gock221B

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『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』(2019)/冒頭からラストまで面白くないところがなく全編面白い🕷

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原題:Spider-Man: Far from Home 監督:ジョン・ワッツ 制作:ケヴィン・ファイギ
制作スタジオ:MARVELスタジオ 原作:スタン・リー。スティーヴ・ディッコ

製作国:アメリカ 上映時間:135分
シリーズ:マーベル・シネマティック・ユニバース。「スパイダーマン:ホーム」シリーズ

 

 

 

MCUの23作目。フェイズ3の11作目。ここまでの全23作品からなる「インフィニティ・サーガ」のエピローグとなるのが本作。この、11年間かけて作られた全23作は〈ウェーブ1〉という括りで呼ばれる。そして本作は当然、ウェーブ1最終作でもある。
80%くらいネタバレあり。
それと、今回は、いつもにも増して無駄に長いです。

 

 🕷 🕷 🕷

 

インフィニティサーガのクライマックスだった映画史上最大のクロスオーバー作品だった前作『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)の後の話。
アベンジャーズたちスーパーヒーロー達は、死闘の末サノスを倒した。
しかしその死闘の末、アベンジャーズはアイアンマンとブラックウィドウとヴィジョンを失い、キャプテンアメリカも引退した。地球は、彼らアベンジャーを失った喪失感からまだ癒えずにいた。
そして本作の主人公スパイダーマンであるピーター・パーカーはアイアンマンを尊敬し師事していたため本作中では「世界にはアイアンマン/トニーがもう居ない」という香りが全編に充満している。ピーターが彼が移動する先々では常にトニーを思い出させる出来事が起こり、背景でもトニー追悼ポスターや追悼アートが世界のあちこちに配置されている(それはピーターは本作でいつも通り明るく振る舞っているが、彼の頭の中は「トニーの不在による寂しさ」でいっぱいであることを表現している)。
また「アベンジャーズ:インフィニティ・ウォー」で起きたサノスの〈指パッチン〉によって全世界の半数の人々は消滅したが、アベンジャーズたちの活躍で5年後、現世に帰還した。
本作では都合よく、ピーター・パーカーやメイおばさん、ピーターのクラスメートやハリントン先生、登場人物の殆どが消えていたため彼らは5年後の世界でも歳を取っていない(当然、消えなかった生徒はとっくに卒業している)。そしてピーター達はヨーロッパ旅行へ出かける。
ピーターは最愛の師トニーを失った喪失感からか〈親愛なる隣人スパイダーマン〉としてのスーパーヒーロー活動よりも、MJやネッドたちとのヨーロッパ旅行を優先したがっている。
だがピーター達が行くヨーロッパの国々で、水や火や雷や土など四大元素から成るモンスター、通称〈エレメンタルズ〉に遭遇する。エレメンタルズを率先して次々と倒すのはスーパーパワーを持った見覚えのないヒーロー、ミステリオ/クエンティン・ベック(ジェイク・ギレンホール)だった。
ピーターを探していたニック・フューリーの説明によると、ミステリオは自分の世界に居たエレメンタルズを追ってマルチバース(多次元世界)から、このMCU世界にやって来たらしい。フューリーはピーターに厳しいが、ミステリオはまるでエヴァのカヲル君のように優しく、ピーターはすぐミステリオを信頼する。
ソーやキャプテンマーベルやドクターストレンジなど、強大なパワーを持つスーパーヒーロー達は別件で忙しいため、フューリーは「トニーが見込んだアイアンマンの後継者」としてスパイダーマンに白羽の矢を立てた。
そしてフューリーはトニーからピーターへの最後の贈り物だという眼鏡をピーターに渡す。この眼鏡は只の形見ではなかった。あらゆる人間をひと目見ただけで個人情報を全て抜くことができ、軌道上に待機した人工衛星から射出される何十機もの強力な破壊力を持つドローンを操ることの出来る脅威のシステム端末〈E.D.I.T.H.(イーディス)〉だった。
ピーターはフューリーにビビりながら、新たに現れた頼れる兄貴分ミステリオと協力してエレメンタルズを駆逐する事ができるのか。そしてMJとの恋の行方は‥?
というのが今回のお話。

 

 

 

まず冒頭と、ピーター周辺の一般人キャラの話(「スパイダーマン」に限ってはヒーローやヴィラン以上に一般人キャラによる日常描写の方がずっと面白いので重要)。
コロンビア映画の女神像が映画世界の像に重なって始まるカッコいい幕開け。
そしてピーターの学園の校内放送では生徒が作ったエモMAD追悼動画が再生されホイットニー・ヒューストンの「えんだああああ♫」に乗ってトニーの遺影がバーン!と出るので爆笑。
そして校内放送MCのベティ(アンガーリー・ライス)が、サノスの指パッチンで消えた人々と世界との関わりについてレクチャーしてくれる。
サノスの指パッチンで多くの人が消えた後、「エンドゲーム」ではハルクが指パッチンして消えた人達を現世に呼び戻したが「一体どうやって還ってくるのか」という帰還の描写は描いかれなかったが、この校内放送でそれが観れた。体育館でブラスバンド部が演奏しているとサノスの指パッチンで半数が消滅、そして5年後、同じ体育館でバスケの試合をしていると消えたブラスバンド部員が5年前と同じ感じで突如出現した。なんと!消えた場所に消えた瞬間のまま戻ってくるとはね。「元からいる人と帰ってくる人、お互いの体が重なってたらどうなる?」と考えると怖いが、このシリーズそういった細かいことを考え始めるとキリがないので、そういう細かいことは積極的に思考停止しよう。
ちなみに前作では「せっかくアンガーリー・ライスをキャスティングしたのにモブ生徒かよ!」と不満だったが、本作ではピーターの親友ネッドのガールフレンドになるので彼女の可愛い活躍(ネッドとイチャイチャしたりキャーキャー言って逃げ回る)が多く観れる。またベティだけではなく前作で出番の少なかったが評判良かった学力クラブ顧問のハリントン先生が旅の引率を務めて出番が激増。前作ではピーターやトニーやバルチャーなどのヒーローやヴィランのキャラが魅力的だったが、ピーター周辺の一般人も魅力がありすぎた、それなのにキャラや描くべき要素が多すぎて一般人キャラの出演時間がメイおばさんとネッド以外は少なくてストレスも溜まった。今回は皆で旅行してるためMJ、フラッシュ、ハリントン先生、ブラッド、あと引率の新キャラ先生などもずーっと画面に出てられるし彼らの台詞も多く観れて満足した(その代わり今回はバルチャーやドナルド・グローヴァー演じるマイルズの叔父さんなどは出てこない。あとクイーンズに殆ど居ないのでピーター行きつけのコンビニのおじさんと猫も出てこない)。そういえばフラッシュって古い原作ではいじめっ子だったのだが、このシリーズだとピーターをやたらといじってくる‥だが強キャラではなく勉強も人望など他の面でも全て(財力以外)ピーターより劣っているのが面白い。まぁ漫画のキャラで言うとスネ夫かな。嫌がらせというよりピーターのことを気に入っていじってきているかのような雰囲気、ピーターもフラッシュに何か言われてもやり返すわけでもなくdisられるたびにいつもの困惑顔するだけなのが何とも可笑しい。身体がデカくなったのも含めて、フラッシュはひと目見ただけで「めっちゃ面白い奴」の雰囲気を醸し出している。あと出番ほぼないが中東系の少女も可愛い。
大人の5年は大差ないが子供の5年は大きい。ピーター周辺の生徒や教師は殆ど全員消えたのだが「消えなかった者の代表」としてブラッドという男子生徒が出てくる。小学生くらいのチビの男子生徒だった彼は僅か5年で死ぬほどデカいマッチョ生徒となっていた(彼が前作にいたかどうかは覚えてない)。彼女はMJを巡るピーターの恋のライバルとなる。ピーターが「ブラッドに撮られた写真をなんとか処分しなくちゃ‥」と呟いただけで宇宙から殺人ドローンが射出されてブラッドを殺害しようとする場面の「もう死んでるのにトニーのやばさが伝わる」過保護殺人未遂シーンの面白さもすごかった。
話を元に戻そう、セクシーなメイおばさん(マリサ・トメイ)はハッピーと恋人一歩手前の関係になっている。そして彼女は原作同様ボランティア活動をしているのがわかった。
本作のヒロインはM.J.(ゼンデイヤ)。前作でピーターはバルチャーの娘リズに惚れていて、どっちかというとMJがストーカーのようにピーターの後を追っていたがピーターはそれに気づいてない感じだった。本作ではいつの間にかピーターの方がMJを追いかける感じへと逆転していた。ピーター・パーカーには「特に気にしてなかった少女に好かれる」というラノベのヤレヤレ系主人公ポジションは似合わない。だから今回こういうMJを追うキャラに変更したのだろう。それは別にいいのだがMJは好かれる立場になったことで「白人じゃない上に陰キャでもあるヒロイン」という今までにない面白いキャラが控えめになり、割と普通のヒロインになってた気がする。恋のライバルとしての新キャラのブラッドもMJを好きになりそうな奴には見えないのだが‥まぁいいか。

 

 

 

ミステリオの話。
最初に言ったようにここからネタバレしてくので注意。
異世界からエレメンタルズを追ってきたという彼をフューリーがスカウトし、ミステリオとピーターを組ませてエレメンタルズを殲滅させようとする。
MJや学園の皆と旅行を楽しみたいピーターをフューリーが邪魔して、ピーターの夏休みを支配する‥というのが本作の基本的なパターンだ。
予告編でミステリオが出た時、世界中の人は一瞬で「あぁ味方のふりしてるけど本当は敵だな。エレメンタルズも彼の自作自演だろう」と気がついた。原作のミステリオは元特撮技師で幻覚を見せる小悪党だ。そして誠実な男の役も狂人役も得意なジェイク・ギレンホールが演じているのも決定的で、原作知らない人もひと目でミステリオをヴィランだと認識できてたのが可笑しかった。
そして実際その通りだった。中盤でミステリオは我々観客にその正体を丁寧に説明してくれる。ミステリオは、バルチャーみたいに奥深いキャラだったり「実は善の心もあって最後に良い事して死ぬ」などのサプライズがたとえあったとしても敵である事は間違いないと思ってた。ここで「原作では敵の彼、だが敵と思わせて実はヒーロー」というサプライズでミステリオを本当にヒーローにしても別に面白くはならん。何でもかんでも予想を裏切ればいいというものでもない。
まぁだけど「ひょっとしてミステリオとして出てきたけど正体は、X-MENの世界から来たミュータントだったりして?」という予想もしてた、外れたけど。
そしてミステリオがヒーローではないのは勿論「マルチバースから来た」というMCU的にも大きなトピックも狂言だったのは少し残念だった。
というのも、予告編で明かされた本作の「マルチバース設定」を生かして他所のアースから、異世界スパイダーマン、あるいはミュータント、あるいはファンタスティック・フォーのキャラとか出るか?と多くのファンを期待させてたからだ。
僕がミステリオとマルチバースについて予想してたのは「ミステリオとエレメンタルズとマルチバースがベックの狂言」というのは予想してた。だけど「ミステリオの自作自演が明らかになってラストバトルでミステリオが『平行世界なんて嘘を信じたのか?w』などと嘲笑うとポータルが開いて異世界スパイダーマン‥ひょっとしてトビー・マグワイヤのサム・ライミスパイダーマンとかアメスパ版ガーフィールドスパイダーマン、ついでにヴェノムとかも現れてミステリオを殴ってトムホ版ピーターに「大変なことが起こる」とか言って三作目繋げるラストに少し期待してた。彼らスパイダーマン三人の俳優、そしてMARVELスタジオとSONY両陣営、誰もがスパイダーバース企画に前向きだからだ。だが今回それはなかった。
しかし冷静に考えると、本シリーズはピーターの成長と青春を描くシリーズだし、二作目でいきなりそんな大事件が起きてしまうと三作目はもう実写版スパイダーバースになってしまい、ここまで積み上げてきたトムホ版ピーターの人間ドラマやらMJやネッドやメイおばさん等の魅力が全部かき消されてしまう。だから今思うとMCUスパイダーバース展開は今はないはずだと今ならわかる。やるとしたら三作目でピーターの物語を終え、ラストでやっとその片鱗を見せて以降の作品でだろう。
だけどアメコミにマルチバースはつきものだし本作では否定されたがマルチバースはある(ストレンジでも語られてただろ)、だから何の作品かわからんが、そのうち出てくると思うので気長に待ちましょう。
話をミステリオに戻そう。
ベックの正体は「シビル・ウォー:キャプテン・アメリカ」の冒頭で出てきた超リアルなホログラム投射装置の開発者だった。だがトニーにクビにされ、前作のバルチャー同様「トニーに逆恨みしてヴィラン化した男」だった。ヘイヘイいつものやつ。トニーの「死んでも僕はヴィラン製造機さ」という声が聞こえてきそうだ。”死せるトニー、生けるミステリオを走らす”。
ベックだけではなく、「アイアンマン」一作目でスターク・インダストリーにクビにされた男がドローン作ってたり、他にもスターク・インダストリーをクビになったトニーを恨む者たちが大勢いる。ミステリオのもっともらしい台詞台本をリアルタイムで書いてベックに指示する作家などもいる。その集まり。
「ミステリオ」とは高性能なドローンに超リアルな立体映像を被せ、効果的な台本を読む。そしてミステリオによって都合の良い状況さえも幻影で見せる、その幻によって自分をスーパーヒーローであるかのように演出して世に出ようとするトニーを恨む者たちの集まり、それがスーパーヒーロー「ミステリオ」の正体。ミステリオは実在しなかった。
彼はフューリーやマリア・ヒルに「ミステリオ」を信じさせ、次にピーターを引き込み、トニーを失って傷心のピーターの心に入り込み、まるで死んだトニーの代わりのように「頼りになる優しく強い兄貴分ヒーロー」を演じて信頼を勝ち取る。そして旅行や恋に気を取られてやりたくもないミッションに気が入らないピーターは失敗ばかりしてフューリーに叱られ、ますます萎縮していく。自信を失ったピーターは「トニーの遺産イーディスは自分にはふさわしくない」と言い、なんと「突然現れたトニーみたいに頼れる兄貴」ベックに譲ってしまう。
「幾らベックを信頼したと言ってもトニーの形見である眼鏡を2、3回会っただけのオッサンにあげたりするかぁ?」と、ここは一番無理があったが「トニーを失ったりフューリーに怒られたりしてメンタルがボロボロだったからちょっとおかしかったんだな?」と本作に寄り添うかたちで解釈した。何でかと言うと本作は始まってからラストまで、めちゃくちゃ面白いからだ。冒頭からラストまでずっと面白い。面白い時間の長さで言うとMCU作品で一番かもしれない。面白さは全てに優先される。ジョジョとかと同じでめちゃくちゃ面白ければ多少の変なところは我々観客が作品に合わせて解釈して補完してしまう。「エンドゲーム」とかも変なところだらけだがそんなところをわざわざ気にする気にはならん。もし作品が面白くなければその矛盾をボコボコに突きたくなるが本作のように面白ければ逆に補完して補おうとする。そんな感じ。
イーディスというトニーの脅威の遺産システムを手に入れたミステリオは、もはやガチでスーパーヒーローレベルの力を手に入れた。だが彼の自作自演がMJの活躍でピーターにバレる。イーディスを取り返しに来たピーターはミステリオと対決。
ミステリオは、身体は普通の人間。ただ無数のドローンを操り、その上に立体映像を投射してるだけの幻影ドローンおじさんだ。単純なパワーだけならばミステリオは本当のスーパーパワーを持ったスパイダーマンの敵ではない。だがミステリオも武器は幻影だ。
しかし、超お人好しな上にメンタルがグラグラ状態のピーターは、ミステリオのパワーや幻影が全てホログラムだとわかっている状態であっても見破ることができない。
ここでミステリオが見せる幻覚の映像が実に見事だった。拡大縮小、上下左右に自在に幻覚を見せる、建物も人物も状況も全てがホログラムだが見分けがつかない、こうなってはホログラムだとわかっていても何が本当で何が嘘かわからず無意味だ。
こういったディズニー的トリップ映像の幻を見せてくる敵と戦う場面はよくあるが、今回は今まで観たことないくらい幻影の映像が見事。「ドクター・ストレンジ」のサイケデリックマルチバース映像より好きかもしれん。
もちろん幻影の映像表現だけではなく、ミステリオはフィクション作家を雇って書かせた台本で、ピーターのメンタルも同時に攻撃する。たとえばアイアンマンのゾンビをトニーの墓から出して「お前が弱いから僕は死んだ!」などとピーターが一番傷つく台詞でピーターの精神ゲージを削っていく。そしてフューリーに化けて、聞きたい情報をピーターに吐かせトドメを刺す。
トドメといってもメタヒューマンであるスパイダーマンにトドメをさせる攻撃などミステリオには出来ない。だから幻影で線路に立たせ必殺国電パンチで葬り去る。
この中盤で行われるスパイダーマン vs.ミステリオ(というかスパイダーマンが一方的にやられてるだけだが)は、アメコミ映画の中でもトップレベルの見事なバトルだったと思う。昔からこういう「凄い幻」を使うヴィランが観たかったというのもある。

 

 

 

ミステリオの必殺国電パンチで国外までふっ飛ばされたピーター。
心身ともに痛い敗戦で、どん底まで落ちたピーターはハッピーに助けを求める。
迎えに来てくれたハッピーに泣きつくピーター。彼はまだ15歳なのだ。
子供がケビン・ベーコンにくそビビらされまくる映画「コップ・カー」の監督だけあって可愛い子供いじめがうまいね。
本作でピーターが初めてトニーを失った心の内をハッピーにだけ吐露する。ハッピー以外の者に言ってもわからなかっただろう。
元気になったピーターはAC/DCをBGMに、まるでトニーみたいにスーツを作る。そんな彼をを見て今は亡き上司兼親友を思い出し微笑むハッピー。
迷いを吹っ切ったアベンジャーとなったピーターは、もうミステリオの幻影に動揺しなかった。
今までもその片鱗をたまに見せていた、メイおばさん命名の感覚ピータームズムズ(原作で言う「スパイダーセンス」)と、ベックにしてやられた猜疑心によってミステリオの幻影を見破りミステリオを追いこむ。
騙されないのはいいが、このラストバトル。衆人環視だからミステリオはエレメンタルズの幻影映像を停止するわけにはいかないので中盤バトルでの凄い幻影とかは出せない。それが残念だった。ラストバトルでも凄い幻影観たかったな。こうなると幻影の怪人ミステリオというより只のドローンおじさんだ。このラストバトルでは多彩な幻影は楽しめないがスパイダーマンのアクションや頑張りが「あぁスパイダーマンだなぁ」とめっちゃ感じた。ここまでの本編は、面白かったけどピーターが弱りまくってたせいか「スパイダーマンっていうよりピーター少年」って印象で、親戚の子が困ってるのを応援してるおじさんみたいな気分で観てたが、終盤は「頑張れスパイダーマン!」と自分が子供だった時のように応援させられるものがあった。
スパイダーマンがガラクタを改造して盾とハンマーを作って武器にした時は「やばい‥こいつたった一人でBIG3受け継ぐ気か!?」と胸が熱くなった。
ミステリオは、バルチャーやサノスやキルモンガーのような自立した奥深い人間ドラマを持ったヴィランではなく只々悪いだけの単純悪。だがトニーの装備を使ってトニーの抜けたピーターの心の傷をひたすら突いてくるという‥言わば「トニーを失ったピーターの心の傷」そのものが今回のヴィランで、ミステリオは単純にそれの器と言える。MCUヴィランの基本である「主人公の影としてのヴィラン」パターンだね。そしてミステリオの嘘に散々やられながらトニーの死を乗り越えざるを得なかったピーターにとって、ミステリオは一種のヒーロー修行の教官の役目でもあったのかもしれん。
そしてミステリオの人間ドラマは薄いと言ったが彼の凄さはもっとメタ的な部分にある。全編ピーターが幻惑されてるのと同じ様に観客もミステリオと本作に幻惑され続けるところ。映画が終わった後も「ミステリオは本当に死んだのか?」などの疑問が次々と湧いて、映画を観終わった後もまだ観終わってない気分にさせられるところ‥などなど。
とにかく色々あってミステリオをKO。MJとの恋も成就(ピーター、キスしたことない奴のキスの仕方で微笑ましかった)。
ずっと旅行してたので最後はサービスって感じで摩天楼を飛びまくるデート、だが次の瞬間、いきなりスパイダーマン最大の敵J・ジェナ・ジェイムソン(以下JJJ)がまさかのキャスティングで登場!これは予想できんかった。予想してる奴も聞いたことない。違うシネマティック・ユニバースの俳優がここまで有名な同一のキャラを演じるのは今までになかった。彼が出てきた瞬間スパイダーバースが始まったのかと思った。だが、まだわからない。彼は本当にサム・ライミ版のあの世界から来たJJJかもしれない。何故かと言うとすげーハゲたキャラになってたから。JJJはドフサなので演じてるシモンズにヅラ被せればいい。なのに禿げてるって事は「サム・ライミスパイダーマン3から長い年月経ってるからJJJもハゲましたよ」という事を知らせるためにわざわざハゲにしたのかも。説明下手だけど言ってることわかる?まぁこの話はいいや。
ところでこのJJJというキャラ、スパイダーマンにおいてもMCUに取っても超重要キャラなのでロス将軍みたいに他の作品でも出てくれるに違いない。そしてネッド→メイおばさん→MJとサクサクと進んできた正体バレ場面、究極のバレが行われて三作目に続いてしまうヒキ。まぁ当然、全世界にバレてしまうわけだが、こうなると三作目にもJJJ出てきてくれるのかな?僕はJJJ大好きなので出て欲しい。そして正体バレって事で一作目で出たスコーピオンとかバルチャーとかショッカーとか生きてたミステリオがシニスター・シックス結成して襲ってきて身バレによる弊害でメイおばさんやMJが危険に晒されるのだろう。そしてこのシリーズは学園生活と絡めてストーリーを展開してるので次はきっと卒業式と絡めて来るだろう。ところでトニー、ハッピー、フューリー、ベック‥と、ピーターが歳上のメンターと絡んできたシリーズだが、三作目はもう要らんと思う。全編独り立ちしたピーター一人で活躍して欲しい。
満足しつつもエンドロール中「めっちゃ面白かったけどフューリーともあろう者がミステリオを一切見抜けなかったばかりかピーターへの指導も下手すぎて全編未熟すぎたな?」と、フューリー好きでもある僕は不満だったが、そう思った次の瞬間、エンドロール後のポストクレジットシーンで、そのフューリーへの不満も意外な形で解消してくれるという‥しかもタロス大好きだし、ウルトロン以降フリーターみたいでフワフワしてたフューリーの状況もやっとわかったし、もう大満足でしたね。
次にスクラル出るのはいつだろうと思ってたけどここで来るとはね。しかも次こそ悪いスクラルと思ってたら良い奴のタロスとは。ちょっと「スクラル=良い奴」という刷り込みを観客に与えきった後でひっくり返す気なんだろうな。
とにかくミステリオ同様、最後の最後まで幻影を見せ続ける映画だった。というか、ここでミステリオを殺す必然性があまりないし何と言っても嘘つきミステリオだから生きてて、三作目で普通に出てくる気もする。
前作登場したバルチャー、スコーピオン、発明家ティンカラー、二代目ショッカー、に加えて今回のミステリオ、カメレオン(運転手ディミトリ?)‥これでシニスター・シックスいけるやん。まぁ新キャラなしじゃショボいからティンカラーはあくまで裏方でドクオクが出てくるとか‥三作目への夢は広がる。
本作、ピーターのメンタルがグラグラすぎる気はしたが、まぁトニーを失った15歳だから仕方ないのか。
とにかく、感動したり涙が出たりという感じではなかったが「ずっと延々と最後まで面白い」という、面白さの持続においてはMCUで一番かもしれない。
MCUベスト的なことを考えた時にもベスト5には入る。
個人的には、自分が中年なせいか子供じゃなくて大人のスパイダーマンの方が好きだし、ピーターとメンター年長男性との絡みも正直あまり興味ない。だけどそんな僕でも「面白さはMCUで一番かも」と言わせる本作の凄さ。ピタトニ好きのお姉さんならもっと感動できただろう。
というかスパイダーマンやミステリオやフューリーが一切出てこなくてピーター達が旅行してるだけの青春映画だったとしてもかなり面白かった気がする。

 

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短いスパンで三作くらい連続で公開されたMCUだが次回作は、結構一年くらい間が空いて、ウェーブ2の第一弾「ブラック・ウィドウ (2020)」単独作が公開される。伏せるがあんなキャラやあんなキャラも出るらしい。僕的には既に死んで絶対生き返りもしなさそうなナターシャで新規タイトルを作る意図や、フローレンス・ピューが二代目継承するのかなどが気になり過ぎて早く観たい。来月観たい。
それより来月あたりにMCU今後の‥フェイズ4の公開予定作品のタイトルと日程がババンと発表されるはず。このタイトルを大量に発表するイベントはウルトロンの頃にもやってたけどめっちゃ盛り上がるし予定表観ながら一晩飲めるくらい面白いので楽しみだ。

 

 

そんな感じでした

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Spider-Man: Far from Home (2019) - IMDb

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