
原題:Spider-Man: Brand New Day 監督:デスティン・ダニエル・クレットン 脚本:クリス・マッケナ、 エリック・ソマーズ、ジャスティン・クリツケス スタント・コーディネーター:パン・ジャン 製作:ケヴィン・ファイギ、エイミー・パスカル 原作:スタン・リー、スティーヴ・ディッコ 製作会社:MARVELスタジオ、コロンビア ピクチャーズ、パスカル・ピクチャーズ 配給:ソニー・ピクチャーズ・リリーシング 製作国:アメリカ 上映時間:145分 上映日:2026年07月31日 シリーズ:MARVELスタジオ制作の『スパイダーマン』第4作目、MCU(MARVELシネマティック・ユニバース)第38作目
MCU制作のスパイダーマン4作目。
ジョン・ワッツが監督したホーム三部作(仮)が終わり、新たな日々が始まった。
過去3作は、クリフハンガーやサプライズや「連続ドラマの途中としての面白さ」に満ちていて公開時はどれも凄く興奮したが、単独作としての普遍的な完成度は「まぁまぁ」で、今となっては割とどうでもいい。
凋落しきったMCUだがMARVEL最後の砦「スパイダーマン」「アベンジャーズ」は外せない。MARVELの至宝”スパイダーマン”はアメコミ冬の時代でもヒットする特別な存在だからな(DCはバットマン)。そして「X-MENをフィーチャーした次のフェイズ7」への準備も着々としているMARVELスタジオ。
監督はデスティン・ダニエル・クレットン、『シャン・チー/テン・リングスの伝説』(2021)をヒットさせて「アベンジャーズ」第4作目『アベンジャーズ:カーン・ダイナスティ』の監督に決まったが、カーンの人が訴えられて外され『アベンジャーズ:ドゥームズデイ』(2026)に変更、監督もルッソ兄弟に替えられてしまった。その代わり「スパイダーマン」を監督する事に。
他にもMARVELテレビジョン制作になって好調なMCUドラマ『ワンダーマン』(2026)も監督した。これはMCUドラマでぶっちぎりに面白かったし主演がエミー賞にもノミネートされてシーズン2制作がアナウンスされた……が、先日シーズン2はキャンセルになった。僕の推測だがデスティン監督はスパイダーマン次回作やシャン・チーの続編とかで忙しかったからだろう。僕はというと『ワンダーマン』(2026)は面白かったし感動したしMCUドラマで一番好きだが、正直シーズン2が中止になって少しホッとした。あれで綺麗に終わってるので続きを無理に作らなくていいと思ったからだ。
ネタバレあり

〈これまでのピーター・パーカー/スパイダーマン〉
アメリカ、NYのクイーンズを拠点として、犯罪者を捕まえたりアベンジャーズとして宇宙からの脅威とも戦ってきたピーター・パーカー/スパイダーマン。
能力は、怪力と壁張り付きとスパイダーセンス(危機察知能力)。またウェブ・シューター(クモ糸発射装置)を自作して使用している。
最愛のメイおばさんが戦いに巻き込まれ命を落とし、ピーターはショックを受ける。
更に〈マルチバースの乱れ〉を修復した影響で、世界中の人々の記憶から"ピーター・パーカー"が消える。もちろん恋人MJ、親友ネッドの記憶からも。
ピーターは「もう愛する人を巻き込みたくない」という想いからMJやネッドに真相を告げず、孤独に戦い始めた。
〈これまでの、本作のゲストキャラ&組織〉
・フランク・キャッスル/パニッシャー
殺人をも厭わない元軍人のダークヒーロー。妻子を殺した復讐を済ませ、PTSDになるが乗り越えて自警活動を再開したばかり。・エレーナ・ベロワ/ブラック・ウィドウ(2代目)
元スパイ。アベンジャーズの戦死したナターシャ・ロマノフ/ブラック・ウィドウの義妹。ニュー・アベンジャーズを結成した。・ブルース・バナー/ハルク
ガンマ線に被爆して危険な怪力の大男ハルクに変身するアベンジャーズの一員。かつて洗脳されて暴れて恐れられたトラウマがあり、ハルク化の制御に気を遣っている。・ダメージ・コントロール(組織)通称”DODC”
メタ・ヒューマンや地球外の技術、重大犯罪を取り締まる政府組織。しかし行き過ぎた強硬姿勢も目立つ。・ザ・ハンド(組織)
怪しい秘術を使う忍者集団。かつてデアデビルを始めとしたディフェンダーズに壊滅させられた。※過去作では日本でだけ「ヤミノテ」という名前になっていた。

前作『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(2021)から3年後。
ピーター・パーカー/スパイダーマン(演:トム・ホランド)は大学に進学せず、アパートに一人暮らししてスパイダーマンとしてNYの犯罪者やスーパーヴィランと戦っていた。
「ピーター・パーカーに関しての記憶」を失ってしまった元恋人のミシェル・ジョーンズ通称”MJ”(演:ゼンデイヤ)や元親友のネッド・リーズ(演:ジェイコブ・バタロン)は、ピーターと三人で通いたかったMIT(マサチューセッツ工科大学)に2人で通い楽しい日々を過ごしている。
ピーターは、ネッドのInstagramで楽しそうな2人を見ることだけを楽しみに日夜、犯罪と戦っている。
メイおばさん(演:マリサ・トメイ)を戦いに巻き込んでしまい喪ってしまった事から、2人を巻き込みたくないのだ。
私生活は完全に終わっているピーターだが、ヒーロー活動は順調でザ・ハンドを含めた犯罪組織を3つも壊滅させ、スーパーヴィランを何人も捕らえてNY市長にも感謝される(ちなみにこの市長は『デアデビル:ボーン・アゲイン』〈シーズン2〉(2026)でキングピンが失脚して繰り上がって市長になった市長補佐の人)。
ピーターが普段話す相手と言えばアシスタントのE.V.(演:ラナオミ・ワッツ)、そして連携を取り合って犯罪者に対処しているジーン・デウォルフ刑事(演:ライザ・コロン=ザヤス)。しかしE.V.はAIだしデウォルフとは犯罪の話だけで友達ではない。そしてE.V.もデウォルフも共に、孤独そうなピーターを心配している。
観ていて、ピーターに対しては「人生で一番楽しい数年間を棒に振って可哀想」という同情心と「いや、2人を護りながらまた友達になればいいやん」という2つの気持ちが湧いてくる。また「ドクター・ストレンジの魔術によって全世界の人の記憶からピーターのことだけ消えた」という突飛な設定も「ピーターを曇らすためだけに発生した無茶苦茶な設定だな」と、10分に1回くらいアホらしくなりまたいかんいかんと気を取り直す瞬間がある(原作由来ではあるけど、その原作でも散々「魔法で記憶が?」と長年笑われてたしね)。
まぁ、とにかくそんな現状。
ある日、ダメージ・コントロールの支部を襲う暴走車両を発見したピーターは、犯罪者をすぐ殺そうとするフランク・キャッスル/パニッシャー(演:ジョン・バーンサル)を静止しつつ犯人を止める(以前、スパイダーマンがパニッシャーを助けて以来、顔見知りのようだ)。
しかし暴走車両に乗っていた人物には記憶がなく、暴走車両ドライバーの行動を引き継ぐかのように近くにいたダメージ・コントロール(以下DODC)警備兵が動く。そしてピーターの心の中の大事な部分(メイおばさんと住んでた昔のアパートで、メイと一緒にいる空間)に何者かの精神が入ってこようとする、しかしピーターはテレパシーに強いみたいで”謎のテレパス”の侵入を防いだ。
どうやらこの犯人は「半径10m以内にいる他人の心に次々と乗り移り操ることが出来る」テレパスだとピーターは理解した。
MJが恋人とキスするところを見たピーターは具合が悪くなり翌朝、手首の穴から直接ウェブ(蜘蛛の糸)が発射されるようになっていた。E.V.の分析によると「孤独のストレスで、蜘蛛の潜在能力が覚醒しかけている」という。ピーターはこれ以上特殊になることを恐れ抑制する手段を探す。
ピーターは「他人とは違う特殊な力」のせいでメイおばさんを失い仲間たちをも失うことが怖くて自ら孤独になっている。しかし、そのせいで「特殊な力」が更に特殊になり、それがピーターを苦しめる……ピーターの悩みが円環構造になっており永久機関のようにピーターを無限に苦しめている。これがピーターや本作のヴィラン、あとハルクとかにも通じる本作のテーマで、結末ではこれが一つに集約される。あまりに芸術的な構成なので「これ本当に(殆どの作品がつまらなくなってから凄く長い)MCU作品?」と驚いた。

スパイダーマンは、ニューアベンジャーズのリーダー、エレーナ・ベロワ(演:フローレンス・ピュー)を訪ねて”謎のテレパス”について尋ねるがエレーナも知らない。しかし「連続でDODCを襲っている犯人は”V-MAX”を探しているらしい」という事がわかった。しかし”V-MAX”が何なのかはわからない。「V-MAX」という名称の雰囲気、DODCにあるという事などから”何らかの超兵器”ではないかと推測するピーターたち。
ニュー・アベンジャーズはもっと規模の大きい脅威に対抗するチームなので、憑依するテレパスについてはスパイダーマンが見つけ出すしかない。ダメージ・コントロール新長官ビル・メッツガー(演:トラメル・ティルマン)もスパイダーマンを頼る。
”謎のテレパス”はスパイダーマンの宿敵の一人マック・ガーガン/スコーピオン(演:マイケル・マンド)を操り、それを倒すスパイダーマン。しかしスパイダーマンの蜘蛛化がどんどん激しくなり凶暴化が増してきてきた、抑えないと……。
ピーターは、大学で教鞭をとっていた天才生物学者ブルース・バナー/ハルク(演:マーク・ラファロ)を訪ねる。バナーは自ら開発した装置でハルク化を抑制している。ピーターは己の蜘蛛化の”変異”を抑制するヒントが欲しかったのだ(個人的には、それだけではなく突然変異の己の力に悩まされるハルクに共感して話をしたかったのだと思った)。
これで己と、ついでに”謎のテレパス”の超能力を防ぐ計画。
”テレパス”は、自分の邪魔ばかりするスパイダーマンを何とかしたい。しかしピーターにはテレパス耐性がある。そこで”テレパス”はピーターの部屋に侵入し「ピーター・パーカー=スパイダーマン」「MJのこと」など全てを知り、MJを狙う。
ここで、助けられたMJはスパイダーマンにキスする。これは『スパイダーマン』(2002)のオマージュだろう、キリないから書かないけど本作は原作コミックや過去のスパイダーマン映画のオマージュが数多く散りばめてある。それは今までのMCU作品によくあったサプライズのためのサプライズやオタク心をくすぐるだけで中身は空虚だったイースターエッグとは違い、有機的に物語に作用する血の通ったオマージュのように感じた。
キスでピーターを思い出すMJ……残念、中身は”謎のテレパス”だった。ピーターの人の良さに呆れる”謎のテレパス”。だが僕も騙されて「キスで記憶が戻るとか……ちょっとな」と残念だったので「キスで記憶が戻ると信じるとか、お花畑かよ」という”テレパス”の煽りが本当に嬉しかった。何で嬉しかったのかというとデスティン監督が観客の先回りして「そーいうつまんない展開はやらないから安心してくれ」と言われた気がしたからだ。
ここ数年のMCU作品とかディズニー作品は本気でそういうしょうもない展開をやりがちだったのでまんまと過小評価して本作を観てたんだなと思った。だから、この「スパイダーマンとMJ(中身は”謎のテレパス”)のキスシーン」で「あ、MCU作品とはいえ、本作はどうやら面白いみたいだな」と、椅子に座った姿勢を正した。
ゼンデイヤは本人自身や他の役が派手なので忘れてたけどMCU版MJ(ミシェル・ジョーンズ)って陰キャ設定だったね。久々にMJに会った気がした。ピーターの真実を知っても「凄くよく分かったし貴方は良い人だけど……でも全然知らんし……」と気まずそうに正直に語る様が本当にナチュラルで素晴らしかった。本作のピーターとMJの絡みは最後まで凄く良い。
互いの自宅は”謎のテレパス”に知られているのでスパイダーマンはMJと共に、パニッシャーのアジトに匿ってもらう。
MCU版スパイダーマン名物の「ピーター/スパイダーマンに絡むおじさん」、アイアンマン、ニック・フューリー(中身スクラル)、ミステリオ、ドクター・ストレンジ……に続き、本作ではパニッシャーのようだ(ついでにハルクも少々……)。
ピーターは、パニッシャーとMJの協力で突然変異抑制デバイスが完成。これを”謎のテレパス”に刺せば彼女の超能力を止められる。
そして”謎のテレパス”の正体は孤児の家出少女ジーン・グレイ(演:セイディ・シンク)だと判明。しかし超能力を持っている事以外の情報はない。
このキャラ、「半径10m程度の人間に次々と憑依する」という能力で、近くのAが喋って遠くのBが続きを喋って……と、リレーのように憑依していく演出が、ありそうでない演出で面白かった。普通、フィクションの憑依って限界がないものが多いが本作の場合「10m以上遠くの者には憑依できない」この若きジーンならではの「制限つきの超能力」が映画を面白くしていた。超能力を弱くすることで面白くするとは、と驚いた。
セイディ・シンクがX-MENのジーン役ということは徹底的に伏せられていたが(公開数日経った今も伏せられている)状況的にジーン確定だと知れ渡っていたし僕もそう思っていた。何よりも「セイディ・シンク」っていうのが、もうジーンだ。これがアラサーくらいの売れっ子女優ならジーンと思わなかっただろうが、セイディ・シンクなら若いしフェイズ7から始まると思われるX-MENの中心になって、それがヒットしても10数年間ジーンをやれる。ここでMCUがやりがちなスカシは「ジーン役……だと思わせてスパイダーマンに登場する超マイナー超能力ヴィランでした~!」みたいな、こういう「誰も当てられなかったが、その代わり誰も楽しくないサプライズ」もよくする、MCUは。でも今は切羽詰まってるしSONYとMARVELは「ピーターのスパイダーマンには本気」なのでそういったMCUがやりがちなガッカリすかしはやらないだろうと思っていた。誰もが観るスパイダーマン新作でX-MENへの引きをやるのは理に叶ってるし。
それでいてセイディ・シンクのジーンは本当に素晴らしい(というか『ストレンジャー・シングス』があるから観なくてもどんな感じか想像つくし)。それに何よりも大人になって、瞳がデカいまま小顔が更に引き締まってめちゃくちゃ美しい。ミュータント(突然変異)っぽい美しさだ。『X-MEN』についてはキャストが決まり始めてるがその話はまた今度……。
それにしても本作のゲストキャラは面白いと思う。
まず大活躍するパニッシャー。スパイダーマン+パニッシャーはNYのヴィジランテ同士、コミックでも珍しくない組み合わせだが、こと実写版で言うとパニッシャーはNetflix制作ドラマとMARVELテレビジョン制作のDisney+のMCU作品『デアデビル:ボーン・アゲイン』〈シーズン1〉(2025)と『パニッシャー:ワン・ラスト・キル』(2026) にしか出てない。配信しか出てないキャラが映画に、しかも大作のスパイダーマンに出るのが珍しい。だけど「とりあえずマルチバースじゃなくてストリートベースの渋いスパイダーマンになりそうだな」と思った。だが次に「ハルクが出る」と発表があってハテナが浮かんだ。パニッシャー同様スパイダーマンとハルクの絡みもたまにある。だけど「パニッシャー+ハルク」この組み合わせが、パワーに差がありすぎて不可解。ジーンが出るのはわかっててジーンは想像つくけど「そこにパニッシャーとハルクを?わからん……」と読めなかった。でも読めないってのは映画好きにとって嬉しいことなので楽しみだった。
エレーナは、滅多に再登場しないフェイズ4以降のキャラにしては珍しく、多く登場している。「ニューアベンジャーズのリーダー」として『アベンジャーズ:ドゥームズデイ』でも出番多いっぽいし本作にも出てるし……もうキャプテン・マーベルはおろかソーやサムよりアベンジャーズになっている(というか彼女以外で作品またいでアベンジャーズ活動するキャラ自体殆ど居ないが)。僕は嫌いだが世間では好評だった『サンダーボルツ*』(2025)の監督ジェイク・シュライアーはフェイズ7でMCU版『X-MEN』を監督するし、それもエレーナ優遇の理由の一つかも。エレーナとか原作では全然人気ないのにね。だが、そういうわけでエレーナは作品間を繋ぐキャラとして最近出がちなのであまり驚きはなかった。
忍者集団ザ・ハンドは原作通りの真っ赤な出で立ち。女性リーダーを頭にして大人数で一匹の大きな龍みたいに動いて攻撃してきて、これもジーンの憑依能力同様新鮮で面白かった。これは絶対に、一向に『シャン・チー』2を作らせてもらえないデスティン監督がシャン・チー用に温めてたアクションなんだろうと思った。
あと「B級ヴィランが多く出る」という情報は「ああ、『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』(2025)みたいにダイジェストでスパイディーに倒されるのね」と想像がついた。
だから、とにかく「ピーターの個人的な悩み」+「若きジーン・グレイ」+「パニッシャーとハルク」この組み合わせがカオスで、そこが楽しみだった。
他の映画ならいかにも駄作になりそうな混沌加減だが、本作はこれらが互いに上手く作用して「ピーターの悩み(MJとネッドに会いたい、能力の覚醒が怖い)」という大きな軸を後押ししており、「他人と違うことで苦しむ」というピーターとジーン(ついでにハルク)共通の苦しみにも作用していて、最初から最後まで面白かった。
そしてスパイダーマンにパニッシャーが出ると聞いた時に、パワーの差もあるけどパニッシャーの持ち味「犯罪者は子供だろうが容赦なく殺す」というパニッシャーの持ち味が「スパイダーマンに出たから殺しは無しで、ピーターとワチャワチャして」って感じだったらパニッシャーの持ち味消える!と心配だった。しかし本作でパニッシャーは「犯罪者や危険な存在は絶対殺すマン」「根は優しいおじさん」という相反する持ち味を両立させていて、これが地味に凄いと思った(っていうかジーンが頑張ってなければほんとに死んでたし……)。
唯一残念だったのはハルクかな?「己の力を恐れて抑制する天才科学者」というピーターの先輩役で出たのはいいが「いつものようにジーンに洗脳されて暴れるのかな?もうやったしそれはないか」と思ってたら、本当にジーンに洗脳されて大暴れした。最後は「僕、暴れたのか?教えてくれ、誰か傷ついた人はいたのか……」と泣きそうな顔で、運ばれていって報道されて……可哀想すぎるだろう。ハルク単独作が来ないと可哀想すぎる。
後半、ジーンがDODCに捕まり回想が始まり、ピーターが助けに行くので「ああ、ピーターが救出して和解か」と思っていたら、なんと作中ずっと謎だった”V-MAX”を遂に見つけたジーンが覚醒……この「”V-MAX”とは何なのか?」の仕掛けはマジで神だった、もう本当に「MCUにポッと出てきてその作品内で猛威を奮って以降まったく出てこない兵器に付けられてそうな名称」だもんね、モロに。絶対に予想できないし、そして分かれば全てを察する素晴らしいアイデアだった。
話を戻して覚醒したジーンは大暴れ……というジーンのパートが長過ぎる!しかもピーターが救うわけではなく自力で覚醒して”人間ども”に復讐……このパート、完全に『スパイダーマン』ではなく『X-MEN』になってる。セイディ・シンクもX-MENもこのくだりも好きだが、それは置いといて本作は『スパイダーマン』だぞ?と、スパイダーマン側が心配になった。
するとジーンがラスボスになるとは……「謎の超能力少女ジーンがヴィラン」→「ヴィランじゃなかった、DODCは今まで通り嫌な組織」→「スパイダーマンがジーンを救出……する前にジーン覚醒してラスボス化」という流れは練りに練られており本当に予想を超えてきた。そこにパニッシャーをひとつまみ……多くの一般客に馴染みのないパニッシャーをわざわざ起用した意味が終盤わかる。
ピーターもまた「他人と違う自分」つまり蜘蛛の変異を恐れず覚醒して乗りこなす。だがオメガ級ミュータントであるジーンからすれば覚醒したスパイダーマンなど何の脅威でもない。ジーンは以前は入れなかったピーターの心に侵入する。そこでメイおばさんに遭い、そして……という決着は『サンダーボルツ*』(2025)で好評だったセントリー攻略を思わせる。だが「人柄の良さ」もピーターの能力だと思えば、これは実にピーターらしい決着の付け方だと納得した。
そして冒頭からピーターを苦しめていた悩み(他人と違う自分が愛する人を苦しめる、だから会いたいけど会えない)、これもピーターがジーンとの触れ合いで「ありのままの自分を受け入れる」と悟った瞬間に自分の新たな蜘蛛パワー覚醒も乗りこなせた。そして「ピーターの心の奥の人柄」でジーンを癒し自分自身をも癒す。そしてピーターはようやく孤独であることをやめる……いいハッピーエンド。このままで居て欲しいね。
本作は、ストリートレベルのヒーロー、アベンジャーズ、後のX-MEN、忍者、色んなヴィラン……などバラエティ豊かすぎて、一作でMarvelユニバース全部やってる感じで良かった。それでいてピーターという芯があるのでブレてないし。それと退院する時のピーターがパニッシャーに狂ったような不思議な笑い方する場面よかった。
ちょっと観たばかりなので感想の書き方の順番が散らかってて良い文章じゃないけど臨場感あるからこのままUPした。良かったところは書けたし。
MCUはお祭りクロスオーバーやサプライズなど「観た当日は面白いが、普遍的に面白いものは凄く少ない」印象だが、本作は『アベンジャーズ』(2012)、『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』(2014)、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(2014)などのように、時間が経っても面白さがあまり目減りしない作品じゃないだろうか?まだ分からんけどそんな気がする。
次のMCUは12月18日にいよいよ『アベンジャーズ:ドゥームズデイ』(2026)!……と言いたいところだがノスタルジアだらけの予告編見ても1mmも心が動かなかった。さすがに大勢出るし色々仕掛けもあるだろうから観に行った当日は興奮するでしょうけどね。でも数日経てばどうでもよくなる予感が凄くある。予告で唯一心が動きそうになったのはフェイズ4以降のキャラが少なすぎる中シャン・チーが出てたとこだけ。まぁそれも「アジア人が居ないからアジア枠でシャン・チー入れとこう!」というのが透けて見えるが。『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018)で本来めちゃくちゃサブキャラのウォンが妙に出番多かったのと同じアリバイアジア人だろうな。そんな醒めきった気持ちが裏返る面白いものならいいが。
とりあえず本作は素晴らしかった。以上。
そんな感じでした
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