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『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(2014)/この一ヶ月くらい何度も観てるうち物凄い好きになった🦝


原題:Guardians of the Galaxy 監督&脚本:ジェームズ・ガン 製作:ケヴィン・ファイギ
原作:ダン・アブネット、アンディ・ランニング 『ガーディアンズ・オブ・ザ・ギャラクシー』
製作会社:マーベル・スタジオ 製作国:アメリカ 上映時間:121分

シリーズ:「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」シリーズ。マーベル・シネマティック・ユニバース

 

 

 

MCUは2008年に始まった時「『ダークナイト』シリーズはどうも好きになれないし俺はこのMARVELスタジオが最近始めた『アイアンマン』や『インクレディブル・ハルク』のラインを応援するぜ」と思い、はや10年。。
楽しみに全作観てきてはいたが、アメコミ以前に映画の方が好きな自分としては「映画ファンとして、たまたまMCUを全作観てるだけ」という一歩引いたスタンスで観てたのだが、ほぼ全キャラ(アントマン以外)が一堂に会する「アベンジャーズ:インフィニティ・ウォー」を観たら、今まで「たまたま無数の点を全部観てるだけ」という感じだった視点が、点が線になりそれらが相互に屈折、反射を繰り返し干渉しあって気づいたら10年めにして決定的にMCUそのもののファンになってしまい、この一ヶ月くらいMCU映画を色々と観返していた。
その過程で気付いたらガーディアンズ二作を吹き替えでほぼ毎晩観てる間に「何か全然飽きないな。普遍性があるのかな」と思い始め、つい一ヶ月くらい前より数倍くらい好きになっていた。以前は「面白いけどそこまで好きじゃないな」と思ってたので19作品中11位くらいだったのだが、一ヶ月後の今は最早1位か2位かってくらいに大幅ランクアップした。以前は「ベタな曲ばっかりやんけ」と思っていたサントラも気付いたら2枚とも買っていたし。。
以前そこまで乗り切れなかった理由はジェームズ・ガンの「スーパー!」が好きすぎたとか他にも細かい理由が色々あったのだが、自分の中でそれらは気にならなくなった。
「インフィニティ・ウォー」観る数日前に書いた「まあ、なかなか良いよ」って感じの本作の感想と、一ヶ月後の今ではすっかり内容への印象が変わってしまったので書き直す事にした。
ネタバレ有り

 

 


ヒーロー系のアメコミ映画は楽しいが、オリジン(誕生譚)である一作目には「ヒーロー誕生までの時間」が一時間くらい必要という短所があった。
そのように序盤でパワーを経てガンガン活躍し、中盤で主人公ヒーローの暗黒版みたいなヴィラン(悪役)に出会って敗北し、後半で再び立ち上がって勝利してこれからも護っていく自分の街をビルの上から眺めながらダニー・エルフマン風のBGMと共に終わる‥殆どのヒーローもの一作目はこれが定番。
オリジンの描写がヒーローになった後半よりも楽しかったアイアンマンとキャプテンアメリカ。「何度か映画化してるから改めて言わなくても知ってるよね?」という感じでオリジンを省略したのがMCU版ハルクとスパイダーマン。そのような工夫が観られる昨今。
本作の場合、各ガーディアンのうち主人公格のスターロード(以降クイル)の生い立ちをアバン(OPまでの冒頭)でちらっと見せて、他のガーディアンは台詞で語られるだけ、後は想像してくれという形だ。
だから本作は他のヒーローものの二作目のように最初から楽しい展開が続く。
そしてガーディアンズはキルン刑務所からの脱獄のため、映画開始から僅か30分で結集する。だがこの時点では、まだ只の犯罪者だ。
他のチーム‥たとえばアベンジャーズは既にそれぞれが自立しているヒーローが後から集まった形だが、このガーディアンズは逆に、宇宙の犯罪者が集まってアウトロー集団を形成する。そしてコレクターの館でインフィニティ・ストーンの恐ろしさを知ったガモーラが自分たちの利益より宇宙全体の安全を考え始め、次にクイルが自分の命を投げ出してガモーラを救出し、自分の欲を優先させて敗北したドラックスやロケット&グルートも後に続き、5人はパワーストーンを取り戻して銀河を救うため力を合わせる。
このようにガーディアンズは、最初はヨンドゥのラベジャーズ同様ただの犯罪者集団だったのだが、ガモーラの利他的精神を起点にしてヨンドゥの艦で赤い服に着替えた頃には5人全員が銀河の守護者として生まれ変わる。
アベンジャーズのように、各人をヒーローに目覚めさせて結集させていたら時間かかるので、まず先に結集させて後からヒーローにしたと言える。
本作は「いきなりヒーローチーム」の最初のモデルケースだと言える。

 


冒頭とラストで、クイルの死んだママが描かれ、本作は母の要素で挟まれていたことがわかる。
幼い頃、クイルは末期癌患者の母による「ピーター、私の手を取って」と言われるが生まれて初めて目の辺りにした死の香りに怖じけてしまい、クイルは母の最期の願いを叶えてあげられないまま、宇宙に旅立ち大人になった。
戦闘力の高い盗賊をして色んな異星人の女と寝てはいるが、人間的には子供がそのまま大人になったかのようなキャラクターになっているように見える。母に貰ったMIXテープを常に肌身離さず持って聴いているし。そのテープが奪われると自分の命を危険にさらしてまで取り返しに行き(キルン刑務所)、破壊されたら当然激怒する(Vol.2)。
要するにクイルは最期に母の手を取ってあげられなかった事を後悔しており、彼の時間は幼少期でストップしている、という事が説明なしに描かれている。
グルートが命を犠牲にして仲間を救った後、ロナンとのラストバトルが行われる。
クイルは「これが自分だ」とでも言うようにダンスでロナンの気を逸らす。その間ロケットが即席で作った兵器をドラックスが撃ってロナンのコズミックハンマーを破壊、宙に投げ出されたパワーストーンをクイルが手にする。
どうでもいいけどクイルとストーンを取り合うロナンは実に良い顔していた。
本作では「ガーディアンズの各キャラ紹介とチームとしてのオリジン」「コズミック系の色んな設定紹介」などやる事が多すぎたので、本作のヴィランであるロナンは「ただのすげえ悪いやつ」でしかなかった。だがクイルが踊りだして困惑するところと、この石の取り合いの時だけは輝いてたね。
中盤のコレクターのくだりで「只の人間が手にすると破壊される」という前フリもあってクイルはパワーストーンのエネルギーが自身に流れ込み、その重負荷に苦しむ。この時クリス・プラットが凄く不細工な顔になるのが良い(ついでに言うとノーウェアでコレクターの助手がストーンを掴んだら甲高い叫びをあげて爆発四散する前フリも凄く良い)。
ガモーラはクイルの負担を減らすために手を伸ばし「ピーター、手を取って!」と、奇しくもクイルが幼い頃、手を握れず死んでしまったママと同じことを言う。
ピーターはガモーラをゆっくり向いて彼女を見る(ここのエネルギーの重負荷を負ったクイルの顔が凄くカッコいい)クイルはガモーラが死ぬ寸前の母に見える。
この、ママが手を伸ばしてるカットは何回観ても涙が出る。
「スーパー!」でも、「コマとコマの間」とか、ラストで兎を抱いて思い出の絵日記を見る主人公の画を、何回観ても泣いてしまうようにジェームズ・ガンはカット一発でわからせて泣かせるのが上手いなぁと思った。
とにかくガモーラの手を取ったクイルは母が目の前で死んだトラウマを克服、続いてドラックスやロケットもクイルに触れて重負荷を受け持つ。
こうしてガーディアンズパワーストーンのエネルギーの奔流に耐えてロナンを倒すことができた。
実は、クイルは父親が天界人セレスティアルズだった事が最後にわかる。セレスティアズのDNAを持っていたために耐えることができたのでガモーラたちの協力は物理的には役に立っていない。
だが心に穴が空いたままのクイルはパワーストーンに耐えられそうになかった。
そこを助けてくれたのは母の姿が重なったガモーラにトラウマを刷新して克服、そしてドラックス、ロケットとの仲間意識で心強さを得てこそ耐えられたっぽいので、やはり必要だったのだ。ただ特殊技能を持った者が集まっただけでは充分ではなく「ガーディアンズじゃなきゃ銀河を護れなかった」という説得力があった。
こうしてクイルは母のトラウマを克服する。そしてVol.2では父なし子の部分を克服するのでこのシリーズはクイルの(精神的な)自立を描いたものなのかもしれん。そうなると両親のトラウマを克服してインフィニティ・ウォーを経験した後のVol.3がどうなるのか気になるな(子供にまつわる話か?アダムは金ピカ女王の子供だし‥)

 

 

本作はジェームズ・ガンが持ち込んだ楽しいノリによって「アイアンマン」一作目、「アベンジャーズ」一作目、「キャプテン・アメリカ:ウィンター・ソルジャー」などとように以降に続く作品群に影響を与えるMCU重要作の一つになった(既に真面目な映画が出来上がってたらしいのに、切り刻んで本作のノリを表面的になぞって大失敗したのが「スーサイド・スクワッド」)
ガーディアンズ?知らない人たちですね‥
あと超マイナーだったMARVELヒーローを本作一発で大人気キャラに仕立てた。
アイアンマンの時は「スパイダーマンX-MENの版権がMARVELスタジオに残ってないから‥仕方ない、俺たちはアイアンマンでいく」という感じだったが、ガーディアンズに至ってはMARVELコミックを毎月大量に買ってるおじさんじゃなければ知らないようなキャラだった。「大スターを主役にしなくてもヒットできる。というかスターは揉めるから脇役にしか使わん」に続いて「人気キャラじゃなくてもヒットさせれるぞ」を可能にした。
セレスティアルズのこと天界人と呼ばないで‥

劇中では「天界人」というダサいダサい呼び名で呼ばれる。セレスティアルズは今後も本シリーズや「エターナルズ」などコズミック系で出続けそうな感じなので一刻も早くこの「ONEPIECE」みたいな呼び方はやめて欲しい。
本作(またインフィニティ・ウォー)でノーウェアという衛星のような場所が出てくる。これはセレスティアルズの頭蓋骨だったという。凄くハッタリが効いていて良い感じだ。
また中盤、コレクターがインフィニティ・ストーンの成り立ちを説明したり、原作のセレスティアルズっぽい巨人の姿が見れたり、色々とワクワクした。
★ノヴァの事、ノバって言うな
あとNOVAの事を「ノバ」と、駅前留学っぽく表記するのも止めて欲しい!
ノバ軍はインフィニティ・ウォー開始前に壊滅したらしい。どう考えてもノヴァ軍が再編されMARVELヒーローのノヴァが誕生しそうな流れ。
ガーディアンズが終わった後に単体作「ノヴァ」が作られるのか、はたまたガーディアンズ的なコズミックチームに一員として入るのか、それとも地球に来て映画製作が噂されるカマラちゃん(Ms.MARVEL)や今いるスパイダーマン、もしくは黒人スパイダーマンのモラレス君(彼の叔父が「スパイダーマン:ホームカミング」に登場した)などが若者チーム、チャンピオンズを結成するのか‥色んな予想ができるが、その際に「ノバ」では嫌だ。まるで駅前留学で英語を教えるオバサンみたいな響きだ。一体誰が「ノバ」と書くことにしたのか‥一体どんな育ち方したらそんな表記にしようと思えるのか‥ろくなもんじゃないよ。
ノバ軍はラストバトルで8万人くらい死んだらしい。ちょっと被害がデカすぎて引いてしまうが。。ノバ軍のノバマーク型のビルや宇宙戦闘機はカラフルでカッコよかった
MCU世界拡張

そんな感じで本作はMARVEL映画初のコズミック系ヒーローとして、ノリの良さだけでなく、MCUの世界観を広げる事も映画の目的の一つだった。
コズミック的には「インフィニティー・ストーン」「天界人セレスティアルズ)」「ラスボス的な匂いだけさせているサノス」「宇宙三大帝国の一つクリー人」「ザンダー星のノバ軍は宇宙警察(やられ役)」そんな感じで「MCU宇宙には色んなもんがあるんだなぁ」と思わせる。コレクターの屋敷にもダークエルフや宇宙犬コスモなどが居るのもいいね。
その後「アントマン」で、時間や空間の影響を受けない量子の世界〈マイクロバース〉。「ドクター・ストレンジ」で魔術系ヒーロー、多次元世界〈マルチバース〉の存在が提示され、暗黒次元〈ダークディメンジョン〉、鏡の世界〈ミラーディメンジョン〉、霊体だけ存在できる〈アストラル次元〉など色々な方面にMCU世界を広げている(そしてストレンジでのマルチバース横断や、GotG2のジャンプ中にアントマンのマイクロバースと囚われたままのワスプが一瞬映ったりしている)
ハワード・ザ・ダック
そういえば本作のエンドクレジットでハワード・ザ・ダックが登場するので僕は「ハワード・ザ・ダックだ!最高や!」とMCUエンドクレジット史上最高に盛り上がれたはずだったのだが本作の公開数日後に映画評論家の町山智浩氏がハワード・ザ・ダックの画像付きでダックが出ることをツイートするという回避不能のネタバレして「ハワードザダックなんか誰も知らないから大丈夫」とか言っててかなりムカついた覚えがある。最近もIWでフューリーがマザーファック言う前に消えることを言ってたがMCUエンドクレジットの事を書いたらアカンと思う(それを指摘したらそれこそネタバレになるので指摘も出来ないし)。MCUエンドクレジットだけは絶対にネタバレされたくない。実際に映画のネタバレされても実はそんなに困ることは少ないのだが、そういった配慮をする気のない人の雑な性根が自分の中に入ってきて嫌な気分になるからだ。
★吹き替え
今回、Vol.1&2を吹き替えで何度も観ていた。
最初は「山ちゃん好きだがクリス・プラットと合うかなぁ」と思ってたがめちゃくちゃ合ってた。。今まで山ちゃん吹き替えで一番好きだったの「ファイトクラブ」のブラピだったが、それを超えてきた僕の中で。。
「普通の奴は人間を食ったりしない!それを良い事みたいに言うなよ!」と他人に正論で突っ込んだり、キレた時に静かに喋るというヤバい怒り方をする時の喋り方や「銀河の守護者だからだ‥」とボソボソキメ台詞を言う時がめちゃくちゃカッコいい。正直、クリス・プラットはもうスタローン、シュワ氏、ジャッキー・チェンジョージ・クルーニーなどと同様に山ちゃんの吹き替えでしか観たくないとすら思えてきた。。やっぱり山ちゃんはすごい
あとの全員よかった。加藤浩次のロケットも頭の中で想像すると、どう考えても合ってないと思われたがいざ観てみると凄く良かった。ただ「うおお~~!」みたいな絶叫すると声が割れてSEと被って聞き取りにくくなる。それと泣く時など感情を顕にする時に少し照れを感じた(ような気がする)それ以外は良かった。いや‥大好きだと言ってもいい。
そんな感じで公開当時「まあまあかな」→IWの前「好きになってきたかな?」→という状態から凄く好きになった。
何か旧「スター・ウォーズ」や黒澤明時代劇のような普遍性すら感じて何回観ても飽きない気すらする。そして尋常じゃないほど好きだった本作の監督ジェームズ・ガンの「スーパー!」より本作の方が好きになってきた。
逆に言うと何で公開時や、その後何度か観た時にピンと来なかったのか今となっては何が気に入らなかったのかよくわからない(思い出せない)。
それとも今回、IWでMCUそのものが好きになってポジティブに観たせいか?
当時これ観た時に「ガーディアンズの苦戦が足りない」と思ったような記憶があるので、IWでガーディアンズが大変な苦難に遭うので遡った本作をもっと素直に観れたのかもしれない。
しいて言うなら戦闘機等に乗った時の、各人の位置関係がわかりにくいくらいか。
IW観るまでは何か悪い意味で、大学生が飲み会で盛り上がってるような雰囲気を感じてた気がする。そんなネガティブな視線がIWのガーディアンズ苦戦によって外れて、くもりなきまなこで観れたのかもしれないきっと‥
本当はもっと好きになりたかったので、そうなれてよかった。
もっと色んなものに対してそう思えるようになりたいものです。。

 

 

 

そんな感じでした

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Guardians of the Galaxy (2014) - IMDb

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