『ブッシュウィック－武装都市－』(2017)／ある日、平和な街が内戦状態になっていた…というご時世的に見入ってしまうワンカット風アクション🔫

原案：Bushwick　監督＆原案＆製作総指揮：キャリー・マーニオン、ジョナサン・マイロット　脚本：ニック・ダミチ、グレアム・レズニック　製作国：アメリカ　上映時間：94分

全然知らん映画だったが、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(2014)のドラックス役などでお馴染みのデイブ・バウティスタ主演だしGyaOで無料だったので観た。バウティスタはWWEプロレスラー”バティスタ”の時から好きだが、B級アクション映画にも出てるがヒットした大作ではコミカルだったり哀しい大男役ばかりで出ている。WWE出身レスラーがセカンドキャリアで俳優になる事は多いが大抵ヒーローっぽい強者になろうとして売れない人が多い。あのドウェイン・ジョンソンだけが長い時間かけてその道で売れたがヒーロー路線で売れるのは難しいんだろう。今はワイヤーとCGで誰でもアクションできるし元々人気の俳優がいっぱいいるし、デカい白人主人公が活躍する映画なんてそもそも無いからね。バウティスタと『ピースメイカー』(2022) のジョン・シナはコミカルだったり哀しい巨漢の役でブレイクしたからクレバーだしますます好きだと思う今日この頃。
平和な街がある日突然、内乱状態になる……というウクライナの様子を毎日見てる今、非常に親和性ある内容。

ネタバレなし

白人の大学院生ルーシー（ブリタニー・スノウ）は、ニューヨークのブッシュウィック地下鉄駅で下車する。
地上に出ると謎の武装勢力が市民を射殺・捕獲しており、ブッシュウィック市民も殺人・暴行・略奪を繰り返す地獄になっていた。
チンピラに襲われそうになったルーシーは、元衛生兵の巨漢スチューブ（デイヴ・バウティスタ）に助けられる。
ルーシーはスチューブに同行してもらい祖母や妹など家族の無事を確かめに行く――

みたいな話
ルーシーは最初ボーイフレンドと一緒だったが「何が起こってるんだ？俺が見てくる」と階段を登った恋人が数秒後に爆発で吹っ飛ばされて黒焦げになった恋人がルーシーの元に落ちてくるなど緊迫感あってテンポいい掴みです。
映画の大部分を占める「主人公2人がブッシュウィックを横断する移動シーン」が可能な限りワンカット風の長回しで撮ってます。この長回しによって「ある日いつもの平和な街が内乱状態になったら？」という臨場感が満点でした（だけどGyaOのレビュー見たら「長回し多くて退屈」とか書かれててムカつきました。こういう人が多いからチャカチャカと目まぐるしく変わるMVみたいなカット割りが好まれるんだろうと思った）。
それでいて屋内などの安全地帯などでの会話や人間ドラマの時はワンカット風なのをやめて普通に割ってた、丁度いい塩梅だと思いました（でも、その一方で屋内での人間ドラマの後、ワンカットで誰かがどこかに行こうとしたら「撃たれる！」というのが予想ついてしまったので全部ワンカット風にした方がよかったのかもしれん）。
またスチューブは元衛生兵なので大怪我したら発煙筒でナイフを熱して5秒間、患部を焼いて消毒して塞いだりと、怪我に対する応急処置が丁寧に描写されるのも好みでした。
そんな緊張感あるサバイバルエスケープを続けていくうちに内乱の相手や真相、主人公2人の家族は無事か？主人公2人はどうなるか？等が明らかになって終わる。
この真相は……作られた時を考えるとドナルド・トランプやトランプ支持者への批判だね。またバウティスタのキャラは911のトラウマを引きずっていたキャラでした。
シリアスながら希望も残る結末で良かったと思います。
内戦に巻き込まれるのは不幸な出来事だがバッドってだけではなく、バウティスタのキャラにとっては死んでいた心が再点火するきっかけにもなっていた。
スパインバスターみたいな投げ技で敵兵士を倒したり人間ドラマをじっくり見せたりと、バウティスタのハード面のソフト面の魅力どっちも出てたし満足しました。
僕がめちゃくちゃ好きな『ハードコア』(2015)みたいに、ルーシーを主人公にした全編主観映像のアクション映画だったらもっとベストだった気もするが、全編主観映像のアクション映画って殆どないもんね。想像するだに段取りが大変そうだし。でも全編主観映像の映画ってめちゃくちゃ面白くない？もっと作られて欲しいんだが。