gock221B

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『さかなのこ』(2022)/評判通り良かったです。島崎遥香は意地悪な子やアホな役ばかりしてるので凄く良い子なのかも🐡


監督&脚本:沖田修一 脚本:前田司郎 原作:さかなクンさかなクンの一魚一会 〜まいにち夢中な人生!〜』(2016) 音楽:パスカルズ 製作国:日本 上映時間:139分

 

 

魚の専門家さかなクンの自伝的エッセイを映画化した評判良かった映画。
元居た事務所レプロに「本名を名乗るな」という呪いをかけられた実写版『千と千尋の神隠し』みたいな女優のん氏が、さかなクン役。
邦画や日本ドラマを殆ど観てない僕だけど、のん氏や柳楽優弥は好きだから観たいし(というか、のん氏や柳楽優弥を好きじゃない人とかもはやカスだろう)あと夏帆白石晃士作品でお馴染みの宇野祥平、あと最近思うところある島崎遥香も出てるし、全体的に感じの良い人ばかり出てるから本作は観ようと思ってたけど一向に配信の観放題とかに来ないのでレンタルした。

ネタバレあり

 

 

 

 

千葉県の、お魚が大好きすぎる少年・ミー坊(演:のん)は母親ミチコ(演:井川遥)や、同級生のヒヨ(演:柳楽優弥)やモモコ(演:夏帆)に囲まれてお魚ばかりの毎日を過ごす。
このミー坊こそ後に魚類学者&イラストレーター&人気タレントの〈さかなクン〉になる子だった――

映画が始まる前、画面に「男か女かは、どっちでもいい」という文言が出る。
「女優のん氏が、男性であるさかなクンを演じてるけど気にするなよ」という予防線なんだろうが「さかなクン役は、のん」と知らされた時点で「どこか妖精みたいな印象のさかなクンを、同じく非現実的で中性的なのんが演じる……いいんじゃない?」と思った、こちらの気持ちに水を刺された気持ちになった。しかし「女優のんが何でさかなクン役なんだい!?」という無粋な事を思う人がそれだけいるだろうから一言最初に言っとく必要があるだろうという判断なんだろうと思った。

幼少期のミー坊はとにかくお魚が好きで、井川遥演じる母さんは全編、息子の好きなことを応援し続けてくれている。
ミー坊と活発な友達のヒヨは下校途中、近所で恐れられている謎の男性ギョギョおじさん(演:さかなクン)と遭遇する。
ギョギョおじさんは、実家が金持ちで無職だと思われる魚好きの中年男性。
お魚に詳しいミー坊とギョギョおじさんは意気投合するが、ミー坊とギョギョおじさんはおじさんの家で魚に夢中になってる間に夜遅くになってしまい、警察を呼ばれてギョギョおじさんは不審者として連行されてしまう。
このギョギョおじさんは実在した人物ではなく「さかなクンが社会的に成功していなければこうなっていた」という感じで作られたキャラらしい。
本作はこういう闇の部分を上手く面白い感じで取り入れてるのが上手いので、だから評判良かったんだなと思った。序盤でミー坊の父が、ミー坊が飼おうとしてたタコの首を引きちぎってタコを地面に叩きつけまくってブッ殺したり、ミー坊がを魚を飼って「可愛い」と愛玩もするが同時に掻っ捌いて食べたり食卓に並んだ刺し身をも「可愛い」と言ったりして、最初からミー坊が魚を食、知識、愛玩など様々な方向から愛している事が早めに示される。ここも上手いと思った。
高校生になったミー坊からは子役でなく、のん氏が演じる。
カブトガニの孵化に成功
同級生の男子は不良ばかり。自分はさかなクンと殆ど同年代なので自分の高校時代も不良ばかりだったし実際自分も不良じゃないのに不良の生態をトレースしていた(そうしないと絡まれるから)。で、高校時代の自分や周囲の不良達と同じ様に、本作の不良たちも実際は全く不良ではなく牧歌的な良い子たちなのに不良として喧嘩したりすぐ仲直りしたりと、ほのぼのした生活を過ごしていた。ミー坊は、その中心で相変わらず魚と戯れ、不良達は「あいつ何だか、何かの主人公みてぇだな」と言う。
幼い時の友達ヒヨは柳楽優弥が演じている。高校生になって久々に再会したヒヨは狂犬と呼ばれる不良になっていたが大学進学のため、すぐさま不良を辞め勉強に励む。進学で上京しない限り地元のつまらない仕事を一生するはめになるからヒヨも必死だ。中高校生は地元で有名なヤンキー「狂犬」として謳歌し、すぐさま勉強して東京の大学に進学するヒヨはかなり賢い。
カミソリが武器で若い時の真田広之とかコマンドーのベネットみたいな網ジャケット着てる眼鏡の「籾山」の演技も凄く良かった。どう見ても不良になるような性格じゃない奴が時代のせいで不良になってる少年。喋る時に一々、声が上ずってるのがたまらない魅力がある。
この「高校編」に、冒頭の「幼少期」で仲良かったモモコは登場しない。
後の「上京編」で夏帆が演じるメインキャラなんだけど、この高校編で出てこないから後で出てきても「えっ誰だっけこの子……」と思った。
詳しくは語られないが「高校時代」でミー坊は井川遥演じる母と二人暮らしになっているので、頑固そうな父親と母は離婚して別居したと思われる。

 

 

上京したミー防は、水族館や寿司屋で働くが、どれも自分が思い描く魚との関係には程遠いのか上手く行かない。白石晃士作品でお馴染みの宇野祥平演じる店長のペットショップでバイトする。
上京したヒヨ(演:柳楽優弥)は彼女(演:島崎遥香)と高級レストランで食事をし、ミー坊を招いた。
しかし彼女が、いい歳して「お魚はかせになりたい」と言うフリーターのミー坊を馬鹿にしたため怒ったヒヨに帰らされてしまう。
ヒヨは声を荒らげたりはしないのだが(というか言い争うのシーン自体ない)彼女がミー坊を笑う間にみるみる表情がかわる様子や、彼女を帰らせて心配するミー坊に「もういいんだぁ」と風呂上がりみたいな表情で乾杯してワイン飲む様など本当に良かった。
柳楽優弥が良いというのは日本人なら誰でも思うことだろうし、ブログには全然出演作の感想書いてないけど『誰も知らない』『アオイホノオ』『浅草キッド』『ガンニバル〈シーズン1〉』とか本当に良かった。邦画と日本ドラマさほど観ないのでそれくらいしか観てないけど本当に良すぎる。そもそも何もしてないだけの顔がそもそも良い。
前半の高校時代では”狂犬”というあだ名のヤンキー役を演じてるが、これは昭和風の戯画化した演技でこれもまた良かった。さかなクンとほぼ同年代なので「『ビー・バップ・ハイスクール』が流行ってたから別に不良じゃない子も全員不良の格好してたな」と懐かしく思った。
また、このミー坊を嘲笑してヒヨに帰らされる彼女。を演じる島崎遥香は「この映画のこの役!」とあまりハッキリ覚えてないんですけど、出演してる映画やドラマどれ観ても「意地悪な女の子」「主人公の友達」「アホな女の子」の役ばっかりしてるなと思いました。割とどの役でもいい感じだし損な役ばかりしてるから、短絡的かもしれませんが「ひょっとして島崎遥香って凄く良い子なのかも」と思い始めました。
小学生の時仲良かったモモコがキャバ嬢になっていて、ミー坊と再会。
モモコは愛人に囲われるマンションへの引っ越しをミー坊に手伝わせる。引っ越しを手伝ってもくれない愛人にペットのように飼われてるモモコに同情したのか、ミー坊は「寂しいだろうから」と言って金魚をプレゼントする。
数年後?くらいに、愛人に捨てられたモモコは幼い娘と金魚を連れて突然ミー坊の家に転がり込む。ミー坊は不満もなく暖かく二人を迎える。
ミー坊は、二人を養うため自分の部屋にたくさん居た魚をバイト先の水槽に移す(店に売ったってことかな?)。
何があろうと自分のお魚への夢の事だけ考えてたミー坊が唯一、普通の人っぽくなった期間だった。モモコは転がり込んできた時も「私たちがミー坊とお魚の生活に割り込んできてごめん」と気にしてたような女性なので、ミー坊が大事なお魚を手放した日に「自分達のせいでミー坊の夢を潰える!」と悟り家を出る。
最初にプレゼントした金魚がずっと死なないで元気なのはミー坊の夢が常にブレずに彼の中にあるって事なんだろう。
この後はミー坊が落ち込んだり旧友の助けで浮上したりしてさかなクンになって終わる。
だが、ミー坊のどこか夢みたいな非現実的な半生の中で、モモコの転がり込みエピソードだけが妙に生生しいので「モモコも実在した人物なのかな」と調べたら架空の人物だったので驚いた。
たいてい映画の第二幕の最後で主人公が敗北して最後に逆転する……ってのがよくあるパターンだが、本作の場合ミー坊は仕事をクビになってもあまり悲壮感がない。しかもミー坊が失敗してきた「水族館」「寿司屋」「アクアリウム作り」は、どれもミー坊が本当にやりたい仕事じゃないのでミー坊の挫折にならないし、ミー坊には真の夢があるのでダメージにならないんですよね。だからミー坊にとってダメージになりうる、夢が揺らいでしまう展開を作るためにモモコを出したのかも。モモコが直接邪魔するんじゃなく、自分達が邪魔になってると思ってモモコが消えたことがミー坊のダメージになるってのが何だか優しい本作に合ってた気がしますね。
モモコ役の夏帆もまた、どういうわけかデビューから割と多く観てるけど、ここ10年くらいはスレた女性役が多い印象。
ラストの母親の告白も面白かったけど、ミー坊を周囲の人が温かく見守った結果さかなクンが誕生したんだなぁと素直に思いました。

 

 

 

そんな感じでした

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