gock221B

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『エイリアン:コヴェナント』(2017)/中盤までは楽しく観てたがエイリアンのぞんざいな扱いにうんざりした👨

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原題:Alien: Covenat 監督&制作:リドリー・スコット
製作国:アメリカ 上映時間:122分
シリーズ:「プロメテウス」の続編。「エイリアン」関連作

 

 

あまり期待せずに観に行った。ちょうど半分くらいまでの展開を書いてるが映画好きな人が読むと展開がわかってしまうと思うのでネタバレ注意と一応書いておこう。

前作「プロメテウス (2012)」。制作経緯 ※ここは感想じゃないので飛ばしてもOK
▲世間的には「なんじゃこりゃ‥」という感じで迎えられて映画ファンの間では偏愛する人もいるが(僕も肯定派)一般的には駄作という評価で落ち着いた大作。
興行収入的には、アメリカ本国では僅かに赤字、全世界的には何とかヒットした。
傑作と名高いSF怪奇映画「エイリアン」一作目と同じリドリー・スコット(以下リドスコ)監督による「エイリアン一作目の前日譚」として作られたが、矛盾するところが多いせいか時が経つに連れて「エイリアンの前日譚‥みたいな感じの映画」という曖昧なニュアンスになっていった。
「話が繋がってるように見えるが実は一作一作は明確に直接繋がってるわけではない」みたいな曖昧な繋がり方をしているマッドマックスシリーズみたいなものか。

「プロメテウス」は確かに最後まで観ると「なんじゃこりゃ」感あるとっちらかった映画だったが、
白ハゲ(スペースジョッキーakaエンジニア)による興味の持てない生命創造シーン。主人公のセルフ開腹手術。意味なく老人メイクを施されてるが若者が老人メイクしてるようにしか見えないガイ・ピアース。白ハゲvs.大ダコ。生首だけになっても「俺たちの闘いはこれからだぜ!」と元気いっぱいのファスベンダー‥など、場面場面では面白いシーンが多くて嫌いになりきれない楽しい映画だった。
そして、汗まみれタンクトップで腕立て伏せするシャーリーズ・セロンリドリー・スコットの映画はタンクトップ着た汗まみれの女がやたら出てくる)。さっさと仲間を切ろうとするシャーリーズ・セロンシャーリーズ・セロンが意味なく黒人を誘う要らないシーン。レプリカントかと思わせて何でもなかったシャーリーズ・セロン。横に逃げればいいのにまっすぐ走ったせいで転がってくる便座型宇宙船に潰されて死ぬシャーリーズ・セロン‥など、美形のお姉さんシャーリーズ・セロンによる間抜けな魅力が爆発していた。特に潰されて死ぬ彼女を見て「かわいいなぁ」と思った。同時期の「ヤング≒アダルト」でも残念な美人を演じており、フュリオサ直前のこの時期にシャーリーズ・セロン大好きになった。
※ところで「エイリアン」と書くと作品名を指してるのかモンスターを指してるのか、わかりにくいので以降「ゼノモーフ」と書くことにする(ゼノモーフというのはエイリアンのあの生物の俗称)
エイリアン前日譚だがゼノモーフは本編には殆ど出てこない。
僕はゼノモーフ大好きなのだが、これはタイトルが「プロメテウス」なので別に構わなかった。これで「エイリアン:プロメテウス」ってタイトルだったら「全然出てこないじゃないか」と嫌いになってたかもしれない。

傑作!とは言わないが偏愛できる楽しい映画だった。
気に入らないところといえば一作目では超カッコいいデザインだったエンジニア(スペースジョッキー)が
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「実は宇宙服だった」とか言って中から切ない感じの白ハゲが出てきてガッカリした。
現在では「lo-fi sci-fi」と呼ばれてる「凄く発達してるはずのに古臭いデザインのメカ」で描かれた宇宙船内も現代風になってたのもガッカリした。
「エイリアン:アイソレーション」というゲームではlo-fi sci-fiメカデザインを完全再現してたのに。
そしてミステリアスだったスペースジョッキー(エンジニア)が実は地球に種を蒔いて生命を創った的な余計な過去もガッカリした。
今までずっとカッコよく思ってきたミステリアスなスペースジョッキーは「只の服」だった事になってしまい、スペースジョッキーの魅力は全部消えた。
「異常に凶暴な白ハゲ」もそれなりに面白いキャラだったが、こんな事になるんならスペースジョッキーとは別の異星人として出して欲しかった。
白ハゲといいツルンとしたエイリアンといい、ギーガーやメカデザインの人達の功績を消したいのか?
「プロメテウス」単体は、それなりに面白い映画だったが一作目の良い部分を消し去りたいかのような態度は好きになれなかった

▲その後、ニール・ブロムガンプがシガーニー・ウィーバーと組んで「エイリアン2」テイスト満載の「エイリアン3」には繋がらない「エイリアン2」の続編とやらを作ろうとしてたが、リドリー・スコット(以下リドスコ)が強権発動して「わしがプロメテウスの続編2、3本作るから、それやめてね?」と言い出してブロムガンプ&シガニー・ウィーバーの企画は消えた。
僕はどっちかというとリドスコ派で、ブロムガンプも「エイリアン2」もあまり好きじゃないので同情はせず「まあ、それでいいじゃん」と思った。
そして本作は4ヶ月前‥5月にアメリカ本国とイギリスで公開された。
公開週は当然、興行収入ランキング一位だったと思うが2周目以降スーッ‥とヤバい落ち方してすぐ消えた。
「プロメテウス」の半分ちょいの売上げしかない大コケ。

そして「スーパーマンvsバットマン」みたいに「大不評で盛り上がる!」とかならまだいいが一切話題にもならないという「大コケ+話題にならない」という一番ヤバい状態になった。
それこそ「スーパーマンvsバットマン」「スーサイド・スクワッド」などのDC失敗作は「大ヒット!+絶不評!」という感じで、それはいくら不評でもヒットはしてるので続編作れるし皆が貶して話題にしてたのでアツアツの状態だったと言える。だがコヴェナントは完全な無風状態で何もない。
もう中国や日本で信じられんくらい大ヒットしない限り、続編制作は危ういのでは?
そんな期待できない状態で公開された。これは面白いかどうか確認しがいがある一本だ。

 

 

不必要な事故でジェームズ・フランコ焼死
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前作「プロメテウス」のアンドロイド、デヴィッドマイケル・ファスベンダー)の目のドアップで始まる。
どうしてもレプリカントの目のドアップで始まる「ブレードランナー」を思い出す↓
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だからまあ今回はアンドロイドの話中心なのかな?と思った。
で、本編は「プロメテウス」の11年後、
宇宙船コヴェナントはコールドスリープ中の2千人の入植民を乗せて、入植できそうな惑星を探して航行中。
船やコールドスリープ中の入植民を管理しているのは、デヴィッドと後継機アンドロイド、ウォルターマイケル・ファスベンダー)。
そんな航行中、コヴェナントはニュートリノの衝撃波に襲われてダメージを受ける。
この事故で、何人かのコールドスリープポッドが破壊されて、主人公ダニエルズの夫である船長ジェームズ・フランコ)のポッドも炎上して船長は焼死してしまう。
かなりグロい焼死体になって目覚めぬまま退場してしまうジェームズ・フランコ
何しに出てきたん?
で、コールドスリープ中の入植民以外の、主人公ダニエルズや科学者や警護部隊員などのメイン乗組員13人は目覚めてコヴェナントの、衝撃波で壊れた箇所を修理したり船長の葬式したりしてると近くの惑星から人間が発した信号を受信する。
それで、まあエイリアンがいるであろう惑星に降りるといういつもの流れ‥。
なんだけどストーリー上、コヴェナントが事故で船長だけ焼死する展開、これ必要か?
普通に「誰かからの通信を受信したからみんな起きろ!」で良くない?
しかも眠ったまま焼死してしまう船長役はジェームズ・フランコで「他のメインキャラよりスターじゃん。という事は後で船長ネタあるのか?」と思ったが全然なかった。
一体なんだったんだろう。今思い返すとジェームズ・フランコが動いたり喋ったりしてるのはダニエルズが泣きながら観ていた在りし日のジェームズ・フランコが登山して弾ける笑顔をきらめかせてる映像だけで、あんな爽やかなイケメン俳優が本編ではスヤスヤ寝てるか焼死体になってスヤスヤ寝てるかのどちらかしか出番がないので可笑しくなった。
この事故の後から惑星に降りるまでの間が、ぐだぐだとかなり長かった。
皆メソメソしてるしキャラ紹介もしないし、この間いらなくね?というか、そもそも事故いらなくね?
前作の老人メイクのガイ・ピアース並に必要ない(その癖やたら目立つ)要素だわ。
市役所や病院の受付でずっと座って正面の宙空を見つめて呼ばれるのを待ってるような気分になったぞ。
※追記:後から知ったがキャラ紹介みたいな短編映像をYouTubeで公開してたらしい、それを本編に入れて事故はカットしとけよと思いました
邪推だがハクを付けるため、B級映画っぽい内容に壮大な音楽つけて二時間超えの大作にして、まるで大層な内容があるかのような映画に見せようとする‥というノーランやイニャリトゥもよくやるやり方をやったんじゃないだろうか。
このやり方昔は嫌いだったが今は悪くない気もしてきた。何故ならホラーやSFってだけで一般層は軽んじる傾向があり普通にB級っぽく仕上げると本作より面白かった「ライフ」みたいに軽んじられるからね。そういう人に対しては荘厳なBGM、長い上映時間、テーマがありそうなムードこの3つがあれば評価が上がる。

 

 

パニクった女性隊員がMr.ビーンみたいなドジの連続で爆死!
コヴェナントから惑星に、着陸船で降りたダニエルズやウォルターを始めとする10人の乗組員たち。
調査していると、黒い砂塵みたいなものがある男性乗組員の耳の中に侵入する。
男性乗組員は具合が悪くなり調査船に連れ帰ってもらって診察されていると、背中が裂けてエイリアンの赤ちゃんが飛び出てきた。男は当然のこと看病してた黒人女性隊員も死亡。
砂塵みたいなウイルスが耳から入ってチェストバスターじゃなくて赤ちゃんエイリアンが、腹じゃなくて背中から出てくるという新しいエイリアン。
わざわざ硬い方から出てくるとは根性ある子だね。
死んだ2人以外の、着陸船で留守番してた女性隊員が凄い面白いキャラだった(上の写真の左の人)
まず男の背中から血が出始めただけで半狂乱になり連れて来た女性隊員を閉じ込める。
これは「確認するまでウイルスは外に出せない」的な理由なのでわからなくもないけど直後にパニクって自分もこの部屋に乗り込んでくるから意味ない。
というか、そもそも全員顔面丸出しだから感染するならもう感染してるだろうけど。
コヴェナントに連絡するがパニクりすぎてギャーギャー言って全然伝わらない。
コヴェナントで通信を受けた副船長も「何言ってるかわかんねーよ!落ち着け」とキレる。横にいた女性医師に「貴方こそキレないで。何も良い事ないから」とか冷静に言われたりして可笑しい場面だ。
半狂乱の女性隊員は、やっぱりエイリアンを倒そうと思ったのか半泣きで銃を持って部屋に乗り込んで行く。
だが部屋に入ったとたん血で滑って転んだ拍子に天井のパイプを撃って再びパニックになり、泣きながら部屋を出るが(何しに来たん?)ドアに足を挟まれて自分で自分に追加ダメージ(この間ずっとギャーギャー泣き叫んでる)。
エイリアンからじゃなくて自分で自分自身にダメージを与え続ける彼女。
そんな彼女は走りながら着陸船の良くないところを撃ってしまい、みんなの大事な着陸船が大爆発。
「プロメテウス」のシャーリーズ・セロンの数倍の連続ドジを僅か5分間くらい繰り広げて一人で勝手に大事な船を爆破してしまうという‥よく、コヴェナント乗組員の資格が取れたなと思った。
Mr.ビーン的なピタゴラ連続ドジだった。ここはもう一度観たい気もする。

 

 

デヴィッドの孤城
ドジと言えば、他の乗組員たちもエイリアンの卵っぽいものとか平気で触っちゃう。
というかエイリアンシリーズのキャラはエイリアンの卵見つけても大抵ホイホイ近づいたりすぐ触ったりしてしまう。
というかそれ以前に未知の惑星に降り立つというのに全員、顔面むき出しだからすぐ感染してしまう。
乗組員たちは平原でサラダチキンを思わせるエイリアンに襲われて何人か殺され、あっという間に残り5人になってしまう。このくだり、序盤でキャラ紹介してないので知らない人たちが知らない間に次々と死んでいく様を無感情に観てました。
そこに謎の男が現れてエイリアンを追い払う。
それはロン毛にフード付きロングコートという厨二病っぽい格好のデヴィッドだった。
彼は前作「プロメテウス」の主人公エリザベスと共に、この白ハゲ達の住む惑星に来たがエリザベスは着陸の衝撃で死んでしまったと言う。そして白ハゲ達は黒い彫像のような姿になっていた。一体この惑星で何が起きたのか?
デヴィッドは前作ラストで首だけになってたがエリザベスが修理して元に戻った。
乗組員たちはコヴェナントと連絡が取れないので、仕方なくデヴィッドが住む遺跡で休憩する。
ここからデヴィッドがストーリーの中心になり、彼自身やこの惑星で何か起きたのか‥などの掘り下げが行われたり、先ほどのサラダチキンめいたエイリアンが出てきたり色々あるけどまあ公開されたばかりなので、この辺で詳細は書くの止めとこう。
ここまでで半分ちょいくらいかな。
惑星や回想にはギーガー的な要素が殆ど無くてガッカリしたが、デヴィッドが住む遺跡は古城に住むフランケンシュタイン博士的な怪奇映画みたいで良い雰囲気だった。
ギーガー要素がどんどん減っていってるのはCGで描くのが大変だからか、それともギーガー色を減らしたいのか、どっちかよくわからんが気に入らない。

 

終盤とざっくり感想
ウォルターvs.デヴィッドというマイケル・ファスベンダー対決があったのだが、デヴィッドがウォルターの首にある緊急停止するらしき箇所を刺したらウォルターが「漫☆画太郎の絵みたいな白目むいた壮絶な表情をして空中でアグラかいたポーズで固まってそのまま地面に落ちる」というハリウッドザコシショウの大仏オチみたいな訳の分からん機能停止してて笑った。新しいアンドロイドの面白やられが誕生した。
グダグダした序盤はイマイチだったが、エンジニア惑星に滞在している間‥中盤の展開は(女性乗組員ドジ爆発。デヴィッド孤城編)は文句なく面白かったので「何でこれで大コケして低評価なんだろう?」と不思議だった。
だがエンジニアの惑星から脱出しようとし始めるところからラストまでの終盤は、色々アクションが派手になっていくのだが、それと反比例するかのように全く心が動かない無風状態になっていく。
詳しく書かないが、本作は最初の目のアップで予感したようにアンドロイドに割く割合があまりに多すぎるのと、エイリアンのモンスターとしての魅力が落ちる要素が多すぎるんですよね。
終盤では強めのエイリアンが出てきて長尺バトルが2回くらいあるが、その頃にはもう「エイリアンとかどうでもいいですよ‥」という気分になってるしどうでもいい。
「人間の言うことを聞くだけだったアンドロイドが反乱する」って要素は一作目からあった要素だが、今回は「エンジニアが想像した人類が創造したアンドロイドが創造する」という要素とともに大きく取り扱われてる。
ブレードランナーレプリカント的なテーマも同時に扱って傑作にしたかったんだろうが正直すべった結果わけのわからん映画になった気がする。
この訳の分からなさを楽しもうと思えば楽しめなくもないが僕は乗れませんでした。
というのも、自分がエイリアンに求めてるのは「閉ざされた世界で一体の完全生物エイリアンと乗組員たちが闘う(おまけで狂ったアンドロイドもいるよ)」っていう感じのB級SF怪奇映画要素だけなので「エイリアンやエンジニアよりもアンドロイドの方が凄いぞ!彼らの主体性や創造とは何か皆で考えよう!」とか言われても、別に本作で「アンドロイドによる創造」とかについて全然考える気にならないし。
エイリアンを堪能する舞台装置の一つくらいにしか思ってなかったアンドロイドが主役になって、楽しみにしていたエイリアンが舞台装置にしか過ぎなくなるとは‥。
そんな感じでも中盤は楽しめたが、さすがに終盤ではエイリアンの真の恐ろしさが顕になって創造主に牙をむくとこが見れるのを期待してペットみたいなエイリアンも生暖かい目で見守っていたが、まさか最後までサイバイマン以下の扱いのまま映画が終わるとはね。。
本作が「コヴェナント」とか「プロメテウス2」とか「アンドロイド」とか「クリエイション」みたいなタイトルだったら、別にこの内容でも「プロメテウス」の時みたいに偏愛できた気がする。
それならエイリアンよりエンジニア主体の映画だった「プロメテウス」のように本作も同じように観れただろうしね。
だけど「エイリアン:」がタイトルに入ってるリドスコ映画なんだから、どうしても一作目の本家本元、強く醜く美しい完全生物エイリアンを期待してしまうだろう。
だからガッカリした。
別に懐古趣味というつもりもないのだが一作目好きからすると、前作と本作合わせると「エイリアンとエンジニア両方の魅力が大きく損なわれる映画」という印象になってしまい積極的に受け流したい気持ちになってきた。
本作はリドスコの狙い通り「アンドロイドの創造について考えたい人」「ファスベンダーにとにかく活躍して欲しい人」「カオス的展開を楽しみたいリドスコファン」しか楽しめない気がする。僕もリドスコ好きだったはずだが、どうやらリドスコよりもエイリアンさん本人の方が好きだったようだ。
というかアンドロイドによる生命創造のテーマ、リドスコは「ブレードランナー2049」も制作してるのだから、そっちでやってくれよ。こっちはエイリアンの映画だろ。
「僕の好きなエイリアンがイマイチだったから嫌だ」という子供っぽい意見を長文でごまかそうとしたが無理そうなのでそろそろ終わる。本作は好きになれんわ。
これ観るくらいなら「ライフ」の方がずっとエイリアンだよ。
エイリアン関連作の好きな順番は‥
【1>>>>>2>>4>>3>>プロメテウス>>コヴェナント>>>AvP2>AvP
こんな感じか。
はっきり言って一作目があれば他のは全部どうでもいい。
リドスコ関連、10月公開のヴィルヌーヴの「ブレードランナー2049」に期待しよう

 

そんな感じでした

「エクソダス:神と王(2014)」十の災いライド、そして哀れなアホのラムセス👨🏻 - gock221B
「オデッセイ (2015)」クセがないが万人が面白がれそうな映画。リドリー・スコット女性キャラの機能美的なエロさ🍠 - gock221B
 
『ハウス・オブ・グッチ』(2021)/俳優も事件も面白いのだが本編が「奇跡体験!アンビリバボー」の再現ドラマみたいに性急だったね👩🏻 - gock221B

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「ツイン・ピークス The Return (2017)」第8章/悪の誕生

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原題:Twin Peaks: A Limited Event Series (Part 8) 通算第38話
監督:デヴィッド・リンチ 
脚本:マーク・フロスト、デヴィッド・リンチ 制作国:アメリ
配信局:Showtime 放映時間:59分 シリーズ:「ツイン・ピークス」シリーズ

 

 

 

前回までの「ツインピークス」は‥
★ダギー(本物のクーパー)小人の殺し屋を追い払う。
★ブリッグス少佐の指紋を持っている死体が見つかり国防総省が調査を始める。

ツイン・ピークス保安官事務所のホーク「現在この世にいるクーパーは実はドッペルゲンガーなのでは?」という事に気づく。
★クーパーのドッペルゲンガーと面会したダイアンは、彼が本物のクーパーではないと断定。
★その夜、クーパーのドッペルゲンガーは刑務所を脱獄。

 

※ネタバレ全開です

 

 

どこかの空き地 / ワシントン州ツイン・ピークス🗻🗻
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★空き地
チンピラのレイに迎えに来てもらって脱獄したクーパーのドッペルゲンガー
ドッペルゲンガーは、仕事をしくじったレイを殺そうとするが、それを予見したレイの返り討ちにあって撃たれる。
すると今まで何度か出てきていた幽霊みたいな真っ黒い男達が森から出てきて撃たれたドッペルゲンガーの周りに集まって来る。
何となくドッペルゲンガーを治癒している感じで、ドッペルゲンガーの中にボブみたいなものも見える。
レイは恐怖で逃げ出し、電話でフィリップという男(フィリップ・ジェフリーズか?)に「奴は死んだと思うが奴の仲間が集ってきたから逃げた。あいつの中に何か居たが、それが今回の件の鍵だろう」と話す。
ワシントン州ツインピークス「ロードハウス」🎵
毎回行われてるリンチのお気に入りバンド紹介コーナー、今回は大物、ナイン・インチ・ネイルズがライブする。
www.youtube.comネイルズがフルで演奏し終える頃、撃たれて死んだドッペルゲンガーは蘇った。
ボブが取り憑いた人間は物理的に殺すことができない事がわかった。

 

 

1945年7月16日 ニューメキシコ州ホワイトサンズ 午前5時29分
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モノクロの画面。
人類初の核実験トリニティ実験が行われて巨大なキノコ雲が発生。
トリニティ実験 - Wikipedia
ゴードンの部屋に、わざとらしいほどデカいキノコ雲の写真が飾ってあったのは偶然ではないだろう。
カメラはキノコ雲にロングショットで近づいていき爆発の中に入る。
この一連の映像は凄くカッコいい。
その後どこかの小屋の周りを、さっきドッペルゲンガーを組成させていた悪の真っ黒い男達が早送りで歩き回ってるリンチのアートアニメみたいな映像になる(黒い男達はこの瞬間に生まれたか、または別世界から現世に来た‥そんなニュアンスの映像)
そんなくだりが延々と10分くらい続いた後、
宙に浮かんだ第1話でカップルを噛み殺したバケモノが口から煙や球を吐き出す
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ちなみにこのバケモノのクレジットを見ると「Experiment」と書かれてるので今後は「エクスペリメント」と記述する。
一つ一つの描写が異常に丁寧でじっくり進む本シリーズだが、この第8話は輪をかけてじっくりじっくり描かれる(台詞や説明もほぼ無い)。
だから文章で書くと短いが、この時点でもう全体の半分以上は経過している。

 

 

どこかの孤島にある屋敷
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カメラは海を越えて、どこかの孤島にある屋敷の中に入る。
そこにはふくよかな婦人と、例の巨人がいた。
※追記:婦人はクレジットでは「Senorita Dido」とある。ディドーさんと読むのかな
この屋敷の描写はドイツ表現主義っぽい映像で非常にかっこいい。
部屋の中では、釣鐘型の機械が鳴っている。
よくわからないが、状況から考えると悪の誕生を知らせる警報に思える。
階上に上がった巨人は、核実験のキノコ雲、黒い男達の誕生、エクスペリメントが煙や球を吐き出す映像などのさっき起こった現象を観る。
球にクローズアップすると球にはキラー・ボブの顔が浮かんでいる。
エクスペリメントが、ボブや黒い男など、この世の悪を産んだということか?
それにしてもボブ役の俳優は、ただ顔が凄く怖い道具係の兄ちゃんってだけで何十年もツインピークス世界のダース・ベイダーみたいな存在になってて、しかも俳優さん本人は死んでるのにボブは暗躍し続けてて何だかすげーな。
これらの映像は神の視点でしか見れない光景なので、巨人たちは普通の人間ではないのだろう。
それらを視認した巨人は、その場でフワ~と浮かぶ。
宙に浮いた巨人の頭から金色の球が出てくる(過去の映像はずっとモノクロだが金色の部分にだけは着色されている)
ふくよかな婦人が金の球を手に取ると、球にローラ・パーマーの顔が映る。
そのローラ・パーマー球が頭上の金管楽器めいた機械に吸い込まれる。
そして先ほどまでキノコ雲等の現象が映し出されていた画面に地球が映り、北米大陸あたりにローラ球を射出した婦人は安堵した表情を浮かべる。。
第1章の冒頭でクーパーと巨人が居たモノクロの部屋、そして第3章でクーパーが裕木奈江に会った海の側の建物はこの屋敷に少し似ている。ローラ玉を射出した装置の雰囲気はNYのガラス箱の部屋に通じる謎の機械に似ていたし、この部屋はそれらに繋がっているのだろうか。
普通の人間ではない事だけはわかる巨人と婦人が何者なのかもわからないが、悪の存在に対抗する人知を超えた善なる存在らしい事だけはわかった。
※追記:巨人の役名見ると「???」となってたので、旧シリーズの巨人と本シリーズの巨人は別の存在なのかもしれない。でも他に呼びようがないので名前がわかるまでは引き続き「巨人」と記述する

 


1956年8月5日ニューメキシコ砂漠
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恐らく核実験やエクスペリメント出現があったホワイトサンズの近くの砂漠だろう。近くに町がある。
11年前、エクスペリメントが吐き出した卵の一つが割れ、ゴキと蛙が合体したかのような不気味な虫が生まれて這い出す。
砂漠の近くにあるのは、幸せそうなカップルや町民たちが住む平和な町。
町には真っ黒い男達が現れて町の人を殺し始める。
今までに何度か出てきた例のカッコいい真っ黒い男も登場する。
黒い男のクレジットは「Woodsman (森の男)」と書かれてるので今後は「ウッズマン」と記述する。
ウッズマンは町のラジオ局に侵入して中の人達をアイアンクローで惨殺。
そして町に生放送しているマイクに向かって
これが水だ。そしてこれが井戸。全て飲み干し降りていけ。この馬は白目で中は闇
と何度も何度も繰り返し言う。その放送を聴いた町民は倒れる。
デートを終えた少女も放送を聴きながら眠る。
その眠る少女の口に、さっき砂漠で産まれた虫が入っていく。。
つづく

 

▲▲
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というのがこの第8話。
殆どセリフ無しで全編、リンチのアート作品っぽいノリで超常現象が延々と起きている様が描かれる。
ここまで観てたファンの一部が脱落したっていう噂の回は今回かな?
説明はないが映像やここまでの情報だけで判断するなら、
▼1945年、メキシコでのトリニティ実験の核爆発で別世界への扉が開き、エクスペリメントがキラーボブの卵を産み、ウッズマン達もこの世に来た。
 ↓
▼謎の機械でそれを察知した孤島の巨人と婦人。巨人がローラ・パーマーの元になる卵を産み、ぽっちゃりした婦人がそれを北米大陸に撒いた。
 ↓
▼1956年、11年前にエクスペリメントが吐き出した卵の一つから虫が産まれて少女の中に入る。同時にウッズマン達も活動し始める。
◆ボブや悪の誕生を見た善なる巨人&婦人が、将来ローラが産まれる種を蒔いてたので、ローラは本来ボブに対抗する善なる存在だった‥って事なのか?しかしローラはちょっと霊感があるくらいでそんな選ばれし者には全く見えなかったが‥。ローラはボブにあっさり殺されてしまったので対抗する者はクーパーしかおらず、死んだローラやブラックロッジチームはクーパーを何とかまともな状態で蘇らせ、クーパーのドッペルゲンガーごと、その内部に潜むボブをも消し去り、この世に安定をもたらそうとしている‥
ちょっと単純に考えすぎかもしれないが推測するならそんな感じか?
今のところ、そうだと断定するとすると本シーズンの目的が見えてきた。
白痴になっているクーパーが正気に戻って、ドッペルゲンガーとボブをブラックロッジに送り還すことが出来ればハッピーエンドなのかな。目的が見えてきた。
◆本シリーズ、ネタバレを避けようと他人の記事やブログは一切見ないようにしてたんだけど今回の話は「ボブや悪がどうやって産まれたかが具体的に描かれる」って事だけ、うっかりネタバレ聞いてしまってて「え~そんなの本作のミステリアスさが減るから観たくないよ~」と思ってて実際この8章観ちゃったら嫌になっちゃうんじゃないかと心配してたが、観ると想像してたよりも具体的ではなくリンチのアートアニメっぽい感じで殆どサイレントで描かれており、抽象表現と具体的表現のバランスも良い感じだったのでギリでアリかなと思えた。
観る前に危惧してた「観たら嫌いになって脱落するかな?」という事はなかった。
その代わり「悪くはなかったが、だからといって今回の内容は1話丸々観せなくても誰か(巨人とかマイクとか)の口からサラッと聞かされるだけで充分だったんじゃないか」とも思った。だからまあプラマイゼロかな。
新しいシーズンとか作られて続いていくんならいいけど残り10話しかないしね。
だけど、オリジナリティもあって本気でこれをやってるリンチがやるからプラマイゼロで済んだのであって、他の人がこの内容真似したらとんでもない駄作になってただろうなとも後で思った。
何度か書いたが通常描写に比べて超常現象の描写が多すぎる気もする。
ツイン・ピークス」は、サスペンス+ミステリー+くだらないソープドラマその合間に反則のようにオカルトが挟み込まれるような塩梅が魅力だった気もするし、残り半分はもうちょい人間描写多めで終わればいいな。

 

そんな感じでした

ツイン・ピークス The Return (2017)」全18話
#1
 #2 #3 #4 #5 #6 #7 #9 #10 #11 #12 #13 #14 #15 #16 #17 #18(終)

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www.imdb.com

TWIN PEAKS: MUSIC FROM THE LIMITED EVENT SERIES (2017 SOUNDTRACK) [CD]

TWIN PEAKS: MUSIC FROM THE LIMITED EVENT SERIES (2017 SOUNDTRACK) [CD]

 
TWIN PEAKS: LIMITED EVENT SERIES (2017 SOUNDTRACK/SCORE) [2CD]

TWIN PEAKS: LIMITED EVENT SERIES (2017 SOUNDTRACK/SCORE) [2CD]

 

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「ツイン・ピークス The Return (2017)」第7章/色んな伏線が少し回収されて今までのフラストレーションが若干解消された

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原題:Twin Peaks: A Limited Event Series (Part 7) 通算第37話
監督:デヴィッド・リンチ 
脚本:マーク・フロスト、デヴィッド・リンチ 制作国:アメリ
配信局:Showtime 放映時間:59分 シリーズ:「ツイン・ピークス」シリーズ

 

 

 

前回までの「ツインピークス」は‥
★ダギー(クーパー)の借金は妻ジェイニーRが返済。ダギーを狙う小人の殺し屋が来るぞ

アルバート、クーパー(ドッペルゲンガー)に面会させるためクーパーの元秘書ダイアンに会いに行く
★チンピラのホーン、違法薬物の密輸に関与。更に少年を轢き殺してしまう
駐車場管理人カール・ロッドはその現場で少年の魂が抜ける様を目撃する
★ホーク、第一話で丸太おばさんから貰ったヒントから紙片を発見する

 

※ネタバレ全開です

 

ワシントン州ツイン・ピークス🗻🗻
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森🌳
ジェリー・ホーン、森でハイになって車をなくして大泣き。
別の場所、アンディ・ブレンン保安官補が何かを調べている。
ツインピークス保安官事務所👮
ホーク保安官補長フランク・トルーマン保安官ロバート・フォスター)、丸太おばさんのヒントを元に保安官事務所のトイレのドアから見つけた紙片3枚を確認。
昨日の夜見た夢にそれは出てきた。私の名前はアニー。デイル(・クーパー)とローラと一緒にいるの。良いデイルはロッジに居てそこから出られない。あなたの日記にそう書いておいて
これは1992年の劇場版で、時を遡って会ったことのないローラの夢に現れたTVシリーズ最終回直後のアニー・ブラックバーンヘザー・グラハム)が言った台詞。
この紙片はローラの日記だった。
新シリーズで初めて具体的なものが見つかって興奮した。
前シリーズで見つかったローラの日記には破られている4ページがあり、そのうちの3枚が25年経って今見つかった。あと1ページは未だ不明。
そしてクーパーに関するものでもだったので、丸太おばさんのヒント「クーパーに関するもの」「ホークの先祖に関するもの」というヒントは2つ同時にクリアしたって事?
別のページに「午前1時30分、私は今まともに息ができないくらい泣いている。あれはボブじゃないって事がはっきりとわかったから‥」との記述もあった。
ホークは「これを読んで正体がバレたと悟ったリーランド・パーマーが、ジャック・ルノー殺しの件でここに呼ばれた時、とっさにトイレのドアに隠したのではないだろうか」と推測する。
ホーク「『良いクーパーは(ブラック・)ロッジから出られない』という事は、あの日(前シリーズ最終回)、アニーと一緒にロッジから出て行方不明になったクーパーは良いクーパーではない?」と真実に到達。
視聴者には自明の理ではあるが、この世界に自分がいたと想像したら途方もない話だ。
「狂人だと皆に思われてるおばさんの曖昧なヒントを元にトイレのドアから25年前に死んだ少女の日記を発見して、そこに書かれた、少女が会ったことのない女性が夢に出てきて言った言葉を書いた少女の日記」を見て真実を推測してるんだ無茶苦茶だ。
流れる雲とかを見て宇宙の仕組みを悟るようなもんじゃないか?
ホーク、有能すぎてヤバイ。今のところFBIより先んじてる。
フランクは、弟のハリーに電話。
ハリー役の俳優は新シリーズに出ないので「ハリーは病気で寝こんでるから保安官に復帰したフランクが電話で話す受話器の向こう側にいる」という設定で、ちょくちょくフランクと会話するシーンがある。
フランクはハリーに「絶対に負けるな」と言う。
リアルの事情は知らないが、ハリー役の俳優に向けた励ましなんだろうか。

更にフランクは、25年前にブラック・ロッジから出てきた悪いクーパー(現ミスターC)を検査したウィル・ヘイワード博士スカイプ電話する。
ヘイワード博士は、ヒロインの一人だったドナの父親で保安官事務所で検視官をしていた数少ないまともなキャラクターだった。
まるでツインピークスに出るのを待ってたのかのように本シリーズ撮影直後に亡くなった俳優が異常に多い本作だが、このヘイワード博士役の俳優さんも今年の2月に亡くなっている。そして今知ったがこの俳優さんはマーク・フロストの実父らしい。
フランクが博士にスカイプしたのは、ブラックロッジからクーパー(ドッペルゲンガー)とアニーが出てきた日のクーパーの様子を訊くためだった。
ヘイワード博士が言うには「あの日の後、検査を終えたクーパーはICU(集中治療室)から出てきて立ち去ったクーパーがICUに立ち寄った理由は昏睡状態にあったオードリー・ホーンの様子を見てたのではないか」と推測するヘイワード博士。
オードリーは確か最終回、銀行の爆発に巻き込まれた‥んだっけ?。
何か終盤は無茶苦茶な展開が多くてクーパー以外のことは記憶が薄い。
※追記:他の人が「ドッペルゲンガーICUで昏睡中のオードリーをレイプして、産まれたのがチンピラのホーンでは?」という書き込みを見て、うわぁそれっぽいな。それだったら嫌だな~と思った。

 

 

サウス・ダコタ州バックホー
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バックホーン警察👮
ルース・ダヴェンポート
の死体と共に見つかった中年男性の首なし死体の指紋がブリッグス少佐の指紋と一致したため、バージニア州アーリントン国防総省からノックス大尉が来た。
応対するマックレー警部コンスタンス検視官
ノックス少佐は、ブリッグス少佐の指紋を持つ死体に頭部がない事(WOWOWは切断面だけモンクロにしている。馬鹿馬鹿しい)。ブリッグス少佐が生きてたら70代になってるはずなのに死体の年齢は40代後半である事‥などに混乱する。
上司に電話でそれを報告しているノックス少佐。その遥か向こうの通路から黒い人影がずっと近づいてきている。
第2章で一瞬出てきたあのカッコいい全身が黒い男だ。
黒い男だった、その男は全てが黒かった、靴も服も髪も顔も全てが黒かった。
この件はバックホーン警察の担当ではなくなると告げるノックス少佐。
ノックス少佐やバックホーン警察の人達に、黒い男がちゃんと見えてるのかどうかはわからない。見えてないように見える。
今回、面白いな。

 


FBI関連
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★FBIフィラデルフィア本部🏢
アルバート・ローゼンフィールド捜査官
ミゲル・フェラー)、会いに行った元クーパーの秘書ダイアンローラ・ダーン)にクーパーの件だと告げると追い返されたとゴードン・コール副所長デヴィッド・リンチ)に報告。
今度はゴードンとアルバート揃ってダイアンの家まで行って再び頼みに行く。
ダイアンは「FUCK」連発する猛女だったが2人の三顧の礼によって説得に成功。
★スー・シティ・ヤンクトン連邦刑務所に向かう飛行機🛫
タミー・プレストン特別捜査官
(クリスタ・ベル)が前々回見つけたクーパー(ドッペルゲンガー)の指紋の違和感は、左右の指が逆になっていることだった。
指紋の資料を誰かが左右逆に細工していたらしい。
タミーのスピチュアルな指を祝福するゴードン。
全然関係ないけど、FBIは年寄りの旧キャラが多すぎるせいか、アラフォーのタミー捜査官が、まるで可愛い女の子みたいに見えてくる。
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★スー・シティ・ヤンクトン連邦刑務所👮
クーパーのドッペルゲンガーカイル・マクラクラン
と二人きりで面会するダイアン。
最後に会った時の事を覚えてる?」と訪ねるとミスターCは「君の部屋だったな」と答える。ダイアンは狼狽える。
ダイアンはクーパー(ドッペルゲンガー)に魂がないことを確信して「貴方は一体誰なの!?」と言って号泣。精神に限界が来て面会を終える。
ダイアンはゴードンに「さっきの面会については後で話す」と語る。
スー・シティ・ヤンクトン連邦刑務所:所長室👮
ドッペルゲンガー、監視カメラを切った状態で刑務所長と二人だけで面会する。
身柄を拘束された時にドッペルゲンガーが所持していた犬の足の話をする。
残りの3本はあんたが今考えてる情報と一緒に消えた。俺に何かあればあんたが今ここに来てほしくない2人がここにやって来る」と告げる。
更にCは「ジョー・マクラスキー。死んだストロベリー」と、人名を挙げる。
何やら所長の弱みを握ってるらしいドッペルゲンガーは今夜、脱獄させるよう要求。
恐らくダイアンに本物のクーパーではないことがバレて、今後FBIによって尋問されたりブラックロッジに帰されたりする事を恐れたので急遽、脱獄することにしたのだろう。

 


ネバダ州ラスベガス
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★保険会社「ラッキーセブン」🏢
会社にいるダギー・ジョーンズと入れ替わった本物のデイル・クーパーカイル・マクラクラン)。
全く似合わない原色スーツをやめてFBIスーツを着てると少しほっとするものがある。
ダギーの妻ジェイニーE・ジョーンズナオミ・ワッツ)と、刑事達が訪ねてくる。
ジェイニーEは単純にダギー(クーパー)が現在アホになってるから迎えに来た感じで、刑事たちはダギーの車が爆発した件で尋ねに来た。
ダギーは何もわからないのでジェイニーEが適当に答えて「車は紛失した」ということで丸く収まった。
2人が会社を出ると前回、女ボスを殺した野獣の獰猛さを持った小人症ちびっこ暗殺者がダギー(クーパー)を殺しに来たが、クーパーのFBIの血が目覚めてちびっこギャングに素早くチョップを叩き込み銃を弾き落とす。
戦闘中、ブラックロッジから一瞬「腕」が来て「手を引きちぎれ!」と応援してくれる。
小人の暗殺者には逃げられたが事情聴取で夫を称えるジェイニーE。
ジェイニーEは、ダギーはまともに喋れないので常に彼と腕を組んだ状態で延々とマシンガントークしててめちゃくちゃ可愛い。
殺された女ボスが連絡したブエノスアイレスにいるらしい普通ではない何かと小人は野放しなので、まだ安心できない。

 


ワシントン州ツイン・ピークス🗻🗻 / スー・シティ・ヤンクトン連邦刑務所
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ツイン・ピークス:「グレート・ノーザン・ホテル」🏨
ベンの秘書ビヴァリーアシュレイ・ジャッド)が「ホテルの何処かから不思議な音が聴こえます」とベン・ホーンに語る。
確かにファーン‥という不思議な高い音が鳴っている。正確な場所はわからない。
そしてビヴァリーはホテルに届いたという鍵をベンに渡す。
これは数話前、ブラックロッジから現世に帰還したクーパーが持っていたが落とした当ホテルの鍵をダギーの浮気相手ジェイドが拾って、住所が書いてたからそのままポストに入れたもの。
ベン「懐かしい、20年前カードキーにする前の鍵だ。315号室‥クーパー捜査官が撃たれた部屋だ」
何も知らないビヴァリーにクーパーやローラのことを軽く語るベン。
二人の間にいい雰囲気が流れる。今回のベンは最後まで善人でいて欲しい。
ツイン・ピークス:ビヴァリーの家🏠
帰宅したビヴァリーの家には、病気で体が不自由で苛ついている男トムがいた。
ビヴァリーの夫か?とにかく新キャラ。
ツイン・ピークス:「ロードハウス」🎵
客が帰った後のロードハウス。
とんでもない長尺‥3分間近くもの間、店員が永遠に履き掃除してる映像が流れた後(なにこれ?!)、太ったマスターが電話に出る。
というかこいつジャック・ルノーだっけ?こいつ生きてたっけ?
※と思ったが後から調べるとこいつはジャン・ミシェル・ルノーだとわかった。ジャック・ルノーと同じ俳優が演じている。弟とかなんだろうきっと。
相変わらず女子高生を娼婦として派遣しているらしい。早く捕まれ。
スー・シティ・ヤンクトン連邦刑務所👮
そしてドッペルゲンガーが第1章で連れ出したチンピラのレイが迎えに来て、予告通り刑務所の裏口から堂々と脱獄して終わる。
ツイン・ピークス:「RRダイナー」☕
今回は今までのようにロードハウスではなくRRダイナーの映像で終わる

 

 

▲▲
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今回は、今までの緩慢な展開の中でやたらとバラ撒かれた色んな伏線が回収されたり、コトが具体的に動いたりして今までの回で一番面白かった。
新要素や謎が多かった新シリーズの今までのエピソードの中で一番、多くの人が思い浮かべるツイン・ピークスらしい回だったと言える。
そしてこの7話で やっとはまった感じになった。
多分色んな拡散されていくだけだった要素が少し収束したからだろう。
それにしても明かされてない謎が異常に多い上に毎回謎が出て来るし、未だに出てない旧キャラも多く出ても一瞬しか出てない奴も多かったりして、それでいて新キャラも毎回出て来るし、その上で展開がめちゃくちゃゆっくりだし(たとえばFBIがミスターCに面会するだけのくだりで4話くらい費やされた)。
これは本当に残り11話で全部収まるのか不安になってきた。
面白くなってきたのでクーパーが元に戻った状態で新しいシーズン4に突入しても構わないが‥

そんな感じでした

ツイン・ピークス The Return (2017)」全18話
#1
 #2 #3 #4 #5 #6 #8 #9 #10 #11 #12 #13 #14 #15 #16 #17 #18(終)

gock221b.hatenablog.com

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www.imdb.com

TWIN PEAKS: MUSIC FROM THE LIMITED EVENT SERIES (2017 SOUNDTRACK) [CD]

TWIN PEAKS: MUSIC FROM THE LIMITED EVENT SERIES (2017 SOUNDTRACK) [CD]

 
TWIN PEAKS: LIMITED EVENT SERIES (2017 SOUNDTRACK/SCORE) [2CD]

TWIN PEAKS: LIMITED EVENT SERIES (2017 SOUNDTRACK/SCORE) [2CD]

 

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「エル ELLE (2016)」”ミシェルという女がいて色んな変わった事が起きるがそれは彼女個人のものだ”というミシェル肯定映画👱‍♀️

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原題:Elle 監督:ポール・ヴァーホーヴェン
原作:フィリップ・ディジャン「エル ELLE」 制作国:フランス 上映時間:131分

 

「ブラック・ブック」「ショーガール」「氷の微笑」「トータル・リコール」「スターシップ・トゥルーパーズ」「ロボコップ」「インビジブル」‥などでお馴染みのポール・ヴァーホーヴェン監督最新作。
‥とタイトル列挙してヴァーホーヴェンの話ししたところで映画ファンなら「ヴァホならもう何度も観たよ‥」というものばかりだし、全然知らない人に説明しだしたら長くなるのでヴァーホーベンについて書くのはやめることにした。
とにかく誰が観ても面白い映画を作る監督なのは間違いない。
原作は、90年代に「素敵な映画!」という評判であちこちのミニシアターで愛されてたが今となっては「狂った女が出て来る映画」としてしか語られない「ベティ・ブルー」の原作者による小説。
「ELLE」とはフランス語で「彼女」という意味で、主人公の名前じゃない。

 

Story
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ゲーム会社の敏腕女社長ミシェルイザベル・ユペール)。
彼女はある日、ひとり暮らしをしている自宅で覆面をした男に襲われる

その後、届いた嫌がらせメールの内容などから、レイプ犯は顔見知りだと確信するミシェル。
幼い時のトラウマから警察に頼る気のない彼女は自ら犯人探しを始めるが
――

 

 

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映画が始まると、主人公ミシェルが目出し帽を被った男にレイプされた直後だった。
男が立ち去るとミシェルは掃除し、息子が訪ねてきて普通にスシを食べる。
どうやらかなり気丈な女性のようだ。
ミシェルは非常に美人だが、60歳代という初老といってもいい女性。
作家の夫とは離婚したが友人関係にあり、間に生まれた息子はもう20歳すぎ。
今はパリの豪邸に猫と暮らしている。
おばさんを越えておばあさん直前の女性が主人公のセクシャリティに関する映画って珍しい。それともフランスは進んでそうだから多いのかもしれない。初老に入ったミシェルの更に母親もセックスしまくってるので「人間まだまだセックスしてもいいんだな」と変に安心させられた。
ミシェルは、ゲーム会社のCEO。
開発中のゲームが画面に映るが、ゲームの主人公らしきゴブリンが女を背後からレイプしながら触手を生やして女の脳に突っ込んでブレインファックもするというものだった。「なんだこれ、エロゲームか?」と思ってると終盤でPS4のゲームだとわかる。しかもこの会社はゲームショーにも出品しており結構でかい会社で「こんなゲームが発売されるわけ無いだろ!」と思った(まぁ、本作の中の世界のプレステではOKなんだろと了解した)
完成した後のゲームは「Styx」シリーズによく似たアクションゲームっぽかった。
その後、レイプ犯から嫌がらせメールが来たり、留守中に侵入してた形跡があったり、ゲーム内のレイプされる女キャラの顔にミシェルの画像を貼り付けた動画が会社内で出回ったりと、嫌がらせが相次ぐ。
ミシェルは防犯で鍵を付け替えハンマーと唐辛子スプレーを購入し射撃の練習をする。
彼女は「自分を知っている男がレイプ犯ではないか?」と考える。

▲ミシェルの元夫:ミシェルに未練がありミシェルより気が弱い売れない作家。
▲ミシェルの息子:精神的に幼い青年。キレやすい彼女が妊娠中
▲ミシェルの母の恋人:カネ目当てで年老いたエルの母とSEXして婚約した男
▲同僚兼親友の夫:ミシェルと肉体だけの不倫関係にある
▲銀行員の隣人:向かいに住む親切なイケメン妻帯者
▲ゲームデザイナー1:ミシェルと意見がよく衝突するイケメン青年
▲ゲームデザイナー2:ミシェルに憧れているモテなさそうなヲタ青年

誰もが怪しく見える。まぁ、こういう場合、動機がなさそうな良さそうな人物が犯人なわけだが‥。しかしこの映画は犯人探しがメインではなくミシェルの話だ。
ミシェルの友人たちは、レイプされたのに自衛&犯人探しをするミシェルに対して
「警察に行った方が‥」と、しごく真っ当なことを言うがミシェルは行かない。
ミシェルがカフェに居ると、知らないオバハンにコーヒーをぶっかけられる。
ミシェルは驚きつつも「あらあら‥」焦ったり怒ったりしない。
「一体なんなんだ?」と不思議に思ってると、
実はミシェルの父親は、ミシェルが少女の時に大量連続殺人を行った死刑囚だった。
少女時代のミシェルの顔写真はネットで簡単に見れるので、ミシェルを嫌う人もいるという事だ。
日本でも連続殺人犯の家族を検索してみるといい、人生を破壊されて自殺したりよくしてるから‥。
何重も重なったレイヤー状になった設定が良い意味で渋滞している。

 

 

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ヴァーホーヴェンの映画観たの久々だけど凄くヴァーホーヴェンっぽい映画だった。
主人公のミシェルも非常にヴァーホーヴェンっぽいキャラクターだが、まるで風刺絵のように一目で色んな事を「わからす」シーンが多いのが凄くヴァーホーヴェンっぽいと思った。
たとえばミシェルの息子は、気が強すぎて殆ど狂人の域に達している女と付き合っている。彼女は2人で住む部屋の内見に来たミシェルの前で息子とキスしながら同性としてのライバル心からかギロッとミシェルを睨む。漫画みたいな奴だ。
関係ないがこの恋人「スターシップ・トルーパーズ」の巨乳女優とか「氷の微笑」でマイケル・ダグラスがセックスしまくってた女優に顔が似ている。カエルっぽい顔というか。。きっと監督が好きなアホっぽい女性の顔なんだろう。で、本当に好きなのはこのミシェルとかシャロン・ストーンとかの強そうな方なんだろう。‥いや人間そう単純ではない、その双方とも好きなタイプなのだろう。
そしてこのミシェル息子の彼女は妊娠しており、ミシェル息子の子を産む。
しかし赤ん坊の肌はどう見ても黒い。ミシェル息子も彼女も真っ白い白人だ。
その事を特に疑問にも思わず「無事産まれてよかった~」って感じで安堵するミシェル息子。そしてその隣には2人の親友だという黒人青年が‥。
という、このシーン面白すぎるだろ。本当に古き良き漫画って感じ。
それを唖然とした顔で見ているミシェル含めて全員同じ画角に入ってるのも可笑しい。
ミシェルは親切な隣人と仲を深めたり、親友の夫と不倫セックスを続けてたり、会社でコラ映像を広めた犯人も判明したり、母親が突然死んだり色々しながら、中盤くらいでもう犯人が判明する。
まあ、一番犯人っぽい奴が犯人なのだが、そこが本題ではないので映画はまだ続く

 

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冒頭でのレイプされたが普通に食事していた時のように、犯人が判明してもミシェルは警察には届け出ず、あいかわらず恋愛や性愛やゲーム制作などの今まで通りの、彼女の生活を続ける。
冒頭からラストまで色々と衝撃的な展開が続く本作だが、僕はむしろこういった衝撃的な出来事と衝撃的な出来事の間で、ミシェルが自分らしさを保って自分の生活を続けていること自体が本作のキモな気がした。
この映画は「ここにミシェルという女がいる。少し変わったこんな事件やあんな出来事があった。だがそれはミシェル個人の問題だし、それらの問題は彼女のものだ」と言っているように思えた。
そしてミシェルは犯人を知った後、明らかにレイプ犯を受け入れている時間がある。
そしてやっぱりレイプ犯を見棄てる時も来る。
こんな展開を見て「この監督はレイプを肯定している!?」とか言いだす人もいたらしい(昔はそういうアホは居ないと思ってたがSNSの誕生によって実は本当にたくさん居ることがわかった)
それもまあ「ミシェルがそうしたかったからそうしていたが、ミシェルが止めたくなったから止めた」としか言いようがない。
つまり本作は一言で言うとミシェル肯定映画だと思った。別に女性肯定映画というわけではないと思う。ただ強くて自分の論理で自分の人生を楽しむミシェルを見せる映画とでもいうか。
ここまで変わった出来事が重なることはそうそうないが、一つ一つの変わった出来事は十分有り得ることで、前評判ほどあり得ない物語ではないと思った。
ラストも非常に素晴らしいもので、観終わった後に爽やかな気分になった。
それにしてもミシェルがカフェで見知らぬおばさんに残飯ぶっかけられた後のシーンとか、めちゃくちゃカッコよかった。見習っていきたいものです


そんな感じでした

👱‍♀️👱‍♀️👱‍♀️👱‍♀️👱‍♀️👱‍♀️👱‍♀️👱‍♀️👱‍♀️👱‍♀️👱‍♀️👱‍♀️👱‍♀️👱‍♀️👱‍♀️👱‍♀️👱‍♀️👱‍♀️👱‍♀️👱‍♀️👱‍♀️👱‍♀️👱‍♀️👱‍♀️👱‍♀️

gaga.ne.jp

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エル ELLE (ハヤカワ文庫NV)

エル ELLE (ハヤカワ文庫NV)

 

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「新感染 ファイナル・エクスプレス (2016)」面白かったけどゴアシーン皆無かつ腹立つ奴が苦痛無しで死ぬのがストレス溜まった🚃

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原題:부산행 監督:ヨン・サンホ 製作国:韓国 上映時間:118分

 

物凄く大ヒットして世界中での公開やハリウッドリメイクが決まり、色んな映画祭の賞を撮ったし国際的高評価も獲得した、釜山に向かう高速鉄道を舞台としたゾンビ映画
原題を訳すと「釜山(プサン)行き」。
同じ監督による「ソウル・ステーション/パンデミック(2016) 」という本作の前日譚を描いたアニメ映画も作られ、こっちも日本公開される模様。
予告編を観るかぎりアニメ版は街の話っぽい、韓国のアニメなんて初めて知ったが面白そうだ。
この監督は元々アニメの人なのかデビュー作もアニメで、長編映画監督作2本目の本作だけが実写映画(3本目の監督作が上記のアニメ版新感染)。
中盤の終わりくらいまでネタバレしてます

 

 

Story
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韓国各地で謎のパンデミックが発生し凶暴化した感染者が次々と増殖蔓延していた。
そんな大惨事がすぐそこまで迫っているとは知らない、やり手ファンドマネージャーソグ娘のスアンを別居中の妻に会わせるため、ソウル発プサン行きKTXに乗り込む。
同じ列車には、身重の女性とその巨漢の夫高校球児とそのガールフレンドといった人々が乗り合わせていた。
そんな乗客たちの中に、感染者の女が紛れ込んでいた。
出発して間もなく、密室と化した列車内にて凄まじい勢いで感染者が増殖してパニックに。
感染者の襲撃から愛する娘を守るべく、他の乗客達と共に必死の抵抗を続けるソグだったが――

 

 

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主人公は、ファンドマネージャーの仕事が忙しすぎて妻と別居中の男ソグ。
そして父が仕事ばかりしてコミュニケーション不足なせいで母のいる釜山に行きたがってる優しい娘ユアン
ユアンは父との暮らしに不安を感じているせいか学校の音楽の時間でも最後まで歌う事ができなかった
ユアンが母に会いに行くために父娘で乗った「釜山行き」高速鉄道KTX101でゾンビ事件が起こる。
父娘以外に乗っている他のメインキャラは、
ガチムチの屈強なオッサン。その妊娠中の美人妻。
高校の野球部キャプテン。その恋人の味わい深い顔の美脚チアガール。
自分勝手な高速バス会社のオッサン。パーマかけたオバチャン姉妹。
ホームレスの男。鉄道の運転手。主体性のない乗務員。美人CA‥など。
鉄道が出発する時、街では既にパンデミックが起きておりホームにまでゾンビが来てたのだが乗客たちは気づいていない。
そしてゾンビになる寸前の少女が高速鉄道に飛び乗り、鉄道と映画が出発する。
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ゾンビになった少女に噛みつかれた美人CAは絶命して即ゾンビ化する。
美人CAのゾンビ演技はカッコよかった。少女は死霊のはらわた風ゾンビ演技。
狭い鉄道内なので乗客は連鎖反応であっという間に半数くらいがゾンビ化する。
メインの登場人物たちもそれに気付いて驚いて逃げる。
しかし本作のゾンビはかなり弱かった。
本作のゾンビは走るゾンビなのだが、狭い車内なので「走るゾンビ」のアドバンテージは意味をなしていない。
しかも、本作のゾンビはめちゃくちゃ頭が悪い。犬や猫以下。
本作のゾンビはドアを開けることができず、視認できなければ自分たちが今の今まで人間を追っかけてたことも忘れてしまうので、車両間の引き戸を締めて窓に新聞紙を貼ればそれだけで安全になる。鍵を締める必要すらない。
拳を握ったり肘打ちする知力すらないのでガラスすら破れないのだ。
徒手空拳なら人間の方が強い。勿論、大勢で囲めばゾンビが強いが、映画本編の殆どは直進or後退しかできない鉄道内なので本作のゾンビは分が悪い。
人間より強いところは、噛み付けば一発でゾンビの勝ちが確定するところ。そして痛みを感じないので視認されたら視界を塞がない限り追われ続けるし、ドアを塞がれたらガラスすら破れないが何十人も溜まれば質量でドアが破壊されてしまう。そして数少ない広い場所でのシーンでは、まるでアメーバのような「群体でひとつの生き物」って感じの脅威を見せる。狭い場所より屋外の方が数倍強い。
だがロメロのゆっくりゾンビの方が強いだろう(ロメロゾンビはメインキャラの死角にワープするメタ能力を持っている)
しかしゾンビ映画ではゾンビの強さは面白さに直結しないので問題ない。
ゾンビ映画とはゾンビを観せる映画ではなく、ゾンビがいる世界の人間模様を観せる映画なのでゾンビはむしろ弱い方が面白い。もしゾンビが強すぎれば、ゾンビに対抗することが映画のメインになってしまう(それはゾンビ映画じゃなくモンスター映画)
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途中の駅で降りるが、そこも既に鎮圧に失敗した韓国軍がゾンビの大群になっていた。
生き残った乗客の殆ども「噛まれる・死ぬ・生き返る」でゾンビ化する。
メインキャラ達はふた手に別れて逃げながら、さっきまで乗ってたKTX101に戻る。
韓国軍がゾンビ鎮圧に成功した釜山まで行かないと安全な駅はない事がわかり、生き残った僅かな乗客と元乗客のゾンビたちを乗せたKTX101は再び釜山までノンストップで進行する。

 


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主人公ソグ、屈強なオッサン、野球部キャプテンなどの9号車に固まってる男キャラ達は、4車両離れたトイレに隠れているソグの娘ユアン、オッサンの身重の妻を救い出し、そこから更に野球部キャプテンの彼女(チアガール)が避難している2車両先へと避難する計画を立てた。
‥今の俺がした状況説明、飛ばし読みしただろ?まぁいいや
↑それにしても、この屈強なオッサンの風貌は良すぎだろ。顔もガタイも最高だ。
このオッサンと焼き肉食ったら通常の3倍は旨く感じそうだ。
このオッサンはゾンビ映画によく出て来がちな、腕っ節も人間力もあって優しいという観る人が皆好きになるタイプのキャラ。
映画冒頭では忙しい日々に忙殺されて自分本位な人間になっていた主人公も、娘の涙や屈強なオッサンの行動や説教で利他的な正義の父親へと生まれ変わる。いいぞ
3人でゾンビをぶん殴りながら1車両移動してドアを締める。これを数回繰り返す(ゾンビはドアを開けられない)
ゾンビには噛みつきという一撃必殺技があるものの、それしか攻撃方法がないので噛みつきにさえ気をつけて三人でぶん殴って進めば何とか行ける。
更に、ゾンビは暗闇では何も見えない事がわかったので、鉄道がトンネルに入るのを待って素通りしたり、暗闇では物音のする方に殺到するのでそれを利用したりして、ソグの娘やオッサンの奥さん達が隠れるトイレまで難なく辿り着くことが出来た。
一緒にトイレに隠れていたオバチャンの片割れとホームレスも引き連れ、ここまでに学んだゾンビ攻略法でもって犠牲者ゼロで、チアガールやオバチャン片割れや乗客の生き残りが待つ安全車両に辿り着く面々(ホームレスが凡ミス連発して、その度にピンチになるのが可笑しい)
しかし疑心暗鬼に陥った高速バス会社のオッサンが
「あいつらゾンビの中を6車両も全員無傷で来れるわけがない。あいつらの中の誰かは感染してるに違いない。だから車両には絶対入れるな!」
と扇動し、主体性のない乗務員や怯えた乗客たちによってドアは堅く閉じられていた。
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何と!決死行の末に全員無傷でたどり着いたというのに、高速バス会社のオッサンのせいで入れず、本当なら助かったはずの善人たちが犠牲になってしまう!
高速バスめ~。高速バスを嫌いになりそうだ。
主人公の娘は、小心者たちだけが持つ全く必要のない悪意を生まれて初めて目の当たりにしてショックで涙を流す。少女を泣かせて喰うメシはうまいか?
何とかガラスをブチ破って入る主人公たち(ゾンビはガラスをブチ破れないのでブチ破った時点で人間の証明になってるのがいいね)
キレた主人公は高速バス会社のオッサンをブン殴るが、オッサンは「ひ、ひぃ~!こいつのこの目は感染した目だ!隣の車両に行け~!」と逆ギレし周囲の乗客も「そうだそうだ~」と騒ぎ立てる。
主人公チームは呆れ果てたのか一緒に居たくないと思ったのか、それともその両方なのか奥の車両に移る(これで次の展開がわかりワクワクした)
そして今までただ座って、ことの推移を黙って見てみたオバチャンは‥
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‥という、この中盤のクライマックスがめちゃくちゃエモくて最高!
ここが一番良かった。
イーライ・ロスの映画終盤でよくありそうな展開というか、「アフターショック」でイーライ・ロスのキャラが良い事した瞬間みたいなエモさ。
この時のオバチャンが言う「くだらない人間ばーっかり‥」という静かな台詞も、デビルマンの「地獄へおちろ人間ども!」に匹敵する熱さ。
スティーブン・キングが本作を絶賛してたが確かにキング作品と通じるものがある。
この後、鉄道から降りて本編はまだまだ続くんだが、ここがクライマックスでよかった。
この直後から→主人公のラストバトル→ラストシーン‥で終わる方が良かった。
ここまで通路、引き戸、トイレ、網棚、トンネル‥などの少ない要素なのに色んなアイデアや人間の醜さを充分観せてきたんだし、その鉄道から降りてしまうのも何かテンションが下がる、どうせなら最後まで鉄道内に居てほしかった気もする。
それに自分の好きな映画1、2は「ゴースト・オブ・マーズ」「デス・プルーフ」と、偶然なのか直進する映画ばかりで、単純な脳をしている俺は「直進」という狭い範囲で最善を尽くす映画に弱いのかもしれない。

 

 

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この映画、良いところは死ぬほど良かったけど相反するイマイチな部分も多かった。
🚃この映画、ゾンビ映画だし韓国映画なのにゴアシーンが全く無い。
しかも人が死ぬ瞬間になるとカメラが避けて映らない事が多い(このまま地上波で普通に放映できそう)
おかげでレイティング下がって超大ヒットしたので正解なのかもしれないが、内容的にはゴアは欲しかった(特にオバチャンのくだりでは絶対欲しかった)。
本作のゾンビは脳や人肉を食ったりせず、ただ噛みついて味方を増やすだけの上品ゾンビなので、ゾンビって言うより吸血鬼映画と言った方がいいかもしれない。
さっきのオバチャンのくだりも最高に惨たらしくなってほしいのだが全然観せない。
別に自分はスプラッター描写が好きすぎるわけではないのだが、終盤は死ぬほどムカつく奴が要らんこと‥善人を何人も犠牲にして自分だけ助かろうとするのでイライラが溜まっていく。「こいつさぞかし酷い最後を迎えるんだろうなぁ」と思って観てたのに、そいつが死ぬ瞬間も映さないし、しかも一切苦痛も屈辱もなく死ぬのでめちゃくちゃストレス溜まった(善人が死ぬところは結構見せてるのに)。
🚃別に映画に勧善懲悪性を求めてるわけじゃ全然ないが最初から最後まで悪い事し続けるゴキブリみたいな悪い奴が楽に死ぬってアリか?
それにしてもこの嫌な奴は「嘘だろ?」ってくらい、あまりにも要らんことばっかりするのでムカつきを越えて笑えてきた。韓国映画でたまにある「やりすぎ」ってやつだ。
だから「この嫌な奴を、悪いことする前の時点で殺さなかった主人公たちが悪いのでは?」と「痴漢される側にも問題あるのでは?」にも似た間違った感情まで浮かんできた。
主人公含め、その嫌な奴に怒りをぶつける善人キャラが全くいないまま映画が終わって「‥嘘だろ?」とも思った。
感情が激しい韓国人ならもっと理不尽な暴挙に対して怒れよ。
ポン・ジュノのキャラだったら死ぬまでドロップキック連打してるぞ。
やっぱり「死霊のしたたり」ラストみたいに嫌な奴がグチャグチャになる場面は必要。
🚃いちいち具体的に書かないが、物語を進めたい方向に進ませるためにか「こんな時に普通そんな事するかな?」「こいつがこんな時にこんな事するかな?」とか「何でこいつ、ここで急にダメになったの?」という感じで、キャラクターが製作者の都合で強引に動かされてるようなシーンが多かった。
普通そんな場面が多い映画は嫌いなんだけど本作の場合、面白いので「‥まぁいっか」と、そういう都合展開には目を瞑って楽しめた。少々の矛盾は凄みで突っ切るというジョジョっぽい映画だった。
🚃要所要所の演出がくどいのが、まるで邦画みたいでイマイチだった。
オバチャンの名場面も、高速バスのオッサンがオバチャンを見るカットが何度もあって「おい!オバチャンが!」「オバチャン何してる!」「オバチャンを止めろ!」とスローモーションで繰り返して、せっかくの名場面なのだが結構くどい。
そして終盤で主人公がギャンギャン泣き喚くシーンが長すぎてイラッとした。
そんなに泣かなくても思ってる事はわかるから実際に泣かなくていいのに。
だけど、そういう時に泣きわめくっていうのは韓国のお国柄なんだっけ?
だがそれならラスボスと化した嫌な奴に対しても怒りを燃やして欲しかった。
ゾンビになりきる前のラスボスの両目に両親指をねじ込んでドロップキックで落として欲しかった(そしてラスボスが鉄道の車輪に巻き込まれてグシャグシャになる)
お前は今まで何体ものゾンビを倒してきたのに何で只の人間のラスボスには‥まぁいいか。
きっと最後に主人公が対峙したのはラスボス個人じゃなくて、主人公の仕事に関係する運命の因果が主人公を襲ったんだろう。そう思った。

🚃総合すると面白いゾンビ映画を久々に観れたしジーンともした。
鉄道内での対ゾンビも楽しかったし、中盤のオバチャンとラストは激アツだった。
本作は大作映画だが、シュチュエーションはB級ホラーそのものなのでジョン・カーペンターなどのB級ホラー好きの自分は好きな設定だった。
膨大なゾンビ映画全作の中でも、かなり上位だろう。
 
そんな感じでした

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