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『貞子DX』(2022)/貞子の呪い(リング・ウイルス)を『イット・フォローズ』風に描いた一作目同様のミステリーで『リング』一作目の現代リメイクの楽しい映画。愛され貞子は全人類と暮らす📼

監督:木村ひさし 脚本:高橋悠也 原作&世界観監修:鈴木光司 制作&配給会社:KADOKAWA 製作国:日本 上映時間:99分 公開:2022.10/28 シリーズ:『リング』シリーズ第8作目。貞子が出てくる映画の第9作目

 

 

先日、インフルエンサーの間で口を揃えて「怖かった清水崇が帰ってきた!」と人気だった『ミンナのウタ』(2023)を観たが凄くつまらなかった、……だけど評判の良かった、中盤の”家”の中のシーン数分間だけは素直にとても良かった。もし自分がインフルエンサーだとしたら劇中の「良かった1シーン」「俳優の演技や存在感」だけを挙げて褒めレビューを述べると思う、町山智浩脚本のクソつまらない『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』(2015)が公開されたに映画ライターが全員口を揃えて侵入した巨人が人々を食べたシーンだけを挙げて褒めたレビューを述べてた時のように。だからインフルエンサーの人たちもきっとそうしたのかもしれない、と思った(勿論、インフルエンサーの人たちが本気で全員が面白いと思い、僕の目が曇っている可能性も充分にあるが)。
ミンナのウタのgock221Bの映画レビュー・感想・評価 | Filmarks映画
そんな事を言ってたら友達が「『貞子DX』(2022)おもろいよ」と教えてくれたのでアマプラにあった本作を観たら確かになかなか面白かった。
Amazon.co.jp: 貞子DXを観る | Prime Video
しかし検索したらインフルエンサーの人は皆『ミンナのウタ』(2023)とは逆で。口を揃えて『貞子DX』(2022)を貶していて何だか不安な気持ちになりました。まぁどなたも最終的には御自分で観て手前で判断するしかないのですが……。
映画『リング』シリーズは、時系列的に並べると

『リング0 バースデイ』(2000)『リング』(1998)『らせん』(1998)『貞子3D』(2012) 『貞子3D2』(2013)『貞子』(2019)
……が、原作小説に沿った正史っぽい流れで、
『リング2』(1999)『貞子vs伽椰子』(2016)、本作『貞子DX』(2022)の映画オリジナルの三本は『リング』(1998)から『らせん』(1998)……に行かず、『リング』(1998)から独自のマルチバースへと分岐した流れ……みたいだが、あまり詳しく考える必要もなさそうなのでやめておこう

俺と『リング』
貞子が初登場した映画『リング』(1998)は、直撃世代なので凄い衝撃を受けて90年代に『新世紀エヴァンゲリオン』(1995)よりも繰り返し観てハマってました。原作である鈴木光司の小説『リング』(1991)は「呪いのビデオに時折入るノイズの正体」がわかるところは文字ならではの唯一無二の怖さでしたが全体的には映画の方が好きだった。続編の小説『らせん』(1995)も、面白さとしては面白かったのだが『リング』(1991)が無かったことになる設定に乗れずシリーズの続きも読まなかったし映画『らせん』(1998)も観なかった、そういう人は割と居ると思う(だって小説の最新作『エス』(2012)と『タイド』(2013)読んだ人まわりに全然いないもんね)。『リング2』(1999)は、当時は怖かったが数年前に観たらさすがに怖くなかった、後半で中谷美紀が言う「ひいいい~!地獄と、繋がってる~!」という、やたらと高橋洋っぽすぎる台詞は今も良かった。『リング0 バースデイ』(2000)は貞子が死ぬ過程が何か可哀想っぽいから観なかった。『貞子3D』(2012) と『貞子3D2』(2013)は単純に観てない。『フレディVSジェイソン』(2003)の構成をパクって『呪怨』シリーズとクロスオーバーした『貞子vs伽椰子』(2016)は、楽しかったが、もはや貞子と伽椰子&俊夫は面白キャラクターでしかないんだなと少し悲しくなった。元祖『リング』(1998)の中田秀夫が監督した『貞子』(2019)は観たけど単純にクソつまらなかった。ドラマ化した『リング』シリーズは全然観てない。
ハリウッド映画化した『ザ・リング』(2002)はナオミ・ワッツと馬が良かったが『ザ・リング2』(2005)は、観たはずだが全く覚えてない。まだ『ザ・リング/リバース』(2017)というのもあるらしいが今まで存在すら知らなかった。
まぁ、そういう感じで多くの人と同じように「『リング』シリーズは……、一作目の映画『リング』(1998)と小説『リング』(1991)だけでいいや」という面白みのない結論になる。ただ日本が誇るホラーアイコン”山村貞子”は凄く好き。だから、ついつい貞子を登場させたがる気持ちはよくわかる。僕も新しいAIが出来る度にテストとして貞子を描画してもらうもんね。

 

ネタバレあり

 

 

 

 

日本では全国各地で「呪いのビデオ」を観た人が突然死する事件が発生していた。
IQ200の天才大学院生・一条文華(演:小芝風花)は、父を早くに亡くし、智恵子(演:西田尚美)と妹と女性三人暮らし。「呪いがSNSで拡散すれば人類が滅亡する」と主張する人気霊媒Kenshin(演:池内博之)から「呪いのビデオの解明」を挑まれる。
科学を信奉して呪いを否定していた文華だったが、興味本意で呪いのビデオを観てしまった妹・双葉が「自分にしか見えない白い服を来た何かが追ってくる」という助けの電話がかかってきた。文華は妹を助けるべく恋人を貞子に呪殺された青年・前田王司(演:川村壱馬〈THE RAMPAGE〉)、引きこもりのハッカー感電ロイド(演:黒羽麻璃央)らと共に、呪いの謎を解明すべく奔走する――

そういう話。
主人公の女性が身内を助けるために、男性の相棒と一緒に呪いの謎解明に奔走するホラー風味のミステリー」ということで、一作目の傑作『リング』(1998)と構成が同じ。だから特に言ってはいないが本作は『リング』(1998)の現代リメイク……の、つもりなのかもしれない。リメイクと言うと古参ファンやホラーファンに比較して叩かれそうだから言わなかったんちゃうか?本作は全然怖くないから叩かれそうだしな(というか実際叩かれてた)。だから「『貞子DX』(2022)の”DX”って何だよ!?」と皆が言っていたが「『リング』(1998)を現代リメイクしたよ……」とこっそり言っているその気持ちが「DX」になったんだろう。
まず、このミステリーっぽい構成は一作目『リング』(1998)好きの僕としては好感。
ただし映画系インフルエンサーたちに叩かれていたように貞子や呪いが全く怖くない、というか怖くなさすぎる。
だが、本作はコメディっぽい雰囲気だったし、それ以前に「今さら貞子さんに怖がらされる事もなかろう」と最初から怖さ方面には全く期待してなかったので本作の「怖くなさ」に対しては特に落胆しなかった。勿論「こわさ+面白さ」がベストだけどね。
この際だから黒沢清とか高橋洋とかが監督したどうなるのか「今さら貞子」でも怖くなるのか?観てみたい気もする。濱口竜介とかに監督してもらうとかね?なるべく真面目な人に貞子撮ってほしい。

 

 

「貞子の呪いのビデオ」に挑むIQ200の天才女子大生・文華、演じてる小芝風花もまぁまぁ好き(面白かった地上波ミステリードラマ『霊媒探偵・城塚翡翠』&『invert 城塚翡翠 倒叙集』(2022)でもワトソン役してたしミステリーづいている)。
バラエティ番組に出た文華は、共演した霊媒師Kenshinに「自分は興味のあることにトライ&エラーするだけです」と言う。Kenshinは「トライ&エラー……試行錯誤、か……」と言う。
観ている、こちらを完全にアホやと思うとる。
呪いのビデオを観た妹、後に自分や(演:西田尚美)も観てしまい、呪いの謎を解かなければ死ぬ状況に(文華はオカルトを信じてないので呪いの真相のヒントのため自ら進んで観た)。
文華は流れで、恋人を貞子の呪いで喪ったばかりの無職青年・王司と共に捜査する。
王司の呪殺された恋人は、どっかで見たと思ったら『MANDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない』(2022)の主人公を演じてた円井わん氏だった。この子の顔と演技好き。

うさんくさい霊媒師Kenshinに煽られたし妹が呪われてしまった文華と、恋人を呪殺で亡くし自らも呪いのビデオを見て呪われたと怯える無職青年・王司は捜査を開始する。

この王司くんだが、完全にドジなワトソン的なコメディリリーフ『古畑任三郎』(1994-2008)でいうと今泉くん。無能だが、ふとした瞬間に言った無関係の戯言を聞いた賢いホームズ役が、連想して真相に近づいたりするサイドキック(ヒーローの助手役のこと)。
……なんだけど、この王司くん。「ウザい」個性を「面白さ」「愛着」として感じて欲しいがためのキャラなんだが、今泉くんみたいな適度な「ウザさと愛らしさ」を通り越して、早く呪殺されて欲しいほどウザい。
何かあるたびに驚いて「あああぁッ!?」と絶叫するし、普通に珈琲飲んでただけなのに「熱ッ!」とか言って珈琲全部こぼしたり、狭い喫茶店で絶叫したり転げ回ったりするので「こんな奴いるか?」と不快感がどんどん溜まっていく。そして自分を助けてくれそうな文華を特別な異性だと思い始めて必要以上に近づいたり手を握る。その度に文華に「近いです!」「ちょっと!触らないでください!」と怒られる。そして、その都度、ぼーっと見てたら気になってなかったのに文華が具体的に注意するもんだから王司くんに対して「近いぞ!」「見ず知らずの女性の手を触るな!」と思わされる。
そして自分を助けてくれそうな文華に縋って自分は何もせず従ってるのに、文華の解決策が間違ってたら「ちょっと、違うじゃないですか!」と逆ギレしたりして腹立たしい。映画が始まって数秒後から映画が終わる数秒前までずっとウザかった。

文華に話を戻すが「天才」というキャラは、本当に賢い人じゃないと作れない。だから文華は「科学しか信じずオカルトは信じない」「一日のリズムが大事なので、あと数時間で妹が呪殺されるという時でもナポリタンを食べる」という要素や「考える前に耳の間で両手をピョコピョコ動かす」という昭和の人形劇『プリンプリン物語』(1972-1982)のカセイジンを思わせる行動を取る。これが文華の「IQ200」描写の全てだ!だけどフィクションの賢いキャラは、本編が面白ければこれでいいのだ。

 

 

「呪いのビデオ」
本作バージョンの「呪いのビデオ」と「貞子の呪い」は個人的には良かったです。
「呪いのビデオ」。『リング』(1998)では貞子が念写した得体のしれない不気味な映像の数々が気持ち悪くて以降、数々の怖い映像に影響を与えた。
本作では単純に「井戸から登る貞子の主観視点」になっている。井戸から出た後の後半は「”呪いのビデオ”を観た人が居る建物を外から見てる主観視点」となる。つまり「観る人によって”呪いのビデオ”後半の映像は千差万別」という事になる。
怖さは無いが、貞子の呪いが視聴者の元に向かう様がわかりやすく映像化された面白い映像だと思った。
なおビデオテープで観ようが、データ化した映像をネットで観ようが効果は同じ。

 

「貞子の呪い」
本作バージョンの「貞子の呪い」は『リング』(1998)と殆ど同じ。
天然痘ウイルスに山村貞子の遺伝情報が念写されたもの」「その念写したビデオを観るとリング・ウイルスに感染して1週間後に貞子の幻覚を見ながら絶命する」。
「呪いのビデオ」を見たらビデオを見た者にだけ、白い服を着た「ビデオを見た当人が大事に思っている人」が生者or死者問わず現れる。そして画面端に「残り、◯時間△分」とカウンターが出てくる。
これが「貞子=可視化されたリング・ウイルス」。これが時間と共に呪われた当人に少しづつ近づいてくる。これはもう明確に『イット・フォローズ』(2014)のパクリ……もといオマージュ。「呪いが近づいてきている」という様が可視化されて、これはナイス描写(この描写が、もっと怖ければ尚よかったのだが)。
扉など閉鎖された空間は水と共にワープする(この呪いは幻なので、このワープ方法も「呪われた人の主観的な幻」のはずなのだが、何故か呪われた人が観てなくても観客には貞子のワープ描写が観えるのが不思議だ(まぁ盛り上がるからか)。
そしてタイムリミットになると「呪われた者が大事に思っている者」が貞子の姿へと変化し、長い髪を首に巻き付けられる。すると周囲が「山村貞子が落とされた井戸」がある林へと場所が変わる。そして貞子が呪われた者を引っ張って「貞子が落とされた井戸」へと落とす。すると呪われた者はその場ででんぐり返しして絶命する。で、これは全部呪われた者の見た只の幻覚であって、実際の死因は天然痘が変異したリング・ウイルスの効果。
『リング』(1998)では「コピーして第三者に見せる」すれば、それを行った当人は呪いから逃れられた。
本作では「1週間後に死ぬ」が「24時間後に死ぬ」と短くなった(本作でも最初は1週間だったけど24時間に短縮された。その理由は酔ってながら観してたから忘れた)。
解除方法もオリジナルとは違っており、それを主人公・文華と共に推理させる構成。
そんで、ネタバレになるから解呪の方法は伏せとくが文華、最終的には仲間や家族と協力して解決法を見つける。

 

 

冒険が終わったエンディングだが、一言で言うと「世界の人々は、貞子と仲良く共存する」的なオチに着地する。
これは「貞子が全世界的に親しみやすいキャラになってしまった」という現代での状況を、そのまま物語に落とし込んで表現していてナイスな結末だと思った。
「貞子のビデオの呪い」は、文華の言った通り科学的な物理現象だった。……ただし「山村貞子の念写」ここだけがスーパーナチュラルな現象だから「残り半分はオカルト」という事になる。
そんな感じで全体的な構成や各、呪い描写、全員アホなキャラクターなど全体に面白かったです。
何度か書いたが、怖さがゼロなのが怖ければもっと良かったと思うが、とりあえず、まぁまぁ面白かったです。
「面白くないし怖くない!登場人物、全員アホ!」等と叩くより、その緩さを楽しむ方が健康的だと思いました。

 

 



そんな感じでした

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