gock221B

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「ツイン・ピークス The Return (2017)」第7章/色んな伏線が少し回収されて今までのフラストレーションが若干解消された

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原題:Twin Peaks: A Limited Event Series (Part 7) 通算第37話
監督:デヴィッド・リンチ 
脚本:マーク・フロスト、デヴィッド・リンチ 制作国:アメリ
配信局:Showtime 放映時間:59分 シリーズ:「ツイン・ピークス」シリーズ

 

 

 

前回までの「ツインピークス」は‥
★ダギー(クーパー)の借金は妻ジェイニーRが返済。ダギーを狙う小人の殺し屋が来るぞ

アルバート、クーパー(ドッペルゲンガー)に面会させるためクーパーの元秘書ダイアンに会いに行く
★チンピラのホーン、違法薬物の密輸に関与。更に少年を轢き殺してしまう
駐車場管理人カール・ロッドはその現場で少年の魂が抜ける様を目撃する
★ホーク、第一話で丸太おばさんから貰ったヒントから紙片を発見する

 

※ネタバレ全開です

 

ワシントン州ツイン・ピークス🗻🗻
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森🌳
ジェリー・ホーン、森でハイになって車をなくして大泣き。
別の場所、アンディ・ブレンン保安官補が何かを調べている。
ツインピークス保安官事務所👮
ホーク保安官補長フランク・トルーマン保安官ロバート・フォスター)、丸太おばさんのヒントを元に保安官事務所のトイレのドアから見つけた紙片3枚を確認。
昨日の夜見た夢にそれは出てきた。私の名前はアニー。デイル(・クーパー)とローラと一緒にいるの。良いデイルはロッジに居てそこから出られない。あなたの日記にそう書いておいて
これは1992年の劇場版で、時を遡って会ったことのないローラの夢に現れたTVシリーズ最終回直後のアニー・ブラックバーンヘザー・グラハム)が言った台詞。
この紙片はローラの日記だった。
新シリーズで初めて具体的なものが見つかって興奮した。
前シリーズで見つかったローラの日記には破られている4ページがあり、そのうちの3枚が25年経って今見つかった。あと1ページは未だ不明。
そしてクーパーに関するものでもだったので、丸太おばさんのヒント「クーパーに関するもの」「ホークの先祖に関するもの」というヒントは2つ同時にクリアしたって事?
別のページに「午前1時30分、私は今まともに息ができないくらい泣いている。あれはボブじゃないって事がはっきりとわかったから‥」との記述もあった。
ホークは「これを読んで正体がバレたと悟ったリーランド・パーマーが、ジャック・ルノー殺しの件でここに呼ばれた時、とっさにトイレのドアに隠したのではないだろうか」と推測する。
ホーク「『良いクーパーは(ブラック・)ロッジから出られない』という事は、あの日(前シリーズ最終回)、アニーと一緒にロッジから出て行方不明になったクーパーは良いクーパーではない?」と真実に到達。
視聴者には自明の理ではあるが、この世界に自分がいたと想像したら途方もない話だ。
「狂人だと皆に思われてるおばさんの曖昧なヒントを元にトイレのドアから25年前に死んだ少女の日記を発見して、そこに書かれた、少女が会ったことのない女性が夢に出てきて言った言葉を書いた少女の日記」を見て真実を推測してるんだ無茶苦茶だ。
流れる雲とかを見て宇宙の仕組みを悟るようなもんじゃないか?
ホーク、有能すぎてヤバイ。今のところFBIより先んじてる。
フランクは、弟のハリーに電話。
ハリー役の俳優は新シリーズに出ないので「ハリーは病気で寝こんでるから保安官に復帰したフランクが電話で話す受話器の向こう側にいる」という設定で、ちょくちょくフランクと会話するシーンがある。
フランクはハリーに「絶対に負けるな」と言う。
リアルの事情は知らないが、ハリー役の俳優に向けた励ましなんだろうか。

更にフランクは、25年前にブラック・ロッジから出てきた悪いクーパー(現ミスターC)を検査したウィル・ヘイワード博士スカイプ電話する。
ヘイワード博士は、ヒロインの一人だったドナの父親で保安官事務所で検視官をしていた数少ないまともなキャラクターだった。
まるでツインピークスに出るのを待ってたのかのように本シリーズ撮影直後に亡くなった俳優が異常に多い本作だが、このヘイワード博士役の俳優さんも今年の2月に亡くなっている。そして今知ったがこの俳優さんはマーク・フロストの実父らしい。
フランクが博士にスカイプしたのは、ブラックロッジからクーパー(ドッペルゲンガー)とアニーが出てきた日のクーパーの様子を訊くためだった。
ヘイワード博士が言うには「あの日の後、検査を終えたクーパーはICU(集中治療室)から出てきて立ち去ったクーパーがICUに立ち寄った理由は昏睡状態にあったオードリー・ホーンの様子を見てたのではないか」と推測するヘイワード博士。
オードリーは確か最終回、銀行の爆発に巻き込まれた‥んだっけ?。
何か終盤は無茶苦茶な展開が多くてクーパー以外のことは記憶が薄い。
※追記:他の人が「ドッペルゲンガーICUで昏睡中のオードリーをレイプして、産まれたのがチンピラのホーンでは?」という書き込みを見て、うわぁそれっぽいな。それだったら嫌だな~と思った。

 

 

サウス・ダコタ州バックホー
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バックホーン警察👮
ルース・ダヴェンポート
の死体と共に見つかった中年男性の首なし死体の指紋がブリッグス少佐の指紋と一致したため、バージニア州アーリントン国防総省からノックス大尉が来た。
応対するマックレー警部コンスタンス検視官
ノックス少佐は、ブリッグス少佐の指紋を持つ死体に頭部がない事(WOWOWは切断面だけモンクロにしている。馬鹿馬鹿しい)。ブリッグス少佐が生きてたら70代になってるはずなのに死体の年齢は40代後半である事‥などに混乱する。
上司に電話でそれを報告しているノックス少佐。その遥か向こうの通路から黒い人影がずっと近づいてきている。
第2章で一瞬出てきたあのカッコいい全身が黒い男だ。
黒い男だった、その男は全てが黒かった、靴も服も髪も顔も全てが黒かった。
この件はバックホーン警察の担当ではなくなると告げるノックス少佐。
ノックス少佐やバックホーン警察の人達に、黒い男がちゃんと見えてるのかどうかはわからない。見えてないように見える。
今回、面白いな。

 


FBI関連
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★FBIフィラデルフィア本部🏢
アルバート・ローゼンフィールド捜査官
ミゲル・フェラー)、会いに行った元クーパーの秘書ダイアンローラ・ダーン)にクーパーの件だと告げると追い返されたとゴードン・コール副所長デヴィッド・リンチ)に報告。
今度はゴードンとアルバート揃ってダイアンの家まで行って再び頼みに行く。
ダイアンは「FUCK」連発する猛女だったが2人の三顧の礼によって説得に成功。
★スー・シティ・ヤンクトン連邦刑務所に向かう飛行機🛫
タミー・プレストン特別捜査官
(クリスタ・ベル)が前々回見つけたクーパー(ドッペルゲンガー)の指紋の違和感は、左右の指が逆になっていることだった。
指紋の資料を誰かが左右逆に細工していたらしい。
タミーのスピチュアルな指を祝福するゴードン。
全然関係ないけど、FBIは年寄りの旧キャラが多すぎるせいか、アラフォーのタミー捜査官が、まるで可愛い女の子みたいに見えてくる。
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★スー・シティ・ヤンクトン連邦刑務所👮
クーパーのドッペルゲンガーカイル・マクラクラン
と二人きりで面会するダイアン。
最後に会った時の事を覚えてる?」と訪ねるとミスターCは「君の部屋だったな」と答える。ダイアンは狼狽える。
ダイアンはクーパー(ドッペルゲンガー)に魂がないことを確信して「貴方は一体誰なの!?」と言って号泣。精神に限界が来て面会を終える。
ダイアンはゴードンに「さっきの面会については後で話す」と語る。
スー・シティ・ヤンクトン連邦刑務所:所長室👮
ドッペルゲンガー、監視カメラを切った状態で刑務所長と二人だけで面会する。
身柄を拘束された時にドッペルゲンガーが所持していた犬の足の話をする。
残りの3本はあんたが今考えてる情報と一緒に消えた。俺に何かあればあんたが今ここに来てほしくない2人がここにやって来る」と告げる。
更にCは「ジョー・マクラスキー。死んだストロベリー」と、人名を挙げる。
何やら所長の弱みを握ってるらしいドッペルゲンガーは今夜、脱獄させるよう要求。
恐らくダイアンに本物のクーパーではないことがバレて、今後FBIによって尋問されたりブラックロッジに帰されたりする事を恐れたので急遽、脱獄することにしたのだろう。

 


ネバダ州ラスベガス
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★保険会社「ラッキーセブン」🏢
会社にいるダギー・ジョーンズと入れ替わった本物のデイル・クーパーカイル・マクラクラン)。
全く似合わない原色スーツをやめてFBIスーツを着てると少しほっとするものがある。
ダギーの妻ジェイニーE・ジョーンズナオミ・ワッツ)と、刑事達が訪ねてくる。
ジェイニーEは単純にダギー(クーパー)が現在アホになってるから迎えに来た感じで、刑事たちはダギーの車が爆発した件で尋ねに来た。
ダギーは何もわからないのでジェイニーEが適当に答えて「車は紛失した」ということで丸く収まった。
2人が会社を出ると前回、女ボスを殺した野獣の獰猛さを持った小人症ちびっこ暗殺者がダギー(クーパー)を殺しに来たが、クーパーのFBIの血が目覚めてちびっこギャングに素早くチョップを叩き込み銃を弾き落とす。
戦闘中、ブラックロッジから一瞬「腕」が来て「手を引きちぎれ!」と応援してくれる。
小人の暗殺者には逃げられたが事情聴取で夫を称えるジェイニーE。
ジェイニーEは、ダギーはまともに喋れないので常に彼と腕を組んだ状態で延々とマシンガントークしててめちゃくちゃ可愛い。
殺された女ボスが連絡したブエノスアイレスにいるらしい普通ではない何かと小人は野放しなので、まだ安心できない。

 


ワシントン州ツイン・ピークス🗻🗻 / スー・シティ・ヤンクトン連邦刑務所
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ツイン・ピークス:「グレート・ノーザン・ホテル」🏨
ベンの秘書ビヴァリーアシュレイ・ジャッド)が「ホテルの何処かから不思議な音が聴こえます」とベン・ホーンに語る。
確かにファーン‥という不思議な高い音が鳴っている。正確な場所はわからない。
そしてビヴァリーはホテルに届いたという鍵をベンに渡す。
これは数話前、ブラックロッジから現世に帰還したクーパーが持っていたが落とした当ホテルの鍵をダギーの浮気相手ジェイドが拾って、住所が書いてたからそのままポストに入れたもの。
ベン「懐かしい、20年前カードキーにする前の鍵だ。315号室‥クーパー捜査官が撃たれた部屋だ」
何も知らないビヴァリーにクーパーやローラのことを軽く語るベン。
二人の間にいい雰囲気が流れる。今回のベンは最後まで善人でいて欲しい。
ツイン・ピークス:ビヴァリーの家🏠
帰宅したビヴァリーの家には、病気で体が不自由で苛ついている男トムがいた。
ビヴァリーの夫か?とにかく新キャラ。
ツイン・ピークス:「ロードハウス」🎵
客が帰った後のロードハウス。
とんでもない長尺‥3分間近くもの間、店員が永遠に履き掃除してる映像が流れた後(なにこれ?!)、太ったマスターが電話に出る。
というかこいつジャック・ルノーだっけ?こいつ生きてたっけ?
※と思ったが後から調べるとこいつはジャン・ミシェル・ルノーだとわかった。ジャック・ルノーと同じ俳優が演じている。弟とかなんだろうきっと。
相変わらず女子高生を娼婦として派遣しているらしい。早く捕まれ。
スー・シティ・ヤンクトン連邦刑務所👮
そしてドッペルゲンガーが第1章で連れ出したチンピラのレイが迎えに来て、予告通り刑務所の裏口から堂々と脱獄して終わる。
ツイン・ピークス:「RRダイナー」☕
今回は今までのようにロードハウスではなくRRダイナーの映像で終わる

 

 

▲▲
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今回は、今までの緩慢な展開の中でやたらとバラ撒かれた色んな伏線が回収されたり、コトが具体的に動いたりして今までの回で一番面白かった。
新要素や謎が多かった新シリーズの今までのエピソードの中で一番、多くの人が思い浮かべるツイン・ピークスらしい回だったと言える。
そしてこの7話で やっとはまった感じになった。
多分色んな拡散されていくだけだった要素が少し収束したからだろう。
それにしても明かされてない謎が異常に多い上に毎回謎が出て来るし、未だに出てない旧キャラも多く出ても一瞬しか出てない奴も多かったりして、それでいて新キャラも毎回出て来るし、その上で展開がめちゃくちゃゆっくりだし(たとえばFBIがミスターCに面会するだけのくだりで4話くらい費やされた)。
これは本当に残り11話で全部収まるのか不安になってきた。
面白くなってきたのでクーパーが元に戻った状態で新しいシーズン4に突入しても構わないが‥

そんな感じでした

ツイン・ピークス The Return (2017)」全18話
#1
 #2 #3 #4 #5 #6 #8 #9 #10 #11 #12 #13 #14 #15 #16 #17 #18(終)

gock221b.hatenablog.com

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www.wowow.co.jp

www.imdb.com

TWIN PEAKS: MUSIC FROM THE LIMITED EVENT SERIES (2017 SOUNDTRACK) [CD]

TWIN PEAKS: MUSIC FROM THE LIMITED EVENT SERIES (2017 SOUNDTRACK) [CD]

 
TWIN PEAKS: LIMITED EVENT SERIES (2017 SOUNDTRACK/SCORE) [2CD]

TWIN PEAKS: LIMITED EVENT SERIES (2017 SOUNDTRACK/SCORE) [2CD]

 

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「エル ELLE (2016)」”ミシェルという女がいて色んな変わった事が起きるがそれは彼女個人のものだ”というミシェル肯定映画👱‍♀️

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原題:Elle 監督:ポール・ヴァーホーヴェン
原作:フィリップ・ディジャン「エル ELLE」 制作国:フランス 上映時間:131分

 

「ブラック・ブック」「ショーガール」「氷の微笑」「トータル・リコール」「スターシップ・トゥルーパーズ」「ロボコップ」「インビジブル」‥などでお馴染みのポール・ヴァーホーヴェン監督最新作。
‥とタイトル列挙してヴァーホーヴェンの話ししたところで映画ファンなら「ヴァホならもう何度も観たよ‥」というものばかりだし、全然知らない人に説明しだしたら長くなるのでヴァーホーベンについて書くのはやめることにした。
とにかく誰が観ても面白い映画を作る監督なのは間違いない。
原作は、90年代に「素敵な映画!」という評判であちこちのミニシアターで愛されてたが今となっては「狂った女が出て来る映画」としてしか語られない「ベティ・ブルー」の原作者による小説。
「ELLE」とはフランス語で「彼女」という意味で、主人公の名前じゃない。

 

Story
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ゲーム会社の敏腕女社長ミシェルイザベル・ユペール)。
彼女はある日、ひとり暮らしをしている自宅で覆面をした男に襲われる

その後、届いた嫌がらせメールの内容などから、レイプ犯は顔見知りだと確信するミシェル。
幼い時のトラウマから警察に頼る気のない彼女は自ら犯人探しを始めるが
――

 

 

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映画が始まると、主人公ミシェルが目出し帽を被った男にレイプされた直後だった。
男が立ち去るとミシェルは掃除し、息子が訪ねてきて普通にスシを食べる。
どうやらかなり気丈な女性のようだ。
ミシェルは非常に美人だが、60歳代という初老といってもいい女性。
作家の夫とは離婚したが友人関係にあり、間に生まれた息子はもう20歳すぎ。
今はパリの豪邸に猫と暮らしている。
おばさんを越えておばあさん直前の女性が主人公のセクシャリティに関する映画って珍しい。それともフランスは進んでそうだから多いのかもしれない。初老に入ったミシェルの更に母親もセックスしまくってるので「人間まだまだセックスしてもいいんだな」と変に安心させられた。
ミシェルは、ゲーム会社のCEO。
開発中のゲームが画面に映るが、ゲームの主人公らしきゴブリンが女を背後からレイプしながら触手を生やして女の脳に突っ込んでブレインファックもするというものだった。「なんだこれ、エロゲームか?」と思ってると終盤でPS4のゲームだとわかる。しかもこの会社はゲームショーにも出品しており結構でかい会社で「こんなゲームが発売されるわけ無いだろ!」と思った(まぁ、本作の中の世界のプレステではOKなんだろと了解した)
完成した後のゲームは「Styx」シリーズによく似たアクションゲームっぽかった。
その後、レイプ犯から嫌がらせメールが来たり、留守中に侵入してた形跡があったり、ゲーム内のレイプされる女キャラの顔にミシェルの画像を貼り付けた動画が会社内で出回ったりと、嫌がらせが相次ぐ。
ミシェルは防犯で鍵を付け替えハンマーと唐辛子スプレーを購入し射撃の練習をする。
彼女は「自分を知っている男がレイプ犯ではないか?」と考える。

▲ミシェルの元夫:ミシェルに未練がありミシェルより気が弱い売れない作家。
▲ミシェルの息子:精神的に幼い青年。キレやすい彼女が妊娠中
▲ミシェルの母の恋人:カネ目当てで年老いたエルの母とSEXして婚約した男
▲同僚兼親友の夫:ミシェルと肉体だけの不倫関係にある
▲銀行員の隣人:向かいに住む親切なイケメン妻帯者
▲ゲームデザイナー1:ミシェルと意見がよく衝突するイケメン青年
▲ゲームデザイナー2:ミシェルに憧れているモテなさそうなヲタ青年

誰もが怪しく見える。まぁ、こういう場合、動機がなさそうな良さそうな人物が犯人なわけだが‥。しかしこの映画は犯人探しがメインではなくミシェルの話だ。
ミシェルの友人たちは、レイプされたのに自衛&犯人探しをするミシェルに対して
「警察に行った方が‥」と、しごく真っ当なことを言うがミシェルは行かない。
ミシェルがカフェに居ると、知らないオバハンにコーヒーをぶっかけられる。
ミシェルは驚きつつも「あらあら‥」焦ったり怒ったりしない。
「一体なんなんだ?」と不思議に思ってると、
実はミシェルの父親は、ミシェルが少女の時に大量連続殺人を行った死刑囚だった。
少女時代のミシェルの顔写真はネットで簡単に見れるので、ミシェルを嫌う人もいるという事だ。
日本でも連続殺人犯の家族を検索してみるといい、人生を破壊されて自殺したりよくしてるから‥。
何重も重なったレイヤー状になった設定が良い意味で渋滞している。

 

 

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ヴァーホーヴェンの映画観たの久々だけど凄くヴァーホーヴェンっぽい映画だった。
主人公のミシェルも非常にヴァーホーヴェンっぽいキャラクターだが、まるで風刺絵のように一目で色んな事を「わからす」シーンが多いのが凄くヴァーホーヴェンっぽいと思った。
たとえばミシェルの息子は、気が強すぎて殆ど狂人の域に達している女と付き合っている。彼女は2人で住む部屋の内見に来たミシェルの前で息子とキスしながら同性としてのライバル心からかギロッとミシェルを睨む。漫画みたいな奴だ。
関係ないがこの恋人「スターシップ・トルーパーズ」の巨乳女優とか「氷の微笑」でマイケル・ダグラスがセックスしまくってた女優に顔が似ている。カエルっぽい顔というか。。きっと監督が好きなアホっぽい女性の顔なんだろう。で、本当に好きなのはこのミシェルとかシャロン・ストーンとかの強そうな方なんだろう。‥いや人間そう単純ではない、その双方とも好きなタイプなのだろう。
そしてこのミシェル息子の彼女は妊娠しており、ミシェル息子の子を産む。
しかし赤ん坊の肌はどう見ても黒い。ミシェル息子も彼女も真っ白い白人だ。
その事を特に疑問にも思わず「無事産まれてよかった~」って感じで安堵するミシェル息子。そしてその隣には2人の親友だという黒人青年が‥。
という、このシーン面白すぎるだろ。本当に古き良き漫画って感じ。
それを唖然とした顔で見ているミシェル含めて全員同じ画角に入ってるのも可笑しい。
ミシェルは親切な隣人と仲を深めたり、親友の夫と不倫セックスを続けてたり、会社でコラ映像を広めた犯人も判明したり、母親が突然死んだり色々しながら、中盤くらいでもう犯人が判明する。
まあ、一番犯人っぽい奴が犯人なのだが、そこが本題ではないので映画はまだ続く

 

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冒頭でのレイプされたが普通に食事していた時のように、犯人が判明してもミシェルは警察には届け出ず、あいかわらず恋愛や性愛やゲーム制作などの今まで通りの、彼女の生活を続ける。
冒頭からラストまで色々と衝撃的な展開が続く本作だが、僕はむしろこういった衝撃的な出来事と衝撃的な出来事の間で、ミシェルが自分らしさを保って自分の生活を続けていること自体が本作のキモな気がした。
この映画は「ここにミシェルという女がいる。少し変わったこんな事件やあんな出来事があった。だがそれはミシェル個人の問題だし、それらの問題は彼女のものだ」と言っているように思えた。
そしてミシェルは犯人を知った後、明らかにレイプ犯を受け入れている時間がある。
そしてやっぱりレイプ犯を見棄てる時も来る。
こんな展開を見て「この監督はレイプを肯定している!?」とか言いだす人もいたらしい(昔はそういうアホは居ないと思ってたがSNSの誕生によって実は本当にたくさん居ることがわかった)
それもまあ「ミシェルがそうしたかったからそうしていたが、ミシェルが止めたくなったから止めた」としか言いようがない。
つまり本作は一言で言うとミシェル肯定映画だと思った。別に女性肯定映画というわけではないと思う。ただ強くて自分の論理で自分の人生を楽しむミシェルを見せる映画とでもいうか。
ここまで変わった出来事が重なることはそうそうないが、一つ一つの変わった出来事は十分有り得ることで、前評判ほどあり得ない物語ではないと思った。
ラストも非常に素晴らしいもので、観終わった後に爽やかな気分になった。
それにしてもミシェルがカフェで見知らぬおばさんに残飯ぶっかけられた後のシーンとか、めちゃくちゃカッコよかった。見習っていきたいものです


そんな感じでした

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gaga.ne.jp

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エル ELLE (ハヤカワ文庫NV)

エル ELLE (ハヤカワ文庫NV)

 

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「新感染 ファイナル・エクスプレス (2016)」面白かったけどゴアシーン皆無かつ腹立つ奴が苦痛無しで死ぬのがストレス溜まった🚃

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原題:부산행 監督:ヨン・サンホ 製作国:韓国 上映時間:118分

 

物凄く大ヒットして世界中での公開やハリウッドリメイクが決まり、色んな映画祭の賞を撮ったし国際的高評価も獲得した、釜山に向かう高速鉄道を舞台としたゾンビ映画
原題を訳すと「釜山(プサン)行き」。
同じ監督による「ソウル・ステーション/パンデミック(2016) 」という本作の前日譚を描いたアニメ映画も作られ、こっちも日本公開される模様。
予告編を観るかぎりアニメ版は街の話っぽい、韓国のアニメなんて初めて知ったが面白そうだ。
この監督は元々アニメの人なのかデビュー作もアニメで、長編映画監督作2本目の本作だけが実写映画(3本目の監督作が上記のアニメ版新感染)。
中盤の終わりくらいまでネタバレしてます

 

 

Story
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韓国各地で謎のパンデミックが発生し凶暴化した感染者が次々と増殖蔓延していた。
そんな大惨事がすぐそこまで迫っているとは知らない、やり手ファンドマネージャーソグ娘のスアンを別居中の妻に会わせるため、ソウル発プサン行きKTXに乗り込む。
同じ列車には、身重の女性とその巨漢の夫高校球児とそのガールフレンドといった人々が乗り合わせていた。
そんな乗客たちの中に、感染者の女が紛れ込んでいた。
出発して間もなく、密室と化した列車内にて凄まじい勢いで感染者が増殖してパニックに。
感染者の襲撃から愛する娘を守るべく、他の乗客達と共に必死の抵抗を続けるソグだったが――

 

 

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主人公は、ファンドマネージャーの仕事が忙しすぎて妻と別居中の男ソグ。
そして父が仕事ばかりしてコミュニケーション不足なせいで母のいる釜山に行きたがってる優しい娘ユアン
ユアンは父との暮らしに不安を感じているせいか学校の音楽の時間でも最後まで歌う事ができなかった
ユアンが母に会いに行くために父娘で乗った「釜山行き」高速鉄道KTX101でゾンビ事件が起こる。
父娘以外に乗っている他のメインキャラは、
ガチムチの屈強なオッサン。その妊娠中の美人妻。
高校の野球部キャプテン。その恋人の味わい深い顔の美脚チアガール。
自分勝手な高速バス会社のオッサン。パーマかけたオバチャン姉妹。
ホームレスの男。鉄道の運転手。主体性のない乗務員。美人CA‥など。
鉄道が出発する時、街では既にパンデミックが起きておりホームにまでゾンビが来てたのだが乗客たちは気づいていない。
そしてゾンビになる寸前の少女が高速鉄道に飛び乗り、鉄道と映画が出発する。
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ゾンビになった少女に噛みつかれた美人CAは絶命して即ゾンビ化する。
美人CAのゾンビ演技はカッコよかった。少女は死霊のはらわた風ゾンビ演技。
狭い鉄道内なので乗客は連鎖反応であっという間に半数くらいがゾンビ化する。
メインの登場人物たちもそれに気付いて驚いて逃げる。
しかし本作のゾンビはかなり弱かった。
本作のゾンビは走るゾンビなのだが、狭い車内なので「走るゾンビ」のアドバンテージは意味をなしていない。
しかも、本作のゾンビはめちゃくちゃ頭が悪い。犬や猫以下。
本作のゾンビはドアを開けることができず、視認できなければ自分たちが今の今まで人間を追っかけてたことも忘れてしまうので、車両間の引き戸を締めて窓に新聞紙を貼ればそれだけで安全になる。鍵を締める必要すらない。
拳を握ったり肘打ちする知力すらないのでガラスすら破れないのだ。
徒手空拳なら人間の方が強い。勿論、大勢で囲めばゾンビが強いが、映画本編の殆どは直進or後退しかできない鉄道内なので本作のゾンビは分が悪い。
人間より強いところは、噛み付けば一発でゾンビの勝ちが確定するところ。そして痛みを感じないので視認されたら視界を塞がない限り追われ続けるし、ドアを塞がれたらガラスすら破れないが何十人も溜まれば質量でドアが破壊されてしまう。そして数少ない広い場所でのシーンでは、まるでアメーバのような「群体でひとつの生き物」って感じの脅威を見せる。狭い場所より屋外の方が数倍強い。
だがロメロのゆっくりゾンビの方が強いだろう(ロメロゾンビはメインキャラの死角にワープするメタ能力を持っている)
しかしゾンビ映画ではゾンビの強さは面白さに直結しないので問題ない。
ゾンビ映画とはゾンビを観せる映画ではなく、ゾンビがいる世界の人間模様を観せる映画なのでゾンビはむしろ弱い方が面白い。もしゾンビが強すぎれば、ゾンビに対抗することが映画のメインになってしまう(それはゾンビ映画じゃなくモンスター映画)
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途中の駅で降りるが、そこも既に鎮圧に失敗した韓国軍がゾンビの大群になっていた。
生き残った乗客の殆ども「噛まれる・死ぬ・生き返る」でゾンビ化する。
メインキャラ達はふた手に別れて逃げながら、さっきまで乗ってたKTX101に戻る。
韓国軍がゾンビ鎮圧に成功した釜山まで行かないと安全な駅はない事がわかり、生き残った僅かな乗客と元乗客のゾンビたちを乗せたKTX101は再び釜山までノンストップで進行する。

 


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主人公ソグ、屈強なオッサン、野球部キャプテンなどの9号車に固まってる男キャラ達は、4車両離れたトイレに隠れているソグの娘ユアン、オッサンの身重の妻を救い出し、そこから更に野球部キャプテンの彼女(チアガール)が避難している2車両先へと避難する計画を立てた。
‥今の俺がした状況説明、飛ばし読みしただろ?まぁいいや
↑それにしても、この屈強なオッサンの風貌は良すぎだろ。顔もガタイも最高だ。
このオッサンと焼き肉食ったら通常の3倍は旨く感じそうだ。
このオッサンはゾンビ映画によく出て来がちな、腕っ節も人間力もあって優しいという観る人が皆好きになるタイプのキャラ。
映画冒頭では忙しい日々に忙殺されて自分本位な人間になっていた主人公も、娘の涙や屈強なオッサンの行動や説教で利他的な正義の父親へと生まれ変わる。いいぞ
3人でゾンビをぶん殴りながら1車両移動してドアを締める。これを数回繰り返す(ゾンビはドアを開けられない)
ゾンビには噛みつきという一撃必殺技があるものの、それしか攻撃方法がないので噛みつきにさえ気をつけて三人でぶん殴って進めば何とか行ける。
更に、ゾンビは暗闇では何も見えない事がわかったので、鉄道がトンネルに入るのを待って素通りしたり、暗闇では物音のする方に殺到するのでそれを利用したりして、ソグの娘やオッサンの奥さん達が隠れるトイレまで難なく辿り着くことが出来た。
一緒にトイレに隠れていたオバチャンの片割れとホームレスも引き連れ、ここまでに学んだゾンビ攻略法でもって犠牲者ゼロで、チアガールやオバチャン片割れや乗客の生き残りが待つ安全車両に辿り着く面々(ホームレスが凡ミス連発して、その度にピンチになるのが可笑しい)
しかし疑心暗鬼に陥った高速バス会社のオッサンが
「あいつらゾンビの中を6車両も全員無傷で来れるわけがない。あいつらの中の誰かは感染してるに違いない。だから車両には絶対入れるな!」
と扇動し、主体性のない乗務員や怯えた乗客たちによってドアは堅く閉じられていた。
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何と!決死行の末に全員無傷でたどり着いたというのに、高速バス会社のオッサンのせいで入れず、本当なら助かったはずの善人たちが犠牲になってしまう!
高速バスめ~。高速バスを嫌いになりそうだ。
主人公の娘は、小心者たちだけが持つ全く必要のない悪意を生まれて初めて目の当たりにしてショックで涙を流す。少女を泣かせて喰うメシはうまいか?
何とかガラスをブチ破って入る主人公たち(ゾンビはガラスをブチ破れないのでブチ破った時点で人間の証明になってるのがいいね)
キレた主人公は高速バス会社のオッサンをブン殴るが、オッサンは「ひ、ひぃ~!こいつのこの目は感染した目だ!隣の車両に行け~!」と逆ギレし周囲の乗客も「そうだそうだ~」と騒ぎ立てる。
主人公チームは呆れ果てたのか一緒に居たくないと思ったのか、それともその両方なのか奥の車両に移る(これで次の展開がわかりワクワクした)
そして今までただ座って、ことの推移を黙って見てみたオバチャンは‥
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‥という、この中盤のクライマックスがめちゃくちゃエモくて最高!
ここが一番良かった。
イーライ・ロスの映画終盤でよくありそうな展開というか、「アフターショック」でイーライ・ロスのキャラが良い事した瞬間みたいなエモさ。
この時のオバチャンが言う「くだらない人間ばーっかり‥」という静かな台詞も、デビルマンの「地獄へおちろ人間ども!」に匹敵する熱さ。
スティーブン・キングが本作を絶賛してたが確かにキング作品と通じるものがある。
この後、鉄道から降りて本編はまだまだ続くんだが、ここがクライマックスでよかった。
この直後から→主人公のラストバトル→ラストシーン‥で終わる方が良かった。
ここまで通路、引き戸、トイレ、網棚、トンネル‥などの少ない要素なのに色んなアイデアや人間の醜さを充分観せてきたんだし、その鉄道から降りてしまうのも何かテンションが下がる、どうせなら最後まで鉄道内に居てほしかった気もする。
それに自分の好きな映画1、2は「ゴースト・オブ・マーズ」「デス・プルーフ」と、偶然なのか直進する映画ばかりで、単純な脳をしている俺は「直進」という狭い範囲で最善を尽くす映画に弱いのかもしれない。

 

 

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この映画、良いところは死ぬほど良かったけど相反するイマイチな部分も多かった。
🚃この映画、ゾンビ映画だし韓国映画なのにゴアシーンが全く無い。
しかも人が死ぬ瞬間になるとカメラが避けて映らない事が多い(このまま地上波で普通に放映できそう)
おかげでレイティング下がって超大ヒットしたので正解なのかもしれないが、内容的にはゴアは欲しかった(特にオバチャンのくだりでは絶対欲しかった)。
本作のゾンビは脳や人肉を食ったりせず、ただ噛みついて味方を増やすだけの上品ゾンビなので、ゾンビって言うより吸血鬼映画と言った方がいいかもしれない。
さっきのオバチャンのくだりも最高に惨たらしくなってほしいのだが全然観せない。
別に自分はスプラッター描写が好きすぎるわけではないのだが、終盤は死ぬほどムカつく奴が要らんこと‥善人を何人も犠牲にして自分だけ助かろうとするのでイライラが溜まっていく。「こいつさぞかし酷い最後を迎えるんだろうなぁ」と思って観てたのに、そいつが死ぬ瞬間も映さないし、しかも一切苦痛も屈辱もなく死ぬのでめちゃくちゃストレス溜まった(善人が死ぬところは結構見せてるのに)。
🚃別に映画に勧善懲悪性を求めてるわけじゃ全然ないが最初から最後まで悪い事し続けるゴキブリみたいな悪い奴が楽に死ぬってアリか?
それにしてもこの嫌な奴は「嘘だろ?」ってくらい、あまりにも要らんことばっかりするのでムカつきを越えて笑えてきた。韓国映画でたまにある「やりすぎ」ってやつだ。
だから「この嫌な奴を、悪いことする前の時点で殺さなかった主人公たちが悪いのでは?」と「痴漢される側にも問題あるのでは?」にも似た間違った感情まで浮かんできた。
主人公含め、その嫌な奴に怒りをぶつける善人キャラが全くいないまま映画が終わって「‥嘘だろ?」とも思った。
感情が激しい韓国人ならもっと理不尽な暴挙に対して怒れよ。
ポン・ジュノのキャラだったら死ぬまでドロップキック連打してるぞ。
やっぱり「死霊のしたたり」ラストみたいに嫌な奴がグチャグチャになる場面は必要。
🚃いちいち具体的に書かないが、物語を進めたい方向に進ませるためにか「こんな時に普通そんな事するかな?」「こいつがこんな時にこんな事するかな?」とか「何でこいつ、ここで急にダメになったの?」という感じで、キャラクターが製作者の都合で強引に動かされてるようなシーンが多かった。
普通そんな場面が多い映画は嫌いなんだけど本作の場合、面白いので「‥まぁいっか」と、そういう都合展開には目を瞑って楽しめた。少々の矛盾は凄みで突っ切るというジョジョっぽい映画だった。
🚃要所要所の演出がくどいのが、まるで邦画みたいでイマイチだった。
オバチャンの名場面も、高速バスのオッサンがオバチャンを見るカットが何度もあって「おい!オバチャンが!」「オバチャン何してる!」「オバチャンを止めろ!」とスローモーションで繰り返して、せっかくの名場面なのだが結構くどい。
そして終盤で主人公がギャンギャン泣き喚くシーンが長すぎてイラッとした。
そんなに泣かなくても思ってる事はわかるから実際に泣かなくていいのに。
だけど、そういう時に泣きわめくっていうのは韓国のお国柄なんだっけ?
だがそれならラスボスと化した嫌な奴に対しても怒りを燃やして欲しかった。
ゾンビになりきる前のラスボスの両目に両親指をねじ込んでドロップキックで落として欲しかった(そしてラスボスが鉄道の車輪に巻き込まれてグシャグシャになる)
お前は今まで何体ものゾンビを倒してきたのに何で只の人間のラスボスには‥まぁいいか。
きっと最後に主人公が対峙したのはラスボス個人じゃなくて、主人公の仕事に関係する運命の因果が主人公を襲ったんだろう。そう思った。

🚃総合すると面白いゾンビ映画を久々に観れたしジーンともした。
鉄道内での対ゾンビも楽しかったし、中盤のオバチャンとラストは激アツだった。
本作は大作映画だが、シュチュエーションはB級ホラーそのものなのでジョン・カーペンターなどのB級ホラー好きの自分は好きな設定だった。
膨大なゾンビ映画全作の中でも、かなり上位だろう。
 
そんな感じでした

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「ツイン・ピークス The Return (2017)」第6章/ナオミ・ワッツのキャラ大好き。ダイアン初登場。ハリー・ディーン・スタントン再登場

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原題:Twin Peaks: A Limited Event Series (Part 6) 通算第36話
監督:デヴィッド・リンチ 
脚本:マーク・フロスト、デヴィッド・リンチ 制作国:アメリ
配信局:Showtime 放映時間:59分 シリーズ:「ツイン・ピークス」シリーズ

 

 

 

前回までの「ツインピークス」は‥
★ダギー・ジョーンズとして生活するクーパー

★コンスタンス検視官、ダヴェンポートと共に見つかった男性の死体の胃からダギー・ジョーンズの指輪を発見する
★収監中のクーパーのドッペルゲンガー。その体内には悪の化身ボブも同居
シェリーの娘ベッキー、ろくでもない男と結婚した模様
★ゴードンとアルバートはクーパーのドッペルゲンガーが偽物だと見抜く

 

※ネタバレ全開です

 

ネバダ州ラスベガス
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★ジョーンズ家🏠
ダギー・ジョーンズとして生活するデイル・クーパーカイル・マクラクラン)だが、依然としてアホのまま(警察関連の事柄やコーヒーとドーナツだけに反応する)。
借金を返さないダギーのもとに、ダギー&ジェイドの浮気写真が送られてきて、延滞の利息を付けられて倍以上の5万ドルを要求される。
ダギーの妻ジェイニーE・ジョーンズナオミ・ワッツ)は、アホになったダギー(クーパー)に対して母親のように世話したり怒ったり浮気の件でヤキモチ焼いたりして母性に溢れまくっており、それがデヴィッド・リンチの間抜けなテンポで描かれてるもんだから、このキャラはナオミ・ワッツ史上一番可愛い。
単身、借金取りに金を返しに行ったジェイニーEは、借金取りにもキレまくって5万ドルを元の2万3千ドルにまで強引に根切って借金完済。ジェイニーEの威勢にビビる借金取り。
あまりに可愛いし有能なので、今のところ出たキャラの中で彼女が一番好きになった。最高の奥さんだろ。ナオミ・ワッツも好きだったし。
ダギー(クーパー)はアホのままだが、捜査官だった直感が残っており会社から持ち帰った難しそうな仕事を霊的推理で解決して社長に感謝される。
時折、マイクがブラックロッジから交信してきて「クーパー目を覚ませ!死ぬな!」とか応援してるのが、実家の親みたいで微笑ましい。
小人の殺し屋の家🏠
ダギー殺害に失敗した女ボスとダギー・ジョーンズの命を狙う、小人症の男。
彼は猫型の肉食獣のような獰猛さで女ボスを刺殺。
次は恐らくダギー(クーパー)のところに来るはず。



どこかの街
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★バー「マックス・フォン・バー」🍸
FBIのアルバート・ローゼンフィールド捜査官ミゲル・フェラー)が来た。
ここにいる「クーパーを最も知る人物」を、クーパーのドッペルゲンガーに会わせるため呼びに来た。
その人物とはクーパーの秘書だったダイアンローラ・ダーン)だった。
旧シリーズでクーパーは、絶えずテープレコーダーに向かって「ダイアン、‥」という語り出しでレポートを録音していた。あれはこのダイアンに送っていた報告書だった。「ツイン・ピークス」は変人キャラが多くクーパー自体も変人だったため、放映当時「クーパーはテープレコーダーそのものにダイアンと名付けて語りかけている」と勘違いした人が多かった。
名前だけは死ぬほど出たダイアンだが、ダイアン本人は一度も登場しなかった。
25年経って初めてダイアンが画面に登場した。
ローラ・ダーンはリンチ作品の常連だし「ブルーベルベット」でカイル・マクラクランと主人公カップルだったし、ダイアン役にはベストのキャスティング。



ワシントン州ツイン・ピークス🗻🗻
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カナダ国境近くの倉庫
前回登場した全く好感の持てないヤカラ系不良青年ホーン
こいつは、自分を「小僧」と呼ぶ強そうなマフィアがカナダから違法薬物をツイン・ピークスに密輸する手引きをしている。
旧シリーズでいうとノーマの夫ハンクみたいな小悪党キャラみたいだ。
マフィアの男は肝臓が悪いので地団駄を踏んで体調を整えたり、コイントスして空中でコインを分裂させ片方をホーンの口の中に入れるという意味不明の超能力だかマジックだかを披露する。何だか大急ぎでキャラ立てしてる印象。
★「RRダイナー」☕
変な笑い方をする太ったウェイトレス。確かに昔からこんな店員いた記憶ある。
太った保育士ミリアムがコーヒーをお持ち帰りする。
★「ニュー・ファット・トラウト・トレーラーパーク」🚚
劇場版に登場したカール・ロッドハリー・ディーン・スタントン)再登場。
ローラ以前のボブ被害者テレサ・バンクスが暮らしてた駐車場の管理人。
ハリー・ディーン・スタントンもリンチ作品の常連。
カールは町のベンチに座り、仲のいい母子を見て微笑んでると、コカインきめて運転してるホーンのトラックがなんと幼い坊やを轢き殺す!ホーンは走り去る
哀れ、良い子そうな坊やは絶命した(気の毒だが、あまりにも勢い良くドガッ!と轢き殺されたので笑ってしまった)
ただでさえムカつくホーンだが、全く笑えない最悪のクズだった事が判明。
こいつは普通の死に方じゃ許されないな。
アメリカの映画やドラマで子供が死ぬ瞬間を映すことは滅多にないので驚いた。
嘆き悲しむ母親と町の人達。
さっきRRダイナーでコーヒーお持ち帰りしたミリアム、ホーンの顔を目撃。
カールは、少年の遺体から黄色いフワフワしたものが天に昇っていくのを目撃して驚く。どうやらカールは絶命した少年の人魂を目撃したようだ。
交通事故現場の近くの電柱に貼られた「324810」「6」の、番地だかナンバープレートだかのプレートが意味ありげに大写しになる。
※追記:劇場版を観返すと、デズモンド捜査官(クリス・アイザック)がテレサ・バンクス殺人事件の件で調査に訪れ、ブラックロッジの指輪を見つけてこの世から消えた場所が、このプレートが貼られた電柱の近くだった。
ツイン・ピークス保安官事務所👮
ホーク保安官補長、何かを見つける。
保安官事務所のネイティヴ・アメリカンの飾りが付いたトイレのドアから。
ドアの板を剥がすと中から紙片が出てきた。
丸太おばさんの一つ目の啓示「行方不明になった者のヒントの一つはホークのルーツに関係する」をクリアしたと思われる。
トルーマン署長の常に激怒している妻は、息子が自殺しておかしくなったと語る通信手。いつも嫌味を言っているヒゲの保安官はそれを馬鹿にする。彼はいつもアルバートみたいに他人を馬鹿にしてる。憎たらしいが不思議な魅力がある。
ロードハウス」🎵
Sharon Van Ettenというバンドが演奏しながら次回に続く
Sharon Van Etten - Tarifa (Twin Peaks 2017) - YouTube

 

 

▲▲
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そんな感じで、クーパーはアホのままだが少しづつ進行している。
前々回、前回あたりはクーパーが一向に元に戻らないのに、ゆっくり進行で伏線や新キャラがどんどん出てくるので苛立ちを感じて「新シリーズひょっとして面白くないんじゃ‥」と疑念を抱き始めていたが、ダギー周辺やFBI周辺が面白くなてきたので再び楽しめるようになった。
それにしてもFBIだけ見てみても、前回:悪クーパーに面会。今回:アルバートが悪クーパーに会わせたいダイアンに会うだけ‥と、めちゃくちゃ遅い。
もうクーパーが元通りになったり、ツイン・ピークスに来てお馴染みキャラに会ったりするの諦めることにした。クーパーが元に戻るにはラスボスらしきドッペルゲンガーが死ぬ必要があるから、たぶんラストにならないと元に戻らないだろう。
というか僕は正直言って「往年のキャラが帰ってきて昔みたいな事をまたやった!」という楽しみ方よりも、現在進行系のリンチが新しいストーリーを今の感覚で進めてる方を楽しむ方が健康的に思えてきた。だから、これでいいわ。
それにしても6話まで進んでもツイン・ピークスの外の世界の描写の方が多いとは意外だった。

 

ツイン・ピークス The Return (2017)」全18話
#1
 #2 #3 #4 #5 #7 #8 #9 #10 #11 #12 #13 #14 #15 #16 #17 #18(終)

gock221b.hatenablog.com

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TWIN PEAKS: MUSIC FROM THE LIMITED EVENT SERIES (2017 SOUNDTRACK) [CD]

TWIN PEAKS: MUSIC FROM THE LIMITED EVENT SERIES (2017 SOUNDTRACK) [CD]

 
TWIN PEAKS: LIMITED EVENT SERIES (2017 SOUNDTRACK/SCORE) [2CD]

TWIN PEAKS: LIMITED EVENT SERIES (2017 SOUNDTRACK/SCORE) [2CD]

 

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「悪魔の起源 -ジン-(2013)」トビー・フーパーの遺作になった幽霊屋敷系オカルト中東ホラー

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原題:جن 監督:トビー・フーパー 製作国:アラブ首長国連邦 上映時間:86分

ロメロが亡くなったと思ってたら先日トビー・フーパー監督が亡くなった。
僕は特にジョン・カーぺンターのファンだが、この辺の映画監督は世代なので大体観てた。
映画史に残る重要文化財級の傑作「悪魔のいけにえ(1974)」は勿論、個人的には子供の時から何度も観た「スペースバンパイア(1985)」が一番好き。
あとはスピルバーグと一緒に作った「ポルターガイスト(1982)」や、「悪魔のいけにえ2 (1986)」「死霊伝説(1979)」あたりも好き。その他の作品も、地味だが面白い。
しかしこの「地味」というのがネックで、90年代以降はあまり大作を撮れなくなりB級ホラー映画を職人的に撮ってる人という印象だった(ジョン・カーペンターもそう)。
だが黒沢清トビー・フーパーを訪ねた著作で書いていたが「悪魔のいけにえ撮って、他にもヒットした映画を何本も撮ってて街でも彼はマエストロで人生をエンジョイしてるんだ、同情するのは間違っている」みたいな意味のことを書いていた。
確かに悪いけ一本だけで普通の映画100本分くらいの価値がある。
本作はフーパー監督が亡くなったことによって遺作になってしまった。
失礼ながら「何か地味そうだな‥」とか「中東の映画とか、ピンと来ないな‥」と思って積んだままで観てなかった。
つまり色々書いてきた僕自身も、トビー・フーパーの映画をじわじわ観なくなって、あまり観られなくなった監督にしてしまった原因の一人だったんだと改めて気がついた。
ちなみにトビー・フーパーを大尊敬している黒沢清監督は本作も大好きらしい。


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夫ハリドと妻サラーマの金持ちそうな夫婦。
二人の間に出来た赤ん坊が亡くなっててしまい、サラーマは失意で鬱状態
夫は「故郷で暮らして心を癒そう」とアラブに帰国。
NYで暮らしたい妻を夫は説得して、砂漠の中にある高級マンションで暮らし始める。
このマンションがあった場所には以前、いわくつきの建物があった。
そこは、人間の男が黒衣の悪霊「ジン」の女の精霊と不倫して、人間とジンのハーフの赤ん坊が産まれた呪われた場所だった。
その建物を取り壊して高級マンションを建てたらしい。
マンションが建つ前、肝試しをした青年たちはジンに殺される。
そして冒頭、サラーマの説得に協力したNYのカウンセラーは、既にジンに憑依されていたので映画開始5分くらいで夫婦の命運は早くも尽きた。
夫婦の帰国を出迎えてマンションを見学したサラーマの家族も、マンションを出たところで速攻ジンに呪い殺された。
一人で留守番するサラーマは他人の気配や物音を感じ夫に電話するが、夫はジンの白昼夢を見たりして電話に出れない。
そして死んでしまったハリドとサラーマの赤ん坊は、どうやらサラーマの過失による事故で死んだことがわかってくる。
まあ、とにかくジンが呪うマンションに妻が留守番してて、夫も後で帰ってくるがどうなるか、という幽霊屋敷系オカルト映画。

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とりあえず妻のサラーマ役の女優さんが凄い美人。
色んな国の美人の中でも、中東の美人が一番美人な気がする。
カットが変わったり、電気が点いたり消えたりするのを利用してジンが現れるシーンは職人監督の風格があった。
それと砂漠にある高級マンション、その外は数m先も見えないくらい砂塵に囲まれていて何も見えない。夫婦は完全に閉ざされた超高層へと閉じ込められた。この辺りの舞台設定も渋い。見慣れないアラブ風の造りのマンションも見慣れないために非現実感を増している、そんなあれやこれやが渾然一体となって凄く幻想的。それらが良いところだった。
何となくJホラーの影響がある気がする。「呪怨」で見た廊下の向こう側から電灯がパンッパンッと消えていくシーンや、監視カメラで黒い影が蠢くシーンとかあった(それが呪怨が初の演出じゃないかもしれないが)
でも、かなり低予算っぽいし、たまに出てくるCGは、CG使ってない怖いシーンの見事さと反比例するかのようにショボかった。
寝室を覗いたらぬいぐるみが組体操して置いてあって、電気が消えてまた点くと全部消えていたシーンは「ポルターガイスト」を思い出して懐かしい気持ちになった。
映画が進むと、夫婦の赤ん坊はジンの血が入っていて普通の人間ではなかった事がわかる。
この辺の事実や夫の幻覚の内容で大体どういう展開になるのかわかってくる。
悪霊が近づいて→うわーっと襲われる被害者のアップが映ったらカットが変わって被害者死んでる‥みたいな感じで、殺される瞬間がないので物足りない。
血すら出ないのでこれがアラブのレイティングなのかもしれない。
そのまま捻った展開なしに終わる。
これが近年流行りのジェームズ・ワン系のオカルトなら、終盤で人間たちが力を合わせて悪霊を打ち負かすのだが、これはアメリカ映画ではないので悪霊が勝って終わる。
どうせならクトゥルー神話的な、とても太刀打ちできない強大なパワーで滅ぼされるのなら逆カタルシスあるが、本作はジンが間接的に人間を自滅させる系の攻撃なのでこれもかなり地味で、終わった時に「え、終わり?」と思ってしまった。別に「だからダメだ!」と批判したいわけではないのだが質素な感じだった。
だけど本作の裏テーマは、赤ん坊を(過失で)失った夫婦の自己嫌悪をホラーへと転換した映画って感じだったのでションボリした感じで映画が進んで、そのまま終わるのも、らしいっちゃらしいかもしれない。
‥と納得はしたものの、やっぱ悪霊退散させるか、もしくは逆にめちゃくちゃにやられるかのどっちかが観たかった気がする。
それにしてもアラブ首長国連邦の映画を初めて観たわ。

そんな感じでした

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