原題:The Guardians of the Galaxy Holiday Special 監督&脚本:ジェームズ・ガン 製作:ケヴィン・ファイギ 原作:ダン・アブネット、アンディ・ランニング 『ガーディアンズ・オブ・ザ・ギャラクシー』 製作会社 マーベル・スタジオ 製作国:アメリカ 配信時間:約42分 シリーズ:『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズのスピンオフ。マーベル・スタジオ スペシャル・プレゼンテーション第2作目。マーベル・シネマティック・ユニバース マーベル・シネマティック・ユニバース
ハロウィンに配信された単発の中編映画『ウェアウルフ・バイ・ナイト』(2022)に続いて作られた、Disney+のドラマとは違う「マーベル・スタジオ スペシャル・プレゼンテーション」という新しい枠の第二作目。詳細は不明だが記念日などに単発でお送りする特別番組みたいな感じ?タイトルは勿論『スター・ウォーズ ホリデー・スペシャル』(1978)から……。
クリスマスは一ヶ月後なのに随分早めに配信された。
この作品の予告編が2022年10/26に突然まるまる全部リークされた、YOUTUBEやSNSでね。予告が丸々全部リークされたのは初だったので驚きました(その代わりに解像度が低かった)。その2時間後に公式が正式な予告編を公開した。これによってリークの拡散は止まりニュースになったりせず火消し成功した。どう見ても急遽へんな時間に公開したもんだから日本語字幕とかは付いてなかった。
ウェアウルフがそうだったけど本当は12月の序盤に予告を公開してクリスマスに公開する予定だったんじゃないのかな?と思った。
ガーディアンズの冒険としては『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(2014)、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』(2017)、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018)、『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)、『ソー:ラブ&サンダー』 (2022)に続く話。
監督のジェームズ・ガンはMCUからDCへと発展的な移籍したばかりかDC映画のトップになった、僕はジェームズ・ガンもDCコミックも好きなのでこれは凄いニュースなのだが話題にしてる人が少ないのが疑問だ(アメコミ映画好きな人ですらあまり話題にしてないのが不思議)。ガンのMCU作品としては来年、公開される『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー Vol.3』(2023)が完結編となる。
ネタバレあり
Story
『ソー:ラブ&サンダー』 (2022)でソーとコーグと別れた後のガーディアンズ・オブ・ザ・ギャラクシー。
どうやらガーディアンズは、かつてコレクターが支配していた惑星ノーウェアを、買い取って皆の惑星にしているらしい。
チーム的には、痩せっぽちだったグルートはマッチョになっており、クラグリンや宇宙犬コスモも完全にガーディアンズ入りしている。『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)で過去から来たガモーラは相変わらずどこかに消えたまま。
ガモーラの不在のせいでピーター・クイル/スターロード(演:クリス・プラット)は元気がない。
クイルに元気を出してもらおうとマンティス(演:ポム・クレメンティエフ)とドラックス(演:デイヴ・バウティスタ)は彼のためにクリスマス・パーティを企画する。
クイルへのプレゼントとして彼が昔からずっと憧れていた俳優ケヴィン・ベーコン(演:ケヴィン・ベーコン)をクイルに会わせる事にする――
そんな話。
つまりマンティスとドラックスが主人公。
僕はガーディアンズの中でも……いや、MCU全キャラの中でもこの2人はベスト5に入り続けてるくらい好きなので単純に嬉しい。
ラヴェジャーズに拾われた頃のクイルはクラグリンとクリスマス・パーティをしようとするが、ヨンドゥに怒られて中止させられた……という逸話を聞いて同情したマンティスがクイルのためのクリスマス・パーティを企画する。相棒のドラックスと共に、地球のハリウッドにやって来てクイルの子供時代のヒーローであるケヴィン・ベーコンを連れてくる事にする。
ハリウッドに降り立ち、ベーコンの住んでるとこを聞き込みする2人。クリスマス時期のハリウッドは浮かれたやつが多いので2人も特に怪しまれない。
キャップのコスプレしてる奴を本物のキャップだと勘違いして「スティーブ!」と抱きつくマンティス。本物のキャップと仲良くなってたんだな。サノスを倒した後に打ち上げとかあったのかな。
「ガーディアンズ・オブ・ザ・ギャラクシーという宇宙のヒーローチームがアベンジャーズに手を貸してサノスを倒して地球を護った」という事はボンヤリと地球人に知られている事は『ミズ・マーベル』 (2022)のアベンジャーズ・コンでわかった。だがキャラが強いロケットやグルートは知られてるっぽいが、その他のメンバーは周知されていない感じ。マンティスとドラックスを見てもガーディアンズだと気付く人は居なかった。
マンティスとドラックスがケヴィン・ベーコンを追いかけるくだりは、マンティスの猿のような敏捷性、銃撃されてもくすぐったくて笑うドラックスなど彼らの強さが充分に観れる(ドラックスはハルク並に強いのだが彼のパワーはコメディシーンにしか発揮されないのが面白い)。ドラックスといえばSNS等で「ドラッグス」という言い間違えが多いのが気になる。「G」じゃなく「X」なんだから「ク」だろう。ドラックスはまだ良いがバットマンの事も「バッドマン」という間違えも気になる。蝙蝠は「BAT」だろう、なのに「BAD」じゃ悪い男になってしまうから意味自体変わってしまうやろ、本当にバッツ好きなのか?……と10数年思ってる。
マンティスは触った相手を眠らせたり思い通りに洗脳できる、地球で困ったらこのパワーで全て乗り切る。マンティスといえば何気に対サノス戦で最も効果的な戦力だった。「直接、手で触る」という予備動作が必要なので「直接触る事が出来るなら、それ以前に只の人間でも敵を殺せるじゃん」という感じはあるが、殆どのヒーローが物理的にダメージを与えられないサノスが相手でも、サノスの手足を拘束すればマンティスは有効だという事が示された。
楽しい追いかけっこの末、マンティスはケヴィン・ベーコンを洗脳し、クイルへのプレゼントとしてノーウェアに持ち帰る。
そういえばノーウェアは、一作目から「コレクターが支配する惑星」として登場していた。今ではガーディアンズの領地になっていた。『ソー:ラブ&サンダー』 (2022)でソーと別れた後、ガーディアンズはノーウェアを統治したようだ。
しかしノーウェアはセレスティアルズの頭蓋骨……いわば死体なので今後セレスティアルズや(MCUに登場したのとは別の)エターナルズに見つかると住んでるガーディアンズや民たちは皆殺しにされかねないので実は全く安全な惑星ではない。
だが今のところは皆で楽しく暮らしているようだ。
ケヴィン・ベーコンを洗脳してノーウェアに連れ帰ったマンティスとドラックス。
しかしクイルはマンティスとドラックスの非常識な行いに激怒。洗脳を解きベーコン氏を地球に返そうとする。ベーコンはクイルのお兄ちゃん的な立場のクラグリンから「ケヴィン・ベーコンが如何にクイル少年のヒーローだったか」を聞かされ、クイルのために心温まるクリスマスを決行。ガーディアンズもプレゼント交換をして楽しむ。
ついでに昔、クリスマスしたかったクイルに辛く当たってたヨンドゥも実はいつものようにツンデレしていただけだという事や、クイルとヨンドゥが贈りあったプレゼントが何だったのか明かされて話は終わる。
ジェームズ・ガンが得意とする”仲間の絆”を押し出したハートウォーミング・ストーリーだった。
あってもなくてもメインのナンバリングには大して影響しないという内容。ファンがよく「○○と◇◇が楽しくしてるだけのDisney+のMCUドラマが観たい」という話がされがちだが本作は正にそんな感じだった。
僕が好きなドラックスとマンティスとケヴィン・ベーコン演ずるケヴィン・ベーコンが主人公の中編映画。
ハートウォーミングだし楽しかったのだが、同時に「ジェームズ・ガンは一体いつまでこんな話続けるの?」という気持ちも少し浮かんだ。
1作目はママと仲間、2作目はパパと仲間、本作では少年時代のヒーローとクリスマスを過ごす……という話で徹頭徹尾「少年のまま体だけ大きくなった白人男性ピーター・クイルが少年期の喪失感を回復させる」という展開が続ける。
ジェームズ・ガンの作品はどれも「仲間との絆」「家族」「ジェームズ・ガンの好きなカルチャー」がテーマなので全作そうなんだけど。
人には好みあるから、好きな作品には差があって、
超好き!:『ピースメイカー』〈シーズン1〉(2022)、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(2014)、『スーパー!』(2010)
好き!…な部分とそうじゃない部分両方ある:『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』(2021)、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』(2017)
普通:『ブライトバーン/恐怖の拡散者』(2019)※制作 、『スリザー』(2006)
というのが僕の中での差。
世間一般的には『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』(2017)が一番人気ある。僕はというと、妙にウェットな描写やヨンドゥの長い葬式とか、やたらハシャいでる印象のコメディシーンの異常な多さとかが好きじゃない、でもスターロードがエゴの「私の誘いを蹴れば無限のパワーを失って凡人になってしまうんだぞ!?」という誘いを「それの何か悪い?」と拒絶する場面やドラックスやマンティスの楽しいくだりはクソ好きだが……要は好きなとこと、そうじゃないとこが両極端。
ガン作品は「仲間との絆」「家族」「ジェームズ・ガンの好きなカルチャー」の三本柱が横軸で、縦軸は「ウェット」か「ドライ」かというのがある。で「ウェット」の度合いが高まると好きじゃなくなる。ジェームズ・ガンは本人も作品も元々ウェットなので更にウェットにすると度が過ぎると思う。
このシリーズのメインのファン層……キッズ~20代くらい?を考えると、中年の自分がガーディアンズのシリーズを観て、こんな風に思うこと自体が間違ってるのかもしれない。本作を観て「最高に泣けた!」という人が……知り合いの若(わか)たちも「最高!」とか言ってる時に老(ロウ)の自分がいちゃもん付けるのも別にしたくないんですよね。別にそこまで自分の話を聞いてほしいわけでもないし……(本気で聞いてほしいならTikTokかYoutubeでやっとる)。
そんな感じで本作は、マンティス&ドラックス&ケヴィン・ベーコン(ケヴィン・ベーコン)の楽しさ。少年期のトラウマにしか向き合えさせられないピーター・クイルへの不安……という感じがありました。スタロも、もうアラフォーだろうに。
で、そのスターロードだが『ソー:ラブ&サンダー』 (2022)に続いて異常に暗い。『ちびまる子ちゃん』のキャラみたいに顔にずっと縦線が入っている。明るいキャラだったのに本作で笑顔を見せるのも、一回怒った後にベーコンの演奏やプレゼント交換、マンティスとの会話の時くらいだ。
これは何故かというと、作中では「ガモーラを失ったから」という事になってるが、実際のところはスターロード役クリス・プラットが私生活でバッシング&キャンセルされ続けてるからだろう。実情を語ると長くなるし面倒なので各自検索してもらうとして、一言で言うと色んな無神経発言とか猫が成長したら他人にあげちゃったりした事とか宗教的政治的なスタンスによりバッシングされている。クリプラ本人も強く反論しないし、アベンジャーズ仲間が擁護しても「白人仲間が叩かれた時だけ助けるのか!」と更にバッシングされてしまう状況(実際、初代アベンジャーズ白人男性俳優たちは女性や異人種キャストが叩かれた時あまり擁護しない)。
つまりクリプラはもう2年くらい追い詰められている。で一番擁護し続けてるのはジェームズ・ガン。ガン本人も過去の発言で一瞬MARVELスタジオから追放されかけたし、やらかした事に思うところあるのだろう。『ピースメイカー』(2022) が正にそうだったが「人間やらかす事もあるけどセカンドチャンスくらいあげようや……」という内容だった。
で、『ソー:ラブ&サンダー』 (2022)や本作のスターロードがずっと暗いのは、彼がはしゃぐと叩かれるからおとなしくさせてるんだろう、と思う。
僕はというとガンは好きだしクリプラに対しても、良く言えば「単純に無神経で天然な人なのかな?」と思っている。だが『ピースメイカー』(2022)の内容のようにチャンスはあるべきだと思う。
そんな感じで来年の『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーVol.3(原題)』(2023)を見守ろうと思う。ロケット死にそうだよね……。
で、次のMCUは来年からフェイズ5、その一作目2月に映画『アントマン&ザ・ワスプ:クアントマニア』(2023)、でDisney+は序盤にドラマ『シークレット・インベージョン』(2023)、アニメ『ホワット・イフ?』シーズン2(2023)……みたいですよ?
そんな感じでした
〈MCUの関連作〉
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〈ジェームズ・ガン監督作〉
『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』(2021)/前作とハーレイ単独作で上手くやれなかった部分を全部こなすガン監督。そして本作そのものより魅力的なピースメイカー⭐ - gock221B
『ピースメイカー』〈シーズン1〉(2022) 全8話/「過ちを犯したクソ野郎にも更生の余地はあるのでは?」とジェームズ・ガンが問いかける傑作ドラマ🚽 - gock221B
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The Guardians of the Galaxy Holiday Special (TV Special 2022) - IMDb