gock221B

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「アポカリプト (2006)」人間狩りや残虐シーンも勿論良いんですが、むしろ冒頭の日常描写に感心しました🌒

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原題:Apocalypto 監督&脚本&制作:メル・ギブソン
製作国:アメリカ 上映時間:138分

 

 

 

↑このポスター、日蝕とCが重なっててクールですね。
メルギブの映画全然観てないなと思ってこれ観た。
これは面白いのはわかってたが「面白い」「面白い」とあまりに色んな人に聞かされすぎて逆に観る気なくしてスルーしてたパターンのやつ。

 

 

Story
誇り高き狩猟民族の血統を受け継ぐ青年パウ(ルディ・ヤングブラッド)は、妻子や仲間と共にジャングルで獣を狩ったりして平和な生活を送っていた。
ところがある日、彼らの村は都会からやって来たマヤ帝国の襲撃に遭う。
なんとか妻子を井戸に隠すも、捕らえられたパウは他の仲間と一緒にマヤ帝国へと連れ去られてしまう。
干ばつを鎮める儀式の生け贄になりかけるが、日蝕によって犠牲を免れたパウ。
しかし今度は〈人間狩り〉の標的として駆り出され、傭兵たちが放つ無数の槍や矢から逃げ回る。これを機にジャングルの中へ飛び込み難を逃れたパウは、妻子の待つ故郷の村を目指し走り続ける――

あまりに熱狂的に褒める人が多すぎて観る前から食傷気味だった上に「全然知らない俳優が演じるネイティブ野人たちの映画」というのも何だか観る気が起きなかったのだが、そんな先入観を吹き飛ばすかのように序盤から面白かった。
というよりバイオレンスな見せ場の中盤、後半よりもむしろ序盤の「ジャングルの楽しい暮らし」描写が面白かったのがビックリした。
猪を殺したトラップ、猪の心臓や部位を取り分ける場面など、以降の場面へのフリもバッチリだし、何よりも主人公パウや仲間たちのキャラ立てがめちゃくちゃ上手くて「ああ~全然知らん野人のキャラがどんどん立っていく~」という謎の興奮があった。
色んな人が言う「メルギブ映画うまい」というのがわかった気がした。
そして彼らは皆、良い人たちなだけでなく長身の弄られキャラの人への弄りを通して各キャラが分かっていくし「ジョークもあるんだな」とか「こういうネイティブな部族では子だくさんじゃない事が甲斐性なしになるんだな」とか色々思った。
弄られキャラの人も、イタズラされた直後は激怒するが数秒後には皆と一緒に大爆笑してる様が最高だし、こうやって短時間で親近感を持たされた仲間たちが十数分後に虐殺される事によって「チックショ~!」と盛り上がることもできるわけですね。
それにしても金玉食ったり、族長のイタズラでチンコが腫れたりして楽しかった。

 

 


そんで翌朝、マヤ帝国の野蛮人どもに侵略されてしまう。
その前に、冒頭の狩りの時にマヤ帝国の侵略からほうほうの体で逃亡してきた部族とすれ違い、何か危険を感じた主人公パウは彼らから訊こうとするが部族の長である父親に「村に〈恐怖〉を持ち込んではいかん」と制されてしまう。
父上は、心配したり気に病むこと事態を良くないものと思ってるわけだね。
だけど、ここで話を聞いて避難していれば助かったかもしれないので「やっぱり恐れを抱いたり用心する事こそが護身の第一歩だな」と前から思ってた想いを新たにした。
殺されたり妻たちはレイプされたりしつつ、パウ達は子供を残して連れて行かれる。
子供を殺さず置いていくっていうのがナチスとかよりマシだな。
途中、疫病にかかった孤児が神がかりとなり、マヤ帝国の者たちに対して「日蝕が起こり、ここに居る黒豹と走る男によって汝らは全滅する」みたいな予言をする。こういうオカルトを入れてくるところいいですね。
マヤ帝国に連れて行かれ、女たちは人身売買によって奴隷にされる。
いじられキャラだった長身の男の姑も売買されるが「そんなババアいらねえよ!」とか散々言われて「だめだ、買い手がつかない‥どこへでも行け」と放逐されてしまうが、何かある意味殺されたり犯されたりするより可哀想に思えた。
男たちは塔の上に連れて行かれ、ジョジョの冒頭みたいな感じで、干ばつを逃れるための儀式として心臓をくり抜かれていく。心臓取られてもしばらくは生きてるのが恐ろしい‥自分の心臓を見てどう思うんやろか‥
そしてここは当然、序盤の狩りで獣の心臓を取り出してた彼らが、今は自分たちが獲物となって心臓をくり抜かれる‥という凄くわかりやすくて良い場面。この映画は子供に見せたほうがいいと思う‥がR-15なので中3になったら観せれば良いね。

 

 


いよいよパウが生贄にされる番‥というその時、予言どおり日蝕が起こり儀式は中断。
広場で「逃げ切れば自由だ」と言って生贄たちを走らせ、投げ槍や弓矢で殺す‥という人間狩りを始める。
これが行われる場所は、グラウンドみたいだし、槍や矢から逃れた者を殴り殺すキーパーみたいなポジションもあるし凄くスポーツのグラウンドっぽい
ブラッド・スポーツ」という、動物をいかに虐殺するかっていう野蛮なスポーツも数世紀前まであった事だし、こんな昔にこんな人間ブラッド・スポーツがあったとしても不思議ではないね。
何だかんだあってパウは将軍の息子であるキーパーをぶっ殺して逃走。
怒った将軍以下数人はパウを追って、いよいよ本番。人間狩りが始まる‥!という感じ
パウは予言どおり黒豹と並走したり、蜂の巣を投げつけたりして逃走。滝から飛び降りて自分たちが元いたジャングルの縄張りに辿り着くと、地の利を得て覚醒しオーラも倍増、戦士ジャガー・パウとなる。
それでまぁ色々あって、やはり逆転する。
パウの逃走中、井戸に避難していたパウの妻子が心配したり井戸を登ったりするシーンが挿入されるのだが、これは流れが途切れるので要らなかった気がした。
獣を狩ってたパウたち‥をマヤ帝国が狩り、それに抗うパウ‥という構図で進んできた本作だが、船などの超科学を誇るスペイン人たちが上陸してきてマヤ帝国さえも蹂躙されるであろう展開を予感させて終わる。
ここはフィクション的なダイナミズムを感じさせられた。
どうせならもっと‥、ジャガーパウが追手を全て倒した‥が、何十人ものマヤ帝国に囲まれて「もうアカン!」って時にスペイン人がマヤを凄い兵器で皆殺しにして、どさくさにまぎれてパウはササッと逃げる‥みたいなド派手な終わり方も観たかった気もする。

🌒そんな感じで、文句なく面白かったのだが、既に本作を観て熱狂的に好きな人達によって見どころとか結末とか全部聞いてしまっていたためか、何となくそれらを確認してるだけという感覚があった。
これを観てる俺‥を後ろからもうひとりの俺が観てるみたいな感覚。
熱狂的な評判を聞きすぎた映画を遅れて観るとどうしてもそんな感じになってしまうのは僕だけですかね?10数年寝かしたけど脱臭しきれてなかったですね。もちろんこの映画のせいじゃなくて自分の問題ですけどね。。
マッドマックス 怒りのデス・ロード」とか「この世界の片隅に」とかもそんな感じで、何度も観て確かに凄い映画だということはわかるのだが、未だにちゃんと観れた感じがしない。「他人の眼球を借りて観させてもらってる」みたいな感覚になってしまうのは僕だけでしょうか。そういうのも10年くらい寝かしたら普通に観れるのかもね。
そんな感じだからか、残虐シーンや人間狩りシーンよりも特に評判を聞いたことのなかった序盤の上手さが心に残りました。

 

そんな感じでした

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『ブラッド・ファーザー』(2016)/久々のメルギブ主演映画。ローガンと似た話だけどローガンより好きかもしれん👨‍👧

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原題:Blood Father 監督:ジャン=フランソワ・リシェ 
原作&脚本:ピーター・クレイグ 製作国:フランス 上映時間:88分

 

 

 

恋人へのDV疑惑、避妊や妊娠中絶への否定的発言、ユダヤ人への暴言‥などの積み重ねで大スターだったのに未だにハリウッドで絶賛干され中の、メル・ギブソン久々の主演映画。Netflixで配信されてたので何となく観た。
公式サイトに「メル・ギブソンが帰ってきた!」と書かれていたが本作はフランス映画‥まだ完全には帰ってきてはいないようだ。厳密に言うなら「メル・ギブソンが帰ってきた!‥すぐ近くまで!」って感じ。
だけど思いのほか面白かった。完全にネタバレ

 

 

Story
長らく刑務所生活を送っていた元犯罪者のジョン・リンクメル・ギブソン)。
今は田舎のトレーラーハウスでアル中のリハビリをしながら暮らしていた。

そんなある日、何年も家出していた娘のリディア(エリン・モリアーティ)から助けを求められる。彼女はギャングを射殺してしまい追われているというのだ。
愛娘を守るため、彼らに対抗する事を決意したジョンだったが――

そんな感じで「昔ブイブイいわせてたオッサンが、黒髪の生意気娘を守って逃亡しながらギャングと闘う」という「LOGAN/ローガン」とほぼ同じ話。
しかもメル・ギブソンといえば何十年間も昔から「メルギブがウルヴァリン役したらピッタリなのになぁ」とよく言われる俳優。これ観て僕も改めてそう思った。心底善人かつ長身のヒュー・ジャックマンと違ってメルギブは色々やらかしちゃてるヤバい人な上に背が高くない毛むくじゃらで常に不満そうな顔で独特な雰囲気を充満させていて「やっぱマジでウルヴァリンっぽいわ~」と強烈に思った。見た目もオールドローガンとほぼ同じだし「ローガン」をもっかい観た気分になった。
そして「昔は派手に悪い事ばかりしてた知見の狭い男だったが今はカタギとしておとなしくしてる」というメル・ギブソン本人の現状をアテ書きしたかのような主人公。
途中、メル・ギブソンが移民に対して憶測から排他的な言動をして、現代っ子の娘に正されるというメルギブ自浄作用のようなシーンもあって面白い。
イーストウッドにとっての「許されざる者」「グラン・トリノ」みたいな(そこまで良いわけではないが‥)、ミッキー・ロークにとっての「レスラー」みたいな、ベテラン俳優本人の人生を主人公に当てはめた系映画の一本と言える。
昔のメルギブはカトリック原理主義のせいで映画内で自分自身をやたらと痛めつけてキリストの受難を表現して、そんなドM気質をこれでもかというくらい長年バカにされてすっかり「メルギブ=変態だし痛い人」ってイメージが定着してどんどん人気が落ちていった印象だったが本作の場合、今までのように自分の評判のために自分を痛めつけたりはせず、色んな場面で一貫して「なんか、昔はすみませんでしたね‥😌」といった贖罪的な雰囲気を感じた。
そんでもって今までメルギブを特別好きだったことも嫌いだったこともなかったのだが、久々に観るとメルギブが動いたり喋ってるだけで凄く魅力があるので「やっぱスターだな」と思った。スターとスターじゃない俳優とでは一体何が違うんだろう?と考えたが、やはりエゴの容量が違うんだろう。スター状態を経験して「エゴが常人の1000倍くらい膨れあがった」という経験を何度もした事から来る自信やサムシングなのかもしれない。10数年間、エクスペンダブルズ以外のエンタメ大作に出れなかったのが勿体なく感じた。
それと吹き替えで観てたのだが声優が磯部勉だったのもカッコよさが増していた。今生きてる声優の中だと磯部勉の声が一番カッコいい気がする。

 

 


そんなストーリーなので「メルギブの俺ツエー映画だったら嫌だな」と思ってたが、そんな感じのアクション映画ではなく、思いの外しっとりした感じで、ストーリーこそありきたりだが、起きる出来事や細かい展開は意外なものが多くて思いのほか面白かった。
というかカッコよかったので普通に俺つえーアクションしてくれてても構わなかった。
全然知らない人なのに凄く助けてくれる人がいたり知り合いが助けてくれたり逆に裏切る知り合いがいたりして、派手な出来事は起きないのに「あれっもう終わり?」って感じで一気に観終えてしまう‥って事は面白かったんだろう。不思議な映画だった。
アメリカを舞台にした何もかも限りなくアメリカ映画っぽいフランス映画なんだが、アメリカ映画とフランス映画の良いところが合わさった小品って感じ。
メルギブのラストバトルも、アメリカのアクション映画みたいに10数分も撃ち合ったりせずにトンチでもって2、3分間で一気に叩く感じが良かった。
自分がよく、こういう映画を観て「もっと憎たらしい悪者を殺す時こうすればいいのに」と思ってた殺し方をメルギブがしてくれたので凄く気持ち良かった(揉み合いで耳を噛みちぎったり会話なんかせずにいきなり銃撃したり)。
「世界でトップレベルに恐ろしいメキシコ麻薬カルテル系の敵をオッサン一人で何とか出来て良いのか」という問題も「敵は既に組織に見捨てられてるので全員殺せばそれで主人公の勝ち」という設定になってたりして、よく考えられてた。
「あれっ?ラスボス助かるの?」と思ってたら死ぬより酷い目に遭うことを示唆させて終わるラストもニヤリとさせられた(やっぱり悪い奴は一発で死ぬよりも苦しんで死んでほしい)
別に凄い名作ってわけじゃないけど思いのほか爽快で面白かった。
というか映画の最初から最後まで、ずっと「昔はすみませんでしたね‥😌」って感じの殊勝なムードを出し続けてるし、こういうストーリーだと主人公は大抵死んでしまうのだがやっぱり死ぬ。全体的に良かったが、こんな死ぬ事が当たり前のストーリーで全編すみませんムードが充満してる映画のラストで予想通り死ぬと「はぁ、やっぱりですか」と、逆に感動しないものがあったりするので、ここは裏をかいて父娘そろって仲良く断酒会に出席してるほのぼのエンドでも良かったと思うのだがどうか。
しかしここまで殊勝にならなくても‥もうわかったからメルギブ氏は次から、もっと暴れてもいいと思わされた。
だけどこの映画の評判全く聞いた事なかったからシュワ氏の現状同様スルーされたっぽいな。監督業は評価されてるのだから監督主演してみてはどうか?まだそこまでジジイじゃないんだから‥

 

そんな感じでした 

「アポカリプト (2006)」人間狩りや残虐シーンも勿論良いんですが、むしろ冒頭の日常描写に感心しました🌒 - gock221B

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『デアデビル』〈シーズン3〉(2018) 全13話/これがMARVEL映像作品の最高傑作かも。MCUにないものが全てある😎


原題:Daredevil〈Season.3〉 原作:スタン・リー、ビル・エヴァレット
放映局:Netflix → Disney+ 制作国:アメリカ 放送時間:各話約50分
シリーズ:マーベル・シネマティック・ユニバースNetflix

 

 

👿デアデビルを名乗る前のマット・マードックが、仲間のフォギーやカレンやユーリックと共に街を牛耳る実業家フィスクを倒してデアデビルと呼ばれるようになる‥という傑作ドラマとしてNetflix開始時の看板ドラマだった本作シーズン1。
👿本作の作調やNetflix視聴者にも合ってなかったオカルティックな敵組織ヤミノテ(原作でのザ・ハンド)が受け入れられず、全体の構成も新ドラマの主人公パニッシャー登場編やって「ディフェンダーズ」へ繋げるユニバース広げに尽力させられたり、「高潔な主人公だったマットが全てを捨てて愛のみに生きる」という感動を狙ったのだが、ろくでもないサークルクラッシャー女にしか見えないエレクトラにマットがハマった結果、愉快な三人組がバラバラになるというションボリした結果になり、失敗した感が否めなかったシーズン2(この落差は「アイアンマン」→「アイアンマン2」を思わせられた)
👿その続き、NetflixのMARVELドラマ主人公がチームを組んで再びクソみたいな組織ヤミノテに立ち向かうという、映画MCUで言うところの「アベンジャーズ」に相当した「ザ・ディフェンダーズ」。これは、これ観るために他の三シリーズも我慢して全部観た甲斐あって4ヒーローそれぞれの絡みも楽しかった。マットは相変わらずエレクトラなんぞへの愛に狂って我を忘れたままだったがマットは置いといて、お祭りムードでそこそこ楽しんだ。
👿一応、他のNetflixMCUも各シーズン1全部観たが、「デアデビルS1は良かったけど以降は全部いまいちだったからNetflixMCUはもういいか‥」とすっかり興味は無くなっていた今日この頃、デアデビルのシーズン3が配信された。
こいつがどうやらネットでやたら称賛されてたこと、原作の傑作エピソード「ボーン・アゲイン」や「ガーディアン・デビル」を元にしてるらしい多く事、それと有名ヴィランのブルズアイらしき奴が出る噂を聞いたので観てみたらこれが、傑作だったS1以上の傑作だった。
何か今回、文量が異常に長くなった。
なんで長いのかというと、凄く気に入ってまだ作中の中に心があるので出来るだけ長く書いて反芻したかったり、何とか作品にコミットして自身に取り入れる方法がこれしかないからかもしれない。
今回はネタバレ少なめ

 

 

〈今までのデアデビル
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👿『デアデビル』〈シーズン1〉(2015) 全13話
マット・マードック(チャーリー・コックス)は、フォギー・ネルソン(エルデン・ヘンソン)とカレン・ペイジ(デボラ・アン・ウォール)と共に〈ネルソン&マードック法律事務所〉で弁護士として働いていた。
マットは少年時代、盲目になるのと引き換えに得た超感覚を利用し、夜はヴィジランテとなり
『アベンジャーズ』(2012)のNY決戦の影響で荒廃したニューヨークのヘルズ・キッチンで犯罪者と戦っていた。
マット達三人組はジャーナリストのベン・ユーリックの助力もあり、街を支配していた実業家ウィルソン・フィスクヴィンセント・ドノフリオ)を刑務所送りにすることに成功。
マットはマスコミによって名付けられた”デアデビル”の名が知れ渡った――

👿『デアデビル』〈シーズン2〉(2016) 全13話
マットは、パニッシャーとの出会い、元恋人の暗殺者エレクトラとの再会、東洋のニンジャ犯罪組織〈ヤミノテ〉との戦いなどに全力を尽くした結果、弁護士業が疎かとなりネルソン&マードック法律事務所は解散してしまう。

👿『ディフェンダーズ』(2017) 全8話
ヤミノテとの最終決戦のためデアデビルは、他のヴィジランテ‥ルーク・ケイジジェシカ・ジョーンズ、アイアンフィストらとチーム〈ディフェンダーズ〉を結成してヤミノテ殲滅に成功するが、デアデビルエレクトラはビルの倒壊に巻き込まれ生死不明になってしまう――

〈シーズン3のStory〉
死亡したと思われたデアデビル/マット・マードックだったが奇跡的に生き延び、産まれ育った修道院に収容され昔からマットを知るシスター・マギーラントム神父に看病される。

一方、刑務所に収監されていたウィルソン・フィスクはFBIナディーム捜査官に「他の犯罪者の情報を提供する」という交換条件のもと、ヘルズキッチンの高級ホテルな施設に身柄を移す。
しかし、それらは何もかも全てがヘルズキッチンの王に返り咲かんとするフィスクの計画であった。
またフィスクは、卓越した殺傷能力と不安定な精神を持つFBI捜査官、デックス・ポインデクスターウィルソン・ベセル)に目を付けた。
収監前よりも強力になり〈キングピン〉と呼ばれるようになったフィスクを今度こそ倒すため、デアデビル、フォギー、カレンらは孤立無援の中、再び戦いを挑むが――

 


そんな感じで、出所しFBIの管理下に置かれたはずのフィスクが周囲のFBIをじわじわと侵食し(というか、もう既に侵食し終わってる)、フィスクに翻弄され侵食されていくFBI捜査官のナディームやポインデクスター。
マット、フォギー、カレンの主人公三人組はフィスク打倒のために立ち向かう!
最高のストーリー。しかし三人組は、捲土重来に向けて周到に準備していたどころか以前よりも強力になったフィスクによって何度も何度も苦汁を舐めさせられる。
マットは依然として混乱したまま終盤まで柔軟性を欠いた精神状態となっており、強引に腕力でキングピンの弱みを見つけようとするが毎回、罠を仕掛けられていて殺されそうになり徐々に絶望し「もう奴の証拠を掴むのは無理だ‥もうブッ殺すしかない‥」と思うようになる。しかし違法なヴィジランテ行為してるとはいえ弁護士の彼は、悪人をボコって警察に突き出すという「不殺」ヒーローだったのに「どうにもならんから殺すしかない」というのは正義のためとはいえ犯罪者と変わらない。もしフィスクの殺害が成功したとしてもマットの魂は堕ちて、もうデアデビルとしても弁護士マットとしても活動できなくなり、フィスクと同時に自分自身をも殺す事になってしまう。
一方、フォギーとカレンは、法律と報道(それとカレンの度胸)でもってキングピンを倒そうとするが、キングピンは街の社会や法律そのものに食い込んでおり、フォギーとカレンはマット同様何度も敗北し「フィスクを裁判所に引っ張り出すのは無理だ‥」と絶望していく。
キングピンはあらゆる面で三人組の数歩先を行っている。
今までの話でバラバラになっていたマット、フォギー、カレンの主人公三人組はそれぞれフィスク打倒のために独自に動いていた(まぁハッキリ言ってマットがシーズン2からずっと我を見失ってたからバラバラになってただけなのだが)。
しかしマットはフォギー、カレン、シスター・マギー、神父、ナディーム捜査官らとの触れ合いによって徐々に回復していく。
やがて三人組はフィスク打倒のため、一つの作戦のため遂にアッセンブルする!
まるでバラバラになっていたために「アベンジャーズ:インフィニティウォー」でサノスに負けてしまったアベンジャーズが「アベンジャーズ4(仮)」で遂にアッセンブルしてサノスを倒す(予定)の流れみたい、それを街サイズに縮小した感じというか。
‥しかし、それでもキングピンは更に三人の上を行っており、三人はまたしても敗北を喫する。もう何回負けたか覚えてない。しかし三人は諦めず最後の戦いに出る‥というのが具体的にネタバレせずに言う全体的な流れ。

 

 

 

Matt Murdock /Daredevil

まず↑このデアデビル画像見て欲しい。すごく怖い。
シーズン1から観てるから見慣れてるのと敵のフィスクが強すぎるので何も感じなくなっていたが冷静に改めて見ると、怖すぎるやろコイツ。
こんな9割が金網という殺伐としたバックを背負いガチ泥棒スタイルで両腕にムエタイの縄をグルグル巻きにして、それだけならいいが電話かけとる。
殴りかかってくるだけじゃ飽き足らず更に親族知人からも金をむしり盗りそうなリアルな怖さ。敵に回したくないタイプの画像だ。
サノスとかは現実味がないので「ヒーロー達が殺されちゃう!」といった他人事とも言えるフィクショナルな怖さしか持っていないが、このマットの場合、強盗とか連続強姦魔みたいな「僕たちの部屋に不法侵入してきそうな奴」的なリアルな怖さがある。
まぁ、実際には正義のために悪を脅してる画像なんだが、今言ったようなリアルガチな怖い風貌のデアデビルが悪と戦うというこの頼もしさ。
そして、この場面でデアデビルがやろうとしてる作戦もかなりエグい‥。
何時もの赤い悪魔コスチュームは「ディフェンダーズ」での戦いでボロボロになったし、あとエレクトラの事とか色々思い出したくないからか、もう着ない宣言をする。
防御力は下がったが泥棒スタイルの方がステルスに適しており、またこのリアルテイストなNetflixドラマに限っては泥棒スタイルの方が自然なので何ならこのままでも構わないぞという感じもする(「ディフェンダーズ」の時にチームで一人だけデアデビルスーツ着てるマットは「ハロウィンパーティは皆で仮装しよう」と約束したのに仮装してきたのは自分ひとりだったという恥ずかしい出来事を思い出させて気の毒だった)
ヘルズキッチンの悪魔”ことマット/デアデビルはシーズン2以降すっかりダサいキャラになってしまい好きじゃなくなり、ついでにこのシリーズへの興味をすっかり失ってたんだが、制作陣は弱体化して混乱したままのマットをうまく「ボーン・アゲイン」的展開に活かして面白いストーリーに仕上げた印象(といっても、それは当初から計画してたわけではなく、マットが思いのほかダサくなってしまったのでストーリーに上手く活かす方法を考えたんだと思う)。
このストーリーの元になったコミックのマットは、正体を知られたキングピンに社会的に抹殺されたり近親者を攻撃されて弱っていくが、本作のマットはストーリーが始まった時点で既に弱ってるし孤独になっている。
ビルの倒壊で負った重傷、愛するエレクトラを失った悲しみ、そしてシーズン1で命がけで刑務所に入れたキングピンはマットの正体を知った状態で外界に解き放たれた。
このシーズンの殆どで彼は、かつての前向きな性格ではなく捻くれて誰も信用できないヴィジランテとして存在している。
とはいえマットは完全に孤独なわけではない。幼い頃、世話になってた修道院で再びシスターや神父の世話になっている。なんか都会で痛い目にあった男が実家で腐っているようにも見える。
マットは傷心のあまり世話してくれるシスターや神父に対して中学生みたいな態度で接する。心配してくれてる親友のフォギーやカレンの事も遠ざけてしまう。
と言っても当然、自分一人のパンチやキックだけでは事態は好転しない。だがひねくれたモードになってるので周囲の協力を仰ぐこともできない。
第1話や2話くらいはそんな感じでウジウジしてるだけなので「今回もダメなのかな?」って感じで序盤は、ながら観してた(すぐに面白くなって以降は姿勢を正して観たが)
マットは終始いらだち、自分を愛してくれてる人たちに対して八つ当たりしているように見える。つまりマットは周囲に甘えている。ここまで来るとダサいを通り越して「マット、もしや子供がえりしてるのでは?」と思えて、シーズン2みたいにムカつかずにマットの奮闘や精神の回復を応援できるようになった。
今回、今まで謎だった「父が死んで孤独になった幼いマットの前に何故、母親は現れなかったのか?」という事実も描かれる。
マットの心の奥は子供の時で止まっていたのかもしれない。
そうなると今回のシリーズは、棄てられたと思い込んで傷ついたマットの、失った少年時代を生き直すかのように修道院で過ごし、心が癒えていって精神的に成長する展開もテーマの一つなんだろう。
カレンもまたハイティーン時のトラウマで「ペイジ家のカレン」は死んだも同然。
好敵手となるポインデクスターもまた幼少期から成長しておらず依存する相手が居なければ殺人衝動を止められないという一番、深刻な状態にある。
キングピンも幼い頃に父親を殴り殺した事で今の彼が出来上がっているし、本作は子供時代のトラウマによって歪んだ存在になってしまった者が数多くいる。
そのトラウマを前向きに乗り越える者、現状維持する者、悪化する者など様々だ。
デアデビルの身体能力は「そこそこ強くてスタミナが高め」程度で特に怪力や超能力は持っていないため、頻繁に集団のチンピラにボコられかけたりもするが最終的には勝つ。身体がデカイわけでもないので胴回し回転蹴りをよく繰り出す印象。
デアデビルは盲目だが、コウモリのような超感覚や聴力によって、むしろ目明きよりも状況把握能力に優れている。
普通に視えてる者と一緒に行動してる時などに、
「だめだ、そっちの角を曲がると敵がいる。信じろ」「あっちに2人隠れてる、撃て」などと誘導したり指示するシーンがカッコいい。
毎回、シリーズの前半にあるロングカット戦闘だが、今回は4話目?くらいで、フィスクを探りに刑務所に潜入した時に発生する。
既にフィスクにハメられており、刑務所の一番奥の部屋にいるマットに十数人もの受刑者が襲いかかるという絶体絶命。ワンカットで長ーい格闘をしながら反フィスクの受刑者と取引して再び長ーい道のりを脱出する。その最中、刑務所内では動乱が起こり、そこらじゅうで看守と囚人が殴り合っており、火も放たれてる長い道中を進んで外に停まってるタクシーに乗る。‥ここまでずっとワンカット。凄く長い時間!
もちろん凄いのだが、ここまで長いワンカットだと「今、机の下に隠れて出てきてまた隠れて出てくるまでこっち向かなかったから今の20秒間のマットはスタントなんだろうな」とか「灯りが点滅する廊下でカット割ってるのかも?」などとワンカットの段取りばかり気になった。本来ワンカットは物語に没入させるためのものだと思うが、あまりに長いと段取りばかり気になって逆に入り込めないなと感じた。
シーズン1、2程度のワンカット(廊下2本、非常階段一本)くらいが丁度いいかも。
今回、マットの自問自答の可視化というかたちで、マットが作り上げた幻想の父ジャックやキングピンのスタンドと会話して自分を卑下するシーンが多くて面白かった。

ジャック「お前も俺も呪われてるからマギーに捨てられたんだ。俺たちの中には悪魔(デビル)がいる。自分に正直になってくれ。マスクを付けるのは『本性を出しても大丈夫だ』と思えるからだろ?大事なことのためなら『人を痛めつけても構わない』と思っている!」
ジャック&キングピン「「良いことだと!神のためだと!」」
キングピン「だがそれは違う!わかっているはずだ。お前と父親はよく似ている!『八百長で稼ぎ人を殴ることで悦に入る堕落したボクサー』と『自分はそんな犯罪者の父親よりマシだ』と思いこむ息子!お前は俗物から産まれ、俗物として終わる!」

そんな風に、故・父ジャックが途中でキングピンに変身しながらマットに厳しい言葉を浴びせる。まぁマットの自問自答なんだが
自分の人生のどうしようも無さを父にぶつけ、憎む対象がキングピンなんでしょう。
マットは夜になるとマスクを被ってギャングを違法にボコボコにして証拠をかっぱいでいく(今回は更に「実はボコボコにすると気持ちいい」という事もわかる)、そしてマット本来の職業は弁護士だし凄く矛盾したやべー人間だと言える。マットの秘密を知ってる仲間達はよりにもよって法の番人や神の使いだし、マットは周囲の人をも矛盾させてるとも言える。一言で言うとデアデビルやべー奴ですよ。
このドラマ版マット/デアデビルは、シーズン2までは「何か、このデアデビル情緒不安定であんまりカッコよくないな‥」と思ってたが、シーズン3まで観ると、マットの高潔さや有能弁護士感はフォギーとカレンが多く受け持ってる感じがした。
「マット&フォギー&カレンの三人合わせて一人の立派なデアデビル」という認識になった。

 

 

 

Wilson Fisk / Kingpin
今までも強かったフィスク/キングピンだが今回「えっそんなに強かったの?」ってくらい相当な強さになっている。
と言っても単純な腕力の話ではない。このドラマ版のキングピンの腕力は、まぁマットと互角くらいで「かなり強い大柄」でしかない。
キングピンの真の強さは、彼の手がヘルズキッチンの社会に食い込んでいることにある。警察はおろかFBI内部にも彼の息がかかったものがおり、報道や裁判もある程度コントロールできる。
たとえ決死の思いで死人を出してまで証拠を掴み刑務所にブチ込もうとしても、その道筋にフィスクの息がかかった者がいれば全て無駄足となってしまい、その証拠は二度と使えない。
マットやその他の者達は何度もフィスクに敗北して「フィスクに勝てるはずなかったんだ‥」と絶望する。
そしてフィスクは一度ブタ箱にブチ込まれた事なども全て総動員して自分の評判に変え、ヘルズキッチンを以前より更に強大な自分の帝国にしていく。
フィスクは、MCUの他のヴィラン以上に人となりが描かれており、フィスクの生い立ち、真剣な恋愛などが丹念に描かれており「このドラマひょっとしてキングピンに割く時間が一番長いのでは‥」と思わされる。
失敗した部下に癇癪を起こして撲殺するという古風な悪者の一面もある一方で、恋人のヴァネッサの前では異常に繊細な少年のようになってしまう面もある。
このシーズン3でフィスクは立ち向かってくる者を何度も叩きのめすが、自分と恋人のヴァネッサが大事にしている絵をめぐって老婦人と所有権を主張する舌戦ではあっさり敗れる。絵は彼にとって大事な物なので、同じかそれ以上に大事な理由を老婦人に言われてしまっては譲るしかなかった、ここで脅したり暴力に訴えたりしなかった事が、フィスクのキャラを分厚くさせた。
そんな表現によってキャラが分厚くなり、主人公補正っぽい強さまで獲得してしまっている。一部のメディアではサノスやキルモンガーなどを抑えて「最高のMCUヴィラン」と言ってるところもある。
ちなみにフィスクのコードネーム「キングピン」という名称は本シリーズ後半でやっと登場するのだが、その場面も「カッコいいから」などではなく凄く恐ろしい理由で呼ばれるようになる。

 

 

 

Foggy Nelson
マットの法律事務所の同僚であり親友でもあるフォギーとカレン。
このドラマの彼らは凄い魅力的なので凄く好き。下手したらマットより好きかもしれん。もし「フォギー」というスピンオフ裁判ドラマが始まったとしても観ると思う。
フォギーは昔からメインキャラの中で一番大人。
子豚の擬人化みたいなルックスなのだが誰よりもカッコよく見える。
「法を超越するものなんてない」と言い、法律で戦う。
フィリップ・シーモア・ホフマン級のイケメン大柄だ。セクシーにすら見えてくる。
このドラマでマットは弁護士の仕事を殆どせず、もっぱらデアデビルとなって人をボコってばかりいる。
きっと、このドラマでマットはボコリ専門で、弁護士要素は全てフォギーに担当させる事にしたんだろう。シーズン2までは「マット、仕事しろや!」と思ってたけど、やっとその役割分担がわかってきたわ。
以前はチョイ役だと思ってたセクシーな彼女とずっと付き合ってる。
彼女は、フィスクに怯えるフォギーに対して「表舞台に出たら逆に殺される心配は減るわよ」とクレバーなアドバイスしてくれる。フォギーは地方検事を目指しながら、フィスクを刑務所送りにしようとするが‥

 

 

 

Karen Page
カレンはシーズン1でフィスクに殺された新聞記者ユーリックの跡を継ぎ、シーズン2からはユーリックが働いていた報道メディアで働いている。 
カレンは、マットとフォギーに助けられるキャラではなく自分でもガンガン真相を探るキャラなので昔から好きだ。
特にシーズン2ではマットがダサいキャラになっていくのと正比例してカレンがどんどんカッコいいキャラになっていった。
もし「カレン」というスピンオフ報道ドラマが始まったとしても観ると思う。
シーズン1で、フィスクの右腕をブッ殺し、更にそれをマットとフォギーに黙ったままだったので「殺したのは確かに悪人だが、弁護士事務所の者として言わなくていいのか?」と気になったまま3年経ったが今回やっとその伏線が回収されてホッとした。
そうなると今度は「弁護士のマット&フォギーがカレンの殺人を曖昧にしていいのか?」という事も気になるが、この作品でそういう事気にし始めるとキリないし「デアデビルやらせといていいのか?」って話にもなるしまぁいいわ。。
ところで死んだユーリックは、このシーズンの原作になったボーン・アゲインで「フィスクに脅されまくる」という役で、僕はユーリックが好きだったのでドラマでは殺されてしまったので残念だ。その跡をカレンが継いだのでユーリックの代わりにカレンがフィスクに追い詰められるのかな?と思わされたが、そうなると今度は「シーズン3か4辺りで来るだろうボーン・アゲイン展開で好感度の高まったカレンが殺されてしまうのでは?」という心配が立ち上がってくる。
カレンはフィスクと一対一の対決をする。ここは見ものだったが勝負は引き分け。しかしフィスクと引き分けという事は彼の報復を恐れなければいけない。
カレンはマットが身を寄せていた修道院に隠れる。
居所を掴んだフィスクは、後でブルズアイと呼ばれるであろうデックスを向かわせる。
原作のカレンは「Daredevil: Guardian Devil」という原作で、修道院でブルズアイに殺されてしまうのだ。映画「アメージング・スパイダーマン」シリーズのグウェン・ステーシー同様「原作通り死ぬか、もしくは裏をかいて死なないかの二択」のどちらかしかあり得ないキャラ。本作のカレンはどっちだ?
そういう理由で、カレンがシーズン1でキャラが立って好感が持てて以来ずっとハラハラしてきた‥今後もさせられるキャラ。
ここで9話が終わるが、こうなると心配で続きを観ずにいられない。
そんな第10話。何と冒頭からカレンの回想が何と30分近く流れる!
しかも第10話のサブタイトルが「カレン」。
カレンの死亡フラグが天井を突き抜けるくらい積もっている!
アメリカの片田舎で、大学に行きたいが死んだ母が遺したダイナーを父に任せると潰れてしまうので仕方なく自分が経営している。だが田舎は退屈なので不良の彼氏とドラッグを常用してドラッグを売っている。カレンも父も彼氏も皆、退屈しきっているが環境を変える勇気がなくウダウダしている、そしてその間に周囲の空気は淀んでいく。
彼らは皆、特に悪人などではないのだがその澱んだ空気によってか事故が起きてしまう。そしてカレンは都会に‥という、そんな回想。
こんなエンタメ色の強い‥しかもヒーロードラマの、こんなタイミングで挿入されたからには、てっきり「フィスクが悪用してカレンを脅す」って感じの、ストーリーの歯車になる回想なのかと思ったら、ただカレンのキャラクター像を深めるためだけのツインピークスめいたアメリカ田舎の暗部みたいな回想だったので驚いた。
ドラマのまだ中盤で、フィスクとの戦いに疲れたカレンが父に電話すると、父は冷たい‥って感じでもないのだが凄く変な応対する。まるであの世と現世という違う世界の者同士が喋ってるような変な会話。「何で?」と思ってたが、その理由はこの回想でわかる。

 

 

 

Rahul 'Ray' Nadeem
FBIのナディーム捜査官。インド系なのかな?彼は妻子がいて暖かい家庭を築いている立派な捜査官。借金している親族がいるため昇進が遅れていて焦っている。
そんな彼は、他の捜査官では出来なかったのに、フィスクから他の重犯罪者の情報を聞き出すことに成功する。FBIは何年かかっても尻尾を掴めなかった大物犯罪者を捕まえることに成功。
これを昇進の近道だと飛びついたナディームは、フィスクが他の囚人に刺された事を切っ掛けにフィスクを彼専用のホテルに移送する。勿論、他の大物犯罪者の情報と引き替えにだ。フィスク自体が凶悪な犯罪者なのだが彼が吐く情報はFBIの捜査を数年分省略させるだけの価値があった。フィスクとフィスク以外の大勢の犯罪者を比べた結果フィスクの条件を飲んだFBIたち。しかし全てはフィスクの罠だった‥という話。
善良なナディーム捜査官は、フィスクを利用するつもりが逆に利用されていた‥?と気づいた頃には時既に遅く、利用されていたどころではない事態に巻き込まれる。
そんな最悪な状況になっている事に気づく度に、ナディームは最高の絶望顔を見せる。
というリアクション的な意味では、原作でキングピンに追い詰められてユーリックが絶望顔をする‥という僕が好きなコマに似たシーンをナディームが演じてた。
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そういったキングピンにビビらされまくるって意味では、ユーリックの代役はカレンよりナディームの方だったのかもしれん(もうカレンはフィスクとタイマンできるほどの強キャラになってしまったからね)
ナディームは善人であるが、序盤ではマット&フォギー&カレンといった主人公勢の邪魔したりする場面が多くて「ナディーム‥!😠」と軽い苛立ちを溜めさせられたせいか、そんな彼がフィスクに侵食されて絶望の顔を見せる度に「ふふ‥ナディーム😉」と妙にサディスティックな快感も感じた。
それでいて最終回辺りでは「ナディーム‥😪」と思わされる。
ナディームはストーリーや各登場人物の中でも、ちょうど真ん中に位置している。
FBI捜査官ではあるものの本作内では終始「無力な一般人」でしかないこのナディームはハッキリ言って、このシーズン3の主人公と言ってもいい役割でかなり良いキャラだった。
だが一般人キャラなので最初の数話は、只のモブキャラだと思いこんでナディーム周りをちゃんと観てなかった。
で、このシーズン3面白かったので2日で観て、翌日すぐに二週目したのだが、二週目はナディームがめちゃくちゃ面白かった。
「な、ナディーム!」「な、ナディーム?」と思わされて面白さも倍増した。
ナディームもそうだが、一周目ではモブキャラだと思ってナディーム以上にスルーしてたナディームの上司ハトリの表情や台詞が全部面白くなる。
このナディームが居なければS3はここまで面白くならなかっただろう。

 

 

 

Benjamin 'Dex' Poindexter
ベンジャミン・ポインデクスター捜査官、通称デックスはナディームの同僚。後輩?
彼は、情報提供と引き換えに高級ホテルに移送されるフィスクの護衛していた。
フィスクの命を狙う犯罪者によってフィスクを乗せた移送車は横転、ナディームもやられて負傷(ナディームは常にやられる)。
フィスクを狙う犯罪者を一撃必殺で撃ち抜いていくデックス。だが武器を捨て命乞いする者さえも全て撃ち殺す。フィスクはこれでデックスに目をつけて配下の者に調査させる。
ここでフィスクがデックスの生い立ちを書類で読んだ内容が可視化されて描写される。
彼は攻撃的な本性を持っており、それを抑えるためにはメンターが必要で、信頼していたカウンセラーに依存していた。そのカウンセラーが亡くなって以降は以前働いていた自殺防止センターの優しい女性の同僚に執着心を持っていた。そこをフィスクに付け込まれてデックスの精神はフィスクの手に落ちる(というか、ここまで情緒不安定な奴が、よくFBIに就職できたな‥)
情緒不安定になったりすると蜂の羽音のようなSEが流れる。
デックスの内面は面白いので観ていただくことにして‥というか今回いっぱい書きすぎて疲れたのでデックスの内面については省略する。
デックスの殺傷能力。射撃が上手いのは勿論、殺人的な投擲技術を持っている。
「デックスが手にした物を敵に投げたらノールックでも全て百発百中で命中する(ブルズアイ)。また投げた物や銃弾を跳弾のように壁に反射させても命中する。そして投げる物は何故か銃弾並みの威力になっている」
‥という超人レベルの特殊技能を持っている(彼のスーパーパワーだという説もある)
もちろん今後〈ブルズアイ〉と呼ばれ、デアデビルの宿敵になるであろう男。
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彼の投擲技術は凄く映像映えしていて楽しい。このドラマを8歳くらいの子に見せたら、真似してそこら中のペンとか定規を投げまくるに違いない。
しかもデックスは、その格闘能力もデアデビルに匹敵する強さ。
デアデビルは何回もデックスとタイマンするが、その多くがデックスの勝利、またはデックス優勢で終わっているのでデアデビルより強いかもしれない。
彼の精神はぶっ壊れているので、依存している者以外への殺人行為にも一切の躊躇がない。かなりの強キャラ。
フィスクは、ヘルズキッチンのヒーローであるデアデビルの評判を失墜させるために、スーツ職人メルヴィンに作らせたデアデビルのスーツをデックスに着せ、わざと目撃者を作ったり監視カメラに映るようにして邪魔者を殺害させる。
ヒーローものの定番、偽ヒーロー、偽デアデビル展開だ。
マットはこのシーズン3では、冒頭以降では一度もデアデビルのスーツを着ないが、代わりにデックスが何度もデアデビルの格好になる。
このシリーズのマットはフィスクとだけではなく、自分自身の暗黒面とも闘っている。だから偽デアデビルと戦うマットの構図を客観的に見ると「デアデビルが、フィスクの手先の偽デアデビルと闘っている」という見た目通りの意味と「デアデビルが、自分の中にいる悪のデアデビルと闘っている」という精神的な闘い両方の闘いが同時に行われていることになる。
デックスはどうやら生まれついての残虐性を持ってるようなので、フィスクの策略がなくても何時かはヴィランになる男だったのかもしれないが、自分の衝動を抑えてくれる人間を必死に求めてたりしたので、ひょっとすれば普通の良い捜査官になる未来もあったのかもしれない。
デックスは元バイト先の女性をストーキングしてたが、あっさりバレたりバレた後も凶行には及ばず誠実に再アタックする態度が何かぐっと来るものがあった。
「俺は君を異性として見てるとか以前の問題で‥俺は君みたいに優しくなりたいんだ。俺に対しては自殺防止センターに電話してくる人みたいに接してほしい!」とか、かなり切実。それだけにフィスクの行為はめちゃくちゃ酷いなと思わされた。
まぁ、純粋悪って感じの奴なんだけど、異常に可哀想なキャラでもある。
きっとマット以上に魂が幼少期のままっぽいからかもしれん。
それにしてもブルズアイって狂った荒いオッサンってイメージが強かったので、こんな彫刻みたいに美しい俳優が演じるとは意外だった。

 

 

 

色んな死闘が何度も繰り返され最終的なバトルでは「マットはフィスクをどうするのか?」という結末、ここが凄く良かった。そしてマンウィズアウトヒアー(マットは恐れを知らない男)となる。
凄く面白かったので特に文句もない。しいて言うなら、あんな怒りマックス状態のデックスのリタイアが荒くて少し納得できない事くらいか。
というか元にしたと思われる「デアデビル:ボーン・アゲイン」や「Guardian Devil」の良いところはそのままに更に改善してる気もしたし、MCUの映画も全部合わせてもベスト3に入るくらい良かった。
何よりもこの「デアデビル」はレイティングが低いMCUでは出来ない描写や展開が多く、映画好きでドラマ苦手の僕でさえ「デアデビルはドラマで良かったのかも」と思った(逆に言うと「アイアンフィスト」などは映画でやった方がよかったように思う)
映画のレイティングが低いのは、チビッコがヒーロー観れなくなるのも良くないのでそれはそれでいい。だがデアデビルはどう考えても大人向けなのでネトフリで良かったなぁという感じ。「インフィニティ・ウォーと本作どっちがいいだろう?」と考えたが何もかも違う作品過ぎて比べようがない。「超高級レストランと町の個人経営だが気が利いている小さなレストランどっちがいいか?」と比べるようなもんだ。適材適所。
そういえば捕まったメルヴィン(ヒーローやヴィランのスーツ職人)が捕まって放置されたまま終わったのはS4冒頭でマットとかが弁護して出すんじゃないか?と思った。関係ないけどメルヴィンがやたらと丸ノコ投げてたのは原作での彼のヴィラン時代(グラディエーター)の武器が丸ノコだったかららしい。知らんかった
なるべくネタバレなしでキャラ中心に書いたが異常に長くなってしまった。
他のNetflixのMARVELシリーズの「ルーク・ケイジ」と「アイアン・フィスト」はシーズン2で打ち切りになった(2人がチームを組んだ新ドラマが始まるという噂もある)
MARVELも傘下にあるディズニーは独自の配信サービスを立ち上げるので、このNetflixのMARVELシリーズは全部打ち切りになるのか、それともディズニーのサービスに移動になるのかわからない。
僕としては「デアデビル」は移動した後も、このまま続けて欲しい。
制作陣はシーズン4を作りたがってるし是非、同じスタッフでのS4を期待したい。
MARVELスタジオの性格を考えると好評の本作はこのまま移動してくれる気がする。
期待したいのは、心技体が万全になったマット。そして法律事務所の仲良し三人組の弁護士としての仕事をちゃんとやってる様子。そして完全体となったブルズアイ。個人的にキングピンはやりきったから彼とのガチンコは満足。

 

 

 

※追記 (2018.11.30)
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ディズニーはNetflixから次々とMARVEL作品を引き上げてるので『デアデビル』も打ち切りが決定した。
このシーズン3は大好評だったので「ディズニーが来年始めるという動画配信サービスでやるのかな?」と最初は思ったが、デアデビルのスタッフやカレン役の女優さんが次々とガチトーンで「今までありがとう……」みたいなツイートしてるのでマジで終わりっぽい。
しかし今のMARVELスタジオは何でもありうるので、同じスタッフ+出演者が再結集されて続きが作られる可能性もゼロではない。
本作はS1と3で、やり切った感あるので続きが作られたら喜んで観るけど、もし全員入れ替わったりリブートされても「それはそれでまぁいいか」という感じ。

※追記 (2021.12-2022.01)
Disney+のMCUドラマ『ホークアイ』 (2021)で本作のヴィンセント・ドノフリオ演じるキングピンが、『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(2021)で本作のチャーリー・コックス演じるマット・マードックが出演しました(アメリカ本国では順序逆)。

※追記 (2022.10)
Disney+のMCUドラマ『シーハルク:ザ・アトーニー』(2022)の第8、9話でマット・マードックデアデビルが登場しました。あと来年の『エコー』(2023)にもデアデビルとキングピン出る。あと数ヶ月前のイベントでドラマ『デアデビル:ボーン・アゲイン』が発表されました。このネトフリ版のシーズン1と3がめちゃくちゃボーン・アゲインみたいな内容だったので何やるんだろうという気はするが楽しみだ。あとスパイダーマンMCUアニメにもデアデビル出るしMCUで今一番最も多く出るヒーローみたいで楽しみすぎる。デアデビル本体出たしキリないから追記するのはこれで終わりにしとく。

※追記 (2024.01)
前からDisney+のMCUドラマ『エコー』にデアデビルとキングピンが出たんですが、『ホークアイ』 (2021)『シーハルク:ザ・アトーニー』(2022)の時と違い、『エコー』予告や本編でNetflix版のことに触れたりして、それと同時にでMARVELスタジオ公式からも「Netflix制作のMARVEL作品もMCU正史作品」という事が正式にアナウンスされた。そういう感じで長いこと「最初はMCUの一部だと言われてたが徐々にMCUじゃない感じで扱われてたNetflix制作MARVEL作品もMCU正史の一部」という事になった。僕としてはこのデアデビルの方がMCU全体と同じか又はそれ以上に好きなので良いんじゃないかなと思った。それならNetflix版のスタッフやキャストももう少し呼び戻してほしい気もするが。

 

 

そんな感じでした

gock221b.hatenablog.com

 

『ホークアイ』全6話 (2021)/大部分とても楽しく観てたが最後にガッカリして全てどうでもよくなるというワンダビジョンと同じパターン🏹 - gock221B
『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(2021)/盛り沢山なので面白い事は間違いないが突然こんなに曇らせる意味がよくわかんない🕷️ - gock221B
『シーハルク:ザ・アトーニー』(2022) 全9話/現実世界で女性を憎悪する匿名インセルを劇中でも敵にしたりファンの予想や”考察”をおちょくりMCUの自己批判まで行う最高の作品💚 - gock221B
『エコー』(2024) 全5話/あまりに地味だし既視感あるシーンも多いがMCUドラマの中では悪くなかったかも。今までのように長い映画を6分割しただけじゃなくTVドラマとして作ってる気がする🦻🦿🐦 - gock221B

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Daredevil (TV Series 2015–2018) - IMDb

www.youtube.com

デアデビル:ボーン・アゲイン

デアデビル:ボーン・アゲイン

 
Daredevil: Born Again (Daredevil (1964-1998)) (English Edition)

Daredevil: Born Again (Daredevil (1964-1998)) (English Edition)

 
Daredevil: Guardian Devil (Daredevil (1998-2011))

Daredevil: Guardian Devil (Daredevil (1998-2011))

 

『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』(2018)/第一幕おもんなさすぎたがファルコンに乗って以降とロボ権意識の高い女性ドロイドは面白かった⭐

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原題:Solo: A Star Wars Story 監督:ロン・ハワード
製作国:アメリカ 上映時間:135分
シリーズ:「スターウォーズ」スピンオフ・シリーズ。「スターウォーズ」シリーズ

 

 

 

★本作は、もちろんヒットはしたが「スター・ウォーズとしては」コケた。世界での合計の売上総額を足しても前作「ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー」のアメリカ国内だけの売上にも達していない。また評価も「まぁまぁ」って感じだったため後に「オビ・ワン」「ボバ・フェット」と続くはずだった〈スターウォーズのスピンオフ・シリーズ〉を終わらせた。
毎回のように有能な監督をクビにして言うこと聞く職人監督に超短期間で仕上げさせる制作態度(本作は全編のうち殆どの部分をたった三週間で撮り直した)。死にたてホヤホヤのハン・ソロのオリジン。ポスターパクリ騒動。めちゃくちゃ評判の悪い「スター・ウォーズ 最後のジェダイ(2017)」の失敗を認めず「『最後のジェダイ』を批判する者はレイシスト」だと、ローズなどの女性キャラをポリコレの盾として批判を封殺する制作陣の態度などが合わさった結果なのか、大失敗に終わった。
ハン・ソロ」に批判が集中するならまだマシだが、何というか一番良くない無風状態‥「エイリアン・コヴェナント」みたいな感じ。大勢の映画ファンにスルーされたような状態。
世間では「『ハン・ソロ』はそれほど悪くない」「『最後のジェダイ』がクソだったから『ハン・ソロ』に客入らなかったんじゃ?」という声もチラホラ聞くが、本丸のスター・ウォーズ本編である『最後のジェダイ』や今後も重用し続ける予定のライアン・ジョンソンの評価を下げたくないがためにか「お客さん入りませんでしたダメですね‥『ハン・ソロ』はダメでしたね!『ハン・ソロ』は!」と、制作陣は「最後のジェダイ」の失敗を全て本作になすりつけた。
★僕はと言うと「最後のジェダイ」は破綻してるとは思ったが、物語の中心であるレイとカイロ・レンとスノークなどのジェダイ本筋は嫌いじゃなかったし、監督が過去のSW資産をどんどん燃やし尽くして前進するという「次に何が起こるかわからない」という焼畑農業みたいなやり方を楽しんでしまいました。
初見はそんな感じだったがレンタルで二回目に観ると「やっぱ変だな‥」「ルークが死ぬのはいいとして、普通に活躍してほしかった」と思い始め、更には何時の間にか好きだったはずの旧三部作やSWそのものへの興味が殆ど無くなった。
やはりSWおじさんが嫌う通り「最後のジェダイ」はやっぱりコンテンツを蝕むガン細胞だったのかもしれない(それと同時に10年以上嫌いだったエピソード1とか2のことが少し好きになった)
★「アベンジャーズ:インフィニティ・ウォー」を観に行った時、本作の予告が流れたが、まるで市役所で名前を呼ばれるまで座っている時のように心が動かず「前までSWの方が好きだったけどもう完全に興味がMCUに移行したな」と感じました。
それで本作はTwitterでネタバレを食らったのもあって、久しぶりに観に行かなかったし、レンタルが始まってかなり経っても忘れてました。
そんなネガティブな印象の本作だが、監督やスタッフたちは悪くないのだし、なるべく頭を真っ白にして観ました
完全ネタバレありで

 

 

 

Story
銀河帝国の支配が激しさを増す時代。
生まれ育った惑星コレリアでの劣悪な環境を抜け出し銀河一のパイロットを目指すハン・ソロオールデン・エアエンライク)は、幼なじみのキーラエミリア・クラーク)と故郷からの脱出を図るが失敗。
5年後。キーラを救うため帝国軍アカデミーに入隊し、生涯の相棒となるウーキー族の戦士チューバッカヨーナス・スオタモ)と運命的な出会いをする。
さらに腕利きの運び屋であるランド・カルリジアンドナルド・グローヴァー)の自慢の宇宙船ミレニアム・ファルコンを巡り、思い切った賭けに打って出る。
それぞれの人生に立ち向かう彼らはチームとなり、謎の男ベケットウディ・ハレルソン)のもとで危険な強盗ミッションに挑む。果たして彼らは次々と迫る危機をどう乗り切るのか!?――

 

 


まず最初に言っておくと、僕はハン・ソロ役の俳優がハリソン・フォードに全く似てないルックスであることは別に気にならない。
というのも僕は毎回画が違うアメコミのファンだし、俳優よりキャラクターの方が偉いアメコミ映画のファンでもあるために「今回のハン・ソロは今までと作画の人が違うんだな」とスッと切り替えられました。
それにハン氏が自信満々になる後半では完全にハン・ソロに見えてたし。
映画が始まるとハン・ソロと幼馴染の恋人キーラが離れ離れに。
ハンはキーラ奪還を念頭に置きつつ帝国軍アカデミーに入隊していた。
「ソロ」という名字は身寄りがない(=ソロ)というところから帝国軍兵士から付けられた名前だったとは。
そこでチューイと知り合う。映画でよくある「地下牢に落とされ、モンスターに食われる」という展開の「モンスター」を担当してるのが三日間なにも食ってないチューイだった(ち、チューイってここに落とされる人間を食ってたの?)
利害が一致した2人は協力して脱出。ここは第一幕の中で唯一面白かった。
その後、ウディ・ハレルソン演じる運び屋に弟子入りしたハン、チューイもしばらくは同行する。
泥だらけのハンとチューイは一緒にシャワーを浴びる。ただシャワーを浴びただけだけど劇中でこんな描写されたって事はもう肉体関係の暗喩レベルの密接さだ。別にBL的な事が言いたいのではなく、この序盤の段階で既に2人は運命的な大親友だと有無を言わせず宣言したような感じもんですね。
ウディ・ハレルソンのチームは列車強盗をする。
起伏のないアクションや、あまり興味わかないウディ・ハレルソンと更に彼の仲間のどういうキャラかすらわからない新キャラが次々と死んでいく様を、市役所で名前呼ばれるまで座って待ってる時のような無感情で眺めてるうちに、めちゃくちゃ眠くなってきた‥とウトウトしてると何と作戦失敗!
誕生してチューイと組んだばかりの若きヒーローのデビュー戦が、多くの犠牲を出しつつ失敗ってシケ過ぎてるな。
普通最初の作戦は快勝して中盤で負けて蘇って後半で逆転するのが基本じゃないのか。
しかも「最初の列車強盗はチューイが居なかったから失敗した」とかならまだわかるが「ハンとチューイがコンビを組んで最初の何でもないミッション」に失敗させるのが意味わからない。
おもんなさすぎたのと酔って夜遅くて眠かったこともありここで一旦観るの止めた。
「ローグ・ワン」も前半つまんなかったけど後半が面白かったから印象が良い。
本作も残りが面白ければ問題‥ない‥(就寝)と思いながら寝ました。

 

 


この後、ウディ・ハレルソンの雇い主であるポール・ベタニー演じるナントカという名前の犯罪シンジケートの有力者っぽい奴の所に行くと、何とそこで働いていたキーラと再会するハン。
キーラはポール・ベタニーに拾われて流儀を叩き込まれ裏社会で働いていた模様。
ポール・ベタニーの上には更に〈クリムゾン・ドーン〉という巨大犯罪組織があるらしい。
そしてキーラの手首にはクリムゾン・ドーンの焼印が。
純粋な主人公ハンが、故郷の田舎でつきあっていた幼馴染と都会で再会したらヤクザの情婦になって裏社会で働いていた‥という何とも気分悪い展開。
キーラはハンに迫られる度に重い背景を思い起こさせる複雑な表情をして「私はもう貴女が知ってる女じゃないの」「私はあなたが知りたくないような事を色々としてきた」などと言う。もし自分が今子供でこれを観てたとしたら「何この感じ?」とめちゃくちゃモヤモヤしそう。まぁキーラは以降の作品に出てないので生き残らない運命はわかりきってるのでこういうキャラにしたのは正解かもしれない。
とにかく列車強盗での失敗はナントカという強力な資源を盗む事でチャラになるらしいが失敗すれば殺される。お目付け役としてキーラも同行。
作戦には乗り物が必要だ。ランド・カルリジアンと彼の相棒である女性ドロイドのL3に依頼してミレニアム・ファルコンを駆ってもらう。 
一行は、違法っぽい施設に忍び込んでナントカという燃料を運び出す。
そんな中盤。普通に面白い。
しかしそれなら列車強盗せず、いきなりここから始まればよかったんじゃ?
ハンがチューイと出会ってウディ・ハレルソンの船に乗る(ハレルソンの仲間は削除)→ポール・ベタニーのところに来て仕事を依頼される(だがウディ・ハレルソンポール・ベタニーに借金しまくってるので成功しなければ殺される)
そんな感じで良かったのではないか?まぁいいや
ところでキーラはSW世界の武術テラスカシの使い手だった。
SWマニアでもない僕が何故知ってるかと言うと昔SWファンの友人宅で初代プレステの「スター・ウォーズ マスターズ オブ テラス・カシ (1998)」という格ゲーで遊んだことあるからだ。すごいクソゲーだった。そして「テラスカシ」という何だか肩透かしをくらったかのような珍妙な名称は脳裏に刻み込まれた。なんかシャーロック・ホームズが習得している謎の武術「バリツ」を思わせる珍妙な武術だ。
そしてバリツ同様に本編見てもどういう武術かは具体的にはわからなかった。
妙に飛びかかる動きがあったり、ポール・ベタニーが何か変な武器を使用していた。
ジェダイやシスが隠遁しているこの時代では猛威を奮ってた感じ?
しかしキーラ役のエミリア・クラークは主演した「ターミネーター:新世紀/ジェニシス)」が大コケした上に早くも歴史から抹消されたと思えば、本作もコケて続編もキャンセルになってしまうなど、せっかくSF大作に二つも出れてるのに全部うまくいかず、作品運がない女優さんですね。

 

 


ランドの相棒の女性ロボットL3は、自我を無くして奴隷となって働かされているドロイドを汚い人間の手から救い出し自由にする事に無常の喜びを感じるドロイドだった。
そして「ランドは自分に恋している。上手くいきっこないから私はそれを見て見ぬふりしている‥」とか言っていた。恋愛云々はよくわからないがランドとは固い絆で結ばれているようだった。
L3にはどう見ても感情があるようだし、SW世界のドロイドたちの精神ってどうなってるんだろう‥と思った。
資源を盗みに行ったところで奴隷ドロイドを解放しまくり「うぉー!めっちゃ生きがい感じる!この仕事して良かったーーっ!」とか快哉を叫んでたのが良かった。
何か公開時、観た人の間でチューイとこのドロイドが人気だった気がしたけど確かに面白いキャラだったのでわかる。
L3は最終的にはファルコンと同化する(アルカディア号のコンピュータと同化したトチローを思い出した)。しかしこんな事があったのならファルコンはランドが所有してないとアカンのじゃないかという気もした。だけど「ジェダイの帰還」でランドがファルコンでデス・スター攻めるという「なんでランドがファルコンで?」とか「デススター攻めるの二回目だからなぁ」などと個人的に盛り上がらない場面だった、あのシーンの意味合いも「L3と再会して帝国の超兵器を叩く!」という上がるシーンになったかもしれん。
どうでもいいけど僕は最近ドナルド・グローヴァーがミュージシャンとしても俳優としても大好きなんだが、映画ではアゴを上げて相手を見るイキった仕草をする生意気な役が多く、カッコいいわ。別にそれほどハンサムでもないし身体もチンチクリンなんだが何なんでしょうねこの不思議なカッコよさ

 

 


ナントカという貴重なエネルギーを盗んだ後は、ファルコンで決死の逃走。
よく話に出てくる「ケッセル・ランを20パーセク」のくだりだ。
正直言って別にSWに詳しくないので「ケッセル・ラン」が何なのか「パーセク」という単位が何を示しているのかは全く知らないし本編見てもよくわからなかった。というかそもそもファルコンが飛んでいたエネルギーの渦みたいな場所がどこなのかもよくわからなかった。要は「ハンがファルコンを駆って前人未到の走りを見せて敵を振り切った伝説の日だ」という事がわかればいいのでどうでもいい。
この逃走で、ハンはそれまでとは打って変わって様々な奇策を生み出して仲間を驚かせながら才能を開花させていく。
まるで「ミスター味っ子」とかの料理漫画の天才主人公みたいだった。
ランド「おい、それは脱出ポッドだぞ!ランド全然わかんないわよ!」
ハン「まぁランドのおっちゃん見てなって!」
ランド「‥だ、脱出ポッドを囮にしてモンスターを重力の井戸に落としたー!?」
ランド「そ、そして脱出ポッドを欠くことでファルコンの機体も飛躍的にカッコよくなっただと!?」
と、こういった閃きを幾つも連続して披露して伝説の何とかパーセクを達成した。
「ハン上げ」と同時に、驚き役に徹するランドも良かった。
他にもファルコン号の機体でタイ・ファイターを卓球のように叩いてエネルギー渦にぶつける奇策も良かったし、ナントカという資源をニトロ的に使って爆走する所とか普通に興奮した。
これらの「ファルコンに登場した途端に覚醒するハン・ソロ」は「やっぱりハンは優秀パイロットなんだな」と素直に思えて面白かった。

 

 


そうこうしつつ、色々あってポール・ベタニーウディ・ハレルソンやキーラとの、一応の決着が着いて終わる。
ハンのラストバトルは「ハンが先に撃って」勝利する。これは最高の幕切れでしょう
キーラは〈クリムゾン・ドーン〉と密接な繋がりがあり、更に自分がハンと逃げれば二人とも一生追われる立場になってしまうのでハンを護るためにクリムゾン・ドーン側に着くことにしてハンを逃がす(‥ように見えた。そうだよね?)。
悲しい別れだが正直言ってハンにはチューイが居るからあまり悲しくない。
〈クリムゾン・ドーン〉の首領とは、現銀河皇帝の弟子、元シスの暗黒卿ダース・モールとしてクワイ=ガン・ジンやオビ=ワン・ケノービと死闘を繰り広げたフォースの使い手、モールだった。
モールが生きてて犯罪シンジケートのボスで出てきたのは「スター・ウォーズ クローン・ウォーズ」「スター・ウォーズ 反乱者たち」などを中途半端に観てて知ってたので「そんなバカな!」的な感情は沸かなかった。
ハン・ソロ」続編でのモールは、恐らくチラ見せ程度は出来ても「ジェダイとかフォースとか見たことな」かったこの時期のハンに会わせるわけにいかんので、次に作るはずだった「オビ・ワン」クライマックスで「スターウォーズ 反乱者たち」でやった〈オビ・ワン vs.モール〉最後の闘いを実写で改めてやるつもりだったのでは?という気がする。
ハンはランドにギャンブルでのリベンジを果たし、「賞金稼ぎを集めている」らしいタトゥイーンのギャングのところに行くところで終わった。当然ジャバ。
恐らく続編も2本くらい作ってハン・ソロ三部作にするつもりだったんだろう。
ランドは毎回出ただろうし、ジャバのところでボバとかボスクとかと初対面を果たしてボバと仲違いしながら仕事したり、あのアップルシードのブリアレオスみたいなマスク被った少女のレジスタンスっぽい集団を何度か助けたり、モールの息がかかったキーラと何度か愛し合ったり敵対してるうちにキーラが最後に死んで終わる感じだったんだろう。
まぁ、もうこの続きが作られる事はないのでどうでもいい。

 

 


そんな感じで観る前の期待値ゼロだったし第一幕つまらなかったが、そんな第一幕のせいで下がったハードルが地面にめり込んでたのも相まって中盤からは普通に面白かっただけで自分の中の評価が上がった。
最初はクソ弱かったハンだが、ファルコンを駆って逃走する時の天才料理人っぽい描写で天才っぷりを見せて、どんどんハン・ソロになっていく様が楽しかった。
そう思えば逆算的に「第一幕のつまらなさはタメだった?」などと良く思えたりもしなくもない。
「ジャバのところに行ってボバとかに会う続きやモールの殺陣が見れなくなって残念だな」という気持ちもあるが、「ローグ・ワン」「フォースの覚醒」の時のように、そこそこの面白さはあるが、まぁ一応は話終わってるから一作だけでも成り立ってるしこれで終わりでもいいか。
ハン・ソロ」は意外と面白かったのだが、もう既にディズニー製SWの印象は、
👎SWに全く興味ないらしいキャスリーン・ケネディなどの上層部。
👎作家性の強い監督をすぐ切って何でも言うこと聞く職人監督に仕上げらせるとこ
👎自分たちの「新しいSW」を際だたせるために過去の象徴的な人気キャラを「実はしょうもない奴らだったよw」って感じで次々に消すところ
👎ポリコレ重視は良い事だけど、よく見たら彼らはポリコレを利益と保身のためだけにか使わなないところ
👎「最後のジェダイ」への作品に対するファンの批判が高まってきたら毎回「昔ジャージャー役の人は嫌われすぎたから自殺を考えた」「ローズ役の人はSNSを削除した」などと報道させる事で、暗に「批判するな」と言ってるし、彼ら不人気キャラを演じた俳優を人肉の盾として使用するところ(彼らを過剰に批判するのは確かにいけない事で、そこについては正論なのでファンは未だまともに反論が出来ない)
両者の言い合いをハタから見てるとこんな感じだ

SWファン「ワープ特攻とか糞ホルドとか引きこもりルークとか変じゃないですか?ローズのカジノのシーンとかキスシーンとかも変だし‥」
制作陣「おい‥今何言うた?!ローズがブスだからそんな事言うんか?!」
SWファン「ちゃんと話聞いてました?僕たちは作品としておかしな所を‥」
ローズ役の女優さん「しくしく‥」

制作陣「泣かした!?レイシストレイシスト!(バキバキの目つきで)」
SWファン「あー、もういいです‥」
制作陣「イェー!レイシスト帰れ!今日もわしらの大勝利や!」
SWファンだった人「スター・トレックでも観るか‥」

👎一体どういう繋がりがあるのかはわからないが明らかに失敗してブランドイメージを下げたライアン・ジョンソンを、他を下げてまで全力で護り、更に彼だけが仕切る新しいSW三部作まで作らせる‥と、今後10年以上も彼を重用する気満々なところ
・そして、つい最近キャスリーン・ケネディが製作総指揮を続投する事を発表したので、それらの欠点は今後も直らなさそうなところ。
‥などの欠点が明らかになった今、ワクワクする楽しい気持ちは消えてしまった。

ハン・ソロという映画単体は結構面白かったけど、制作陣への印象が最悪」って感じ
「フォースの覚醒」の時はまだ盛り上がれてたんですけどね。。
あと、観たら虚しくなるようになったから過去の好きだったSWも観なくなった。
だがEP9は観たい。良くも悪くもどうやって三部作を締めるのか気になりすぎる。
SWは万策尽きている。もう残った手はルーカスしかない気がする(‥と一瞬思ったがそれは現ディズニーSW制作陣が死んでもやりたくない事なので、それやるくらいならSWという企画自体を潰すと思う)
それとベイダーを使ったVR映画と、「アイアンマン」のジョン・ファヴローが監督するTVドラマ「ザ・マンダロリアン (2019-)」は少し期待してる
SW本編はもういいから今「ピープル vs.ジョージ・ルーカス vs.ディズニー」作ったらめちゃくちゃ面白そう。

 

 

 

そんな感じでした

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レイア姫やMJなら、誰でもいくらでもブスと言っていい風潮が嫌い👸 - gock221B

「スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃 (2002)」前半のクソさと楽しい後半。長年何度も観てるうちに好きになってきた⭐ - gock221B

「スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐 (2005)」異様な殺気と殺伐とした雰囲気が好き⭐ - gock221B

「ピープルvsジョージ・ルーカス (2010)」散々文句言って締めに急に褒めて締めるのが凄い可笑しい🧔🏻 - gock221B

「ファンボーイズ (2008)」 ライナスが最後に出した結論に感動🏃🏻‍♂️ - gock221B

「ローグ・ワン/スターウォーズ・ストーリー(2016)」ジンとローグ・ワン達の本当の人生が劇中、突然始まって燃焼する⭐ - gock221B

「スター・ウォーズ/最後のジェダイ (2017)」映画としてもSWとしても完全に破綻してるが初見はその焼畑農業っぷりを楽しんでしまった⭐ - gock221B

「ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー (2018)」第一幕おもんなさすぎたがファルコンに乗って以降は普通に面白かった⭐ - gock221B

「スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け (2019)」SW実写映画9作の中でこれが一番どうでもいい。アダム・ドライバーは最高⭐ - gock221B

『マンダロリアン』シーズン1 (2019)全9話/EP8&9で負った傷を7割くらい癒やさしてくれた👽 - gock221B

⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐

Solo: A Star Wars Story (2018) - IMDb

www.youtube.com

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『スティーヴン・キング ファミリー・シークレット』 (2014)/おしどり夫婦の夫が連続殺人鬼。ビッグドライバー、1922と併せて観たい👫

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原題:A Good Marriage 監督:ピーター・アスキン
原作&脚本:スティーヴン・キング 製作国:アメリカ 上映時間:102分

 

 

 

これは先日観て感想書いた「スティーヴン・キング ビッグドライバー (2014)」と同じく中編で、「ビッグドライバー」と本作の原作「(原題)素晴らしき結婚生活」はアメリカ本国で出版された四つの中編小説が収録された中編集「Full Dark, No Stars」とやらに収録されていた。
※以下はそれについての説明だが本作の感想とは何の関係もないし面白くないので飛ばしてOK
この中編集は相当分厚いみたいなので日本では「ビッグドライバー」と「素晴らしき結婚生活」二作だけが一つの本に収録されてたが、これまた先日観て感想書いたばかりのNetflixオリジナル映画「1922 (2017)」の原作と、一つだけ映像化されていない残り一話が日本では一つの中編集として発売してる。
一言で言うと〈ここ最近観たキング原作の「1922」「ビッグドライバー」本作は全部、一緒の本に入ってた〉ってこと。
で、3本とも〈男に苛虐された女が男に復讐して地獄に落とす話〉きっとそれがその中編集のテーマだったんだろうね。
で、3作ともTV映画。違う放送局みたい。
個人的に「1922」はキング原作映画の中でもトップレベルの凄い力作だったので1922はいいとして「ビッグドライバー」と本作は一本の映画としてだけで観ると割とライトだし、二作観ると対になって付加価値が増えるタイプの二作だったので、この二作併せて一本の映画にすれば良かったのになと思った。まぁ後からなら何とでも言えますがね‥
大して重要でもない感想の前の枕の文章だが、言葉で説明しようとしたら書いてる俺も読む側も面白くなさそうだし判りにくい説明になったな‥。口で喋れば数十秒で説明できることを文章にしたらやたら長くてつまんない説明になったな。説明してる俺もつまんないからテレパシーで直接きみの脳に送りたくなったよ。
今回もまた完全ネタバレありきスタイルです

 

 

Story
ダーシージョーン・アレン)は、夫ボブと結婚して25周年。いつも一緒の仲良し夫婦だ。
二人の子供も立派に成年し結婚の直前だ、二人はおじいちゃんとおばあちゃんになる。
町では女性ばかり犯して殺される連続殺人事件が起きていたが、ダーシーとボブは素晴らしき結婚生活を送っていた‥はずだった。
ダーシーが、夫の宝箱の中に殺された女性被害者たちの遺物があるのを見つけるまでは――

 

 


そんな感じでしばらくはダーシーさんと夫のボブ氏の仲良し夫婦の結婚生活25週年を祝うくだりが描かれる。
ボブ氏は会計士をしていて、大金持ちってほどじゃないが大きな家に住んでいる(まぁ現代の貧困日本人の僕から見れば大金持ちだが)。
二人の年齢はよくわからないが60歳くらいか?老人直前の初老の夫婦って感じだ。
だがダーシーとボブは、いつも二人一緒だし、二人っきりの時は未だに大学生の時のような熱烈さでイチャつき未だに性生活もある。これ以上ないほど死ぬほど仲良い夫婦だ。僕は結婚したことないが現代日本人男性として「3年以上つきあってる女性と性交を頻繁に行う」と思った。かなりの性欲や工夫がなければ無理だ。むしろ「ベン氏は『長年連れ添った妻に性的興奮を覚える』という変態なんだな」と思ってしまうほどだ(これは褒めている)。
とにかくベン氏はいつも妻に優しくジョークも上手く性的にも満足させていて、それらを25年間続けている素晴らしい夫である事が序盤で描かれる。
二人の間に2人いる姉弟は成人して家を出ており、娘の方は近々結婚するらしい。
何もかもが順風満帆。
ここまでの「老人直前の初老夫婦の幸せいっぱい描写」という流れ、本当に興味なさすぎたので料理や洗濯しながら殆ど画面観ずに観ていた。
別に本作がつまらないわけではない。むしろ面白い。「小金持ちの初老夫婦の仲良し描写」というこの前振りが興味持てないだけだ。
自分の両親とかを思い起こさせるからかな?

 

 


だが夫婦が住む町では女性ばかりが犯して殺される連続殺人事件が起きていた。
そして夫の出張中に、ガレージにあった夫の宝箱には殺された女性たちの免許証やアクセサリーなどの遺物があった。
ダーシーは「25年間つれそった優しい夫のボブが連続殺人鬼だった?!」と焦る
出張だと言って外泊中のボブは違う町で次に犯してブッ殺す女を品定めしていた。
ボブとダーシーは電話で話すが、ダーシーの声色がいつもと違うので「妻は自分の殺人に気づいた」という事に気づいたボブ。そしてボブがそれに気づいたことも気づくダーシー。この辺はさすが長年連れ添った夫婦って感じ。
映画のまだ中盤だが、帰宅したボブは自分が連続殺人鬼であることを白状する。
ボブが言うには「自分は多重人格者。別人格の悪い自分が女性を殺していた。だが君のことは本当に愛しているので君を殺す気はない。出来ればこのまま結婚生活を続けたい」との事。
25年間、めちゃくちゃ優しくて気が利く夫だったボブという男は、見ず知らずの女性たちを犯して殺しまくってた惨劇の上に成り立っていたのだ。
そして優しい夫ボブは「自分の中に悪い別人格がいる」事を知らないタイプの多重人格者じゃなくて、悪い人格の自分が殺人してたのも全部知ってて、それを妻にも見過ごせと言う。多重人格っていうのは自分の悪事を軽減させる言い方してるだけで、別に多重人格でもなんでもなさそうだ。最初から最後までボブはクズだったんだろう。
25年間に及ぶ「素晴らしい結婚生活」は全て偽りだった。
戸惑うダーシーにボブは「僕たちの娘‥もうすぐ結婚式だね?」と言う。
自分が捕まれば家族全員は破滅する、と子供たちの未来を人質に取ったのだ。
警察に証拠を出してボブを捕まえさせるのは簡単。だが自分‥はまだしも人生これからって時の善良な子供たちの人生は終わりだ。顔も名前も世界じゅうに知られてしまう、連続殺人鬼の家族はそれだけでは済まず、一般市民によるバッシングや直接の被害を一生受け続け、バレれば職をクビになり続け、一家離散、果ては自殺する者も多い。
ダーシー「子供たちの事を持ち出すなんて卑怯よ‥」ダーシーは泣くが、ボブは肩をすくめる。
ダーシーは仕方なく夫の犯罪を見なかったことにする事を誓わされる。
殺された女性たちの遺物は庭に埋め、二度と殺人もせずこの話も二度としない事を夫に約束させるダーシー。
しかし、この短いやり取りでボブの卑劣な心は充分わかったダーシー。
一家に突如発覚したガン細胞‥ボブ、このクズが女殺しをやめるわけがない。
自分もいつか殺されるかもしれないし、いつかは殺人がバレて子供たちの人生は破滅するかもしれない。もしくは「子供たちの人生は破滅するかもしれない」と死ぬまで心の休まらない日々を送らなければならない。これではダーシーもまた残りの人生全てボブに犯され殺され続けるようなものだ。

 

 


しばらくは今までどおりの仲良し夫婦に戻った2人。
娘の結婚式も終わり、夫婦は2人だけで乾杯‥と思ったら夫を階段の上から突き落とすダーシー!
ボブ「な‥なんで‥」
ダーシー「あら、まだ生きてるのね」
夫がまだ生きてる事を確認したダーシーは、ジップロックを被せたタオルを夫の口に突っ込み(口の中に繊維が残らないように)確実に窒息死させた。
何人もの女性を犯して殺し続けていた上に自分と子供たちを25年間騙し続けていた卑劣な連続殺人鬼ボブは今、屠殺された豚のように死んで冬のナマズのように静かになった。
ダーシーは凶器や周囲の物を予めリハーサルしていたかのようにテキパキ処分する。
従順な妻を演じてる間、ダーシーは証拠が残らないように夫をブッ殺す方法を計画建てていたのだ。
夫を殺した上で証拠が残らないのが一番大事だ。そうでなくては何の意味もない。
「果たして、この段取りで証拠が残らないのか?」というのはよくわからない。
まぁ殺しのトリック同様あまり興味ないのでどうでもいい。とにかく「ダーシーはボブ殺害と証拠隠滅に成功した」というストーリー上の結果だけわかればそれでいい。
葬式の後、息子がミニスカートの女性を見て「あの人いいケツしてるなぁ」と、殺人鬼だった夫と同じ様なことを言うのを聞いて息子にキレるダーシー。
この辺は「この子のために夫を殺したのに、この子も夫の血を引いてるし似たような要素があるのかも‥」という描写かもしれない。どっちにしても父の葬式で女の尻の話するのもなかなかヤバいかバカかのどちらかって感じするが。
話は端折るが、ダーシーの殺人に気づいた元刑事の老人が訪ねてきて彼とダーシーが会話するのが最後の展開(‥この老人、一体どうやってダーシーの殺人に気づいたのか、描かれてないので想像もつかないがまぁとにかく気づいてやって来た)
老人とダーシーは「誰にも言えないが、法を護るより正義を優先する方が大事な時もある」という一点で心が一つになる。
ラストカットではダーシーがラジオを点けると、トラックドライバーとの恋愛についての歌が流れてくる。きっと同じ本に収録していたという、これまた被害者の女性が加害者である男性に復讐する「ビッグ・ドライバー」の匂わせだろう。
※‥普通、「感想」ってあらすじはそこそこに作品内容について自分が思ったこととかを書くもんだと思ったが、ここ最近のキング原作ドラマはあらすじ書いてるうちに力尽きて感想はほんの数行‥という僕が好きじゃないタイプの映画ブログになってしまっているが‥。途中経過を書くのに労力を使いすぎて力尽きたので終わります。「三作とも女性が悪い男をやっつけたので良かったです」と小学生レベルの感想だけを残しておきます

 

 

 

そんな感じで「1922」「ビッグドライバー」同様、地味だしアカデミックな評価も得れなさそうだがそこそこ面白かったです。
ダーシー役の女優ジョーン・アレンさんは何度も賞レースにノミネートされてるベテランだし、殆ど彼女の一人芝居と言えなくもない。
人間ドラマや、老人が捜査して迫ってくる描写などを30分くらい増やして「ゴーン・ガール」っぽくまるで凄いことを描いてるかのような大作映画に仕上げてヒットさせようと思えばできそうだ。まぁそういうB級映画を大作であるかのように仕上げるのはあまり好きじゃないので別にこのB級映画っぽい感じというかミステリーゾーンの1話っぽいライトな感じの方が好きだが‥。
もしくは、原作の中編集同様「ビッグ・ドライバー」と併せて一本にするとかね。
映画好き‥特にブログに感想書くタイプの映画好きは何か括りや縛り入れて複数の映画見るのが好きで僕もそう。今たまたまキング原作映画を観て感想書くブームが自分の中に来てるからコレ観たが、このマイブーム来てなきゃコレ観なかったかもしれん。
そういった偶然‥「自分の嗜好じゃないものを観たら意外と良かった」というのは友だちや恋人などの影響で起きやすいが、今は独り身なので自分で起こさないとそういった現象は起きない。
そんな感じで本作もまた、まぁまぁ良かったって感じでした。
(原作読んでないけど)同一の中編集に入っててTV映画化された、僕が続けて観た3本を100点満点で採点して並べると
「1922」75点 > 本作65点 > 「ビッグドライバー」55点
こんな感じか?
傑作ってわけでもないが、これらの加害男性に加害女性復讐シリーズ、楽しかったです

 

 

 

そんな感じでした

スティーヴン・キング「Full Dark, No Stars」原作映像作品

gock221b.hatenablog.com

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〈その他のスティーヴン・キング原作映像作品〉
「IT/イット (1990)」後編はイマイチだが前編とペニーワイズは良い感じ🎈 - gock221B
「IT/イット “それ”が見えたら、終わり。(2017)」子供達が最高。現実パートが昔より過酷。ペニーワイズより絵の女が怖い🎈 - gock221B
「ダークタワー (2017)」異世界で屈強な黒人と‥。全体的にかなり面白くないが終わり方だけ異常に良い映画 - gock221B
「ジェラルドのゲーム (2017)」手錠でベッドから動けなくなった熟女が状況と自己のトラウマに立ち向かう - gock221B
「IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。(2019)」キャラクターへの愛情は感じるがとにかく長い……🤡 - gock221B
『ドクター・スリープ』(2019)/ダニーの半生と中盤の遠隔サイキック・バトルが凄く面白かったのでホテルには別に行かなくてよかった😺 - gock221B
『クリスティーン』(1983) ジョン・カーペンター/Evil Carに魅入られて暗黒面に堕ちた陰キャを親友のイケメン陽キャが愛で殺す🚗 - gock221B

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A Good Marriage (2014) - IMDb

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ビッグ・ドライバー

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