原題:I am Groot 監督&脚本:カーステン・ルポール 製作総指揮:ジェームズ・ガン、ケヴィン・ファイギほか キャラクター創造:ジャック・カービー、ラリー・リーバー、スタン・リー 制作スタジオ:マーベル・スタジオ 配信局:Disney+ 製作国:アメリカ 配信時間:各話約5分、全5話 シリーズ:『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズの外伝。マーベル・シネマティック・ユニバース (Disney+アニメ)
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(2014) 、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』(2017)、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018)、 『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)、『ホワット・イフ…?』〈シーズン1〉全9話 (2021)、『ソー:ラブ&サンダー』 (2022)などに登場する樹木系ヒューマノイド、グルートを主人公とした3DCGアニメ。
しかも『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(2014) で仲間のガーディアンズを護って死亡した大人のグルートではなく、ラストで誕生した二代目の幼児期……通称ベビーグルートの方。
このアニメが、正史(アース616、又はアース19999)なのかどうかは不明。マルチバースの『ホワット・イフ…?』〈シーズン1〉全9話 (2021)同様に実写のフェイズ4には入らない、正史に限りなく似たマルチバースの話かもしれないが、正史っぽう作られてるし、そう観た方が見どころ多いので正史だと思って感想書くことにした。スタッフのインタビューなど読んでもマルチバースだと思ってる人や正史だと思ってる人などバラバラで曖昧。だが正直、正史だろうが正史じゃなかろうが全く影響しない内容なのでどっちでもいいと言える。正史だとしたら、多分1ラストから2冒頭までの短期間の時系列かな。
2年前にMCUが現在、劇場公開やDisney+で配信中のMCU作品群の発表した時に一番……唯一興味なかったのがこれだった、他のは全部興味あった。
そもそも元々ベビー・グルート自体に全く興味ない。もちろん嫌う理由はないので嫌いじゃない、ただ本当にただの可愛い幼児なので「グルート可愛いね」「ガーディアンズ皆の子供だね」と思う以外、何のドラマもないキャラなので好きでも嫌いでもない、どうでもいいというのが正しい。喩えるなら他人の子供が描いた絵みたいなもの。如何にもディズニーが好きな商品にしやすそうなタイプの可愛さでもある。『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』(2017)が終わった後のポストクレジットでは速攻で生意気な思春期に成長したのは本当にホッとした。
現在、Netflixで配信が始まったDCコミックのドラマ化『サンドマン』(2022)に、10年に一度くらいの勢いで激ハマり中なんだが、『サンドマン』は大人っぽく幻想的で暴力もある……という本作の真逆の作品なので、本作のキッズアニメっぷりが余計に際立った。
本編を観ても、本当に幼児のグルートが愉快で可愛い事してるだけで何の感想も沸かないので、これまでMCU全作の感想を当ブログに書いてきたのだが「これは感想、Filmarksで一言、二言で済ませとこう……」と思ったが最後まで観たら一点だけ興味深い事があったので感想書くことにした。
アニメは30分くらいのが10数話、続くのかと思ってたら、一話が4~5分くらいの超ショート短編が5話しかなかった。朝食食べながら一瞬で観れる。これには「やった!すぐ終わる!」と心が躍った。義務を超える義務となっていた。
ネタバレあり。
第一話『グルート、初めての1歩』
ガーディアンズの宇宙船ミラノ号内で、鉢植えからすくすくと育ってきたまだ幼児のベビー・グルート(CV:ヴィン・ディーゼル)。お世話ロボが盆栽みたいな宇宙植物を贔屓するので怒って暴れて盆栽ごと落下して鉢植えが割れる。自分に脚があり歩行できる事を初めて知るグルート。人間の赤ちゃんで言うと歩行器無しで歩けるようになったってところ。このアニメが正史(アース616、又はアース19999)だとしたら、ガーディアンズ一作目のミッドクレジットでダンシングフラワーみたいに生えてきたグルートが鉢植えを卒業するまでの話か。
特に「アニメが綺麗」という以外、何の感想も沸かないが一緒に落ちた盆栽もラストでグルートと仲良くなっており「盆栽、落ちたけどちゃんと生きてますよ!安心してください」というサジェストが強烈に差し込まれてきた。なんか、この描写、妙に監督の意思を感じる……笑。嫌な意味での興味が湧いた。
第二話『リトルガイ』
とある惑星でベビー・グルートは木でタワーを作るが大きいモンスターに取られてしまう。足元の石をどけるとちっちゃい生き物がたくさんいた。リトルガイ達の視点になり、ちびっ子だったはずのベビー・グルートが大怪獣のように描かれる。
「外界のものや自分の体が大きくなったり小さくなったり感じてイメージの変容を感じる」という”不思議の国のアリス症候群”みたいな短編でよかった。自分は小学生の頃、風邪で熱出した時だけ、不思議の国のアリス症候群になってたな~。それくらい。
ベビー・グルートがリトルガイたちに親切にしようとしたら、うっかり踏み潰してしまう……というジェームズ・ガンっぽい展開がオチなのだが(どっちかというとタイカ・ワイティティっぽいか)、しかしラストのカットで踏み潰されたと思ったリトルガイ達はポコン!ポコン!と元気よく可愛く出てきて「死んでませんよ?リトルガイたちは。」とサジェストしてきた。
確かに死んでなくて良かったが、またか……。第一話同様に監督の意思を感じる。どうやら本作の監督は映画とか観てて「○○は死んだの?生きてるの?どっち?」と気になるタイプなのかもしれない。
第三話「グルート、捜査する」
ラヴェジャーズから切り離した宇宙船が舞台。
荒くれのラヴェジャーズ達が使ってたものなので汚い。リアルに汚い便座が出てきて嫌な気分になる。
船内に居た液体生物がベビーグルートの形になり、2人のベビーグルートはダンスバトルする。「ガーディアンズといえば懐メロとダンスだろ」というサムシングを感じる。
グルートはダンスバトルに夢中な液体生物を宇宙船外に追放して終わる。
この話だけは明確に「グルートが他者を抹殺」して終わる。
って事はあのまま放っといたら入れ替わられちゃう危険な生物だったのかもね。
小動物を抹殺するのはこの話だけなので異色だ。そのために真ん中に位置させてピリッとさせたかったのかも。
第四話「グルート、お風呂に入る」
グルートは、とある惑星の熱い沼に温泉のノリで浸かる。するとグルートの身体に葉っぱがいっぱい生えてくる。
ファッションを楽しむグルートだが、葉はすぐに枯れて散ってしまう。再び熱い沼に浸かるグルート、葉が生える、外に出ると葉が散る……何度もこれを繰り返す。
一部始終を見ていた意地悪な宇宙鳥が笑う。意地悪といっても別に悪いことするわけではない。グルートが焦ったら意地悪そうな顔で笑うというだけだ。
鳥の毛皮を奪ってマフラーの様に首に巻いてオシャレするグルートがオチ。
優しい鳥の毛皮を奪ったらグルートが悪者になるので、意地悪な笑い方させて、鳥を悪者にしてたんだね。
ここまでの話同様に正直「アニメが綺麗だし、ベビーグルートは人気者」以外に何の感慨も湧いてこない。
ラストカットで「毛皮を奪われて寒そうな宇宙鳥」が映る。あっまたか!
「グルートは鳥を殺して皮を剥いだわけじゃないんだよ?鳥は寒そうだけど羽はまた生えてくるから心配しないでね」と示してきた。
第三話で「リトルガイを踏み潰した」がオチで良かった『リトルガイ』同様に「マフラー巻いて歩き去るグルート」で完全にオチてたのに、わざわざ「寒そうな鳥(生きてた鳥)」を見せてくるこのセンス……、やはり「無害な小動物は無事だった」とどうあっても報せたいと見える。他に特に気になるところがないせいか凄く気になる。
第五話「大傑作」(最終話)
ガーディアンズの宇宙船内でスタロのジェットブーツ、ドラックスの石鹸、ロケットの尻尾の毛、宇宙船の基盤……等を使って自分も含めたガーディアンズが仲良くしてる絵を描くグルート。この話だけロケット(CV:ブラッドリー・クーパー)が出てきて台詞もある(他の話は台詞もない)。
とはいえ、この話もまた他愛もない可愛らしい話すぎて脳細胞が1mmも動かない……と思ったがグルートが描いた絵をよく見ると、小さいはずのグルートが誰よりもデカくてガーディアンズを頭上から護ってる。絵を見たロケットも「この絵、随分お前がデカいな?」と不思議そうにしてたが絵には仲間入りしたマンティスが居ないし絵の中のスタロが号泣してる……!?
「あっ!一作目でガーディアンズを庇って死んだ初代グルートの記憶だ!」と思った。
一作目観た時、ラストでベビーグルートは「グルートの欠片が再生した存在」だと大勢は思って観てたがガン監督はインタビューで「違いますグルートは死にました。ベビーグルートは別の個体です」と強く明言してた。だから「ベビーグルートは、死んだグルートの息子」みたいな感じでずっと思ってたのだが、死んだ大人グルートの記憶も持ってた事が意外だったし、それが何だか凄く良いことに感じられて少しじん……とした。「死しても願いは繋がっていく」的なことを感じさせられたせいかも。「おっさんグルートの記憶も共有してるの?」という意外性が亀裂を入れた俺の脳に、一作目で大人グルートが皆を護って死ぬ感動的なシーンが流入してきて思いのほか心が動いた。
このアニメで初めて心が動いた瞬間だった。
「感想なにも書くことないしFilmarks送りだな」と思ってた本作をブログに書いたのは、そのせい。
それでも「ラストの絵のくだり以外、書くこと何もないな」と思いつつ一応書いてたら本作の監督が「小動物が死んでない事をオチで執拗なまでに知らしめてくる」という変なところも見つける事ができた。
その要素は、この最終話にも勿論ある。グルートのお絵描きで穴が空いた穴からロケットが「うわっ!」と船外に飛び出てしまう……と思ったら0.5秒後にベビーグルートが枝の触手で助ける!またか!普通だったらロケットが穴から外に吹き飛ばされて「ほよ?」みたいな表情のグルート、もしくは仲間のガーディアンズに助けを求めて走り去りガーディアンズがエンドクレジットが流れる中「なんだなんだ」とワチャワチャとロケットを救出しようと慌てふためく様などが描かれ、宇宙空間で息を止めて苦しがってるロケットの顔が丸で囲まれて愉快に終わるのがよくあるキッズムービーだろう。
監督「さぁみんな!これでこのグルートの愉快なアニメはおしま……ロロロケット死んでないよっ!にこっ!にこっ(こわばった笑顔)」みたいな物凄い勢い。こんなギャグっぽく船外に吹き飛ばされたところでロケットが死ぬと思う子なんていないよ~?そう言いたくなった。
しかも全5話中、4話……五分の四の確率で「誰も死んでないよッ!」と最後に絶叫してるのが何かヤバい……凄い勢いを感じました。残りの1話も「こいつは悪ものだから宇宙空間に放逐するッ!」という「死んでないよ」の逆をやったという意味では全話「そう」と言っても間違いではない。なんなんだろ。
でも自分が幼稚園くらいの時『トムとジェリー』でトムさんが天国へのエレベーターに乗っちゃって天に召されるオチの話があって「えっトムさん死んじゃったの!?この回が『トムとジェリー』時系列ラスト!?」と「死」を感じて恐ろしくなった事があった。だからディズニーの幼児への配慮なのかもしれん。よくわからないね。
それくらいっすかね、気になるところは。観る前と同様に凄く良いところも悪いところも好きなところも嫌いなところも、何もない凪のようなアニメでした。
というのも、本作は恐らく幼児を楽しませてMARVELに親しませるための作品だろうから、多分これでいいんだろう。中年なのに観てああだこうだ言ってる俺の方が悪いんだぜ。
ブログを書きすぎてラストしか興味なかったのに幾らでも感想書けるもんですね。
ブログを初めて7年経つが今回は初めて自我自賛したい気持ちになりました。何しろ観てる間ほぼ無の状態でしたから……。
次のMCUは来週から『シー・ハルク:ザ・アトーニー』(2022)が始まる。
MCUドラマ、ほぼ即日観て全部感想書いてるわけだが、本当に最初から最後まで良かったドラマは一本もないので正直MCUはドラマ作るの辞めて欲しいと思い始めた今日この頃。駄作揃いなら観なきゃ済む話だけど、どのドラマも良い部分とかはあるんですよね、だからこそ観なきゃいけないし観たら観たで消化不良になる感じですね。観終わった後「最初は良かったが後半がイマイチだったから微妙か……」と思った『ワンダビジョン』(2021)が今にして思えば一番良かったというね……今にして思えばワンダビジョンは名作の部類に入るかも?シーハルクも予告は面白そうだが今まで同様に第4話までは面白いが最終回観たらどうでもよくなるのだろうか?だがMARVELでミズ・マーベル同様に最推しのデアデビルが出てくるし楽しみにしておくか。デアデビルのドラマ作られるし。しかも今までのMCUドラマの3倍以上の全18話あるらしいし楽しみと不安両方ある。Netflix版のドラマ『デアデビル』(2015-2018)めちゃくちゃ好きだったからね。特にシーズン3はMCU全作より好きかも。
長いな後戯が。気持ちの悪い。もう終わる。
このブログ記事では誰も死んでいません。
※追記:シーズン2
2023夏にシーズン2がひっそり追加された。特に興味はないがMCU全部観てるので義務的に観た。
シーズン2もまた幼児のグルートが一人で遊んでるところを見守る感じの内容。
第五話はウォッチャーがハラハラしながらグルートを見守る。
S1と同じくキッズ向けアニメ……というか、むしろ赤ちゃん向けアニメという感じで特に面白くない。数分で終わってくれるのが幸いだ。これって本来、赤ちゃんが観るためのアニメなんだろうから、それを中年男性が観てるのだから面白いわけがない。
といっても『トムとジェリー』とかディズニーとかピクサー作品は大人が観ても楽しいのでやはり本作はキッズ向けだとしても面白くないと思う。
とにかくMCUのディズニー+作品の殆どが面白くない今こんなものまで楽しむ余裕はない。
せめて親代わりのロケットぐらい出して、ロケットがグルートに手を焼く『ロケット&グルート』として作れば良かったかもしれない。赤ちゃんが虫とか追いかけて泥まみれになったり……とかって一番面白くないかもしれない。画面は綺麗なのでベビー・グルートが好きな人なら楽しめるかもしれない。もう続き作るなよ。
そんな感じでした
gock221b.hatenablog.com
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