gock221B

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『ドラゴンボール超 スーパーヒーロー』(2022)/全編活躍するピッコロと、ポッと出の新キャラのガンマ2号が良かったです🐌🤖


脚本:鳥山明 原作:鳥山明ドラゴンボール』(1984-1995) 監督:児玉徹郎 制作:東映アニメーション 配給:東映ソニー・ピクチャーズ 製作国:日本 上映時間:99分 シリーズ:『ドラゴンボール超』映画2作目、『ドラゴンボール』劇場版の第21作目 英題:Dragon Ball Super: SUPER HERO

 

 

長期連載を無理矢理続けさせられたせいで?長年燃え尽きていた鳥山明が『ドラゴンボールZ 神と神』(2013)くらいから元気を取り戻したのかアニメでドラゴンボールを再開させた『ドラゴンボール超(スーパー)』シリーズ。
僕は『ドラゴンボールZ 神と神』(2013)と『ドラゴンボール超 ブロリー』(2018)だけ観てて他の本編であるTVアニメシリーズとか漫画は読んでません。
元々は幼少期に『Dr.スランプ』(1980-1984)や読み切りとかも読んで楽しそうな鳥山明から入ったので、ドラゴンボールのファンというよりも鳥山明本人のファンだったという感じがある。だから『ドラゴンボール』(1984-1995)は、ピッコロ大魔王編くらいから「死」が増えてきて更に殺伐としてくるサイヤ人編くらいから人気爆発すると当時に、かつて描き込みが凄かった鳥山漫画なのに背景とかどんどん描かなくなり悟空の目がどんどん空虚になっていく様が圧巻でした。無理矢理、連載を続けさせられていたが行き当たりばったりや後付け設定が全部ハマってたり編集マシリトとの相互作用のせいか『ドラゴンボール』(1984-1995)は結末まで傑作で終わった。世界的な人気の明るい作品ながら、原作の悟空は性格がヒーローとは程遠い個人主義の異常にドライな性格というところが魅力だった(アニメの悟空は野沢雅子の吹き替えに引っ張られてか原作のドライな性格とはかけ離れた異常に訛った男になっており、あんまり好きじゃない)。あと国外でも人気が出たので『ドラゴンボール超』映画は海外でも公開して大ヒットしている。前作『ドラゴンボール超 ブロリー』(2018)も、劇中の半分くらいの時間は悟空たちとブロリーが凄いアニメーションで殴り合ってるだけという、パチスロの確定演出がずっと続いてるかのような射幸心あふれる内容なのにも関わらず国内外で大ヒットしてるし凄く歪で不思議な作品。

ネタバレあり……ではあるが、別にネタバレしようがしまいが面白さには大して影響しない内容な気がする

 

 

 

 

Story

かつて幼い時の孫悟空が壊滅させた悪の組織レッドリボン軍
そして一人生き延びて研究を続けていたレッドリボン軍の天才科学者・Dr.ゲロによって作られた人造人間たちも大人になった孫悟空が倒した

時は流れ、レッドリボン軍総帥レッドの息子マゼンタは、Dr.ゲロの孫Dr.ヘドに強力な人造人間・ガンマ1号&2号セルマックスを開発させ世界征服に乗り出した
孫悟空ベジータなどの最強の味方達は不在、ピッコロは彼らの力なしで新生レッドリボン軍を倒せるのだろうか――

そんな話。
早い話、ピッコロと悟飯だけを中心に人造人間編をもう一度やったのが本作。
悟空に及ばなかった旧キャラ達も大幅にパワーアップされていた『ドラゴンボール超』でも、人気キャラなのに今ひとつ活躍できなかったピッコロ&悟飯に光を当てた感じ。
ドラゴンボールは「強さインフレが激しい少年ジャンプ漫画」の走りであり、今までも作中で活躍するのは悟空や章ボスなどの『最強キャラ』が中心で、それにベジータや悟飯など下のランクのキャラがかろうじて食い下がる……という感じだった。何かの切っ掛けでパワーアップしたキャラに、それまでの最強キャラは傷一つつけられない……というインフレの連続でカタルシスを演出していた感じ。
そんなドラゴンボールがインフレ系ジャンプ漫画だとすると、ジョジョや冨樫はジャンケンのように能力の相性によって勝敗が決まる能力系漫画(能力系漫画にもインフレはあるのだがドラゴンボールほど極端ではない)
そんな「最強」優遇作品なのに劇中で「いま強い」とされている悟空、ベジータブロリービルスウイス魔人ブウ……など、助けてくれそうな奴らが不在で、地球の危機だというのに「悟空や強い奴に協力を得られない」というのが本作の特徴(ちなみに人造人間17号は「構造の弱点を知られてるだろうから呼ぶのはやめておこう」という形で出て来ない)。かなり丁寧に「ピッコロ&悟飯」師弟コンビだけが最強戦力として対抗するしかないという舞台が丁寧に整えられている。
だが国内外では『ドラゴンボール超 ブロリー』(2018)ほどヒットしなかったらしいので多分、こういう特別な回は今回限りだろうという気もする。
僕はというとピッコロも人造人間編も好きなので楽しみにしていた。
あまり関係ないけど一体それぞれの時の悟空は何歳なのかと思って検索してみたら

エイジ750:レッドリボン軍を壊滅させた時が孫悟空13歳
エイジ767:人造人間達と戦った時が孫悟空30歳
エイジ783:本作の孫悟空が46歳

という感じらしい。
こうして見ると連載開始から割と悟空の年齢が自分より少し上だったり少し下だったりと幼馴染みたいに思えてきて親近感出てきた。で、本作の悟飯は26歳。初登場時は16歳だったブルマも本作では50歳(ブルマは連載開始から常に自分より年上のままなので従姉妹のお姉ちゃんみたいな気分になる)。
そういえば鳥山明って登場人物をガンガン老けさせるよね。普通、人気ある若者キャラを最終回以外で老けさそうとは思わないだろうが鳥山はガンガン時を進める。
これについて僕は、連載当時「無理やり延命させられている連載を早く終わらせたいから、せめて皆を老けさせるという無言の抗議をしてるんだろう」と思っていた。真相はわからないが今もそう思ってる。
ちなみに本作の翌年……劇中でエイジ784が原作最終回の「天下一武闘会でウーブを弟子にする」という最終回らしい。というか何だよ「エイジ」って。始めて聞いたわ。始めて聞いた単位を当たり前のように使ってる自分が恥ずかしなってきた

 

 

まず映画開始冒頭の1~2分くらい、レッドリボン軍編と人造人間編のあらすじが手早く語られる。このアニメーションがそれぞれの連載当時の鳥山明の絵柄のままで動くので単純に感動せざるを得ない。連載してたのを小学生の時にワクワクして読んでたからね、それがアニメ化されたが当時はそこまで原作と似た作画でもなかったし感動するだろ。どうせなら初の人造人間、はっちゃん(8号)も動かしてほしかったが……。
人造人間編は今とさほど変わらないしゲームなどでもよく見かけるため感動はさほどなかったが、やはり原作そのまますぎるアニメーションで感動。手の神経みたいなコードの上に手が出てくる当時のTVアニメOPみたいなとこもぐっと来た。
それよりやはり80年代の鳥山の可愛い絵柄のままグリグリと動くレッドリボン軍編の振り返り映像が凄かった……というかこのアニメ技術でドラゴンボールを最初から最終回まで展開早めで、やり直して欲しいと思った。
本作からアニメ作りは手書き風じゃなく3DCGになった。
デジタル作画になった現在の鳥山明の、ペンの強弱が薄い等幅の画風と合ってるせいか別にCGでOKだと思った。だが冒頭のレッドリボン軍編ふりかえりアニメは鳥山の絵が強弱あって一番良すぎた時期なせいか手書き風アニメが合っていた、というか本編でここの冒頭アニメが一番良かったよね。
このCGアニメーション、戦闘とかは勿論だが、Dr.ヘドがオレオ的なお菓子を食べる時にぱかっと分離させて片方のクッキ-部分でクリームをこそげ取って食べるなどの異常に細かい動作が印象に残った。よくわからんけど鳥山がこうして食べてるのかな?そういえば幼い時に『Dr.スランプ』のおまけページで鳥山が映画館でせんべい食ってたりアラレちゃんが文鳥飼う話で「鳥山、文鳥飼い始めたのかな?」と思ったり、鳥山の結婚と同時に千兵衛さんとみどりさんが結婚して感慨深かったりして、大御所の映画や漫画や小説……等のフィクションってゴリゴリに設定やストーリーがあっても、どこか作者のエッセイになってしまうように鳥山作品は割と昔からそういうところがあったな。

 

 

前述したようにレッド総帥の息子マゼンタが、Dr.ゲロの孫Dr.ヘドを言いくるめて強力な人造人間ガンマ1号&2号、セルマックスを作る。
マゼンタはDr.ヘドの頭脳を利用してシンプルに世界征服しようとしている。
Dr.ヘドは祖父Dr.ゲロとは違い悪人ではない、かといって利他的な善を成そうとする善人でもない。ただ「発明がしたい」「開発資金がほしい」という発明家的な欲求を持っている。その二の次の欲求として「どうせ作るなら『スーパーヒーロー』を作りたい」とライトな感じで思っている。そのためガンマ1号&2号にはスーパーヒーロー的な思考を持っている。悪の総帥マゼンタはヘドの思想に則って「悟空たちは地球侵略しようとしている悪の宇宙人なのでスーパーヒーローを作ってやっつけよう」と騙している。
ヘドは心の何処かでマゼンタに言いくるめられてる事に気付いてるのだが好きなように開発できるので流されている感じ。
ちなみにガンマ1号&2号の強さは、本作を観た限り悟飯と互角だった。あと、検索してみたところガンマ1号&2号の強さは「現在の、ノーマル状態の悟空とベジータと同じくらい」らしい。
これまた前述したように本作の主人公であるピッコロそして悟飯を活躍させるためには悟空&ベジータが居てもらったら困る(悟空&ベジータが変身したらガンマ1号&2号より強いので)。
だから悟空&ベジータウイス様とビルス様の惑星で修行。ブロリー一派もすっかり仲良くなってキレずに戦う訓練を悟空に受けている。ブルマからウイスへの通信を受信する機械にもビルス様が放り投げたアイスの箱が被さってしまった。これで彼らは本作から上手く除外された。
その他、魔人ブウは休眠中、フリーザは敵だから助けに来る義理はない、人造人間17号は「Dr.ゲロが作ったから構造や弱点を把握されてて不利かもしれない」という苦しい理由がピッコロによって丁寧に語られていた。
これで「ピッコロ&悟飯だけが新レッドリボン軍に立ち向かう舞台」が準備できた。

何度も言っているように本作は「ピッコロだけが活躍する作品」というのが徹底されている。
ピッコロは、悟飯の娘パンの修行をしたりパンの送り迎えをさせられている(甥の家庭に居候している独身の叔父さんみたいな雰囲気がある)。そしてピッコロはガンマ2号の強襲を受けたが当然敵わないので一旦逃亡、カリン様の元で仙豆を2個Get、続いて地球の神となっているデンデのところに行き「かつてクリリンとかがナメック星で最長老様にやってもらってた潜在能力の引き出し」あれ、実はドラゴンボールで出来るって事がわかり潜在能力を引き出しパワーアップ(このピッコロの強さはガンマ1号&2号より少し弱いくらい)。そしてピッコロは新レッドリボン軍に潜入し敵の全てを把握する。
レッドリボン軍は悟飯をおびき出すため娘パンの誘拐計画を立てる。自分だけではキツいなと思っていたピッコロは「戦闘に興味ない悟飯を引っ張り出すにはパンを使うのはアリだな」と思い、敵の兵に変装しパンを誘拐。
怒った悟飯はピッコロの目論見通り怒ってガンマ1号と対決。
ピッコロは因縁の2号と戦う、神龍に潜在能力を引き出してもらったピッコロだがガンマ2号にはまだ及ばない、しかしピッコロは闘いながらもガンマ2号に「本当の悪はマゼンタで、ヘドは利用されている」と説き、苦悩するガンマ2号はピッコロをボコボコにする。瀕死のピッコロは真の潜在能力を目覚めさせ一段上のパワーへと変身する。
その変身は全身オレンジのマッチョのオレンジピッコロというもの。
オレンジピッコロは苦戦していたガンマ2号を剛腕一発で倒す。
「オレンジピッコロの強さ」はよくわからないが変身前の悟空&ベジータより強いが、ブルーとかに変身した悟空&ベジータには及ばないくらいらしい?
更に、マゼンタが幼女パンを銃殺しようとしたのを見たガンマ2号はヘドや自分たちがマゼンタに騙されている事を悟りマゼンタに反旗を翻す。

 

形勢不利を悟ったマゼンタ総帥は絶命しながらセルマックスを起動させる。
「スーパーヒーロー」を生み出したいDr.ヘドは、ヒーローとして生み出したガンマ1号&2号に夢中で、破壊のための怪物でしかないセルマックス開発には乗り気ではなかった。
それでも天才ヘドが生み出したセルマックスは、どうやら現在の悟空&ベジータより強いパワーを持っているらしい。
そこにブルマは現在稼働可能な戦士……悟天&トランクス、クリリン人造人間18号夫婦も連れてきた。本当の敵はマゼンタだと悟ったガンマ1号&2号も共闘する。
只のアホの怪物となったセルマックスにガッカリしたセルのファンもいたようだが、セルマックスはベジータにボコられて「ちくしょおおー!」とか言ってた唇の厚いアホのセル第二形態そっくりのルックスなので「今回はアホのセルでいかせてもらいます。その証拠に第2形態だけにしときました」という鳥山のメッセージを感じた。セルマックスはアホのセル第二形態のリバイバルで、パーフェクト・セルの進化系はまたそのうち出てくるだろう多分。
しかしオレンジピッコロもアルティメット悟飯もセルマックスには敵わない(悟飯が最後に言うには悟空やベジータより強いらしい)。
……と酔ってたせいか僕が嫌いなあらすじそのまま書く系の感想になっていた。いや、あらすじ書いてるだけだから別に感想ですらない。もうやめとこう。
ここで「いつもダサいタイトルだが『スーパーヒーロー』ってなんだよ?」というサブタイトルが明らかになる。悪く言えば取ってつけたような展開と言えなくもないが、鳥山明のシンプルすぎるスーパーヒーロー感が高い酒のようにスッと入ってきて不思議な感動がある。その突撃映像もカッコよすぎたし。
というか、ここで映画終わりと言っても過言ではない。その後の「皆で力を合わせてセルマックスを倒そう!」という流れはもう消化試合感ある。というか東映まんが祭りっぽくて醒めた。
悟飯は新たな形態に覚醒してファンサービス技で事件は幕を閉じる。

 

 

昔の人造人間編同様に

凄く強い人造人間に苦戦
人造人間そんなに悪い奴らじゃなかったので説得
人造人間の英雄的行為で勝機を見出し皆で悟飯に繋げてセルを倒す

と、流れは似た感じだった。
そんなことより本作は「最初から最後までピッコロが主人公」というのが最大の特徴だろう。「ピッコロと悟飯が主人公!」という触れ込みだったし確かに悟飯が最後決めてくれるのだが、悟飯はパンが人質に取られたから怒っただけで基本的に相変わらず全くやる気がないまま。レッドリボン軍が何なのか敵の狙いが何なのかも殆どわからないまま暴れている。挙句の果てにはピッコロにもらった2個しかない仙豆をキャッチしそこねて亀裂に落としてしまうという意味のないドジを結構な尺取って見せられたのはイラッとした(昔、亀仙人がしていた楽しくないギャグパート、亀仙人が出てこないので皆が少しづつ受け持っている)。もうピッコロに指示されたりピッコロに騙されたりしながらピッコロが敷いたレールに乗ったトロッコに乗ってるだけだった。最後もいつものようにピッコロがボコられて覚醒しただけなので、もはや意思のある大人というより「ピッコロの延長線上の四肢が悟飯」という印象だった。
鳥山は最初ピッコロだけの話にしようとしてたらしいから、その影響だろうか。僕は悟空より悟飯が強くあるべきだと思うくらい悟飯も好きなので、悟飯はもう少し自主的に考えて行動して欲しかった(闘いには全く興味ないままなので次回作では再び悟空&ベジータに抜かれてそう)。
あとは「ベンチで応援するだけ」というポジションに成り下がってたクリリンだったが、セルマックスに気円斬をぶつけて妻の18号を救ったりセルマックスに太陽拳を照射して時間を稼ぐなど「一芸に秀でて一矢報いるクリリン」を一瞬見せてくれて嬉しかった。
そういう感じで「ピッコロ好きなのでピッコロの活躍嬉しい」「昔を彷彿させてくれる場面が多い」など懐古要素が多いように思えるが、一番カッコよかったのは何の興味もなかったポッと出のガンマ2号だったりと、かろうじて「鳥山明ドラゴンボールは現役」感も感じました。
もう劇中では一年後がウーブ出てくる天下一武闘会なんだが、どうするんだろう?
ウーブを育てつつ、普通に続くのか?

 

 

 

 

そんな感じでした

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