原題:Pig 監督&原案&製作総指揮:マイケル・サルノスキ 脚本:ヴァネッサ・ブロック 主演&制作:ニコラス・ケイジ 製作国:アメリカ 上映時間:92分
二年に一度くらいあるブログいっぱい更新した期に入ったので更新がしばらく活発になっています……。
「大切な豚を盗まれたニコラス・ケイジが犯人を追跡する」……というキアヌ・リーブスをニコラス・ケイジに、犬を豚に置き換えた豚とニコラス・ケイジ版『ジョン・ウィック』(2014)だと昨年話題になったニコラス・ケイジ映画。一昨日の夜だか昨日あたりからレンタル始まった。
監督はこれがデビュー作だが本作が好評で一発で人気監督の仲間入りしたらしい。
ニコラス・ケイジは2010年代前半までは大スターだったが、2010年代前半に出演した大作が連続でコケて大作のオファーが来なくなり、私生活が荒れて結婚と離婚の繰り返したり浪費が激しすぎたという自業自得で巨額の借金ができた。そこで借金を返すために年に3、4本くらいのB級映画に出まくってたみたい、そんで最近、昨年借金を返し終えたらしい。
2010年代前半までは「ニコラス・ケイジって面白いけど、つまんない映画ばかり出るなぁ」という良くない印象だったが『ウィリーズ・ワンダーランド』(2021)や『カラー・アウト・オブ・スペース -遭遇-』(2019)などの面白いB級映画に多く出て大スターだった時より好感度が上がった。つまんないB級映画の出演作も多かったが「映画はつまんないけどニコラス・ケイジは良かったね?」というものばかり。それもこれも、どのB級映画もニコラス・ケイジで当て書きしたかのような、ニコラス・ケイジ活かしの作品ばかりだったせいだろう。今年もまた数本のニコラス・ケイジが楽しめる。
ネタバレなし。前半の展開とざっくりしたことだけ
Story
オレゴン山中で寝食を共にするほど可愛がっている豚を相棒にトリュフハンターとして世捨て人のように暮らす独居老人ロブ(演:ニコラス・ケイジ)。
トリュフのバイヤーの青年アミール(演:アレックス・ウルフ)以外に会う人間も居ない静かな隠遁生活を送っていた。
ある日、大切な豚が何者かに盗まれてしまう。
ロブはアミールと共にポートランドの街まで出て、豚の行方を追い始める。
ロブ、彼は一体何者なのか?――
そんな話。
ロブは、女性の音声が入ったカセットテープを聴いたりしてるので愛する女が死んで世捨て人になったらしき雰囲気が匂わされる。
ロブとアミールはポートランドの町に着き、ロブは情報屋のような男に豚の行方を尋ねるが「今のあんたは何者でもない」と言われる。やはりロブはひとかどの人物だったことがわかる。
ロブが見つけるトリュフのおかげでプチ成功したアミールは、ポートランドを牛耳る大人物の息子で、今は修行期間としてトリュフのバイヤーをしているようだ。父は大物だが感情の欠落したクソ野郎だという。MARVELのキングピンみたいなもんか。
アミール役の俳優はどっかで見たことあると思ったら傑作『ヘレディタリー / 継承』(2018)の長男役とか『オールド』(2021)とかジュマンジ新シリーズの主人公でもお馴染みの、目立つわけじゃないのに不思議と常に主人公っぽい雰囲気の彼だった。
ロブは地下格闘技場のような秘密クラブに潜入。そこでは一定時間、殴られても我慢すれば欲しい物が手に入るファイトクラブのようだ。
”ロビン・フェルド”
ロブの本名のようだ。凄まじい気迫で殴られて豚の居所をGetするロブ。
ここまでは、一言も喋らず汚い孤独死寸前の変人ロブに引いていたアミールだったが、豚を取り戻したい一心である謎めいたロブの気迫に、いつしか魅了される。
入手した情報を元に高級レストランに赴く二人。いくらアミールといえど予約は取れないのだが”ロビン・フェルド”の名前は全てを通す。
小汚いホームレスの「過去」がポートランドの町での無理難題を全て通してしまうというミステリアスな展開に僕も魅了された。
果たして”ロビン・フェルド”とは元々、ギャングなのか、セレブか、億万長者だったのか……この映画は語る順番やタイミングが絶妙なので、映画が始まって静かなワクワクがずっと続き非常に面白い。
その後、ロブの過去が明らかになり(これも、かなりさりげない語り方で好感が持てる)。本物と偽物、豚をさらった黒幕その理由、妙に似ているロブと黒幕の違い、変化していくロブとアミールの関係性……など終わりまで面白かった。
この映画はネタバレ無しだと割と書くことがない。また、このブログはTwitterなどタイムラインに遠慮なく流れてくるわけじゃなくクリックしないと読めないクローズドな場なので別に、いつものように「ネタバレあり」と前置きして8割くらいネタバレしながら感想を書いても別に構わないとは思うが、本作や主人公ロブは非常に上品な語り口や闘い方だったので「ロブとは○○だったのだ!そして黒幕は△△で……」などとズケズケ書く事が下品に感じられたので書くのやめとこう。
前半くらいまで見てる時は「いつものように豚をさらわれたニコラス・ケイジが血まみれで皆殺しにして復讐するんかな?」と思っていたが全然違った。また、いつものニコラス・ケイジのように目をひん剥いて絶叫したりせず全編静かな演技……という意外性が良かった(ただし目をひん剥くことだけはするが)。そして、そんな静かなニコラス・ケイジの相棒役アミールを演じるアレックス・ウルフもいつものように静かで確かな演技というのが凄く良い。
今後、ニコラス・ケイジの演技も老人になってもずっと楽しめそうだと思った。
ロブが言葉だけで他人の魂を粉微塵に粉砕するシーン(相手の演技も良すぎる)も良かったし、ロブとアミールが協力して、ある事をして勝利するシーンなど前向きでワクワクさせてくれるものがあったし、静かな結末も良かった。結局ブタとは実際に大切な家族だったがロブの心の一部でもあったんだな。
そんな感じでした
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Pig (2021) - IMDb
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