるだけで観てる間は「え?これ何なの?」「ちょっと、この人、何されてる方なの?」などと和田アキ子みたいなハテナがずっと頭にありましたね。考察させるテーマや細部はわかりにくくていいんだけど、基本設定とかにはこのハテナ要らんだろ。鑑賞中のノイズでしかなくない?
観る前はシャマランで言うと『サイン』(2002)かな?と思ってたけど実際のところは『レディ・イン・ザ・ウォーター』(2006)だった感じかな……。『レディ・イン・ザ・ウォーター』(2006)にも極一部の熱狂的ファンが居たように人によっては、本作の無駄に(と俺は思う)わかりにくい描写すらも「最高!」と思う人も多い気がする。でも僕からしたら「きっと本当は面白くて良い感じの映画なんだろうけど、ストレスが多いな」と感じた映画でした。
2001年宇宙の旅』(1968)と同じで、わざとわかりにくくして考察させてバズろうとした感じ。『ゲット・アウト』(2017)『アス』(2019)は明快でヒットしたけどもっと深さを出したかったのか。前2作より「考察勢」に話題にされてるから成功なんだろう。

 

 

 

 

そんな感じでした

『ゲット・アウト』(2017)/なんだこりゃ。めちゃくちゃ面白いんですが。。👨🏾‍🦲 - gock221B
『アス』(2019)/冒頭見てオチがわかっちゃうのは良いとしても荒唐無稽すぎる気がしました👩🏾‍🦱👨🏾‍🦲👧🏾👦🏾 - gock221B

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Nope (2022) - IMDb
www.youtube.com

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