原題:Ghostbusters: Afterlife 監督&脚本&制作:ジェイソン・ライトマン 脚本:ギル・キーナン
主題歌:レイ・パーカー・ジュニア「ゴーストバスターズ」 製作国:アメリカ 上映時間:124分
シリーズ:『ゴーストバスターズ』シリーズ第3作目、『ゴーストバスターズ』フランチャイズ第4作目
🔴『ゴーストバスターズ』(1984)&『ゴーストバスターズ』(1989)の監督アイヴァン・ライトマンの息子ジェイソン・ライトマンが撮ったオリジナルとストーリーも繋がっている32年ぶりの直接の続編が本作。
旧シリーズは子供の時に観たがあまり思い入れもなく大人になってから観てないしリブート版も観てなかったが、リブート版が全米の男性たちに死ぬほど理不尽に叩かれた事件はめちゃくちゃ胸糞悪くて「もう、ますますゴーストバスターズ興味ないわ」と更に近寄らなくなってた。
そんな中、発表された直系の続編である本作にも興味なく「リブート版をほったらかしにして続編かよ……」などとリブート版を観てもない癖に観てもない本作をつまらないと決めつけて「しかも、旧シリーズのメインキャラの孫ってのも印象悪いし『ストレンジャー・シングス 未知の世界』(2016-)や『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』シリーズ(2017-2019)にあやかってそうなムードだな」と全くもって言いがかりのように悪く思ってたのだが本作を監督したのは『JUNO/ジュノ』、『マイレージ、マイライフ』、『ヤング≒アダルト』など面白い人間ドラマばかり撮ってるジェイソン・ライトマンだというのは少し気になっていた。そうこうしつつ公開日、西尾孔志監督が「めちゃくちゃ面白かった!」と呟いての見て「えっ!絶対つまんないと思ったアフターライフ……面白いんかい!どうなんだい?」と、今までの”興味なし”が脳内で反転しスパークして一気に裏返って脳内物質を溢れさせながら猛烈に興味出てきた、気がついたらその足で近所の劇場に駆け込んで観た。結果から言うと俺もめっちゃ面白かった。面白いんかい……。
そのまま感想書いてもいいのだがリブート版まだ観てないのが気になるし、ついでに旧シリーズも数十年ぶりに観て感想書いた。
リンクの上からこの行に来るまで一週間以上経った。
前の三作観ても本作への感想は変わらなかったが一作目の、スミソニアン博物館に保存してほしいくらい素晴らしいアイデアの数々や、未見だったリブート版を観れて性差を活かしたネタの数々を観れてよかった。それとここの「感想書く前の前置き」がめちゃくちゃ長かったのでページを分けたかったので”前三作の感想”という形で分けれてよかった。
ネタバレあり
科学好きの眼鏡少女フィービー(マッケナ・グレイス)と兄のトレヴァー(フィン・ウルフハード)そして女手一つで兄妹を育てているキャリー(キャリー・クーン)の3人家族は借家を追い出されたため、地元で狂人扱いされていたが近く死んだ祖父から相続したオクラホマ州サマービルの荒れた農家に引っ越して来た。
この田舎町では活断層もないのに原因不明の地震が毎日、30年間も続いていた。
ある日、フィービーは床下で用途不明な機械を見つけ、トレヴァーは納屋でパトカーのようなキャディラックを発見する。
フィービーの見つけた機械を見た担任教師グルーバーソン(ポール・ラッド)は「ゴーストバスターズの装備だ!」と言う。そうフィービーとトレヴァーの祖父はゴーストバスターズ創設メンバーの一人イゴン・スペングラー博士だったのだ。
そのころ町では鉱山を中心として超常現象が頻発し始めていた。
フィービー&トレヴァーの兄妹。その友人たちはゴーストバスターズの装備と車輌を使ってゴーストをバスターして町を救うため立ち上がった―
という話。
ちなみに前の三作は「冴えない生活してた者が集まってゴーストバスターズを結成、ゴーストを退治しつつ壁にぶち当たるが巨悪を倒して喝采を得る」という感じで全部同じ話。広い意味では本作も主人公を子供にしただけで同じ話と言えるが。
過去に囚われてたり周囲とのズレに悩む人などの人間ドラマを描くのが得意なジェイソン・ライトマン監督だけあって、人間ドラマの部分は余裕で過去最高。
特に、はぐれ者っぽい兄妹や金策に悩むママ、フィービーが出会う陰謀論好きのアジア系少年ポッドキャストと知り合う様など『ゴーストバスターズ』展開に行き着くまでの人間ドラマが実に長い。体感で30~40分くらいあった気がする。
科学に夢中すぎて周囲から浮いていたであろう少女フィービーは何かに突き動かされ、兄は近くのダイナーの少女ラッキーに恋して祖父の車を見つけて何とか直そうとする。
フィービーは祖父のゴースト退治の装備を見つけ、トレヴァーは車のエンジンをかける事に成功する。
ここでトレヴァーが運転するゴーストバスターズ車輌”ECTO-1”が走り出して、周囲のクソ畑を爆走するシーンがめちゃくちゃ良い。何も思い通りにならないトレヴァーの魂が”ゴーストバスターズ車輌”という過去の栄光で爆走する様は、父が作った『ゴーストバスターズ』を乗りこなす監督にシンクロしてるのかな。
そもそも少年が車でバーっと走るシーン好きなんですよね。もうそれだけで感動する。今までで一番良かったのは『スーパーバッド 童貞ウォーズ』(2007)中盤でのパトカー爆走シーンか(あまり本編と関係ない爆走というのもまた良い)。
ECTO-1とゴーストバスター装備、イゴン博士が独りでゴーストと戦ってたのか改良が施してある。ECTO-1の座席は座ったまま外に飛び出し車を走らせたままビームが撃てるようになってるし、ゴーストを吸い込む機械には車輪が取り付けられてラジコンカーになっており車と並走してハイスピード捕獲ができる。……ゴースト吸い込み機はドローンにした方が合理的な気もするがラジコンカーの方がカッコいいからこれでいい。ECTO-1から通路が降りて走行しながらにしてゴースト吸い込みカーを収容できるようにもなっている。これは監督が子供の頃から考えてたのかな?
フィービーは、ポッドキャストや兄と共に大食いゴーストと初対戦して町を破壊してしまい三人は逮捕されて装備と車は没収される。引き取りに来るママ。
警察の人に「あの狂ったじいさんの親族だな」的な事を言われたフィービーは怒りの余り迫真の顔でゴーストバスター装備を手にとって署長に構えてママに止められる!
あまりにフィービーが好戦的すぎて痺れた。そして帰宅後、ママに「何でおじいちゃんがイゴン博士だって教えてくれなかったの!?」と今度はママに怒りを向ける。
この中盤のフィービー怒り描写は、前半のトレヴァー爆走と同じく本作で一番好きなところだった。もちろん相棒のポッドキャストの横でビームを発射する開放感も。
怒りの理由はわかるが、あまりにフィービーが怒りすぎてて少し不可解でもあるのだが、何故かそこが凄く感動した。
フィービーのどうにもならなさ?もしくは監督や監督の父が続編を撮ろうとしても色んな問題があって何十年も全然撮れなかったから?イゴン博士役のハロルド・ライミスが亡くなって父の心が折れたから?インタビューとか読んでないし全然事情は知らんがフィービー役の現在ナンバーワン子役女性俳優マッケナ・グレイス氏の演技がエモすぎたせいか、とにかく上手く説明できないが、この怒りのフィービーは謎の感動があった。
そして懐かしの巨悪とのラストバトル。そして旧シリーズの熱心なファンは終盤のサービスで感動しそう、僕も良い場面だとは思ったが、それらサービスは「やっとかなきゃな」感を感じた。ネタバレだがポストクレジットシーンで一作目主人公の当時のパワハラやセクハラを反省させるシーンがあるが、これもまた「やっとかなきゃな」感あったね。最近ネットでちょくちょく『ピーターよくないね』をよく聞くしな。だがしそれなら現在進行系でゴーストバスターズ映画全4作中リブート版だけ除け者にして今月発売されるらしい『Ghostbusters Ultimate Collection』問題など、現在進行系で困っているリブート版も何とか救うかフォローして欲しかった。まぁ制作元のSONYが無かった事にしようとしてるから監督が救おうとしても無理だったかもしれないが。この問題は放置しても逆効果だから今からでも何とかした方がいい。Twitter観てたらわかるが映画クラスタは本作を観に行くどころか完全に無視。本作が悪いわけではないし観てないんだろうから悪口は言わず静かにリブート版を改めて観たり記事に書いたりして、リブート版支持者の静かな怒りを感じた。僕も本作を観に行った話をリブート版好きな友達に言ったら「リブート版をなかった事にしたアフターライフなんか観に行ったの!?」と非難気味に言われたので、今はやっぱそういう流れなんだなと思いました。そういえば僕も西尾監督がアフターライフ面白い!と言って興味が湧くまで本作に対してそんな態度だったしね。
ちなみに過去の終盤で出てきた……1の”マシュマロマン”、2の”歩く自由の女神”、リブート版の”霊が憑依したマシュマロマンの巨大バルーン””巨大なゴーストバスターズのシンボルのあいつ”などの巨大ネタ。今回は”無数の小さい本物のマシュマロサイズのマシュマロマン”だった。リアル寄りな本作では逆に小さくしたの正解だわ。
そんな感じでキッズ版ゴーストバスターズが始動した後半は、旧作のオマージュやファンサービスを散りばめつつラストバトルに向かう。
それはそれで良いんだけど個人的には、前半~中盤のドライなジュブナイル感がめちゃくちゃ良かったので装備以外の、後半に出てくる旧作ゴーストバスターズ要素ゼロだったとしても全く問題なく感動してた気がする。……あ、でもガラスみたいな真っ赤な瞳というカートゥーンをそのまま物質化するのが流行ってた80年代っぽさを思い起こさせるので好きなゴーザの番犬とか大喰いはやっぱ良かったです。そして事件解決後のピーターが主人公のママの名字を聞いた後の返答や「あ、家でココアいただきますか。ラム酒飲むやつもいるし」みたいな皮肉っぽかったり図々しさを出した口ぶりがめちゃくちゃ「ピーターだ!」感があって良かった。ビル・マーレイがゴーストバスターズの格好する事はよくあるので最初は「ビル・マーレイあゴーストバスターズ服着てるな」としか思わなかったが台詞聞いてピーターとばっちり合致した。そして「やっぱ今の時代って皮肉っぽい口調の人ぜんぜん居ないから逆に新鮮だな」とも思った。
続けようと思えば続けられるラストだったが、個人的には作らなくて良い気がする。
連続して過去のゴーストバスターズ三作観て改めて思ったけど、ゴーストバスターズとして名を挙げて敵を倒したらマジでやる事ないの気付いたしね。フィービーとトレヴァーが本作中盤まででライジングしてた以上のシーンや展開も……特にない気がするな、わかんないけど。ジェイソン監督が作らるなら観に行くけど。もし作るなら本編中でも作品外のアナウンスでもいいからリブート版のフォローすべきだ。それしないとゴーストバスターズは一歩も進めないだろ。ディズニーならとっくにこの問題解決してただろう。
僕は本作、かなり好きでした。と言っても旧作には大して思い入れないので単純に本作単体が好きだった。主人公の子役2人が良すぎたのか演出か?よくわからないけど。
最初に書いた通り、色んな事があったから観もせずに「アフターライフどうせダメだろう」と思ってたけど実際は良かった。やっぱり自分で観ないとダメだ。本作が駄作だったらそれまでの流れを引き継いで「やっぱりな!」と話は単純だったのだが、すごい面白かったのが意外でしたわ。この感情の上下がゲームオブスローンズの展開みたいでそれが面白かった。何か受動的でしかありえない映画鑑賞において、現在の本作に限っては、面白さを能動的に掴み取った感じが良かったのかもしれん。
誰を呼ぶ?
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Ghostbusters: Afterlife (2021) - IMDb
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