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『DC がんばれ!スーパーペット』(2022)/動物とDC好きな人なら全編感動しながら観ることになる「レゴ®バットマン」のジャスティス・リーグ版的な理想的なDC映画🐕


原題:DC League of Super-Pets 監督/製作/脚本:ジャレッド・スターン 脚本:ジョン・ウィッティントン 製作:ドウェイン・ジョンソン他 制作会社 ワーナー・アニメーション・グループ、DCエンターテイメント 他 配給:ワーナー・ブラザース・ピクチャーズ 製作国:アメリカ 上映時間:105分

 

 

DCコミックのスーパーマン……の愛犬クリプトやスーパーパワーを持ったペットたちを主人公にしたDCコミック原作アニメ映画。
主人公クリプトの吹き替えがドウェイン・ジョンソン、スーパーマンがジョン・クラシンスキー、バットマンキアヌ・リーブス、メインヴィランのルルがケイト・マッキノン……など多くの有名俳優が吹き替えしている。
最初に結論言うと、この映画は物凄く良かったので今(2023年1月23日)まだ、レンタルだけなので配信サービスに来たら観て欲しい。
何となくキッズ向けファミリームービーっぽかったから無意識に舐めて今まで観てなかったのだが、そういえば「DCのアニメとゲームはハズレが少ない」という事を忘れてた。面白かったので検索したらDC傑作アニメ『レゴ®バットマン ザ・ムービー』(2017)の脚本家の中の二人が監督と脚本していた。「厨二病を強調されたバットマン」「いじられキャラでオチにされるアクアマン」など、キャラクターのいじられ方もアレとほぼ同じなので『レゴ®バットマン ザ・ムービー』(2017)の続編のように観ることもできる。道理で面白いわけだね。
本作の公式サイトや宣伝を見たら、ジェスティス・リーグなどヒーローの事など極力隠して「かわいい動物の映画です」という感じで宣伝していた。出番がそう多くないがペットとして人気のある子猫のキャラを全面に押し出してたのも凄くワーナージャパンっぽい。本当なら「ペットたちのアベンジャーズ!」と宣伝したいのは『シャザム!』(2019)の時に「声優のアベンジャーズ」とか宣伝して怒られた事を覚えていて我慢sてえらかったね。でもペットを前面に推してもヒットしてなかったっぽいので結局タイトルも『DC・リーグ・オブ・スーパーペット』(2022)のままで良かったね。

ちょっと中盤の事とはいえ本作にとって重要な部分のネタバレあり

 

 

 

 

Story
惑星クリプトンの爆発を悟ったエル夫妻は息子のカル=エルを一人用のポッドで地球に飛ばす。ポッドには愛犬の子犬も乗り込んだ(ちなみに鳥山明先生の『ドラゴンボール』で描かれた孫悟空のオリジンはここから盛大にパクった)。
数十年後……地球でスーパーヒーローとなったカル・エル……クラーク・ケント/スーパーマン(CV:ジョン・クラシンスキー)の傍らには親友のスーパードッグとなったクリプト(CV:ドウェイン・ジョンソン)がいつも一緒にいた。
……ちなみにクリプトはスーパーマンと同じ能力(怪力、飛行、ヒートビジョン、スーパーブレス、超高速移動、超耐久力、X線ビジョン、超聴力、ヒーリングファクター、太陽エネルギー吸収)を持っており凄く強い。
しかし最近のクラークは同僚かつ恋人でもある有名ジャーナリスト、ロイス・レーン(CV:オリヴィア・ワイルド)に夢中。クリプトは「”スーパーマンのベストパートナー”のポジションをロイスに取られる」という危機感を感じている。

そんなある日、スーパーマンの宿敵レックス・ルーサー(CV:マーク・マロン)と秘書のマーシー・グレイブス(CV:マヤ・アースキン)は「何人にもスーパーパワーをもたらす」とされる〈オレンジ・クリプトン〉などで悪巧みしていた。
スーパーマンとクリプトは、クリプトン星の生物の弱点であるグリーン・クリプトナイトを持ったルーサーに苦戦。
そこに、地球最強のスーパーヒーローチーム……、バットマン(CV:キアヌ・リーブス)、ワンダーウーマン(CV:ジャミーラ・ジャミル)、フラッシュ(CV:ジョン・アーリー)、グリーン・ランタンジェシカ・クルーズ〉(CV:ダーシャ・ポランコ)、アクアマン(CV:ジェマイン・クレメント)……等による通称〈ジャスティス・リーグ〉がやって来てスーパーマン&クリプトを助けルーサー達を捕まえる。スーパーマンはオレンジ・クリプトンを地球外に放り投げる。
……しかし、そんなオレンジ・クリプトンを自作の機械で引き寄せスーパーパワーをGETした生き物がいた。それはルーサーに実験されて毛が全て抜け落ちた天才モルモットルル(CV:ケイト・マッキノン)だった。
ルルと同じペットショップに居たペットたち……捨て犬エース(CV:ケヴィン・ハート)、ワンダーウーマンに憧れてるが自己評価が低いPB(CV:ヴァネッサ・ベイアー)、近眼のマートン(CV:ナターシャ・リオン)、悩みやすいリスチップ(CV:ディエゴ・ルナ)。ルルだけでなく同じショップに居た彼ら彼女ら動物たちもスーパーパワーを手にする。

サイコキネシスを初めとした様々な超能力手にしたルルは、子猫のウィスカーズ(CV:ウィノナ・ブラッドショウ)、キース(CV:トーマス・ミドルディッチ)&マーク(CV:ベン・シュワルツ)を始めとしたモルモット軍団にパワーを与えて手下にする。ルーサーに愛されたいルルは、スーパーマンジャスティス・リーグを拉致する。
最愛の親友を救いたいクリプトだが、ルルの策略でスーパーパワーを失ってしまい只の白い犬になってしまう。そこでクリプトは、エースたちスーパー動物たちリーグ・オブ・スーパーペットを指揮する。
クリプトはルルを倒しスーパーマン達を救えるのだろうか――

 

みたいな話。

無駄に長くなったが一言で言うと、スーパーマンの愛犬クリプトとスーパー動物たちが、悪の天才レックス・ルーサー支持者の悪のスーパーモルモットを倒して捕まったスーパーマンやヒーローたちを救う話……と書けば三行で済んだ。
既に観た人は個人ブログの「あらすじ」とか読む必要はあまりないのだが、一応全く観てない人も読めるようにとか、書くことによって僕が反芻して理解度を深められるとか、DCの色んなキャラの名前を書きたい気持ちが高まったという色んな理由があったのかも。

映画開始時点のクリプトとスーパーマンは調子くれてる感じで余裕の人助け&悪への鉄拳ライフを謳歌している。といってもスーパーマンもクリプトも、いつものように人助けしているだけなのだが、そう見えるようにディフォルメして増長しているかのように描写しているだけ。……なのだが、クリプトは普通の犬を「あ、普通の犬だね。僕はスーパーだけど……」と知らず知らずの間に増長しているところがある。
一方、捨てられたりした動物たちが居るペットショップ(保護動物センターみたいな店?)。ここでは子猫ウィスカーズなどの人気はすぐ貰われるが不人気の動物は何年もケージの中。貰われるあてがない動物たちは「動物たちが平和に暮らす牧場にいつか行ける」という妄想にすがって生きている。店を通りかかったクリプトはクリプトのことも「可哀想なパワーのない犬」といった感じで無意識に見下してしまう(恐らく悪気はない)。
本作のメインヴィランであるモルモットのルルはレックス・ルーサーに憧れているモルモット。ルーサーにされた実験の過程で毛が全て抜け落ちている。
ルーサーのペットが……というかルルはペットじゃない只の実験動物。頭髪が全くないルーサーに合わせて無毛というところとか、一見無力に見えるが最強……というところなど色んな要素が「ルーサーの動物」っぽさを醸し出している。
スーパーマンジャスティス・リーグはルル&スーパーモルモット軍団に敗北。
クリプトも、クリプトナイトを食わされてスーパーパワーを失う。
……という事でクリプトは本編の殆どの時間を、以前までは無意識に見下していた「只の白い犬」となって過ごす。
全てを持っていたクリプトが全てを失い「新しい大事なもの」も新たに付け加えて取り戻す話になっている。
パワーを失ったが、このままではスーパーマンジャスティス・リーグが処刑されてしまう。そこでクリプトはマンションから落ちたり車に轢かれたりと、パワーがあった時にはなかなか経験できない大変な目に遭いながらエースたちが居るペットショップにやって来る。
自分はパワーを失ったので、スーパーパワーを得たエースたちを特訓や指揮してルル達に立ち向かう。スーパーヒーローチームを率いる常人……アベンジャーズのニック・フューリー?……いやDC作品だからスーサイド・スクワッドを指揮するアマンダ・ウォラーみたいにと言っておこう。
しかしスーパー動物たち……リーグ・オブ・スーパーペットは皆、辛い境遇だったせいか自分に自信がなくメンタルが激弱。あと不慣れだしチームワークも取れない。

 

 

この後は当然、動物たちは互いの過去やトラウマを話したり鼓舞しあったりしてメンタルを整えて友情で団結するとスーパーパワーを上手く使えるようになり、動物たちはラストバトルに駒を進める。
クリプトも、以前とは立場が逆になったエースや他の保護動物軍団と接したり、パワーがあった頃はあまり使っていなかった嗅覚などの犬の基本能力を磨いたりして「パワーのない普通の犬や動物」を無意識に見下していた以前の自分を反省した。
以前までは「スーパーマンさえいれば友達などいらない」と思っていたが多くの友達が出来た。それがルルには無い強みだ。
そしてエースがクリプトに話すエースのオリジンが強烈だった。
※【エースの回想のネタバレ書くから自分で観たい人は読むのやめてね】
エースは子犬の頃、クリプトと同じように赤ちゃんの友達として幸せな家族に貰われる。赤ちゃんは一番の親友、優しい両親、幸せな日々……。ある日、皆が目を離した時に赤ちゃんが階段に向かって歩いていた。危ない!そう思ったエースは赤ちゃんの手を咥えて引っ張って助ける。しかし突然噛まれた赤ちゃんは泣き出す、両親が駆けつけると赤ちゃんの手に薄っすら歯型が……。エースは「赤ちゃんに噛みつく危険な子犬」として最初にいた保護動物ショップに連れて行かれてしまう……。
赤ちゃんが泣き出して両親が駆けつけた時、最初エースは褒められると思って「見て!赤ちゃんを助けたよ!」という感じでニコニコしてたが両親の引いた顔を見て全てを察して落胆、その落胆顔のままケージ→保護動物ショップの檻の中→檻の中で大きくなった現在の姿……と映像が切り替わる様が圧巻すぎて忘れられない。
クリプトは「そんな……その子のために助けたのに……」と絶句するが
エースは「どんな犬でもやる当たり前のことさ。何度でもやる。最悪の思い出だが後悔はない。本当に大好きな人のためなら何でも出来る。たとえ別れる事になると知っていても」

今までパワーのない動物を無意識に見下していた事を反省してリーグの皆と友情を築き始めたクリプトだったが、今度はエースとの会話で「親友クラーク・ケント/カル=エル/スーパーマンからの愛を自分だけが受けること」に執着していた過去の自分をも反省し、ある決心をして完璧な新しいクリプトへ生まれ変わる。
このエースの語る回想が「ヒーローとはパワーではなく利他的で誇り高い精神性」というヒーローの本質、そして犬が飼い主へ抱く無償の愛……本作が全編かけて言いたかったことを数分の回想で全て言い尽くしていて凄い。もう、ここだけではないがカット割りとか表情とか全て完璧だし。
僕はずっと猫飼ってる猫派なので犬飼ってる人ほど100%は理解してないかもしれんが、犬飼ってる人ならもっとグッと来るだろう。
というか僕は若い時から動物をずっと飼ってるし子供の時からアメコミヒーローも好きなので本作は割と始まってすぐ「孤児となった赤ちゃんスーパーマンに寄り添う赤ちゃんクリプト」のカットからもう薄っすらずっと不思議な感動が続きっぱなしだった。
「そういえば20代後半から30代半ばくらいまで?はMARVELよりDCの方が好きだったな」と思い出した(DCEUがイマイチでMCUが良すぎたので変わったのだろう)。
本作が、ここ30年間くらいのDC関係の映画で一番好きかも。

 

 

それと本作に出てくるジャスティス・リーグのキャラ付けは前述の通り『レゴ®バットマン ザ・ムービー』(2017)の時と殆ど同じ。スーパーマンは悪気なく薄っすら他人を見下してるような雰囲気(本当に見下してるわけではなく凡人から見たらそう見えるという表現なんだろう)、バットマン厨二病でリーグ内で浮いてるが他のメンバーは優しく見守っている、ワンダーウーマンは美人で完璧な優等生、フラッシュはカートゥーンの『ジャスティス・リーグ』とか実写版同様に若い大学生っぽいキャラ、そしてアクアマンはレゴの時同様に魚しか友達がいない可哀想な男みたいなオチ担当。サイボーグは片方だけアフロヘアのIT系陽キャグリーン・ランタンはラテン系女性のジェシカ・クルズに変わっていた(地球人のグリーン・ランタンは6~7人いるので色々選べる)。ハルじゃないのは有色人種を増やしてJLに多様性を持たせたかったで黒人のジョン・スチュワートじゃないのはサイボーグが黒人男性だから消去法でジェシカにしたんだろう。最近のジェシカは知らないが彼女は陰キャだった気がするが本作ではカルチャーに敏感そうなセクシー女性キャラになっていた。

本作のキャラ付けだけでなくキャラのデザインも全体的に好きだった。
ロイス・レーンは、凄い有名キャラだが「漠然としたキャリアウーマン美人」というボンヤリとした感じでパッとしない印象だったが、本作だと浮世絵みたいに面長で眉の太い美人にしたことで人間味がある美人になって良かったと思う。本作で顔もスタイルも完璧な「漠然とした美人」はワンダーウーマンだが、ダイアナの場合は女神のようなキャラなのでこれでいい。ジェシカ・クルズはぽっちゃりタイプ。
ルーサーの秘書マーシー・グレイブスは無気力キャラで左右非対称の紫のボブカットで凄くイケていた。このキャラは天才ブルース・ティムポール・ディニのアニメ『スーパーマン』(1996-2000)で創造されて人気になり原作や他メディアにも逆輸入された(同じく『バットマン』(1992-1995)でブルース・ティムポール・ディニが創造したハーレイクインも今ではDCの顔レベルの人気キャラになった流れと同じ)。
猫派として猫の話もしとこう。本作に出てくる猫は子猫ウィスカーズ。彼女は自分の可愛さをわかってるタイプでルルの手下で尻尾を武器に変えるパワーを持つ、最後まで改心することはない完全なヴィラン。だが猫好きとしては終始悪者として描かれる彼女は猫の孤高さを表現してたので不満はなく満足でした。本作は楽しいアニメなので基本誰も死なないが彼女だけはリーグ・オブ・スーパーペット(クリプト達)に完全にブッ殺される。しかしウィスカーズはペシャンコにされながら「9つある生命が一個なくなっただけよ~」と言い最後は普通に歩いている。これは『バットマン リターンズ』(1992)でキャットウーマンが言ってた台詞のオマージュ。他にも、いちいち挙げないけど(野暮でダサいから)本作にはDCコミックやDC映画のパロディが……しまいにはMARVELのパロディまで無数にある。
ヴィラン猫だからウィスカーズだったが、猫もヒーローにするならスーパーガールの愛猫ストリーキーとかが出てたのだろうか。

とにかく何度か書いたが、DCヒーローや動物好きなら楽しめるはず。
ジェームズ・ガンによる新体制になったし特に続編も作られないだろうが、綺麗にまとまってるので別に続編とかはなくていい。

 

 

 

 

そんな感じでした

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DC League of Super-Pets (2022) - IMDb

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