gock221B

映画やドラマの感想ブログ 😺🐱 殆どのページはネタバレ含んだ感想になってますので注意 😺 短い感想はFilmarksに https://filmarks.com/users/gock221b おしずかに‥〈Since.2015〉

「ツイン・ピークス The Return (2017)」第6章/ナオミ・ワッツのキャラ大好き。ダイアン初登場。ハリー・ディーン・スタントン再登場

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原題:Twin Peaks: A Limited Event Series (Part 6) 通算第36話
監督:デヴィッド・リンチ 
脚本:マーク・フロスト、デヴィッド・リンチ 制作国:アメリ
配信局:Showtime 放映時間:59分 シリーズ:「ツイン・ピークス」シリーズ

 

 

 

前回までの「ツインピークス」は‥
★ダギー・ジョーンズとして生活するクーパー

★コンスタンス検視官、ダヴェンポートと共に見つかった男性の死体の胃からダギー・ジョーンズの指輪を発見する
★収監中のクーパーのドッペルゲンガー。その体内には悪の化身ボブも同居
シェリーの娘ベッキー、ろくでもない男と結婚した模様
★ゴードンとアルバートはクーパーのドッペルゲンガーが偽物だと見抜く

 

※ネタバレ全開です

 

ネバダ州ラスベガス
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★ジョーンズ家🏠
ダギー・ジョーンズとして生活するデイル・クーパーカイル・マクラクラン)だが、依然としてアホのまま(警察関連の事柄やコーヒーとドーナツだけに反応する)。
借金を返さないダギーのもとに、ダギー&ジェイドの浮気写真が送られてきて、延滞の利息を付けられて倍以上の5万ドルを要求される。
ダギーの妻ジェイニーE・ジョーンズナオミ・ワッツ)は、アホになったダギー(クーパー)に対して母親のように世話したり怒ったり浮気の件でヤキモチ焼いたりして母性に溢れまくっており、それがデヴィッド・リンチの間抜けなテンポで描かれてるもんだから、このキャラはナオミ・ワッツ史上一番可愛い。
単身、借金取りに金を返しに行ったジェイニーEは、借金取りにもキレまくって5万ドルを元の2万3千ドルにまで強引に根切って借金完済。ジェイニーEの威勢にビビる借金取り。
あまりに可愛いし有能なので、今のところ出たキャラの中で彼女が一番好きになった。最高の奥さんだろ。ナオミ・ワッツも好きだったし。
ダギー(クーパー)はアホのままだが、捜査官だった直感が残っており会社から持ち帰った難しそうな仕事を霊的推理で解決して社長に感謝される。
時折、マイクがブラックロッジから交信してきて「クーパー目を覚ませ!死ぬな!」とか応援してるのが、実家の親みたいで微笑ましい。
小人の殺し屋の家🏠
ダギー殺害に失敗した女ボスとダギー・ジョーンズの命を狙う、小人症の男。
彼は猫型の肉食獣のような獰猛さで女ボスを刺殺。
次は恐らくダギー(クーパー)のところに来るはず。



どこかの街
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★バー「マックス・フォン・バー」🍸
FBIのアルバート・ローゼンフィールド捜査官ミゲル・フェラー)が来た。
ここにいる「クーパーを最も知る人物」を、クーパーのドッペルゲンガーに会わせるため呼びに来た。
その人物とはクーパーの秘書だったダイアンローラ・ダーン)だった。
旧シリーズでクーパーは、絶えずテープレコーダーに向かって「ダイアン、‥」という語り出しでレポートを録音していた。あれはこのダイアンに送っていた報告書だった。「ツイン・ピークス」は変人キャラが多くクーパー自体も変人だったため、放映当時「クーパーはテープレコーダーそのものにダイアンと名付けて語りかけている」と勘違いした人が多かった。
名前だけは死ぬほど出たダイアンだが、ダイアン本人は一度も登場しなかった。
25年経って初めてダイアンが画面に登場した。
ローラ・ダーンはリンチ作品の常連だし「ブルーベルベット」でカイル・マクラクランと主人公カップルだったし、ダイアン役にはベストのキャスティング。



ワシントン州ツイン・ピークス🗻🗻
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カナダ国境近くの倉庫
前回登場した全く好感の持てないヤカラ系不良青年ホーン
こいつは、自分を「小僧」と呼ぶ強そうなマフィアがカナダから違法薬物をツイン・ピークスに密輸する手引きをしている。
旧シリーズでいうとノーマの夫ハンクみたいな小悪党キャラみたいだ。
マフィアの男は肝臓が悪いので地団駄を踏んで体調を整えたり、コイントスして空中でコインを分裂させ片方をホーンの口の中に入れるという意味不明の超能力だかマジックだかを披露する。何だか大急ぎでキャラ立てしてる印象。
★「RRダイナー」☕
変な笑い方をする太ったウェイトレス。確かに昔からこんな店員いた記憶ある。
太った保育士ミリアムがコーヒーをお持ち帰りする。
★「ニュー・ファット・トラウト・トレーラーパーク」🚚
劇場版に登場したカール・ロッドハリー・ディーン・スタントン)再登場。
ローラ以前のボブ被害者テレサ・バンクスが暮らしてた駐車場の管理人。
ハリー・ディーン・スタントンもリンチ作品の常連。
カールは町のベンチに座り、仲のいい母子を見て微笑んでると、コカインきめて運転してるホーンのトラックがなんと幼い坊やを轢き殺す!ホーンは走り去る
哀れ、良い子そうな坊やは絶命した(気の毒だが、あまりにも勢い良くドガッ!と轢き殺されたので笑ってしまった)
ただでさえムカつくホーンだが、全く笑えない最悪のクズだった事が判明。
こいつは普通の死に方じゃ許されないな。
アメリカの映画やドラマで子供が死ぬ瞬間を映すことは滅多にないので驚いた。
嘆き悲しむ母親と町の人達。
さっきRRダイナーでコーヒーお持ち帰りしたミリアム、ホーンの顔を目撃。
カールは、少年の遺体から黄色いフワフワしたものが天に昇っていくのを目撃して驚く。どうやらカールは絶命した少年の人魂を目撃したようだ。
交通事故現場の近くの電柱に貼られた「324810」「6」の、番地だかナンバープレートだかのプレートが意味ありげに大写しになる。
※追記:劇場版を観返すと、デズモンド捜査官(クリス・アイザック)がテレサ・バンクス殺人事件の件で調査に訪れ、ブラックロッジの指輪を見つけてこの世から消えた場所が、このプレートが貼られた電柱の近くだった。
ツイン・ピークス保安官事務所👮
ホーク保安官補長、何かを見つける。
保安官事務所のネイティヴ・アメリカンの飾りが付いたトイレのドアから。
ドアの板を剥がすと中から紙片が出てきた。
丸太おばさんの一つ目の啓示「行方不明になった者のヒントの一つはホークのルーツに関係する」をクリアしたと思われる。
トルーマン署長の常に激怒している妻は、息子が自殺しておかしくなったと語る通信手。いつも嫌味を言っているヒゲの保安官はそれを馬鹿にする。彼はいつもアルバートみたいに他人を馬鹿にしてる。憎たらしいが不思議な魅力がある。
ロードハウス」🎵
Sharon Van Ettenというバンドが演奏しながら次回に続く
Sharon Van Etten - Tarifa (Twin Peaks 2017) - YouTube

 

 

▲▲
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そんな感じで、クーパーはアホのままだが少しづつ進行している。
前々回、前回あたりはクーパーが一向に元に戻らないのに、ゆっくり進行で伏線や新キャラがどんどん出てくるので苛立ちを感じて「新シリーズひょっとして面白くないんじゃ‥」と疑念を抱き始めていたが、ダギー周辺やFBI周辺が面白くなてきたので再び楽しめるようになった。
それにしてもFBIだけ見てみても、前回:悪クーパーに面会。今回:アルバートが悪クーパーに会わせたいダイアンに会うだけ‥と、めちゃくちゃ遅い。
もうクーパーが元通りになったり、ツイン・ピークスに来てお馴染みキャラに会ったりするの諦めることにした。クーパーが元に戻るにはラスボスらしきドッペルゲンガーが死ぬ必要があるから、たぶんラストにならないと元に戻らないだろう。
というか僕は正直言って「往年のキャラが帰ってきて昔みたいな事をまたやった!」という楽しみ方よりも、現在進行系のリンチが新しいストーリーを今の感覚で進めてる方を楽しむ方が健康的に思えてきた。だから、これでいいわ。
それにしても6話まで進んでもツイン・ピークスの外の世界の描写の方が多いとは意外だった。

 

ツイン・ピークス The Return (2017)」全18話
#1
 #2 #3 #4 #5 #7 #8 #9 #10 #11 #12 #13 #14 #15 #16 #17 #18(終)

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TWIN PEAKS: MUSIC FROM THE LIMITED EVENT SERIES (2017 SOUNDTRACK) [CD]

TWIN PEAKS: MUSIC FROM THE LIMITED EVENT SERIES (2017 SOUNDTRACK) [CD]

 
TWIN PEAKS: LIMITED EVENT SERIES (2017 SOUNDTRACK/SCORE) [2CD]

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「悪魔の起源 -ジン-(2013)」トビー・フーパーの遺作になった幽霊屋敷系オカルト中東ホラー

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原題:جن 監督:トビー・フーパー 製作国:アラブ首長国連邦 上映時間:86分

ロメロが亡くなったと思ってたら先日トビー・フーパー監督が亡くなった。
僕は特にジョン・カーぺンターのファンだが、この辺の映画監督は世代なので大体観てた。
映画史に残る重要文化財級の傑作「悪魔のいけにえ(1974)」は勿論、個人的には子供の時から何度も観た「スペースバンパイア(1985)」が一番好き。
あとはスピルバーグと一緒に作った「ポルターガイスト(1982)」や、「悪魔のいけにえ2 (1986)」「死霊伝説(1979)」あたりも好き。その他の作品も、地味だが面白い。
しかしこの「地味」というのがネックで、90年代以降はあまり大作を撮れなくなりB級ホラー映画を職人的に撮ってる人という印象だった(ジョン・カーペンターもそう)。
だが黒沢清トビー・フーパーを訪ねた著作で書いていたが「悪魔のいけにえ撮って、他にもヒットした映画を何本も撮ってて街でも彼はマエストロで人生をエンジョイしてるんだ、同情するのは間違っている」みたいな意味のことを書いていた。
確かに悪いけ一本だけで普通の映画100本分くらいの価値がある。
本作はフーパー監督が亡くなったことによって遺作になってしまった。
失礼ながら「何か地味そうだな‥」とか「中東の映画とか、ピンと来ないな‥」と思って積んだままで観てなかった。
つまり色々書いてきた僕自身も、トビー・フーパーの映画をじわじわ観なくなって、あまり観られなくなった監督にしてしまった原因の一人だったんだと改めて気がついた。
ちなみにトビー・フーパーを大尊敬している黒沢清監督は本作も大好きらしい。


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夫ハリドと妻サラーマの金持ちそうな夫婦。
二人の間に出来た赤ん坊が亡くなっててしまい、サラーマは失意で鬱状態
夫は「故郷で暮らして心を癒そう」とアラブに帰国。
NYで暮らしたい妻を夫は説得して、砂漠の中にある高級マンションで暮らし始める。
このマンションがあった場所には以前、いわくつきの建物があった。
そこは、人間の男が黒衣の悪霊「ジン」の女の精霊と不倫して、人間とジンのハーフの赤ん坊が産まれた呪われた場所だった。
その建物を取り壊して高級マンションを建てたらしい。
マンションが建つ前、肝試しをした青年たちはジンに殺される。
そして冒頭、サラーマの説得に協力したNYのカウンセラーは、既にジンに憑依されていたので映画開始5分くらいで夫婦の命運は早くも尽きた。
夫婦の帰国を出迎えてマンションを見学したサラーマの家族も、マンションを出たところで速攻ジンに呪い殺された。
一人で留守番するサラーマは他人の気配や物音を感じ夫に電話するが、夫はジンの白昼夢を見たりして電話に出れない。
そして死んでしまったハリドとサラーマの赤ん坊は、どうやらサラーマの過失による事故で死んだことがわかってくる。
まあ、とにかくジンが呪うマンションに妻が留守番してて、夫も後で帰ってくるがどうなるか、という幽霊屋敷系オカルト映画。

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とりあえず妻のサラーマ役の女優さんが凄い美人。
色んな国の美人の中でも、中東の美人が一番美人な気がする。
カットが変わったり、電気が点いたり消えたりするのを利用してジンが現れるシーンは職人監督の風格があった。
それと砂漠にある高級マンション、その外は数m先も見えないくらい砂塵に囲まれていて何も見えない。夫婦は完全に閉ざされた超高層へと閉じ込められた。この辺りの舞台設定も渋い。見慣れないアラブ風の造りのマンションも見慣れないために非現実感を増している、そんなあれやこれやが渾然一体となって凄く幻想的。それらが良いところだった。
何となくJホラーの影響がある気がする。「呪怨」で見た廊下の向こう側から電灯がパンッパンッと消えていくシーンや、監視カメラで黒い影が蠢くシーンとかあった(それが呪怨が初の演出じゃないかもしれないが)
でも、かなり低予算っぽいし、たまに出てくるCGは、CG使ってない怖いシーンの見事さと反比例するかのようにショボかった。
寝室を覗いたらぬいぐるみが組体操して置いてあって、電気が消えてまた点くと全部消えていたシーンは「ポルターガイスト」を思い出して懐かしい気持ちになった。
映画が進むと、夫婦の赤ん坊はジンの血が入っていて普通の人間ではなかった事がわかる。
この辺の事実や夫の幻覚の内容で大体どういう展開になるのかわかってくる。
悪霊が近づいて→うわーっと襲われる被害者のアップが映ったらカットが変わって被害者死んでる‥みたいな感じで、殺される瞬間がないので物足りない。
血すら出ないのでこれがアラブのレイティングなのかもしれない。
そのまま捻った展開なしに終わる。
これが近年流行りのジェームズ・ワン系のオカルトなら、終盤で人間たちが力を合わせて悪霊を打ち負かすのだが、これはアメリカ映画ではないので悪霊が勝って終わる。
どうせならクトゥルー神話的な、とても太刀打ちできない強大なパワーで滅ぼされるのなら逆カタルシスあるが、本作はジンが間接的に人間を自滅させる系の攻撃なのでこれもかなり地味で、終わった時に「え、終わり?」と思ってしまった。別に「だからダメだ!」と批判したいわけではないのだが質素な感じだった。
だけど本作の裏テーマは、赤ん坊を(過失で)失った夫婦の自己嫌悪をホラーへと転換した映画って感じだったのでションボリした感じで映画が進んで、そのまま終わるのも、らしいっちゃらしいかもしれない。
‥と納得はしたものの、やっぱ悪霊退散させるか、もしくは逆にめちゃくちゃにやられるかのどっちかが観たかった気がする。
それにしてもアラブ首長国連邦の映画を初めて観たわ。

そんな感じでした

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『ワンダーウーマン』(2017)/ダイアナの純粋さとスティーブの高潔さ。女性ヒーロー映画を最初に手掛けたのが偉い👸🏻

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原題:Wonder Woman 監督:パティ・ジェンキンス 製作国:アメリカ 上映時間:141分 制作&配給:ワーナー・ブラザーズ シリーズ:『ワンダー・ウーマン』シリーズ、DC・エクステンデッド・ユニバース第4作目

 

 


DCEU(DC・エクステンデッド・ユニバース)の4作目。ワンダーウーマン(以降WW)のオリジン(誕生譚)。
前置き ※このブロックは、感想じゃない只の前置きなので読まなくてもいい
「マン・オブ・スティール」「バットマンvsスーパーマン」「スーサイド・スクワッド」と、三連続で微妙な映画を生み出したが、どれも低評価ながら興行としては大ヒットした(ザックDC映画は「いいところもある」と言う人はいて確かにアクションとかバットマンワンダーウーマンの造形などはカッコいいと思うが、はっきり言ってバットマンとかスーパーマンを扱っておいて「いいところもある」程度の出来じゃ全然ダメだと思います)
DCEUシリーズは継続。今までの暗黒厨ニ路線を払拭した明るくてベタにヒーローものをやった本作が今までを超す大ヒット&高評価。そして今まで現場で権力が弱かったDCの名ライター、ジェフ・ジョーンズが今は中心人物になり、「アベンジャーズ」のジョス・ウィードンが合流。これは完全に厨ニ路線から明るくベタな感じへと流れが変わりますね(別に暗黒厨ニ路線でも面白ければ全然構わないが)
‥というこの流れ、「DC映画が、ジェフ・ジョーンズのパワーが増して王道ヒーロー路線になったらいいな~」と何年か妄想していたその通りになって嬉しい。
本作は女性監督映画史上№1ヒット。ヒーロー映画1作目No.1ヒット。DCEU作品№1ヒット。でトマト評価も「ダークナイト」級の93~94と高評価。早くも同じ監督&主演で続編が決まった。
今までになかったリアクションとしては女性客が異常に多いらしく、また観終わった女児がワンダーウーマンに超憧れる‥という現象が多く見られている。
アメコミ原作ヒーロー映画はもう何年も覇権を握ったままで今まで100本弱ほど作られてるけど(暇な時に数えた)アメコミ原作の女性ヒーロー主人公の映画での大ヒット&高評価はこれが初。
映画業界は前例のないものは誰かが成功例が一つでもないと作らないので、これだけヒーロー映画が作られてても無かった女性ヒーロー映画を女性ヒーローの代表ワンダーウーマンが先んじたのも何か象徴的。現在、覇権を握ってるMARVELのMCUはフェイズ2あたりでスカヨハの「ブラック・ウィドウ」を作ってればまずヒットして女性ヒーロー映画大ヒット第1号に先んじてただろうに数年前MCUにいた名前忘れた偉い人が「女性のヒーローが主役の映画なんてww」って事で、せっかくスカヨハを抱えてるにも関わらず却下してやらなかった(ちなみにその人はもう消えていない)。2019年にやっと「キャプテン・マーベル」を作るそうですが‥。
「そんなワンダーウーマンだけど日本ではひっそり公開されるんだろうな」と思ってたが、ワーナージャパンが凄い勢いで宣伝しはじめたので驚いた(スイーツ向け特報を作って批判されたら「ワンダーウーマン強いよ!」って感じに宣伝の方向を変えたりして柔軟だった)
果たして日本でもヒットするのだろうか?してほしいが。。
なおワンダーウーマンは基本設定を知ってるくらいで、後はコミックやアニメやゲームで「ジャスティスリーグのトリニティの一角」としてのWWを知ってるくらいで、ワンダーウーマン単体のコミックとかはあまり読んでない。
ただクラシックでベタなヒーローが好きな僕はワンダーウーマンは当然、好きでした(DC、他にはスーパーガール、バットガールなどの堅いところ。別口でザターナ、レイヴンなどの魔術系女性ヒーローも好きです)

 

 

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現在のダイアナが、バットマンに貰った古い写真を見ながらの回想という形で始まる。
この冒頭とラストを現代シーンで挟む構成や、「第一次世界大戦でドイツ軍と闘う」というストーリー含めて「キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー」を思い起こさせる。WWもキャップも、オリジンが世界大戦に根ざすものだから構成がどうしても似た感じになるんだろう。
ダイアナは女神ヒッポリタが粘土をこねて創った少女(垢太郎か)。
やんちゃ姫ダイアナは、この美しい島でヒッポリタの妹‥叔母のアンティオペに闘い方を習いながら育ち、美しい大人の女性に育った。
そしてダイアナは銀の腕輪をクロスして全ての攻撃をはね返す最強の技も早々に取得。
ちなみにこのDCEU世界の人類は、ギリシャ神話のゼウスが作ったものらしい。
そしてゼウスの子供である戦の神アレスが人間に戦さを教えて戦争大好き種族に変えてしまったらしい(確かに人類は有史以来、延々と他者と殺し合いし続けている)。
ゼウスはアマゾンズを創り、アレス&悪しき人間の男たちに対抗。
長い戦争の中でアマゾンが奴隷にされたりしたという大変な時もあったが、ゼウスは最終決戦でアレスに深手を負わせて撃退、最後の力を振り絞って創ったのがこの島。
アマゾンが、悪しきアレスや穢らわしい人間の男たちから身を隠して住んでいる秘匿された島。
具体的にどうやって隠されてるかというと、島の近くに行くとまるで嵐が起きているようなリアルな幻影を見させられる。故に、この障壁の内部へは誰も入らない(というか誰も近づこうとはしない)。ただし通り抜けようと思えば誰でも通れる。
島には女性しかいない。細かい設定は知らないけど皆、粘土から生まれてるのかな?
均整の取れたルックス&肉体をしていて武術に長けている。寿命が凄く長い。
かつて奴隷にされた過去があるアマゾンは「男なんてカスよ」って感じの態度。
虐げられた事のある女性が尼寺のような場所に隠れ住んで自分たちを鍛えているかのような設定。
非常に「女性とは何か」を考えずにいられない示唆的な設定だが、この映画は全体的に「女性とは」を考えさせる内容になっている。
観てて、なるほどこれはWWが女性のシンボルになるわけだわと思った。
そんな「女性とは?」を全面的に打ち出してるのなら、露出を控えたカチッとした姿した女性をイメージしがちだが、ダイアナやアマゾンは露出度高めで健康的セクシーさを出してるのが面白い。
彼女達は、女性らしい美やセクシーさを隠さず「私達の身体は美しいしセクシーだから露出度高めでやっていく。だからといってお前らが勝手に触ったら殺すぞ」って感じが凄くいいなと思いました。

時は第一次世界大戦
アメリカ人パイロットのスティーブ・トレバー(クリス・パイン)が島に不時着。
プリンセス・ダイアナは彼を助ける。
まるで処女膜のメタファーのような嵐の障壁を通り抜けてきた男。
アマゾンの象徴であるダイアナにとって特別な男性となるのは物語上、自然なことだ(もし通り抜けてきたのがドイツ軍なら、それはレイプのメタファーなのでアマゾンは以前よりも守りを固くしていたのであろう)
生まれて初めて見る男(だがダイアナは読書家なので性の知識とかは一通りある)
ティーブは、ドイツ軍から大量殺戮兵器の資料をゲットした逃走中に墜落した模様。
そこへスティーブを追って島の障壁を越えて攻め込んできたドイツ軍。
ドイツ軍が撃った銃弾に当たって絶命するアマゾンの一人。
ダイアナは生まれて初めて「悪意を持った人間が他人を殺す」瞬間を見てショックを受ける。
それにしてもワンダーウーマンって相当強いキャラだから、てっきりアマゾンズも結構、頑丈なのかと思ってたので銃弾で死ぬのは意外だった。
だけどアマゾンズは弓や剣などアナログ武器だけで、銃器で武装したドイツ軍を皆殺しにできたので、やっぱり相当強いことは間違いない。
アマゾンの英雄、女王の妹アンティオペを失い、スティーブは厳しく尋問される。
筋肉バキバキで水着アーマーを着た美しいアマゾン軍団に囲まれ、縛られると嘘がつけなくなる「真実の投げ縄」で尋問されるスティーブ「はあああ!俺はナチじゃない‥。‥スパイ~ッ!そう俺はスパイだ!」
ドMが見たら勃起しそうなシーンで、スティーブの身の潔白は晴れた。
「かつてゼウス&アマゾンズが闘った悪しき戦いの神アレスが、ドイツ軍に居て人々を争わせている」そう思ったダイアナはスティーブと共に生まれて初めて島を出る。
ワンダーウーマンの衣装を着て(正装?)、絶対防御「銀の腕輪」、武器にも尋問にも使える「真実の投げ縄」、神殺しの剣「ゴッド・キラー」、神の攻撃すら防御できる銀の腕輪があるのに何故コレも必要なのかよくわからない「シールド」など、島の神具を装備して。
ちなみにこのDCEU版のWWは空を飛べないようだ。
反対するかと思われたヒッポリタも「ティアラ」を授けてダイアナを涙で見送る。
ここまでが第一幕。
このアマゾンの島は凄く綺麗で、アマゾンズもマッチョかつ美しい。
個人的には島の映像が二時間続いても構わないが‥人生とは先に進むものなのでいつかは出なくていけない。
この島にいる間は画面も凄く美しい、以降はずっとロンドンの戦場なので曇天の薄暗い画面が続く。
ちなみにWWの格好してるガル・ガドットは今、世界で一番美しい勢い。
ヒーロー役にハマる俳優は多いけど、こんなにひと目見ただけでガーン!とショックを受けるくらいハマる人は久々に観たわ。。
この水着みたいなコスチュームに決めたのは絶対ザックだから彼に感謝しないとな。
何か演技あんまり上手くない気もしたが、ダイアナは見るもの全てが初めてで全編キョトンとしているので役にハマっていた。
演じている元軍人ガル・ガドットは元モデルでもある女優なせいかWWにしてはちょっと細すぎるが、この格好であんまり筋肉や脂肪でムチムチしてたらエロすぎるのでこれくらいで丁度いいかもしれない(むしろオカンのヒッポリタの方が熟女コスプレ感あって見ちゃいけない感じがするエロさを感じた)
ダイアナの性格は高潔だが、あまりにも純粋すぎる少女そのもの。
そんなうぶな性格で、高潔でイケメンのクリス・パインと洋服着替えたりアイス食べたり守ったり守られたりして親愛を高めながら純粋悪をやっつけまくるんだから、これはもう本作を観たアメリカ本国の幼女たちが狂ったようにフィーバーしてた理由がわかった気がした(中年男性なので想像するしかないが西洋圏の少女の好きそうなものが映画に全部入ってる気がする)
そして本作を観た幼女が30年後に傑作女性ヒーロー映画を撮ったりワンダーウーマンをリブートしたりする‥そうして歴史が繋がれていくのだろう‥とか勝手に想像して感動したりもした。



イギリスに帰国したスティーブとダイアナ。
ティーブの秘書の女性がスティーブを出迎え、ダイアナと話す。
ダイアナ「秘書とは何をする人なの?」
秘書「秘書は‥スティーブさんに付いて彼の命じる事を何でもやる仕事です」
ダイアナ「私達の国では、それは奴隷と呼ぶわ」
秘書「‥‥」
この秘書のおばちゃん、なかなかいいキャラしていた。
その後もダイアナは動きにくい英国の女性の服を不思議がったり。軍の会議の場に居たら「おいおい会議に女がいるぞw」と嘲笑され追い出されたり、ドイツ軍に銃撃されたスティーブを、男女逆転させた「スーパーマン(1978)」オマージュで護ったりとこれでもかというくらい「男の国にやってきた女性だけの国から来た女性ヒーロー」ネタをやってみせる。
この辺は、地球に来たマイティ・ソーの時みたいな明るい文化間ギャップでコミカルに進む。
それでいてソフトクリームを食べてとろけるというWWがよくやるネタもやってみせるあたり「この国の女性への不当な扱いは許せない!‥だけどアイスおいひぃ~」って感じだ。別に女性を馬鹿にした流れではなく「こういった立派な面があるが、別のこういった可愛い面もあるだろう。どちらも女性だ。そしてだから良いんだ」というバランスの良さを感じる良い描写だと思った。

 



イギリス軍が及び腰で当てにならないので、スティーブ達は5人の独立愚連隊を結成して敵地に乗り込み、ドイツ軍の女性マッドサイエンティストマル博士‥通称「Dr.ポイズン」が作った毒ガス兵器による被害を食い止めるため出発する。
この独立愚連隊スティーブ・チームだが他に、芝居が得意な元役者、PTSDのスナイパー、爆破担当ネイティブアメリカン‥などメンバーの個性が出ていて短時間ながらそれぞれ活躍もしてて、魅力ありそうなチームだったのに描く時間が無かった「キャプテン・アメリカ:ファーストアベンジャー」のハウリング・コマンドより見せ場があってよかった。
ヴィランのマル博士‥。
マスクの形と、マスクが隠してる顔の部分のチョイスが絶妙だった。
そして顔の疾患で空気が漏れてるのか狂いかけてるせいなのか変な喋り方をするところも良い。
超強いWWに対して、彼女は能力が毒を作るだけって地味さも渋い。
しかし「毒を作って、ばら撒く」これ以上にわかりやすい悪意のメタファーがあろうか(最強のスーパーマン最大の宿敵が、超天才とはいえ只の人間のレックス・ルーサーというのも「最大の敵は悪意そのもの」という事を強調させていて良い)
凄く僕好みの渋いヴィランだった。もうちょっと観たかった。何ならラスボスは「アレスは人間たちの悪意の中にいる」的な話にしてポイズンと戦って欲しかったくらいだ。
ドイツ軍に虐げられた罪のなき者たちの涙を見たダイアナは堪忍袋の尾が切れ、例の野蛮なテーマ曲に乗って大暴れ。
アクションは、ヒットする瞬間だけ超スローモーションになるというザック・スナイダー風のもので、きっとザックの協力があったのかなと思った。
このザック風アクション、ダイアナやアマゾン達などのセクシーでカッコいい筋肉美がじっくり観れてはまってるなと思った。
WWは戦車をぶん投げたり、ジャンプして自ら人間砲弾となってスナイパー鐘塔をぶっ潰したりして強い。
戦闘中のWWは、「こんなもの!」という憎しみを込めて銃器や戦闘車両などの兵器そのものも叩き壊す姿が印象的だった。
ティーブは「あ~止めたけどダイアナが突っ込んじまった‥OKフォローするぜ」という態度で、彼女が超人だと知らなかったスティーブチーム達も「うわ!すげえ、超人だ!‥だけどまぁいいかOK俺たちもダイアナをフォローして闘うぜ~」って感じで、話が早くて非常に気持ちが良い。
悪い奴ら発見→やっつけろ!→勝利の風→やったぜ!
世の中が全てこんな風だったら良かったのにね。。
だが実は本作もそんな単純な世界ではなかった。美しいダイアナは真実を知り自分の中の大事なものが崩れ落ちていく
という、ここまでの序盤~ノーマンズ・ランド編が最高だった

 

 

そんな失意のダイアナに色々あって終わる(公開初日なので書かんでおく)
★敵の殆どは只のドイツ軍なのでWWの敵ではなく、物理的には一切苦戦しない。
では、そんなダイアナを くじけさせるものは一体何か?本当の敵は誰か?というのが二転三転するのが終盤。
この「ワンダーウーマン」の良いところは何度も書いてるが「女性のヒーロー」という部分を明るくポジティブに打ち出してるのと、あと単純にストーリーが良い。
それと島を出る時に最も強力そうだった装備が只の飾りって設定はしびれた。
★それとクリス・パイン演ずるスティーブだが、想像以上に本作に貢献していて‥殆どもう一人の主人公ヒーローって言ってもいいくらいの大活躍だった。
ダイアナは産まれたばかりの赤ちゃんくらい純粋なので、高潔だが大人の成熟した軍人スティーブがストーリーをぶん回していくのがカッコいい。
生死がかかった決断でも瞬時に選択して、まるで自販機でコーラでも買うかのようにさっ‥と実行する。それが成功しても泣き喚いたりはせず「ははは‥成功した笑(^_^)」って感じの態度。
ティーブはあまりに大人すぎてダイアナが荒唐無稽な事や無茶な事を言っても「ん?ああ、そうだね(^_^)」と肯定し、協力できるところはして駄目なことは「ダイアナ、そりゃさすがに無茶じゃん?(^_^)」と否定するのだが、その優しさがマジでカッコいい。現実で応用できる真のカッコよさだ。
クリス・パインが演じるキャラを今まで良いと思った事が少なく、スティーブというキャラに対しても観る前は「どうせダイアナに助けられてばかりのヒロイン役だろう」とか軽く思ってたが、蓋を開けたら「こいつ同じDCEUのスーパーマンバットマンより高潔じゃないか‥」というくらい立派だった。
キャプテン・トレヴァーとか名乗ってジャスティス・リーグ入りして欲しいくらいだわ。
ストーリー的にも、凄く重要なキャラだったので驚いた。
ぶっちゃけワンダーウーマンよりスティーブのシリーズ作って欲しいくらいだった。
★ストーリーや「女性とは?」テーマに割く時間が多いので比較的アクションは少なめ。それよりも、ラスボスが見た目も描写も何もかもイマイチでした。
序盤~ノーマンズランドでの中盤までは最高!と思って観てた終盤で一気にテンション下がりました。
(終盤までの)映画の出来も良かったけど、それプラス「女性ヒーロー映画としての意義」「本作が大ヒット&高評価だったので凄い数の今までストップされてた女性ヒーロー映画のGOが今後は作られる」などの、本作がもたらすプラス要素が凄まじく多い。
ぶっちゃけ映画としての出来以上に「ワンダーウーマンの映画が作られて、そこそこ良い出来で大ヒットしたぞ!」という出来事自体への興奮のほうが高い。
本作はオリジンなので控えめな感じだったが、次からはもっと物理的な強さも性格も強すぎるメスゴリラ性を打ち出して欲しい(キャップ一作目→ウィンターソルジャーくらいの飛躍で)

 

 


そんな感じでした

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『レゴ®バットマン ザ・ムービー』(2017)/確かにバットマン映画の中で一、二を争う傑作だった🦇 - gock221B
『DC がんばれ!スーパーペット』(2022)/動物とDC好きな人なら全編感動しながら観ることになる「レゴ®バットマン」のジャスティス・リーグ版的な理想的なDC映画🐕 - gock221B
『ティーン・タイタンズGO! トゥ・ザ・ムービー』(2018)/ほぼ全編ギャグだけどDCEUのどの実写映画よりグッと来ました。マリオの映画の監督&脚本だけあって全体的に似てた🎬 - gock221B

👸🏻👸🏻👸🏻👸🏻👸🏻👸🏻👸🏻👸🏻👸🏻👸🏻👸🏻👸🏻👸🏻👸🏻👸🏻👸🏻👸🏻👸🏻👸🏻👸🏻👸🏻👸🏻👸🏻👸🏻👸🏻👸🏻👸🏻👸🏻👸🏻Wonder Woman (2017) - IMDb

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「スノーデン(2016)」魔術のような盗聴盗撮システム。恋人を描いたところは却ってリアリティを上げている

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原題:Snowden 監督:オリバー・ストーン 製作国:アメリカ 上映時間:135分

シチズンフォー スノーデンの暴露 (2014)」を先に観てしまったし、オリバー・ストーン監督作品はあまり好きでないので本作は観なくていいかな‥と思ってたが、スノーデンは興味あるのでやっぱ観た。
観てみると 、国民への盗聴盗撮の脅威とはどういうものか、というのを映像で可視化して具体的に見せてくれたのが良かった。また「シチズンフォー スノーデンの暴露」では語られてないスノーデンの私的な部分も良くて、やっぱり観てよかった。
何よりも単純に面白い。
オリバー・ストーンは反米的な人物だし映像によって煽る才能に非常に長けているので実際、盛ってる部分もかなり多いだろう‥という事を念頭に置きつつ、楽しむために全部信じて観るスタイルで感想を書こう。
あと専門用語とか細部など細かい記述は間違ってるかもしれんと予め書いとこう。
何故それらを今、前もって言ったのかというと単純にアホがバレたくないからだ


冒頭
2013年、香港のホテルにやってきた元NSA(米国国家安全保障局)職員、エドワード・スノーデンジョセフ・ゴードン=レヴィット)。
スノーデンを待っていたのはドキュメンタリー監督のローラ・ポイトラスと、ジャーナリストのグレン・グリーンウォルド(ザカリー・クイント)。
部屋に入るとスノーデンは2人の携帯電話を取り上げ電子レンジに入れた(これで携帯の電波を傍受する事ができないそうだ)
スノーデン「このために、わざわざ電子レンジ買ったんだ」
(この場面や、パスワード打ち込む時に厚い布をスッポリ被って行うシーンはインパクトある。家に友人が来た時に真似してスノーデンごっこしたいくらいだ)
ジョセフ・ゴードン=レヴィットは英語できない僕でもわかるくらいスノーデンのヲタ臭い喋り方をコピーしていた。そしてそれ以上にグレン役のザカリー・クイントの似てっぷりが凄かった。
話がそれた。ガーディアン紙の記者も合流してインタビューが始まった。
スノーデンは、アメリカ政府とNSAアメリカ全国民の膨大な個人的なデータを傍受している事実を暴露し始める。
撮影しているローラ・ポイトラスは「シチズンフォー スノーデンの暴露」の監督だ。
だから今スノーデンが語ってることが聴きたければ「シチズンフォー スノーデンの暴露」を観ればいい。

www.youtube.comスノーデンが語る事は、あまりに厨ニ病の僕が喜びそうな内容すぎて「ひょっとして、我々が居るこの地球は冨樫義博が描いたものなのか」と思えるほどだった。
ここから、スノーデンがアメリカ軍に入隊するところから、さっきホテルに入ってきたところまでの回想シーンに入る。


スノーデン、ただベッドから降りただけで脚の骨がブチ折れて悶絶しながら絶叫!
911で揺れるブッシュ政権下のアメリカ。
愛国者の青年エドワード・スノーデンは米軍のブートキャンプに参加するが、連日の過酷な訓練で足を骨折してしまい除隊する。
‥「痩せ型のスノーデンの脚の骨に慢性的な負担がかかっていて、ついに折れた」と直後に医師からの説明が入るのだが、その前のスノーデンがベッドから降りると同時に「ボキッ」とコントのような効果音とともにスノーデンの脚がチョコレートの「小枝」を折るかのように折れて、
スノーデン「がああああああ!!!!」「くそがああああああ!!!
と悶絶しながら絶叫するシーンが面白すぎて爆笑した。
だって完全にコントみたいな間で、ジョセフ・ゴードンがベッドから颯爽と降りただけで突然脚がブチ折れて絶叫してのたうち回るところを想像してみて欲しい。
こんな脚じゃ、とても青い珊瑚礁に辿り着けそうもないスノーデンが「くああああああ‥」と痛みに堪える姿に、遠くからの「スノーデンがいない!スノーデンはどこだ?」などと「ストリートファイターII」のリュウのエンディングみたいな教官の声が遠くから聴こえてくるのもまた笑いを増幅させた。
めちゃくちゃ面白いじゃないの。。というか、この面白い場面いる?
「ー僕は軍に入隊したが骨折して除隊したー」とかナレーションで言えばいいのに。
いや、スノーデンが憧れていた軍の訓練で疲労がたまって脚が折れてしまうというこのシーンは、後でスノーデンの愛国心が折れる事を暗示しているんだろう。
それにしても面白すぎだ。


スノーデンの恋人リンゼイとの恋愛描写の必要性
お互いに「攻殻機動隊」が好きな事で知り合ったダンサー&フォトグラファーのリンゼイと付き合い始めるスノーデン。
話がそれるが、このリンゼイは本作で彼女を演じるハリウッド女優よりも本人の方が美人、という珍しいケース。

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めちゃくちゃカッコいい筋肉が出来上がるポールダンスやってるから身体つきもカッコいいしアートもしてるし優しいしスノーデンと趣味合うしスノーデンを支えつつ自立もしてるし命の危険に晒されても八つ当たりされてもスノーデンと別れないし、まあ映画だから良い部分だけ描いてると差し引いたとしてもリンゼイさんのパーフェクトな女性っぷりは凄い。
スノーデンとリンゼイが、仲良くしたり険悪になったりする浮き沈みも本作の軸の一つで、最初は「おいおい、恋愛はスノーデンの暴露とは関係ないだろ」とか思ったが観ているうちに、彼女との恋愛描写は本作の大事な軸の一つだと思った。
何しろスノーデンの暴露が行われた2013年当時のスノーデンとリンゼイは、あの住みたすぎる憧れのハワイに住んでいて政府の重要な仕事で勤務してて高給取り、そして前述の素晴らしい女性リンゼイと暮らしている。
スノーデンには恵まれた暮らしが死ぬまで保証されている。
そして暴露するという事は正義感や使命感と引き換えに、それらを全て捨てなければならないという事になる。目的通り暴露できたからよかったが、暴露の前に捕らわれていたとしたら自分や彼女が殺されていてもおかしくない。
想像するだけなら簡単だが、果たして正義感だけで全てを捨てて暴露なんて事ができるだろうか?
僕がもしスノーデンだったら出来ない。
他にもスノーデンと彼女がSEXしてる時にスノーデンはこっちを向いてるノートパソコンのカメラが気になって仕方がない(ガチで誰か観てる可能性がある)場面など、セクシーなリンゼイの裸を通して盗聴盗撮の恐ろしさを描写するシーンは面白いものが多い。
彼女や、スノーデンと彼女の恋愛を通して盗聴盗撮の恐ろしさ、そしてスノーデンの暴露の凄さを浮かび上がらせるという意味で、彼女の描写は必要。


全国民盗聴盗撮の恐怖
CIAのコンピューターの方の道に進んだスノーデン。
順調にその道の仕事に就くと、アメリカ国民が全ての情報を傍受されていた事実を知って驚くスノーデン。
ターゲットの銀行家の娘の部屋の、電源入ってないオフラインのノートパソコンのカメラに侵入して娘が着替え始るのが丸見え‥という「こういうことですよ」という事が一発でわかる映像はあまりにもインパクトありすぎた。
その娘がまた中東系で黒い布で顔を隠してるのにも関わらず、電源切ってるパソコンから丸見えになってるという‥オリバー・ストーンはこういうのうまいね。
ちなみにこれは、ある中東系の銀行家のウィークポイントを握るために探ってた場面。
事前にスノーデン達はパーティに出かけて銀行家と知り合う。
次に何か彼の弱みを握りたいので、彼の15歳の娘のFacebookに侵入して、更に彼女が好きな男のFBに侵入。
その男が他に何人の女とやってるのかも、男が不法滞在している事も一瞬で丸わかり。
そして、その男を国外退去させる→愛しの彼が居なくなったので娘は失恋で睡眠薬を飲む→娘が心配な銀行家の話を聞いてあげつつ酒を飲ませる→配置してあった警察に飲酒運転で捕まる‥
‥という流れるような一連の作業を、ダーティな同僚達が遂行する様が圧巻。
中東銀行家の弱みを握ることに成功。これで彼の担当する銀行の金はアメリカの思うがまま。また一体、操り人形ができあがった。
ヤクザがやってるような事を大国アメリカがやってるというインパクトはデカすぎる。
またこの一連のシークエンスはいちいちスピーディで面白いし裸も混ぜてるし上手いわ

悪魔のシステム
疑念を抱いたCIAを辞めるが何だかんだあって2年間、日本の横田基地に務めたスノーデン。
日本のシステムへもう取り返しがつかないほど食い込んでいるアメリカを見せる。
NSAアメリカがやってる全国民の盗聴盗撮を日本でもやろうとする‥が、それは日本政府に「さすがにそれはNO」と断られる。
‥だけど、やっチッたァァァァーーーーーーーッ!!
NSAはこっそりと日本のシステムを掌握したことが、さらっと語られる。
もし日本がアメリカの同盟国から外れるような事があればアメリカは、まるでトイレの電気を消すかのように日本全土の電気を一瞬でカチッ‥と消すことが出来る。
その気になったらスケベ電話をかけるのと同じくらいの手間ヒマで頭に来た日本の命を暗闇の中にひきずり込めるのだ。
日本は完全にアメリカに生殺与奪を握られている。‥と言ってもまあ、このシステム以前の僕が生まれる前からずっと握られてるので今更どっちでもいいと言えばどっちでもいいが。
「優れた科学技術は魔法と見分けつかない」という皆が大好きな言葉があるが、本作を観てると、この盗聴盗撮システムは正に悪魔の剣(つるぎ)。
この凄いシステムを地上に解き放ったのは誰だ!地獄の覇者魔王サタン、お前なのか!?まさか‥天と地の支配者、聖なる神よ、あなたでは‥?!byロードウォーリアーズbyホークさん
スノーデンや同僚たちも、まるでファンタジー世界の魔術師に見えてくる。
‥いや、どんな魔術師よりもアメリカ軍の方が強いので、こんな喩え意味ないわ。
更に後半、ハワイで国防の仕事に就いたスノーデン。
軍の要請があれば、携帯電話のGPS目掛けてドローンでピンポイント空爆できる。
しかし「誰が持ってるか」まではわからないので遊びで携帯を手にしてた何の罪もない子供を空爆してしまい、その死んだ子供の葬式に集まった失意の親族もうっかり空爆してしまう、あの出来事はちょっとショックだったな‥もう慣れたよ、という同僚の言葉を聞いてショックを受ける。
中東の指先一つで皆殺しにされてしまった親族は何も悪いことはしていない。落ち度があったとすればアメリカより少ない武力でアメリカに歯向かったという事だけだ。
しかも、その空爆システムは以前スノーデンが作ったものを改良しただった。
自分が作ったものが意図してなかった無差別殺戮に使われている‥。
同僚たちは「殺しじゃない‥国のためだから殺戮もレジ打ち同様ただの仕事さ‥」と自分に言い聞かせている。
もともと国への疑念が高まっていたスノーデンの疑念が更に高まっていく。


オリバー・ストーンの盛りはいかほどのものか
アメリカ政府の国民傍受システムは確実に悪いものだが本作を観てるとオリバー・ストーンは盛ってるなと感じた。
まあ実際にプライバシー侵害はアカンのでまあいいわ。
それにしてもエンターテイメント映画として、かなり面白く観れるように工夫していた。
スノーデンの師が「君の恋人リンゼイを盗聴盗撮してるぞ?」と静かに脅しをかけてくる場面があるのだが、壁全体ほどある巨大な魚眼レンズのTV電話で言ってくる。絶対にこんなTV電話じゃなかっただろwと思った。モニターがデカかったのは恐らく「1984」のビッグブラザーとか未来世紀ブラジルっぽく見せるためだろう。ラストシーン、ロシアの講演会でロボットの顔がモニターになっていて別の場所に居るスノーデンが顔を映してトークショーをするラストシーンも、さっきの悪堕ちした師のビッグブラザー映像の意趣返しのようで気が効いてるなと思った。
あと「全データ盗んだチップをギリギリDLしたが落として同僚が踏んづけちまった!」とかルービックキューブによるミッション・インポッシブルめいたチップ持ち出しも完全に創作らしい。
だけど、その辺は映画的な面白さを求めたケレン味優先なので構わん。
よく事実を元にしたフィクションで少しでも創作があったら「事実と違う!」とか言うアホがいる。思想的なものを180℃変えたりするのはさすがに酷いと思うが、ちょっとした面白さ優先の盛りは構わないだろうと思う。「ソーシャル・ネットワーク」でのマーク・ザッカーバーグの人格も本人とかけ離れた人物描写だった(本人はもちろん嫌だろうが、映画は傑作になった)
むしろ本作のそういう部分を、そのままガチで信じる人はそこそこヤバイと思う(そんな人がいるのかどうかは知らないが‥)。

結局どったのセンセー
前述したようにオリバー・ストーンは反米要素とスノーデン正義の味方描写を盛ってるとは思う。
しかし傍受システムの存在は事実だし「スノーデンは正義感から行った」という事も、僕は信じている(スノーデンはリスクに対してリターンがなさすぎる。それにスノーデンはあまりに純粋な目をしているし。あいつ‥あの目‥)
オリバー・ストーンが盛ってるとしても、個人の人間が撮ってるのだから大小の差はあれ思想が反映されるのは仕方ない。「ドキュメンタリーには一切の作為はないしフィクションは作り話なので俺はドキュメンタリーしか観ない!エニスィン!」とか言い出すオッサンがたまにいるが、たとえドキュメンタリーだろうと編集するのは人間なので盛りからは逃れられない。むしろ全ての物事は水で割って水割りを飲むべきだ。
盛りが嫌なら自分を変えろ、それが嫌ならこの世を変えろ。
オリバー・ストーンの盛りについて冒頭から繰り返してるのは何故かというと読んでる人への喚起‥ではなく、単純に物事を話半分に聞かないアホだと思われたくない、という俺の弱くて真のアホの部分からだという事も一応白状しておこう。
何か全体的にオリバー・ストーンを擁護してるように見えてきたが、僕はオリバー・ストーン本人も彼の映画も一部のものを除いて好きではない。どれも観客をアホだとでも思ってるかのように噛んで含めるように語るし大袈裟だし。
だけど、それを差し引いても本作は面白かった。
最後に観たオリバー・ストーン映画は「ウォール・ストリート(2010)」だから随分前。
そして前述した通り一見、暴露と関係なさそうなスノーデンと恋人リンゼイの描写を増やしたところが逆に本編の価値を上げている(ここが一番のファインプレー)
それと「xx万人の人に繋がっている‥」という部分は恐ろしさを表現した場面だが、地球という球の上を這いずりまわる微生物のような(もちろん僕や貴方も含めた)人間たちを思うと、オリバー・ストーンは意図してはなかったであろう人類への不思議な愛情が俺の中に湧いてきたのも事実。
そういう感じで想像してたよりずっと面白かったが、どっちかというと「シチズンフォー スノーデンの暴露」の方が良かったのは確か。
スノーデンの邦訳された動画はYOUTUBEにいっぱいあってどれも「HUNTERxHUNTER」でも読んでるかのように面白いのでオススメ。
クローズアップ現代+「プライバシーか?セキュリティーか? ~スノーデン“日本ファイル”の衝撃~」2017.04.27 - YouTube
↑この、つい先日の春、13枚の日本ファイルが公表された時に「日本にもこういったシステムは侵入してるのですか?」という日本TV局の問に対して、
スノーデン「私は、それを暴露する立場にはいません。ただ『それは素晴らしい質問です』とだけ答えておきます」
という上品でスマートな肯定意見を述べる様を見て「どこまで真実かはわからないが、やっぱスノーデンの人柄好きだわ」と思った。
次は、グレンが書いたスノーデン本も読んでみようかな。。

そんな感じでした

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www.imdb.com

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暴露:スノーデンが私に託したファイル

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シチズンフォー スノーデンの暴露 [DVD]

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『レゴ®バットマン ザ・ムービー』(2017)/確かにバットマン映画の中で一、二を争う傑作だった🦇

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原題:The LEGO Batman Movie 監督:クリス・マッケイ 制作:フィル・ロードクリストファー・ミラー 上映時間:105分 製作国:アメリカ シリーズ:『LEGO(R)ムービー』のスピンオフ、『LEGO Super Heroes』シリーズ

 

 

 

 傑作「LEGO®ムービー (2014)」を監督したフィル・ロードクリストファー・ミラーのコンビが制作に回ってLEGO®ムービー」の共同監督だった人が監督した本作。まあとにかくフィル&ミラー一派の作品。
全米大ヒットして評価も異常に高く「全てのバットマン映画の中で最高傑作!」と言う人も少なくない本作。ベン・アフレックが監督するはずだったDCEU「ザ・バットマン」への影響があったのではないか‥と一部で噂されている(脚本まで出来ていたデスストロークと闘うはずだった「ザ・バットマン」のストーリーは白紙となり制作が先送りとなりベン・アフレックは監督から降りた。更にバットマン役をも降りるという噂もある)
コミックのバットマンを映画化したものではなく「LEGO®レゴムービー」に出てきた中二病バットマンを主人公にしたスピンオフ‥という形だが「LEGO®レゴムービー」との繋がりはほぼなく、実際にはレゴやコメディという設定を逆手に取って好き勝手にバットマンを総括した完全なるバットマン映画になっていた。

 

Story
たった一人でレゴで出来たゴッサムシティの平和を守るヒーロー、バットマン
その素顔は厨二病ナルシストの独善主義者、友だちは一人もいないが実は寂しがり屋なバットマン
そのわがままぶりに執事のルフレッドも頭を悩ませる。

そんなある日、バットマンに憧れる少年ロビンが押しかけてきて、渋々と相棒に迎え入れるバットマン
そんな時、自分こそバットマンの宿敵だと認めてもらいたい悪党ジョーカーが、ゴッサムシティのヴィラン軍団を解放し、世界征服へと動き出すのだったが――

 

 


バットマンを困らせようと、いつものように犯罪を企てたジョーカー。
「またバットマンに負けに来たの?」と驚きもしない市民に対して、ジョーカーは気を取り直して「‥今夜はいつもと違うぞ!」と叫ぶ。
そう、今夜、犯罪を行うのはジョーカーだけではなかった。
リドラースケアクロウベイントゥーフェイスキャットウーマンクレイフェイスポイズンアイビーMr.フリーズペンギン‥など有名なバットマンヴィラン(悪役)達。
更にクレイジーキルト(優しい衣類を羽織った犯罪者)。イレイザー(鉛筆のケツに付いてる消しゴムに扮した犯罪者)。ポルカドットマン。マイム。タランチュラ。キング・タット。オルカ。キラーモス。マーチ・ハレ。ゾディアック・マスター。ジェントルマン・ゴースト。クロックキング。カレンダーマン。カイトマン。キャットマン。ゼブラーマン。コンディメントキング(調味料キング)‥などの訳の分からん誰やねんヴィラン達も加わり、バットマンヴィラン大集合。

www.youtube.com後半の誰やねんヴィランのうち、キラーモスとカレンダーマンは割と有名。
前半のメジャーヴィランに入ってない有名ヴィランも多いがテンポを考えて、オチの誰やねんヴィラン大集合に早めに行きたかったので短くしたのだろう。
紹介はされなかったヴィランのうち、ハーレークインは全編に渡ってジョーカーをサポートしてるし、他にもキャプテンブーメラン、マンバット、キラークロック、Dr.ヒューゴ・ストレンジ。「バットマンダークナイト・リターンズ」のミュータント団リーダー。レッドフード。その他よくわからん奴らも登場(全然関係ないが僕が好きなヴィランMr.フリーズ
A Guide to All the Batman Villains in The LEGO Batman Movie
他にもバットマンバットマン映画の小ネタはいっぱい出て来るがキリないから以降はスルー(というかオマージュとか小ネタにはあんまり興味ないんだ)
ジョーカーやヴィラン達はゴッサムシティの地盤を破壊する爆弾を設置した。
レゴの世界なので薄い地面が崩れたらこの世界は終わってしまう。
しかしバットマンが現場に急行。秒速で事件を解決。
いつものようにやられつつも嬉しそうなジョーカーは「お前のライバルは俺様だよな?!」とバットマンに告白するが
バットマン「私のライバルはスーパーマンだし、お前なんか数あるヴィランの一人にすぎない。というか、お前に何の興味もない。お前には何の価値もない」と言い放つバットマン
哀れ、ジョーカーはガチ泣きしてしまう。。
今日も街の人から勝利を褒め称えられたバットマンは孤児院でバットマングッズをサービスする。バットマンに憧れていつ孤児のディックもニッコリ
帰宅後、好物のロブスターを食べながらホームシアタートム・クルーズの映画を観てご機嫌。独りで。
バットマンのメインのファン層(アラサーやアラフォー独身中年男性)の心にヒットする一人暮らし描写だ。
この世界のバットマンも、やはり両親が強盗に殺されて心を閉ざしている。
バットマンのコスチュームに素顔を隠し、自警活動や秘密基地バットケイブの各種乗り物や武器やコスチュームなどのオモチャ、ジョーカーやヴィラン達とのじゃれ合いに逃避して生きている。
父親代わりの執事アルフレッドは、中年なのにいつまでも大学生みたいな精神状態のバットマン‥ブルースに対して「そろそろ家族を持つことに向き合っては?」と助言する。
ブルースは痛いところを突かれた(中年なのに結婚もせず映画ばかり観てこんなブログ書いてる僕の胸も、それを読んでる君の胸も同時に痛くなる)
そして、このバットマンの問題‥他人に対して閉ざされた心こそが本作のテーマ。
ここまでで20分くらいだが、異常に多い情報量を短時間に詰め込めたのもレゴのコメディアニメ形式の利点だなと思った。
あとレゴのバットモービルがさすがのカッコよさで思わずレゴが欲しくなる。

 


ブルース(バットマン)は、ゴードン本部長の引退パーティに出かける。
スーパーマンがライバルのゾッド将軍を捕まえた話をしているTVを、羨ましそうに観ているジョーカー。
ジョーカー「スーパーマンはちゃんとしてるのにバットマンときたら‥」
スーパーマン「ゾッドなどのスーパーパワーを持ったスーパーヴィランは、人間用の刑務所では収監しきれないので僕の持つワープ銃でみんな極悪ゾーン(ファントム・ゾーン)という異次元に飛ばしたよ」と語るスーパーマンを観て新しい悪巧みを思いついたジョーカー。
ブルースはパーティで、後にロビンとなる孤児ディック・グレイソン、後にバットガールとなるバーバラ・ゴードンらと知り合う(本作でディックは子供で、バーバラはブルースが一目惚れする大人の女性という役回りになっている)
引退したゴードンの代わりにゴッサム警察本部長になったバーバラは
バットマンゴッサムの平和を護ってくれています。しかし私たちはバットマンだけに頼ってはいられません。今後はバットマンには警察と手を組んで悪と闘ってほしいと思ってるわ」と、ぐうの根も出ない正論を言う。
他人と協力なんてできないバットマンはショックを受ける。
そこへジョーカーをはじめとするヴィラン達が現れ、彼らは全員自首する。
バットマンゴッサムは平和になりました。これからの人生どうするんですか?
TVリポーターにそう訊かれて愕然とするバットマン
バットマンは、今まで彼が軽く見ていた犯罪者たちがいたからこそバットマンとしてのアイデンティティが保たれていた。
ヴィラン達が居なくなればバットマンは只のコスプレしたオッサンでしかない。
バットケイブに帰ると、ノリで養子にしてしまったディック・グレイソンがいた。
彼という子供を育ててみては?とブルースに助言するアルフレッド。
精神年齢が子供レベルのバットマンは、リアル子供のディック‥ロビンとは気が合い、行動を共にしている間に父性が目覚めてくる。
バットマンは、アーカムアサイラム収監されたが何か企んでいる風だったジョーカーを危険視する。
バットマンはスーパーマン所有のワープ銃を盗もうと、彼の孤独の要塞に侵入(要塞では付き合いの悪いバットマン以外の、ワンダーウーマンやフラッシュやグリーンランタンを始めとするジャスティス・リーグがパーティしていた)
身軽なロビンにワープ銃を盗み出させ、収監されているジョーカーを撃って異次元空間ファントム・ゾーンに飛ばした。
バーバラは、かつて憧れていたバットマンが独善的な男だった事にがっかりする。

 

 


ファントムゾーンに送られたジョーカー。しかしそれこそがジョーカーの狙いだった。
そこには「ロード・オブ・ザ・リング」の冥王サウロン。「ハリーポッター」のヴォルデモート卿。キングコング。「ジョーズ」の鮫。グレムリン。「タイタンの戦い」のメデューサとクラーケン。「マトリックス」のエージェント・スミスオズの魔法使い」の西の悪い魔女とフライングモンキー。ドラキュラ伯爵、半魚人、ミイラ男などのユニバーサルモンスターズ。シンプルな恐竜のレゴ商品‥など色んな作品の大物悪役たちがいた。
スーパーパワーを持つ彼らを口八丁で手下にして現世に戻り捲土重来を果たすジョーカー。
ちなみにジョーカーの仲間でジョーカーとともにアーカムに収監されてしまった他のヴィラン達は、バットマンがジョーカーに対する冷たさに似た心なさでもってジョーカーに見捨てられてしまう。
ジョーカーはバットマンと自分以外のことは全てどうでもいいのだ。
警察だけではスーパーヴィランに対抗できないバーバラは、バットマン&ロビンついでにアルフレッドに協力を頼む。バットマン・ファミリー誕生だ。
チームプレイが苦手なバットマンだが、バーバラ達と一緒に闘ってるうちに独りでは不可能な事もチームプレイなら可能な事に、いい年してやっと気がつくバットマン
そしてバットマンは彼らの事を、かけがえのない家族だと感じ始める。
しかし犯罪者の凶弾に倒れた両親の姿が彼らにダブる。
ロビンを自分のような大人にしたくないと思うバットマン
危険に晒したくないロビン達を安全な隣町に勝手に送り出し再び独りで闘うバットマン
それは彼らのためではなく自分の心の弱さを守るためだという事に気づいていない。
再び相まみえるバットマンと宿敵ジョーカー。
ジョーカー「お前は一度だって俺様に『お前が嫌い』だと言ってくれたことがない。さあ今こそ言ってくれ!」と迫る。
他人に向き合うことが出来ないバットマンは、やはりジョーカーに向き合うことが出来ない。
恐らく、ここでバットマンがジョーカーの心に応えていればジョーカーはいつものように喜んで負けてくれていたに違いない。
バットマンに心の底からがっかりしたジョーカーは
ジョーカー「お前の言うことは一つだけ正しかった。確かに俺様はお前の最大の敵じゃなかった。お前の最大の敵はお前自身だよ
ジョーカーはワープ銃で、バットマンをファントムゾーンへ送る。

 

 


ファントムゾーンに来た悪者を査定するお喋りブロックは、やって来たバットマンが今までアルフレッド、ロビン、バーバラ、ジョーカー‥など、他人に言った酷い台詞や行動を映像で振り返る。
お喋りブロック「あなたは自分の大事な人達の事も見捨てて行きてきたのね」
自分が他人にしてきた酷い態度を見てショックを受けるバットマン
お喋りブロック「あなたは悪人ではないけど、かといって良い人でもないわね」
バットマン「違う!私は良い奴だ!彼らを守りたかったから遠ざけたんだ!」
お喋りブロック守られてるのはどっちかしら
現世ではバーバラたちが、バットマン抜きでスーパーヴィラン達と闘いピンチだ。
ロビン「バットマンパパを見習って、汚い喋り方で自分勝手に戦わなきゃ‥!」 
尊敬するバットマンの独善的スタンドプレイを模倣した結果、窮地に陥るロビン。
バットマンは今までの自分を反省し、今すぐ地上に送り返してくれ!と懇願。
「悪者たちをファントムゾーンに送り返した後、ここに自分も戻ってくる」という事を条件に、バットマンは現世に戻る。
そして、ロビン、アルフレッド、バーバラ達に謝り、生まれて初めて心を開く。
そしてジョーカーが見捨てたバットマンヴィラン達もバットマンファミリーに助太刀し、ジョーカーたちとの最後の闘いに臨む‥
ゴッサムの危機は。そしてバットマンとジョーカーの愛憎のゆくえは‥

 

 


‥という話で、あまりに良い話だったし現在公開中とかでもないので、観ながらあらすじを殆どそのまま全部書いてしまってた。
中盤までは、面白いけどまあ普通かな‥と思って観てたが、処女の股ぐらのように堅かったバットマンの心がほぐれていく後半は感動せざるを得なかった。
これは確かに、バットマンが出てくる映画10本の中で‥一、二を争うくらい良いかも。
少なくとも「ダークナイト」トリロジー三本合わせたより本作の方がずっと好きだ。
いや‥まあどのバットマン映画も長所と短所があるし、色んなバットマンの要素を内包した本作を見習って全部愛することにしよう。
本作のジョーカーは映像化されたジョーカーの中で最高(ジャック・ニコルソンや「ダークナイト」のヒースジョーカーより好き)
ロビンは、今までバットマン&ロビン問題を真面目に扱ったバットマン映画がなかったので本作の存在は大きい。
ルフレッドは大抵どの作品のアルフレッドも良いのだが、本作のアルフレッドは戦闘技術を披露してくれるところが良かった。バーバラは‥恋愛させるためにオトナの女キャラにしたんだろうにバットマンが恋愛すっ飛ばして子供ができたために親友になってしまってたので原作の少女バーバラで良かった気もするが、まあ映画が良かったのでまあ良し。
関係ないがラストバトルでジャスティス・リーグを呼べばあっさりカタがついたんじゃないかという気がしなくもないが彼らが来たらバットマンファミリーやジョーカーやヴィラン達の見せ場がなくなってしまうので来なくてよかった(できればスーパーヴィランがJL全員眠らせるとか閉じ込めるとかの理由付けを一瞬挟んでくれたらより良かった)
それにしても終盤で、愉快な見た目のクレイフェイスや誰やねんヴィラン達、全く知らない調味料キングがケチャップとマスタードを飛ばして闘う姿は妙に感動的だった。
彼ら、姿が滑稽な誰やねんキャラが真剣に戦う姿は不思議と心打たれる。
誰も知らない間抜けな格好の‥たとえば鉛筆のケツの付いた消しゴムを模した犯罪者イレイザーなどが世界のために闘ってるのを観てると思いがけない感動があった(50年前にタイムスリップしてコミックを読んでるアメリカの子供に「このイレーザーが将来ナンバーワンヒットになるバットマン映画の中で世界のために闘う」と言って果たして信じるだろうか?)
この感動はきっと、オモチャで出来た はぐれ者が頑張ってる事にだけじゃなく、バットマンの歴史の重みに感動してるんだろうなと思った。
サム・ライミスパイダーマンの公開時、映画が始まる時にスパイダーマンのコミックがパラパラめくれるところから映画が始まるのを観た時、スパイダーマンの歴史や関わってきた人たちの重みを感じて(別に熱心に購読しているアメコミ読者でもないくせに)異常に感動してしまった覚えがある。
同様にMCUの冒頭もそうだし、幾つか映画を積み重ねて到達した「アベンジャーズ」に至っては、そんなような感情で本編中ずっと感動していた。
コメディだけど今までのバットマン映画の中で最も、バットマン78年の歴史の重みを感じさせる映画でもあった。メインキャラ以外は殆ど台詞ないし自我があるかどうかも怪しいが、そういうものを感じさせるのが凄いね。
やっぱり劇場で観ればよかった‥。「傑作なんだろうな」というのはわかってたが「主人公、レゴか‥」と思って二の足を踏んでしまった。
LEGO®レゴムービー」も登場人物が人間じゃない3DCGアニメ作品が多いPIXERが面白い傑作ぞろいだし「そもそもフィクションの登場人物とはキャラクター性を内包した器にしか過ぎない」というのは充分わかってるのだが、どうも登場人物が物だったり動物だったら二の足を踏んでしまう。でも実際観るとレゴの質感は最高に良かった。
バットマン&ロビンをモデルにしたオリジナルキャラでバットマンの理想的な最終回を描いた「アストロシティ:コンフェッション」という傑作アメコミがあるのだが本作もまた理想的なハッピーエンドだった。
続編があるとしたらきっとジャスティスリーグなんだろう。
吹き替えで「小島よしおのロビン結構上手いな」と思いながら観てたんだけど、全編ハイテンションのキャラクターの吹き替えを耳に入ってきやすい吹き替えでずっと聴いてたら疲れたので次は字幕で観てみよう。
そして本作のバットマンのように自分の心の弱さゆえ他人の優しさや好意を無下にしてきた自分自身の心なさにも向き合わざるを得なかった。それはまあ後で個人的に考えるとして、映画の感想はここで終わろう

 

 

そんな感じでした

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