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『デューン 砂の惑星 PART2』(2024)/2010年代の大味SF大作みたいで楽しかった。『プロメテウス』みたいな大味さだなと思ったら本当に『プロメテウス』の脚本家だった🐛


原題:Dune: Part Two 監督&脚本&製作:ドゥニ・ヴィルヌーヴ 脚本:ジョン・スペイツ 製作総指揮:ブライアン・ハーバートほか 原作:フランク・ハーバートSF小説デューン砂の惑星』(1965) 音楽:ハンス・ジマー 撮影:グリーグ・フレイザー 編集:ジョー・ウォーカー 製作会社:レジェンダリー・ピクチャーズ 製作国:アメリカ 上映時間:166分 公開日:2024年3月1日(日本は2024年3月15日) シリーズ:ドゥニ・ヴィルヌーヴの『デューン』シリーズ第2作目

 


フランク・ハーバートのSF大河小説『デューン』シリーズの第一巻『デューン砂の惑星』(1965)……の前半を映画化した『DUNE/デューン 砂の惑星』(2021)の続編で、2部作の2作目。 
原作は読んでませんがデヴィッド・リンチ『デューン/砂の惑星』(1984)

と、リンチの前にアレハンドロ・ホドロフスキー監督が長年かけて「デューン」を映画化しようとしてた様を語った面白いドキュメンタリー『ホドロフスキーのDUNE』(2013)は観てて大体のあらましや、原作のニューエイジっぽさやスピリチュアルっぽさ、本作の後どうなるのかは読んでないくせに中途半端に知ってる感じ。

完全にネタバレあり

 

 

 

 

前作『DUNE/デューン 砂の惑星』(2021)のあらすじ

紀元102世紀末、惑星カラダンの領主レト・アトレイデス公爵は宇宙帝国を統治するシャッダム皇帝の命により、色んな事に使える宇宙で最も価値のある超すごいスパイスメランジ〉のがどっさり採れる砂漠の惑星・アラキス、通称〈デューン〉に赴任する。
しかしこれは皇帝と結託したレト公爵の宿敵・ウラディミール・ハルコンネン男爵(演:ステラン・スカルスガルド)の罠で、レト公爵は謀殺されてしまう。
主人公である公爵の後継者ポール・アトレイデス(演:ティモシー・シャラメ)と愛妾レディ・ジェシ(演:レベッカ・ファーガソン)は脱出し、巨大な砂虫サンドワーム〉が居る危険な砂漠を横断する。
ポールとジェシカはアラキスの砂漠の原住民〈フレメン〉に遭遇、ポールは決闘でフレメンの男を破り、フレメン入りしたのだった――

そんな話だったが、いくら何でもポールとジェシカが地球にしか見えない砂漠を、広大な砂漠を延々と歩くシーンが長すぎて……(体感3時間くらいに感じた)一言で言うと近年稀に見るクソおもんない映画だった。
一部の人(原作の読者や撮影技術をIMAXで堪能した人たち)は褒めていた。どうせ観るなら楽しんだ方がいいので彼らが少し羨ましかった。
10分で終わらせて、この二作目と合わせて一本の映画でいいやろと思った。

で、本作はポールとジェシカがフレメン入りしてフレメン本部に行くところから。
後にポールの恋人となるチャニ(演:ゼンデイヤ)。すぐ後にポールの熱烈な信者となるスティルガー(演:ハビエル・バルデム)は既にポールに好感を抱きつつあった。
最初は余所者としてフレメンから白い目で見られていたポールとジェシカだったが、ポールは砂漠横断やサンドワーム乗りなどのフレメンへのイニシエーション的儀式をこなし、ジェシカは超神水みたいな液体を飲んでフレメンの過去の記憶を全て獲得して皆に助言する〈フレメンの教母〉になることによってフレメンに溶け込む。
ポールの砂漠横断は出かけたと思ったら次のカットでは既に横断が終わって何日か経ってて驚いた(本作は、何話もあるドラマを総集編ダイジェスト映画にしたかのように、行動が途中でぶった切れて時間が飛ぶところが異常に多くて面食らう)。
そしてポールはチャニと恋仲になり永遠の愛を誓う。
ポールの母であるジェシカは、元々〈ベネ・ゲセリット〉のメンバーの一人だった。このベネ・ゲセリットは帝国の真実を語る女性のみで結成された秘密結社で、どうやら宇宙帝国の政治をあやつったり進化を促して超人を生み出したりする……一言で言えば凄く頭が良くて宇宙帝国のためならどんな策略もする怖い女性達といったところ。だから元々、フレメンの教母なんか余裕で出来る素質があったってわけね。そしてジェシカは実は妊娠しておりポールの妹を身ごもってもいた。

ハルコンネン男爵の甥である残虐な将軍・ラッバーン・ハルコンネン(演:デイヴ・バウティスタ)が攻めてきたがポール、チャニ、スティルガーを中心としたフレメンのゲリラ殺法によりハルコンネン軍を返り討ちにしてラッバーンを追い返した。ラッバーンを演じてるデイヴ・バウティスタはプロレスラーだった時から好きなんだが本作では酷い目にあってばかりで可哀相だった、『ブレードランナー 2049』(2017)でも可哀想なレプリカント役だったしヴィルヌーヴは彼に可哀想な役をさせるのが好きみたい。
こういった華麗な大勝利の積み重ね、また飲んだら死ぬか予知能力を得るかの超神水を飲んで仮死状態になりチャニの涙で復活するなど如何にも英雄らしい活躍の数々によって、元々ポールが好きだったスティルがーは「アカン……こいつ救世主や!」と心酔していきポールが「そんなことないよ……」と謙遜するとスティルがーは「めっちゃ謙虚!ますます救世主っぽい!間違いないわ!リサーン・アル=ガイブ!(外部からの救世主を称える言葉)」とどんどん盛り上がっていく。
こういう感じでスティルガーは凄く可愛いので一番好きになった。演じているハビエル・バルデムも渋くて好きな俳優。「実績などではなくカッコいい顔だと思う男の俳優は?」と訊かれたらハビエル・バルデムが浮かぶ。あとベニチオ・デル・トロも好きだ。両者とも似た系統だ。若い時わかりやすいイケメンだったが、中年になったら四角い顔に骨太な感じの胴体になった感じのおじさんね。ブラピみたいな若いイケメンの時のままオッサンになった少女漫画家が描いたイケオジみたいなおじさんにはあまり憧れない。

 

 

そんな感じで思い切り端折るがポールは次々と試練や戦いを勝利していき、フレメン以外の砂漠の部族たちをもまとめあげ教祖のようになってしまう。
チャニはそれが気に入らず、劇中殆ど嫌そ~うな顔している。「ポールはポールなのに、皆をまとめる時に砂漠の救世主として別の顔を見せる。それが気に入らない。こんな風に民の皆が狂信者みたいになってるのも嫌だし危険だ。こういうノリ大嫌いなのに私まで予言の一部にされてしまって気持ち悪い!」とか、多分こういう事を思ってるんだと思う。
そんで最後まで言ってしまうがラストバトルでハルコンネン軍を皆殺しにしてハルコンネン男爵の跡取り・フェイド=ラウサ・ハルコンネン(演:オースティン・バトラー)も決闘でブチ殺し。ポールは父を忙殺した切っ掛けを作ったシャッダム皇帝(演:クリストファー・ウォーケン)を殺さず従わせ、更に皇帝の娘である皇女ルーラン(演:フローレンス・ピュー)と政略結婚する。これでこの辺りの宇宙の権力はポールと母ジェシカのものとなった。気持ちいいくらいの笑ってしまうほどの大勝利だ。

しかしチャニは「宇宙の救世主として芝居がかった事ばかり言うポール」「権力を手にしたポール」「眼の前で別の女……しかも皇女と政略結婚してみせたポール」という「チャニが嫌いなポール」三連打されてたまらず出ていってしまう。
挙げの果てにラストカットはふくれっつらのチャニがサンドワームに乗ってどっか行っちゃう場面だったので笑った。
ポールとジェシカが狂信者を従えて「よし、この辺の宇宙、全部支配しちゃおう。聖戦や!」とブチ上がる様とか、確かに見てて怖いものがあるし、ふくれっつらの彼女に凄く共感する部分はある。
だけど「ポールとは砂漠で一緒に狩りしたりキスしたりしたいだけだったのに!」と少女のように常にふくれっつらで怒ってるチャニもまた子供っぽい気がする。両方あるね。
神話とか狂信者とか権力とか嫌いなのはわかるが、ポールは権力のためではなく「皇帝やハルコンネンなどの悪いやつをブッ倒して俺が皇帝になるしかないわ!皆の平和のためには……そのためには救世主っぽい言動もしよう!」と覚悟を決めてることくらいはわかるはずで、そのポールは「政略結婚したけど俺が生涯好きなのは君だけ!(だから俺の救世主っぽい演技は見逃してくれや)」とずっとチャニだけに言ってるわけだからね。ちょっとは聞き入れてもよくないか?皇帝になったポールも仕事を終えた食卓や寝室ではチャニが好きだった砂漠の時の爽やかなポールに戻ると思うぞ?少しは我慢せえや、砂漠の自由ばっかり謳歌してないでさ、とも思った。
だが、素直に腹立てながらもポールの邪魔をするわけではなく黙って家出してしまうチャニにぐっと来る気持ちもあった。2つの心我にあり。
それにしてもポールを演じるシャラメも後半の信者を増やすための救世主演説や煽りなどの声が野太くて「ほんとにシャラメか!?」ってくらい威厳を出してて良かった。

 

 

で、さっきもちょっと「ダイジェストみたいにシーンがポンポン飛ぶ」と書いたが、ラストバトルも、核弾頭数発やサンドワーム数匹でハルコンネン&皇帝連合軍を蹴散らしたかと思えば次のカットではもうポールがハルコンネン家&皇帝たちの眼の前まで歩いてきてた。話が早くていいけどもうちょっと合戦を描いてもよくないか。
延々と砂漠を歩いてめちゃくちゃ眠くなった前作『DUNE/デューン 砂の惑星』(2021)は何だったんだ?とも思った。
描かなくていいところを長時間描いたかと思うと本作では端折りまくり……と極端なんだよね。それとも本当は三部作にしたかったけど三作目作れるかどうかわかんないから二作目と三作目の予定の話を一本の映画にしたのかな?
そんで端折りまくりなだけじゃなくて、めちゃくちゃ「何かの途中」みたいなところで一気に、その時やってた状況がいきなり解決した後の時間に飛んでたりするんだよね。
なんかポールも大雑把に次から次へと大活躍したりと、あらゆる物事を大成功させるのも合わさって、なんだか2000~2010年代の大味なハリウッドSF大作を観てた時の気持ちを思い出して懐かしい気持ちになった。これはこれでいいかもしれない。ポップコーンとコーラを楽しみたくなった。
「この大味なSF大作感、リドリー・スコットの『プロメテウス』(2012)みたいだな」と思って感想書く前に検索したら本当に『プロメテウス』(2012)の脚本家だったので笑った。他には『パッセンジャー』(2016)の脚本も書いてた、これもまた大味で観客の理解を得れなかった大作だな。
なんかワイスピみたいな大味な映画だったけど一作目に比べたら10倍くらい面白いので良いんじゃないかと思った。というか二本観た今となっては三時間くらいの長い映画一本にまとめられただろうと思った。母子での砂漠横断を数分にしたり一回目の省略される砂漠横断の試練をカットするとかすれば余裕で一本にできたのではないか?
ヒットしたので三作目も作るらしい。ポールが皇帝になった後の話?原作読んでないからよく知らないんですけど本作の後は監督が本当に撮りたかった部分で、しかも面白いらしい。

 

 

 

 

そんな感じでした

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デューン関連作〉
『デューン/砂の惑星』(1984)/あまりに善悪別れすぎてて上手く行き過ぎると修正された歴史や誰かの妄想みたいに見える。ハルコネン好き🐛 - gock221B
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Dune: Part Two (2024) - IMDb
Dune: Part Two | Rotten Tomatoes
デューン 砂の惑星PART2 - 映画情報・レビュー・評価・あらすじ・動画配信 | Filmarks映画

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