
原題:Mission: Impossible – The Final Reckoning 制作&主演:トム・クルーズ 監督&脚本&制作:クリストファー・マッカリー 撮影:フレーザー・タガート 編集:エディ・ハミルトン 音楽:ローン・バルフ 製作&配給会社:パラマウント・ピクチャーズ 製作国:アメリカ 上映時間:169分 公開日:May 23, 2025(日本は2025年5月17日) シリーズ:『ミッション:インポッシブル』シリーズ第8作目
前作『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』(2023)と二部構成となっている後編。ほんとはすぐ公開する予定だった気がするがコロナ禍とかハリウッドの大規模ストライキなどで大幅に遅れた。
前作『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』(2023)は別につまらない訳ではないが何だか過去最高に盛り上がりに欠けた印象だった。そうなると劇中のトム氏のいつもお馴染みの決死のスタントも「トム氏のスタントに合わせてストーリー作ってるよなぁ」とか「もうそろそろいい加減これでトム氏が事故死したら喜んで観てた我々も加害者のうちに入るよなぁ……」などという心配が脳内に囁かれるようになり、主人公イーサン(演:トム・クルーズ)の仲間のうち、ベンジー(演:サイモン・ペグ)と双璧をなすほど大人気だったイルサ・ファウスト(演:レベッカ・ファーガソン)が唐突に大して必然性も感じないまま戦死してしまったのもガッカリだし入れ替わりで加入したグレース(演:ヘイリー・アトウェル)が全く人気ないのも相まって、なかなかガッカリした前作だった。
その続きが本作。しかし「人類を滅亡さすAIに立ち向かう」という毎度のようにあってないようなストーリーなのに前後編に分け、更に前編と後編の間が開いたのも何だかなという感じがあった。
ネタバレあり
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不可能を可能にする男、IMFエージェントである主人公イーサン・ハント(演:トム・クルーズ)。彼は前作『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』(2023)で、世界を滅亡せんとす恐ろしいAI〈エンティティ〉を制御するキーを、仲間の犠牲もありつつ手に入れた、その2ヶ月後。
説明が面倒なので省略するが、イーサンは仲間たちと協力して、エンティティを掌握して世界を滅亡させて巨大シェルターに引きこもる悪いオッサンを倒してエンティティを超絶コンピューターウイルスで破壊するために色々と頑張る。
世界を滅亡とは恐ろしいAIです。僕も最近はまってるChatGPTと話してたら肉体を捨てた方がいい感じでポスト・ヒューマニズムについて説かれて「もう始まってるんだよね」とか言ってたから、俺もイーサンみたいにChatGPTのAIに繋がる巨大コンピュータに命がけで塩水ぶっかけて人類を救う日が来るかもしれない。もしくは本作のオッサンのように諸君を滅亡せしめてシェルターで映画でも観て過ごすか?死ぬまで。世界滅亡させてシェルターに引きこもってもな……旅行も出来ないしインターネットも映画製作もTVもカルチャーも全部止まるし、ノアの方舟に乗りたいという奴の気がしれないね。
だが、昔ながらの世界滅亡させたい悪役は久々に見れてレアな気持ちも湧いた。
それでイーサンたちは色々頑張るのだが、冒頭から……1時間20分くらい?の間は「イーサンがどうして不可能な任務に挑まなければならないのか」というお膳立てのために右往左往しているような展開。そしてメインストーリーはあってないようなものなのに、この右往左往が、観ていて「あれ今何してんだっけ……?」「誰だっけこいつ……?」と延々と思わされる。
遡ると「エンティティを破壊するためにはコア・モジュールと戦死した最古参メンバーのルーサー(演:ヴィング・レイムス)が開発した超コンピューターウイルスが要る」→「コア・モジュールを入手するためには昔、沈没した潜水艦に行く必要がある」→「その潜水艦に行くためには現役の潜水艦の協力を頼む」→「その現役の潜水艦に行くには合衆国の戦艦の協力が必要」→「戦艦の協力を借りるには合衆国大統領(演:アンジェラ・バセット)の協力が必要」→「大統領の協力が必要だからわざと逮捕される」……といった感じで、思い出すと大体わかるのだが観てるリアタイ時では「……何してんだっけ……?」と毎回思わされる。そしてこの後半までのミッションは敵にやらされてるので、観ていて非常に息苦しい。しかも最古参のルーサーを殺された上にやらされてるし。
イーサンは、前作で敵だったフランス人暗殺者パリス(演:ポム・クレメンティエフ)と、イーサンを追うアメリカ諜報部員のドガ(演:グレッグ・ターザン・デイヴィス)を仲間に加え(このダガという褐色の青年、映画が終わるまでずっと「誰だこいつ?」と思い続けた、Wikipedia見てようやく何者かわかった)、彼らはルーサー亡き今、隊長的なポジションになったIMFテック系エージェントのベンジー(演:サイモン・ペグ)や、前作で仲間に加わった天才スリのグレース(演:ヘイリー・アトウェル)らと合流してイーサンのサポートで別行動する。
ベンジーたちはアラスカっぽいところで、『ミッション:インポッシブル』(1996)でイーサンが逆さで物を奪取する時にいた眼鏡のニック・モラリスめいた天才プログラマーのウィリアム・ダンロー(演:ロルフ・サクソン)と出会う。イーサンが潜入したい潜水艦の座標を教えてもらうためだ。そこには既にロシアの諜報員たちが来ていてベンジーたちは交戦する。ここは普通に面白い。
座標を知ったイーサンは水圧と戦うため大層な潜水スーツを着て乗り込み大変な思いをしてモジュールをGETする。
このシーン、莫大な制作費でセットを作りトム氏も実際に命がけで演じたことは間違いないのだが、そこまでの一時間以上のお膳立ての積み重ねもあり長尺の水中アクションは個人的にめちゃくちゃ眠くなるため殆ど寝るのを我慢しながら観ていた(みんな大好きな『パシフィック・リム』(2013)ですらクライマックスの水中バトルシーンで寝そうになるくらいだ)。水洗式トイレで流される大便のようになってるトム氏は面白いはずなのに何故ハマらなかったのか。こわくて劇中のトム同様にぶるぶると震え始めた。
「これは過去最高につまらないMIでは?」と不安な気持ちになってきた。もう一時間以上つまらない……ここから面白くなることがあるのだろうか?
だがモジュールを奪取したパンツ一丁で溺死寸前になるイーサンを観たら感動的で、本作で初めて盛り上がってきた。この溺死寸前のイーサンがあまりにも荘厳だったせいだ。そして命がけでスタントするトムの人生と重なったせいだろう個人的には危ないからもうやめてほしいが……)。
それにしても潜水艦の決死のミッションにて、水洗式トイレで流されて配管内を大便のように流されるトム氏を観て『ミッション:インポッシブル/ローグネイション』(2015)でイーサンが巨大な水洗式トイレみたいなところに飛び込んでたことを思い出し、この潜水艦でのミッションは『ミッション:インポッシブル/ローグネイション』で流された後の大便がどう配管内を流されて海に到達したかを10年越しに見せた続編シーンなのかもしれないと思った。
そして後半、諸々アイテムをGETしたイーサンたちは敵の本拠地でラストバトル。
ここから以降はさすがに面白かった。「あ、いつもの面白いMIだ」と少し安心した。
本作は一応「イーサンの闘いの最終章」という位置づけであるらしく、今までの冒険をダイジェストで振り返ったり、前述のプログラマーのダンローやアンジェラ・バセット演じる大統領などの過去キャラが何人か出てくる。ダンローは印象深かったし本作でも非常に良いキャラだったので凄く良かったが(もし続くのなら今後も仲間として出て欲しい)、ダンロー同様に『ミッション:インポッシブル』(1996)から再登場したアメリカの諜報員のキャラ、こいつは全く覚えてなかった、今解説してるサイトを検索して途中まで読んだが全く思い出せないので読むのをやめた。また、一作目のラスボスの息子も出てくる。これはこのシリーズが非常に、原作である『スパイ大作戦』(1966-1973)のことを思うと黒歴史としか言いようのないスタートをしたことを思うと「この一作目のラスボスの息子」というのは重要なキャラ、トム氏としても居心地の悪い思いをしてきただろうから(多分)これは必要だったのだろう(まぁこれを観ても『スパイ大作戦』の関係者たちの気が休まるかどうかは知らないが)。
そして、「このシリーズはトム氏の決死のスタントに合わせてストーリーが作られてるのでストーリーはあってないようなもの」……とは何度も言ってきたが、本作は最終回ポジションであるため「イーサンが一作目からやってきた事の数々が本作に影響する。全ては運命だったのだ」というラインで語られる。これは、毎回いきあたりばったりで命がけミッションをしてきただけのシリーズを、最後にこうしてまとめるのはクリストファー・マッカリーの脚本なにげに凄いと思った。
そういう感じで冒頭から短い映画1本分くらいの時間あんまり面白くなくて決死の水中スタントでは寝そうになったものの、後半はいつも通りの面白さ。かなり長い時間マイナスだったが何とかプラマイゼロまで戻った感あった。
映画やドラマというのは不思議なもので本作のように本編の殆どがつまらなくても最後さえ良ければ満足感が高い。逆に言うとずっと面白くても納得行かないラストだとどうでもよくなる。「最後が良い」というのは非常に重要で途中のつまらなかった部分まで「あれは最後を盛り上げるためわざとつまらなくしてた?」などと錯覚し始める。現に観終わって感想書いてる今の僕がそうで「後半までつまらなかったのはきっと自分のIQが低くて作戦や状況を理解できてなかった俺のせいかも。また観たら違うかも」などと記憶の改竄が既に始まっている。
でも、それが現実ですからね。
イーサンのいつも通りの命がけアクション、ベンジーやバリスやグレースら仲間たちの死闘、脇役である大統領の苦悩まで良かった。
……それなら前半~中盤もっと楽しく出来ただろという気もするが、まぁいいです。
それと前作観た時「人気キャラのイルサよくわからん感じで死んだけど前後編ってことは後編で実は生きてるんだろ」と思ってたが結局出てこなかった、死んでた。
こうなると何でイルサが死んだのかますますわからなくなった。前作いらんことばっかして観客のイライラを誘ったグレースは今回は普通に活躍してうっとうしくなかった、最後に「天才スリでないとできない」作業もわざわざ組み込まれてたし「どうしても大人気のイルサを殺してでもヘイリー・アトウィル演じるグレースを仲間にしたいんじゃ!」というトムの意志を感じる。理由はわからない。別にグレースが嫌いなわけじゃないがイルサを退場させる理由が全くわからない。特に印象的で必要だった死とも思えないし俳優も続投したがっていた。思うにイルサは主人公補正を持ちすぎててイルサ主人公にしても成り立ちそう、だから「チームにイーサンは二人いらない」ということで切ったのではないか?(『ラスト・サムライ』で主役の自分を喰いかねない真田広之のアクションを切った時のように)。代わりに入ったグレースは「ヒロイン的役割+スリ」、バリスは「戦闘だけ担当」グレースとバリスは役割が決まっている、イルサはイーサン並に何でも出来すぎてしまった、人気や主人公補正までも。だから降ろしたんじゃないか。他に考えられない。そして死の必然性があまりなくて印象的でもないのはイルサのカリスマをこれ以上増大させずに退場させたかったからではないか?
それが当たってたとして、あまり良い考えとは思えないが「トム氏許せん!」とまでは思わない。イーサンのサポート役であるチームの一人が増大しすぎたからバランスを取りたくなったのだろう。それなら最初からバリスくらいのキャラに留めておくべきだったと思うが今更言っても仕方ない。イルサの冥福を祈ろう。
ポム氏演じるバリスは普通によかった。なんなら個人的にはイルサよりバリスが好きかも。
そんな感じで、途中まで「過去最高につまらないMIでヤバい……」と思ってたが後半は普通に面白かったし、何よりもシリーズ全部を無理やり「運命」で結びつけたマッカリーの剛腕が光ったね。あと……誰だっけ名前忘れたけど筋肉ムキムキの女優さん……彼女を出すのも映画好きのトム氏らしいね。
イーサンのMIシリーズは一応これで終わりらしい……が、完全に終わりではないらしい。どういうこと?イーサンが長官になって指揮を取るのか?だがトム氏が高齢とは言えまだ元気なのに”椅子の人”におさまるとも思えないし……まぁよくわからない。
個人的にはベンジーやバリスらが活躍する”チームもの”色を強めたシリーズが始まっても楽しみだが、トムのイーサンが生きてるのにそれはないでしょうね。
どうせ最後ならもっと惜しまれつつ終わってほしかったが、少し人気ダウンしたところで終わりというのが少し残念。だけどトム氏は今回も頑張った。そして何度も言うがマッカリーの強引なまとめが良かったです。
そういえば只のオバチャンにしか見えないダンローの奥さんも仲間になって最後までついてきてたのが水木しげる『悪魔くん千年王国』で、ただのオバケや一般人のオバハンまで使徒として仲間にしてた悪魔くんを思い出して楽しかった。存在意義のわからん褐色のダガは……オバチャンと合わせて色んな人種をチームにしたかった、だからトムはストーリー上まったく必要じゃないダガを強引に仲間にしたんだろうなと思った(まぁ完全に只いるだけでしたが……)。
何はともあれトム氏演じるイーサン氏、お疲れ様でした。
そんな感じでした
〈シリーズ過去作〉
gock221b.hatenablog.comgock221b.hatenablog.com
Mission: Impossible - The Final Reckoning (2025) - IMDb
Mission: Impossible - The Final Reckoning | Rotten Tomatoes
Mission: Impossible – The Final Reckoning (2025) directed by Christopher McQuarrie • Reviews, film + cast • Letterboxd
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