
監督:水崎淳平、高木真司 脚本:中島かずき アニメーション制作スタジオ:神風動画 キャラクターデザイン:岡崎能 音楽:菅野祐悟 挿入歌:堀江美都子、朴璐美&釘宮理恵 原作:DCコミックス 製作国:日本、アメリカ 上映時間:89分 配信開始日:2025.03/21 英題:Batman Ninja vs. Yakuza League シリーズ:『ニンジャバットマン』(2018)の続編
DCコミック&ワーナー・ブラザーズが日本に作らせたバットマンのOVA(日本では劇場公開作品)『ニンジャバットマン』(2018)の続編。
前作では戦国時代の日本にバットマン・ファミリーとゴッサム・ヴィランズが飛ばされて中島かずきのジャパニメーション的な荒唐無稽な闘いをしたが、今回は任侠バージョンのジャスティスリーグ……ヤクザリーグが支配する日本によく似たヤクザしか居ない世界〈ヒノモト〉がゴッサムに侵攻してきてバットマン・ファミリーが食い止めるという話。
今回もスタッフはほぼ同じ。劇団☆新感線の中島かずきが書いてるのでDC&ワーナーからすれば「『天元突破グレンラガン』(2007)、『キルラキル』(2013-2014)、『プロメア』(2019)などのトリガー系アニメ、あのノリでバットマン書いてください」と頼んであろうことは明白で前作同様に「欧米が好む日本のエンタメ要素」がふんだんに盛り込まれており、前作では時代劇ファンタジーと巨大ロボット、今回は東宝任侠映画やダイナミックプロのアニメみたいな昭和テイストがふんだんに盛り込まれている。
で、アニメーション制作はジョジョのアニメOPで有名な神風動画。
前作は「なるほど、神風動画のカッコいい作画でキルラキルっぽいノリのバットマンのアニメね?」とあらかじめ了解して観て、確かに素晴らしい作画やキャラデザで内容も予想通りジャパニメーションでしかできない荒唐無稽なノリだったのにも関わらず凄く腹が立って嫌だった。今回もそれらの要素は全く同じなのに腹は立たず素直に楽しかった。
その違いは何だろう?
前作『ニンジャバットマン』(2018)はバットマン・ファミリーとゴッサムヴィランズが戦国時代の日本に飛ばされる、そこで大名となったジョーカーを始めとしたゴッサムヴィランズにバットマン・ファミリー達が対抗する話だった。
今回は、ラーズ・アール・グールが時空をいじった結果「ヤクザしか住んでいない日本のような世界〈ヒノモト〉に、任侠バージョンのジャスティースリーグが居る」という世界を生み出し、それが現実世界のゴッサム・シティに侵攻してくるというもの。
『ニンジャバットマン』(2018)ではヴィランズが居る城が合体して巨大ロボになったりレッドフードがレッド虚無僧になってたりといった個別の悪ノリは楽しかったのだが観てるうちにどんどん醒めていった。
本作も、次元突破能力を持つフラッシュによって無数のヤクザが「ヤクザ暴風雨」となって現実のゴッサムに降り注いだり、ヤクザ達を文字通り「鉄砲玉」にして巨大マシンガンで現世に撃ち込んできたりと荒唐無稽なノリは一緒なのだが今回は前作とは打って変わって楽しく観れた。その違いが不思議だった。
バットマンというかアメコミはマルチバースや外伝などで普段とは違う荒唐無稽な世界を繰り広げても全く問題ないし色んな無茶苦茶なバットマンも知ってるので、前作や本作で普段のバットマンと違う無茶されても別に「こんなのバットマンじゃない!」などと今更腹を立てたりはしない。だから前作はそういうところじゃない部分に腹が立った覚えがある。
何というか「これ、バットマンじゃなくてもいいアニメを、DCキャラ借りて好き勝手やってるだけじゃん」という感じが強すぎた気がする。殆ど内容覚えてないから具体的に今細かく言えないんだけど。
一応DC要素を監修するスタッフもいたのだろうし基本的には元のキャラに沿ってるのだが、頭がいかれたゴッサムヴィランズ……特にジョーカーは、別に武力でバットマンをねじ伏せたり日本制服とかしたい奴じゃないのに、そんな感じのキャラになってて違うなぁという感じが強かった。というかジョーカーが剣の達人でバットマンと対等に斬りあえるほど強い……というのがそもそも解釈違いというか。
今回は「このDCキャラはこんな時こうする、逆にあんなことはしない」という線引きが前作よりもちゃんとしてた。
たとえばハーレクインひとつとっても「依存していた悪い男ジョーカーに使い捨ての駒のような酷い扱いをされて年上の女性……原作ではポイズンアイヴィー、本作ではワンダーウーマンに助けられウーマン・エンパワメント的な感じで自我が芽生える」……といった感じで原作でのハーレイの成長をなぞってた。前作やつまんなかった日本DCアニメ『異世界スーサイド・スクワッド』(2024)でもそうだったのだが日本人がハーレイやジョーカーを扱うと舌を出して銃を乱射して「イカれたとんでもない奴☆」という雰囲気だけを出して他には特に何にもないという恥ずかしいキャラしか描けなかったが今回は初めてハーレイの本質的な部分を描けてた。「違うバージョンのスーパーマンは妙に本物のクラークとかけ離れた出来の悪いクラークが出てきがち」「バットマンはジャスティス・リーグの弱点を知り尽くしており、彼らが暴走した時のための倒し方も用意してありちょっと怖い」等といった要素もDCコミックのファンが大好きな要素だし。
「ナイトウィング&レッドフード&レッドロビンなどのロビンズがグリーンランタンやフラッシュなどを倒してしまう」というのは少しやりすぎにも思えるが「バットマンが準備しておいた対ジャスティス・リーグ兵器」「この世界のヤクザ・リーグは敵が居ないから本物のジャスティス・リーグより弱い」など、色々言い訳を用意しているので「そういうことならジェシカやバリーがロビンに負けてもまぁ、いいか」と、こちらを納得させてくれる言い訳が色々準備してあるので観てても引っかからない。こういうのがあるのと無いのとでは全然違う。
また人間と大差ないパワーのゴッサムのキャラがあまりに無茶したら変に見えてたが、もともと強大な力を持つジャスティス・リーグが無茶しても全く気にならない、というキャラの差もあったかも。
そういう微調整のせいなのか?前作はめちゃくちゃ腹立って嫌いだったが今回は楽しく観れた。ストーリーはあって無いようなものだが、前述のようにDCコミックが好きな人が引っかからないように舗装してあったおかげで中島かずきの昭和の日本ネタや美麗な作画などを素直に楽しむことができた。
前作のゴッサムヴィランはただ不敵に笑ったり暴れてるだけで「こいつら自我とかあるのかな」って感じで、ヤクザリーグも最初はそうかと思ったけどマルチバースの自分を見て利他的な正義に目覚めるなど、時間は短いけどちゃんとヒーローものになってたし。
アクアマンの声優が大塚明夫、この世界の妙に熱血なフラッシュの声優が檜山修之というのも良すぎたし、姐さんとなったワンダーウーマンも良かった。
しかしバットマン・ファミリーからバットガールとキャットウーマンが居なくなったのは何でだろ?
そういえば違うスタッフだけど日本DCアニメ『異世界スーサイド・スクワッド』(2024)も酷かった(強敵がいっぱい居る刺激的なゴッサムを離れて幾ら殺してもいいモブしか居ないナーロッパに行くという不安なアニメだったが面白くなさすぎて途中で観るのやめたから感想書けなかった)。
だから「前作も不満だったし今回も酷いに違いない、観て文句言ったろ」とネガティブな気持ちで観たのだがそういう感じで今回は素直に楽しいアニメだった。
制作状況などわからないので推測するしかないがスタッフなど座組は前回と同じわけだし、DCでのキャラ設定などを中島かずきに伝えるDCだかワーナーだかの人が有能だったのではないか?と推測した。
それにしてもワンダーウーマンのセミッシラとアクアマンのアトランティスが同時に存在する吉祥寺の井の頭池すごすぎ!近くに住んでるのでワンダーウーマンが吉祥寺を護ってると思うと何だか嬉しかった。
あと何故かグリーン・ランタン(ジェシカ・クルズ)にだけキャラソンがついてて「緑の姉御が今登場!☆♫」みたいな唄が聞こえてきて楽しかった。
そんな感じでした
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Batman Ninja vs. Yakuza League (Video 2025) - IMDb
Batman Ninja Vs. Yakuza League | Rotten Tomatoes
Batman Ninja vs. Yakuza League (2025) directed by Jumpei Mizusaki, Shinji Takagi • Reviews, film + cast • Letterboxd
